JP2004087231A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】密閉型電池において、電池容量の低下を抑制しつつ、作動電圧の向上をはかる。
【解決手段】正極電極板と負極電極板とを相対向して外装容器内に配置した密閉型蓄電池において、前記正極電極板または負極電極板の少なくとも一方が、集電部から離れるに従って活物質の充填密度が小さくなるように構成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】正極電極板と負極電極板とを相対向して外装容器内に配置した密閉型蓄電池において、前記正極電極板または負極電極板の少なくとも一方が、集電部から離れるに従って活物質の充填密度が小さくなるように構成されたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極電極板と負極電極板とを相対向して外装容器内に配置し、前記正極電極板、もしくは負極電極板の少なくとも一方に集電体が接続された電極体を備えた電池に係わり、特に電極板を改良した電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、円筒型電池は、正極電極板及び負極電極板をセパレータを介して渦巻状に巻回して渦巻状の電極体を作製し、これを外装缶内に挿入することにより製造している。
【0003】
例えば図1に示すように円筒型ニッケル水素電池等の円筒型アルカリ蓄電池を構成する極板群は、セパレータ3を介して正極電極板1および負極電極板2を渦巻状に巻回し、外装缶4内に収納され、負極電極板2は集電リード2a(集電体)を介して外装缶4の底部に接続され、正極電極板1は集電リード1a(集電体)を介して、外装缶上部の正極端子部を兼ねる封口板5に接続される。さらに封口板5はスプリング7を介して封口キャップ8に接続され、この封口キャップ8が正極端子として使用される。また、外装缶4と封口板との間はガスケット6を介して絶縁分離されている。
【0004】
例えば、正極電極板ではニッケル板からなる集電リード1aがニッケル発泡基板に溶接されており、この集電リード1aが正極端子となる封口板5に溶接される。特に大電流放電用途の密閉型蓄電池では、集電性を向上するために、電解液の保液性を高め、電極反応性を向上すべく、電極全体に亘って活物質の充填密度を下げるという方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれでは充填密度が低い分、正極活物質量が小さくなり電池容量が小さくなってしまうという問題があった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、電池容量の低下を抑制しつつ、作動電圧の向上をはかることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の電池では、正極電極板と負極電極板とを相対向して外装容器内に配置し、前記正極電極板、もしくは負極電極板の少なくとも一方に集電体が接続された集電部を備えた電池において、前記集電部を備える正極電極板または負極電極板の少なくとも一方が、集電部から離れるに従って活物質の充填密度が連続的、もしくは段階的に変化するように構成されている。
【0007】
一般に、集電部に近いところでは構造的に集電性が良いため、集電部に近い活物質ほど集電性がよく、集電部から離れるに従って集電性が低下する。そこで、本発明では、集電性が悪いと電池の作動電圧が低くなってしまうという現象に着目し、集電部からの距離に応じて活物質の充填密度を変化させ、電極板内で電解液を適切に配分することで電極反応性を高め、電池の作動電圧を高めるようにしたものである。
【0008】
通常、集電部は大型電池の場合はリボン状(帯状)の集電体を電極端辺部のほぼ全辺の亘って取り付けて集電リードと接続し、集電部を形成するという方法がとられており、小型電池の場合は短冊状の集電体を電極の端辺部の一部に直接取り付け、集電部を形成するという方法が取られている。本発明においてはこれら全てを含め電極板に集電体が取り付けられた部分を集電部とする。尚、リボン状(帯状)の集電体を取り付ける場合は端辺部の集電部に対して平行に密度が変化し、短冊状の集電体を取り付ける場合は取り付け部の集電部から放射状に充填密度が変化することになる。尚、巻回タイプ電極群を有する電池では短冊状とリボン状、積層タイプの電極群を有する電池では短冊状の集電体を用いるが、巻回、積層の違いに関らず、集電部のタイプによって密度の変化のパターンが異なり、これに対応して密度を変化させることによってより高効率化をはかることができる。
【0009】
望ましくは、この活物質の充填密度を、集電部から離れるに従って連続的、もしくは段階的に減少するように構成すれば、電池容量の低下を最大限に抑制しつつ、作動電圧の向上をはかることができる。
【0010】
望ましくは、前記正極電極板の前記充填密度は、2〜3g/cm3の範囲内にあることを特徴とする。充填密度が2g/cm3より低くなると電池容量が低下し、3g/cm3を超えると作動電圧が低下するが、2g/cm3〜3g/cm3の範囲にあれば電池容量と作動電圧のバランスが良好となる。
【0011】
また電極板は、非焼結式である場合に特に有効である。焼結式の場合、活物質の充填は化学含浸によるため、電極板内で充填密度を変化させることが難しいが、非焼結式の場合、充填密度の制御が容易である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、本実施の形態の円筒型ニッケル水素電池では、正極電極板1と負極電極板2とを相対向して外装容器4内に配置し、正極電極板が、集電部としての集電リード1aから離れるに従って活物質の充填密度が小さくなるように構成している。
【0013】
他の部分については、通例のニッケル水素電池と同様に形成されており、図1に示すように円筒型蓄電池を構成する極板群は、セパレータ3を介して正極電極板1および負極電極板2を渦巻状に巻回し、外装缶4内に収納され、負極電極板2は集電リード2aを介して外装缶4の底部に接続され、正極電極板1は集電リード1aを介して、外装缶4上部に配設された封口板5に接続されている。この封口板5はスプリング7を介して正極端子としての封口キャップ8に接続される。そして外装缶4と封口板5との間はガスケット6を介して絶縁分離している。
【0014】
集電リード1aに近い活物質ほど集電性がよく、集電リード1aから離れるに従って集電性が低下する。そこで、集電リード1aから離れるに従い、集電性の低下を生じる分だけ、正極活物質の充填密度を小さくし、保液率を高めるようにして補償する。その一方で、集電性の高い集電リード1aの近傍では充填密度を高くして、電池容量の低下を抑制するものである。
【0015】
本発明の蓄電池は、正極板が非焼結式であるニッケル−水素蓄電池などの円筒型アルカリ蓄電池に特に有効であるが、リチウム電池あるいは、鉛蓄電池等の二次電池であってもよい。また筒型であれば角筒型蓄電池にも適用可能であることはいうまでもない。
本発明において好ましいのはニッケル−水素蓄電池である。
【0016】
以下、ニッケル−水素蓄電池に適用した場合について実施例について説明する。
1.電極体の作製
ニッケル−水素蓄電池は、ニッケル正極板と水素吸蔵合金負極板とを備えている。ニッケル正極板(正極電極板1)は、発泡ニッケルからなる極板芯体に、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を主体とする活物質ペーストを、2段階の密度となるように用意し、極板の一端部から遠ざかるに従って、すなわち1Aから1Bにいくに従って密度が小さくなるように層状に順次極板芯体に塗布量を調整しながら塗布して作製されている。一方、水素吸蔵合金負極板は、パンチングメタルからなる極板芯体の表面に水素吸蔵合金からなるペースト状負極活物質を充填し、乾燥させた後、所定の厚みになるまで圧延して作製される。
【0017】
すなわち正極電極板1の製造にあたっては、まず、例えば、水酸化ニッケル粒子、導電助剤としてのコバルト系粒子、結着剤および水を含むペーストを調製する。次に、このペーストを上述のようにして正極芯体に塗着もしくは充填した後乾燥し、更に加圧成形処理を施すことによりペーストを芯体に担持させる。そして、これを所望のサイズに裁断若しくは打ち抜き加工し、さらに極板の一端部に充填されている活物質を脱落して所定の大きさの芯体露出部を形成し、この部分に集電部を構成する帯状の金属板を溶接する。以上のようにして正極電極板1が製造される。
【0018】
前記水酸化ニッケル粒子としては、例えば単一の水酸化ニッケル粒子、または亜鉛及びコバルトのいずれか一方もしくは両方が金属ニッケルと共沈された水酸化ニッケル粒子を用いることができる。後者の水酸化ニッケル粒子を含む正極板は、高温状態における充電効率を更に向上することが可能になる。
また、電池の充放電効率を向上する観点から、前記水酸化ニッケル粒子のX線粉末回折法による(101)面のピーク半価幅は、0.8°/2θ(Cu−Kα)以上にすることが好ましい。より好ましい水酸化ニッケル粉末の粉末X線回折法による(101)面のピークの半価幅は、0.9〜1.0°/2θ(Cu−Kα)である。
【0019】
前記結着剤としては、疎水性ポリマー及び親水性ポリマーを用いることができる。より詳しくは、疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム系ポリマー(例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)のラテックス、アリロニトリルブタジエンゴム(NBR)のラテックス、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)のラテックス)等を挙げることができる。
【0020】
一方、親水性ポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリアクリル酸塩(例えばポリアクリル酸ナトリウム(SPA))、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド、COOX基を少なくとも一つ有するモノマーとビニルアルコールとの共重合体(但し、Xは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる元素からなる)等を挙げることができる。
なお、結着剤としては、これらのポリマーから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリテトラフルオロエチレンはディスパージョンの形態で用いることができる。
【0021】
前記コバルト系粒子を形成するコバルト化合物としては、例えば三酸化二コバルト(Co2O3)、コバルト金属(Co)、一酸化コバルト(CoO)、水酸化コバルト(Co(OH)2)等を挙げることができる。
前記芯体としては、例えばニッケル、ステンレス等の金属や、ニッケルメッキが施された樹脂などからなるスポンジ状、繊維状、フェルト状の多孔質構造を有するものを挙げることができる。
【0022】
前記負極活物質としては、例えば金属カドミウム、水酸化カドミウムなどのカドミウム化合物、水素等を挙げることができる。なお、負極活物質が水素の場合には、負極活物質の代わりに、水素を吸蔵する、例えば水素吸蔵合金をペーストに配合する。
【0023】
中でも、前記水素吸蔵合金は、前記カドミウム化合物を用いた場合よりも二次電池の容量を向上できるため、好ましい。前記水素吸蔵合金は、格別制限されるものではなく電解液中で電気化学的に発生させた水素を吸蔵でき、かつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出できるものであればよい。例えば、LaNi5,MmNi5(Mmはミッシュメタル)、LmNi5(LmはLaを含む希土類元素から選ばれる少なくとも一種)、これら合金のNiの一部をAl,Mn,Co,Ti,Cu,Zn,Zr,Cr,Bのような元素で置換した多元素系のもの、またはTiNi系、TiFe系のものを挙げることができる。特に、一般式LmNiwCoxMnyAlz(原子比w,x,y,zの合計値は5.00≦w+x+y+z≦5.50である)で表される組成の水素吸蔵合金は充放電サイクルの進行に伴う微粉化を抑制して充放電サイクル寿命を向上できるための好適である。
【0024】
前記結着剤としては、前述した正極板で説明したものと同様なポリマーから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。前記導電材としては、例えばカーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0025】
前記負極芯体としては、例えばパンチドメタル、エキスパンデッドメタル、穿孔剛板、ニッケルネットなどの二次元基板を挙げることができる。
【0026】
電極活物質を担持する芯体としては、上記の他、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの、負極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、焼成炭素などの他に、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの)、Al−Cd合金などが用いられる。これらの材料の表面を酸化することも用いられる。形状は、発泡ニッケルの他、フォイル、フィルム、シート、ネット、パンチされたもの、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが用いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μm程度とするのが望ましい。
【0027】
電極のセパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち絶縁性の多孔性薄膜が用いられる。耐有機溶剤性と疎水性からポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維あるいはポリエチレンなどからつくられた多孔性シートや不織布が用いられる。セパレータの孔径は、一般に電池用として用いられる、例えば、0.01〜10μmの範囲である。セパレータの厚みは5〜300μmの範囲が望ましい。
【0028】
これらのニッケル正極板と水素吸蔵合金負極板との間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回して渦巻状の電極体を作製する。この渦巻状の電極群の上端面には、ニッケル正極板の極板芯体である発砲ニッケルの端部が露出し帯状の金属板が溶接されている、また、下端面には水素吸蔵合金負極板の極板芯体であるパンチングメタルの端部が露出している。そして、この渦巻状の電極群の上端面金属板に多数の開口を有する円板状の集電体本体部とリード部とからなる集電リード1aを溶接するとともに、下端面に露出する負極芯体に多数の開口を有する円板状の負極用の集電リード2aを溶接して、渦巻状の電極体を作製する。
【0029】
2.ニッケル−水素蓄電池の作製。
次に、電極体を外装容器に挿入して集電リード1aの上端を介して封口体5と溶接する。そして、外装容器4の開口部に封口体5を封口し、その後封口部をプレスする。
【0030】
そして、この集電リードを用いてニッケル−水素蓄電池を組み立てるに際しては、まず、上述の電極体を鉄にニッケルメッキを施した有底筒状の外装容器(底面の外面は負極外部端子となる)内に収納し、電極体の中心部に形成された空間部に溶接電極を挿入して、水素吸蔵合金負極板に溶接された負極集電体を外装容器の内底面にスポット溶接する。この後、集電リードの本体部が、正極集電体としての集電リード1aの集電体本体部の直径上に位置するように載置するとともに、集電体本体部と正極とをスポット溶接する。
【0031】
このようにして、集電リード1aと集電体本体部とを溶接した後、外装容器の上部内周側に防振リングを挿入し、外装容器の外周側に溝入れ加工を施して防振リングの上端部に環状溝を形成する。ついで、外装容器内に30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液からなる電解液を注入した後、この外装容器の開口部の上部に、周縁に絶縁ガスケットを嵌着させた封口体を配置する。この場合、封口体の底面と集電リードとを溶接する。なお、封口体5は、底面に円形状の下方突出部を形成してなる蓋体と、封口キャップ8と、これら蓋体および封口キャップ間に介在されるスプリング7と弁板からなる弁体を備えており、蓋体の中央にはガス抜き孔が形成される。
【0032】
ついで、外装容器の開口端縁を内方にかしめて電池を封口することにより半完成の電池とする。この後、この半完成の電池を一対の割型内に配置するとともに、封口体の上部にプレス機に連結されたパンチを配置する。ついで、プレス機を駆動してパンチを下降させて、封口体の封口部(外装容器の開口端縁)をパンチより加圧して、封口体を外装容器内に押し込んで円筒形ニッケル−水素蓄電池を作製する。
【0033】
本発明の蓄電池の用途は、特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、カラーノートパソコン、ペン入力パソコン、ポケットパソコン、ノート型ワープロ、ポケットワープロ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、電子翻訳器、自動車電話、トランシーバー、電動工具、電子手帳、電卓、メモリーカード、テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、アイロン、時計、ストロボ、カメラ、医療機器などがあげられる。又、太陽電池と組み合わせて用いることもできる。
【0034】
(実施例)
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜5
正極電極板1を上述した製法により集電リード1a側の活物質密度を集電リード1aの反対側(外装缶底部側)の活物質密度に対し第1表に示すように変化させて正極電極板を作成し、前記方法に従って円筒型ニッケル水素蓄電池を作成した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例6〜10
正極電極板1を上述した製法により集電リード1aの反対側(外装缶底部側)の活物質密度を集電リード1a側の活物質密度に対し第2表に示すように変化させて正極電極板を作成し、前記方法に従って円筒型ニッケル水素蓄電池を作成した。
【0037】
【表2】
【0038】
比較例1〜6
比較例1〜6として、第3表に示すように、電極板全体にわたって活物質密度を一定にした他は前記実施例と同一条件で円筒型ニッケル水素蓄電池を作成した。
【0039】
【表3】
【0040】
6.電池特性試験
【0041】
ここでは0.2C容量比と中間作動電圧の測定を行う。まず活性化処理した各実施例および比較例の電池を用いて、0.1C(1C(=1It)は定格容量(Ah)/1h(時間)で表される)の電流値で16時間充電し、次いで、1時間休止させた後、0.2Cの電流値で電池電圧が1Vになるまで放電させ0.2C電池容量を測定した。更に1Cの電流値で1時間充電し、次いで1時間休止させた後、10Cの電流値で電池電圧が0.6Vになるまで放電させ10C電池容量を測定し、0.2C電池容量との比(10C電池容量/0.2C電池容量)から0.2C容量比を求めた。また10C電池容量の測定に際し、放電開始から電池電圧が0.6Vになるまでに要した時間の半分の時間が経過した時点の電池電圧を測定した。その結果を図2に示す。正極電極板の集電リード側の活物質密度を横軸にし、電池容量と、中間作動電圧を測定した結果を曲線a、およびbで示す。ここで電池容量は、正極電極板の活物質密度を一定にした比較例の場合を1としたときの電池容量の容量比で示した。この結果から正極電極板の集電リード側の活物質密度が高くなると電池容量が大きくなる一方、中間作動電圧が下がっていることがわかる。また密度が2.0g/cm3から1.8g/cm3になっても中間作動電圧は下がった。
【0042】
この結果から電池容量と中間作動電圧のバランスを見ると正極電極板の活物質密度として2.0g/cm3から3.0/cm3が望ましいことがわかる。
【0043】
次に、正極電極板上の活物質の充填密度を集電リード側と反対側とで半分づつ変更し、2段階の活物質充填密度となるようにした実施例1乃至5の正極電極板を用いた電池および実施例6乃至10の正極電極板を用いた電池について電池容量を測定した結果を図3に示す。ここでは集電リードの反対側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側を変化させた電池の電池容量を曲線aに示す。一方集電リード側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側の反対側を変化させた電池の電池容量を曲線bに示す。正極電極板の充填密度が2.5g/cm3と一定である比較例3の点xよりも、いずれの側でも半分だけ高くしたほうが容量が高くなっている。これらの結果から正極電極板の充填密度を一定にするよりも半分だけでも高くしたほうが容量が高くなることがわかる。
【0044】
次に、各電池の中間作動電圧を測定した。その結果を図4に示す。ここでは集電リードの反対側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側を変化させた電池の中間作動電圧を曲線aに示す。一方集電リード側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側の反対側を変化させた電池の中間作動電圧を曲線bに示す。正極電極板全体の充填密度を均一にして、各値に変化させた比較例1乃至5の中間作動電圧を曲線cに示す。これらの値から、充填密度が3.0g/cm3を超えると作動電圧は下がり、2.0g/cm3〜3.0g/cm3の範囲では実施例の電池は比較例の電池に比べ中間作動電圧が同等以上となった。また密度を高くする領域としてはリード反対側よりもリード側の領域の方が中間作動電圧が高くなることがわかる。以上の結果から正極はリード側の密度を高くし、リード反対側に向かって低くなるようにした方が、中間作動電圧が高くなっていることがわかる。
【0045】
前記実施の形態では、正極電極板の活物質の充填密度について述べたが、負極電極板の活物質の充填密度についても同様の傾向が認められ、本発明は負極電極板にも適用可能であることがわかった。負極電極板2の場合は、外装缶底部近傍に集電リード2aが設けられ、集電リード側とは図1の2A、集電リードの反対側とは図1の2Bを指すものとする。
【0046】
また正極電極板および負極電極板の両方についてそれぞれ活物質の充填密度を変化させた場合には、さらに電池容量の低下を抑制しつつも中間作動電圧を高めることができた。
【0047】
さらに、前記実施の形態では、電極板上で段階的に密度を変化させた場合について述べたが、集電部から離れ電極反応性が低するに従い、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、電極板の活物質密度を集電部から遠ざかるに従って小さくなるようにし、保液性を高め電極反応を高めることにより、電池容量の低下を抑制しつつ作動電圧を高め、特性の良好な密閉型電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通例の円筒型アルカリ蓄電池の外装缶内部を示す図である。
【図2】本発明実施例及び比較例の正極電極板の充填密度に対する容量比と10c放電時の中間作動電圧との関係を示す図である。
【図3】本発明実施例及び比較例の正極電極板の充填密度に対する容量比の関係を示す図である。
【図4】本発明実施例及び比較例の正極電極板の充填密度に対する10c放電時の中間作動電圧との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 正極板
1a 集電リード
2 負極板
2a 集電リード
3 セパレータ
4 外装缶
5 封口板
6 ガスケット
7 スプリング
8 封口キャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極電極板と負極電極板とを相対向して外装容器内に配置し、前記正極電極板、もしくは負極電極板の少なくとも一方に集電体が接続された電極体を備えた電池に係わり、特に電極板を改良した電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、円筒型電池は、正極電極板及び負極電極板をセパレータを介して渦巻状に巻回して渦巻状の電極体を作製し、これを外装缶内に挿入することにより製造している。
【0003】
例えば図1に示すように円筒型ニッケル水素電池等の円筒型アルカリ蓄電池を構成する極板群は、セパレータ3を介して正極電極板1および負極電極板2を渦巻状に巻回し、外装缶4内に収納され、負極電極板2は集電リード2a(集電体)を介して外装缶4の底部に接続され、正極電極板1は集電リード1a(集電体)を介して、外装缶上部の正極端子部を兼ねる封口板5に接続される。さらに封口板5はスプリング7を介して封口キャップ8に接続され、この封口キャップ8が正極端子として使用される。また、外装缶4と封口板との間はガスケット6を介して絶縁分離されている。
【0004】
例えば、正極電極板ではニッケル板からなる集電リード1aがニッケル発泡基板に溶接されており、この集電リード1aが正極端子となる封口板5に溶接される。特に大電流放電用途の密閉型蓄電池では、集電性を向上するために、電解液の保液性を高め、電極反応性を向上すべく、電極全体に亘って活物質の充填密度を下げるという方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこれでは充填密度が低い分、正極活物質量が小さくなり電池容量が小さくなってしまうという問題があった。
本発明は前記実情に鑑みてなされたもので、電池容量の低下を抑制しつつ、作動電圧の向上をはかることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の電池では、正極電極板と負極電極板とを相対向して外装容器内に配置し、前記正極電極板、もしくは負極電極板の少なくとも一方に集電体が接続された集電部を備えた電池において、前記集電部を備える正極電極板または負極電極板の少なくとも一方が、集電部から離れるに従って活物質の充填密度が連続的、もしくは段階的に変化するように構成されている。
【0007】
一般に、集電部に近いところでは構造的に集電性が良いため、集電部に近い活物質ほど集電性がよく、集電部から離れるに従って集電性が低下する。そこで、本発明では、集電性が悪いと電池の作動電圧が低くなってしまうという現象に着目し、集電部からの距離に応じて活物質の充填密度を変化させ、電極板内で電解液を適切に配分することで電極反応性を高め、電池の作動電圧を高めるようにしたものである。
【0008】
通常、集電部は大型電池の場合はリボン状(帯状)の集電体を電極端辺部のほぼ全辺の亘って取り付けて集電リードと接続し、集電部を形成するという方法がとられており、小型電池の場合は短冊状の集電体を電極の端辺部の一部に直接取り付け、集電部を形成するという方法が取られている。本発明においてはこれら全てを含め電極板に集電体が取り付けられた部分を集電部とする。尚、リボン状(帯状)の集電体を取り付ける場合は端辺部の集電部に対して平行に密度が変化し、短冊状の集電体を取り付ける場合は取り付け部の集電部から放射状に充填密度が変化することになる。尚、巻回タイプ電極群を有する電池では短冊状とリボン状、積層タイプの電極群を有する電池では短冊状の集電体を用いるが、巻回、積層の違いに関らず、集電部のタイプによって密度の変化のパターンが異なり、これに対応して密度を変化させることによってより高効率化をはかることができる。
【0009】
望ましくは、この活物質の充填密度を、集電部から離れるに従って連続的、もしくは段階的に減少するように構成すれば、電池容量の低下を最大限に抑制しつつ、作動電圧の向上をはかることができる。
【0010】
望ましくは、前記正極電極板の前記充填密度は、2〜3g/cm3の範囲内にあることを特徴とする。充填密度が2g/cm3より低くなると電池容量が低下し、3g/cm3を超えると作動電圧が低下するが、2g/cm3〜3g/cm3の範囲にあれば電池容量と作動電圧のバランスが良好となる。
【0011】
また電極板は、非焼結式である場合に特に有効である。焼結式の場合、活物質の充填は化学含浸によるため、電極板内で充填密度を変化させることが難しいが、非焼結式の場合、充填密度の制御が容易である。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、本実施の形態の円筒型ニッケル水素電池では、正極電極板1と負極電極板2とを相対向して外装容器4内に配置し、正極電極板が、集電部としての集電リード1aから離れるに従って活物質の充填密度が小さくなるように構成している。
【0013】
他の部分については、通例のニッケル水素電池と同様に形成されており、図1に示すように円筒型蓄電池を構成する極板群は、セパレータ3を介して正極電極板1および負極電極板2を渦巻状に巻回し、外装缶4内に収納され、負極電極板2は集電リード2aを介して外装缶4の底部に接続され、正極電極板1は集電リード1aを介して、外装缶4上部に配設された封口板5に接続されている。この封口板5はスプリング7を介して正極端子としての封口キャップ8に接続される。そして外装缶4と封口板5との間はガスケット6を介して絶縁分離している。
【0014】
集電リード1aに近い活物質ほど集電性がよく、集電リード1aから離れるに従って集電性が低下する。そこで、集電リード1aから離れるに従い、集電性の低下を生じる分だけ、正極活物質の充填密度を小さくし、保液率を高めるようにして補償する。その一方で、集電性の高い集電リード1aの近傍では充填密度を高くして、電池容量の低下を抑制するものである。
【0015】
本発明の蓄電池は、正極板が非焼結式であるニッケル−水素蓄電池などの円筒型アルカリ蓄電池に特に有効であるが、リチウム電池あるいは、鉛蓄電池等の二次電池であってもよい。また筒型であれば角筒型蓄電池にも適用可能であることはいうまでもない。
本発明において好ましいのはニッケル−水素蓄電池である。
【0016】
以下、ニッケル−水素蓄電池に適用した場合について実施例について説明する。
1.電極体の作製
ニッケル−水素蓄電池は、ニッケル正極板と水素吸蔵合金負極板とを備えている。ニッケル正極板(正極電極板1)は、発泡ニッケルからなる極板芯体に、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)を主体とする活物質ペーストを、2段階の密度となるように用意し、極板の一端部から遠ざかるに従って、すなわち1Aから1Bにいくに従って密度が小さくなるように層状に順次極板芯体に塗布量を調整しながら塗布して作製されている。一方、水素吸蔵合金負極板は、パンチングメタルからなる極板芯体の表面に水素吸蔵合金からなるペースト状負極活物質を充填し、乾燥させた後、所定の厚みになるまで圧延して作製される。
【0017】
すなわち正極電極板1の製造にあたっては、まず、例えば、水酸化ニッケル粒子、導電助剤としてのコバルト系粒子、結着剤および水を含むペーストを調製する。次に、このペーストを上述のようにして正極芯体に塗着もしくは充填した後乾燥し、更に加圧成形処理を施すことによりペーストを芯体に担持させる。そして、これを所望のサイズに裁断若しくは打ち抜き加工し、さらに極板の一端部に充填されている活物質を脱落して所定の大きさの芯体露出部を形成し、この部分に集電部を構成する帯状の金属板を溶接する。以上のようにして正極電極板1が製造される。
【0018】
前記水酸化ニッケル粒子としては、例えば単一の水酸化ニッケル粒子、または亜鉛及びコバルトのいずれか一方もしくは両方が金属ニッケルと共沈された水酸化ニッケル粒子を用いることができる。後者の水酸化ニッケル粒子を含む正極板は、高温状態における充電効率を更に向上することが可能になる。
また、電池の充放電効率を向上する観点から、前記水酸化ニッケル粒子のX線粉末回折法による(101)面のピーク半価幅は、0.8°/2θ(Cu−Kα)以上にすることが好ましい。より好ましい水酸化ニッケル粉末の粉末X線回折法による(101)面のピークの半価幅は、0.9〜1.0°/2θ(Cu−Kα)である。
【0019】
前記結着剤としては、疎水性ポリマー及び親水性ポリマーを用いることができる。より詳しくは、疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ゴム系ポリマー(例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)のラテックス、アリロニトリルブタジエンゴム(NBR)のラテックス、エチレンプロピレンジエンモノマ(EPDM)のラテックス)等を挙げることができる。
【0020】
一方、親水性ポリマーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリアクリル酸塩(例えばポリアクリル酸ナトリウム(SPA))、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド、COOX基を少なくとも一つ有するモノマーとビニルアルコールとの共重合体(但し、Xは水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属から選ばれる元素からなる)等を挙げることができる。
なお、結着剤としては、これらのポリマーから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリテトラフルオロエチレンはディスパージョンの形態で用いることができる。
【0021】
前記コバルト系粒子を形成するコバルト化合物としては、例えば三酸化二コバルト(Co2O3)、コバルト金属(Co)、一酸化コバルト(CoO)、水酸化コバルト(Co(OH)2)等を挙げることができる。
前記芯体としては、例えばニッケル、ステンレス等の金属や、ニッケルメッキが施された樹脂などからなるスポンジ状、繊維状、フェルト状の多孔質構造を有するものを挙げることができる。
【0022】
前記負極活物質としては、例えば金属カドミウム、水酸化カドミウムなどのカドミウム化合物、水素等を挙げることができる。なお、負極活物質が水素の場合には、負極活物質の代わりに、水素を吸蔵する、例えば水素吸蔵合金をペーストに配合する。
【0023】
中でも、前記水素吸蔵合金は、前記カドミウム化合物を用いた場合よりも二次電池の容量を向上できるため、好ましい。前記水素吸蔵合金は、格別制限されるものではなく電解液中で電気化学的に発生させた水素を吸蔵でき、かつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出できるものであればよい。例えば、LaNi5,MmNi5(Mmはミッシュメタル)、LmNi5(LmはLaを含む希土類元素から選ばれる少なくとも一種)、これら合金のNiの一部をAl,Mn,Co,Ti,Cu,Zn,Zr,Cr,Bのような元素で置換した多元素系のもの、またはTiNi系、TiFe系のものを挙げることができる。特に、一般式LmNiwCoxMnyAlz(原子比w,x,y,zの合計値は5.00≦w+x+y+z≦5.50である)で表される組成の水素吸蔵合金は充放電サイクルの進行に伴う微粉化を抑制して充放電サイクル寿命を向上できるための好適である。
【0024】
前記結着剤としては、前述した正極板で説明したものと同様なポリマーから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。前記導電材としては、例えばカーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0025】
前記負極芯体としては、例えばパンチドメタル、エキスパンデッドメタル、穿孔剛板、ニッケルネットなどの二次元基板を挙げることができる。
【0026】
電極活物質を担持する芯体としては、上記の他、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの、負極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、焼成炭素などの他に、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの)、Al−Cd合金などが用いられる。これらの材料の表面を酸化することも用いられる。形状は、発泡ニッケルの他、フォイル、フィルム、シート、ネット、パンチされたもの、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが用いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μm程度とするのが望ましい。
【0027】
電極のセパレータとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち絶縁性の多孔性薄膜が用いられる。耐有機溶剤性と疎水性からポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維あるいはポリエチレンなどからつくられた多孔性シートや不織布が用いられる。セパレータの孔径は、一般に電池用として用いられる、例えば、0.01〜10μmの範囲である。セパレータの厚みは5〜300μmの範囲が望ましい。
【0028】
これらのニッケル正極板と水素吸蔵合金負極板との間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回して渦巻状の電極体を作製する。この渦巻状の電極群の上端面には、ニッケル正極板の極板芯体である発砲ニッケルの端部が露出し帯状の金属板が溶接されている、また、下端面には水素吸蔵合金負極板の極板芯体であるパンチングメタルの端部が露出している。そして、この渦巻状の電極群の上端面金属板に多数の開口を有する円板状の集電体本体部とリード部とからなる集電リード1aを溶接するとともに、下端面に露出する負極芯体に多数の開口を有する円板状の負極用の集電リード2aを溶接して、渦巻状の電極体を作製する。
【0029】
2.ニッケル−水素蓄電池の作製。
次に、電極体を外装容器に挿入して集電リード1aの上端を介して封口体5と溶接する。そして、外装容器4の開口部に封口体5を封口し、その後封口部をプレスする。
【0030】
そして、この集電リードを用いてニッケル−水素蓄電池を組み立てるに際しては、まず、上述の電極体を鉄にニッケルメッキを施した有底筒状の外装容器(底面の外面は負極外部端子となる)内に収納し、電極体の中心部に形成された空間部に溶接電極を挿入して、水素吸蔵合金負極板に溶接された負極集電体を外装容器の内底面にスポット溶接する。この後、集電リードの本体部が、正極集電体としての集電リード1aの集電体本体部の直径上に位置するように載置するとともに、集電体本体部と正極とをスポット溶接する。
【0031】
このようにして、集電リード1aと集電体本体部とを溶接した後、外装容器の上部内周側に防振リングを挿入し、外装容器の外周側に溝入れ加工を施して防振リングの上端部に環状溝を形成する。ついで、外装容器内に30質量%の水酸化カリウム(KOH)水溶液からなる電解液を注入した後、この外装容器の開口部の上部に、周縁に絶縁ガスケットを嵌着させた封口体を配置する。この場合、封口体の底面と集電リードとを溶接する。なお、封口体5は、底面に円形状の下方突出部を形成してなる蓋体と、封口キャップ8と、これら蓋体および封口キャップ間に介在されるスプリング7と弁板からなる弁体を備えており、蓋体の中央にはガス抜き孔が形成される。
【0032】
ついで、外装容器の開口端縁を内方にかしめて電池を封口することにより半完成の電池とする。この後、この半完成の電池を一対の割型内に配置するとともに、封口体の上部にプレス機に連結されたパンチを配置する。ついで、プレス機を駆動してパンチを下降させて、封口体の封口部(外装容器の開口端縁)をパンチより加圧して、封口体を外装容器内に押し込んで円筒形ニッケル−水素蓄電池を作製する。
【0033】
本発明の蓄電池の用途は、特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、カラーノートパソコン、ペン入力パソコン、ポケットパソコン、ノート型ワープロ、ポケットワープロ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、電子翻訳器、自動車電話、トランシーバー、電動工具、電子手帳、電卓、メモリーカード、テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、アイロン、時計、ストロボ、カメラ、医療機器などがあげられる。又、太陽電池と組み合わせて用いることもできる。
【0034】
(実施例)
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜5
正極電極板1を上述した製法により集電リード1a側の活物質密度を集電リード1aの反対側(外装缶底部側)の活物質密度に対し第1表に示すように変化させて正極電極板を作成し、前記方法に従って円筒型ニッケル水素蓄電池を作成した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例6〜10
正極電極板1を上述した製法により集電リード1aの反対側(外装缶底部側)の活物質密度を集電リード1a側の活物質密度に対し第2表に示すように変化させて正極電極板を作成し、前記方法に従って円筒型ニッケル水素蓄電池を作成した。
【0037】
【表2】
【0038】
比較例1〜6
比較例1〜6として、第3表に示すように、電極板全体にわたって活物質密度を一定にした他は前記実施例と同一条件で円筒型ニッケル水素蓄電池を作成した。
【0039】
【表3】
【0040】
6.電池特性試験
【0041】
ここでは0.2C容量比と中間作動電圧の測定を行う。まず活性化処理した各実施例および比較例の電池を用いて、0.1C(1C(=1It)は定格容量(Ah)/1h(時間)で表される)の電流値で16時間充電し、次いで、1時間休止させた後、0.2Cの電流値で電池電圧が1Vになるまで放電させ0.2C電池容量を測定した。更に1Cの電流値で1時間充電し、次いで1時間休止させた後、10Cの電流値で電池電圧が0.6Vになるまで放電させ10C電池容量を測定し、0.2C電池容量との比(10C電池容量/0.2C電池容量)から0.2C容量比を求めた。また10C電池容量の測定に際し、放電開始から電池電圧が0.6Vになるまでに要した時間の半分の時間が経過した時点の電池電圧を測定した。その結果を図2に示す。正極電極板の集電リード側の活物質密度を横軸にし、電池容量と、中間作動電圧を測定した結果を曲線a、およびbで示す。ここで電池容量は、正極電極板の活物質密度を一定にした比較例の場合を1としたときの電池容量の容量比で示した。この結果から正極電極板の集電リード側の活物質密度が高くなると電池容量が大きくなる一方、中間作動電圧が下がっていることがわかる。また密度が2.0g/cm3から1.8g/cm3になっても中間作動電圧は下がった。
【0042】
この結果から電池容量と中間作動電圧のバランスを見ると正極電極板の活物質密度として2.0g/cm3から3.0/cm3が望ましいことがわかる。
【0043】
次に、正極電極板上の活物質の充填密度を集電リード側と反対側とで半分づつ変更し、2段階の活物質充填密度となるようにした実施例1乃至5の正極電極板を用いた電池および実施例6乃至10の正極電極板を用いた電池について電池容量を測定した結果を図3に示す。ここでは集電リードの反対側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側を変化させた電池の電池容量を曲線aに示す。一方集電リード側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側の反対側を変化させた電池の電池容量を曲線bに示す。正極電極板の充填密度が2.5g/cm3と一定である比較例3の点xよりも、いずれの側でも半分だけ高くしたほうが容量が高くなっている。これらの結果から正極電極板の充填密度を一定にするよりも半分だけでも高くしたほうが容量が高くなることがわかる。
【0044】
次に、各電池の中間作動電圧を測定した。その結果を図4に示す。ここでは集電リードの反対側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側を変化させた電池の中間作動電圧を曲線aに示す。一方集電リード側の充填密度を2.5g/cm3と固定し、集電リード側の反対側を変化させた電池の中間作動電圧を曲線bに示す。正極電極板全体の充填密度を均一にして、各値に変化させた比較例1乃至5の中間作動電圧を曲線cに示す。これらの値から、充填密度が3.0g/cm3を超えると作動電圧は下がり、2.0g/cm3〜3.0g/cm3の範囲では実施例の電池は比較例の電池に比べ中間作動電圧が同等以上となった。また密度を高くする領域としてはリード反対側よりもリード側の領域の方が中間作動電圧が高くなることがわかる。以上の結果から正極はリード側の密度を高くし、リード反対側に向かって低くなるようにした方が、中間作動電圧が高くなっていることがわかる。
【0045】
前記実施の形態では、正極電極板の活物質の充填密度について述べたが、負極電極板の活物質の充填密度についても同様の傾向が認められ、本発明は負極電極板にも適用可能であることがわかった。負極電極板2の場合は、外装缶底部近傍に集電リード2aが設けられ、集電リード側とは図1の2A、集電リードの反対側とは図1の2Bを指すものとする。
【0046】
また正極電極板および負極電極板の両方についてそれぞれ活物質の充填密度を変化させた場合には、さらに電池容量の低下を抑制しつつも中間作動電圧を高めることができた。
【0047】
さらに、前記実施の形態では、電極板上で段階的に密度を変化させた場合について述べたが、集電部から離れ電極反応性が低するに従い、連続的に変化させるようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、電極板の活物質密度を集電部から遠ざかるに従って小さくなるようにし、保液性を高め電極反応を高めることにより、電池容量の低下を抑制しつつ作動電圧を高め、特性の良好な密閉型電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通例の円筒型アルカリ蓄電池の外装缶内部を示す図である。
【図2】本発明実施例及び比較例の正極電極板の充填密度に対する容量比と10c放電時の中間作動電圧との関係を示す図である。
【図3】本発明実施例及び比較例の正極電極板の充填密度に対する容量比の関係を示す図である。
【図4】本発明実施例及び比較例の正極電極板の充填密度に対する10c放電時の中間作動電圧との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 正極板
1a 集電リード
2 負極板
2a 集電リード
3 セパレータ
4 外装缶
5 封口板
6 ガスケット
7 スプリング
8 封口キャップ
Claims (3)
- 正極電極板と負極電極板とを相対向して外装容器内に配置し、前記正極電極板、もしくは負極電極板の少なくとも一方に集電体が接続された集電部を備えた電池において、
前記集電部を備える正極電極板または負極電極板の少なくとも一方が、集電部から離れるに従って活物質の充填密度が連続的、もしくは段階的に変化するように構成されたことを特徴とする電池。 - 前記充填密度は、集電部から離れるに従って連続的にもしくは段階的に減少するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電池。
- 前記正極電極板の前記充填密度は、2〜3g/cm3の範囲内にあることを特徴とする請求項1乃至2いずれかに記載の電池。
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- 2002-08-26 JP JP2002245021A patent/JP2004087231A/ja active Pending
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