JP2004311563A - コネクタ接続用線路付き多層基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板上にコネクタを横向きにして接続する場合、コネクタのリードを短くすることができ、信号を安定に伝送することができるコネクタ接続用線路付き多層基板を得る。
【解決手段】基板2上に、可撓性を有した樹脂フィルムからなる3枚のフレキシブル板5乃至7を積層して熱プレスすることによってそれらを相互に接着して多層プリント配線基板1を得る。3枚のフレキシブル板5乃至7はコネクタ接続用線路付き多層基板3として構成され、この多層基板3から起立部9を切り起こし形成する。この起立部9における3枚のフレキシブル板5乃至7のうち、中間のフレキシブル板6を挟んでその両側に接着された2枚のフレキシブル板5及び7の一方にスプリット導体15、他方に接地導体16を形成して両導体15,16でマイクロストリップ線路10を構成する。そして、コネクタ4の一対のリード4aをスプリット導体15及び接地導体16に接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】基板2上に、可撓性を有した樹脂フィルムからなる3枚のフレキシブル板5乃至7を積層して熱プレスすることによってそれらを相互に接着して多層プリント配線基板1を得る。3枚のフレキシブル板5乃至7はコネクタ接続用線路付き多層基板3として構成され、この多層基板3から起立部9を切り起こし形成する。この起立部9における3枚のフレキシブル板5乃至7のうち、中間のフレキシブル板6を挟んでその両側に接着された2枚のフレキシブル板5及び7の一方にスプリット導体15、他方に接地導体16を形成して両導体15,16でマイクロストリップ線路10を構成する。そして、コネクタ4の一対のリード4aをスプリット導体15及び接地導体16に接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は周波数の高い信号を扱う機器に好適するコネクタ接続用線路付き多層基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば携帯電話などの薄型の機器では、基板にコネクタを設ける場合、相手側のコネクタを接続した状態で、全体の高さが低くなるようにするために、図9に示すように、基板101に対してコネクタ102は横倒し状態にして配設し、相手側のコネクタを横方向(図9で左方)から差し込み接続するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9のようにコネクタ102を基板101に対して横倒し状態に配設すると、コネクタ102と基板101とを接続するためのリード102aが長く露出する状態となり、信号を安定に伝送できなくなる恐れがある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタのリードを短くすることができ、信号を安定に伝送することができるコネクタ接続用線路付き多層基板及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のコネクタ接続用線路付き多層基板では、可撓性を有した樹脂フィルムからなる少なくとも3枚のフレキシブル板を積層して構成された多層基板主部と、この多層基板主部から切り起こされた起立部と、この起立部における前記3枚のフレキシブル板のうち、1枚のフレキシブル板を挟んでその両側に接着された2枚のフレキシブル板の一方に形成されたスプリット導体及び他方に形成された接地導体とから構成され、コネクタに接続されるマイクロスプリット線路とからなるので、多層基板主部に対してコネクタを横倒し状態にして配設する場合、コネクタのリードが短くて済む。
【0006】
本発明のコネクタ接続用線路付き多層基板の製造方法では、マイクロスプリット線路を構成するスプリット導体と接地導体とを夫々形成した2枚のフレキシブル板を別の1枚のフレキシブル板を挟んで少なくともそれら3枚のフレキシブル板を積層して相互に接着する工程と、前記3枚のフレキシブル基板に前記スプリット導体及び接地導体を形成した領域を3方から囲む切断部を形成する工程とを前後して行い、前記3枚のフレキシブル板のうち、前記切断部に囲まれた部分を起立させ得るようにしたので、コネクタに接続するマイクロスプリット線路が形成された部分を起立させてコネクタを横向き状態で接続できる基板を容易に製造し得る。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図8を参照しながら説明する。
図1は完成形態での多層プリント配線板1を示すもので、この多層プリント配線基板1は、やや板厚の厚い基板2の上面に、本発明に係るコネクタ接続用線路付き多層基板3を接着して構成されている。
【0008】
この多層プリント配線基板1は、携帯電話機やカーナビゲーション装置のGPS通信衛星の受信機などの通信機器に使用されるもので、送受信回路を構成する電子ディバイスなどが実装される。そして、この多層プリント配線基板1のコネクタ接続用線路付き多層基板3にはコネクタ4が取り付けられるようになっており、このコネクタ4には同軸ケーブルなどの通信線の端部に取り付けられたコネクタ(いずれも図示せず)が接続されて、送受信回路をアンテナ装置などの外部機器に対して同軸ケーブルを介して接続できるようになっている。
【0009】
コネクタ接続用線路付き多層基板3は、例えば3枚のフレキシブル板5乃至7を積層して構成した多層基板主部8と、この多層基板主部8のコネクタ4配置部位の近傍に切り起こし形成された起立部9とからなる。そして、後で詳述するように、この起立部9にコネクタ4と送受信回路との間を接続するための線路、この実施例ではマイクロスプリット線路10(図2参照)を形成し、このマイクロスプリット線路10にコネクタ4の一対のリード4aを半田付けなどによって接続するようにしている。
【0010】
なお、上記コネクタ4は、一面に相手のコネクタの差込口(図示せず)を有し、その差込口を有した面の反対側の面から一対のリード4aが導出されている。そして、コネクタ4はコネクタ接続用線路付き多層基板3上に横向き、即ち差込口を有する面が横向き(図1で左向き)となって反対側の面に存するリード4a及び4bの突出方向が起立部9とほぼ直交する状態にして配置される。
【0011】
さて、基板2は、例えば紙やガラス繊維などを基材としてこれらを複数層重ねてフェノール樹脂、エポキシ樹脂などで結合したもので、硬質基板(リジッド基板)となっている。そして、この基板2には、コネクタ接続用線路付き多層基板3に形成された導体パターンに接続される導体パターンや当該基板2の裏面に実装される電子ディバイスに接続するための導体パターンが形成されている。
【0012】
コネクタ接続用線路付き多層基板3を構成するフレキシブル板5乃至7は、熱可塑性樹脂、例えば結晶転移型の熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムを基材としている。この絶縁フィルムの成分の具体例を示すと、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂35〜65質量%、ポリマーエーテルイミド(PEI)35〜65質量%を含み、厚さは25〜75μmとされている。このような結晶転移型の熱可塑性樹脂は、図8に示すように、例えば200℃付近では軟質となるが、それより低い温度でも高い温度でも硬質となる(更に高い温度(約400℃)では溶解する。)性状を呈し、また、高温から温度低下する際には、200℃付近でも硬質を保つ。
【0013】
そして、フレキシブルプリント板5乃至7には、電子ディバイスに接続される導体パターンや各フレキシブルプリント板5乃至7の導体パターンを他のフレキシブルプリント板5乃至7の導体パターンに接続するためのバイアホール(Via hole)11(図2、図3参照)が形成されており、このバイアホール11内には、導電ペースト12が充填されている。なお、導電ペースト12は、銅、銀、錫などの金属粒子にバインダ樹脂や有機溶剤を加えて混練しペースト状にしたものである。
【0014】
また、図4に示すように、起立部9における3枚のフレキシブル板5乃至7のうち、コネクタ4と直接対向する表側のフレキシブル板5には、コネクタ4の一対のリード4aを半田付けするための一対の電極13及び14が形成されていると共に、一方の電極13に連続して細線状のストリップ導体15が形成されている。このフレキシブル板5とは中間のフレキシブル板6を挟んで反対側に位置する裏側のフレキシブル板7には、幅広の接地導体16が形成されており、この接地導体16と上記ストリップ導体15とで前記マイクロストリップ線路10が構成される。そして、この接地導体16を前記他方の電極14に接続するために、図3に示すように、中間のフレキシブル板6と表側のフレキシブル板5には、夫々導電ペースト12を充填したバイアホール11が形成されている。
【0015】
この実施例では、ストリップ導体15及び接地導体16は、基板2に形成された図2及び図3に示す導体パターン17及び18を介して送受信回路に接続されるものとし、ストリップ導体15を基板2の導体パターン17に接続するために、図2に示すように、3枚のフレキシブル板5乃至7に導電ペースト12を充填したバイアホール11が形成されている。また、接地導体16を基板2の導体パターン18に接続するために、図3に示すように、当該接地導体14を形成したフレキシブル板7に導電ペースト12を充填したバイアホール11が形成されている。
【0016】
次に上記構成の多層プリント配線基板1の製造方法を説明する。まず、基板2は、当初片面或は両面に導体箔が貼り付けられており、この導体箔をエッチングして導体パターン17及び18、その他の導電パターンを形成する。また、必要に応じて図示しないスルーホールなどを形成し、その内面に金属メッキなどを施しておく。
【0017】
一方、3枚のフレキシブル板5乃至7の片面には当初導体箔(暑さ8μm程度)が貼り付けられており、この導体箔をエッチングして導体パターンを形成する。このエッチング時に、フレキシブル板5には、図4(a)に示すように、電極13,14及びストリップ導体15、必要に応じてその他の導体パターンを形成し、フレキシブル板7には接地導体14、必要に応じてその他の導体パターンを形成する。導体パターンの形成後、各フレキシブル板5乃至7の残る片面に、フレキシブル板5に代表させて示す図5の(a)に示すように、保護フィルム19を貼り付ける。なお、中間に挟まれるフレキシブル板6に導体パターンを形成しない場合には、導体箔が貼り付けられていないフレキシブル板を使用し、その一面に保護フィルム19を貼り付ける。
【0018】
次に、フレキシブル基板5乃至7に、保護フィルム19側からレーザビームを照射して図5(b)に示すようにバイアホール11を形成する。この場合、形成するバイアホール11の底が導体パターンとなる場合には、レーザビームの強さと照射時間とを調節することにより、導体パターンに穴が開かないようにする。バイアホール11の形成に使用するレーザとしては、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザなどが考えられる。また、ドリル加工などの機械加工であっても良いが、微細な穴を明けるにはレーザが好ましい。
【0019】
バイアホール11を形成した後、図5(c)に示すように、バイアホール11に導電ペースト12を充填する。この導電ペースト12は、メタルマスクを用いたスクリーン印刷装置により導体パターンを下にしてバイアホール11内に印刷充填される。そして、この導電ペースト12の充填後、3枚のフレキシブル板5乃至7に、起立部9となる部分、つまりストリップ導体15及び接地導体16が含まれる矩形状の領域を取り囲むようにしてほぼコ字状に切断部としてのスリット20を形成し(図5(d)参照)、その後、保護フィルム19を剥がす(図5(e)参照)。なお、スリット20は導電パターンを形成する前に設けるようにしても良い。なお、切断部としては、ミシン目などであっても良い。
【0020】
基板2及び3枚のフレキシブル板5乃至7に以上のような加工を施した後、真空加圧プレス機(図示せず)の下型に、図6に示すように、カバーレイヤ21を敷き、その上に基板2、この基板2の上に裏側のフレキシブル板7、中間のフレキシブル板6、表側のフレキシブル板5の順に導体パターンが上となるように積層する。そして、最上層のフレキシブル板5の上にカバーレイヤ22を載せる。ここで、このような基板2、フレキシブル板5乃至7の積層工程の前に、基板2には、フレキシブル板7のスリット20に囲まれた部分が重ねられる部位に、接着しない或は接着しても接着力の弱いフィルム23を貼り付けておく。なお、フィルム23の代わりに印刷手段によって塗膜を形成しても良い。
【0021】
この状態で真空加圧プレス機により、200℃〜350℃に加熱して0.1〜10MPaの圧力で加圧する。すると、フレキシブル板5乃至7が温度に対して図8に示すような弾性率変化を生ずるので、この熱プレスにより一旦軟化した状態で加圧されることによってフレキシブル板5乃至7どうしが互いに融着すると共に、フレキシブル板7が基板2に融着し、その後、結晶化して一体化するようになって多層プリント配線基板1として完成される。
【0022】
このようにして完成された多層プリント配線基板1にコネクタ4を接続する場合、多層基板主部8と面一(伏した状態)になっている起立部9を基板2から離すようにすると、裏側のフレキシブル板7はフィルム23の存在によって基板2に対して接着されておらず、接着されていてもその接着力は弱いので、容易に基板2から離れて、起立した状態となる。そこで、コネクタ4を起立部9の近傍に横向き状態、つまり差込口が横向きとなるように配設し、一対のリード4aを半田付けなどによって電極13及び14に接続する。
【0023】
このように本実施例によれば、コネクタ接続用線路付き多層基板3から起立部9を起立させることにより、コネクタ接続用線路、即ちマイクロストリップ線路10をコネクタ4に近付ける(対向させる)ことができるので、コネクタ4のリード4aを短くすることができる。このため、リード4aからの雑音侵入を極力防止することができ、信号の伝送を安定して行うことができる。
【0024】
また、3枚のフレキシブル板5乃至7によって容易にマイクロストリップ線路10を形成できる。しかも、スリット20を設けることで簡単にマイクロスプリット線路10の形成部分(起立部9)を起立させることができるので、当該部分を起立状態に有する基板1を安価に製造することができる。
【0025】
その上、リジッド基板2にコネクタ接続用線路付き多層基板3を一体化する場合、熱プレスによって容易に一体化でき、且つ剥離容易化手段としてフィルム23を設けたので、起立部9を容易に基板2から離して起立させることができる。
【0026】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、例えば基板2をなくしたり、基板2を硬質基板(リジッド基板)ではなく、多層基板3を構成する熱可塑性樹脂と同じ材料を使用した基板としたり、コネクタ接続用線路付き多層基板3を3枚以上のフレキシブル板から構成したりしても良いなど、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、コネクタを接続した状態で示す多層プリント配線基板の側面図
【図2】ストリップ導体部分で切断して示す起立部の拡大断面図
【図3】接地導体及び電極部分で切断して示す起立部の拡大断面図
【図4】積層直前の3枚のフレキシブル板の部分平面図
【図5】フレキシブル板の製造過程を順に示す断面図
【図6】熱プレスする際の積層状態を示す断面図
【図7】多層プリント配線基板の製造完了状態での断面図
【図8】フレキシブル板の温度と弾性率との関係を示す図
【図9】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
図中、1は多層プリント配線基板、2は基板、3はコネクタ接続用線路付き多層基板、4はコネクタ、5乃至7はフレキシブル板、8は多層基板主部、9は起立部、10はマイクロストリップ線路、13及び14は電極、15はストリップ導体、16は接地導体、20はスリット(切断部)である。
【発明の属する技術分野】
本発明は周波数の高い信号を扱う機器に好適するコネクタ接続用線路付き多層基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば携帯電話などの薄型の機器では、基板にコネクタを設ける場合、相手側のコネクタを接続した状態で、全体の高さが低くなるようにするために、図9に示すように、基板101に対してコネクタ102は横倒し状態にして配設し、相手側のコネクタを横方向(図9で左方)から差し込み接続するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9のようにコネクタ102を基板101に対して横倒し状態に配設すると、コネクタ102と基板101とを接続するためのリード102aが長く露出する状態となり、信号を安定に伝送できなくなる恐れがある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コネクタのリードを短くすることができ、信号を安定に伝送することができるコネクタ接続用線路付き多層基板及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のコネクタ接続用線路付き多層基板では、可撓性を有した樹脂フィルムからなる少なくとも3枚のフレキシブル板を積層して構成された多層基板主部と、この多層基板主部から切り起こされた起立部と、この起立部における前記3枚のフレキシブル板のうち、1枚のフレキシブル板を挟んでその両側に接着された2枚のフレキシブル板の一方に形成されたスプリット導体及び他方に形成された接地導体とから構成され、コネクタに接続されるマイクロスプリット線路とからなるので、多層基板主部に対してコネクタを横倒し状態にして配設する場合、コネクタのリードが短くて済む。
【0006】
本発明のコネクタ接続用線路付き多層基板の製造方法では、マイクロスプリット線路を構成するスプリット導体と接地導体とを夫々形成した2枚のフレキシブル板を別の1枚のフレキシブル板を挟んで少なくともそれら3枚のフレキシブル板を積層して相互に接着する工程と、前記3枚のフレキシブル基板に前記スプリット導体及び接地導体を形成した領域を3方から囲む切断部を形成する工程とを前後して行い、前記3枚のフレキシブル板のうち、前記切断部に囲まれた部分を起立させ得るようにしたので、コネクタに接続するマイクロスプリット線路が形成された部分を起立させてコネクタを横向き状態で接続できる基板を容易に製造し得る。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図8を参照しながら説明する。
図1は完成形態での多層プリント配線板1を示すもので、この多層プリント配線基板1は、やや板厚の厚い基板2の上面に、本発明に係るコネクタ接続用線路付き多層基板3を接着して構成されている。
【0008】
この多層プリント配線基板1は、携帯電話機やカーナビゲーション装置のGPS通信衛星の受信機などの通信機器に使用されるもので、送受信回路を構成する電子ディバイスなどが実装される。そして、この多層プリント配線基板1のコネクタ接続用線路付き多層基板3にはコネクタ4が取り付けられるようになっており、このコネクタ4には同軸ケーブルなどの通信線の端部に取り付けられたコネクタ(いずれも図示せず)が接続されて、送受信回路をアンテナ装置などの外部機器に対して同軸ケーブルを介して接続できるようになっている。
【0009】
コネクタ接続用線路付き多層基板3は、例えば3枚のフレキシブル板5乃至7を積層して構成した多層基板主部8と、この多層基板主部8のコネクタ4配置部位の近傍に切り起こし形成された起立部9とからなる。そして、後で詳述するように、この起立部9にコネクタ4と送受信回路との間を接続するための線路、この実施例ではマイクロスプリット線路10(図2参照)を形成し、このマイクロスプリット線路10にコネクタ4の一対のリード4aを半田付けなどによって接続するようにしている。
【0010】
なお、上記コネクタ4は、一面に相手のコネクタの差込口(図示せず)を有し、その差込口を有した面の反対側の面から一対のリード4aが導出されている。そして、コネクタ4はコネクタ接続用線路付き多層基板3上に横向き、即ち差込口を有する面が横向き(図1で左向き)となって反対側の面に存するリード4a及び4bの突出方向が起立部9とほぼ直交する状態にして配置される。
【0011】
さて、基板2は、例えば紙やガラス繊維などを基材としてこれらを複数層重ねてフェノール樹脂、エポキシ樹脂などで結合したもので、硬質基板(リジッド基板)となっている。そして、この基板2には、コネクタ接続用線路付き多層基板3に形成された導体パターンに接続される導体パターンや当該基板2の裏面に実装される電子ディバイスに接続するための導体パターンが形成されている。
【0012】
コネクタ接続用線路付き多層基板3を構成するフレキシブル板5乃至7は、熱可塑性樹脂、例えば結晶転移型の熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムを基材としている。この絶縁フィルムの成分の具体例を示すと、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂35〜65質量%、ポリマーエーテルイミド(PEI)35〜65質量%を含み、厚さは25〜75μmとされている。このような結晶転移型の熱可塑性樹脂は、図8に示すように、例えば200℃付近では軟質となるが、それより低い温度でも高い温度でも硬質となる(更に高い温度(約400℃)では溶解する。)性状を呈し、また、高温から温度低下する際には、200℃付近でも硬質を保つ。
【0013】
そして、フレキシブルプリント板5乃至7には、電子ディバイスに接続される導体パターンや各フレキシブルプリント板5乃至7の導体パターンを他のフレキシブルプリント板5乃至7の導体パターンに接続するためのバイアホール(Via hole)11(図2、図3参照)が形成されており、このバイアホール11内には、導電ペースト12が充填されている。なお、導電ペースト12は、銅、銀、錫などの金属粒子にバインダ樹脂や有機溶剤を加えて混練しペースト状にしたものである。
【0014】
また、図4に示すように、起立部9における3枚のフレキシブル板5乃至7のうち、コネクタ4と直接対向する表側のフレキシブル板5には、コネクタ4の一対のリード4aを半田付けするための一対の電極13及び14が形成されていると共に、一方の電極13に連続して細線状のストリップ導体15が形成されている。このフレキシブル板5とは中間のフレキシブル板6を挟んで反対側に位置する裏側のフレキシブル板7には、幅広の接地導体16が形成されており、この接地導体16と上記ストリップ導体15とで前記マイクロストリップ線路10が構成される。そして、この接地導体16を前記他方の電極14に接続するために、図3に示すように、中間のフレキシブル板6と表側のフレキシブル板5には、夫々導電ペースト12を充填したバイアホール11が形成されている。
【0015】
この実施例では、ストリップ導体15及び接地導体16は、基板2に形成された図2及び図3に示す導体パターン17及び18を介して送受信回路に接続されるものとし、ストリップ導体15を基板2の導体パターン17に接続するために、図2に示すように、3枚のフレキシブル板5乃至7に導電ペースト12を充填したバイアホール11が形成されている。また、接地導体16を基板2の導体パターン18に接続するために、図3に示すように、当該接地導体14を形成したフレキシブル板7に導電ペースト12を充填したバイアホール11が形成されている。
【0016】
次に上記構成の多層プリント配線基板1の製造方法を説明する。まず、基板2は、当初片面或は両面に導体箔が貼り付けられており、この導体箔をエッチングして導体パターン17及び18、その他の導電パターンを形成する。また、必要に応じて図示しないスルーホールなどを形成し、その内面に金属メッキなどを施しておく。
【0017】
一方、3枚のフレキシブル板5乃至7の片面には当初導体箔(暑さ8μm程度)が貼り付けられており、この導体箔をエッチングして導体パターンを形成する。このエッチング時に、フレキシブル板5には、図4(a)に示すように、電極13,14及びストリップ導体15、必要に応じてその他の導体パターンを形成し、フレキシブル板7には接地導体14、必要に応じてその他の導体パターンを形成する。導体パターンの形成後、各フレキシブル板5乃至7の残る片面に、フレキシブル板5に代表させて示す図5の(a)に示すように、保護フィルム19を貼り付ける。なお、中間に挟まれるフレキシブル板6に導体パターンを形成しない場合には、導体箔が貼り付けられていないフレキシブル板を使用し、その一面に保護フィルム19を貼り付ける。
【0018】
次に、フレキシブル基板5乃至7に、保護フィルム19側からレーザビームを照射して図5(b)に示すようにバイアホール11を形成する。この場合、形成するバイアホール11の底が導体パターンとなる場合には、レーザビームの強さと照射時間とを調節することにより、導体パターンに穴が開かないようにする。バイアホール11の形成に使用するレーザとしては、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザなどが考えられる。また、ドリル加工などの機械加工であっても良いが、微細な穴を明けるにはレーザが好ましい。
【0019】
バイアホール11を形成した後、図5(c)に示すように、バイアホール11に導電ペースト12を充填する。この導電ペースト12は、メタルマスクを用いたスクリーン印刷装置により導体パターンを下にしてバイアホール11内に印刷充填される。そして、この導電ペースト12の充填後、3枚のフレキシブル板5乃至7に、起立部9となる部分、つまりストリップ導体15及び接地導体16が含まれる矩形状の領域を取り囲むようにしてほぼコ字状に切断部としてのスリット20を形成し(図5(d)参照)、その後、保護フィルム19を剥がす(図5(e)参照)。なお、スリット20は導電パターンを形成する前に設けるようにしても良い。なお、切断部としては、ミシン目などであっても良い。
【0020】
基板2及び3枚のフレキシブル板5乃至7に以上のような加工を施した後、真空加圧プレス機(図示せず)の下型に、図6に示すように、カバーレイヤ21を敷き、その上に基板2、この基板2の上に裏側のフレキシブル板7、中間のフレキシブル板6、表側のフレキシブル板5の順に導体パターンが上となるように積層する。そして、最上層のフレキシブル板5の上にカバーレイヤ22を載せる。ここで、このような基板2、フレキシブル板5乃至7の積層工程の前に、基板2には、フレキシブル板7のスリット20に囲まれた部分が重ねられる部位に、接着しない或は接着しても接着力の弱いフィルム23を貼り付けておく。なお、フィルム23の代わりに印刷手段によって塗膜を形成しても良い。
【0021】
この状態で真空加圧プレス機により、200℃〜350℃に加熱して0.1〜10MPaの圧力で加圧する。すると、フレキシブル板5乃至7が温度に対して図8に示すような弾性率変化を生ずるので、この熱プレスにより一旦軟化した状態で加圧されることによってフレキシブル板5乃至7どうしが互いに融着すると共に、フレキシブル板7が基板2に融着し、その後、結晶化して一体化するようになって多層プリント配線基板1として完成される。
【0022】
このようにして完成された多層プリント配線基板1にコネクタ4を接続する場合、多層基板主部8と面一(伏した状態)になっている起立部9を基板2から離すようにすると、裏側のフレキシブル板7はフィルム23の存在によって基板2に対して接着されておらず、接着されていてもその接着力は弱いので、容易に基板2から離れて、起立した状態となる。そこで、コネクタ4を起立部9の近傍に横向き状態、つまり差込口が横向きとなるように配設し、一対のリード4aを半田付けなどによって電極13及び14に接続する。
【0023】
このように本実施例によれば、コネクタ接続用線路付き多層基板3から起立部9を起立させることにより、コネクタ接続用線路、即ちマイクロストリップ線路10をコネクタ4に近付ける(対向させる)ことができるので、コネクタ4のリード4aを短くすることができる。このため、リード4aからの雑音侵入を極力防止することができ、信号の伝送を安定して行うことができる。
【0024】
また、3枚のフレキシブル板5乃至7によって容易にマイクロストリップ線路10を形成できる。しかも、スリット20を設けることで簡単にマイクロスプリット線路10の形成部分(起立部9)を起立させることができるので、当該部分を起立状態に有する基板1を安価に製造することができる。
【0025】
その上、リジッド基板2にコネクタ接続用線路付き多層基板3を一体化する場合、熱プレスによって容易に一体化でき、且つ剥離容易化手段としてフィルム23を設けたので、起立部9を容易に基板2から離して起立させることができる。
【0026】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、例えば基板2をなくしたり、基板2を硬質基板(リジッド基板)ではなく、多層基板3を構成する熱可塑性樹脂と同じ材料を使用した基板としたり、コネクタ接続用線路付き多層基板3を3枚以上のフレキシブル板から構成したりしても良いなど、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、コネクタを接続した状態で示す多層プリント配線基板の側面図
【図2】ストリップ導体部分で切断して示す起立部の拡大断面図
【図3】接地導体及び電極部分で切断して示す起立部の拡大断面図
【図4】積層直前の3枚のフレキシブル板の部分平面図
【図5】フレキシブル板の製造過程を順に示す断面図
【図6】熱プレスする際の積層状態を示す断面図
【図7】多層プリント配線基板の製造完了状態での断面図
【図8】フレキシブル板の温度と弾性率との関係を示す図
【図9】従来例を示す図1相当図
【符号の説明】
図中、1は多層プリント配線基板、2は基板、3はコネクタ接続用線路付き多層基板、4はコネクタ、5乃至7はフレキシブル板、8は多層基板主部、9は起立部、10はマイクロストリップ線路、13及び14は電極、15はストリップ導体、16は接地導体、20はスリット(切断部)である。
Claims (2)
- 可撓性を有した樹脂フィルムからなる少なくとも3枚のフレキシブル板を積層して構成された多層基板主部と、
この多層基板主部から切り起こされた起立部と、
この起立部における前記3枚のフレキシブル板のうち、1枚のフレキシブル板を挟んでその両側に接着された2枚のフレキシブル板の一方に形成されたスプリット導体及び他方に形成された接地導体とから構成され、コネクタに接続されるマイクロスプリット線路と
を備えてなるコネクタ接続用線路付き多層基板。 - マイクロスプリット線路を構成するスプリット導体と接地導体とを夫々形成した2枚のフレキシブル板を別の1枚のフレキシブル板を挟んで少なくともそれら3枚のフレキシブル板を積層して相互に接着する工程と、前記3枚のフレキシブル基板に前記スプリット導体及び接地導体を形成した領域を3方から囲む切断部を形成する工程とを前後して行い、
前記3枚のフレキシブル板のうち、前記切断部に囲まれた部分を起立させ得るようにしたことを特徴とするコネクタ接続用線路付き多層基板の製造方法。
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WO2014013644A1 (ja) * | 2012-07-19 | 2014-01-23 | タイコエレクトロニクスジャパン合同会社 | 平板状コネクタ |
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JP2014220458A (ja) * | 2013-05-10 | 2014-11-20 | 株式会社村田製作所 | 樹脂多層基板 |
-
2003
- 2003-04-03 JP JP2003100192A patent/JP2004311563A/ja active Pending
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