JP2009173069A - 人工衛星用姿勢制御装置および姿勢制御方法 - Google Patents

人工衛星用姿勢制御装置および姿勢制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来の姿勢制御装置は、三軸姿勢制御を行うために、少なくとも3台のRWを搭載する必要があり、人工衛星の小型化や軽量化の妨げの要因となっていた。
【解決手段】 2台のCMG1、CMG4をジンバル軸2、ジンバル軸5の方向が相互に異なるように搭載する。CMG1は、ジンバル軸2の回転角速度を制御することにより、ジンバル軸2とロータ軸3とに直交する方向のトルクが出力される。CMG4は、ジンバル軸5の回転角速度を制御することにより、ジンバル軸5とロータ軸6とに直交する方向のトルクが出力される。人工衛星には、CMG1とCMG4の出力トルクが合成されて作用し、姿勢を変化させる。
【選択図】 図1

Description

この発明は、人工衛星に搭載されたコントロールモーメントジャイロを用いて姿勢制御を行う人工衛星用姿勢制御装置および姿勢制御方法に関するものである。
2台のコントロールモーメントジャイロ(以下、CMG)と、3台以上のリアクションホイール(以下、RW)を用いて、人工衛星の三軸姿勢制御を行う姿勢制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなシステムでは、2台のCMGのジンバル軸方向を相互に一致させている。
特開2004−90796号公報
しかしながら、CMGが出力するトルクはジンバル軸に直交する方向に限られるため、ジンバル軸の方向が相互に一致する2台のCMGを用いた姿勢制御装置では、ジンバル軸方向のトルクを出力することができない。そのため、ジンバル軸方向のトルクを出力するために、CMGとは別に、衛星に対してロータの回転軸が固定されたRWを設ける必要がある。また、多くの場合、1台が故障したときの対策として、CMGやRWを更に複数台設けて冗長構成とするのが通常であり、CMGやRWを数多く搭載することが、人工衛星の小型化や軽量化を妨げる一つ要因となっていた。
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、最小構成数のコントロールモーメントジャイロを用いて、人工衛星の三軸姿勢制御を行うことを目的とする。
この発明による人工衛星用姿勢制御装置は、ロータ軸の周囲を回転するロータと、上記ロータ軸に概ね直交するジンバル軸の周囲に上記ロータを回転させるジンバルとを有した複数台のコントロールモーメントジャイロと、上記コントロールモーメントジャイロのジンバルの回転を制御するコントローラと、を備え、2つの上記コントロールモーメントジャイロにおけるジンバル軸の方向が、相互に異なるものである。
この発明によれば、最小構成数のコントロールモーメントジャイロを用いて、人工衛星の三軸姿勢制御を行うことができる効果を奏する。
実施の形態1.
以下、図を用いてこの発明に係る実施の形態1について説明する。
図1は、実施の形態1による人工衛星用姿勢制御装置の構成を示している。図において、人工衛星用姿勢制御装置100は人工衛星22に搭載される。人工衛星用姿勢制御装置100は、少なくとも2台のCMG1、CMG4と、コントローラ50を備えている。CMG1は、人工衛星22に固定された固定部51と、ジンバル部61と、ロータ部71から構成される。CMG4は、人工衛星22に固定された固定部52と、ジンバル部62と、ロータ部72から構成される。コントローラ50はジンバル部61、62、およびロータ部71、72の回転を制御する。
ジンバル部61はジンバル軸2とロータ軸3を有し、ジンバル部61は固定部51に対して、ジンバル軸2の周りを回転するように、図示しない軸受けにより軸支される。ロータ部71は、ジンバル部61に対してロータ軸3の周りを回転するように、図示しない軸受けにより軸支される。ロータ軸3はジンバル軸2に対して所定角度を有して交差し、好ましくは両軸が概ね直交するのが良い。なお、ジンバル部61およびロータ部71は、それぞれ図示しないモータによりジンバル軸2およびロータ軸3の周りに回転駆動され、コントローラ50や図示しない角度検出器を用いることによって、その角速度および回転角度が制御される。
ジンバル部62はジンバル軸5とロータ軸6を有し、ジンバル部62は固定部52に対して、ジンバル軸5の周りを回転するように、図示しない軸受けにより軸支される。ロータ部72は、ジンバル部62に対してロータ軸6の周りを回転するように、図示しない軸受けにより軸支される。ロータ軸6はジンバル軸5に対して所定角度を有して交差し、好ましくは両軸が概ね直交するのが良い。なお、ジンバル部62およびロータ部72は、それぞれ図示しないモータによりジンバル軸5およびロータ軸6の周りに回転駆動され、コントローラ50や図示しない角度検出器を用いることによって、その回転角速度および回転角度が制御される。
2つのCMG1、CMG4は、ジンバル軸2とジンバル軸5の方向が相互に異なるように配置されて、人工衛星22に搭載される。好ましくは、ジンバル軸2とジンバル軸5が概ね直交するのが良い。CMG1では、ジンバル軸2の回転角速度を制御することにより、ジンバル軸2とロータ軸3とに直交する方向の出力トルクが出力される。CMG4では、ジンバル軸5の回転角速度を制御することにより、ジンバル軸5とロータ軸6とに直交する方向の出力トルクが出力される。人工衛星22には、CMG1とCMG4の出力トルクが合成されて作用し、その姿勢が変化する。
図2は、実施の形態1の人工衛星用姿勢制御装置100における、ジンバル軸およびロータ軸と出力トルクとの関係を、幾何学的に示す図である。
図において、CMG1の出力トルク方向ベクトル9は、CMG1のジンバル軸方向ベクトル7とロータ軸方向ベクトル8に直交し、CMG1の出力トルクは例えばT1となる。CMG4の出力トルク方向ベクトル12は、CMG4のジンバル軸方向ベクトル10とロータ軸方向ベクトル11に直交し、CMG4の出力トルクは例えばT2となる。このように、CMG1の出力トルクT1とCMG4の出力トルクT2が合成された出力トルク13は、出力トルク方向ベクトル9と出力トルク方向ベクトル12を含む平面14内に拘束され、T1とT2の合成ベクトルとなる。
CMG1では、ロータ軸方向ベクトル8はジンバル軸2の回転によりジンバル軸方向ベクトル7の周りで回転するため、それにより出力トルク方向ベクトル9がジンバル軸方向ベクトル7の周りで回転する。CMG4では、ロータ軸方向ベクトル11はジンバル軸4の回転によりジンバル軸方向ベクトル10の周りで回転するため、それにより出力トルク方向ベクトル12がジンバル軸方向ベクトル10の周りで回転する。このようにして、出力トルク13が拘束される平面14は、ジンバル軸2とジンバル軸5の回転により変化する。
かくして、2台のCMGを用いて出力されるトルク13はジンバル軸の回転角度に応じた平面14に拘束されるが、ジンバル軸の回転により平面14が変化することを利用することで、適当な長さの時間において人工衛星を任意の姿勢に制御することができる。
一般に、CMGの出力トルクはリアクションホイール(RW)に比して大きいので、CMG1とCMG4の大きな出力トルクを利用することで、より高速に姿勢変更を行うことが可能となる。
この実施の形態1によれば、ロータ軸の周囲を回転するロータ部と、上記ロータ軸に概ね直交するジンバル軸の周囲に上記ロータ部を回転させるジンバル部とを有した複数台のコントロールモーメントジャイロ(CMG)と、上記コントロールモーメントジャイロのロータ部およびジンバル部の回転を制御するコントローラとを備えて、2つの上記コントロールモーメントにおけるジンバル軸の方向が相互に異なるように配置して、人工衛星用姿勢制御装置100を構成することを特徴とする。
これにより、最小数で2台のCMGを用いて人工衛星の姿勢制御を行うことができるため、人工衛星の小型化・軽量化を図ることができる。なお、冗長性を考慮してCMGを更に多く設置し、3台以上のCMGを用いても良いことは言うまでもない。
次に、CMGを用いた実施の形態1による、人工衛星の姿勢制御方法について説明する。
図3は、1台のCMGのジンバル軸における回転角度の軌跡を示すものであり、その時間履歴を示している。
はじめに、コントローラ50は、CMGにおけるジンバル軸の回転角度の初期値15と最終値16を定めてその間を複数の区間に分割し、初期値15と最終値16を除く各区間の端点における回転角度17、18をパラメータとして設定する。図3では3区間に分割した場合を示している。
次に、コントローラ50は、各区間での回転角度の時間履歴19、20、21をそれぞれ時間関数(例えば、時間を変数とする多項式)で表現し、時間関数を定めるパラメータ(例えば、多項式の係数)を設定する。ここで、時間関数の変数は時間に限らず、時間と実質的に等価な変数(例えば、時間をある数値で割った変数)であっても良い。
各区間の時間関数は、区間端点において設定された回転角度15、16、17、18を満足する関数である。
このようにして、使用する全てのCMGのジンバル軸に対してパラメータを設定し、それにより定まる回転角度の時間履歴に沿って、コントローラ50がCMGの各モータを駆動し、各ジンバル軸を回転動作させると、人工衛星の姿勢はそれと力学的に整合した時間履歴に沿って運動する。
従って、姿勢の最終値が目標値と同一か微小な差で目標値に一致するようにパラメータを定めることにより、姿勢を目標値に収束させるように制御することができる。パラメータを定める方法としては、例えば、非線形計画法があるが、ここではその詳細な説明は割愛する。
なお、このようにして定められたジンバル軸の回転角度の時間履歴に沿って各CMGを動作させると、人工衛星の姿勢に誤差が発生する場合があるが、その誤差に基づいてジンバル軸の回転角度を補正したり、パラメータを設定し直したりすることにより、人工衛星の姿勢が目標値に一致するように制御することができる。
一例として、図4に、実施の形態1による2台のCMG(CMG−A23、CMG−B24)を用いた人工衛星の姿勢制御の数値計算結果を示す。
図4の上段は人工衛星の姿勢(ZYXオイラー角)の時間履歴を示し、下段は各CMGにおけるジンバル軸の回転角度の時間履歴を示している。
図5はこの数値計算で用いた数値計算モデルを示している。慣性モーメントが500kgmである人工衛星22に、ロータの角運動量が10NmsであるCMG−A23とCMG−B24を搭載し、姿勢を人工衛星22に固定された座標系の+X軸25まわりに10°回転させた姿勢を目標値として制御する。
CMG−A23はジンバル軸の方向が+X軸25方向に一致し、ロータの角運動量ベクトル28の方向が+Z軸27方向に一致する状態が初期状態(ジンバル軸の回転角度が0°の状態)である。
CMG−B24はジンバル軸の方向が+Y軸26方向に一致し、ロータの角運動量ベクトル29の方向が人工衛星の+Z軸27の逆方向となる状態が初期状態(ジンバル軸の回転角度が0°の状態)である。
図4から分かるように、人工衛星22の姿勢が、制御開始から約12秒後に目標姿勢に到達している。
このように、2台のみのCMGを用いて人工衛星の姿勢制御を行う場合であっても、ごく短時間で、所望の姿勢に制御することが可能となる。
なお、この姿勢制御方法は、CMGが2台の場合に限らず、CMGを3台以上搭載して冗長構成とした人工衛星の、姿勢制御に適用することができることは言うまでもない。
実施の形態2.
以下、図を用いてこの発明に係る実施の形態2について説明する。
図6は実施の形態2による人工衛星用姿勢制御装置の構成を示している。この実施の形態では、ジンバル軸の方向が相互に異なる2台のCMG1とCMG4に加えて、回転軸の方向が相互に異なる3台以上のRW30を搭載する。
この実施の形態によれば、RW30を用いることにより任意の方向のトルクを出力できることに加えて、CMG1とCMG4の大きな出力トルクを利用して、高速に姿勢変更を行うことができる。
図7は実施の形態2による出力トルクの分配方法の一例を示している。
姿勢制御のための3軸の出力トルク32を、RWの出力トルク34と各CMGの出力トルク35、36とに分配し、それに基づいてRWとCMGをそれぞれ制御する。出力トルク33は、出力トルク32を2台のCMGの出力トルクが拘束される平面31に射影したものである。出力トルク34は、出力トルク32から出力トルク33を差し引いたもので、RWを用いて出力する。トルク35、36は、出力トルク33を各CMGの出力トルクの方向に分解したもので、それぞれのCMGを用いて出力する。
このように、少なくとも2台のCMGに加えて、RWを用いることで、より微調整の利いた木目細かい姿勢制御を行うことができる。
この発明の実施の形態1による人工衛星用姿勢制御装置の構成を説明するための図である。 この発明の実施の形態1による人工衛星用姿勢制御装置の出力トルクと各軸の幾何学的関係を説明するための図である。 この発明の実施の形態1による人工衛星用姿勢制御装置を用いたジンバル軸の回転角の軌跡を説明するための図である。 この発明の実施の形態1による人工衛星用姿勢制御装置を用いた制御計算結果を説明するための図である。 図4の制御計算における数値計算モデルを説明するための図である。 この発明の実施の形態2による人工衛星用姿勢制御装置の構成を説明するための図である。 この発明の実施の形態2による出力トルクの分配方法の一例を説明するための図である。
符号の説明
1 CMG、2 ジンバル軸、3 ロータ軸、4 CMG、5 ジンバル軸、6 ロータ軸、7 ジンバル軸方向ベクトル、8 ロータ軸方向ベクトル、9 出力トルク方向ベクトル、10 ジンバル軸方向ベクトル、11 ロータ軸方向ベクトル、12 出力トルク方向ベクトル、13 出力トルク、14 平面、15 初期値、16 最終値、17 区間端点の回転角、18 区間端点の回転角、19 第1区間、20 第2区間、21 第3区間、22 人工衛星、23 CMG−A、24 CMG−B、25 +X軸、26 +Y軸、27 +Z軸、28 角運動量ベクトル、29 角運動量ベクトル、30 RW、31 平面、32 出力トルク、33 出力トルク、34 出力トルク、35 出力トルク、36 出力トルク、50 コントローラ、51、52 固定部、61、62 ジンバル部、71、72 ロータ、100 人工衛星用姿勢制御装置。

Claims (3)

  1. ロータ軸の周囲を回転するロータと、上記ロータ軸に直交するジンバル軸の周囲に上記ロータを回転させるジンバルとを有した複数台のコントロールモーメントジャイロと、
    上記コントロールモーメントジャイロの上記ジンバルの回転を制御するコントローラと、を備え、
    少なくとも2つの上記コントロールモーメントは、上記ジンバル軸の方向が相互に異なることを特徴とした人工衛星用姿勢制御装置。
  2. 回転軸の方向が相互に異なる複数台のリアクションホイールを更に備えたことを特徴とする請求項1記載の人工衛星用姿勢制御装置。
  3. ロータ軸の周囲を回転するロータと、上記ロータ軸に直交するジンバル軸の周囲に上記ロータを回転させるジンバルとを有し、上記ジンバル軸の方向が相互に異なる少なくともの2つのコントロールモーメントジャイロを用いて、人工衛星の姿勢を制御する人工衛星用姿勢制御方法であって、
    上記コントロールモーメントジャイロにおけるジンバル軸の回転角度の初期値と最終値の間を複数の区間に分割し、初期値と最終値を除く各区間の端点における回転角度をパラメータとして、人工衛星の最終姿勢および姿勢角速度の条件を満足するようにパラメータ値を決定し、決定したパラメータ値に基づいて各区間の回転角度をそれぞれ時間関数で表現することにより、回転角度の時間軌跡を設定することを特徴とした人工衛星用姿勢制御方法。
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