JP2004087945A - 多層プリント基板およびその接続方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部回路等に接続に関し、基板の厚み方向の薄型化が図れるとともに、高周波信号の入出力が可能な安価な接続構造を備えた多層プリント基板およびその接続方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる絶縁基材23を介して複数の導体パターン22を積層するとともに、基板領域内にその導体パターン22を積層する層数が異なる構造を有し、その絶縁基材23に、同一の熱可塑性樹脂を用いるとともに、その構造は、マザーボード部MBと、そのマザーボード部MBから延出され、外部回路200に高周波信号を伝送可能な伝送線路TLを備えている。なお、伝送線路TLは、同一基板によって形成されたマザーボード部MBから延出するマイクロストリップ線路あるいはストリップ線路である。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層プリント基板およびその接続方法に関し、特に多層プリント基板と外部回路との高周波伝送線路の接続構造およびその接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の薄型化や小型軽量化に伴い、電子回路部品等を高密度に実装する技術が要望されている。特に通信機器では、その電子回路部品で扱う信号は、デジタル信号から高周波信号までに及ぶ。この種の通信機器では、高周波信号における外部機器との接続あるいは回路基板間の接続に関して、損失のない接続および伝送をするために、同軸構造を備えた専用のコネクタおよび同軸ケーブルが用いられている。同軸ケーブル911は、中心導体を円筒状の絶縁体により埋設されるとともに、その絶縁体の外周面をアース導体で覆われている。同軸コネクタ921は、この同軸ケーブル911の端末部912と嵌合等により結合する構成を有する(図9参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の同軸コネクタを用いた接続構造では、同軸ケーブルを嵌合するだけの部品高さが、同軸コネクタに必要となるので、薄型化を図るには制約となる。
なお、いわゆる低背型の同軸コネクタも近年開発されているが、概して高価である。さらに、これら同軸コネクタと同軸ケーブルとの接続点の固定方法としては、いわゆるスナップオンによるものが主流であり、車両等に搭載する場合、車載用電子機器としての厳しい使用条件での信頼性の確保に適した接続構造であるとはいい難いという問題がある。
【0004】
これに対して、特開平6−326475号公報は、接続に関して基板の厚み方向の寸法を必要としない基板とその接続方法を開示している。この公報開示による従来技術によると、多層プリント基板の側面に、内部の各層の導体パターンの出力点として、突起状接点部を設けることで、外部回路等との接続を、その突起状接点部を介して行なう。この接続方法では、その突起状接続部を通じて多層プリント基板と他の基板等の被接続体とを接続するため、加熱、加圧もしくは加熱圧着による接合を行なうことを必要とし、製造上の余分な設備や作業が生じる。
【0005】
また、その突起状接続部を通じて多層プリント基板から被接続体へ物理的に接続するため、その接続部の信頼性が確保できるような構造を採用する必要がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、外部回路等に接続する多層回路基板であって、その基板の厚み方向の薄型化が図れるとともに、高周波信号の入出力が可能な安価な接続構造を備えた多層プリント基板およびその接続方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1によると、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材を介して複数の導体パターンを積層するとともに、基板領域内にその導体パターンを積層する層数が異なる構造であって、その構造は、マザーボード部と、そのマザーボード部から延出され、外部回路に高周波信号を伝送可能な伝送線路を備えている。
【0008】
これにより、多層プリント基板から、同軸コネクタ等の接続手段を用いることなく、外部回路に接続可能な伝送線路を、同一基板によって形成することが可能である。したがって、多層プリント基板と外部回路等の被接続体との接続手法として、多層プリント基板の厚み方向の薄型化が図れる。
【0009】
本発明の請求項2によると、伝送線路は、少なくとも3層の絶縁基材を積層してなり、その3層に積層された絶縁基材のうち、第1層と第2層の絶縁基材間には、マザーボード部から延出された導体パターンが、所定のインピーダンスを有する配線導体パターンに形成され、第2層と第3層の絶縁基材間には、マザーボード部から延出された導体パターンが、グランドパターンに形成されている。
【0010】
同一基板により形成されるマザーボード部と伝送線路において、伝送線路は、いわゆるマイクロストリップ線路を形成することが可能である。
【0011】
さらに、マイクロストリップ線路を構成する配線導体パターンとグランドパターンを、絶縁基材として同一の熱可塑性樹脂を用いるので、例えば加熱・加圧によって、マザーボード部と同時成形することが可能である。したがって、外部回路に接続する接続構造として、安価に提供することが可能である。
【0012】
本発明の請求項3によると、伝送線路は、少なくとも4層の絶縁基材を積層してなり、その4層に積層された絶縁基材のうち、第2層と第3層の絶縁基材間には、マザーボード部から延出された導体パターンが、所定のインピーダンスを有する配線導体パターンに形成され、第1層と第2層の絶縁基材間および第3層と第4層の絶縁基材間には、それぞれ、マザーボード部から延出された導体パターンが、グランドパターンに形成されている。
【0013】
同一基板により形成されるマザーボード部と伝送線路において、伝送線路は、いわゆるストリップ線路を形成することが可能である。
【0014】
さらに、ストリップ線路を構成する配線導体パターンと、その配線導体パターンを挟み込む両グランドパターンを、絶縁基材として同一の熱可塑性樹脂を用いるので、例えば加熱・加圧によって、マザーボード部と同時成形することが可能である。したがって、外部回路に接続する接続構造として、安価に提供することが可能である。
【0015】
本発明の請求項4によると、グランドパターンのうちいずれか一方には、配線導体パターンが延在する方向に対して、略直交するスロット孔が形成されている。
【0016】
これにより、両グランドパターンに挟み込まれた配線導体パターンは、両グランドパターンのうちいずれか一方に開けられたスロット孔を介して、外部回路と電磁的に結合することが可能である。すなわち、高周波信号の伝送が可能である。
【0017】
本発明の請求項5によると、請求項2に記載の多層プリント基板と外部回路とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、その多層プリント基板の伝送線路のうち、第1層の絶縁基材側を、その外部回路の基板上に形成されたマイクロストリップ線路に接合する。
【0018】
これにより、多層プリント基板と外部回路との間で、高周波信号の入出力の伝送が可能である。
【0019】
本発明の請求項6によると、請求項2に記載の多層プリント基板と、外部回路としての請求項2に記載の多層プリント基板とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、その多層プリント基板の伝送線路のうち、第1層の絶縁基材同士を接合する。
【0020】
これにより、多層プリント基板と外部回路との間で、高周波信号の入出力の伝送が可能である。
【0021】
さらに、同一の絶縁基材を用いることが可能であるので誘電体層の誘電容量を同一に合せ易く、所定のインピーダンスを有する配線導体パターンのずれを無くすことが可能である。したがって、多層プリント基板同士の接続に際し、インピーダンス調整が容易となる。
【0022】
本発明の請求項7によると、請求項4に記載の多層プリント基板と外部回路とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、その多層プリント基板の伝送線路の第1層または第4層の絶縁基材のうち、グランドパターンにスロット孔が形成された層側の絶縁基材側を、その外部回路の基板上に形成されたストリップ線路に重ねて接合する。
【0023】
これにより、多層プリント基板と外部回路との間で、高周波信号の入出力の伝送が可能である。
【0024】
さらに、同一の絶縁基材を用いることが可能であるので誘電体層の誘電容量を同一に合せ易く、所定のインピーダンスを有する配線導体パターンのずれを無くすことが可能である。したがって、多層プリント基板同士の接続に際し、インピーダンス調整が容易となる。
【0025】
本発明の請求項8によると、請求項4に記載の多層プリント基板と、外部回路としての請求項4に記載の多層プリント基板とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、その多層プリント基板の伝送線路の第1層または第4層の絶縁基材のうち、グランドパターンにスロット孔が形成された層側の絶縁基材同士を、両スロット孔を重ねるように接合する。
【0026】
これにより、多層プリント基板と外部回路との間で、高周波信号の入出力の伝送が可能である。
【0027】
さらに、同一の絶縁基材を用いることが可能であるので誘電体層の誘電容量を同一に合せ易く、所定のインピーダンスを有する配線導体パターンのずれを無くすことが可能である。したがって、多層プリント基板同士の接続に際し、インピーダンス調整が容易となる。
【0028】
本発明の請求項9によると、多層プリント基板をそれぞれ加熱・加圧により形成した後、伝送線路同士を加熱・加圧によって接合する。
【0029】
これにより、特別な接続手段を形成するための設備を用いることなく、多層プリント基板同士の高周波信号に係わる接続方法を、安価に提供できる。
【0030】
本発明の請求項10によると、多層プリント基板をそれぞれ加熱・加圧により形成した後、少なくとも伝送線路の線路幅を重ねるように配置し、嵌合固定する。
【0031】
これにより、両伝送線路を、例えばねじ等によるねじ止め、挟持可能なクランプを用いたロック構造等の機械的な固定、いわゆる嵌合固定をするので、多層プリント基板同士の接続、分離が容易となる。
【0032】
本発明の請求項11によると、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材を介して複数の導体パターンを積層するとともに、基板領域内にその導体パターンを積層する層数が異なる構造であって、その構造は、マザーボード部と、そのマザーボード部から延出され、外部回路に高周波信号を伝送可能な伝送線路を備え、伝送線路は、マザーボード部に複数枚積層された導体パターンのうち、少なくとも二つの導体パターンが延出して構成されている。
【0033】
これにより、マザーボード部と伝送線路が、別体ではなく、一体で形成されるとともに、伝送線路は、マザーボード部と導体パターンを積層する層数が異なる構造を有し、少なくともマイクロストリップ線路を構成するための二つの導体パターンを備えていることが可能である。
【0034】
本発明の請求項12によると、伝送線路は、マザーボード部の側面から延出する導体パターンを備えている。
【0035】
伝送線路がマザーボード部の側面から延出するので、伝送線路とマザーボード部によって構成される同一基板の積層方向の厚みを厚くすることなく、外部回路に高周波信号を伝送することが可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の多層プリント基板およびその接続方法を、具体化した実施の形態を図に従って説明する。
【0037】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す構成図であって、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。図2は、本実施形態に係わる多層プリント基板と外部回路との接続方法を示す断面図である。図3は、図2中の接続部をIII方向からみた平面図である。図4は、本実施形態の多層プリント基板に係わる製造方法を製造工程で示す工程別断面図であって、図4(a)から図4(h)は、各製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。図5は、本実施形態の多層プリント基板に係わる製造工程において、切り出し工程後の多層プリント基板の構造を示す断面図である。図6は、本実施形態による多層プリント基板に係わる製造工程において、加熱・加圧工程後のプリント基板の状態を示す平面図である。
【0038】
まず、本発明の多層プリント基板1の構造、特に多層プリント基板の外部回路に接続するための構造について以下説明する。図1(a)に示すように、多層プリント基板1は、ICや半導体素子等の電子部品(図示せず)が実装されるマザーボード部MBと、このマザーボード部MBから外部回路へ電気信号等の入出力信号を伝送する伝送線路TLとを含んで構成されている。このマザーボード部MBと伝送線路TLは、同一基板から一体的に形成されている。なお、多層プリント基板1の製造方法については後述する。
【0039】
マザーボード部MBおよび伝送線路TLは、図1(a)に示すように、熱可塑性樹脂からなる絶縁基材23と、絶縁基材23の表面に配設され、配線金属材料からなる導体パターン22を備えている。なお、少なくとも伝送線路TLが可撓性を有するように、絶縁基材は、樹脂フィルムから形成されていることが望ましい。以下、本実施形態で使用する絶縁基材23を、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムとして説明する。さらに、図1(a)に示すように、マザーボード部MBおよび伝送線路TLは、樹脂フィルム23を介して複数の導体パターン22が積層されている。また、同一基板によって形成されるマザーボード部MBおよび伝送線路TLでは、基板領域内において、図1(a)に示すように、導体パターン22を積層する層数が異なり、伝送線路TLの層数がマザーボード部MBの層数に比べて少ない。結果、図1(a)および図1(b)に示すように、伝送線路TLは、マザーボード部MBの側面から延出している。
【0040】
これにより、多層プリント基板1から、同軸コネクタ等の接続手段を用いることなく、外部回路に接続可能な伝送線路TLを、同一基板によって形成することが可能である(図1(a)参照)。したがって、多層プリント基板1のマザーボード部MBの側面から、外部回路へ接続するための伝送線路TLを延出することが可能であるので、多層プリント基板1と外部回路等の被接続体200(図2参照)との接続方法として、多層プリント基板1の厚み方向の薄型化が図れる。
【0041】
なお、マザーボード部MBの側面から引き出される伝送線路TLとして、マザーボード部MBの一側面から、一つの伝送線路TLが延出する構成であっても、複数の伝送線路TLが延出する構成であってもよい。また、本実施形態では、伝送線路TLが延出されるマザーボード部MBの側面を一つとして説明したが、複数の側面からそれぞれ伝送線路TLを延出する構成であってもよい。
【0042】
なお、積層される導体パターン22間は、必要に応じて、樹脂フィルム23に設けられたビアホール24中の一体化した導電性組成物51によって相互を電気的に接続されていてもよい(図1(a)参照)。
【0043】
次に、伝送線路TLは、図1(a)に示すように、少なくとも3層(図1では、3層)の樹脂フィルム23を積層されている。この3層に積層された樹脂フィルム23のうち、図1(a)に示すように、第1層の樹脂フィルム23(1)と第2層の樹脂フィルム23(2)との間には、マザーボード部MBから延出された導体パターン22(1−2)が、所定の線路幅Wを有する配線導体パターン22sに形成されている。さらに、第2層の樹脂フィルム23(2)と第3層の樹脂フィルム23(3)との間には、同様に、マザーボード部MBから延出された導体パターン22(2−3)が、グランドパターン22gに形成されている。これにより、配線導体パターン22sとグランドパターン22gは、マイクロストリップ線路を構成する。なお、配線導体パターン22sとグランドパターン22g間に配置された第2層の樹脂フィルム23(2)は、伝送損失を抑えるための誘電体層を形成している。なお、この伝送線路TL内に形成されたマイクロストリップ線路は、同一基板から一体的に形成されることで、マザーボード部MB内のマイクロストリップ線路に接続されていることは言うまでもない。
【0044】
したがって、同一基板により形成されるマザーボード部MBと伝送線路TLにおいて、伝送線路TLは、高周波信号の入出力に係わる伝送損失の少ないマイクロストリップ線路を形成することが可能である。さらに、この伝送線路TLは、樹脂フィルム23として同一の熱可塑性樹脂を用いるので、例えば加熱・加圧によってマザーボード部MBと同時成形することが可能であるので、安価な多層プリント基板1、特に外部回路に接続するための接続構造を提供することが可能である。
【0045】
次に、多層プリント基板1と外部回路とを接続する接続方法について以下説明する。なお、外部回路は、少なくとも電気信号の送信、受信を行なう電子機器等の製品、あるいは電子回路等のプリント基板であってもよい。以下、本実施形態では、外部回路を所定の素子が実装されたプリント基板として説明する。
【0046】
図2に示すように、伝送線路TLは、被接続体200である外部回路と、マイクロストリップ線路同士で電磁的に接続する。詳しくは、伝送線路TLすなわちマイクロストリップ線路のうち、配線導体パターン22sを、被接続体200側の配線導体パターン22sと電磁的に接続する。すなわち、配線導体パターン22sの表面を被覆している第1層の樹脂フィルム23(1)を介して被接続体200側の配線導体パターン22sに電磁的に接続する。これにより、伝送線路TLと外部回路の配線導体パターン22s同士が、直接、物理的に接続するのではなく、誘電体層を構成することが可能な樹脂フィルム23(詳しくは、第1層の樹脂フィルム23(1))を介して非接触に接続することが可能である。したがって、物理的な接続構造における接触強度の信頼性や、互いに接触する導体(詳しくは、配線導体パターン22s)表面の酸化による接触抵抗の劣化等の接続機能の阻害要因の発生を防止することが可能である。
【0047】
さらに、本実施形態では、上記電磁的に接続する伝送線路TLと外部回路を固定する方法として、図2に示すように、上部と下部に分離可能な固定用ハウジング301を用いて伝送線路TLと外部回路の接続部を挟み込むとともに、その固定用ハウジング301をねじ302でねじ止めする。なお、この固定方法は、ねじ302等によるねじ止め固定に限らず、伝送線路TLと外部回路の接続部を挟持可能なクランプを用いたロック構造等の機械的な固定、いわゆる嵌合固定であってもよい。
【0048】
さらになお、本実施形態では、ねじ止め、あるいはロックおよび解除が可能なロック構造等の嵌合固定を用いる。これにより、従来技術の同軸コネクタと同軸ケーブルとの接続部を固定するスナップオンによる固定方法に比べて、使用環境条件が厳しい車載用電子機器に適した接続構造を提供することが可能である。
【0049】
さらになお、本実施形態では、外部回路として本発明の多層プリント基板1を用いる。これにより、図示しない方法として、多層プリント基板1をそれぞれ加熱・加圧により形成した後、伝送線路TL同士を加熱・加圧によって接合させることが可能である。その結果、特別な接続手段を形成するための設備を用いることなく、多層プリント基板1同士の高周波信号に係わる接続方法を、安価に提供することが可能である。
【0050】
さらになお、上記外部回路として本発明の多層プリント基板1を用いることで、以下の波及効果がある。すなわち、同一基板によって一体的に形成されるマザーボード部MBおよび伝送線路TLは、同一の樹脂フィルムを用いることが可能であるので、マイクロストリップ線路に係わる誘電体層の誘電容量を同一に合せ易い。その結果、所定のインピーダンスを有する配線導体パターン22s同士のずれを無くすことが可能である。したがって、多層プリント基板1同士の接続に際し、インピーダンスの調整が容易となる。
【0051】
さらになお、本実施形態では、図3に示すように、伝送線路TLのマイクロストリップ線路を構成する配線導体パターン22sの線路幅Wを重ねるように配置する。このとき、伝送線路TLには、位置合せ用の孔TLaが設けられている。
さらに、ハウジング301の伝送線路TLに当接する面には、位置決め用突起部(図示せず)が設けられている。これにより、伝送線路TLの孔TLaを上部および下部のハウジング301のそれぞれの突起部に挿入することで、容易に位置合せすることが可能である。なお、本実施形態では、位置決めのための孔TLaと突起部で説明したが、伝送線路TL、およびハウジング301等の嵌合固定手段に、それぞれ、位置決め可能な係止部が設けらている構成であればいずれでもよい。
【0052】
さらになお、本実施形態では、図3に示すように、伝送線路TLの配線導体パターン22sの線路幅Wを重ねるように配置するとともに、重なり長さLを調整するようにする。これにより、伝送させる信号周波数、並びに期待される接続部での伝送損失条件に応じて、マイクロストリップ線路の22sの配線導体パターン22sの線路幅W、誘電体層を形成する樹脂フィルム23(詳しくは、第2層の樹脂フィルム23(2))の厚さ等との関係から、重なり長さLを決めることで、所定の伝送損失内に抑えつつ、所望の高周波信号の入出力が可能となる。
【0053】
ここで、本発明の多層プリント基板1の製造方法について以下説明する。なお、説明の簡便のために、図1に示す多層プリント基板1を、図4(g)に示すように、基板領域内で積層数において、マザーボード部MBに対応する7層構造のリジット基板領域101a、および屈曲性を有する3層構造のフレキ基板領域101bで表す。また、製品としての多層プリンタ基板1に対して、その製品を製造する製造工程中のワークを区別して、製造工程中は多様な形態を有する多層基板100(詳しくは、リジッド−フレキプリント基板101)として説明する。
【0054】
図4(a)において、21は樹脂フィルム23の片面に貼着された導体箔(本例では厚さ18μmの銅箔)をエッチングによりパターン形成した導体パターン22を有する片面導体パターンフィルムである。本実施形態では、樹脂フィルム23としてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる厚さ25〜75μmの熱可塑性樹脂フィルムを用いている。
【0055】
図4(a)に示すように、導体パターン22の形成が完了すると、次に、図4(b)に示すように、片面導体パターンフィルム21の導体パターン22が形成された面と対向する面に保護フィルム81を、ラミネータ等を用いて貼着する。この保護フィルム81は、樹脂層と、この樹脂層の貼着面側にコーティングされた粘着剤層とからなる。粘着剤層を形成する粘着剤は、アクリレート樹脂を主成分とする所謂紫外線硬化型の粘着剤であり、紫外線が照射されると架橋反応が進行し、粘着力が低下する特性を有するものである。
【0056】
図4(b)に示すように、保護フィルム81の貼着が完了すると、次に、図4(c)に示すように、保護フィルム81側から炭酸ガスレーザを照射して、樹脂フィルム23に導体パターン22を底面とする有底ビアホールであるビアホール24を形成する。導体パターン22のビアホール24の底面となる部位は、導体パターン22の層間接続時に電極となる部位である。なお、ビアホールの形成は、炭酸ガスレーザの出力と照射時間等を調整することで、導体パターン22に穴を開けないようにしている。このとき、図4(b)に示すように、保護フィルム81にも、ビアホール24と略同径の開口81aが形成される。
【0057】
ビアホール24の形成には、炭酸ガスレーザ以外にエキシマレーザ等が使用可能である。レーザ以外のドリル加工等のビアホール形成方法も可能であるが、レーザビームで穴あけ加工すると、微細な径で穴開けができ、導体パターン22にダメージを与えることが少ないため好ましい。
【0058】
図4(c)に示すように、ビアホール24の形成が完了すると、次に、図4(d)に示すように、ビアホール24内に層間接続材料である導電ペースト50を充填する。導電ペースト50は、平均粒径5μm、比表面積0.5m/gの錫粒子300gと、平均粒径1μm、比表面積1.2m/gの銀粒子300gとに、有機溶剤であるテルピネオール60gを加え、これをミキサーによって混練しペースト化したものである。
【0059】
導電ペースト50は、スクリーン印刷機により、保護フィルム81の開口81a側から片面導体パターンフィルム21のビアホール24内に印刷充填される。
ビアホール24内への導電ペースト50の充填は、本実施形態ではスクリーン印刷機を用いたが、確実に充填ができるのであれば、ディスペンサ等を用いる他の方法も可能である。
【0060】
ビアホール24内への導電ペースト50の充填が完了すると、図4(e)に示すように、樹脂フィルム23の所望の位置にスリット30を形成する。このスリット30は、後に説明する多層基板100において、その基板の厚さを薄くしてフレキ基板101bとして機能する部位を多層基板100に形成するためのものである。スリット30は、例えばレーザを樹脂フィルム23に照射することによって形成することができる。また、ドリルルーターや打ち抜き加工等によってスリット30を形成しても良い。
【0061】
スリット30の幅は、1mm以下、より好ましくは樹脂フィルム23の厚さ以下に形成することが望ましい。樹脂フィルム23は、後に詳しく説明するが、複数枚積層された状態で、加熱・加圧される。この加熱・加圧時に、樹脂フィルム23を構成する熱可塑性樹脂が軟化して流動するが、そのときにスリット30の幅が大きいと、熱可塑性樹脂がスリット30を塞ぐように流動するため、熱可塑性樹脂の流動量が大きくなる傾向がある。この場合、樹脂フィルム23上に形成した導体パターン22の位置ずれが発生する可能性が高くなるので、スリット30の幅は狭く形成することが好ましいのである。
【0062】
スリット30を形成した後、紫外線ランプ(図示せず)によって保護フィルム81側から紫外線を照射する。これにより、保護フィルム81の粘着剤層が硬化され、粘着剤層の粘着力が低下する。
【0063】
保護フィルム81への紫外線照射が完了すると、片面導体パターンフィルム21から保護フィルム81を剥離除去する。これにより、図4(f)に示すように、樹脂フィルム23の所望の位置にスリット30が形成され、かつビアホール24内に導電ペースト50を充填した片面導体パターンフィルム21が得られる。
【0064】
次に、図4(g)に示すように、片面導体パターンフィルム21を複数枚(本実施形態では7枚)積層する。このとき、例えば下方側の2枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を下側として、上方側の5枚の片面導体パターンフィルム21は導体パターン22が設けられた側を上側として積層する。
【0065】
すなわち、下側の1枚目の層と上側の5枚目の層からなる2枚の片面導体パターンフィルム21は、導体パターン22が形成されていない面同士を向かい合わせて積層する。また、残りの5枚の片面導体パターンフィルム21は、導体パターン22が形成された面と導体パターン22が形成されていない面とが向かい合うように積層する。
【0066】
また、複数枚の片面導体パターンフィルム21が積層される際、多層基板100から除去すべき除去領域40の下面となる片面導体パターンフィルム21aと、多層基板100の一部として残され領域(残存領域)の表面となる片面導体パターンフィルム21bとの間に、除去領域40の大きさに対応した離型シート45が配置される。
【0067】
この離型シート45は、樹脂フィルム23を構成する熱可塑性樹脂が加熱・加圧された場合であっても、軟化した熱可塑性樹脂との接着性に乏しい性質を持つ材料から構成される。例えば、離型シート45は、ポリイミド、テフロン(登録商標)等の樹脂フィルムや、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔から構成することができる。
【0068】
また、除去領域40の対向する2つの側面には、樹脂フィルム23に形成されたスリット30が位置している(図6参照)。すなわち、スリット30は、除去領域40を持つ複数枚の樹脂フィルム23の同じ位置に形成されることにより、全体として、片面導体パターンフィルム21,21a,21bの積層体の表面から離型シート45が配置された深さ位置まで連続的に形成されている。
【0069】
図4(g)に示すように片面導体パターンフィルム21,21a,21bを積層したら、この積層体の上下両面から真空加熱プレス機の加熱プレス板により加熱しながら加圧する。本例では、250〜350℃の温度に加熱しつつ、1〜10MPaの圧力で10〜20分間加圧した。これにより、図4(h)に示すように、各片面導体パターンフィルム21,21a,21bが相互に接着される。すなわち、各片面導体パターンフィルム21,21a,21bの樹脂フィルム23が熱融着して一体化される。さらに、加熱及び加圧により、ビアホール24内の導電ペースト50が焼結して一体化した導電性組成物51となり、隣接する導体パターン22間を層間接続した多層基板100が得られる。
【0070】
ここで、導体パターン22の層間接続のメカニズムを簡単に説明する。ビアホール24内に充填された導電ペースト50は、錫粒子と銀粒子とが混合された状態にある。そして、このペースト50が250〜350℃に加熱されると、錫粒子の融点は232℃であり、銀粒子の融点は961℃であるため、錫粒子は融解し、銀粒子の外周を覆うように付着する。さらに加熱が継続すると、融解した錫は、銀粒子の表面から拡散を始め、錫と銀との合金(融点480℃)を形成する。このとき、導電ペースト50には1〜10MPaの圧力が加えられているため、錫と銀との合金形成に伴い、ビアホール24内には、焼結により一体化した合金からなる導電性組成物51が形成される。
【0071】
ビアホール24内で導電性組成物51が形成されているとき、この導電性組成物51は加圧されているため、導体パターン22のビアホール24の底部を構成している導体パターン22に圧接される。これにより、導電性組成物51中の錫成分と、導体パターン22を構成する銅箔の銅成分とが相互に固相拡散し、導電性組成物51と導体パターン22との界面に固相拡散層を形成して電気的に接続する。
【0072】
このようにして多層基板100が形成されると、次に多層基板100から製品として使用する製品領域を切り出す切り出し工程が行なわれる。この切り出し加工について図6を用いて説明する。
【0073】
図6は、複数枚の片面導体パターンフィルム21,21a,21bを溶着して形成した多層基板100の平面図である。図6において、一点鎖線60で囲まれる領域が製品領域であり、多層基板100の複数箇所(図6では2箇所)に製品領域60が設けられる。この製品領域60の切り出しは、例えばドリルルーターを多層基板100の表面から積層方向に挿入し、製品領域60の外縁に沿ってドリルルーターを移動することにより行なわれる。あるいは、打ち抜き加工等によって、製品領域60を多層基板100から切り出すこともできる。
【0074】
このとき、上述したスリット30は、製品領域60の幅と同等以上の長さで、製品領域60の幅方向に沿って形成されている。そして、このスリット30の長手方向の両端部が、製品領域60が切り出される側面(切り出し面)に達するように、除去領域40の対向する2つの側面に沿って配置されている。また、除去領域40の底面と多層基板の製品領域60の一部として残る残存領域との間には離型シート45が介在している。このため、切り出し工程が行なわれると、除去領域40の4つの側面は、スリット30及び製品領域60の切り出し面によって囲まれるため、周囲から分離された状態となる。さらに、除去領域40の底面は、離型シート45によって製品領域60とは分離されている。従って、多層基板100から製品領域60を切り出すことによって、同時に、除去領域40を製品領域60から取り除くことが可能になる。
【0075】
離型シート45は、図6に示されるように、多層基板100において隣接する製品領域60の除去領域40をそれぞれカバーする大きさに形成されている。このため、一枚の離型シート45を片面導体パターンフィルム21a、21b間に積層するだけで、複数の製品領域60の除去領域40を分離することができる。
【0076】
なお、スリット30は、樹脂フィルム23の外縁に達する前に終端しているので、樹脂フィルム23が単層状態のときに、スリット30の形成によって樹脂フィルム23の一部が分離してしまうことはない。
【0077】
このように、多層基板100から製品領域60を切り出すとともに、除去領域40を除去することにより、最終的にリジッド−フレキプリント基板101が完成する。このリジッド−フレキプリント基板101は、図5に示すように、基板領域に応じて、高密度実装等に利用可能なリジッド基板として機能する7層構造のリジッド基板領域101aと、屈曲性を持つ3層構造のフレキ基板領域101bとを有するものである。なお、図5に示すリジッド−フレキプリント基板101において、フレキ基板領域101bの外周端部(図5中の右側)を切除することで、本発明の多層プリント基板1(詳しくは、マザーボード部MBおよび伝送線路TL)を形成することができる。
【0078】
なお、図4(h)及び図6には、除去領域40の対向する2つの側面に沿ってスリット30が形成された様子が示されているが、実際には、樹脂フィルム23に形成されたスリット30は、加熱・加圧時に、樹脂フィルム23を構成する熱可塑性樹脂が軟化して流動するため、その開口領域が小さくなったり、時には塞がれたりする。しかしながら、たとえスリット30が塞がれた場合であっても、熱可塑性樹脂の場合、一度スリット30を形成した部分は、機械的な物性が低下しており、少しの応力で簡単にスリット30を塞いでいる樹脂部分同士を引き離すことができる。結晶性の熱可塑性樹脂であれば、この傾向は一層顕著になる。本実施形態において適用したポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂とからなる熱可塑性樹脂は結晶性であり、その他にも、液晶ポリマーなども結晶性の熱可塑性樹脂である。
【0079】
また、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリフェニレンサルファイド(PPS)などの非結晶性の熱可塑性樹脂であっても、延伸により配向を付けた樹脂材料であれば、結晶性の熱可塑性樹脂と同様の性質を示す。すなわち、スリット30を形成することにより、その配向が破壊され、その後、スリット30が塞がれても、そのスリット30を塞ぐ樹脂部同士は、一定の向きに配向されたものではない。従って、その樹脂部同士は、僅かな応力で引き離すことができる。
【0080】
上述のプリント基板の製造方法によれば、除去領域40は、加熱・加圧工程後に行なわれる切り出し工程の際に、製品領域60から取り除かれるので、加熱・加圧工程の対象となる片面導体パターンフィルム21の積層体の表面の位置は、全面に渡ってほぼ同一の位置にある。従って、加熱プレス板によって、積層体全体に対して、加熱及び加圧をほぼ均一に行なうことが容易になる。このため、各樹脂フィルム23の接着強度の安定化、導体パターン22の位置ずれの防止、層間接続の信頼性の向上等を図ることができる。
【0081】
上述の本実施形態においては、離型シート45を用いることによって、除去領域40と多層基板の残存領域とを分離した。しかしながら、この離型シート45を片面導体パターンフィルム21a,21b間に挿入することにより、離型シート45の厚さ分だけ、除去領域40の厚さが、除去領域40の周囲の積層体の厚さよりも厚くなってしまう場合がある。この場合、離型シート45の厚さは20μm程度に形成することができるため、その厚さの違いは僅かではあるが、加熱・加圧工程において加熱プレス板によって均一な加圧及び加熱を行なうためには、積層体の全体に渡って厚さが同じであることが好ましい。
【0082】
このように、離型シート45を積層体の一部に積層した場合であっても、積層体の厚さを全体に渡って等しくするためには、図4(g)に示すように、離型シート45を積層した除去領域40において、離型シート45の厚さを相殺できる分だけ、導体パターン22を取り除くことが有効である。
【0083】
上述の実施形態に係わる製造方法では、片面導体パターンフィルムの樹脂フィルムにスリットを形成する際に、そのスリットの形成領域に渡って、連続的な切り込みをいれることによってスリットを形成した。しかしながら、例えばスリットの形成予定領域に沿って、樹脂フィルムに間欠的に切り込みをいれることによってスリットを形成することもできる。いずれの場合にも、スリットの形成領域における基板強度は低下するため、加熱・加圧工程により多層基板を構成した後に、僅かな応力を加えるだけで、スリットの形成領域全体に渡って多層基板にスリットを形成することができる。
【0084】
また、上記本実施形態において、銅箔をエッチング処理することにより導体パターンを形成するものであったが、絶縁基材への導電ペーストパターン印刷等により導体パターンを形成するものであってもよい。また、導電ペーストをパターン印刷することにより導体パターンを形成する場合には、ビアホール内への導電ペースト充填を同時に行なうものであってもよい。
【0085】
また、上記本実施形態において、絶縁基材である樹脂フィルムとしてポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる樹脂フィルムを用いたが、これに限らず、ポリエーテルエーテルケトン樹脂とポリエーテルイミド樹脂に非導電性フィラを充填したフィルムであってもよいし、他の材質の熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。加熱プレスにより接着が可能であり、後工程である半田付け工程等で必要な耐熱性を有する熱可塑性樹脂フィルムであれば好適に用いることができる。
【0086】
また、上記本実施形態において、層間接続材料として、銀合金の金属粒子を含有する導電ペーストを用いたが、他の金属粒子を含有する導電ペーストであってもよいし、半田ボール等の金属ボールを用いてもよい。
【0087】
さらに、上記本実施形態では、片面導体パターンフィルム21から多層基板を形成する実施例について説明したが、両面導体パターンフィルムを用いて多層基板を構成しても良い。たとえば、複数の両面導体パターンフィルムを用意し、それらを、層間接続材料がビアホールに充填されたフィルムを介して積層しても良いし、1枚の両面導体パターンフィルムの両面にそれぞれ片面導体パターンフィルムを積層しても良い。
【0088】
(第2の実施形態)
以下、本発明を適用した他の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態においては、第1の実施形態と同じもしくは均等の構成には同一の符号を付し、説明を繰り返さない。
【0089】
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した伝送線路TLとして、マイクロストリップ線路に代えて、図7に示すように、ストリップ線路とする。図7は、本実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す構成図であって、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。伝送線路TLは、図7(a)に示すように、少なくとも4層(図7では、4層)の樹脂フィルム23を積層されている。
この3層に積層された樹脂フィルムのうち、図7(a)に示すように、第2層の樹脂フィルム23(2)と第3層の樹脂フィルム23(3)との間には、マザーボード部MBから延出された導体パターン22(2−3)が、所定の線路幅Wを有する配線導体パターン22sに形成されている。さらに、第1層の樹脂フィルム23(1)と第2層の樹脂フィルム23(2)との間、および第3層の樹脂フィルム23(3)と第4層の樹脂フィルム23(4)との間には、それぞれ、同様に、マザーボード部MBから延出された導体パターン22(2−3)、22(2−3)が、グランドパターン22gに形成されている。これにより、配線導体パターン22sと、配線導体パターン22sを挟み込む両グランドパターン22gは、ストリップ線路を構成する。なお、配線導体パターン22sと両グランドパターン22g間に配置された第2層の樹脂フィルム23(2)および第3層の樹脂フィルム23(3)は、伝送損失を抑えるための誘電体層を形成している。
なお、この伝送線路TL内に形成されたストリップ線路は、同一基板から一体的に形成されることで、マザーボード部MB内のストリップ線路に接続されていることは言うまでもない。
【0090】
したがって、同一基板により形成されるマザーボード部MBと伝送線路TLにおいて、伝送線路TLは、高周波信号の入出力に係わる伝送損失の少ないストリップ線路を形成することが可能である。さらに、この伝送線路TLは、樹脂フィルム23として同一の熱可塑性樹脂を用いるので、例えば加熱・加圧によってマザーボード部MBと同時成形することが可能であるので、安価な多層プリント基板1、特に外部回路に接続するための接続構造を提供することが可能である。さらに、本実施形態では、伝送線路TLとしてストリップ線路を用いるので、マザーボード部MBから伝送線路TLを延出する際に生じるインピーダンスの変化がないので、インピーダンス調整を不要にすることが可能である。その結果、伝送線路TLをストリップ線路構造とする場合には、インピーダンス調整手段が不要となる。さらになお、ストリップ線路を構成する配線導体パターン22sと両グランドパターン22gにおいて、配線導体パターン22sが両グランドパターン22gに挟み込まれているため、不要電波の漏洩が、第1の実施形態によるマイクロストリップ線路に比べて、少なくすることが可能である。
【0091】
次に、多層プリント基板1と外部回路とを接続する接続方法について以下説明する。なお、第1の実施形態で説明した伝送線路TLと外部回路との固定方法については、同様な嵌合固定する手段であればよいので、省略する。
【0092】
ストリップ線路構造を有する伝送線路TLでは、以下の特徴を有することで、外部回路と電磁的に接続可能である。すなわち、配線導体パターン22sを挟み込む両グランドパターン22gのうち一方には、マザーボード部MBから延出する配線導体パターン22sの延在する方向に対して、略直交するスロット孔22gsが開けられている。これにより、配線導体パターン22sは、スロット孔22gsを介して、外部回路と電磁的に結合することが可能である。これにより、第1の実施形態と同様に、伝送線路TLと外部回路の配線導体パターン22s同士が、直接、物理的に接続するのではなく、誘電体層を構成することが可能な樹脂フィルム23(本実施形態では、スロット孔22gsが開けられているグランドパターン22gの層側の第1層の樹脂フィルム23(1))を介して非接触に接続することが可能である。
【0093】
なお、スロット孔22gsは、図7(b)に示すように、スロット孔22gsの開口部の形状として、長さLs1、幅Ls2(Ls2<Ls1)、および配線導体パターン22sの端部から、スロット孔22gsが配線導体パターン22sにオーバラップしている中心までの距離Ls3を、所望の高周波信号の周波数等から最適化される。例えば少なくとも伝送線路TLのストリップ線路の線路幅Wを重ねるように配置するとともに、電波が導かれるスロット孔22gsの開口部が一致するように、伝送線路TLと外部回路とが配置されている。これにより、所定の伝送損失内に抑えつつ、所望の高周波信号の入出力が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す構成図であって、図1(a)は断面図、図1(b)は平面図である。
【図2】第1の実施形態に係わる多層プリント基板と外部回路との接続方法を示す断面図である。
【図3】図2中の接続部をIII方向からみた平面図である。
【図4】第1の実施形態の多層プリント基板に係わる製造方法を製造工程で示す工程別断面図であって、図4(a)から図4(h)は、各製造工程での多層プリント基板の状態を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態の多層プリント基板に係わる製造工程において、切り出し工程後の多層プリント基板の構造を示す断面図である。
【図6】第1の実施形態による多層プリント基板に係わる製造工程において、加熱・加圧工程後のプリント基板の状態を示す平面図である。
【図7】第2の実施形態の多層プリント基板の概略構成を示す構成図であって、図7(a)は断面図、図7(b)は平面図である。
【図8】第2の実施形態の多層プリント基板と外部回路との接続方法に係わる接続部をみた平面図である。
【図9】従来のプリント基板に係わる外部回路との接続方法を示す部分的断面斜視図である。
【符号の説明】
1 多層プリント基板
MB マザーボード部
TL 伝送線路
21、21a、21b 片面導体パターンフィルム
22 導体パターン
22s 配線導体パターン
22g グランドパターン
22gs スロット孔
23 樹脂フィルム
24 ビアホール
30 スリット
40 除去領域
45 離型シート
51 層間組成物
60 製品領域
100 (製造工程中の)多層基板
101、101a、101b (製造工程中の)リジッド−フレキプリント基板、リジッド基板領域、フレキ基板領域
200 被接続体(外部回路)

Claims (12)

  1. 熱可塑性樹脂からなる絶縁基材を介して複数の導体パターンを積層するとともに、基板領域内に前記導体パターンを積層する層数が異なる構造であって、
    前記構造は、マザーボード部と、前記マザーボード部から延出され、外部回路に高周波信号を伝送可能な伝送線路を備えていることを特徴とする多層プリント基板。
  2. 前記伝送線路は、少なくとも3層の前記絶縁基材を積層してなり、前記3層に積層された絶縁基材のうち、第1層と第2層の絶縁基材間には、前記マザーボード部から延出された前記導体パターンが、所定のインピーダンスを有する配線導体パターンに形成され、前記第2層と第3層の絶縁基材間には、前記マザーボード部から延出された前記導体パターンが、グランドパターンに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント基板。
  3. 前記伝送線路は、少なくとも4層の前記絶縁基材を積層してなり、前記4層に積層された絶縁基材のうち、第2層と第3層の絶縁基材間には、前記マザーボード部から延出された前記導体パターンが、所定のインピーダンスを有する配線導体パターンに形成され、第1層と前記第2層の絶縁基材間および前記第3層と第4層の絶縁基材間には、それぞれ、前記マザーボード部から延出された前記導体パターンが、グランドパターンに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント基板。
  4. 前記グランドパターンのうちいずれか一方には、前記配線導体パターンが延在する方向に対して、略直交するスロット孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の多層プリント基板。
  5. 請求項2に記載の多層プリント基板と外部回路とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、
    前記多層プリント基板の前記伝送線路のうち、前記第1層の絶縁基材側を、前記外部回路の基板上に形成されたマイクロストリップ線路に接合することを特徴とする多層プリント基板の接続方法。
  6. 請求項2に記載の多層プリント基板と、外部回路としての請求項2に記載の多層プリント基板とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、
    前記多層プリント基板の前記伝送線路のうち、前記第1層の絶縁基材同士を接合することを特徴とする多層プリント基板の接続方法。
  7. 請求項4に記載の多層プリント基板と外部回路とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、
    前記多層プリント基板の前記伝送線路の前記第1層または前記第4層の絶縁基材のうち、前記グランドパターンに前記スロット孔が形成された層側の絶縁基材側を、前記外部回路の基板上に形成されたストリップ線路に重ねて接合することを特徴とする多層プリント基板の接続方法。
  8. 請求項4に記載の多層プリント基板と、外部回路としての請求項4に記載の多層プリント基板とを接続する多層プリント基板の接続方法であって、
    前記多層プリント基板の前記伝送線路の前記第1層または前記第4層の絶縁基材のうち、前記グランドパターンに前記スロット孔が形成された層側の絶縁基材同士を、前記両スロット孔を重ねるように接合することを特徴とする多層プリント基板の接続方法。
  9. 前記多層プリント基板をそれぞれ加熱・加圧により形成した後、前記伝送線路同士を加熱・加圧によって接合することを特徴とする請求項6または請求項8に記載の多層プリント基板の接続方法。
  10. 前記多層プリント基板をそれぞれ加熱・加圧により形成した後、少なくとも前記伝送線路の線路幅を重ねるように配置し、嵌合固定することを特徴とする請求項6または請求項8に記載の多層プリント基板の接続方法。
  11. 熱可塑性樹脂からなる絶縁基材を介して複数の導体パターンを積層するとともに、基板領域内に前記導体パターンを積層する層数が異なる構造であって、
    前記構造は、マザーボード部と、前記マザーボード部から延出され、外部回路に高周波信号を伝送可能な伝送線路を備え、
    前記伝送線路は、前記マザーボード部に複数枚積層された前記導体パターンのうち、少なくとも二つの導体パターンが延出して構成されていることを特徴とする多層プリント基板。
  12. 前記伝送線路は、前記マザーボード部の側面から延出する前記導体パターンを備えていることを特徴とする請求項1から請求項4、および請求項11のいずれか一項に記載の多層プリント基板。
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