JP2004089683A - 調理機器の過熱防止装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱板、或いは鍋などの調理機器の過熱防止装置に関する。
【解決手段】熱板或いは汁受け皿を耐熱支持片に載置支持し、熱源の外方を遮熱板で覆うと共にその外方をケーシングで覆って遮熱板とケーシングの保護板とで冷却室を形成し、天板の開口の周縁に係止される天枠より延出された接続部を耐熱支持片の上部外側に、その上端が熱板より隔離され、冷却間隙を介在させて接合し、熱板或いは汁受け皿の周縁と天枠との間に形成された通気間隙と冷却間隙を連通させた。
【効果】熱板或いは鍋、汁受け皿等の熱がその支持接触部分にて熱伝導することが抑制され、熱板や鍋、汁受け皿等からの熱放射で加熱される遮熱板を通気孔からの冷気で冷却でき、通気間隙で熱板からの熱伝導を断つと共に、通気間隙に冷気が流通することにより天枠も冷却できて天板の周縁の過熱が防止でき、長時間の連続加熱にも安全に使用できる。
【選択図】図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄板焼き、グリドル等に使用する鉄板や石板等の調理熱板及び鍋等の被加熱体を加熱するための調理機器の過熱防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からグリドルや鉄板焼きの鉄板や石板をテーブルの中央に刳り抜いた開口に据付け、周縁を食事スペースに使用するようにした形式のものが多用されている。しかしながら従来は天板開口に係止された天枠に鉄板や石板を直接載置するようにしていた。また、五徳に鍋等の被加熱体を載せて加熱する場合は、五徳を載せる汁受け皿の周縁を天枠または天板開口に直接または間接的に係止するようにしていたから、天板が可燃性の場合は、被加熱体が過熱されると防火上の問題があった。
【0003】一般に鉄板は厚いものほど遠赤外線が多量に放射されお好み焼きや焼肉が芯まで美味しく焼けるとされ、中心部は280℃程度になり、周辺部も200℃程度になる。そして一般に安全に使用するためには、可燃物であるテーブルが過熱されないことが求められるが、強制排気を併用しなければそれを達成することができないのが現状であって、装置全体が大型化し、高価にならざるを得ない欠点があった。
また、高温調理のためや、短時間で分厚い熱板を調理可能な高温に昇温させるために中心部が更に高温に達する高カロリーバーナーが採用されると、尚更テーブルの温度は下げにくくなるのが実情であった。これはまた、鍋料理に用いる場合も同様の傾向があった。
【0004】また、これらの調理機器をテーブルなどにセットする時は、先ずテーブルの開口に天枠を係止させたケーシングを取りつけ、そのケーシングにガスバーナーなどの熱源をセットし、そして鉄板を被せることにより調製されるが、それぞれが規格もバラバラな別体で販売されているため、天板に組み込むに際しては、それぞれを購入したり作成したりして調達しなければならない上に、可燃物であるテーブルの耐火対策や断熱処理が必要となるが、従来は十分な防火対策が行えない欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の状況に鑑みて完成されたもので、主として解決しようとするところは、強制排気を行うことなく簡単に過熱を防止して、防火上も安全な調理機器の過熱防止装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の主たる特徴は、熱源1にて加熱される熱板2、または五徳80を保持する汁受け皿81を耐熱支持片3に載置支持し、熱源1の外方を遮熱板4で覆うと共にその外方をケーシング16で覆って遮熱板4とケーシング16の保護板9とで冷却室22を形成し、天板5の開口の周縁6に係止される天枠7より延出された接続部7aを耐熱支持片3の上部外側に、その上端が熱板2または汁受け皿81より隔離され、かつ冷却間隙10を介在させて接合し、熱板2または汁受け皿81の周縁と天枠7との間に形成された通気間隙8と冷却間隙10を連通させたことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を添付図面に基づき詳細に説明する。図1はテーブルタイプの装置全体を示すが、勿論座敷用にも適用できる。テーブルの天板5の中央の開口の周縁6に天枠7を介して鉄板や石板等の熱板2を設置し、その下方に配置された熱源1で熱板2を加熱してお好み焼きや鉄板焼き、焼肉その他の調理に使用するものである。熱板2を用いない場合は、耐熱支持片3に支持された汁受け皿81に五徳80を載置し、その五徳80に土鍋などの任意の調理用被加熱体82を加熱調理するタイプのものとすることが出来る。勿論、熱板を取り外して、使用切り替えが出来るようにしても構わない。熱源1はガス、炭火、電子加熱等任意に選定できる。
【0008】図2は熱板2を外してその下方の構造の概略を示し、熱板2の下方に図示例ではガズバーナが熱源1として配置される。熱板2の長辺方向の下面は両端縁よりやや内方の部分が、鉄板のような金属、好ましくは陶板やスレート等の不燃材で形成された耐熱支持片3、3の上端に載置される。
【0009】熱源1は図3のように、熱板2下方の箱状のケーシング16内に収納される。このケーシング16は底板17とその両側に連出した保護板9を有し、熱板2の長手方向と平行な保護板9は下方ほどは互いに間隔が狭くなるように傾斜しており、その上端部9aは天枠7より延出される接続部7aと冷却間隙10を介して重ね、そして耐熱支持片3の外側上端部に接合される。上端部9aと耐熱支持片3との間にも同様の冷却間隙10aを介在させることができる(図13参照)。31、31aはそのスペーサである。
【0010】この時その接続部7aと上端部9aはいずれも耐熱支持片3の上端よりやや低く設定されていて、上端はいずれも熱板2に接触しないようになっている。底板17及び保護板9には必要に応じて通気孔18が施される。通気孔18は隣接部材との角部(例えば保護板9の天板部9bとそれに下折れして連続する垂下部との角部)において、隣接する二面に亘って施しておくと、隣接部材との接続の一部がこの通気孔18を介して行われ、その分熱伝導が低減され、且つ冷気流通により熱遮断が向上する。
【0011】底板17上には通気孔20を有する載置台19が設置され、この載置台19上に取付け金具21にて熱源1が設置される。載置台19の脚部は下記の遮熱板4の下端折り返しと重ならないように離しておくと、熱源1からの熱の伝導が分散して、局部集中を防ぐことができる。
【0012】保護板9の内側は更にこれと同様に下方ほどは互いに間隔が狭くなるように傾斜した遮熱板4が装着され、遮熱板4と保護板9とにより囲まれる空間を冷却室22としている。この遮熱板4の下部はケーシング16の底板17と接合一体化されており、上端部4aは必要に応じて冷却間隙11を介して耐熱支持片3と接続される。上端部4aは耐熱支持片3より低くして、直接熱板2に接触しないようにするのが好ましい。
【0013】尚、耐熱支持片3がスレート材等、脆弱な素材の場合は、金属製のカバー25でその内面と上面を覆うようにできる。こうするとネジ締め時の素材の崩れが防止でき、また熱板2を載置する際の衝撃にも耐えられるようになる。
【0014】天板5にはこれらの装置が投入される開口が設けられていて、その周縁6に天枠7が係止される。図示例では天枠7の内方部に放熱溝24が連設され、この放熱溝24の内側溝壁が接続部7aとなり、冷却間隙10を介して耐熱支持片3の外側上端部に連結される。放熱溝24の外側溝部を構成する係止部7bには通気孔26が施され、係止部7bの上部内面には凸部27が施される。
【0015】天枠7と熱板2の周縁との間にはこの凸部27がスペーサとなって通気空間8が形成され、天枠7と周縁6との間にも必要に応じて冷却空間28が形成される。また放熱溝24の下部と保護板9の天板部9bとの間は通気間隙23により隔離される。この通気間隙23及び冷却空間28を確保するために略L型のスペーサ30が装着される。
【0016】このスペーサ30の立上り片30aは図10のように略く字型をしていて、天板5の開口縁に冷却空間28を確保して位置決めすると共に、弾接して寸法誤差を吸収できるようになっている。また冷却間隙10、11を形成するに当たっては、接続素材間にスペーサ31、32を介在させてボルト・ナットやタッピングネジで連結される。
【0017】ここで、通気間隙23を設けず、放熱溝24の低部に天板部9bを密着させた場合は、冷却間隙10を確保できないので、この時は図14のように上端部9aと耐熱支持片3との間に冷却間隙10aを確保し、冷却間隙10aを介して冷却室22と通気間隙8を連通させればよい。またいずれの場合も天枠7と周縁6との間には耐熱ゴム等の耐熱シール材59を全周に亘り介在させて天枠7への熱伝導の向上を図ることができる。
【0018】図4は熱板2の短辺側の一方、前端板33側の概略を示すもので、熱源1がガスの場合、そのコントロールユニット34が熱源1の下方で、ケーシング16の一方の下方端部の収納される。35は操作摘み、36はガス接続管、37はコントロールユニット34のハウジングで、通気孔38が施され、必要に応じて凸部などで底板17より浮かせて設置する。
【0019】この前端板33は上端部33bが天枠7の下端部と接合される。そしてその接合部分も二重構造とされる。図示例では、別途水平片39aの両側にそれぞれ上向傾斜片39bと下向傾斜片39cを有する放熱ガイド板39を採用し、その水平片39aを、上記前端板33の操作摘み35上方の水平部33aと接合される。水平部33aより立ち上がった上端部33bは天枠7に接合され、上向傾斜片39bと水平部33a、上端部33b及び天枠7とで袋状の冷却空間40が構成される。冷却空間40は放熱ガイド板39の熱源1寄りのスペース(熱排気の流通路)から隔離される。
【0020】この冷却空間40は、下部の水平部33aに施された冷却孔41、上部の上向傾斜片39bの上端と縁天枠7との間隙44とが空気の出入り口となって矢印のような空気流を形成して、天枠7を空冷するものである。
【0021】またこの熱板2の前端と天枠7との間隙44の上方は冷却カバー42で覆われる。冷却カバー42には多数のスリット43が施され、熱板2及び熱源1からの放射熱を、下向傾斜片39c、上向傾斜片39bの傾斜で上昇案内させて矢印のような空気流を形成してスリット43より放出するものである。
【0022】図5は熱板2の短辺側の他方、後端板48側の概略を示すもので、ケーシング16には熱板2の後端の切欠45に対応してその下方にダストボックス46が出し入れ自在に収納される。47は後端板48の下部に施される開閉蓋、49は蝶番である。後端板48には必要に応じて通気孔50が施される。ダストボックス46には上方の切欠45から落下した調理ゴミが溜まるので、適宜開閉蓋47を開いてケーシング16から出してゴミを捨てることができる。ダストボックス46は油かすなどが落下収納されて熱くなるので、底板17の凸部により浮かせて保持させておくと、底板17への熱伝導が低減する。
【0023】この後端板48の上端部は天枠7の下端部と接合され、その接合部分近傍では、熱板2の後端と天枠7との間に両端が耐熱支持片3に支持されて冷却カバー51が覆設される。冷却カバー51には多数のスリット52が施される。また耐熱支持片3の後端には略垂直な遮熱カバー53が装着され、熱板2及び熱源1からの放射熱を遮蔽し案内させて図12の矢印のような空気流を形成してスリット52より放出すると共に、遮熱カバー53と天枠7との間の間隙29には通気孔50から吸気された冷気が流入して、冷却作用を行うものである。
【0024】図6は冷却カバー42、51の一例を示すもので、その幅は、前後で別途に設定しても良いし、同一にしても良い。また、その両端に仕切板60、70を施しておくと、耐熱支持片3の内方で熱板2下面の排気部14aより流出した熱排気は放熱ガイド板39又は遮熱カバー53上端で仕切られて矢印A1から矢印A2へと排気される。放熱溝24を流れる冷気は矢印B1、B2と流れ、これらは仕切板60又は70により隔離され、熱気はスムーズに排気されて、冷気の流れに漏れ出てその冷却作用を損なうことがない。
【0025】熱板2の下面には、図7のように遮熱板14が施される。これは熱板2下面中央調理部分に対応して熱溜まりを形成して、熱効率を上昇させると共に、熱気の周辺への急激な拡散を防止するものである。また、遮熱板14の短辺側を低くして排気部14aとし、長辺側の方が短辺側よりも深くなっているのは、排気部14aよりの排気をスムーズに行わせ、併せて熱溜まりの熱の長辺側(食事客が座る側)への流出を減少させるためである。
【0026】図8は天板5の周縁6に係止する天枠7と、耐熱支持片3への接合部分とを任意の部分で分離したもので、図示例では天枠7の係止部7bに係止爪54を設け、放熱溝24の外側片55のフック部56を係止爪54に係止させる。この時、係止爪54とフック部56との間にシリコンゴム等の耐熱シール材15を介在させる。この外側片55にも必要に応じて適宜通気孔57を施すことができる。
【0027】図9は熱板2を石板等の熱で歪みを生じやすい素材で構成した場合に適するもので、耐熱支持片3の上端両側の内、少なくとも一方の冷却間隙10に、好ましくは他方の冷却間隙11の上部にも、伸縮自在な断熱シール材12、13を装着し、その上端を熱板2下面に密着させてある。断熱シール材12、13としては、耐熱性、断熱性に優れたゴム状の弾性を有する筒状又は棒状の素材が用いられる。クロスやコードで補強されたものが好ましい。
【0028】これにより熱板2が熱歪みで変形し部分的に耐熱支持片3より浮き上がっても断熱シール材12、13がその変形に追従し密着するため、気密性を維持できる。この場合、冷却間隙10、11の上端が閉塞されるので、必要に応じて接続部7a、上端部4aの適所にバイパス10b、11bを施して空気の流通を確保する。
【0029】また、上記機構は、ケーシング16の周縁に天枠7を接合し、ケーシング16内に熱源1を装着してユニット化しておくと、天板5の開口に天枠7を係止させるだけで、天板5への装着が容易になる。
【0030】上記は熱板タイプのものを説明したが、以下、鍋タイプのものを説明する。図15は熱板2に代えて、鍋やヤカン、殊に土鍋やおでん鍋のように被加熱体82を加熱して調理しながら食事に供するのに好適なタイプを示す。図では汁受け皿81が耐熱支持片3に載置支持され、汁受け皿81に載せられた五徳80に被加熱体82の底が保持されて加熱調理に供される。ここで熱源1は汁受け皿81の中央孔から被加熱体82を加熱するものであり、専用のものを選定することが出来る。しかし熱板2の加熱と共用する場合は、切替機構を介して熱板2の加熱は全面を、それ以外の被加熱体82の場合は中央部だけ加熱できるようにすればよい。尚、被加熱体82の底周辺が天枠7や周縁6に近接しすぎる時は、五徳80の高さが十分高いものを用い、被加熱体82の熱が天板5に及ばないようにする。
【0031】図16は上面から見た状態を示すもので、操作摘み35を上面に配置すると操作し易くなる。また、非使用時は、図17のように冷却カバー51及び操作摘み35も併せて熱源1、汁受け皿81と共にその上方を天蓋83で覆い、テーブルの天板全面を使用することが出来る。
【0032】図18は熱板2の改良された例を示し、熱板2の上面周縁の立上り縁2aの一部を中空状に形成してある。図の立上り縁2aは、少なくとも耐熱支持片3と平行な長辺素材を中空としてある。立上り縁2aには適所に通気孔を施してもよい。立上り縁2aの長辺を中空としたのは、短辺側は、冷却カバー51のスリットからの空気の流通で効率よく冷却されるが、長辺側は、冷却空気の移動が短辺側よりも少ないので、中空とすることにより、パイプ内の空気の流通により冷却を促進させるためである。勿論短辺もパイプ材で形成しても良い。
【0033】尚、熱板2裏面の遮滅板14は、熱気の漏れの防止以外に、熱歪による熱板2の変形を防止するリブ効果を有する。また、図18のように切欠45の直下に排気部14aを構成する立下り14bが垂下されていると、直下のダストボックス46に焼きくずを落とし込む際、焼きくずに含まれる油分が熱板2裏面の中央部に回り込むことが防止でき、油分が燃えることによる火災の発生が抑えられて防火性の向上を図ることが出来る。
【0034】また図19のように適宜間隔の冷却空間28に上方より整流板7cを延設することが出来る。図19では、天枠7上片とそれに連なる垂下部分に整流板7cの上部が接合され、冷却空間28の半ばから図でその空間を左右に分けるように垂下する。その間隔は任意に設定できるが、3:7から7:3くらいの範囲が好ましい。その下端は、少なくとも近接する保護板9の最上部の通気孔18の近傍付近に達するように、好ましく更にその下方まで延設されて、その最上部の通気孔18を充分にカバーするだけ下まで延設される。
【0035】更に、図19において、遮蔽板4と底板17の接合が改良された例が示され、遮蔽板4の下端部が一旦略水平に曲げられ、その先端が更に下方に曲げられて垂下片4bが形成されて、垂下片4bがいわば線接触により底板17と接合される。
【0036】尚、本発明に係る装置は、通常、中央部が刳り抜かれたテーブルが別途用意され、それ以外のバーナー、ケーシング及び熱板等を本体セットとして供給して、テーブルにはめ込み設置されるものである。したがって本体セットを搬送する際、天枠7及びそ周辺の整流板7c、板金小物部分が変形すると、現場でテーブルにすっきりと収納設置が出来なかったり、各種機能が充分に発揮できない惧れがある。したがって、これらを防止する図21のような段ボールや発泡素材の適宜クッション84を介在させて梱包85に供するのが望ましい。
【0037】
【発明の作用】本発明は、熱板タイプのものにおいて、熱板2は熱源1により加熱されるもので、例えばガス加熱の場合、中央部を260℃まで上昇させると、周辺部でも200℃前後まで上昇する。この時、熱板2の下方は遮熱板14により、熱溜まりができて、調理する中央部の熱効率がよくなる。この熱板2の下方の熱気は遮熱板4により遮断されるが、この遮熱板4も熱源1の放熱及び熱板2の輻射熱により100℃以上に過熱される。しかしながら、耐熱支持片3と遮熱板4の上端部4aとの間には冷却間隙11が介在するので、熱板2からの熱伝導は少ない。
【0038】また、図10のように、遮熱板4外方の冷却室22へは下方の通気孔18を通して保護板9から外気が吸入されて上方の通気孔18より排出され遮熱板4が冷却される。また、通気間隙23―冷却間隙10―通気間隙8、更に通気孔26−通気間隙8と冷気が流れる。これにより、天板5の周縁6の温度は100℃以下に押さえられる。
【0039】図14の場合は、図10の通気間隙23―冷却間隙10―通気間隙8の代わりに、冷却室22―冷却間隙10a―通気間隙8へと冷気が流れる。これにより、天板5の周縁6の温度は100℃以下に押さえられる。この場合は冷却間隙10aの幅を広くしたり、耐熱シール材59を併用したりすることができる。
【0040】図8のように天枠7と耐熱支持片3との接続部分との間に遮断部分を設け、その遮断部分に耐熱シール材15を介在させておくと、熱板2からの熱輻射及び耐熱支持片3からの熱伝導で外側片55が昇温しても、耐熱シール材15で一旦立ち切られ、天枠7の昇温はより一層低減する。
【0041】図9のように冷却間隙10(11)上端に装着した断熱シール材12(13)は自由に変形するもので、熱板2が歪んで変形してもその上端が常に熱板2下面に密着してシールし、熱板2下面中央の熱気を耐熱支持片3上端より周辺へ漏らすことがない。これも天板5の周縁6の昇温の抑制に寄与する。
【0042】他方、熱板2の短辺側の一方の前端板33の上部は、図11のように熱板2の端部と天枠7との間隙44を放熱ガイド板39で二分し、放熱ガイド板39と熱板2との間は矢印のように熱気の排出通路となり、また放熱ガイド板39と天枠7との間は矢印のように冷却孔41より冷気が吸入されて冷却されるもので、熱排気の天枠7への影響が冷却効果により低減される。
【0043】また後端板48の端部付近の間隙29は、図12のように遮熱カバー53により二分されていて遮熱カバー53と熱板2との間は矢印のように熱気の排出通路となり、また遮熱カバー53と天枠7との間は矢印のように通気孔50より冷気が吸入されて冷却されるもので、熱排気の天枠7への影響が冷却効果により低減される。
【0044】尚、冷却カバー42、51の両端部寄りに、耐熱支持片3の直上に位置する仕切板60、70を垂下しておくと、熱源1側からの熱気が冷却カバー42、51を通じて冷気循環経路に逆流することを防止し、互いに干渉せず、食事客が座る天板5の長辺側への熱気漏れを防止できる。
【0045】また図13のように冷却間隙10aを追加しておくと、冷却室22から冷却間隙10a―通気間隙8の空気の流通が追加されるため、遮熱板4側の冷却間隙11がなくても最終的に天枠7が十分に冷却される。
【0046】また上記のように上方より整流板7cを延設した場合は、冷却室22通過してその上端の通気孔18より出た冷却上昇気流は、そのまま拡散失速せず、大半が図20の矢印のように整流板7cにより煙突効果が生じて上昇気流となり、一部は通気間隙23に流入するが、残りは更に上方の通気孔26に導入されて放熱溝24に入る。即ち、下方より放熱溝24内に空気が強制的に押し込まれ、放熱溝24内の熱気の通気間隙8からの上方への流動並びに図で前後(即ち冷却口42、51から)の流出が活発になって冷却を促進するのである。
【0047】更に、図15に示す鍋やヤカン、殊に土鍋やおでん鍋のように被加熱体82を加熱して調理しながら食事に供するタイプにおいても、熱板2に関するものを除き、総て上記と同様に作用する。
【0048】熱板2の上面周縁の立上り縁2aの一部を中空状に形成した場合は、中空部内の空気の流通により冷却を促進する。
【0049】
【発明の効果】本発明にあっては上述のように、熱源1にて加熱される熱板2を耐熱支持片3に載置支持したから、第1に加熱された熱板2の熱伝導を耐熱支持片3で低減させることができ、熱源1の外方を遮熱板4で覆うと共にその外方をケーシング16で覆って遮熱板4とケーシング16の保護板9とで冷却室22を形成したから、第2に熱源1及び熱板2の熱は遮熱板4と冷却室22とで多重に冷却される。
【0050】しかも天板5の開口の周縁6に係止される天枠7より延出された接続部7aを耐熱支持片3の上部外側に、熱板2下面より隔離したから、第3に天枠の接続部と耐熱支持片とを熱的に縁起りでき、かつ相互に冷却間隙10を介在させて接合したから、第4にこの冷却間隙10にて耐熱支持片3からの天枠7への熱伝導も縁切された状態となる。加えて熱板2の周縁と天枠7との間に通気間隙8を形成し、通気空間8を冷却間隙10により連通させたことにより、第5に上記のように熱伝導が縁切りされて昇温が抑えられた天枠7付近の空気を外冷気の循環にて更に冷却して、天板5の周縁6の昇温を十分に抑制できる利点がある。
【0051】また、天枠7又はその延長部分と耐熱支持片3、遮熱板4の構成部材と耐熱支持片3との接合部分に、冷却間隙10を介在させることにより、耐熱支持片3からの直接の熱伝導が更に抑制されて、ケーシング16の過熱が更に低減される。
【0052】天枠7と耐熱支持片3との連結部分の中間適所に遮断された部分を設け、その遮断部分に耐熱シール材15を介在させた場合には、耐熱支持片3から連結部分に漏れて伝導した熱が連結部分の遮断部分でカットされ、また耐熱シール材15をその遮断部分に充填させておくことにより、遮断部分の密封性を保ち、異物の混入を防止すると共にがたつきも防止できる。この構造は単独で十分に過熱防止の機能をすることができる。
【0053】更に、冷却間隙10の上端部に上下に伸縮自在な断熱シール材12を装着すると共にこの断熱シール材12の上端部を熱板の下面に弾着させておくと、石材のように表面に凹凸が多くて耐熱支持片3と密着性が悪い上に、熱歪みで変形しやすい熱板2を採用した場合でも、常に耐熱支持片3上端との気密性が確保され、耐熱支持片3上端との間から最も高温に属する熱気が噴出することを防止し、これにより天板5の周縁6の過熱を更に低減させることができると共に燃焼排気路の確保により熱源1の燃焼効率及び熱板2の加熱効率も向上する。
【0054】また、熱板2の下面に、耐熱支持片3よりも内方に位置する遮熱板4を設けた場合には、熱板2中央部の最も高温に達した熱気をプールさせ、一気に周辺に拡散して周辺を過熱させることを防止すると共に、熱板2の加熱効率を上昇させ、熱効率の向上、省エネルギー化を図ることができる。また、たとえその外方の耐熱支持片3の熱板2との接触部分に隙間が生じても内方に排気路が確保されるために生じたその隙間からの熱排気の噴出が防止できる。
【0055】更に、遮熱板4の外側を、下方ほど内側に近づく傾きを有すると共に通気孔18を有する保護板9で覆っておくと、垂直な側板で囲まれるものに比して、天板5の長辺側に座った客の膝辺りにゆとりができ、また熱気に依る嫌悪感も低減できて快適に使用できるものである。
【0056】また、熱源1が装着された遮熱板4の上部周辺に天枠7を接合してユニットとしておけば、天板5に開口を有するテーブルなどを用意し、これにユニットの天枠7を係止させて装着するだけで、テーブルなどへの取付け、ハウジングの設定、熱源1の設定及び断熱・耐火まで一括して調調製できるものであり、従来のような現場での煩雑な諸調整が一切不用となり利便性が向上する利点がある。
【0057】更に熱板2の周縁に中空状の立上り縁2aを設けておけば、立上り縁2aが遮熱効果を発揮して、熱板2高熱が天枠7、天板5の周縁6への熱拡散が抑制される。この中空の立上り縁2aにより熱板2の中心温度が400℃程度であれば、概ね10℃程度温度を下げることが出来る。
【0058】また、冷却空間28の下部にその下端が、少なくとも保護板9の最上部に位置する通気孔18近傍まで延びた整流板7cを設けておくと、冷却室22の上端の通気孔18を抜けた空気が通気孔26を経て通気間隙8に流通することになり、この通気間隙8から上方及び前後への空気の流動により天枠7を冷却することが出来る。
【0059】即ち、整流板7cがない場合は、冷却室22を抜けた熱気はそのまま失速、拡散してしまい、通気間隙8の流通には関与しなかったが、整流板7cを設けたことにより、冷却室22を抜けた熱気が上昇気流となって放熱溝24に押し込まれ、通気間隙8の空気の上昇並びに前後へ流動する動きを促進し、その空気の流動により天枠7の冷却を促進することになるのである。この整流板7cにより熱板2の中心温度が400℃程度であれば、概ね15℃程度温度を下げることが出来る。
【0060】したがって、立上り縁2aと整流板7cを併せて採用すると、熱板2の中心部が400℃に達するハイカロリーバーナーを使用する場合でも、可燃物である天板5の周縁6の昇温を充分に100℃未満に抑制できて、火力の大きな熱源で自在に且つ迅速に調理が出来る上に、防火上の安全性を確保することが出来る。そして、熱板2に代えて汁受け皿82を耐熱支持片3に載置し、五徳80に保持された鍋などの被加熱体82を過熱する場合に、たとえ被加熱体82が空焚き状態になっても、熱板2の場合と同様に、被加熱体82から天枠7へ伝道した熱は、空気の流動により放散され、可燃物の過熱が防止されて、安全性が確保される。
【0061】また、遮熱板4の下端に垂直片4bを設け、垂直片4bの下端を底板17に接合しておくと、遮熱板4から底板17への熱伝導が面から線接触となり、底板17の帯状の高熱部位の発生を無くすことが出来、これにより、底板17の熱板2からの深さ寸法を、例えば175ミリから150ミリ程度に抑えることが出来るものであって、脚の長い現代人の体型にマッチした調理熱板を提供できるものである。
【0062】そして上記の諸効果は、熱板2自体に関するものを除き、鍋等の加熱タイプにおいても同様にそうするもので、高温での長時間加熱、或いは万が一空焚き状態になり被加熱体82が過熱状態になっても、可燃物であるテーブルへの熱伝導を抑制して過熱を防止し、安全性を確保することが出来る。
【0063】以下に、財団法人日本ガス機器検査協会で実施された温度上昇試験記録書(表1)を提示する。
【表1】
Figure 2004089683

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の斜視図。
【図2】同上の熱板を外した平面図。
【図3】第2図のA―A断面図。
【図4】第2図のB−B断面図。
【図5】第2図のC−C断面図。
【図6】同上の冷却カバーの斜視図。
【図7】同上の熱板の下面側の斜視図。
【図8】本発明の他の実施例の第2図のA―A断面図。
【図9】本発明の更に他の実施例の第2図のA―A断面図。
【図10】第3図の要部拡大図。
【図11】第4図の要部拡大図。
【図12】第5図の要部拡大図。
【図13】第3図の要部の他の実施例の拡大図。
【図14】第3図の要部の更に他の実施例の拡大図。
【図15】本発明の鍋等の被加熱体加熱タイプの実施例の要部断面図。
【図16】同上の平面図。
【図17】同上の一部省略した縦断面図。
【図18】本発明の立上り縁の改良例の要部斜視図。
【図19】本発明の整流板を設けた実施例の要部断面図。
【図20】同上の作用説明図。
【図21】本発明装置の梱包状態の一例の要部断面図。
【符号の説明】
1 熱源
2 熱板
2a 立上り縁
3 耐熱支持片
4 遮熱板
4a 上端部
4b 垂直片
5 天板
6 周縁
7 天枠
7a 接続部
7b 係止部
7c 整流板
8 通気間隙
9 保護板
9a 上端部
9b 天板部
10 冷却間隙
10a 冷却間隙
11 冷却間隙
12 断熱シール材
13 断熱シール材
14 遮熱板
14a 排気部
15 耐熱シール材
16 ケーシング
17 底板
18 通気孔
22 冷却室
23 通気間隙
28 冷却空間
80 五徳
81 汁受け皿
82 被加熱体

Claims (8)

  1. 熱源1にて加熱される熱板2を耐熱支持片3に載置支持し、熱源1の外方を遮熱板4で覆うと共にその外方をケーシング16で覆って遮熱板4とケーシング16の保護板9とで冷却室22を形成し、天板5の開口の周縁6に係止される天枠7より延出された接続部7aを耐熱支持片3の上部外側に、その上端が熱板2より隔離され、かつ冷却間隙10を介在させて接合し、熱板2の周縁と天枠7との間に形成された通気間隙8と冷却間隙10を連通させたことを特徴とする調理機器の過熱防止装置。
  2. 五徳80を保持する汁受け皿81を耐熱支持片3に載置支持し、熱源1の外方を遮熱板4で覆うと共にその外方をケーシング16で覆って遮熱板4とケーシング16の保護板9とで冷却室22を形成し、天板5の開口の周縁6に係止される天枠7より延出された接続部7aを耐熱支持片3の上部外側に、その上端が汁受け皿81より隔離され、かつ冷却間隙10を介在させて接合し、汁受け皿81の周縁と天枠7との間に形成された通気間隙8と冷却間隙10を連通させたことを特徴とする調理機器の過熱防止装置。
  3. 天枠7の天板5への係止部7bと耐熱支持片3への接続部7aとを隔離遮断し、その遮断部分に耐熱シール材15を充填したことを特徴とする請求項1または2に記載の調理機器の過熱防止装置。
  4. 熱板2の下面に、耐熱支持片3よりも内方に位置する遮熱板14を垂設したことを特徴とする請求項1または3に記載の調理機器の過熱防止装置。
  5. 冷却間隙10の上端部に上下に伸縮自在な断熱シール材12を装着し、この断熱シール材12の上端部を熱板2または汁受け皿81の下面に弾着させたことを特徴とする請求項1乃至4に記載の調理機器の過熱防止装置。
  6. 熱板2の周縁に設けられた立上り縁2aのうち、少なくとも耐熱支持片3と平行な部位を中空として成ることを特徴とする請求項1、3乃至5に記載の調理機器の過熱防止装置。
  7. 天板5の開口の周縁6と天枠7との間に冷却空間28を形成し、その冷却空間28の下部にその下端が、少なくとも保護板9の最上部に位置する通気孔18近傍まで延びた整流板7cを設けて成ることを特徴とする請求項1乃至6に記載の調理機器の過熱防止装置。
  8. 遮熱板4の下端に垂直片4bを設け、垂直片4bの下端をケーシング16の底板17に接合して成ることを特徴とする請求項1乃至7に記載の調理機器の過熱防止装置。
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