JP2004087209A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池において、負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合に、充放電によって正極と負極との間に微少短絡が生じるのを抑制して充放電効率を向上させ、十分な充放電サイクル特性が得られるようにする。
【解決手段】正極1と、負極2と、正極と負極とを分離させるセパレータ3と、非水電解質とを備えたリチウム二次電池において、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いると共に、セパレータとして、先端の曲率半径が0.5mmの針を突き刺し速度2mm/sの条件で突き刺す突き刺し試験における突き刺し強度が350gより大きいものを用いた。
【選択図】 図1
【解決手段】正極1と、負極2と、正極と負極とを分離させるセパレータ3と、非水電解質とを備えたリチウム二次電池において、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いると共に、セパレータとして、先端の曲率半径が0.5mmの針を突き刺し速度2mm/sの条件で突き刺す突き刺し試験における突き刺し強度が350gより大きいものを用いた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池に係り、特に、その負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、充放電によって正極と負極との間に微少短絡が生じるのを抑制して、充放電効率を向上させるようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高出力,高エネルギー密度の新型二次電池の1つとして、非水系溶媒にリチウム塩からなる溶質を溶解させた非水電解液を用い、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにしたリチウム二次電池が利用されるようになった。
【0003】
そして、このようなリチウム二次電池においては、その負極における負極活物質として、一般に、金属リチウムや、リチウムイオンの吸蔵,放出が可能な黒鉛,コークス,有機物焼成体等の炭素材料や、Si,Zn,Cd,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,Sb,Bi,Se,Te,Rh,Ir等のリチウムと合金化する材料が用いられていた。
【0004】
ここで、負極における負極活物質に金属リチウムを用いた場合、充放電によって負極の表面にデンドライトが発生して、正極と負極との間に短絡が生じる等の問題があった。
【0005】
また、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合、炭素材料を用いた場合に比べて高い電池容量が得られるようになるが、充放電によって負極が膨張,収縮し、特に、高い電池容量が得られるようにシリコンを用いた場合には、負極における膨張,収縮が大きくなり、正極と負極との間に微少短絡が生じて充放電効率が悪くなり、十分な充放電サイクル特性が得られなくなるという問題があった。
【0006】
また、近年においては、このようなリチウム二次電池において、薄型で十分な容量が得られるようにするため、凹凸を有する負極集電体の表面に、上記のようなリチウムと合金化する材料からなる負極活物質の薄層を設けた負極を用いることが検討されるようになった。
【0007】
ここで、このような負極を用いたリチウム二次電池を充放電させた場合、上記の負極活物質の薄層が膨張,収縮し、これにより負極活物質の薄層に割れが生じて、負極集電体の表面に負極活物質が柱状に分離された状態で存在するようになった。
【0008】
そして、このようなリチウム二次電池をさらに充放電させると、柱状になった負極活物質が膨張,収縮して、正極と負極との間に微少短絡が生じやすくなり、さらに充放電効率が悪くなって、充放電サイクル特性がさらに低下するという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、その負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、充放電によって正極と負極との間に微少短絡が生じるのを抑制して充放電効率を向上させ、十分な充放電サイクル特性が得られるようにすることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池において、上記の負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いると共に、上記のセパレータとして、先端の曲率半径が0.5mmの針を突き刺し速度2mm/sの条件で突き刺す突き刺し試験における突き刺し強度が350gより大きいものを用いるようにしたのである。
【0011】
そして、この発明におけるリチウム二次電池のように、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、正極と負極とを分離させるセパレータに上記の突き刺し強度が350gより大きいものを用いると、充放電によって負極が膨張,収縮しても、このセパレータによって正極と負極との間に微少短絡が生じるのが抑制され、充放電効率が低下するのが防止されて、リチウム二次電池における充放電サイクル特性が向上する。
【0012】
ここで、上記の突き刺し強度が350gより大きいセパレータを得るにあたり、一般に低融点材料を用いた場合には、強度は高くないがイオン伝導性に優れたセパレータが得られる一方、高融点材料を用いた場合には、強度が高いセパレータが得られるがセパレータにおけるイオン伝導性が悪くなるため、低融点材料と高融点材料とを組み合わせて使用することが好ましく、特に、低融点材料中に高融点材料を混合させたものを用いることが好ましい。
【0013】
そして、上記の高融点材料としては、融点が500℃以上のものを用いることが好ましく、例えば、融点が500℃以上のアラミド系、ポリベンゾイミダゾール系、ポリベンゾビスオキサゾール系、ポリイミド系等の各種の合成樹脂を用いることができる。
【0014】
ここで、このセパレータにおける上記の突き刺し強度が大きくなるほど、正極と負極との間に生じる微少短絡が確実に抑制されるようになるが、突き刺し強度が大きくなり過ぎると、セパレータにおけるイオン伝導性が悪くなって充放電効率が低下するため、上記の突き刺し強度が400〜500gの範囲になったセパレータを用いることが好ましい。
【0015】
また、上記の負極活物質に使用するリチウムと合金化する材料としては、従来より一般に使用されている、Si,Zn,Cd,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,Sb,Bi,Se,Te,Rh,Ir等のリチウムと合金化する材料を用いることができ、特に、高い電池容量が得られるようにするためにはシリコンSiを用いることが好ましく、このようにシリコンを用いた場合においても、上記のようなセパレータを用いると、正極と負極との間に微少短絡が生じるのが抑制されるようになる。
【0016】
また、薄型で十分な容量を持つリチウム二次電池が得られるようにするため、上記の負極として、凹凸のある負極集電体の表面に前記の負極活物質の薄層が形成されたものを用いることが好ましい。
【0017】
ここで、このように凹凸のある負極集電体の表面に前記の負極活物質の薄層が形成された負極をリチウム二次電池に用い、このリチウム二次電池を充放電させると、負極活物質の薄層が膨張,収縮して、負極活物質の薄層に割れが生じ、負極集電体の表面に負極活物質が柱状に分離された状態で存在するようになる。そして、このリチウム二次電池をさらに充放電させると、上記のように柱状になった負極活物質が膨張,収縮するが、上記のようなセパレータを用いた場合には、この負極と正極との間における微少短絡も抑制されるようになる。
【0018】
なお、この発明におけるリチウム二次電池は、上記のような負極活物質を用いた負極や、上記のようなセパレータを使用することを特徴とするものであり、リチウム二次電池を構成する他の正極や非水電解質については、従来のチウム二次電池において一般に使用されているものを用いることができる。
【0019】
そして、その正極における正極活物質としては、例えば、リチウム含有マンガン酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有バナジウム酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウム含有クロム酸化物、リチウム含有チタン酸化物等のリチウム含有遷移金属酸化物を使用することができる。
【0020】
また、上記の非水電解質としては、非水系溶媒にリチウム塩からなる溶質を溶解させた非水電解液や、このような非水電解液をポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル等のポリマーに含浸させたゲル状高分子電解質を用いることができる。
【0021】
そして、上記の非水電解液に用いる非水系溶媒としても、従来より使用されている公知のものを用いることができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、シクロペンタノン、スルホラン、ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル等の溶媒を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
また、上記の溶質としても、従来より使用されている公知のものを用いることができ、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiSbF6 、LiCF3 SO3 、LiAsF6 、LiN(Cm F2m+1SO2 )(Cn F2n+1SO2 )(式中、m,nは1〜4の何れかの整数である。)、LiC(Cl F2l+1SO2 )(Cm F2m+1SO2 )(Cn F2n+1SO2 )(式中、l,m,nは1〜4の何れかの整数である。)等のリチウム塩を使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、この発明に係るリチウム二次電池について実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この発明の実施例のリチウム二次電池においては、充放電効率が低下するのが抑制されて、充放電サイクル特性が向上することを、比較例を挙げて明らかにする。なお、この発明におけるリチウム二次電池は下記の実施例に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜様々な変更を行って実施できるものである。
【0024】
(実施例1)
実施例1においては、下記のようにして作製した正極と負極と非水電解液とセパレータとを用い、図1に示すようなAAサイズの円筒型で定格容量が1.0Ahになったリチウム二次電池を作製した。
【0025】
[正極の作製]
正極を作製するにあたっては、正極活物質としてLiCoO2 粉末を用い、このLiCoO2 粉末と、導電剤である炭素粉末と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合させ、上記のLiCoO2 粉末と炭素粉末とポリフッ化ビニリデンとが90:5:5の重量比になったスラリーを調製し、このスラリーを厚みが20μmのアルミニウム箔の両面にドクターブレード法により塗布し、これを真空乾燥させて正極を作製した。
【0026】
[負極の作製]
負極を作製するにあたっては、負極集電体として、厚みが17μmになった表面に凹凸を有する電解銅箔を使用し、高周波スパッタリング法によりこの電解銅箔の両面に、それぞれ厚みが約5μmになったシリコンからなる負極活物質の薄層を形成して負極を作製した。なお、上記の高周波スパッタリングは、スパッタガス(Ar)流量:100sccm,基板温度:室温(加熱なし),反応圧力:1.0×10−3Torr,高周波電力:200Wの条件で行った。また、上記のように形成したシリコンの薄層をXRDにより解析したところ、非晶質になっていた。
【0027】
[非水電解液の作製]
非水電解液を作製するにあたっては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合させた混合溶媒にLiPF6 を1mol/lの割合で溶解させて非水電解液を作製した。
【0028】
[セパレータの作製]
セパレータを作製するにあたっては、低融点材料として融点が130℃のポリエチレンを用いる一方、高融点材料として融点が600℃のパラ系ポリアミドを用いた。
【0029】
そして、上記のポリエチレンの表面に、上記のパラ系ポリアミドをポリエチレンに対して5wt%の割合になるように被覆させ、ポリエチレンの表面にパラ系ポリアミドが積層された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータに対して、ハンディー圧縮試験器(カトーテック社製:KES−G5)を使用し、先端の曲率半径が0.5mmの針を用い、突き刺し速度2mm/sの条件で突き刺し試験を行い、このセパレータにおける突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は520gであった。
【0030】
[電池の作製]
電池を作製するにあたっては、図1に示すように、上記のようにして作製した正極1と負極2との間に上記のセパレータ3を介在させ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容させた後、この電池缶4内に上記の非水電解液を注液して封口し、正極1を正極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、負極2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、電池缶4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分離させた。
【0031】
(実施例2)
実施例2においては、上記の実施例1におけるセパレータの作製において、融点が130℃の上記のポリエチレンに対して融点が600℃の上記のパラ系ポリアミドを5wt%混合させて、ポリエチレンにパラ系ポリアミドが混合された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は420gであった。
【0032】
そして、上記のセパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例2のリチウム二次電池を作製した。
【0033】
(実施例3)
実施例3においては、上記の実施例1におけるセパレータの作製において、融点が130℃の上記のポリエチレンに対して、融点が600℃の上記のパラ系ポリアミドと、融点が170℃のポリプロピレンとをそれぞれ5wt%混合させて、ポリエチレンにパラ系ポリアミドとポリプロピレンとが混合された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は410gであった。
【0034】
そして、上記のセパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例3のリチウム二次電池を作製した。
【0035】
(比較例1)
比較例1においては、上記の実施例1におけるセパレータの作製において、融点が130℃の上記のポリエチレンだけを使用し、このポリエチレンだけで構成された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は350gであった。
【0036】
そして、上記のセパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例1のリチウム二次電池を作製した。
【0037】
次に、上記のようにして作製した実施例1〜3及び比較例1の各リチウム二次電池を用い、それぞれ25℃の温度条件下において、1000mAの定電流で4.2Vまで充電させた後、さらに4.2Vの定電圧に保持して電流が25mAになるまで定電圧充電させ、その後、1000mAの定電流で2.75Vまで放電させて1サイクル目の充放電を行い、その後、1サイクル目の場合と同様にして2サイクル目の充電を行い、2サイクル目の充電容量Qaを求めた後、1サイクル目の場合と同様にして2サイクル目の放電を行い、2サイクル目の放電容量Qbを求め、下記の式により2サイクル目の充放電効率(%)を算出し、その結果を下記の表1に示した。
【0038】
充放電効率(%)=(Qb/Qa)×100
【0039】
【表1】
【0040】
この結果から明らかなように、負極における負極活物質にリチウムと合金化するシリコンを用いた場合において、上記の突き刺し強度が350gを越えるセパレータを用いた実施例1〜3の各リチウム二次電池は、突き刺し強度が350gになったセパレータを用いた比較例1のリチウム二次電池に比べて2サイクル目の充放電効率が大きく向上しており、充放電を繰り返して行った場合においても放電容量が低下するのが抑制され、充放電サイクル特性が向上する。
【0041】
また、上記の実施例1〜3のリチウム二次電池を比較した場合、ポリエチレンをアラミドで被覆したセパレータを用いた実施例1のリチウム二次電池に比べて、ポリエチレンにパラ系アラミド等を混合させたセパレータを用いた実施例2,3のリチウム二次電池の方が、2サイクル目の充放電効率が高くなっており、充放電サイクル特性がさらに向上する。
【0042】
(実施例2.1〜2.5)
実施例2.1〜2.5においては、上記の実施例2におけるセパレータの作製において、融点が130℃のポリエチレンに対して混合させる融点が600℃のパラ系ポリアミドの割合を変更し、パラ系ポリアミドの割合を、実施例2.1では0.5wt%、実施例2.2では1wt%、実施例2.3では10wt%、実施例2.4では20wt%、実施例2.5では30wt%にして各セパレータを作製した。
【0043】
また、上記のようにして作製した各セパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、突き刺し強度が、実施例2.1のセパレータでは380g、実施例2.2のセパレータでは400g、実施例2.3のセパレータでは470g、実施例2.4のセパレータでは500g、実施例2.5のセパレータでは550gになっており、何れも突き刺し強度が350gより大きいという本発明の条件を満たしていた。
【0044】
そして、上記の各セパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例2.1〜2.5の各リチウム二次電池を作製した。
【0045】
次いで、このように作製した実施例2.1〜2.5の各リチウム二次電池についても、上記の実施例1〜3及び比較例1の各リチウム二次電池の場合と同様にして、2サイクル目の充電容量Qaと、2サイクル目の放電容量Qbとを求めると共に、2サイクル目の充放電効率(%)を算出し、その結果を、上記の実施例2及び比較例1のリチウム二次電池と合わせて下記の表2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
この結果から明らかなように、突き刺し強度が350gより大きいセパレータを使用した実施例2.1〜2.5の各リチウム二次電池も、上記の実施例2のリチウム二次電池と同様に、突き刺し強度が350gになったセパレータを用いた比較例1のリチウム二次電池に比べて、2サイクル目の充放電効率が大きく向上しており、充放電を繰り返して行った場合においても放電容量が低下するのが抑制されて充放電サイクル特性が向上する。
【0048】
また、上記の実施例2及び実施例2.1〜2.5のリチウム二次電池を比較した場合、ポリエチレンに対してパラ系アラミドを1〜20wt%の範囲で混合させ、突き刺し強度が400〜500gの範囲になったセパレータを用いた実施例2及び実施例2.2〜2.4のリチウム二次電池においては、2サイクル目の充放電効率がさらに向上しており、充放電サイクル特性がさらによくなる。
【0049】
なお、上記の実施例及び比較例においては、負極活物質に用いるリチウムと合金化する材料として、シリコンSiを用いた場合を示しただけであるが、リチウムと合金化する他の材料を負極活物質に用いた場合においても同様の結果が得られる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明におけるリチウム二次電池においては、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、正極と負極とを分離させるセパレータに、上記の突き刺し強度が350gより大きいものを用いるようにしたため、充放電によって負極が膨張,収縮しても、このセパレータによって正極と負極との間に微少短絡が生じるのが抑制され、充放電効率が低下するのが防止されて、充放電サイクル特性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例及び比較例において作製したリチウム二次電池の概略説明図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池缶
5 正極リード
6 正極蓋
7 負極リード
8 絶縁パッキン
【発明の属する技術分野】
この発明は、正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池に係り、特に、その負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、充放電によって正極と負極との間に微少短絡が生じるのを抑制して、充放電効率を向上させるようにした点に特徴を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、高出力,高エネルギー密度の新型二次電池の1つとして、非水系溶媒にリチウム塩からなる溶質を溶解させた非水電解液を用い、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにしたリチウム二次電池が利用されるようになった。
【0003】
そして、このようなリチウム二次電池においては、その負極における負極活物質として、一般に、金属リチウムや、リチウムイオンの吸蔵,放出が可能な黒鉛,コークス,有機物焼成体等の炭素材料や、Si,Zn,Cd,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,Sb,Bi,Se,Te,Rh,Ir等のリチウムと合金化する材料が用いられていた。
【0004】
ここで、負極における負極活物質に金属リチウムを用いた場合、充放電によって負極の表面にデンドライトが発生して、正極と負極との間に短絡が生じる等の問題があった。
【0005】
また、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合、炭素材料を用いた場合に比べて高い電池容量が得られるようになるが、充放電によって負極が膨張,収縮し、特に、高い電池容量が得られるようにシリコンを用いた場合には、負極における膨張,収縮が大きくなり、正極と負極との間に微少短絡が生じて充放電効率が悪くなり、十分な充放電サイクル特性が得られなくなるという問題があった。
【0006】
また、近年においては、このようなリチウム二次電池において、薄型で十分な容量が得られるようにするため、凹凸を有する負極集電体の表面に、上記のようなリチウムと合金化する材料からなる負極活物質の薄層を設けた負極を用いることが検討されるようになった。
【0007】
ここで、このような負極を用いたリチウム二次電池を充放電させた場合、上記の負極活物質の薄層が膨張,収縮し、これにより負極活物質の薄層に割れが生じて、負極集電体の表面に負極活物質が柱状に分離された状態で存在するようになった。
【0008】
そして、このようなリチウム二次電池をさらに充放電させると、柱状になった負極活物質が膨張,収縮して、正極と負極との間に微少短絡が生じやすくなり、さらに充放電効率が悪くなって、充放電サイクル特性がさらに低下するという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、その負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、充放電によって正極と負極との間に微少短絡が生じるのを抑制して充放電効率を向上させ、十分な充放電サイクル特性が得られるようにすることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、上記のような課題を解決するため、正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池において、上記の負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いると共に、上記のセパレータとして、先端の曲率半径が0.5mmの針を突き刺し速度2mm/sの条件で突き刺す突き刺し試験における突き刺し強度が350gより大きいものを用いるようにしたのである。
【0011】
そして、この発明におけるリチウム二次電池のように、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、正極と負極とを分離させるセパレータに上記の突き刺し強度が350gより大きいものを用いると、充放電によって負極が膨張,収縮しても、このセパレータによって正極と負極との間に微少短絡が生じるのが抑制され、充放電効率が低下するのが防止されて、リチウム二次電池における充放電サイクル特性が向上する。
【0012】
ここで、上記の突き刺し強度が350gより大きいセパレータを得るにあたり、一般に低融点材料を用いた場合には、強度は高くないがイオン伝導性に優れたセパレータが得られる一方、高融点材料を用いた場合には、強度が高いセパレータが得られるがセパレータにおけるイオン伝導性が悪くなるため、低融点材料と高融点材料とを組み合わせて使用することが好ましく、特に、低融点材料中に高融点材料を混合させたものを用いることが好ましい。
【0013】
そして、上記の高融点材料としては、融点が500℃以上のものを用いることが好ましく、例えば、融点が500℃以上のアラミド系、ポリベンゾイミダゾール系、ポリベンゾビスオキサゾール系、ポリイミド系等の各種の合成樹脂を用いることができる。
【0014】
ここで、このセパレータにおける上記の突き刺し強度が大きくなるほど、正極と負極との間に生じる微少短絡が確実に抑制されるようになるが、突き刺し強度が大きくなり過ぎると、セパレータにおけるイオン伝導性が悪くなって充放電効率が低下するため、上記の突き刺し強度が400〜500gの範囲になったセパレータを用いることが好ましい。
【0015】
また、上記の負極活物質に使用するリチウムと合金化する材料としては、従来より一般に使用されている、Si,Zn,Cd,Al,Ga,In,Tl,Ge,Sn,Pb,Sb,Bi,Se,Te,Rh,Ir等のリチウムと合金化する材料を用いることができ、特に、高い電池容量が得られるようにするためにはシリコンSiを用いることが好ましく、このようにシリコンを用いた場合においても、上記のようなセパレータを用いると、正極と負極との間に微少短絡が生じるのが抑制されるようになる。
【0016】
また、薄型で十分な容量を持つリチウム二次電池が得られるようにするため、上記の負極として、凹凸のある負極集電体の表面に前記の負極活物質の薄層が形成されたものを用いることが好ましい。
【0017】
ここで、このように凹凸のある負極集電体の表面に前記の負極活物質の薄層が形成された負極をリチウム二次電池に用い、このリチウム二次電池を充放電させると、負極活物質の薄層が膨張,収縮して、負極活物質の薄層に割れが生じ、負極集電体の表面に負極活物質が柱状に分離された状態で存在するようになる。そして、このリチウム二次電池をさらに充放電させると、上記のように柱状になった負極活物質が膨張,収縮するが、上記のようなセパレータを用いた場合には、この負極と正極との間における微少短絡も抑制されるようになる。
【0018】
なお、この発明におけるリチウム二次電池は、上記のような負極活物質を用いた負極や、上記のようなセパレータを使用することを特徴とするものであり、リチウム二次電池を構成する他の正極や非水電解質については、従来のチウム二次電池において一般に使用されているものを用いることができる。
【0019】
そして、その正極における正極活物質としては、例えば、リチウム含有マンガン酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有バナジウム酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウム含有クロム酸化物、リチウム含有チタン酸化物等のリチウム含有遷移金属酸化物を使用することができる。
【0020】
また、上記の非水電解質としては、非水系溶媒にリチウム塩からなる溶質を溶解させた非水電解液や、このような非水電解液をポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル等のポリマーに含浸させたゲル状高分子電解質を用いることができる。
【0021】
そして、上記の非水電解液に用いる非水系溶媒としても、従来より使用されている公知のものを用いることができ、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、シクロペンタノン、スルホラン、ジメチルスルホラン、3−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル等の溶媒を1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】
また、上記の溶質としても、従来より使用されている公知のものを用いることができ、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiClO4 、LiSbF6 、LiCF3 SO3 、LiAsF6 、LiN(Cm F2m+1SO2 )(Cn F2n+1SO2 )(式中、m,nは1〜4の何れかの整数である。)、LiC(Cl F2l+1SO2 )(Cm F2m+1SO2 )(Cn F2n+1SO2 )(式中、l,m,nは1〜4の何れかの整数である。)等のリチウム塩を使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、この発明に係るリチウム二次電池について実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この発明の実施例のリチウム二次電池においては、充放電効率が低下するのが抑制されて、充放電サイクル特性が向上することを、比較例を挙げて明らかにする。なお、この発明におけるリチウム二次電池は下記の実施例に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜様々な変更を行って実施できるものである。
【0024】
(実施例1)
実施例1においては、下記のようにして作製した正極と負極と非水電解液とセパレータとを用い、図1に示すようなAAサイズの円筒型で定格容量が1.0Ahになったリチウム二次電池を作製した。
【0025】
[正極の作製]
正極を作製するにあたっては、正極活物質としてLiCoO2 粉末を用い、このLiCoO2 粉末と、導電剤である炭素粉末と、結着剤であるポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液とを混合させ、上記のLiCoO2 粉末と炭素粉末とポリフッ化ビニリデンとが90:5:5の重量比になったスラリーを調製し、このスラリーを厚みが20μmのアルミニウム箔の両面にドクターブレード法により塗布し、これを真空乾燥させて正極を作製した。
【0026】
[負極の作製]
負極を作製するにあたっては、負極集電体として、厚みが17μmになった表面に凹凸を有する電解銅箔を使用し、高周波スパッタリング法によりこの電解銅箔の両面に、それぞれ厚みが約5μmになったシリコンからなる負極活物質の薄層を形成して負極を作製した。なお、上記の高周波スパッタリングは、スパッタガス(Ar)流量:100sccm,基板温度:室温(加熱なし),反応圧力:1.0×10−3Torr,高周波電力:200Wの条件で行った。また、上記のように形成したシリコンの薄層をXRDにより解析したところ、非晶質になっていた。
【0027】
[非水電解液の作製]
非水電解液を作製するにあたっては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合させた混合溶媒にLiPF6 を1mol/lの割合で溶解させて非水電解液を作製した。
【0028】
[セパレータの作製]
セパレータを作製するにあたっては、低融点材料として融点が130℃のポリエチレンを用いる一方、高融点材料として融点が600℃のパラ系ポリアミドを用いた。
【0029】
そして、上記のポリエチレンの表面に、上記のパラ系ポリアミドをポリエチレンに対して5wt%の割合になるように被覆させ、ポリエチレンの表面にパラ系ポリアミドが積層された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータに対して、ハンディー圧縮試験器(カトーテック社製:KES−G5)を使用し、先端の曲率半径が0.5mmの針を用い、突き刺し速度2mm/sの条件で突き刺し試験を行い、このセパレータにおける突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は520gであった。
【0030】
[電池の作製]
電池を作製するにあたっては、図1に示すように、上記のようにして作製した正極1と負極2との間に上記のセパレータ3を介在させ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容させた後、この電池缶4内に上記の非水電解液を注液して封口し、正極1を正極リード5を介して正極蓋6に接続させると共に、負極2を負極リード7を介して電池缶4に接続させ、電池缶4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分離させた。
【0031】
(実施例2)
実施例2においては、上記の実施例1におけるセパレータの作製において、融点が130℃の上記のポリエチレンに対して融点が600℃の上記のパラ系ポリアミドを5wt%混合させて、ポリエチレンにパラ系ポリアミドが混合された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は420gであった。
【0032】
そして、上記のセパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例2のリチウム二次電池を作製した。
【0033】
(実施例3)
実施例3においては、上記の実施例1におけるセパレータの作製において、融点が130℃の上記のポリエチレンに対して、融点が600℃の上記のパラ系ポリアミドと、融点が170℃のポリプロピレンとをそれぞれ5wt%混合させて、ポリエチレンにパラ系ポリアミドとポリプロピレンとが混合された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は410gであった。
【0034】
そして、上記のセパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例3のリチウム二次電池を作製した。
【0035】
(比較例1)
比較例1においては、上記の実施例1におけるセパレータの作製において、融点が130℃の上記のポリエチレンだけを使用し、このポリエチレンだけで構成された微多孔膜からなるセパレータを得た。なお、このセパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、その突き刺し強度は350gであった。
【0036】
そして、上記のセパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例1のリチウム二次電池を作製した。
【0037】
次に、上記のようにして作製した実施例1〜3及び比較例1の各リチウム二次電池を用い、それぞれ25℃の温度条件下において、1000mAの定電流で4.2Vまで充電させた後、さらに4.2Vの定電圧に保持して電流が25mAになるまで定電圧充電させ、その後、1000mAの定電流で2.75Vまで放電させて1サイクル目の充放電を行い、その後、1サイクル目の場合と同様にして2サイクル目の充電を行い、2サイクル目の充電容量Qaを求めた後、1サイクル目の場合と同様にして2サイクル目の放電を行い、2サイクル目の放電容量Qbを求め、下記の式により2サイクル目の充放電効率(%)を算出し、その結果を下記の表1に示した。
【0038】
充放電効率(%)=(Qb/Qa)×100
【0039】
【表1】
【0040】
この結果から明らかなように、負極における負極活物質にリチウムと合金化するシリコンを用いた場合において、上記の突き刺し強度が350gを越えるセパレータを用いた実施例1〜3の各リチウム二次電池は、突き刺し強度が350gになったセパレータを用いた比較例1のリチウム二次電池に比べて2サイクル目の充放電効率が大きく向上しており、充放電を繰り返して行った場合においても放電容量が低下するのが抑制され、充放電サイクル特性が向上する。
【0041】
また、上記の実施例1〜3のリチウム二次電池を比較した場合、ポリエチレンをアラミドで被覆したセパレータを用いた実施例1のリチウム二次電池に比べて、ポリエチレンにパラ系アラミド等を混合させたセパレータを用いた実施例2,3のリチウム二次電池の方が、2サイクル目の充放電効率が高くなっており、充放電サイクル特性がさらに向上する。
【0042】
(実施例2.1〜2.5)
実施例2.1〜2.5においては、上記の実施例2におけるセパレータの作製において、融点が130℃のポリエチレンに対して混合させる融点が600℃のパラ系ポリアミドの割合を変更し、パラ系ポリアミドの割合を、実施例2.1では0.5wt%、実施例2.2では1wt%、実施例2.3では10wt%、実施例2.4では20wt%、実施例2.5では30wt%にして各セパレータを作製した。
【0043】
また、上記のようにして作製した各セパレータについて、上記の実施例1の場合と同様にして突き刺し強度を測定した結果、突き刺し強度が、実施例2.1のセパレータでは380g、実施例2.2のセパレータでは400g、実施例2.3のセパレータでは470g、実施例2.4のセパレータでは500g、実施例2.5のセパレータでは550gになっており、何れも突き刺し強度が350gより大きいという本発明の条件を満たしていた。
【0044】
そして、上記の各セパレータを使用する以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例2.1〜2.5の各リチウム二次電池を作製した。
【0045】
次いで、このように作製した実施例2.1〜2.5の各リチウム二次電池についても、上記の実施例1〜3及び比較例1の各リチウム二次電池の場合と同様にして、2サイクル目の充電容量Qaと、2サイクル目の放電容量Qbとを求めると共に、2サイクル目の充放電効率(%)を算出し、その結果を、上記の実施例2及び比較例1のリチウム二次電池と合わせて下記の表2に示した。
【0046】
【表2】
【0047】
この結果から明らかなように、突き刺し強度が350gより大きいセパレータを使用した実施例2.1〜2.5の各リチウム二次電池も、上記の実施例2のリチウム二次電池と同様に、突き刺し強度が350gになったセパレータを用いた比較例1のリチウム二次電池に比べて、2サイクル目の充放電効率が大きく向上しており、充放電を繰り返して行った場合においても放電容量が低下するのが抑制されて充放電サイクル特性が向上する。
【0048】
また、上記の実施例2及び実施例2.1〜2.5のリチウム二次電池を比較した場合、ポリエチレンに対してパラ系アラミドを1〜20wt%の範囲で混合させ、突き刺し強度が400〜500gの範囲になったセパレータを用いた実施例2及び実施例2.2〜2.4のリチウム二次電池においては、2サイクル目の充放電効率がさらに向上しており、充放電サイクル特性がさらによくなる。
【0049】
なお、上記の実施例及び比較例においては、負極活物質に用いるリチウムと合金化する材料として、シリコンSiを用いた場合を示しただけであるが、リチウムと合金化する他の材料を負極活物質に用いた場合においても同様の結果が得られる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明におけるリチウム二次電池においては、負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いた場合において、正極と負極とを分離させるセパレータに、上記の突き刺し強度が350gより大きいものを用いるようにしたため、充放電によって負極が膨張,収縮しても、このセパレータによって正極と負極との間に微少短絡が生じるのが抑制され、充放電効率が低下するのが防止されて、充放電サイクル特性が向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例及び比較例において作製したリチウム二次電池の概略説明図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池缶
5 正極リード
6 正極蓋
7 負極リード
8 絶縁パッキン
Claims (5)
- 正極と、負極と、正極と負極とを分離させるセパレータと、非水電解質とを備えたリチウム二次電池において、上記の負極における負極活物質にリチウムと合金化する材料を用いると共に、上記のセパレータとして、先端の曲率半径が0.5mmの針を突き刺し速度2mm/sの条件で突き刺す突き刺し試験における突き刺し強度が350gより大きいものを用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
- 請求項1に記載したリチウム二次電池において、前記のセパレータが、低融点材料中に高融点材料が混合された構造であることを特徴とするリチウム二次電池。
- 請求項1又は2に記載したリチウム二次電池において、前記のセパレータにおける突き刺し強度が400〜500gの範囲であることを特徴とするリチウム二次電池。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載したリチウム二次電池において、前記負極として、凹凸のある負極集電体の表面に前記の負極活物質の薄層が形成されたものを用いたことを特徴とするリチウム二次電池。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載したリチウム二次電池において、前記の負極活物質としてシリコンを使用したことを特徴とするリチウム二次電池。
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