JP2004085384A - 温度センサ回路、半導体集積回路及びその調整方法 - Google Patents

温度センサ回路、半導体集積回路及びその調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】製造プロセス変動の影響をなくし、高精度な温度補償が可能な温度センサ回路、半導体集積回路及び温度センサ回路の調整方法を提供する。
【解決手段】基準電圧発生回路110は基準電圧を発生する。ヒューズ回路(調整回路)120は、基準電圧を抵抗分割し、調整可能な第1の分割電圧を出力する。電流発生回路130は、ゲート電圧としての第1の分割電圧に応じて電流を発生する。電圧発生回路140は、該電流に応じたアナログ電圧を発生するダイオード素子を有する。アナログ電圧は、ボルテージフォロワ接続されたオペアンプ回路142を介して出力することができる。アナログ電圧は、A/D変換回路150によりデジタル値に変換される。A/D変換回路150は、カウンタ156のカウント値を用いて可変制御回路154により制御される第2の分割電圧と、アナログ電圧とをコンパレータ152で比較し、この比較結果に基づいてレジスタ160に取り込まれる。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度センサ回路、これを備えた半導体集積回路、及び温度センサ回路の調整方法に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
一般に、電気光学素子を用いた表示装置の表示制御回路は、電気光学素子の温度依存性を考慮した制御が必要となる。電気光学素子として例えば液晶を例に挙げると、環境温度が相違すると、同一の電圧が印加された液晶の透過率が異なる。そのため表示制御回路は、温度補償を行って、環境温度に対応した電圧を印加する必要がある。
【0003】
このような背景の下、表示制御回路は温度センサ回路を内蔵する場合がある。この場合、温度センサ回路を用いて、基準となる環境温度におけるセンサ出力と、使用時の環境温度におけるセンサ出力とを取り込み、両出力を相対的に評価して使用時の環境温度を特定した後、特定した環境温度に対応した電圧を印加するように調整することが行われる。
【0004】
しかしながら、温度センサ回路自体の製造プロセス変動があり、チップによって同一の環境温度であっても出力される値が異なるため、高精度に環境温度に対応した温度補償を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造プロセス変動の影響をなくし、より高精度な温度補償を実施することができる温度センサ回路、これを備えた半導体集積回路及び温度センサ回路の調整方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、基準電圧を分割した第1の分割電圧を発生する調整回路と、前記第1の分割電圧がゲート端子に供給されるトランジスタ素子を有し、該トランジスタ素子のゲート電圧に応じた電流を発生する電流発生回路と、ダイオード素子を有し、前記電流が供給されるダイオード素子の両端に発生するアナログ電圧を発生する電圧発生回路と、前記基準電圧を分割した第2の分割電圧と前記アナログ電圧とを比較して、前記アナログ電圧をデジタル値に変換するA/D変換回路とを含む温度センサ回路に関係する。
【0007】
ここでダイオード素子の両端に発生するアナログ電圧は、ダイオード素子に流れる電流が一定で、かつ環境温度が一定の場合には、製造プロセスに依存することなく同一の電圧となる。
【0008】
本発明によれば、調整回路(例えばヒューズ回路)において、調整時の環境温度に対応したアナログ電圧を発生させるように第1の分割電圧を調整することで、ダイオード素子に流れる電流を制御することができる。これ以降、取得されるアナログ電圧を環境温度と対応付けることができるので、非常に簡素な制御で、高精度に環境温度を特定することができる。特に、A/D変換回路を用いてデジタル値を得ることで、外部に設けられたA/D変換回路の精度に依存することなく、温度補償制御を行うことができるようになる。
【0009】
また本発明に係る半導体集積回路は、電源回路と、上記記載の温度センサ回路と、前記アナログ電圧及び前記デジタル値のうち少なくとも1つを出力する端子と、所与の設定値に基づいて前記電源回路が出力する電圧を調整する電子ボリュームとを含み、前記所与の設定値は、前記アナログ電圧及び前記デジタル値のうちいずれか一方に基づいて決定されてもよい。
【0010】
本発明によれば、製造メーカや材質等の相違により調整対象の電源回路の負荷特性が大きく異なるような場合であっても、外部で対応させることができるので、半導体集積回路内部で温度センサ回路の出力を用いて直接電子ボリュームを調整する場合に比べて、柔軟かつ高精度な温度補償を実施することができるようになる。
【0011】
また本発明は、基準電圧を分割した第1の分割電圧を発生する調整回路と、前記第1の分割電圧がゲート端子に供給されるトランジスタ素子を有し、該トランジスタ素子のゲート電圧に応じた電流を発生する電流発生回路と、ダイオード素子を有し、前記電流が供給されるダイオード素子の両端に発生するアナログ電圧を発生する電圧発生回路と、前記基準電圧を分割した第2の分割電圧と前記アナログ電圧とを比較して、前記アナログ電圧をデジタル値に変換するA/D変換回路とを含む温度センサ回路の調整方法であって、取り込んだ環境温度に関連付けられた目標値を特定し、前記デジタル値が前記目標値となるように前記第1の分割電圧を調整する温度センサ回路の調整方法に関係する。
【0012】
ここで取り込んだ環境温度とは、温度センサ回路の調整時の環境温度の測定結果が入力されることを意味する。
【0013】
また関連付けられた目標値は、例えば環境温度に対応付けられた目標値を記憶するテーブルを有し、該テーブルを検索することで得ることができる。
【0014】
本発明によれば、第1の分割電圧を調整して得られたアナログ電圧をデジタル変換したデジタル値を取得することができるので、該デジタル値を環境温度に対応付けることができる。そのため、非常に簡素な制御で、高精度に環境温度を特定することができる。特に、A/D変換回路を用いてデジタル値を得ることで、外部に設けられたA/D変換回路の精度に依存することなく、温度補償制御を行うことができるようになる。
【0015】
また本発明は、基準電圧を分割した第1の分割電圧を発生する調整回路と、前記第1の分割電圧がゲート端子に供給されるトランジスタ素子を有し、該トランジスタ素子のゲート電圧に応じた電流を発生する電流発生回路と、ダイオード素子を有し、前記電流が供給されるダイオード素子の両端に発生するアナログ電圧を発生する電圧発生回路とを含む温度センサ回路の調整方法であって、取り込んだ環境温度に関連付けられた目標値を特定し、前記アナログ電圧が前記目標値となるように前記第1の分割電圧を調整する温度センサ回路の調整方法に関係する。
【0016】
本発明によれば、第1の分割電圧を調整して得られたアナログ電圧を取得することができるので、該アナログ電圧を環境温度に対応付けることができる。そのため、非常に簡素な制御で、高精度に環境温度を特定することができる。
【0017】
また本発明に係る温度センサ回路の調整方法は、前記目標値を特定するのに先立って、取り込んだ環境温度に対応した基準電圧を発生させてもよい。
【0018】
本発明によれば、基準電圧を、環境温度に対応して調整した後、アナログ電圧又はデジタル値を用いて温度補償を行うようにしたので、より高精度な温度補償を実施することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0020】
1. 半導体集積回路
図1に、本実施形態における温度センサ回路を内蔵する半導体集積回路の構成の概要を示す。
【0021】
半導体集積回路10は、温度センサ回路100、電子ボリューム200、電源回路300を含む。半導体集積回路10は、出力端子を介して温度センサ回路100のセンサ出力であるアナログ電圧又はデジタル値を出力する。また半導体集積回路10の電子ボリューム200には、入力端子を介して設定値が設定される。
【0022】
温度センサ回路100は、環境温度に対応したアナログ電圧又は該アナログ電圧をデジタル変換したデジタル値を出力する。
【0023】
電子ボリューム200は、入力端子を介して設定される設定値に応じて、電源回路300が発生する電圧値を調整することができる。
【0024】
半導体集積回路10の外部に設けられた例えば中央処理装置(Central Processing Unit:以下、CPUと略す。)20は、温度センサ回路100からの出力を取り込み、電子ボリューム200に設定値を設定することで電源回路300の温度補償制御を行うことができる。
【0025】
このように、温度センサ回路100からのセンサ出力を一旦外部に出力し、CPU20等により求められた設定値に基づいて電子ボリューム200の調整を行うようにすることで、制御対象の温度依存性に柔軟に対応し、高精度な温度補償制御を行うことができる。例えば液晶は、製造メーカや液晶材によって温度依存性が大きく異なり、汎用的な温度補償制御を行うためには外部で調整すべき設定値を求めることにより、液晶に依存することなく高精度な補償を行うことができる。
【0026】
本実施形態において、温度センサ回路100の出力は、製造プロセスに依存しないようになっている。すなわち温度センサ回路100からの出力は、製造プロセスに依存しない絶対値である。そのため、温度センサ回路100では、検査時に以下に述べる調整を行って、製造プロセスに依存しない出力を行う。このような温度センサ回路100の出力を用いることで、ユーザは、温度センサ回路100からの出力を環境温度と対応付けることができるので、例えば相対的な変化により温度依存性を特定する場合に比べて、該絶対値に対応する環境温度を特定した後、該環境温度に対応した設定値を求めるだけでよい。したがって、この場合には、制御を簡素化し、かつより高精度な温度補償が可能となる。
【0027】
2. 温度センサ回路
図2に、温度センサ回路の構成例を示す。
【0028】
温度センサ回路100は、ヒューズ回路(広義には調整回路)120、電流発生回路130、電圧発生回路140、A/D変換回路150を含む。また温度センサ回路100は、調整可能な基準電圧を発生する基準電圧発生回路110を含むことができる。
【0029】
ヒューズ回路120は、基準電圧が供給される基準電圧信号線と、接地線との間に、直列に接続された抵抗群R1、R2、R3を含む。そして、抵抗群R2に接続された溶断可能なヒューズ素子を選択することで、抵抗群R2の分割比を調整することができるようになっている。この抵抗群R2の分割点から第1の分割電圧が取り出される。
【0030】
図3に、ヒューズ回路の詳細な構成例を示す。
【0031】
ヒューズ回路120は、6ビットB〜Bで表される64種類の分割点のいずれか1つから、第1の分割電圧を出力する。そのためヒューズ回路120は、64個の分割点DV〜DV63に接続された信号線が入力されるセレクタ群を含む。セレクタ群を構成する各セレクタ回路は、2入力1出力選択回路である。セレクタ群は、第1段目で64種類の分割点から32種類の分割点を選択し、第2段目で32種類の分割点から16種類の分割点を選択し、最終的に第6段目で選択した1つの分割点の電圧を、第1の分割電圧として出力するようになっている。各段では、6ビットの各ビットが選択制御信号として供給されている。
【0032】
各ビットの状態が保持されるビット信号線は、高抵抗の抵抗回路を介してプルアップされており、かつヒューズ素子を介して接地される。したがって、ヒューズ素子が溶断されていないビット信号線の状態は「0」となり、ヒューズ素子が溶断されたビット信号線の状態は「1」となる。これにより、各ビット信号線に接続されたヒューズ素子を溶断するか否かを選択することで、抵抗群R2の任意の分割点を選択することができる。
【0033】
例えば抵抗群R1、R2、R3の抵抗比が「2:2:7」である場合、ヒューズ回路120は、基準電圧を「4:7」に分割した電圧から「2:9」に分割した電圧までの間の64種類の電圧を、第1の分割電圧として出力することができる。
【0034】
なお図3では、ヒューズ回路120は、基準電圧を抵抗群R1、R2、R3により抵抗分割されたものとして説明しているが、これに限定されるものではない。例えばヒューズ回路120は、基準電圧自体を第1の分割電圧として出力させるように構成することも可能である。
【0035】
図2に戻って説明を続ける。ヒューズ回路120から出力された第1の分割電圧は、電流発生回路130に入力される。
【0036】
電流発生回路130は、そのソース端子が基準電圧信号線に接続されるp型トランジスタ132、134と、そのソース端子が接地されるn型トランジスタ136とを含む。p型トランジスタ132のゲート端子とドレイン端子とは互いに接続される。p型トランジスタ132、134のゲート端子は、互いに接続される。p型トランジスタ132のドレイン端子は、n型トランジスタ136のドレイン端子に接続される。p型トランジスタ134のドレイン端子は、電圧発生回路140に接続される。
【0037】
このような構成の電流発生回路130は、ヒューズ回路120で調整された第1の分割電圧が供給されるn型トランジスタ136のゲート電圧に応じて、n型トランジスタ136のドレイン電流が制御される。p型トランジスタ132、134はカレントミラー構造となっているため、例えばp型トランジスタ132、134のW/L(チャネル幅/チャネル長)が「1:2」の場合、p型トランジスタ134のドレイン電流IINは、n型トランジスタ132のドレイン電流Iの2倍となる。
【0038】
p型トランジスタ134のドレイン電流IINは、電圧発生回路140に入力される。
【0039】
電圧発生回路140は、ダイオード素子を有する。ダイオード素子のアノード(anode)は、p型トランジスタ134のドレイン端子に接続される。ダイオード素子のカソード(cathode)は、接地される。したがって、電圧発生回路140では、ダイオード素子に流れるドレイン電流IINに応じて、ダイオード素子の両端に電圧が発生し、アナログ電圧として出力される。図2では駆動能力を高めるために、ボルテージフォロワ接続されたオペアンプ回路142を介して、アナログ電圧出力端子からアナログ電圧SVDが出力される。
【0040】
A/D変換回路150は、アナログ電圧出力端子から出力されるアナログ電圧SVDをデジタル値に変換する。そのためA/D変換回路150は、コンパレータ152を含む。
【0041】
コンパレータ152は、アナログ電圧SVDと第2の分割電圧SVCとを比較し、その比較結果を出力する。コンパレータ152は、例えばアナログ電圧SVDが第2の分割電圧SVCより高い場合は「1」、アナログ電圧SVDが第2の分割電圧SVCより低い場合は「0」といった比較結果を出力し、或いは逆に例えばアナログ電圧SVDが第2の分割電圧SVCより高い場合は「0」、アナログ電圧SVDが第2の分割電圧SVCより低い場合は「1」といった比較結果を出力する。
【0042】
第2の分割電圧は、基準電圧信号線と接地線との間に直列に接続される抵抗群Ra、Rb、Rcのうち、抵抗群Rbの分割点から取り出される。そして、抵抗群Rbのいずれかの分割点を選択するかは、可変制御回路154により行われる。可変制御回路154は、インクリメント又はデクリメントを行うカウンタ156のカウント値により制御される。
【0043】
抵抗群Ra、Rb、Rcの抵抗比は、基準電圧の温度依存性と、アナログ電圧の温度依存性とを考慮して決定されることが望ましい。
【0044】
図4に、基準電圧とアナログ電圧の温度依存性を模式的に示す。
【0045】
横軸に環境温度を−40℃から85℃までを示し、縦軸に基準電圧SVとアナログ電圧SVDの変化を示す。基準電圧SV、アナログ電圧SVDは、環境温度が高くなると電圧が低くなり、両電圧の温度依存性を示す傾きが異なる。図4に示すようにアナログ電圧SVDの方が傾きが大きく、温度依存性が大きい。
【0046】
したがって、抵抗群Ra、Rb、Rcの抵抗比は、基準電圧SVの温度依存性を考慮し、かつ基準電圧SVを抵抗分割した第2の分割電圧SVCが少なくともアナログ電圧SVDが変化する範囲を含むように決めることが望ましい。こうすることで、第2の分割電圧をアナログ電圧SVDと同等とした場合に、第2の分割電圧を得るためのデジタル値を取得することができることになる。
【0047】
次に、このような抵抗群Rbの分割点から第2の分割電圧を取り出す可変制御回路154についてより具体的に説明する。
【0048】
図5に、カウンタのカウント値を用いて抵抗群Rbの分割点から第2の分割電圧を取り出す可変制御回路の構成例を示す。
【0049】
可変制御回路154は、クロックCLKに同期してインクリメント又はデクリメントを行う7ビットのカウンタ156のカウント値に基づき、7ビットで表される128種類の分割点の電圧のうちいずれか1つの電圧を第2の分割電圧として出力することができる。このような可変制御回路154は、図3に示すヒューズ回路120のセレクタ群と同様の構成をなしている。したがって、インクリメント又はデクリメントのたびにカウンタ156の出力Qa〜Qgが変化し、出力Qa〜Qgの値に応じて、選択される分割点が変化することになる。
【0050】
例えばカウント値が「0」のとき分割点DV1の電圧が第2の分割電圧として出力されるとき、インクリメントされるたびに、分割点DV1、DV1、・・・、DV1127の電圧が順次第2の分割電圧として出力される。このとき第2の分割電圧は、基準電圧SVを抵抗分割した分圧であり、図6に示すように基準電圧SVの温度勾配と同等の温度勾配を有する。
【0051】
この場合、カウント値が大きくなると第2の分割電圧が低くなっていくので、アナログ電圧SVDの温度特性と第2の分割電圧SVCの温度特性とが交わる点がある。環境温度における交点を検出するのが、図2に示すコンパレータ152である。
【0052】
図2において、コンパレータ152の出力は、エッジ検出回路158に入力される。エッジ検出回路158は、コンパレータ152の比較結果が「0」から「1」、又は「1」から「0」に変化したことを検出し、例えばパルスとしてレジスタ160に対して出力する。レジスタ160には、カウンタ156からのカウント値が供給され、エッジ検出回路158の検出結果に基づいて、該カウント値を保持する。例えば図7に示すようにクロックCLKに同期してカウント値がインクリメントされて、アナログ電圧SVDと第2の分割電圧SVCとが同等となると、コンパレータ152の出力が変化し、エッジ検出回路158から出力されたパルスに同期して、レジスタ160はカウンタ156のカウント値をラッチする。レジスタ160に保持されたカウント値は、図示しない読み出し線を介して、外部のCPU等から読み出される。
【0053】
ところで、7ビットにより128状態を表すことができるので、各状態を各環境温度に割り当てると、環境温度−40℃から87℃までの各状態をカウント値で特定することができる。したがって上述の構成のA/D変換回路150の環境温度と、カウント値(デジタル値)とを対応付けることができる。
【0054】
なお図2では、基準電圧を基準電圧発生回路110で発生させるようにしているが、これに限定されるものではない。基準電圧発生回路110は、例えば6ビットで表される64状態の抵抗Rの抵抗分割比を任意に変更することで、所望の基準電圧を発生させることができる。この基準電圧発生回路110でも、図3に示すヒューズ回路120のセレクタ群を用いて、所与の設定レジスタに設定された6ビットデータに基づいて任意の抵抗比を設定できるように構成することができる。ここで、基準電圧は、昇圧回路を用いずにレギュレータ等で電圧を調整するために、外部から供給されるシステム電源の電圧より低いことが望ましい。また基準電圧は、システム電源の電圧より、レギュレータ等の電圧の調整誤差範囲分を考慮した電圧であることが望ましい。例えばシステム電源が3V電源の場合、基準電圧は3Vの許容誤差が−10%である2.7Vより低い電圧であることが望ましい。更に例えば調整誤差範囲が0.2Vであった場合には基準電圧は、2.5V以下である例えば2.2V程度であることが望ましい。
【0055】
3. 温度センサ回路の調整方法
次に、このような構成の温度センサ回路の調整方法について説明する。
【0056】
一般に、図8に示すような電圧発生回路140に含まれるダイオード素子に流れる電流は、その電流が大きい場合と小さい場合とで、両端に発生する電圧の変化の温度特性が異なる。したがって、ダイオード素子に流れる電流を一定にすることが望ましい。
【0057】
ところで、図9では、プロセス条件の異なる5種類のダイオード素子について、各環境温度における電流−電圧変換特性を示している。また図10では、ダイオード素子に流れる電流IINが6μAのときの温度勾配を示している。このように、ダイオード素子の両端に発生する電圧は、電流IINが一定で、かつ温度が一定のとき、製造プロセス依存がないことがわかる。また、電流IINが一定のとき、温度依存性を示す温度勾配も製造プロセス依存がないことがわかる。
【0058】
したがって、ダイオード素子に流れる電流が一定の場合には、ダイオード素子の両端の電圧も製造プロセス依存がなく一定である。そのため、環境温度に対応したアナログ電圧を出力させるように、製造プロセスに応じてダイオード素子に流す電流を調整すればよい。より具体的には、アナログ電圧SVDが目標電圧となるように、ヒューズ回路120の分割点を選択して出力される第1の分割電圧を調整し、調整時の環境温度に対応したアナログ電圧を得るためのダイオード素子の電流をトリミングすることができる。これにより、ユーザはアナログ電圧出力端子を介して取り出されるアナログ電圧SVDにより、取り込み時の環境温度を特定することができる。
【0059】
3.1 アナログ電圧による調整
図11に、温度センサ回路のアナログ電圧による調整フローの一例を示す。
【0060】
まず、基準電圧発生回路110を用いて、目的とする基準電圧となるように調整する(ステップS400)。
【0061】
続いて、環境温度を取り込み(ステップS401)、取り込んだ環境温度に対応して予め登録されたアナログ電圧の値(広義には、目標値)を特定する(ステップS402)。これは、CPU等が図12に示す対応テーブルを参照して、取り込んだ環境温度Tに対応したアナログ電圧Vを求めるようにすることができる。
【0062】
そして、アナログ電圧の値が、ステップS402で特定したアナログ電圧Vとなるように、ヒューズ回路120の分割点を選択して第1の分割電圧を調整する(ステップS403)。これは、CPU等が図3に示す各ビット信号線の値を一時的に設定するレジスタの内容を書き換えながら、出力端子SVDからのアナログ電圧を監視することで、最適な分割点を選択することができる。
【0063】
3.2 デジタル値による調整
温度センサ回路100は、アナログ電圧をデジタル変換したデジタル値を用いて調整することができる。この場合、アナログ値を外部でデジタル変換することが不要となるため、A/D変換の精度に依存することなく、高精度で調整することができる。、
図13に、温度センサ回路のデジタル値による調整フローの一例を示す。
【0064】
まず、基準電圧発生回路110を用いて、目的とする基準電圧となるように調整する(ステップS500)。
【0065】
続いて、環境温度を取り込み(ステップS501)、取り込んだ環境温度に対応して予め登録されたカウント値(デジタル値)(広義には、目標値)を特定する(ステップS502)。これは、CPU等が図14に示す対応テーブルを参照して、取り込んだ環境温度Tに対応したカウント値CNを求めるようにすることができる。
【0066】
そして、カウンタ156の動作を開始させ(ステップS503)、コンパレータ152の出力が切り替わったときにレジスタ160で保持されたかうんと値を読み出し、ステップS502で特定したカウント値となるようにヒューズ回路120から出力される第1の分割電圧を調整する(ステップS504)。
【0067】
3.3 電子ボリュームの調整
図15に、図1に示す半導体集積回路の電子ボリュームの調整フローの一例を示す。
【0068】
図11又は図13に示したように、アナログ電圧又は該アナログ値をデジタル変換したデジタル値を用いて温度センサ回路100を調整することで、温度センサ回路100を内蔵する半導体集積回路の製造プロセスに依存しないアナログ電圧又はデジタル値を取得することができる。したがって、CPU20が温度センサ回路100から出力されるアナログ電圧又はデジタル値を取り込む(ステップS600)。
【0069】
そしてCPU20は、取り込んだアナログ電圧又はデジタル値により対応する設定値を特定する(ステップS601)。これはCPU20は、ステップS600で取り込まれたアナログ電圧又はデジタル値から、ステップS600の取り込みが行われた環境温度Tを特定することができる。したがって、CPU20は、環境温度Tに対応して予め登録された設定値を、設定テーブルを参照して求めればよい。
【0070】
続いてCPU20は、ステップS601で特定した設定値を用いて半導体集積回路10の電子ボリューム200の設定を行う(ステップS602)。
【0071】
ここで、本実施形態の効果を説明するために、比較例における電子ボリュームの調整フローについて説明する。比較例では、温度センサ回路が、製造プロセス依存のセンサ出力しか行うことができないため、以下のようなフローで温度補償が行われる。
【0072】
図16に、比較例における半導体集積回路の電子ボリュームの調整フローの一例を示す。
【0073】
比較例において、まずCPUは、環境温度T℃におけるアナログ電圧Vを取得する(ステップS700)。
【0074】
続いて、CPUは、環境温度T℃におけるアナログ電圧Vを取得する(ステップS701)。
【0075】
そしてCPUは、取得した環境温度Tにおけるアナログ電圧Vからアナログ電圧Vに変化したときの環境温度をTとして推測し、環境温度Tに対応する電子ボリュームに対する設定値を特定する(ステップS702)。
【0076】
続いてCPUは、ステップS702で特定した設定値を用いて半導体集積回路の電子ボリュームの設定を行うことになる(ステップS703)。
【0077】
このように比較例では、例えば相対的な変化により温度依存性を特定するため、製造プロセス変動、取得したアナログ電圧の精度、相対的な評価を行う場合の評価アルゴリズムの誤差等によって電子ボリュームに設定すべき値が異なり、高精度な温度補償を行うことが困難となる。
【0078】
これに対して、本実施形態では、温度センサ回路100からの出力が製造プロセスに依存しない絶対値であるため、該絶対値から環境温度を特定することができ、CPU20は該環境温度に対応する設定値を求めるだけでよい。したがって、この場合には、制御を簡素化し、かつより高精度な温度補償が可能となる。
【0079】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0080】
また上述の実施形態では、調整回路としてヒューズ回路を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。調整回路は、調整可能な電圧を発生する回路であればよい。
【0081】
また図2では基準電圧発生回路110を用いて基準電圧信号線に基準電圧を供給するようにしているが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における温度センサ回路を内蔵する半導体集積回路の構成の概要を示すブロック図である。
【図2】温度センサ回路の回路構成図である。
【図3】ヒューズ回路の回路構成図である。
【図4】基準電圧とアナログ電圧の温度依存性を模式的に示す説明図である。
【図5】可変制御回路の構成例を示す回路構成図である。
【図6】第2の分割電圧の温度勾配を模式的に示す説明図である。
【図7】A/D変換回路の動作タイミングの一例を示すタイミング図である。
【図8】ダイオード素子に流れる電流に応じて両端に発生する電圧の温度特性を示す説明図である。
【図9】プロセス条件の異なるダイオード素子の各環境温度における電流−電圧変換特性を示す説明図である。
【図10】プロセス条件の異なるダイオード素子の温度勾配を示す説明図である。
【図11】温度センサ回路のアナログ電圧による調整フローの一例を示すフロー図である。
【図12】環境温度に対応して設定されるアナログ電圧の対応テーブルを示す説明図である。
【図13】温度センサ回路のデジタル値による調整フローの一例を示すフロー図である。
【図14】環境温度に対応して設定されるカウント値の対応テーブルを示す説明図である。
【図15】本実施形態における電子ボリュームの調整方法の一例を示すフロー図である。
【図16】比較例における電子ボリュームの調整方法の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
10 半導体集積回路
20 CPU
100 温度センサ回路
110 基準電圧発生回路
120 ヒューズ回路(調整回路)
130 電流発生回路
132、134 p型トランジスタ
136 n型トランジスタ
140 電圧発生回路
142 オペアンプ回路
150 A/D変換回路
152 コンパレータ
154 可変制御回路
156 カウンタ
158 エッジ検出回路
160 レジスタ
200 電子ボリューム
300 電源回路

Claims (5)

  1. 基準電圧を分割した第1の分割電圧を発生する調整回路と、
    前記第1の分割電圧がゲート端子に供給されるトランジスタ素子を有し、該トランジスタ素子のゲート電圧に応じた電流を発生する電流発生回路と、
    ダイオード素子を有し、前記電流が供給されるダイオード素子の両端に発生するアナログ電圧を発生する電圧発生回路と、
    前記基準電圧を分割した第2の分割電圧と前記アナログ電圧とを比較して、前記アナログ電圧をデジタル値に変換するA/D変換回路と、
    を含むことを特徴とする温度センサ回路。
  2. 電源回路と、
    請求項1記載の温度センサ回路と、
    前記アナログ電圧及び前記デジタル値のうち少なくとも1つを出力する端子と、
    所与の設定値に基づいて前記電源回路が出力する電圧を調整する電子ボリュームと、
    を含み、
    前記所与の設定値は、
    前記アナログ電圧及び前記デジタル値のうちいずれか一方に基づいて決定されることを特徴とする半導体集積回路。
  3. 基準電圧を分割した第1の分割電圧を発生する調整回路と、
    前記第1の分割電圧がゲート端子に供給されるトランジスタ素子を有し、該トランジスタ素子のゲート電圧に応じた電流を発生する電流発生回路と、
    ダイオード素子を有し、前記電流が供給されるダイオード素子の両端に発生するアナログ電圧を発生する電圧発生回路と、
    前記基準電圧を分割した第2の分割電圧と前記アナログ電圧とを比較して、前記アナログ電圧をデジタル値に変換するA/D変換回路とを含む温度センサ回路の調整方法であって、
    取り込んだ環境温度に関連付けられた目標値を特定し、
    前記デジタル値が前記目標値となるように前記第1の分割電圧を調整することを特徴とする温度センサ回路の調整方法。
  4. 基準電圧を分割した第1の分割電圧を発生する調整回路と、
    前記第1の分割電圧がゲート端子に供給されるトランジスタ素子を有し、該トランジスタ素子のゲート電圧に応じた電流を発生する電流発生回路と、
    ダイオード素子を有し、前記電流が供給されるダイオード素子の両端に発生するアナログ電圧を発生する電圧発生回路とを含む温度センサ回路の調整方法であって、
    取り込んだ環境温度に関連付けられた目標値を特定し、
    前記アナログ電圧が前記目標値となるように前記第1の分割電圧を調整することを特徴とする温度センサ回路の調整方法。
  5. 請求項3又は4において、
    前記目標値を特定するのに先立って、
    取り込んだ環境温度に対応した基準電圧を発生させることを特徴とする温度センサ回路の調整方法。
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