JP7169772B2 - 非水電解液電池及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高温貯蔵特性が良好な非水電解液電池及びその製造方法に関するものである。
非水電解液電池は、高容量、高電圧などの特性を生かして、種々の用途に利用されている。特に近年では、車載用機器の非水電解液電池の需要が伸びている。
従来は、車載用の電子機器の電源としては、汎用されている非水電解液二次電池よりも貯蔵特性が良好で、数年以上の長期にわたって貯蔵しても、容量低下がほとんどない非水電解液一次電池が利用されている。
前記非水電解液一次電池の負極活物質には、金属リチウムや、Li-Al(リチウム-アルミニウム)合金などのリチウム合金が用いられているが、非水電解液二次電池においても、負極活物質としてリチウム合金を用いることができるため、リチウムを吸蔵、放出可能な金属と、リチウムの吸蔵、放出能力のない異種金属とのクラッド材を用いて負極を構成することにより、電池特性の安定化を実現することも提案されている(特許文献1、2)。
また、繰り返し充電が可能で、且つ高温環境下での貯蔵特性を高める目的で、Liと合金化しない金属基材層と、その金属基材層の両面にAl活性層とを含有する積層体を有し、Al活性層の表面側にLi-Al合金が形成されているクラッド材を負極として用いた非水電解液電池が提案されている(特許文献3)。
特開平8-293302号公報 特開平10-106628号公報 国際公開第2016/039323号
一方、クラッド材を負極として用いた特許文献3に開示の非水電解液電池では、繰り返し充電が可能で、且つ高温環境下での貯蔵特性を高めることはできるが、クラッド材は高価であり、また、電池が過放電状態になるとクラッド材の金属基材層を構成する金属が非水電解液中に溶出してしまい、電池特性に悪影響があるという問題があった。
この問題に対応するため、特許文献2に一部開示されているように、負極に高価なクラッド材ではなく、安価なアルミニウム板を用いることも考えられる。しかし、負極にアルミニウム板のみを用いると、過度に充電した場合、AlとLiとが反応しすぎてしまい、アルミニウム板の両面側に形成されるLi-Al合金層の厚さが徐々に大きくなると共にアルミニウム板(Al層)の厚さが徐々に薄くなり、それに伴い負極自体もLi-Al合金層の形成により膨張するため、最終的には負極の膨張による応力に耐え切れずにAl層が破断してしまい、高温環境下での電池の信頼性が低下するという問題が予想される。特に、引用文献2に開示の円筒形電池に比べて、巻回電極体を角形外装体に封入した角形電池の場合には、負極のR部に大きな応力がかかるため、電池の信頼性の低下がより懸念される。
本発明は、前記問題を解決したものであり、アルミニウムを単独で負極材料として用いても負極の強度を維持でき、高温環境下での長期信頼性の高い非水電解液電池を提供するものである。
本発明の非水電解液電池は、正極、負極、非水電解液及びセパレータを含む非水電解液電池であって、前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の上に形成された正極合剤層とを含み、前記正極合剤層は、Liイオンを吸蔵・放出可能であり、前記負極の面積は、前記正極の前記正極合剤層の面積より大きく、且つ、前記負極は、前記セパレータを介して前記正極合剤層の全面を覆うように配置され、前記負極は、Al層と、前記Al層の表面に形成されたLi-Al合金層とを含み、前記負極の引張強度が、4N/mm以上である。
また、本発明の非水電解液電池の製造方法は、上記本発明の非水電解液電池を製造する方法であって、正極集電体の少なくとも片面に正極合剤層が形成され、且つ、容量が0.68mAh/cm2以上4.87mAh/cm2以下である正極を準備する工程と、前記正極の前記正極合剤層の面積よりも大きな面積を有し、且つ、厚さが30μm以上150μm以下のアルミニウム基材からなる負極前駆体を準備する工程と、前記負極前駆体を、セパレータを介して、前記正極の前記正極合剤層の全面を覆うように配置して電極体を作製する工程と、前記電極体と、非水電解液とを外装体に封入した後、充電する工程とを含む。
本発明によれば、高温環境下での長期信頼性の高い非水電解液電池を提供することができる。
図1は、負極前駆体に用いるアルミニウム基材の模式断面図である。 図2は、初充電後の負極の模式断面図である。 図3は、実施例の非水電解液電池を模式的に表す斜視図である。 図4は、図3のI-I線の断面図である。
本願で開示する非水電解液電池の実施形態について説明する。本実施形態の非水電解液電池は、正極、負極、非水電解液及びセパレータを備え、前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の上に形成された正極合剤層とを含み、前記正極合剤層は、Liイオンを吸蔵・放出可能であり、前記負極の面積は、前記正極の前記正極合剤層の面積より大きく、且つ、前記負極は、前記セパレータを介して前記正極合剤層の全面を覆うように配置され、前記負極は、Al層と、前記Al層の表面に形成されたLi-Al合金層とを含み、前記負極の引張強度が、4N/mm以上である。
本実施形態の非水電解液電池は、上記構成とすることにより、高温環境下での長期信頼性を向上できる。
Li(金属Li)や、Li-Al合金(LiとAlとの合金)は、炭素材料に比べてLi(Liイオン)の受け入れ性が低く、これを負極活物質に用いた非水電解液二次電池では、充放電を繰り返した際に、早期に容量が低下しやすい。こうしたことから、充放電を繰り返し行って使用することが想定されている従来の非水電解液二次電池では、黒鉛などの炭素材料が負極活物質として汎用されている。
しかし、炭素材料を負極活物質に用いた非水電解液二次電池では、自己放電が起きやすく、充電状態で貯蔵すると容量低下が生じやすい。
こうしたことから、車載用機器や屋外設備用機器に用いる電池としては、従来の非水電解液二次電池よりも貯蔵特性が良好で、数年以上の長期にわたって貯蔵しても、容量低下がほとんどない非水電解液一次電池が適用されている。
その一方で、こうした用途においても、メンテナンスの容易さなどの理由から、通常の二次電池のように充放電を多数繰り返すことは求めないまでも、数回~数十回程度の回数で充電が可能な電池の適用要請がある。
そこで、本実施形態の非水電解液電池では、特に車載用・屋外設備用など高温環境下で使用される場合にあっても、高い貯蔵特性と高容量化とを実現することができ、また、ある程度の回数の充電が可能となるように、Al層の表面に形成されたLi-Al合金を負極活物質として使用することにした。
また、アルミニウムを負極材料に用いる場合には、アルミニウム箔などにより負極前駆体を構成し、その負極前駆体と、正極、セパレータ、非水電解液などとを電池に収納した後、初充電(化成)を行って、アルミニウム箔と非水電解液中のLiイオンとを電気化学的に反応させて、アルミニウム箔の表面にLi-Al合金を形成し、Al層と、前記Al層の表面に形成されたLi-Al合金層とを備えた負極を形成して用いる。この初充電の際に無制限にアルミニウム箔の表面にLi-Al合金を形成すると、負極の芯材となるAl層が薄くなりすぎて強度が低下し、最悪の場合には、アルミニウム箔が全てLi-Al合金となり、負極の芯材が消失し、負極の強度が極端に低下する場合も考えられる。そこで、本実施形態では、負極の強度を維持して電池の信頼性を確保するために、負極の引張強度を4N/mm以上とした。この負極の引張強度を4N/mm以上にすることは、実質的には、負極の芯材となるAl層の厚さを一定以上に保持して強度を維持することを意味する。
以下、本実施形態の非水電解液電池の各構成要素について説明する。
<負極>
本実施形態の非水電解液電池に係る負極の形成には、集電体を用いずに、Al基材(Al箔など)のみを負極前駆体として使用するものである。具体的には、前記Al基材からなる負極前駆体をそのまま電池の組み立てに用い、組み立てた後の充電によって、前記Al基材のAlを非水電解液中のLiイオンと電気化学的に反応させて、Al層と、前記Al層の表面に形成されたLi-Al合金層とを有する負極を形成する。
前記負極には、一定厚さのAl層が必ず存在するので、前記Al層が負極の心材となって、負極の引張強度を4N/mm以上とすることができる。前記負極の引張強度は、7N/mm以上がより好ましい。一方、前記負極の引張強度が大きすぎると、前記Al層の厚さが大きくなりすぎ、充放電に寄与しない心材部の体積が増加して、電池の体積エネルギー密度が低下することから、前記引張強度の上限値は、11N/mm程度が好ましい。
前記Al基材としては、例えば、Al(及び不可避不純物)からなる箔や、合金成分としてCu、Fe、Ni、Co、Mn、Cr、V、Ti、Zr、Nb、Moなどを含み、残部がAl及び不可避不純物であるAl合金(前記合金成分の含有量は、例えば、合計で50質量%以下)からなる箔などが挙げられる。例えば、前記Al基材の合金成分がCuの場合には、そのCuの含有量は、7質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下がより好ましい。この範囲であれば過放電時のCuの溶出をより確実に抑制できる。
前記負極前駆体としてのAl基材の厚さは、30μm以上が好ましく、40μm以上がより好ましく、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。前記Al基材の厚さが、上記範囲内であれば、充電後の負極の引張強度を4N/mm以上としつつ、負極の容量を一定以上とすることができる。但し、本実施形態の非水電解液電池は、正極容量規制で構成されるため、前記負極前駆体としてのAl基材の厚さが30μm以上150μm以下の場合、充電後の負極の引張強度を4N/mm以上とするためには、正極の容量は、0.68mAh/cm2以上4.87mAh/cm2以下であることが好ましく、3.65mAh/cm2以下であることがより好ましい。
前記負極前駆体として使用するAl基材には、それぞれ常法に従って負極リード体を設けることができる。
図1に、本実施形態の非水電解液電池の負極前駆体に用いるAl基材の一例を模式的に表す断面図を示す。図1において、Al基材(負極前駆体)100の厚さaは、30μm以上150μm以下に設定されている。
図2に、図1のAl基材100を初充電(化成)して負極を形成した状態の一例を模式的に表す断面図を示す。図2において、負極200は、Al層201と、Al層201の表面に形成されたLi-Al合金層202とを備えている。Al層201の厚さbは、Li-Al合金層202の形成により、図1のAl基材の厚さaより、小さくなっている。一方、Li-Al合金層202の厚さcは、AlとLiイオンとの反応により図2の矢印方向に膨張するため、負極200の厚さ(c+b+c)は、当初のAl基材層の厚さaより大きくなる。但し、実際には、Al基材層とLiイオンとの反応は必ずしも均一には起こらず、Al層201とLi-Al合金層202の界面には起伏が生じるため、Al層201の厚さb及びLi-Al合金層202の厚さcは、場所により変動するが、化成前のAl基材の厚さaは、通常均一である。
また、本実施形態の非水電解液電池では、前記負極の面積は、後述する正極のLiイオンを吸蔵・放出可能な正極合剤層の面積より大きく設定され、更に、前記負極は、セパレータを介して前記正極合剤層の全面を覆うように配置されているため、前記負極の端部は、前記正極合剤層と対面しない部分となり、その部分では、実質的にLi-Al合金層は形成されないと考えられる。そのため、前記負極のAl層の全体の厚さを観察した場合には、Li-Al合金層が形成された部分のAl層の厚さbは、初充電前のAl基材の厚さaよりも小さくなるが、Li-Al合金層が形成されていない部分のAl層の厚さは、初充電前のAl基材の厚さaがそのまま維持されているため、負極全体で観察するとAl層の最大の厚さは、初充電前のAl基材(負極前駆体)の厚さaと一致する。
ここでいう正極合剤層とは、前記正極においてLiイオンを吸蔵・放出可能である部分をいう。例えば、正極活物質を含む層を正極集電体上に形成した後に、当該層上にLiイオンの透過を阻害する層(テープなど)を貼り付けた場合には、当該貼り付け部分の層は、本実施形態でいうところの正極合剤層には該当しない。
図2におけるAl層201と、Li-Al合金層202とは、負極の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、識別できる。また、負極に破断が生じているか否かも、負極の断面をSEMで観察することにより、確認できる。
<正極>
本実施形態の非水電解液電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含有する正極合剤層を、正極集電体の片面又は両面に有する構造のものが使用できる。前述のように、負極のAl層の最大の厚さが30μm以上150μm以下の場合、即ち、初充電(化成)前の負極前駆体であるAl基材の厚さが30μm以上150μm以下の場合には、前記正極の容量は、0.68mAh/cm2以上4.87mAh/cm2以下に設定することが好ましい。これにより、負極前駆体のAl基材がLiイオンと反応しすぎて、負極のAl層の厚さが薄くなりすぎて、負極の引張強度が4N/mmを下回ることがなくなる。
前記正極の容量は、次のようにして測定するものとする。即ち、本実施形態の非水電解液電池を初充電(化成)後に分解して、正極を取り出す。その後、取り出した正極が正極集電体の片面にのみ正極合剤層を有している場合は、その正極の正極合剤層の部分を1cm2の大きさに切り抜いて正極容量測定サンプルとする。また、取り出した正極が正極集電体の両面に正極合剤層を有する場合は、その取り出した正極から片面の正極合剤層を除去し、その片面から正極合剤層を除去した正極の正極合剤層の部分を1cm2の大きさに切り抜いて正極容量測定サンプルとする。次に、その正極容量測定サンプルと、Li箔とを組み合わせて、モデルセルを作製する。このモデルセルの非水電解液としては、本実施形態の非水電解液電池で使用したものと同じ非水電解液を用いる。続いて、このモデルセルを0.25mAの定電流で、上記非水電解液電池の初充電電圧に0.35Vを加えた所定電圧まで定電流充電し、その後、その所定電圧で充電電流が0.025mAに低下するまで定電圧充電を行う。その後、0.25mAの定電流で3Vとなるまで放電を行い、その時の容量を前記正極の容量とする。
また、前記正極集電体の片面あたりの前記正極合剤層の質量は、7mg/cm2以上30mg/cm2以下であることが好ましく、8.5mg/cm2以上25mg/cm2以下であることがより好ましい。前記正極合剤層の質量が7mg/cm2を下回ると、高率放電時における正極活物質の単位質量あたりの放電負荷が増大して出力特性が低下し、前記正極合剤層の質量が30mg/cm2を超えると、正極の容量の上限を4.87mAh/cm2に設定することが困難となる場合があるからである。
前記正極合剤層の質量は、正極集電体への単位面積あたりの正極合剤の塗布量を調整することにより制御できる。
前記正極活物質としては、特に限定されるものではないが、リチウム含有ニッケル層状酸化物を用いることが好ましい。
一般に正極活物質は高温環境下において非水電解液と反応し、正極上には反応生成物が堆積され、同時にガスが発生する。リチウムイオン二次電池などの非水電解液電池に一般的に使用されるコバルト酸リチウムを正極活物質として用いると、高温下でコバルト酸リチウムの表面と非水電解液とが反応してCoを含む反応生成物が正極の表面に堆積し、同時にガスが発生するが、Coを含む反応生成物は更に分解されて非水電解液中にCoが溶出する。そして、再びコバルト酸リチウムの表面と非水電解液とが反応しCoを含む反応生成物が生じると共にガスが発生する。つまり、正極活物質にコバルト酸リチウムを多く含むと、電池が高温に晒されるたびにCoが溶出し続け、ガスも発生し続ける。
しかし、前記リチウム含有ニッケル層状酸化物は、一度は高温下において非水電解液と反応してNiを含む反応生成物が生じると共にガスが発生するが、Niを含む反応生成物は分解されずに正極上にとどまって被膜となる。また、その後電池が高温に晒されたとしてもNiの溶出もガス発生も抑制される。従って、電池を充電した状態で高温下においても金属溶出が起こり難い。そのため、電池を長期間、高温下において貯蔵してもガス発生を抑えることができ、放電容量の低下を抑制することができる。
前記リチウム含有ニッケル層状酸化物としては、下記一般式(1)で表される複合酸化物を用いることが好ましい。下記一般式(1)で表される複合酸化物を用いると、長期間の貯蔵におけるガス発生を抑えるだけではなく、抵抗の増加を抑制できる。
Li1+xNi1-y-z1 y2 z2 (1)
前記一般式(1)中、M1はCo、Mn、Al、Mg、Zr、Mo、Ti、Ba、W及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M2はLi、Ni及びM1以外の元素であり、-0.1≦x≦0.1、0≦y<0.85、0≦z≦0.05である。
前記一般式(1)で表される複合酸化物において結晶格子中にCoを存在させると、非水電解液電池の充放電でのLiの挿入及び脱離によるリチウム含有複合酸化物の相転移から起こる不可逆反応を緩和でき、前記複合酸化物の結晶構造の可逆性を高めることができるため、より充放電サイクル寿命の長い非水電解液電池を構成することが可能となる。
前記一般式(1)で表される複合酸化物がMgを含有していると、Liの脱離及び挿入によって前記複合酸化物の相転位が起こる際に、Mg2+がLiサイトに転位することから不可逆反応が緩和され、空間群R3-mとして表される前記複合酸化物の層状の結晶構造の可逆性が向上する。
前記一般式(1)で表される複合酸化物がMnを含有していると、4価のMnが不安定な4価のNiを安定化させることから、充放電サイクル寿命のより長い非水電解液電池を構成することが可能となる。
前記一般式(1)で表される複合酸化物がW又はMoを含有していると、これによる充放電での結晶の膨張・収縮の割合を低減させることができ、電池の充放電サイクル特性の向上に繋がる。
前記一般式(1)で表される複合酸化物において、結晶格子中にAlを存在させると、結晶構造を安定化させることができ、その熱的安定性を向上させ得るため、より安全性の高い非水電解液電池を構成することが可能となる。また、Alが前記複合酸化物の粒子の粒界や表面に存在することで、その経時安定性や非水電解液との副反応を抑制することができ、より長寿命の非水電解液電池を構成することが可能となる。
Erが前記一般式(1)で表される複合酸化物の粒子の粒界や表面に存在すると、正極活物質表面での触媒性を低下させ、非水電解液の分解を抑制することができる。
前記一般式(1)で表される複合酸化物において、粒子中にBaといったアルカリ土類金属元素を含有させると、一次粒子の成長が促進され、前記複合酸化物の結晶性が向上するため、非水電解液との副反応が抑制されて、高温貯蔵時に膨れがより生じ難い電池を構成できるようになる。
前記一般式(1)で表される複合酸化物において、粒子中にTiを含有させると、LiNiO2型の結晶構造において、酸素欠損などの結晶の欠陥部に配置されて結晶構造を安定化させるため、前記複合酸化物の反応の可逆性が高まり、より充放電サイクル特性に優れた非水電解液電池を構成できるようになる。
前記一般式(1)で表される複合酸化物がZrを含有する場合、これが前記複合酸化物の粒子の粒界や表面に存在することで、前記複合酸化物の電気化学特性を損なうことなく、その表面活性を抑制する。また、Zrによる粒子表面の活性抑制効果によって、より貯蔵性に優れ長寿命の非水電解液電池を構成することが可能となる。
前記一般式(1)で表される複合酸化物において、M1の元素は、上述のそれぞれの元素を求められる特性に応じて含有させてもよいし、させなくてもよい。
前記一般式(1)で表される複合酸化物には、Li、Ni及びM1以外の元素であるM2を含有させてもよいし、含有させなくてもよい。M2の元素の含有量を表すzは、0.05以下であれば本実施形態における効果を阻害しないが、より好ましくは0.01以下である。
前記正極活物質の組成分析は、ICP(Inductive Coupled Plasma)法を用いて以下のように行うことができる。先ず、測定対象となる正極活物質を0.2g採取して100mL容器に入れる。その後、純水5mL、王水2mL、純水10mLを順に加えて加熱溶解し、冷却後、更に純水で25倍に希釈してJARRELASH社製のICP分析装置“ICP-757”(製品名)を用いて、検量線法により組成を分析する。得られた結果から、組成量を導くことができる。
前記正極活物質は、前記リチウム含有ニッケル層状酸化物を1種類含有していてもよく、2種類以上含有していてもよい。
また、前記正極活物質には、求められる電池特性に応じて、前記リチウム含有ニッケル層状酸化物とは異なる他のリチウム含有複合状酸化物を含ませることができる。
前記リチウム含有ニッケル層状酸化物とは異なる前記リチウム含有複合状酸化物としては、例えば、LiCoO2などのリチウムコバルト酸化物;LiMnO2、Li2MnO3などのリチウムマンガン酸化物;LiMn24、Li4/3Ti5/34などのスピネル構造のリチウム含有複合酸化物;LiFePO4などのオリビン構造のリチウム含有複合酸化物;これらの酸化物を基本組成とし、その構成元素の一部を他の元素で置換した酸化物;などが挙げられる。これらのリチウム含有複合状酸化物も、1種類を使用していてもよく、2種類以上を使用してもよい。
前記正極活物質に、前記リチウム含有ニッケル層状酸化物とは異なるリチウム含有複合状酸化物を含む場合であっても、前記正極活物質は、前記リチウム含有ニッケル層状酸化物を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましい。これにより、前述のリチウム含有ニッケル層状酸化物の効果を良好に得ることができるからである。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粉末類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極は、例えば、正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含有する正極合剤を、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶媒又は水に分散させて正極合剤含有塗料(ペースト、スラリーなど)を調製し、この正極合剤含有塗料を集電体の片面又は両面などに塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
また、前記正極合剤を用いて成形体を形成し、この成形体の片面の一部又は全部を正極集電体と貼り合わせて正極としてもよい。正極合剤成形体と正極集電体との貼り合わせは、プレス処理などにより行うことができる。
正極の集電体としては、AlやAl合金などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、Al箔が好適に用いられる。正極集電体の厚みは、10~30μmであることが好ましい。
正極合剤層の組成としては、例えば、正極活物質を80.0~99.8質量%とし、導電助剤を0.1~10質量%とし、バインダを0.1~10質量%とすることが好ましい。また、正極合剤層の厚みは、集電体の片面あたり、15~100μmであることが好ましい。
正極の集電体には、常法に従って正極リード体を設けることができる。
<セパレータ>
セパレータは、80℃以上(より好ましくは100℃以上)170℃以下(より好ましくは150℃以下)において、その孔が閉塞する性質(即ち、シャットダウン機能)を有していることが好ましく、通常のリチウムイオン二次電池などの非水電解液電池などで使用されているセパレータ、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン製の微多孔膜を用いることができる。セパレータを構成する微多孔膜は、例えば、PEのみを使用したものやPPのみを使用したものであってもよく、また、PE製の微多孔膜とPP製の微多孔膜との積層体であってもよい。セパレータの厚みは、例えば、10~30μmであることが好ましい。
<電極体>
本実施形態の非水電解液電池において、正極と負極とは、例えば、セパレータを介して重ねて構成した電極体、前記電極体を更に渦巻状に巻回して形成された巻回電極体、又は複数の正極と複数の負極とを交互に積層した積層電極体の形態で使用されるが、円筒形電池に比べて、巻回電極体を角形外装体に封入した角形電池の場合には、特に負極のR部に大きな応力がかかるため、アルミニウムを単独で負極材料として用いても負極の強度を維持でき、高温環境下での長期信頼性を確保できる本実施形態の非水電解液電池電池の構成が好適に用いられる。
<非水電解液>
非水電解液には、有機溶媒中に、リチウム塩を溶解させた溶液を使用する。
非水電解液に係る有機溶媒には、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;ラクトン環を有する化合物などの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3-ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。より良好な特性の電池とするためには、環状カーボネートと前記例示の鎖状カーボネートとの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。
また、非水電解液の有機溶媒には、PCを使用することがより好ましい。PCは、特に非水電解液電池の低温での放電特性の確保に寄与する。例えば、非水電解液電池に係る非水電解液の有機溶媒にはエチレンカーボネートを使用することが多いが、PCはエチレンカーボネートよりも凝固点が低いため、より低温の環境下においても、電池の出力特性を高めることが可能となる。
更に、非水電解液電池の低温での放電特性をより向上させる観点からは、非水電解液の有機溶媒として、PCと共にラクトン環を有する化合物を使用することが好ましい。
ラクトン環を有する化合物としては、γ-ブチロラクトンやα位に置換基を有するラクトン類などが挙げられる。
また、α位に置換基を有するラクトン類は、例えば5員環のもの(環を構成する炭素数が4つのもの)が好ましい。前記ラクトン類のα位の置換基は、1つであってもよく、2つであってもよい。
前記置換基としては、炭化水素基、ハロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)などが挙げられる。炭化水素基としては、アルキル基、アリール基などが好ましく、その炭素数は1以上15以下(より好ましくは6以下)であることが好ましい。前記置換基が炭化水素基の場合、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基などが更に好ましい。
α位に置換基を有するラクトン類の具体例としては、α-メチル-γ-ブチロラクトン、α-エチル-γ-ブチロラクトン、α-プロピル-γ-ブチロラクトン、α-ブチル-γ-ブチロラクトン、α-フェニル-γ-ブチロラクトン、α-フルオロ-γ-ブチロラクトン、α-クロロ-γ-ブチロラクトン、α-ブロモ-γ-ブチロラクトン、α-ヨード-γ-ブチロラクトン、α,α-ジメチル-γ-ブチロラクトン、α,α-ジエチル-γ-ブチロラクトン、α,α-ジフェニル-γ-ブチロラクトン、α-エチル-α-メチル-γ-ブチロラクトン、α-メチル-α-フェニル-γ-ブチロラクトン、α,α-ジフルオロ-γ-ブチロラクトン、α,α-ジクロロ-γ-ブチロラクトン、α,α-ジブロモ-γ-ブチロラクトン、α,α-ジヨード-γ-ブチロラクトンなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、α-メチル-γ-ブチロラクトンがより好ましい。
非水電解液に使用する全有機溶媒中におけるPCの含有量は、その使用による前記の効果を良好に確保する観点から、10体積%以上であることが好ましく、30体積%以上であることがより好ましい。前記の通り、非水電解液の有機溶媒はPCのみであってもよいことから、非水電解液に使用する全有機溶媒中の、PCの好適含有量の上限値は100体積%である。
ラクトン環を有する化合物を使用する場合には、その使用による効果を良好に確保する観点から、非水電解液に使用する全有機溶媒中におけるラクトン環を有する化合物の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、この好適値を満たし、且つ全有機溶媒中のPCの含有量が前記の好適値を満たす範囲内で使用することが望ましい。
非水電解液に係るリチウム塩には、耐熱性が高く、非水電解液電池の高温環境下での貯蔵特性を高め得ることに加えて、電池内で用いるアルミニウムの腐食を抑制する機能を有していることから、LiBF4を使用することが好ましい。
非水電解液に係る他のリチウム塩としては、例えば、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li224(SO32、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiCn2n+1SO3(2≦n≦7)、LiN(RfOSO22〔ここで、Rfはフルオロアルキル基〕などが挙げられる。
非水電解液中のリチウム塩の濃度は、0.6mol/L以上であることが好ましく、0.9mol/L以上であることがより好ましい。
非水電解液中の全リチウム塩の濃度は、1.8mol/L以下であることが好ましく、1.6mol/L以下であることがより好ましい。よって、リチウム塩にLiBF4のみを使用する場合には、その濃度が前記の好適上限値を満たす範囲で使用することが好ましい。他方、LiBF4と共に他のリチウム塩を使用する場合には、LiBF4の濃度が前記の好適下限値を満たしつつ、全リチウム塩の濃度が前記の好適上限値を満たす範囲で使用することが好ましい。
また、非水電解液には、添加剤としてニトリル化合物を含有させると好ましい。ニトリル化合物を添加した非水電解液を使用することで、正極活物質の表面にニトリル化合物が吸着して被膜を形成し、この被膜が非水電解液の酸化分解によるガス発生を抑制することから、特に高温環境下で貯蔵した際の電池の膨れを抑えることができる。
非水電解液に添加するニトリル化合物としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4-ジシアノヘプタン、1,5-ジシアノペンタン(ピメロニトリル)、1,6-ジシアノヘキサン(スベロニトリル)、1,7-ジシアノヘプタン(アゼラオニトリル)、2,6-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、2,7-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、2,8-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,6-ジシアノデカン、2,4-ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。これらのニトリル化合物の中でも、ジニトリルがより好ましく、アジポニトリル、ピメロニトリル及びスベロニトリルが更に好ましい。
電池に使用する非水電解液におけるニトリル化合物の含有量は、これらの使用による前記の効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。但し、非水電解液中のニトリル化合物の量が多すぎると、電池の低温での放電特性が低下する傾向にある。よって、非水電解液中のニトリル化合物の量をある程度制限して、電池の低温での放電特性をより良好にする観点からは、電池に使用する非水電解液中のニトリル化合物の含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
また、非水電解液は、下記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物又はホウ酸化合物を含有していることが好ましい。
Figure 0007169772000001
前記一般式(2)中、XはSi、Ge又はSnであり、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基又は炭素数6~10のアリール基を表し、水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
例えば、車載用機器や、屋外設備用機器に用いる電池においては、高温環境下に限らず寒冷地での使用も考えられる。低温環境下では、常温の時と比べて電池の作動性が低下し、特に経年劣化した電池は放電特性が低下する傾向にある。そのため、あらゆる温度下での使用を想定して、高温環境下に一定時間置いた(経年劣化とほぼ同じ状態にした)後で、低温環境下でも高率放電ができることが好ましい。
本実施形態の非水電解液電池において、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物又はホウ酸化合物を含有する非水電解液を使用すると、高温下での長期貯蔵を経た後の、低温環境下での高率放電特性を高めることができる。その理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。
前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物又はホウ酸化合物を含有する非水電解液を使用すると、前記リン酸化合物又はホウ酸化合物が上述した正極活物質の表面に抵抗が低く強固な被膜を形成するため、電池を高温下で長期間貯蔵しても被膜が破壊されることがないため、正極活物質からの金属の溶出を抑制できる。また、この被膜は低温下においてもLiイオンの挿入を阻害し難いため、高温下での長期間貯蔵後の電池の、低温下での高率放電特性を良好にすることができる。
更に、非水電解液電池の負極においても、前記リン酸化合物又はホウ酸化合物が作用して、被膜が形成される。前記リン酸化合物又はホウ酸化合物は、負極表面に被膜が形成される際に使用されるLiの量を減少させて、負極表面で薄く且つ良質な被膜を形成すると考えられる。これにより、高温下での長期間貯蔵でも負極表面の被膜が破壊されることがないため、負極の劣化を抑制することができる。また、この被膜は低温下においてもLiイオンの脱離を阻害し難い。これらの理由によっても、高温下での長期間貯蔵後の電池の、低温下での高率放電特性を良好にすることができる。
上記のように、本実施形態に係る特定の正極及び特定の負極と、前記リン酸化合物又はホウ酸化合物を含有する非水電解液とを組み合わせることで、前記の各作用が相乗的に機能して、高温環境下での貯蔵特性がより良好で、且つ温度変化に対応可能な電池とすることができる。
前記一般式(2)において、XはSi、Ge又はSnであるが、Siがより好ましい。即ち、前記リン酸化合物は、リン酸シリルエステルであることがより好ましく、前記ホウ酸化合物は、ホウ酸シリルエステルであることがより好ましい。また、前記一般式(2)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基又は炭素数6~10のアリール基であるが、メチル基又はエチル基がより好ましい。そして、前記一般式(2)で表される基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
また、前記リン酸化合物においては、リン酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよいが、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
このような前記リン酸化合物としては、リン酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましいものとして挙げられる。
また、前記ホウ酸化合物においては、ホウ酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよいが、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
このような前記ホウ酸化合物としては、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましいものとして挙げられる。
電池に使用する非水電解液中の、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物又はホウ酸化合物の含有量は、その使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。また、含有量が多くなりすぎると、被膜生成時に発生するガスが多くなることから、電池に使用する非水電解質中の、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物又はホウ酸化合物の含有量は、7質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることが特に好ましい。
前記非水電解液電池においては、前記リン酸化合物又はホウ酸化合物に加えて、リチウム塩としてLiBF4を含有し、且つ有機溶媒としてPCを含有し、更にニトリル化合物が添加された非水電解液を使用することが特に好ましい。このような非水電解液を使用すると、前記各成分による作用が相乗的に機能して、高温貯蔵時の電池の膨れをより高度に抑制できると共に、高温貯蔵を経た後の低温環境下(例えば-20℃以下)での放電特性をより高めることができる。
また、これらの非水電解液に、電池の各種特性を更に向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3-プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t-ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。更に、非水電解液は、公知のポリマーなどのゲル化剤を用いてゲル状(ゲル状電解質)としてもよい。
<非水電解液電池>
本実施形態の非水電解液電池は、例えば、電極体を外装体内に装填し、更に外装体内に非水電解液を注入して非水電解液中に電極体を浸漬させた後、外装体の開口部を封止することで製造される。外装体には、スチール製やアルミニウム製、アルミニウム合金製の外装缶や、金属を蒸着したラミネートフィルムで構成される外装体などを用いることができる。
本実施形態の非水電解液電池は、正極容量規制で構成されるため、充電電気量の制御や、充電電圧の制御などにより、充電終了時期を検出することができることから、あらかじめ充電回路側に充電終了条件を設定しておくことが可能である。
組み立て後の電池は、満充電とした状態で比較的高温(例えば60℃)でエージング処理を施すことが好ましい。前記のエージング処理によって負極においてLi-Al合金の形成が進むため、電池の放電容量や出力特性がより向上する。
次に、本願で開示する非水電解液電池の製造方法の実施形態について説明する。本実施形態の非水電解液電池の製造方法は、前記実施形態の非水電解液電池を製造する方法であって、正極集電体の少なくとも片面に正極合剤層が形成され、且つ、容量が0.68mAh/cm2以上4.87mAh/cm2以下である正極を準備する工程と、前記正極の前記正極合剤層の面積よりも大きな面積を有し、且つ、厚さが30μm以上150μm以下のアルミニウム基材からなる負極前駆体を準備する工程と、前記負極前駆体を、セパレータを介して、前記正極の前記正極合剤層の全面を覆うように配置して電極体を作製する工程と、前記電極体と、非水電解液とを外装体に封入した後、充電する工程とを備えている。
前記正極を準備する工程では、前記実施形態の非水電解液電池で説明した正極を準備する。また、前記負極前駆体を準備する工程では、前記実施形態の非水電解液電池で説明した負極前駆体を準備する。また、前記セパレータ及び前記非水電解液についても、前記実施形態の非水電解液電池で説明したセパレータ及び非水電解液を用いる。
負極前駆体として厚さが30μm以上150μm以下のAl基材を用い、容量が0.68mAh/cm2以上4.87mAh/cm2以下である正極を用いることにより、初充電(化成)工程後に、Al層と、前記Al層の表面に形成されたLi-Al合金層とを備えた負極が形成され、負極の引張強度を4N/mm以上とすることができる。一旦、前記負極が形成された後は、再度充放電を行っても、負極を構成するAl層の厚さに大きな変化はなく、負極は一定の引張強度を維持することができる。
このように、本実施形態の製造方法により、アルミニウムを単独で負極材料として用いても負極の強度を維持でき、高温環境下での長期信頼性の高い非水電解液電池を提供できる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。但し、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
先ず、正極活物質であるLiNi0.33Co0.33Mn0.332で表されるリチウム含有ニッケル層状酸化物:97質量部と、導電助剤であるアセチレンブラック:1.5質量部と、バインダであるPVDF:1.5質量部とを、NMPに分散させた正極合剤含有スラリーを調製した。次に、この正極合剤含有スラリーを厚さ12μmのAl箔の両面に塗布し、乾燥し、プレス処理を行うことにより、Al箔集電体の両面に、それぞれ片面あたり10mg/cm2の質量の正極合剤層を形成した。更に、正極合剤層のプレス処理を行うことにより、長さ974mm、幅40mmの大きさの帯状の正極を作製した。但し、スラリーの塗布面の一部には正極合剤層を形成せず、Al箔が露出する箇所を設け、そのAl箔が露出する箇所に、電池外部との導電接続のためのAl製のリード体を超音波溶接した。
<負極前駆体の作製>
厚さ70μm、長さ988mm、幅44mmの大きさの帯状のAl箔を負極前駆体として用いた。但し、前記Al箔の端部に、電池外部との導電接続のためのNi製のリード体を超音波溶接した。
<電極体の作製>
前記正極と前記負極前駆体とを、厚さ16μmのPE製の微多孔フィルムよりなるセパレータを介して積層し、渦巻き状に巻回した後、押しつぶして扁平状の巻回電極体を作製した。
<非水電解液の作製>
プロピレンカーボネート(PC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジメチルカーボネート(DMC)との体積比17:63:20の混合溶媒に、LiBF4を1.2mol/Lの濃度で溶解させ、更にアジポニトリルを5質量%、リン酸トリス(トリメチルシリル:TMSP)を2質量%となる量で添加することで、非水電解液を調製した。
<電池の組み立て>
103450サイズで板厚が0.8mmのAl合金製の外装缶に、前記巻回電極体及び前記非水電解液を封入することにより、定格容量が800mAhで、図3及び図4に示す角形の非水電解液電池を作製した。
ここで、図3及び図4について説明すると、図3は、本実施例の非水電解液電池を模式的に表す斜視図であり、図4は、図3のI-I線の断面図である。図4においては、電極体の内周側の部分及びセパレータは断面にしていない。図3及び図4において、正極1と負極2とはセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角形(角筒形)の外装缶4に非水電解液と共に収容されている。但し、図4では、煩雑化を避けるため、正極1の作製にあたって使用した集電体としてのAl箔や、非水電解液などは図示していない。
外装缶4はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、外装缶4の底部にはポリエチレンシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2及びセパレータ3からなる扁平状の巻回電極体6からは、正極1及び負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、外装缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用の蓋板9にはポリプロピレン製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は外装缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
(実施例2)
負極前駆体として、厚さ38μm、長さ988mm、幅44mmのAl箔を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(実施例3)
負極前駆体として、厚さ56μm、長さ988mm、幅44mmのAl箔を用いた。また、Al箔集電体の両面に、それぞれ片面あたり25mg/cm2の質量の正極合剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記負極前駆体及び上記正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(実施例4)
実施例1の正極活物質に代えて、LiNi0.80Co0.15Al0.052で表されるリチウム含有ニッケル層状酸化物:97質量部を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(実施例5)
実施例1の正極活物質に代えて、LiNi0.5Co0.2Mn0.32で表されるリチウム含有ニッケル層状酸化物:97質量部を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(実施例6)
実施例1の正極活物質に代えて、LiCoO2で表されるリチウム含有複合酸化物:97質量部を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(実施例7)
実施例1の正極活物質に代えて、LiMn24で表されるリチウム含有複合酸化物:97質量部を正極活物質として用いた以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(実施例8)
負極前駆体として、厚さ31μm、長さ988mm、幅44mmのAl箔を用いた。また、実施例1の正極活物質に代えて、LiMn24で表されるリチウム含有複合酸化物:97質量部を正極活物質として用い、Al箔集電体の両面に、それぞれ片面あたり7mg/cm2の質量の正極合剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記負極前駆体及び上記正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(実施例9)
実施例1の正極活物質に代えて、LiNi0.80Co0.15Al0.052で表されるリチウム含有複合酸化物:97質量部を正極活物質として用い、Al箔集電体の両面に、それぞれ片面あたり30mg/cm2の質量の正極合剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(比較例1)
負極前駆体として、厚さ25μm、長さ988mm、幅44mmのAl箔を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(比較例2)
負極前駆体として、厚さ60μm、長さ988mm、幅44mmのAl箔を用いた。また、Al箔集電体の両面に、それぞれ片面あたり40mg/cm2の質量の正極合剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記負極前駆体及び上記正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
(比較例3)
負極前駆体として、厚さ40μm、長さ988mm、幅44mmのAl箔を用いた。また、Al箔集電体の両面に、それぞれ片面あたり20mg/cm2の質量の正極合剤層を形成した以外は、実施例1と同様にして正極を作製した。上記負極前駆体及び上記正極を用いた以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を作製した。
表1に実施例1~9及び比較例1~3の非水電解液電池の正極の構成を示す。
Figure 0007169772000002
実施例1~9及び比較例1~3の非水電解液電池について、正極の容量、負極の引張強度及び高温貯蔵特性の評価を行った。
<正極の容量>
実施例及び比較例の各電池について、定電流(100mA)/定電圧(3.8V)の初充電(化成)を行い、充電電流が10mAまで低下した時点で充電を停止して満充電状態とした。次に、各電池を分解して、正極を取り出し、その取り出した正極の片面の正極合剤層を除去し、その片面から正極合剤層を除去した正極の正極合剤層の部分を1cm2の大きさに切り抜いて正極容量測定サンプルとした。続いて、その正極容量測定サンプルと、Li箔とを組み合わせて、モデルセルを作製した。このモデルセルの非水電解液としては、各電池で使用したものと同じ非水電解液を用いた。次に、このモデルセルを0.25mAの定電流で、各電池の初充電電圧3.8Vに0.35Vを加えた4.15Vまで定電流充電し、その後、4.15Vの電圧で充電電流が0.025mAに低下するまで定電圧充電を行った。その後、0.25mAの定電流で3Vとなるまで放電を行い、その時の容量を前記正極の容量とした。
<負極の引張強度>
実施例及び比較例の各電池について、定電流(100mA)/定電圧(3.8V)の初充電(化成)を行い、充電電流が10mAまで低下した時点で充電を停止して満充電状態とした。この満充電状態とした各電池を解体して負極を取り出し、負極を10mm×50mmの矩形状に切り出して試験片とした。この試験片を、チャック間距離を30mmとして、今田製作所社製の引張試験機“SDT-52型”(製品名)に取り付け、クロスヘッド速度10mm/分で引張試験を行い、引張強度を測定した。
<高温貯蔵特性>
実施例及び比較例の各電池について、定電流(100mA)/定電圧(3.8V)の初充電(化成)を行い、充電電流が10mAまで低下した時点で充電を停止して満充電状態とした。この満充電状態とした各電池を、定電流2000mAで2.0Vとなるまで放電を行い、初回放電容量を求めた。
次に、上記初充電と同様の条件で満充電状態とした各電池を、100℃で150日間貯蔵した。その後、上記条件と同様の条件で満充電状態とし、20℃の環境下で、定電流2000mAで2.0Vとなるまで放電を行い、貯蔵後放電容量を求めた。
続いて、下記式により、貯蔵後の容量維持率を計算し、下記評価基準で高温貯蔵特性の評価を行った。
容量維持率(%)=(貯蔵後放電容量/初回放電容量)×100
容量維持率が70%以上の場合:高温貯蔵特性は優良(○)
容量維持率が50~69%の場合:高温貯蔵特性は良(△)
容量維持率が49%以下の場合:高温貯蔵特性は不良(×)
上記評価結果を表2に示す。
Figure 0007169772000003
表2から、負極の引張強度が4N/mm以上であった実施例1~9の電池では、高温貯蔵特性の評価を優良又は良とすることができ、高温環境下での長期信頼性の高い電池を実現できたことが分かる。一方、負極の引張強度が4N/mmを下回った比較例1~3の電池では、高温貯蔵特性の評価が不良となり、高温貯蔵特性が劣ることが分かる。
本願で開示する非水電解液電池は、高温環境下での長期信頼性が高いことから、こうした特性を生かして、車載用機器の電源用途や、屋外設備用機器の電源用途のように、高温環境下で長期にわたって容量を良好に維持できることが求められる用途に好ましく適用することができる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 外装缶
5 絶縁体
6 巻回電極体
7 正極リード体
8 負極リード体
9 蓋板
10 絶縁パッキング
11 端子
12 絶縁体
13 リード板
14 非水電解液注入口
15 開裂ベント
100 Al基材(負極前駆体)
200 負極
201 Al層
202 Li-Al合金層

Claims (13)

  1. 正極、負極、非水電解液及びセパレータを含む非水電解液電池であって、
    前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の上に形成された正極合剤層とを含み、
    前記正極合剤層は、Liイオンを吸蔵・放出可能であり、
    前記負極の面積は、前記正極の前記正極合剤層の面積より大きく、且つ、前記負極は、前記セパレータを介して前記正極合剤層の全面を覆うように配置され、
    前記負極は、Al層と、前記Al層の表面に形成されたLi-Al合金層とを含み、
    前記負極の引張強度が、4N/mm以上であり、
    前記Al層の最大の厚さが、30μm以上150μm以下であり、
    前記正極の容量が、0.68mAh/cm2以上4.87mAh/cm2以下であることを特徴とする非水電解液電池。
  2. 前記正極合剤層は、前記正極集電体の少なくとも片面に形成され、
    前記正極集電体の片面あたりの前記正極合剤層の質量が、7mg/cm2以上30mg/cm2以下である請求項1に記載の非水電解液電池。
  3. 前記正極、前記負極及び前記セパレータが、巻回電極体を形成し、
    前記巻回電極体が、角形外装体に封入されている請求項1又は2に記載の非水電解液電池。
  4. 前記正極合剤層は、正極活物質として、リチウム含有ニッケル層状酸化物を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  5. 前記リチウム含有ニッケル層状酸化物は、下記一般式(1)で表される請求項に記載の非水電解液電池。
    Li1+xNi1-y-z1 y2 z2 (1)
    前記一般式(1)中、M1はCo、Mn、Al、Mg、Zr、Mo、Ti、Ba、W及びErからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M2はLi、Ni及びM1以外の元素であり、-0.1≦x≦0.1、0≦y<0.85、0≦z≦0.05である。
  6. 前記正極活物質は、前記リチウム含有ニッケル層状酸化物とは異なるリチウム含有複合酸化物を更に含む請求項に記載の非水電解液電池。
  7. 前記非水電解液は、下記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物又はホウ酸化合物を更に含む請求項1~6のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
    Figure 0007169772000004
    前記一般式(2)中、XはSi、Ge又はSnであり、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基又は炭素数6~10のアリール基を表し、水素原子の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
  8. 前記非水電解液は、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物として、リン酸トリス(トリメチルシリル)を含む請求項7に記載の非水電解液電池。
  9. 前記非水電解液は、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するホウ酸化合物として、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)を含む請求項7に記載の非水電解液電池。
  10. 前記非水電解液は、リチウム塩としてLiBF4を含み、有機溶媒としてプロピレンカーボネートを含み、更にニトリル化合物を含む請求項1~9のいずれか1項に記載の非水電解液電池。
  11. 前記非水電解液は、前記ニトリル化合物として、スベロニトリル、ピメロニトリル及びアジポニトリルからなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項10に記載の非水電解液電池。
  12. 前記非水電解液の前記ニトリル化合物の含有量が、0.1質量%以上10質量%以下である請求項10又は11に記載の非水電解液電池。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の非水電解液電池を製造する方法であって、
    正極集電体の少なくとも片面に正極合剤層が形成され、且つ、容量が0.68mAh/cm2以上4.87mAh/cm2以下である正極を準備する工程と、
    前記正極の前記正極合剤層の面積よりも大きな面積を有し、且つ、厚さが30μm以上150μm以下のアルミニウム基材からなる負極前駆体を準備する工程と、
    前記負極前駆体を、セパレータを介して、前記正極の前記正極合剤層の全面を覆うように配置して電極体を作製する工程と、
    前記電極体と、非水電解液とを外装体に封入した後、充電する工程とを含むことを特徴とする非水電解液電池の製造方法。
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