JP2004153000A - プリント基板の製造方法およびそれにより製造されるプリント基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂フィルムとの密着性が高く、半田付け時の接続信頼性の高い表面の導体パターンを有するプリント基板の製造方法、およびそれにより製造されるプリント基板を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプリプレグからなる樹脂フィルム1に貼り合わされた金属箔をエッチングして、導体パターン2を形成する導体パターンフィルム10の準備工程と、樹脂フィルム1と難接着性であって、導体パターン2の形状に対して所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターン5hを有するシート5を準備するシート準備工程と、導体パターン2と縮小開口部パターン5を対向させて、導体パターンフィルム10上にシート5を積層する積層工程と、前記積層体を熱プレス板により加熱・加圧して、導体パターン2の外周部を変形しつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成する導体パターン成形工程とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプリプレグからなる樹脂フィルム1に貼り合わされた金属箔をエッチングして、導体パターン2を形成する導体パターンフィルム10の準備工程と、樹脂フィルム1と難接着性であって、導体パターン2の形状に対して所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターン5hを有するシート5を準備するシート準備工程と、導体パターン2と縮小開口部パターン5を対向させて、導体パターンフィルム10上にシート5を積層する積層工程と、前記積層体を熱プレス板により加熱・加圧して、導体パターン2の外周部を変形しつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成する導体パターン成形工程とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルムの表面に金属箔からなる導体パターンが形成されてなるプリント基板の製造方法、およびそれにより製造されるプリント基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂フィルムの表面に金属箔からなる導体パターンが形成されてなるプリント基板の製造方法が、例えば、特開2000−38464号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図5に、特許文献1に開示されたプリント基板の製造方法を示す。(a)はプリント基板を、また、(b)および(c)は製造に必要な素材の組合せを示す。各図中、1は樹脂フィルム(フィルム状絶縁体)、2は導体パターン、3は金属ペースト、11〜16は構成素材である。
【0004】
図5(a)に示されるプリント基板は、いわゆる4層基板といわれるもので、3枚の樹脂フィルム1を介して、導体パターン2が4層に構成され、また、導体パターン相互間は、通常、金属ペースト3によって接続される。しかして、このようなプリント基板を製造するには、図5(b)又は(c)に示されるような、表面に導体パターンを形成し又は形成していない樹脂フィルム1が、素材11〜16として用いられる。
【0005】
図5(b)の組合せでは、両面に導体パターンを形成した2つの素材11、13と表面に導体パターンを有しない素材12が使用され、これらを熱融着し、多層化することによって、図5(a)のプリント基板が得られる。また、図5(c)の組合せでは、片面のみに導体パターンを形成した2つの素材14、16と両面に導体パターンを形成した素材15が使用され、これらを熱融着し、多層化して、図5(a)のプリント基板とする。
【0006】
【特許文献1】特開2000−38464号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5(a)のプリント基板においては、表面の導体パターン2が樹脂フィルム1上に突き出て形成されている。このように樹脂フィルム上に突き出て形成された表面の導体パターン2は、一般的に、取り扱い時に剥がれが生じ易い。近年、プリント基板の導体パターンは微細化が進んで導体パターンが細くなっており、これに伴って樹脂フィルム1と導体パターン2の密着力が低下して、剥がれ易くなってきている。特に、表面の導体パターン2は半田接続のためのランドとして用いられるため、樹脂フィルム1と導体パターン2の十分な密着力を確保する必要がある。
【0008】
図6(a),(b)に、表面の導体パターン2を半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す。図6(a)は、図5(a)と同じで、樹脂フィルム1上に突き出て形成された導体パターン2を有するプリント基板100である。図6(b)は、加熱・加圧による積層時に圧力を大きくして、樹脂フィルム1に導体パターン2’を埋め込み形成したプリント基板100’である。
【0009】
図6(a)の導体パターン2は、前述したように樹脂フィルム1と導体パターン2の間で剥がれが生じ易いが、半田4が導体パターン2の側面まで回り込むために、導体パターン2と半田4の間の接続信頼性は高い。一方、図6(b)の導体パターン2’は、樹脂フィルム1に埋め込み形成されているため、樹脂フィルム1との間で剥がれは生じにくいが、半田4’の回り込みがないため、導体パターン2’と半田4’の間の接続信頼性が低い。
【0010】
そこで本発明の目的は、樹脂フィルムとの密着性が高く、半田付け時の接続信頼性の高い表面の導体パターンを有するプリント基板の製造方法、およびそれにより製造されるプリント基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグのいずれかからなる樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムと金属箔との貼り合わせフィルムにおける金属箔をエッチングし、所定の導体パターンを形成する導体パターンフィルムの準備工程と、前記樹脂フィルムと難接着性のシートであって、前記導体パターンの形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを準備するシート準備工程と、前記導体パターンと前記縮小開口部パターンを対向させて、前記導体パターンフィルム上に前記シートを積層する積層工程と、前記積層された導体パターンフィルムとシートを熱プレス板により加熱・加圧して、シートを介して、導体パターンの外周部を変形させつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成する導体パターン成形工程とを有することを特徴としている。
【0012】
これによれば、導体パターンフィルムと、導体パターンの形状に対して所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを対向させて積層すると、シートの開口領域が縮められた分だけ、導体パターンの外周部とシートの開口部の周囲が重なる。この積層体を所定の温度と圧力で加熱・加圧すると、樹脂フィルムの材料が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプリプレグからなるため、樹脂フィルムは加熱によって軟化した状態となる。また、導体パターンの外周部は、シートとの重なり部分に押圧されて、変形しつつ軟化した樹脂フィルム中に埋め込まれる。これによって、外周部のみ樹脂フィルム中に埋め込まれた導体パターンが、樹脂フィルム上に形成できる。
【0013】
このようにして製造されたプリント基板においては、表面に形成された導体パターンの外周部が樹脂フィルム中に埋め込まれているため、導体パターンと樹脂フィルムの密着強度を高めることができる。また、導体パターンは変形されて樹脂フィルムの表面から突き出て形成されるため、半田付け時には、半田が突き出た導体パターンの側面まで回り込むために、半田との接続信頼性を高めることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグのいずれかからなる樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムと金属箔との貼り合わせフィルムにおける金属箔をエッチングし、所定の導体パターンを形成する導体パターンフィルムの準備工程と、前記樹脂フィルムに、前記導体パターンを底とする孔を形成する有底孔形成工程と、前記有底孔に、金属ペーストを充填するペースト充填工程と、前記樹脂フィルムと難接着性のシートであって、前記導体パターンの形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを準備するシート準備工程と、複数枚の前記導体パターンフィルムを積層すると共に、その積層体表面の前記導体パターンと前記縮小開口部パターンを対向させて、前記導体パターンフィルム上に前記シートを積層する積層工程と、前記積層された複数枚の導体パターンフィルムおよびシートを熱プレス板により加熱・加圧して、シートを介して、対向する導体パターンの外周部を変形させつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成すると共に、当該導体パターンフィルムと前記他の導体パターンフィルム同士を接着し、前記金属ペーストを焼結させる加熱・加圧工程とを有することを特徴としている。
【0015】
これによれば、請求項1の発明と同様に、表面に形成された導体パターンと樹脂フィルムの密着強度が高く、半田付け時の接続信頼性を高めた多層のプリント基板を製造することができる。また、本発明のプリント基板の製造方法においては、表面の導体パターンにおける外周部の変形および樹脂フィルム中への埋め込みを、樹脂フィルム同士の接着および金属ペーストの焼結と同時に行なうことができる。従って、製造コストを抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記金属箔の材料が、銅であることを特徴としている。
【0017】
銅箔は、高い導電性と適度な強度を兼ね備えている。従って、プリント基板の導体パターン材料として優れており、本発明の外周部が変形され樹脂フィルム中へ埋め込み形成される導体パターン材料としても適している。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記シートの材料が、ポリイミドであることを特徴としている。
【0019】
ポリイミドは耐熱性があり、加熱された樹脂フィルムに対して難接着性を有している。従って、本発明に用いられるシート材料に適している。
【0020】
請求項5〜10に記載した発明は、前記の製造方法により製造されるプリント基板に関するものである。
【0021】
これらのプリント基板においては、表面に形成された導体パターンの外周部が樹脂フィルム中に埋め込まれているため、導体パターンと樹脂フィルムの密着強度が高い。従って、細い導体パターンであっても、取り扱い時の剥がれの発生を抑制することができる。特に、本発明のプリント基板が有する外周部が変形されて樹脂フィルム中に埋め込み形成されてなる導体パターンは、半田が導体パターンの側面まで回り込むために、請求項7に記載の発明のように、半田付けのためのランドに用いられて好適である。また、請求項9に記載の発明のように、表面の導体パターンの突出部に嵌め合わされた難接着性のシートを積層しておくことで、プリント基板への回路素子の搭載に際して、プリント基板の取り扱い時の汚れを防止することができる。その他の発明の効果については、前述と同様であり、詳細説明は省略する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプリント基板の製造方法およびそれにより製造されるプリント基板を、図に基づいて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。尚、図1(a)〜(e)において、図5(a)〜(c)に現れる各部と同様の部分については、同じ符号を付けた。
【0024】
最初に、図1(a)に示すように、樹脂フィルム1上に所定の導体パターン2を形成した導体パターンフィルム10を準備する。
【0025】
樹脂フィルム1はプリント基板の絶縁基体となるもので、材料としては、比較的低い温度で柔軟性を有する熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグが用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルイミド混合物、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド樹脂等を用いることができる。また、熱硬化性樹脂のプリプレグとしては、例えばポリイミド樹脂やエポキシ樹脂のプリプレグを用いることができる。熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグは、ガラス繊維等を含有するものであってもよい。
【0026】
導体パターン2はプリント基板の配線導体となるもので、樹脂フィルム1に貼り合わされた金属箔をエッチングして形成される。尚、樹脂フィルム1と金属箔の貼り合わせについては、積層して加熱加圧することにより行なわれるが、熱硬化性樹脂のプリプレグからなる樹脂フィルム1の場合には、熱硬化前の加熱温度に留める。一方、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム1の場合には、このような制限は必要ない。金属箔の材料としては、導電性の良い金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等を用いることができるが、高い導電性と適度な強度を兼ね備える銅が好ましい。
【0027】
また、図1(b)に示すように、図1(a)の導体パターンフィルム10とは別に、導体パターン2の形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターン5hを有するシート5を準備する。シート5の材料としては樹脂フィルム1と難接着性の材料であれば用いることができるが、耐熱性があり、加熱された樹脂フィルム1に対して難接着性を有するポリイミドが特に好ましい。
【0028】
次に、図1(c)に示すように、図1(a)で準備した導体パターンフィルム10と図1(b)で準備したシート5を、導体パターン2と縮小開口部パターン5hを対向させて積層する。シート5の縮小開口部パターン5hは、導体パターン2の形状に対して所定割合だけ開口部が縮小されているので、積層すると、図1(c)のようにシート5の開口領域が縮められた分だけ、導体パターン2の外周部とシート5の開口部の周囲が重なる。
【0029】
次に、図1(d)に示すように、図1(c)のように積層された導体パターンフィルム10とシート5は、付着防止フィルム51、緩衝材52、金属板53を介して、ヒータ55が埋設された一対の熱プレス板54の間に挿入され、加熱・加圧される。
【0030】
付着防止フィルム51は、加熱・加圧時の樹脂フィルム1が周りの部材へ付着したり、樹脂フィルム1と導体パターン2に傷がついたりするのを防止するもので、例えば熱硬化したポリイミドフィルム等が用いられる。緩衝材52は、積層体に均一に圧力を加えるためのもので、例えばステンレス等の金属を繊維状に裁断し、その繊維状金属を厚さ約1mmの板状に成型したものが用いられる。金属板53は、熱プレス板54に傷が入るのを防止するためのもので、例えばステンレス(SUS)やチタン(Ti)の厚さ約2mmの板が用いられる。
【0031】
尚、図1(d)において、緩衝材52と金属板53の積層順序は逆にしてもよい。
【0032】
積層体および上記の各プレス部材を配置した後、最初にヒータ55を発熱し、圧力を印加しない状態で全体を200℃で5分間加熱する。次に、図示しないプレス機により熱プレス板54を介して、積層体に20kg/cm2の圧力を印加する。次に、全体の温度を250〜350℃に設定し、10〜30分間、加熱・加圧する。加熱・加圧は大気中で行なってもよいが、導体パターン2の酸化を抑制するため、好ましくは真空中で行なうのがよい。
【0033】
以上の加熱・加圧により、樹脂フィルム1の材料が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプリプレグからなるため、樹脂フィルム1は加熱によって軟化した状態となる。また、導体パターン2の外周部は、シート5の重なり部に押圧されて、図1(d)の導体パターン2’’のように変形されつつ、外周部のみ樹脂フィルム1中に埋め込まれる。尚、樹脂フィルム1として熱硬化性樹脂のプリプレグを用いた場合には、導体パターン2’’の外周部を樹脂フィルム1中に埋め込んだ後、さらに温度を上げて、樹脂フィルム1を熱硬化させる。
【0034】
最後に、図1(e)に示すように、室温へ冷却後にシート5を取り外せば、外周部が変形されて、外周部が樹脂フィルム1中に埋め込み形成されてなる導体パターン2’’を有したプリント基板200を製造することができる。尚、シート5は、取り外さずにプリント基板200の表面にそのまま積層しておいてもよい。これによって、プリント基板200への回路素子の搭載に際して、プリント基板200の取り扱い時の汚れを防止することができる。
【0035】
以上のようにして製造したプリント基板200は、導体パターン2’’の外周部が樹脂フィルム1中に埋め込まれているため、図6(a)に示すプリント基板100と較べて、導体パターン2’’と樹脂フィルム1の密着強度が高い。従って、細い導体パターン2’’であっても、取り扱い時の剥がれ発生を抑制することができる。
【0036】
図2に、表面の導体パターン2’’を半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す。導体パターン2’’は変形されて樹脂フィルム1の表面から突き出ている。これによって半田付け時には、半田4’’が突き出た導体パターン2’’の側面まで回り込むために、図6(b)に示すプリント基板100’と較べて、導体パターン2’’と半田4’’との接続信頼性を高めることができる。
【0037】
このように、本実施形態のプリント基板200は、樹脂フィルムとの密着性が高く、半田付け時の接続信頼性の高い表面の導体パターンを有するプリント基板となっている。
【0038】
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、一層の導体パターンからなるプリント基板の製造方法およびそれにより製造されるプリント基板に関するものであった。第2の実施形態は、多層の導体パターンからなるプリント基板の製造方法およびそれにより製造されるプリント基板に関する。以下、本実施形態について、図に基づいて説明する。
【0039】
図3(a)〜(e)および図4(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。尚、図3(a)〜(e)および図4(a)〜(c)において、図1(a)〜(e)に現れる各部と同様の部分については同じ符号を付け、その説明は省略する。
【0040】
最初に、図3(a)に示すように、樹脂フィルム1上に所定の導体パターン2を形成した導体パターンフィルム20を準備する。
【0041】
図1(a)と同様、樹脂フィルム1はプリント基板の絶縁基体となるもので、材料としては、比較的低い温度で柔軟性を有する熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグが用いられる。また、導体パターン2はプリント基板の配線導体となるもので、樹脂フィルム1に貼り合わされた金属箔をエッチングして形成される。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、導体パターン2側と反対の樹脂フィルム1の表面に、保護フィルム6を貼り付ける。その後、炭酸ガス(CO2)レーザ加工機を用い、保護フィルム6側からレーザ光を照射して、導体パターン2を底面とする有底孔6hを形成する。
【0043】
次に、図3(c)に示すように、有底孔6h内に金属ペースト3を充填する。金属ペースト3は、銅(Cu)とスズ(Sn)の金属粒子にバインダ樹脂や有機溶剤を加え、これを混練してペースト化したものである。金属ペースト3は、金(Au)とスズ(Sn)、または銀(Ag)とスズ(Sn)の金属粒子を含んだペーストであってもよい。金属ペースト3は、ペースト充填装置のスキージにより、有底孔6h内に押し込み充填される。
【0044】
次に、図3(d)に示すように、保護フィルム6を剥がして、導体パターン2と有底孔6hに金属ペースト7が充填された導体パターンフィルム20が完成する。
【0045】
また、図3(e)に示すように、図1(b)と同様にして、プリント基板の表面に配置する導体パターンフィルム20の導体パターン2の形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターン5hを有するシート5を準備する。
【0046】
このようにして準備した複数枚の導体パターンフィルムを用いて、多層のプリント基板を製造する。
【0047】
図4(a)に示すように、導体パターンフィルム20〜23およびシート5,5’を所定の配置で積層する。
【0048】
プリント基板の両側表面に導体パターンが現れるように、図4(a)では片面に導体パターン2を有する4枚の導体パターンフィルム20〜23のうち、2枚の導体パターンフィルム22,23を反転して積層している。また、プリント基板の両側表面となる導体パターンフィルム20,23には、縮小開口部パターン5h,5h’を有するシート5,5’を、それぞれの導体パターン2に対向させて積層している。図1(c)の場合と同様に、シート5,5’の縮小開口部パターン5h,5h’は導体パターン2の形状より所定割合だけ開口部が縮小されているので、積層すると開口領域が縮められた分だけ、導体パターン2の外周部とシート5,5’の開口部の周囲が重なる。
【0049】
次に、図4(b)に示すように、積層された導体パターンフィルム20〜23およびシート5,5’を、熱プレス板により加熱・加圧する。
【0050】
図4(b)に示す加熱・加圧装置は、図1(d)で説明したものと同様である。また、加熱・加圧処理も、図1(d)の場合と同様であり、その説明は省略する。この加熱・加圧により、導体パターンフィルム20〜23の各樹脂フィルム1と導体パターン2が互いに接着すると共に、金属ペースト3が焼結する。これと同時に、両側表面の導体パターン2の外周部は、シート5,5’の重なり部に押圧されて、導体パターン2’’のように変形されつつ、外周部のみ樹脂フィルム1中に埋め込まれる。尚、樹脂フィルム1として熱硬化性樹脂のプリプレグを用いた場合には、導体パターン2’’の外周部を樹脂フィルム1中に埋め込んだ後、さらに温度を上げて、樹脂フィルム1を熱硬化させる。
【0051】
最後に、図4(c)に示すように、室温へ冷却後にシート5,5’を取り外せば、外周部が変形されて、外周部が樹脂フィルム1中に埋め込み形成されてなる導体パターン2’’を有した多層のプリント基板201を製造することができる。尚、シート5,5’は、取り外さずにプリント基板201の表面にそのまま積層しておいてもよい。これによって、プリント基板201への回路素子の搭載に際して、プリント基板201の取り扱い時の汚れを防止することができる。
【0052】
本実施形態のプリント基板201の製造方法においては、表面の導体パターン2’’における外周部の変形および樹脂フィルム1中への埋め込みを、樹脂フィルム1同士の接着および金属ペースト3の焼結と同時に行なうことができる。これによって、製造コストを抑制することができる。尚、本実施形態の多層のプリント基板201においても、第1実施形態のプリント基板200と同様、表面の導体パターン2’’と樹脂フィルム1の密着強度が高く、半田付け時の接続信頼性が高いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、本発明の第1実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。
【図2】第1実施形態におけるプリント基板の表面の導体パターンを、半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す図である。
【図3】(a)〜(e)は、本発明の第2実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。
【図5】従来のプリント基板の製造方法を示す図で、(a)はプリント基板を、また、(b)および(c)は製造に必要な素材の組合せを示す。
【図6】(a),(b)は、従来のプリント基板における表面の導体パターンを、半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す図である。
【符号の説明】
100,100’,200,201 プリント基板
10,20〜23, 導体パターンフィルム
1 樹脂フィルム(フィルム状絶縁体)
2,2’,2’’ 導体パターン
3 金属ペースト
4,4’,4’’ 半田
5,5’ シート
5h,5h’ 縮小開口部パターン
6h 有底孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルムの表面に金属箔からなる導体パターンが形成されてなるプリント基板の製造方法、およびそれにより製造されるプリント基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂フィルムの表面に金属箔からなる導体パターンが形成されてなるプリント基板の製造方法が、例えば、特開2000−38464号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図5に、特許文献1に開示されたプリント基板の製造方法を示す。(a)はプリント基板を、また、(b)および(c)は製造に必要な素材の組合せを示す。各図中、1は樹脂フィルム(フィルム状絶縁体)、2は導体パターン、3は金属ペースト、11〜16は構成素材である。
【0004】
図5(a)に示されるプリント基板は、いわゆる4層基板といわれるもので、3枚の樹脂フィルム1を介して、導体パターン2が4層に構成され、また、導体パターン相互間は、通常、金属ペースト3によって接続される。しかして、このようなプリント基板を製造するには、図5(b)又は(c)に示されるような、表面に導体パターンを形成し又は形成していない樹脂フィルム1が、素材11〜16として用いられる。
【0005】
図5(b)の組合せでは、両面に導体パターンを形成した2つの素材11、13と表面に導体パターンを有しない素材12が使用され、これらを熱融着し、多層化することによって、図5(a)のプリント基板が得られる。また、図5(c)の組合せでは、片面のみに導体パターンを形成した2つの素材14、16と両面に導体パターンを形成した素材15が使用され、これらを熱融着し、多層化して、図5(a)のプリント基板とする。
【0006】
【特許文献1】特開2000−38464号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5(a)のプリント基板においては、表面の導体パターン2が樹脂フィルム1上に突き出て形成されている。このように樹脂フィルム上に突き出て形成された表面の導体パターン2は、一般的に、取り扱い時に剥がれが生じ易い。近年、プリント基板の導体パターンは微細化が進んで導体パターンが細くなっており、これに伴って樹脂フィルム1と導体パターン2の密着力が低下して、剥がれ易くなってきている。特に、表面の導体パターン2は半田接続のためのランドとして用いられるため、樹脂フィルム1と導体パターン2の十分な密着力を確保する必要がある。
【0008】
図6(a),(b)に、表面の導体パターン2を半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す。図6(a)は、図5(a)と同じで、樹脂フィルム1上に突き出て形成された導体パターン2を有するプリント基板100である。図6(b)は、加熱・加圧による積層時に圧力を大きくして、樹脂フィルム1に導体パターン2’を埋め込み形成したプリント基板100’である。
【0009】
図6(a)の導体パターン2は、前述したように樹脂フィルム1と導体パターン2の間で剥がれが生じ易いが、半田4が導体パターン2の側面まで回り込むために、導体パターン2と半田4の間の接続信頼性は高い。一方、図6(b)の導体パターン2’は、樹脂フィルム1に埋め込み形成されているため、樹脂フィルム1との間で剥がれは生じにくいが、半田4’の回り込みがないため、導体パターン2’と半田4’の間の接続信頼性が低い。
【0010】
そこで本発明の目的は、樹脂フィルムとの密着性が高く、半田付け時の接続信頼性の高い表面の導体パターンを有するプリント基板の製造方法、およびそれにより製造されるプリント基板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグのいずれかからなる樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムと金属箔との貼り合わせフィルムにおける金属箔をエッチングし、所定の導体パターンを形成する導体パターンフィルムの準備工程と、前記樹脂フィルムと難接着性のシートであって、前記導体パターンの形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを準備するシート準備工程と、前記導体パターンと前記縮小開口部パターンを対向させて、前記導体パターンフィルム上に前記シートを積層する積層工程と、前記積層された導体パターンフィルムとシートを熱プレス板により加熱・加圧して、シートを介して、導体パターンの外周部を変形させつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成する導体パターン成形工程とを有することを特徴としている。
【0012】
これによれば、導体パターンフィルムと、導体パターンの形状に対して所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを対向させて積層すると、シートの開口領域が縮められた分だけ、導体パターンの外周部とシートの開口部の周囲が重なる。この積層体を所定の温度と圧力で加熱・加圧すると、樹脂フィルムの材料が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプリプレグからなるため、樹脂フィルムは加熱によって軟化した状態となる。また、導体パターンの外周部は、シートとの重なり部分に押圧されて、変形しつつ軟化した樹脂フィルム中に埋め込まれる。これによって、外周部のみ樹脂フィルム中に埋め込まれた導体パターンが、樹脂フィルム上に形成できる。
【0013】
このようにして製造されたプリント基板においては、表面に形成された導体パターンの外周部が樹脂フィルム中に埋め込まれているため、導体パターンと樹脂フィルムの密着強度を高めることができる。また、導体パターンは変形されて樹脂フィルムの表面から突き出て形成されるため、半田付け時には、半田が突き出た導体パターンの側面まで回り込むために、半田との接続信頼性を高めることができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグのいずれかからなる樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムと金属箔との貼り合わせフィルムにおける金属箔をエッチングし、所定の導体パターンを形成する導体パターンフィルムの準備工程と、前記樹脂フィルムに、前記導体パターンを底とする孔を形成する有底孔形成工程と、前記有底孔に、金属ペーストを充填するペースト充填工程と、前記樹脂フィルムと難接着性のシートであって、前記導体パターンの形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを準備するシート準備工程と、複数枚の前記導体パターンフィルムを積層すると共に、その積層体表面の前記導体パターンと前記縮小開口部パターンを対向させて、前記導体パターンフィルム上に前記シートを積層する積層工程と、前記積層された複数枚の導体パターンフィルムおよびシートを熱プレス板により加熱・加圧して、シートを介して、対向する導体パターンの外周部を変形させつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成すると共に、当該導体パターンフィルムと前記他の導体パターンフィルム同士を接着し、前記金属ペーストを焼結させる加熱・加圧工程とを有することを特徴としている。
【0015】
これによれば、請求項1の発明と同様に、表面に形成された導体パターンと樹脂フィルムの密着強度が高く、半田付け時の接続信頼性を高めた多層のプリント基板を製造することができる。また、本発明のプリント基板の製造方法においては、表面の導体パターンにおける外周部の変形および樹脂フィルム中への埋め込みを、樹脂フィルム同士の接着および金属ペーストの焼結と同時に行なうことができる。従って、製造コストを抑制することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、前記金属箔の材料が、銅であることを特徴としている。
【0017】
銅箔は、高い導電性と適度な強度を兼ね備えている。従って、プリント基板の導体パターン材料として優れており、本発明の外周部が変形され樹脂フィルム中へ埋め込み形成される導体パターン材料としても適している。
【0018】
請求項4に記載の発明は、前記シートの材料が、ポリイミドであることを特徴としている。
【0019】
ポリイミドは耐熱性があり、加熱された樹脂フィルムに対して難接着性を有している。従って、本発明に用いられるシート材料に適している。
【0020】
請求項5〜10に記載した発明は、前記の製造方法により製造されるプリント基板に関するものである。
【0021】
これらのプリント基板においては、表面に形成された導体パターンの外周部が樹脂フィルム中に埋め込まれているため、導体パターンと樹脂フィルムの密着強度が高い。従って、細い導体パターンであっても、取り扱い時の剥がれの発生を抑制することができる。特に、本発明のプリント基板が有する外周部が変形されて樹脂フィルム中に埋め込み形成されてなる導体パターンは、半田が導体パターンの側面まで回り込むために、請求項7に記載の発明のように、半田付けのためのランドに用いられて好適である。また、請求項9に記載の発明のように、表面の導体パターンの突出部に嵌め合わされた難接着性のシートを積層しておくことで、プリント基板への回路素子の搭載に際して、プリント基板の取り扱い時の汚れを防止することができる。その他の発明の効果については、前述と同様であり、詳細説明は省略する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプリント基板の製造方法およびそれにより製造されるプリント基板を、図に基づいて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1(a)〜(e)は、本発明の第1の実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。尚、図1(a)〜(e)において、図5(a)〜(c)に現れる各部と同様の部分については、同じ符号を付けた。
【0024】
最初に、図1(a)に示すように、樹脂フィルム1上に所定の導体パターン2を形成した導体パターンフィルム10を準備する。
【0025】
樹脂フィルム1はプリント基板の絶縁基体となるもので、材料としては、比較的低い温度で柔軟性を有する熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグが用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン/ポリエーテルイミド混合物、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド樹脂等を用いることができる。また、熱硬化性樹脂のプリプレグとしては、例えばポリイミド樹脂やエポキシ樹脂のプリプレグを用いることができる。熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグは、ガラス繊維等を含有するものであってもよい。
【0026】
導体パターン2はプリント基板の配線導体となるもので、樹脂フィルム1に貼り合わされた金属箔をエッチングして形成される。尚、樹脂フィルム1と金属箔の貼り合わせについては、積層して加熱加圧することにより行なわれるが、熱硬化性樹脂のプリプレグからなる樹脂フィルム1の場合には、熱硬化前の加熱温度に留める。一方、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルム1の場合には、このような制限は必要ない。金属箔の材料としては、導電性の良い金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等を用いることができるが、高い導電性と適度な強度を兼ね備える銅が好ましい。
【0027】
また、図1(b)に示すように、図1(a)の導体パターンフィルム10とは別に、導体パターン2の形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターン5hを有するシート5を準備する。シート5の材料としては樹脂フィルム1と難接着性の材料であれば用いることができるが、耐熱性があり、加熱された樹脂フィルム1に対して難接着性を有するポリイミドが特に好ましい。
【0028】
次に、図1(c)に示すように、図1(a)で準備した導体パターンフィルム10と図1(b)で準備したシート5を、導体パターン2と縮小開口部パターン5hを対向させて積層する。シート5の縮小開口部パターン5hは、導体パターン2の形状に対して所定割合だけ開口部が縮小されているので、積層すると、図1(c)のようにシート5の開口領域が縮められた分だけ、導体パターン2の外周部とシート5の開口部の周囲が重なる。
【0029】
次に、図1(d)に示すように、図1(c)のように積層された導体パターンフィルム10とシート5は、付着防止フィルム51、緩衝材52、金属板53を介して、ヒータ55が埋設された一対の熱プレス板54の間に挿入され、加熱・加圧される。
【0030】
付着防止フィルム51は、加熱・加圧時の樹脂フィルム1が周りの部材へ付着したり、樹脂フィルム1と導体パターン2に傷がついたりするのを防止するもので、例えば熱硬化したポリイミドフィルム等が用いられる。緩衝材52は、積層体に均一に圧力を加えるためのもので、例えばステンレス等の金属を繊維状に裁断し、その繊維状金属を厚さ約1mmの板状に成型したものが用いられる。金属板53は、熱プレス板54に傷が入るのを防止するためのもので、例えばステンレス(SUS)やチタン(Ti)の厚さ約2mmの板が用いられる。
【0031】
尚、図1(d)において、緩衝材52と金属板53の積層順序は逆にしてもよい。
【0032】
積層体および上記の各プレス部材を配置した後、最初にヒータ55を発熱し、圧力を印加しない状態で全体を200℃で5分間加熱する。次に、図示しないプレス機により熱プレス板54を介して、積層体に20kg/cm2の圧力を印加する。次に、全体の温度を250〜350℃に設定し、10〜30分間、加熱・加圧する。加熱・加圧は大気中で行なってもよいが、導体パターン2の酸化を抑制するため、好ましくは真空中で行なうのがよい。
【0033】
以上の加熱・加圧により、樹脂フィルム1の材料が熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のプリプレグからなるため、樹脂フィルム1は加熱によって軟化した状態となる。また、導体パターン2の外周部は、シート5の重なり部に押圧されて、図1(d)の導体パターン2’’のように変形されつつ、外周部のみ樹脂フィルム1中に埋め込まれる。尚、樹脂フィルム1として熱硬化性樹脂のプリプレグを用いた場合には、導体パターン2’’の外周部を樹脂フィルム1中に埋め込んだ後、さらに温度を上げて、樹脂フィルム1を熱硬化させる。
【0034】
最後に、図1(e)に示すように、室温へ冷却後にシート5を取り外せば、外周部が変形されて、外周部が樹脂フィルム1中に埋め込み形成されてなる導体パターン2’’を有したプリント基板200を製造することができる。尚、シート5は、取り外さずにプリント基板200の表面にそのまま積層しておいてもよい。これによって、プリント基板200への回路素子の搭載に際して、プリント基板200の取り扱い時の汚れを防止することができる。
【0035】
以上のようにして製造したプリント基板200は、導体パターン2’’の外周部が樹脂フィルム1中に埋め込まれているため、図6(a)に示すプリント基板100と較べて、導体パターン2’’と樹脂フィルム1の密着強度が高い。従って、細い導体パターン2’’であっても、取り扱い時の剥がれ発生を抑制することができる。
【0036】
図2に、表面の導体パターン2’’を半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す。導体パターン2’’は変形されて樹脂フィルム1の表面から突き出ている。これによって半田付け時には、半田4’’が突き出た導体パターン2’’の側面まで回り込むために、図6(b)に示すプリント基板100’と較べて、導体パターン2’’と半田4’’との接続信頼性を高めることができる。
【0037】
このように、本実施形態のプリント基板200は、樹脂フィルムとの密着性が高く、半田付け時の接続信頼性の高い表面の導体パターンを有するプリント基板となっている。
【0038】
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、一層の導体パターンからなるプリント基板の製造方法およびそれにより製造されるプリント基板に関するものであった。第2の実施形態は、多層の導体パターンからなるプリント基板の製造方法およびそれにより製造されるプリント基板に関する。以下、本実施形態について、図に基づいて説明する。
【0039】
図3(a)〜(e)および図4(a)〜(c)は、本発明の第2の実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。尚、図3(a)〜(e)および図4(a)〜(c)において、図1(a)〜(e)に現れる各部と同様の部分については同じ符号を付け、その説明は省略する。
【0040】
最初に、図3(a)に示すように、樹脂フィルム1上に所定の導体パターン2を形成した導体パターンフィルム20を準備する。
【0041】
図1(a)と同様、樹脂フィルム1はプリント基板の絶縁基体となるもので、材料としては、比較的低い温度で柔軟性を有する熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグが用いられる。また、導体パターン2はプリント基板の配線導体となるもので、樹脂フィルム1に貼り合わされた金属箔をエッチングして形成される。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、導体パターン2側と反対の樹脂フィルム1の表面に、保護フィルム6を貼り付ける。その後、炭酸ガス(CO2)レーザ加工機を用い、保護フィルム6側からレーザ光を照射して、導体パターン2を底面とする有底孔6hを形成する。
【0043】
次に、図3(c)に示すように、有底孔6h内に金属ペースト3を充填する。金属ペースト3は、銅(Cu)とスズ(Sn)の金属粒子にバインダ樹脂や有機溶剤を加え、これを混練してペースト化したものである。金属ペースト3は、金(Au)とスズ(Sn)、または銀(Ag)とスズ(Sn)の金属粒子を含んだペーストであってもよい。金属ペースト3は、ペースト充填装置のスキージにより、有底孔6h内に押し込み充填される。
【0044】
次に、図3(d)に示すように、保護フィルム6を剥がして、導体パターン2と有底孔6hに金属ペースト7が充填された導体パターンフィルム20が完成する。
【0045】
また、図3(e)に示すように、図1(b)と同様にして、プリント基板の表面に配置する導体パターンフィルム20の導体パターン2の形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターン5hを有するシート5を準備する。
【0046】
このようにして準備した複数枚の導体パターンフィルムを用いて、多層のプリント基板を製造する。
【0047】
図4(a)に示すように、導体パターンフィルム20〜23およびシート5,5’を所定の配置で積層する。
【0048】
プリント基板の両側表面に導体パターンが現れるように、図4(a)では片面に導体パターン2を有する4枚の導体パターンフィルム20〜23のうち、2枚の導体パターンフィルム22,23を反転して積層している。また、プリント基板の両側表面となる導体パターンフィルム20,23には、縮小開口部パターン5h,5h’を有するシート5,5’を、それぞれの導体パターン2に対向させて積層している。図1(c)の場合と同様に、シート5,5’の縮小開口部パターン5h,5h’は導体パターン2の形状より所定割合だけ開口部が縮小されているので、積層すると開口領域が縮められた分だけ、導体パターン2の外周部とシート5,5’の開口部の周囲が重なる。
【0049】
次に、図4(b)に示すように、積層された導体パターンフィルム20〜23およびシート5,5’を、熱プレス板により加熱・加圧する。
【0050】
図4(b)に示す加熱・加圧装置は、図1(d)で説明したものと同様である。また、加熱・加圧処理も、図1(d)の場合と同様であり、その説明は省略する。この加熱・加圧により、導体パターンフィルム20〜23の各樹脂フィルム1と導体パターン2が互いに接着すると共に、金属ペースト3が焼結する。これと同時に、両側表面の導体パターン2の外周部は、シート5,5’の重なり部に押圧されて、導体パターン2’’のように変形されつつ、外周部のみ樹脂フィルム1中に埋め込まれる。尚、樹脂フィルム1として熱硬化性樹脂のプリプレグを用いた場合には、導体パターン2’’の外周部を樹脂フィルム1中に埋め込んだ後、さらに温度を上げて、樹脂フィルム1を熱硬化させる。
【0051】
最後に、図4(c)に示すように、室温へ冷却後にシート5,5’を取り外せば、外周部が変形されて、外周部が樹脂フィルム1中に埋め込み形成されてなる導体パターン2’’を有した多層のプリント基板201を製造することができる。尚、シート5,5’は、取り外さずにプリント基板201の表面にそのまま積層しておいてもよい。これによって、プリント基板201への回路素子の搭載に際して、プリント基板201の取り扱い時の汚れを防止することができる。
【0052】
本実施形態のプリント基板201の製造方法においては、表面の導体パターン2’’における外周部の変形および樹脂フィルム1中への埋め込みを、樹脂フィルム1同士の接着および金属ペースト3の焼結と同時に行なうことができる。これによって、製造コストを抑制することができる。尚、本実施形態の多層のプリント基板201においても、第1実施形態のプリント基板200と同様、表面の導体パターン2’’と樹脂フィルム1の密着強度が高く、半田付け時の接続信頼性が高いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、本発明の第1実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。
【図2】第1実施形態におけるプリント基板の表面の導体パターンを、半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す図である。
【図3】(a)〜(e)は、本発明の第2実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態におけるプリント基板の製造方法を示す工程別断面図である。
【図5】従来のプリント基板の製造方法を示す図で、(a)はプリント基板を、また、(b)および(c)は製造に必要な素材の組合せを示す。
【図6】(a),(b)は、従来のプリント基板における表面の導体パターンを、半田接続のためのランドとして用いた場合の状態を示す図である。
【符号の説明】
100,100’,200,201 プリント基板
10,20〜23, 導体パターンフィルム
1 樹脂フィルム(フィルム状絶縁体)
2,2’,2’’ 導体パターン
3 金属ペースト
4,4’,4’’ 半田
5,5’ シート
5h,5h’ 縮小開口部パターン
6h 有底孔
Claims (10)
- 熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグのいずれかからなる樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムと金属箔との貼り合わせフィルムにおける金属箔をエッチングし、所定の導体パターンを形成する導体パターンフィルムの準備工程と、
前記樹脂フィルムと難接着性のシートであって、前記導体パターンの形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを準備するシート準備工程と、
前記導体パターンと前記縮小開口部パターンを対向させて、前記導体パターンフィルム上に前記シートを積層する積層工程と、
前記積層された導体パターンフィルムとシートを熱プレス板により加熱・加圧して、シートを介して、導体パターンの外周部を変形させつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成する導体パターン成形工程とを有することを特徴とするプリント基板の製造方法。 - 熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂のプリプレグのいずれかからなる樹脂フィルムと、当該樹脂フィルムと金属箔との貼り合わせフィルムにおける金属箔をエッチングし、所定の導体パターンを形成する導体パターンフィルムの準備工程と、
前記樹脂フィルムに、前記導体パターンを底とする孔を形成する有底孔形成工程と、
前記有底孔に、金属ペーストを充填するペースト充填工程と、
前記樹脂フィルムと難接着性のシートであって、前記導体パターンの形状に対して、所定割合だけ縮小した形状の縮小開口部パターンを有するシートを準備するシート準備工程と、
複数枚の前記導体パターンフィルムを積層すると共に、その積層体表面の前記導体パターンと前記縮小開口部パターンを対向させて、前記導体パターンフィルム上に前記シートを積層する積層工程と、
前記積層された複数枚の導体パターンフィルムおよびシートを熱プレス板により加熱・加圧して、シートを介して、対向する導体パターンの外周部を変形させつつ樹脂フィルム中に埋め込み形成すると共に、当該導体パターンフィルムと前記他の導体パターンフィルム同士を接着し、前記金属ペーストを焼結させる加熱・加圧工程とを有することを特徴とするプリント基板の製造方法。 - 前記金属箔の材料が、銅であることを特徴とする請求項1または2に記載のプリント基板の製造方法。
- 前記シートの材料が、ポリイミドであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリント基板の製造方法。
- 樹脂フィルムの表面に金属箔からなる導体パターンが形成されてなるプリント基板であって、
前記導体パターンの外周部が変形されて、当該外周部が樹脂フィルム中に埋め込み形成されてなることを特徴とするプリント基板。 - 金属箔からなる導体パターンが形成された樹脂フィルムが複数枚積層されてなるプリント基板であって、
前記複数枚の樹脂フィルムが相互に貼り合わされてなる絶縁性の樹脂母材と、前記樹脂フィルム中に埋め込み形成されてなる内部の導体パターン、および外周部が変形されて当該外周部が樹脂フィルム中に埋め込み形成されてなる表面の導体パターンと、
前記樹脂フィルムに形成された貫通孔に充填された金属ペーストが焼結されてなる、前記導体パターン同士を接続する接続導体とを有することを特徴とするプリント基板。 - 前記外周部が変形されて当該外周部が樹脂フィルム中に埋め込み形成されてなる導体パターンが、半田付けのためのランドあることを特徴とする請求項5または6に記載のプリント基板。
- 前記金属箔の材料が、銅であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のプリント基板。
- 前記外周部が変形されて、当該外周部が樹脂フィルム中に埋め込み形成されてなる導体パターンに対して、当該導体パターンの樹脂フィルムからの突出部に対応した開口部を有し、樹脂フィルムと難接着性のシートが、突出部と開口部が嵌め合わされて、当該樹脂フィルム上に積層されてなることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか1項に記載のプリント基板。
- 前記シートの材料が、ポリイミドであることを特徴とする請求項9に記載のプリント基板。
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