JP2004083663A - 高耐久高分子電解質及びその製造方法 - Google Patents

高耐久高分子電解質及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】過酸化物ラジカルによる侵蝕を抑え、従来の炭化水素系電解質よりも高い耐久性を有し、しかも低コストな高耐久高分子電解質及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る高耐久高分子電解質は、炭化水素骨格から変換されたフルオロカーボン骨格を備えている。また、本発明に係る高耐久高分子電解質の製造方法は、固体高分子電解質を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換する第1フッ素化工程を備えている。この場合、第1フッ素化工程の前に、固体高分子電解質の電解質基をハライド基又は金属塩に変換する非プロトン化工程と、第1フッ素化工程の後に、ハライド基又は前記金属塩を電解質基に変換するプロトン化工程をさらに備えていても良い。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐久高分子電解質及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜等として好適な高耐久高分子電解質及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料である。固体高分子電解質は、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過させる性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形し、電気透析、拡散透析、電池隔膜等、各種の用途に利用されている。
【0003】
固体高分子型燃料電池や水電解装置などの各種電気化学デバイスにおいて、固体高分子電解質は、膜状に成形され、その両面に電極を接合した膜電極接合体(MEA)の状態で使用される。過酷な条件下で使用される電気化学デバイス用の固体高分子電解質膜には、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)に代表されるパーフルオロ系電解質膜を用いるのが一般的であるが、炭化水素系電解質膜の使用も検討されている。
【0004】
炭化水素系電解質の検討例としては、スルホン酸基を導入した架橋型ポリスチレングラフト樹脂膜(スイス特許Appl.02 636/93−6)や、スルホン酸基を導入したポリエーテルスルホン樹脂(特開平10−45913号公報)等が知られている。また、特開2000−11756号公報には、炭化水素系電解質の耐酸化性を向上させるために、炭化水素系電解質にポリビニルホスホン酸、ホスホン酸型ポリエーテルスルホン等の燐を含む化合物を混合した固体高分子電解質が本願出願人により開示されている。
【0005】
また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、固体高分子電解質と白金等の触媒を担持したカーボンからなる触媒層と、この触媒層に反応ガス及び電子を供給するための拡散層からなる二層構造をとる。触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、反応を継続的に進行させるためには、反応ガス、触媒及び電解質の三相が共存する三相界面を維持する必要がある。そのため、触媒層には、三相界面を十分に確保できる撥水性を付与するために、テトラフルオロエチレン等の撥水性物質を添加する場合もある。
【0006】
さらに、触媒層に撥水性を付与するために、常法に従って作製されたMEAの電極部にフッ化ビニリデン重合体(PVdF)/n−メチルピロリドン(NMP)溶液を含浸させ、これを乾燥させた後、さらにフッ素ガス0.5mol%−ヘリウムガス99.5mol%の混合ガス雰囲気に放置してPVdFをフッ素化する方法も知られている(特開2001−283866号公報)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
固体高分子型燃料電池や水電解装置の場合、固体高分子電解質膜と電極の界面に形成された触媒層において、電極反応の副反応により過酸化物が生成する。生成した過酸化物は、拡散しながら過酸化物ラジカルとなり、固体高分子電解質膜の劣化反応(過酸化物ラジカルによる酸化反応)を引き起こす。そのため、固体高分子型燃料電池や水電解装置においては、一般に、耐酸化性に優れたパーフルオロ系電解質膜が用いられている。
【0008】
パーフルオロ系電解質は、フルオロカーボン骨格を有しているために化学的安定性が非常に高く、上述した燃料電池、あるいは水電解装置の電解質膜の他、食塩電解装置やハロゲン化水素酸電解装置の電解質膜としても用いられている。また、高プロトン伝導性を利用して、湿度センサ、ガスセンサ、酸素濃縮器等にも広く応用されている。しかしながら、パーフルオロ系電解質は製造が困難で、非常に高価であるという欠点がある。
【0009】
これに対し、炭化水素系電解質は、ナフィオンに代表されるパーフルオロ系電解質と比較すると、製造が容易で低コストという利点がある。しかしながら、従来の炭化水素系電解質は、電極反応により生成される過酸化物ラジカルによって侵蝕されやすく、耐酸化性が低いという問題が残されていた。この理由は、炭化水素系電解質を構成する炭化水素骨格が、過酸化物ラジカルによる酸化反応を受けやすいことによるものである。特に、過酸化物ラジカルは、膜表面において生成するため、膜表面の耐酸化性をいかに確保するかが課題であった。
【0010】
一方、特開2000−11756号公報に開示されているように、炭化水素系電解質に燐を含む化合物を混合すると、炭化水素骨格の酸化反応を抑制することができる。しかしながら、固体高分子型燃料電池や水電解装置等の各種電気化学デバイスの耐久性の向上及び低コスト化を図るためには、炭化水素系電解質の耐酸化性をさらに向上させることが望まれる。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、過酸化物ラジカルによる侵蝕を抑え、従来の炭化水素系電解質よりも高い耐久性を有し、しかも低コストな高耐久高分子電解質及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る高耐久高分子電解質は、炭化水素骨格から変換されたフルオロカーボン骨格を備えていることを要旨とする。
【0013】
また、本発明に係る高耐久高分子電解質の製造方法の1番目は、固体高分子電解質を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換する第1フッ素化工程を備えていることを要旨とする。この場合、前記第1フッ素化工程の前に、前記固体高分子電解質の電解質基の一部又は全部をハライド基又は金属塩に変換する非プロトン化工程と、前記第1フッ素化工程の後に、前記ハライド基又は前記金属塩を電解質基に変換するプロトン化工程をさらに備えていても良い。
【0014】
さらに、本発明に係る高耐久高分子電解質の製造方法の2番目は、固体高分子化合物を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換する第2フッ素化工程と、前記固体高分子化合物に電解質基を導入する電解質基導入工程とを備えていることを要旨とする。
【0015】
炭化水素骨格を備えた固体高分子電解質は、パーフルオロ系電解質に比して製造が容易であり、低コストである。従って、まず炭化水素骨格を備えた固体高分子電解質を製造し、次いで炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換すれば、耐久性に優れた固体高分子電解質を低コストで製造することができる。また、炭化水素骨格をフッ素化する前に電解質基をハライド基又は金属塩に変換すると、耐久性に優れ、しかも高い電気伝導度を有する高耐久高分子電解質が得られる。
【0016】
同様に、炭化水素骨格を備えた固体高分子化合物は、パーフルオロ系化合物に比して製造が容易であり、低コストである。従って、まず炭化水素骨格を備えた固体高分子化合物を製造し、次いで炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換し、さらに固体高分子化合物に電解質基を導入すれば、耐久性に優れた固体高分子電解質を低コストで製造することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明に係る高耐久高分子電解質は、炭化水素骨格から変換されたフルオロカーボン骨格を備えていることを特徴とする。
【0018】
このような高耐久高分子電解質は、後述するように、炭化水素骨格を有する固体高分子電解質を出発原料に用いて、炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換するか、あるいは、炭化水素骨格を有する固体高分子化合物を出発原料に用いて、炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボンに変換し、次いで固体高分子化合物に電解質基を導入することにより得られる。
【0019】
本発明において、出発原料として用いられる固体高分子化合物とは、高分子鎖のいずれかに炭化水素骨格(C−H結合)を有するものをいう。固体高分子化合物は、炭化水素骨格のみを含むものであってもよく、あるいは炭化水素骨格とフルオロカーボン骨格(C−F結合)の双方を含むものであってもよい。また、出発原料として用いられる固体高分子電解質とは、上述した炭化水素骨格を有する固体高分子化合物のいずれかに電解質基が導入されたものをいう。
【0020】
固体高分子化合物の具体例としては、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリオキシベンゾイル樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリエステルケトン樹脂、直鎖型フェノールホルムアルデヒド樹脂、架橋型フェノールホルムアルデヒド樹脂、ウレアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、直鎖型ポリスチレン樹脂、架橋型ポリスチレン樹脂、直鎖型(ポリトリフルオロスチレン)樹脂、架橋型(ポリトリフルオロスチレン)樹脂、ポリ(2,3−ジフェニル−1,4−フェニレンオキシド)樹脂、ポリ(フェニレンオキシド)樹脂、ポリ(アリルエーテルケトン)樹脂、ポリ(アリレンエーテルスルホン)樹脂、ポリ(フェニルキノサンリン)樹脂、ポリ(ベンジルシラン)樹脂、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体−グラフト−ポリスチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン−グラフト−ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリシロキサン樹脂、ポリスルフィド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリパラフェニレン誘導体樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。
【0021】
また、芳香環が主鎖中に入った全芳香族系樹脂又は半芳香族系樹脂は、主鎖中のフェニレン、ビフェニレン、ナフタレン等が、−SO−、−O−、−S−、−S−S−、−C(O)−、−C(CH−、−C(CF−、イミド、アミド、スルホンアミド、エステル、スルホンエステル、ウレタン、尿素等のいずれか1種又は2種以上の官能基を介して結合された共重合体であっても良い。また、半芳香族樹脂は、主鎖の途中にアルキル基やアルキレン鎖が含まれていても良い。また、主鎖にホスファゼン構造を有するポリフォスファゼン誘導体等であっても良い。さらに、ポリマの形態としては、種々のポリマセグメントを有するブロック共重合体、スターバーストデンドリマー、ポリマーブレンドでもよい。
【0022】
中でも、一部にフルオロカーボン骨格を含む高分子鎖にスチレンがグラフト重合されている固体高分子化合物又は固体高分子電解質や、一部に芳香環を含む固体高分子化合物又は固体高分子電解質は、安価であり、薄膜化したときに十分な強度を有し、しかも電解質基の種類及び導入量を調節することにより導電率を容易に制御することができるので、出発原料として特に好適である。
【0023】
一部にフルオロカーボン骨格を含む高分子鎖にスチレンがグラフト重合されている固体高分子化合物の例としては、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体を主鎖とし、電解質基を導入可能なポリスチレンを側鎖とするエチレンテトラフルオロエチレン樹脂のグラフト共重合体(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体−グラフト−ポリスチレン樹脂)が挙げられる。また、一部に芳香環を含む固体高分子化合物の例としては、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂等が挙げられる。
【0024】
固体高分子電解質に予め導入されている電解質基又は固体高分子化合物にその後に導入される電解質基(以下、これらを総称して「電解質基」という。)の種類は、特に限定されるものではなく、高耐久高分子電解質の用途、要求特性等に応じて選択する。
【0025】
電解質基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、スルホンイミド基等が好適な一例として挙げられる。高耐久高分子電解質には、は、これらの内のいずれか1種の電解質基が含まれていても良く、2種以上が含まれていても良い。高い電気伝導度を有する高耐久高分子電解質を得るためには、電解質基は、強酸基であることが好ましく、特にスルホン酸基が好適である。
また、電解質基は、固体高分子化合物の主鎖又は側鎖のいずれの部分に導入されていても良い。
【0026】
電解質基の導入率は、用途や使用状況、電解質基の種類等によって調節すればよい。電解質基の導入率は、具体的には、当量重量に換算して150g/当量〜5000g/当量が好ましく、さらに好ましくは、200g/当量〜2000g/当量である。当量重量が150g/当量未満になると、水や溶媒による膨潤が大きくなりすぎたり、あるいは強度が極端に低下する場合があるので好ましくない。一方、当量重量が5000g/当量を越えると、電気伝導度が低下し、抵抗損失が大きくなるので好ましくない。電解質基の導入率は、高耐久高分子電解質の含水状態での電気伝導率に換算して1×10−2S/cm以上が好ましく、さらに好ましくは、5×10−2S/cm以上である。
【0027】
炭化水素骨格をフルオロカーボン骨格に変換する方法としては、具体的には、固体高分子電解質又は固体高分子化合物をフッ素ガスを含むガスと接触させる方法、固体高分子電解質又は固体高分子化合物をフッ素化剤を含むガス又は溶液と接触させる方法、固体高分子電解質又は固体高分子化合物を電解フッ素化する方法等がある。この点については、後述する。
【0028】
固体高分子電解質又は固体高分子化合物を構成する炭化水素骨格は、その一部がフルオロカーボン骨格に変換されても良く、あるいは全部がフルオロカーボン骨格に変換されていても良い。
【0029】
例えば、固体高分子型燃料電池、水電解装置等においては、電解質膜の膜表面において過酸化物ラジカルが発生し、膜表面から内部に向かって過酸化物ラジカルによる酸化が進行すると考えられている。従って、本発明に係る高耐久高分子電解質を膜状に成形してこれらの用途に使用する場合には、少なくとも膜表面の炭化水素骨格がフルオロカーボン骨格に変換されていることが好ましい。膜表面にフルオロカーボン骨格を配置すると、過酸化物ラジカルは、膜と反応する前に反応ガスと共に系外に排出されるので、膜全体の劣化を抑制することができる。
【0030】
一方、電解質膜を過酸化物溶液に浸漬した状態で加熱する場合のように、膜中で過酸化物ラジカルがランダムに生成する環境下で使用する場合には、固体高分子電解質又は固体高分子化合物を構成する炭化水素骨格のすべてがフルオロカーボン骨格に変換されていることが好ましい。
【0031】
本発明に係る高耐久高分子電解質は、炭化水素骨格を有する固体高分子電解質又は固体高分子化合物を出発原料に用いているので、パーフルオロ系電解質に比して低コストである。また、炭化水素骨格から変換されたフルオロカーボン骨格を備えているので、従来の炭化水素系電解質に比して、耐酸化性が向上する。
【0032】
そのため、これを例えば固体高分子型燃料電池や水電解装置に適用すれば、電極反応により生じた過酸化物ラジカルによる炭化水素骨格の分解、及びこれに起因する性能低下を抑制することができる。また、従来の炭化水素系電解質膜を用いた場合に比して、耐久性が向上し、長時間作動させることができる。
【0033】
次に、本発明に係る高耐久高分子電解質の製造方法について説明する。本発明の第1の実施の形態に係る製造方法は、非プロトン化工程と、第1フッ素化工程と、プロトン化工程とを備えている。
【0034】
初めに、非プロトン化工程について説明する。非プロトン化工程は、後述する第1フッ素化工程の前に、固体高分子電解質の電解質基の一部又は全部をハライド基又は金属塩に変換する工程である。
【0035】
「電解質基をハライド基に変換する」とは、電解質基の末端にある−OH基を、−F、−Cl、−Br、−I等のハロゲンに置換することをいう。また、「電解質基を金属塩に変換する」とは、電解質基の末端にあるプロトンHを金属イオンに置換することをいう。プロトンを置換する金属イオンは、具体的には、Li、Na、K等のアルカリ金属イオン、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+等のアルカリ土類金属イオン、Cu2+、Fe2+、Ni2+等の遷移金属イオン等が好適である。
【0036】
電解質基のハライド基への変換は、ハライドを供与する性質を有する物質(以下、これを「ハライド供与体」という。)を含む処理溶液中に固体高分子電解質を浸漬するか、あるいはハライド供与体を含む処理ガスを固体高分子電解質に接触させることにより行うのが好ましい。
【0037】
電解質基のハライド基への変換は、具体的には、五塩化リン、オキシ塩化リン、又はこれらの混合溶液に浸漬する方法、電解質基をピリジン塩とした後、塩化チオニルと反応させる方法、電解質基のプロトンをアルカリ金属に置換した後、臭素ガス、ヨウ素ガス等と反応させる方法等を用いるのが好ましい。
【0038】
また、電解質基の金属塩への変換は、金属イオンを供与する性質を有する物質(以下、これを「金属イオン供与体」という。)を含む処理溶液中に固体高分子電解質を浸漬するか、あるいは金属イオン供与体を含む処理ガスを固体高分子電解質に接触させることにより行うのが好ましい。
【0039】
金属イオン供与体を含む処理溶液又は処理ガスは、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属水溶液、Mg(OH)、Ca(OH)等の水酸化アルカリ土類金属水溶液、Fe(OH)、Cu(OH)等の水酸化遷移金属水溶液等が好適である。
【0040】
処理溶液又は処理ガス中に含まれるハライド供与体又は金属供与体の濃度、処理温度、処理時間、処理圧力等の処理条件は、ハライド供与体又は金属供与体の種類、固体高分子電解質の材質、第1フッ素化工程の処理条件等に応じて、最適なものを選択する。また、処理条件を選択することにより、電解質基の一部をハライド基又は金属塩に変換したり、あるいはその全部をハライド基又は金属塩に変換することができる。耐久性に優れ、かつ電気伝導率の高い高耐久高分子電解質を得るためには、電解質基の全部がハライド基又は金属塩に変換されていることが好ましい。
【0041】
例えば、スルホン酸基を備えた固体高分子電解質膜を五塩化リン/オキシ塩化リン混合溶液に浸漬し、スルホン酸基をスルホニルクロライド基に変換する場合、混合溶液中の五塩化リン/オキシ塩化リンの体積比(vol./vol.)は、1/10以上4以下が好ましく、さらに好ましくは、1/5以上1以下である。また、混合溶液の温度は、30℃以上150℃以下が好ましく、さらに好ましくは、50℃以上130℃以下である。処理時間は、スルホン酸基のスルホニルクロライド基への変換率が所定の値となるように、処理溶液の組成、温度等に応じて選択する。
【0042】
また、例えば、スルホン酸基を備えた固体高分子電解質膜を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、スルホン酸基をナトリウム塩に変換する場合、水酸化ナトリウムの濃度は、0.01N以上20N以下が好ましく、さらに好ましくは、0.1N以上10N以下である。また、水溶液の温度は、0℃以上100℃以下が好ましく、さらに好ましくは、25℃以上100℃以下である。この場合も、処理時間は、スルホン酸基のナトリウム塩への変換率が所定の値となるように、処理液の組成、温度等に応じて選択する。
【0043】
なお、固体高分子電解質を直接、フッ素化処理すると、非プロトン化処理を行う場合に比して、電気伝導度が低下する場合がある。非プロトン化処理は、このようなフッ素化処理に起因する電気伝導度の低下が生ずる系において、電気伝導度の低下を抑制する効果があるが、電気伝導度の低下が問題とならない系においては、非プロトン化工程を省略することができる。
【0044】
次に、第1フッ素化工程について説明する。第1フッ素化工程は、固体高分子電解質を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換する工程である。炭化水素骨格をフルオロカーボン骨格に変換(フッ素化)する方法には、以下のような方法がある。
【0045】
第1の方法は、固体高分子電解質又は電解質基がハライド基若しくは金属塩に変換された固体高分子電解質(以下、これを「前駆体」という。)に、フッ素ガスを含む処理ガスを接触させる方法である。固体高分子電解質又はその前駆体にフッ素ガスを含む処理ガスを接触させると、炭素原子に結合している水素原子をフッ素原子に置換することができる。
【0046】
フッ素ガスを含む処理ガスによる固体高分子電解質又はその前駆体のフッ素化処理は、両者を密閉容器内に封入することによって行っても良く、あるいは処理ガスを一定流量でフローさせながら固体高分子電解質又はその前駆体に接触させることによって行っても良い。また、処理ガスは、フッ素ガスのみを含むものであっても良く、あるいは、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスによって希釈されていても良い。
【0047】
処理ガスに含まれるフッ素ガスの濃度、処理ガスの圧力、温度、接触時間等の処理条件は、固体高分子電解質の材質、非プロトン化処理の有無、高耐久高分子電解質に要求される特性等に応じて最適なものを選択する。また、処理条件を選択することにより、フルオロカーボン骨格を表面にのみ導入したり、あるいは全体に均一に導入することもできる。
【0048】
一般に、フッ素ガスは反応性が高いので、処理ガス中のフッ素ガスの濃度が高くなるほど、あるいは処理ガスの圧力及び/又は温度が高くなるほど、処理時間は短縮できるが、反応は激しく進行する。
【0049】
相対的に短時間で、良質の高耐久高分子電解質を得るためには、フッ素ガスの濃度は、0.001vol%以上100vol%以下が好ましく、さらに好ましくは、0.01vol%以上100vol%以下である。また、処理ガスの圧力は、0Pa以上500kPa(約5kg/cm)以下が好ましく、さらに好ましくは、100Pa(約0.001kg/cm)以上200kPa(約2kg/cm)以下である。さらに、処理ガスの温度は、−189℃以上400℃以下が好ましく、さらに好ましくは、−100℃以上100℃以下である。処理時間は、炭化水素骨格のフルオロカーボン骨格への変換率が所定の値となるように、フッ素ガスの濃度、処理ガスの温度、圧力等に応じて選択する。
【0050】
第2の方法は、固体高分子電解質又はその前駆体にフッ素化剤を接触させる方法である。固体高分子電解質又はその前駆体にフッ素化剤を接触させると、炭素原子に結合している水素原子をフッ素原子に置換することができる。
【0051】
「フッ素化剤」とは、炭化水素骨格をフルオロカーボン骨格に化学的に変換する性質を有する物質であって、フッ素ガス以外のものをいう。そのためには、フッ素化剤は、分子内にN−F結合を備えている求電子フッ素化剤を用いることが好ましい。
【0052】
フッ素化剤は、具体的には、N−フルオロ−4,6−ジメチルピリジニウム−2−スルホネート、N−フルオロ−4−メチルピリジニウム−2−スルホネート、N−フルオロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジニウム−2−スルホネート、N−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ピリジニウム−2−スルホネート、N−フルオロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)ピリジニウム−2−スルホネート、N,N’−ジフルオロ−2,2’−バイピリジニウムビス(テトラフルオロボレート)、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−フルオロ−2,4,6−トリメチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N−フルオロピリジニウムテトラフルオロボレート、N−フルオロピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムテトラフルオロボレート、N−フルオロ−2,6−ジクロロピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート等、及びその誘導体が好適である
【0053】
フッ素化剤は、液体又は気体のいずれの状態で固体高分子電解質又はその前駆体と接触させても良い。また、フッ素化剤は、単独で用いても良く、あるいは、適当な希釈液又は希釈ガスで希釈し用いても良い。希釈液は、具体的には、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジメチルホルムアミド等が好適である。また、希釈ガスは、具体的には、窒素等の不活性ガスが好適である。
【0054】
フッ素化剤の種類、濃度、フッ素化剤と接触させる際の圧力、温度、時間等の処理条件は、固体高分子電解質の材質、非プロトン化処理の有無、高耐久高分子電解質に要求される特性等に応じて最適なものを選択する。また、処理条件を選択することにより、フルオロカーボン骨格を表面にのみ導入したり、あるいは全体に均一に導入することもできる。
【0055】
フッ素化剤を含む処理溶液を用いて、相対的に短時間で、かつ低コストで良質の高耐久高分子電解質を得るためには、処理溶液中のフッ素化剤の濃度は、0.001mol/l以上20mol/l以下が好ましく、さらに好ましくは、0.01mol/l以上10mol/l以下である。また、処理溶液の温度は、−110℃以上160℃以下が好ましく、さらに好ましくは、0℃以上100℃以下である。処理時間は、炭化水素骨格のフルオロカーボン骨格への変換率が所定の値となるように、フッ素化剤の濃度、処理溶液の温度等に応じて選択する。
【0056】
フッ素化剤を含む処理ガスを用いて、相対的に短時間で、かつ低コストで良質の高耐久高分子電解質を得るためには、処理ガス中のフッ素化剤の濃度は、0.1vol%以上100vol%以下が好ましく、さらに好ましくは、1vol%以上100vol%以下である。また、処理ガスの圧力は、0Pa以上1MPa(約10kg/cm)以下が好ましく、さらに好ましくは、100Pa以上500kPa(約5kg/cm)以下である。さらに、処理ガスの温度は、−100℃以上200℃以下が好ましく、さらに好ましくは、−50℃以上100℃以下である。この場合も、処理時間は、所定の変換率が得られるように、フッ素化剤の濃度、処理ガスの圧力、温度等に応じて選択する。
【0057】
第3の方法は、固体高分子電解質又はその前駆体を電解フッ素化する方法である。「電解フッ素化」とは、固体高分子電解質又はその前駆体をフッ素供給化合物を含む電解溶液に浸漬し、電極間に通電することをいう。電解溶液に陽極、陰極及び固体高分子電解質又はその前駆体を浸漬し、電極間に所定の電圧を印加すると、炭素原子に結合している水素原子をフッ素原子に置換することができる。
【0058】
「フッ素供給化合物」とは、電界が付与される環境下において、フッ素原子を供与する性質を有するものをいう。フッ素供給化合物は、具体的には、無水フッ化水素酸等が好適である。
【0059】
電解溶液中のフッ素供給化合物の濃度は、50mol%以上が好ましい。フッ素供給化合物の濃度が50mol%未満であると、電流効率が低下するので好ましくない。フッ素供給化合物の濃度は、さらに好ましくは、80mol%以上である。
【0060】
反応温度は、0℃以上30℃以下が好ましい。反応温度が0℃未満であると、反応速度が低下するので好ましくない。一方、反応温度が30℃を越えると、反応が激しくなり、副反応を併発するので好ましくない。反応温度は、さらに好ましくは、0℃以上20℃以下である。
【0061】
陽極電流密度は、0.1A/dm以上3.0A/dm以下が好ましい。陽極電流密度が0.1A/dm未満であると、反応速度が低下するので好ましくない。一方、陽極電流密度が3.0A/dmを越えると、反応が激しくなり、副反応を併発するので好ましくない。陽極電流密度は、さらに好ましくは、0.1A/dm以上2.0A/dm以下である。
【0062】
槽電圧は、2.0V以上10.0V以下が好ましい。槽電圧が2.0V未満であると、反応速度が低下するので好ましくない。一方、槽電圧が10.0Vを越えると、反応が激しくなり、副反応を併発するので好ましくない。槽電圧は、さらに好ましくは、2.0V以上8.0V以下である。
【0063】
陽極には、ニッケルを用いるのが好ましい。また、陰極には、ニッケル、鉄等を用いるのが好ましい。さらに、電解溶液の電気伝導度が不十分である場合には、必要に応じて、電解溶液に電導度増加剤を添加するのが好ましい。電導度増加剤は、具体的には、NaF、KF等のアルカリ金属フッ化物、C1〜C18のパーフルオロスルホン酸、C1〜C18のパーフルオロカルボン酸等が好適である。
【0064】
次に、プロトン化工程について説明する。プロトン化工程は、第1フッ素化工程の後に、ハライド基又は金属塩を電解質基に変換する工程である。ハライド基又は金属塩を電解質基に変換する方法には、前駆体を適当な酸水溶液(例えば、塩酸水溶液)に所定時間浸漬し、次いでイオン交換水で煮沸する方法、単にイオン交換水で煮沸する方法、前駆体を水酸化アルカリ金属水溶液(例えば、NaOH水溶液、KOH水溶液等)に所定時間浸漬し、次いで酸水溶液に所定時間浸漬する方法等がある。
【0065】
プロトン化処理の方法は、ハライド基又は金属塩のプロトン交換の容易性に応じて、最適なものを選択する。例えば、電解質基がクロライド基や金属塩のようなプロトン交換が比較的容易な官能基に変換されている場合には、酸処理+水煮沸によってプロトン交換を行うのが好ましい。一方、電解質基がフロライド基のようにプロトン交換が比較的困難な官能基に変換されている場合には、水酸化アルカリ金属水溶液処理+酸処理によってプロトン交換を行うのが好ましい。
【0066】
なお、非プロトン化処理を行うことなく、固体高分子電解質を直接、フッ素化処理する場合には、プロトン化処理を省略することができる。また、フッ素化処理の過程で電解質基の一部がフロライド基になっている場合があるので、非プロトン化処理を行わない場合であっても、プロトン化処理を行い、完全なプロトン型とすることが望ましい。
【0067】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る高耐久高分子電解質の製造方法について説明する。本実施の形態に係る製造方法は、第2フッ素化工程と、電解質基導入工程とを備えている。
【0068】
第2フッ素化工程は、固体高分子化合物を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換する工程である。第2フッ素化工程は、出発原料として固体高分子化合物を用いる点以外は、第1の実施の形態に係る第1フッ素化工程と同一であるので、説明を省略する。
【0069】
電解質基導入工程は、フッ素化処理された固体高分子化合物に電解質基を導入する工程である。電解質基の導入方法には、種々の方法があり、固体高分子化合物の材質、電解質基の種類及び導入位置、高耐久高分子電解質の用途及び要求特性等に応じて、最適な方法を選択する。これらの中でも、芳香環を備えた固体高分子化合物を出発原料に用い、芳香環に電解質基を導入する方法が好適である。
【0070】
例えば、芳香環にスルホン酸基を導入する場合、まず、クロロスルホン酸とテトラクロロエタンの混合溶液中に固体高分子化合物を浸漬し、芳香環にスルホニルクロライド基を導入し、次いで、酸処理+水煮沸又は水酸化アルカリ水溶液処理+酸処理によりプロトン交換を行うのが好ましい。これにより、芳香環にスルホン酸基を導入することができる。
【0071】
次に、本発明に係る高耐久高分子電解質の製造方法の作用について説明する。炭化水素骨格を備えた固体高分子電解質又はその前駆体にフッ素ガスを含む処理ガス、又はフッ素化剤を含む処理ガス若しくは処理溶液を接触させるか、あるいは電解フッ素化処理すると、化学反応によって炭化水素骨格に結合している水素原子がフッ素原子に置換される。また、処理条件を選択することにより、炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換することができる。
【0072】
同様に、炭化水素骨格を備えた固体高分子化合物にフッ素ガスを含む処理ガス、又はフッ素化剤を含む処理ガス若しくは処理溶液を接触させるか、あるいは電解フッ素化処理すると、化学反応によって炭化水素骨格に結合している水素原子がフッ素原子に置換される。次いで、この固体高分子化合物に電解質基を導入すると、炭化水素骨格の一部又は全部がフルオロカーボン骨格に変換された電解質が得られる。
【0073】
このようにして得られた高分子電解質は、出発原料として炭化水素系の電解質又は化合物を用いているので、パーフルオロ系電解質に比して低コストである。
また、炭化水素骨格の少なくとも一部がフルオロカーボン骨格に変換されているので、従来の炭化水素系電解質に比して、耐酸化性が向上する。
【0074】
そのため、これを例えば固体高分子型燃料電池や水電解装置に適用すれば、電極反応により生じた過酸化物ラジカルによる炭化水素骨格の分解、及びこれに起因する性能低下を抑制することができる。また、従来の炭化水素系電解質膜を用いた場合に比して、耐久性が向上し、長時間作動させることができる。
【0075】
さらに、固体高分子電解質をフッ素化処理する前に電解質基の非プロトン化処理を行うと、固体高分子電解質を直接フッ素化処理する場合に比して、耐久性に優れ、かつ高い電気伝導度を有する高耐久高分子電解質が得られる。
【0076】
【実施例】
(実施例1)
(1) エチレンテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリスチレン膜(以下、これを「ETFE−g−PSt膜」という。)の作製
まず、厚さ50μm、50mm×50mmの大きさのエチレンテトラフルオロエチレン共重合体膜(ETFE膜)に、2MeV、20kGyの電子線をドライアイス冷却下で照射し、ETFE膜内部にラジカルを発生させた。
【0077】
このETFE膜をドライアイス冷却下で保存し、室温に戻した後、速やかに過剰量のスチレンモノマ(6%のジビニルベンゼンを含む)に浸漬した。次いで、反応容器内部を窒素置換した後、60℃で60時間加熱処理し、ETFEにポリスチレングラフト鎖を導入した。反応後は、クロロホルムを用いて還流処理することにより、非グラフト成分(スチレンモノマ及びホモポリマ)を抽出除去し、80℃で減圧乾燥した。得られたETFE−g−PSt膜のグラフト率は、40%であった。なお、グラフト率は、次の数1の式により算出した。
【0078】
【数1】
Figure 2004083663
【0079】
(2) スルホン酸型エチレンテトラフルオロエチレン−グラフト−ポリスチレン膜(以下、これを「ETFE−g−PSt−S膜」という。)の作製
ETFE−g−PSt膜を、クロロスルホン酸30重量部、テトラクロロエタン70重量部の混合溶液で1時間浸漬し、膜のスチレン単位に対してスルホニルクロライド基を導入した。反応後、膜をエタノールで洗浄して未反応成分を除去し、スルホニルクロライド基を導入したETFE−g−PSt膜を得た。
【0080】
次に、この膜を1N水酸化カリウム水溶液に浸漬し、1時間加熱還流処理することによりスルホニルクロライド基を加水分解した。次いで、1N硫酸を用いて1時間煮沸することによりスルホン酸基のプロトン交換を行った。さらに、膜を蒸留水で洗浄した後、80℃で減圧乾燥した。得られたETFE−g−PSt−S膜の当量重量は、450g/eqであった。
【0081】
なお、当量重量EWは、以下の手順により測定した。すなわち、乾燥した膜0.1〜0.2gを0.1N水酸化ナトリウム水溶液20mlに室温で12時間浸漬し、膜中のスルホン酸基をナトリウム交換した。同時に、膜を加えない水酸化ナトリウム水溶液も同様に調製してブランクとした。
【0082】
浸漬後、水酸化ナトリウム溶液から膜を取り出し、膜を蒸留水で洗浄して洗液を浸漬液に加えたものを滴定用試料とした。自動滴定装置(平沼製 Comtite T−900)を用いて、0.5N塩酸により試料およびブランクを滴定し、滴定曲線の変曲点より終点を求め、次の数2の式により膜のEWを算出した。
【0083】
【数2】
Figure 2004083663
【0084】
(3) ETFE−g−PSt−S膜のフッ素化処理
ETFE−g−PSt−S膜1gを1リットルの五塩化リン/オキシ塩化リン混合溶液(5塩化リン/オキシ塩化リンの体積比(vol./vol.)=3/7)中に90℃で6時間浸漬し、スルホン酸基をスルホニルクロライド基に変換した。さらに、膜を溶液から取り出し、乾燥したエタノール中に1時間浸漬した後、60℃で12時間真空乾燥した。
【0085】
次に、この膜を、25℃において、100%フッ素ガス中で60分間放置した。次いで、膜を5N塩酸で2時間還流し、プロトン交換を行った。さらに、膜を1リットルのイオン交換水中で1時間煮沸する処理を3回繰り返すことにより、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0086】
(比較例1)
実施例1の(1)及び(2)と同一の手順に従って作製したETFE−g−PSt−S膜をそのまま実験に供した。
【0087】
実施例1及び比較例1で得られた膜について、それぞれ、60℃で12時間真空乾燥した後、膜の両面に電極を接合し、固体高分子型燃料電池セルを作製した。さらに、得られたセルを用いて、耐久性評価を行った。なお、耐久性評価は、次の表1に示す条件下で行った。また、評価は、電流の挿引をすることなく、開回路の状態で約7000分間放置し、この時の開回路電圧をモニタすることにより行った。
【0088】
【表1】
Figure 2004083663
【0089】
図1に、耐久時間と開回路電圧との関係を示す。いずれの膜も、初期状態の開回路電圧は、約0.95Vであった。しかしながら、フッ素化処理が施されていない比較例1の場合、7000分後の開回路電圧は、0.81Vまで低下した。これに対し、フッ素ガスを用いてフッ素化処理を施した実施例1の場合、7000分後の開回路電圧は、0.87Vを越えていた。
【090】
電解質膜が過酸化物ラジカルにより劣化すると、劣化物が触媒表面を覆い、触媒活性を低下させることが知られている。炭化水素系電解質にフッ素化処理を施すことにより、耐久性が向上するのは、炭化水素系電解質を構成する炭化水素骨格がフルオロカーボン骨格に変換されることによって耐酸化性が向上し、劣化物の生成が抑制されるためと考えられる。
【0091】
(実施例2)
実施例1の(1)及び(2)と同一の手順に従い、ETFE−g−PSt−S膜を作製した。次に、この膜1gを、室温において、Nガスで希釈したフッ素ガス(N:0.3kg/cm(2.94×10Pa)、F:0.1kg/cm(0.98×10Pa))中に5分間放置し、膜とフッ素ガスとを反応させた。反応後、膜を1リットルの5N塩酸中で2時間還流した。さらに、膜を1リットルのイオン交換水中で1時間煮沸する処理を3回繰り返すことにより、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0092】
(実施例3)
実施例1の(1)及び(2)と同一の手順に従い、ETFE−g−PSt−S膜を作製した。この膜1gを1リットルの1N水酸化ナトリウム水溶液中に1時間浸漬し、スルホン酸基のプロトンをナトリウムイオンに置換した。次いで、膜を1リットルのイオン交換水中で1時間煮沸する処理を3回繰り返した。さらに、膜を60℃において12時間真空乾燥した。
【0093】
次に、この膜に対し、実施例2と同一条件下で、フッ素ガスによるフッ素化処理を行った。さらに、実施例2と同一条件下で、塩酸による還流及びイオン交換水による煮沸を行い、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0094】
(実施例4)
実施例1の(1)及び(2)と同一の手順に従い、ETFE−g−PSt−S膜を作製した。この膜1gを1リットルの五塩化リン/オキシ塩化リン混合溶液(5塩化リン/オキシ塩化リンの体積比(vol./vol.)=3/7)中に90℃で6時間浸漬し、スルホン酸基をスルホニルクロライド基に変換した。さらに、膜を溶液から取り出し、60℃で12時間真空乾燥した。
【0095】
次に、この膜に対し、実施例2と同一条件下で、フッ素ガスによるフッ素化処理を行った。さらに、実施例2と同一条件下で、塩酸による還流及びイオン交換水による煮沸を行い、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0096】
(実施例5)
実施例1の(1)と同一の手順に従い、ETFE−g−PSt膜を作製した。
次に、この膜に対し、実施例2と同一条件下で、フッ素ガスによるフッ素化処理を行った。次いで、実施例2と同一条件下で、塩酸による還流及びイオン交換水による煮沸を行った。さらに、膜を60℃で12時間真空乾燥した。
【0097】
次に、この膜に対し、実施例1の(2)と同一の手順に従い、スルホン酸基を導入し、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0098】
実施例2〜5で得られた膜について、実施例1と同一条件下で固体高分子型燃料電池セルの作製及び耐久試験を行った。図2に、耐久時間と開回路電圧の関係を示す。なお、図2には、比較例1で得られた膜の結果も併せて示した。
【0099】
希釈されたフッ素ガスを用いてフッ素化処理した実施例2〜5の場合、初期状態の開回路電圧は、0.94〜0.95Vであり、比較例1と同等であった。一方、7000分後の開回路電圧は、0.84Vを越えており、いずれも比較例1より向上した。特に、フッ素化処理の前に非プロトン化処理を行った実施例3、4の場合、7000分後の開回路電圧は、0.87Vを越えていた。
【0100】
また、図3に、実施例4及び比較例1で得られた膜の赤外吸収スペクトルを示す。図3より、実施例4で得られた膜は、比較例1で得られた膜に比して、グラフトしたスチレンのα位の−CHに由来する2925cm−1付近のピークが減少していることがわかる。このピークの減少は、フッ素ガス処理によって、炭化水素骨格のフルオロカーボン骨格への変換が進行していることを示していると考えられる。
【0101】
炭化水素系電解質を直接、フッ素化処理した場合、電解質基の脱落が生ずる場合がある。フッ素化処理の前に非プロトン化処理を行うことによって、耐久性に優れ、かつ高い電気伝導度を有する高耐久高分子電解質が得られるのは、フッ素化処理の際に生ずる電解質基の脱落を抑制しながら、炭化水素骨格のフルオロカーボン骨格への変換率を高くすることができるためと考えられる。
【0102】
(実施例6)
実施例1の(1)及び(2)と同一の手順に従い、ETFE−g−PSt−S膜を作製した。この膜1gを、アルゴン雰囲気下において、500mlの乾燥テトラヒドロフランと4mmolのN−フルオロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)ピリジニウム−2−スルホネートとの混合溶液中に室温で1時間浸漬した。
【0103】
次に、膜を溶液から取り出し、60℃で12時間真空乾燥した。次いで、膜を1リットルの5N塩酸中で2時間還流し、プロトン交換を行った。さらに、膜を1リットルのイオン交換水中で1時間煮沸する処理を3回繰り返すことにより、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0104】
(実施例7)
実施例1の(1)及び(2)と同一の手順に従い、ETFE−g−PSt−S膜を作製した。この膜1gを1リットルの五塩化リン/オキシ塩化リン混合溶液(5塩化リン/オキシ塩化リンの体積比(vol./vol.)=3/7)中に90℃で6時間浸漬し、スルホン酸基をスルホニルクロライド基に変換した。さらに、膜を溶液から取り出し、60℃で12時間真空乾燥した。
【0105】
次に、膜を溶液から取り出し、60℃で12時間真空乾燥した。次いで、この膜1gを、実施例6と同一条件下で、フッ素化処理を行った。さらに、実施例6と同一条件下で、真空乾燥、5N塩酸による還流及びイオン交換水による煮沸を行うことにより、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0106】
実施例6、7で得られた膜について、実施例1と同一の条件下で固体高分子型燃料電池セルの作製及び耐久試験を行った。図4に、耐久時間と開回路電圧の関係を示す。なお、図4には、比較例1で得られた膜の結果も併せて示した。
【0107】
フッ素化剤を用いてフッ素化処理された実施例6、7の場合、初期状態の開回路電圧は、約0.95Vであり、比較例1と同等であった。一方、7000分後の開回路電圧は、0.87Vを越えており、いずれも比較例1より向上した。また、フッ素化処理の前に非プロトン化処理を行った実施例7の場合、7000分後の開回路電圧は、実施例6より若干向上した。
【0108】
(実施例8)
実施例1の(1)及び(2)と同一の手順に従い、ETFE−g−PSt−S膜を作製した。この膜(6cm×6cm)を5%のフッ酸水溶液に浸漬し、陽極電流密度0.3A/dm、槽電圧5V、浴温5℃の条件下で10分間通電を行った。なお、陽極及び陰極には、それぞれニッケルを用いた。次に、処理後の膜を1リットルの1N塩酸中で煮沸する処理を2回繰り返した。さらに、この膜を1リットルのイオン交換水により煮沸するする処理を2回繰り返すことにより、フッ素化されたETFE−g−PSt−S膜を得た。
【0109】
実施例8で得られた膜について、実施例1と同一の条件下で固体高分子型燃料電池セルの作製及び耐久試験を行った。図5に、耐久時間と開回路電圧の関係を示す。なお、図5には、比較例1で得られた膜の結果も併せて示した。電解フッ素化を用いてフッ素化処理された実施例8の場合、初期状態の開回路電圧は、約0.94Vであり、比較例1と同等であった。一方、7000分後の開回路電圧は、0.86V以上を越えており、比較例1より向上した。
【0110】
また、表2に、実施例8及び比較例1で得られた膜の面方向及び垂直方向の電気伝導度を示す。一般に、膜の電気的特性が等方的である場合には、膜の電気伝導度は方向によらずほぼ等しくなり、膜表面に絶縁層が形成されている場合には、膜の電気伝導度は方向によって変化する。実施例8で得られた膜の場合、その電気伝導度は、方向によって大きな差はなく、等方的であることがわかる。
【0111】
【表2】
Figure 2004083663
【0112】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0113】
例えば、上記実施の形態では、主に膜状に成形された固体高分子電解質又は固体高分子化合物に対して本発明を適用した例について説明したが、膜以外の形状を備えた固体高分子電解質又は固体高分子化合物に対しても本発明を同様に適用することができる。
【0114】
また、本発明に係る高耐久高分子電解質は、単独で種々の用途に使用することができるが、本発明に係る高耐久高分子電解質を膜状に成形し、これと他の電解質膜とを積層して用いたり、あるいは、本発明に係る高耐久高分子電解質と他の電解質とを混合して使用することもできる。
【0115】
さらに、本発明に係る高耐久高分子電解質は、固体高分子型燃料電池に用いられる電解質膜として特に好適であるが、本発明の用途はこれに限定されものではなく、各種電解装置、センサ類等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質としても使用することができる。
【0116】
【発明の効果】
本発明に係る高耐久性高分子電解質は、炭化水素骨格から変換されたフルオロカーボン骨格を備えているので、耐久性が高いという効果がある。また、本発明に係る高耐久高分子電解質及びその製造方法は、炭化水素骨格を備えた固体高分子電解質又は固体高分子化合物を出発原料に用いているので、低コストであるという効果がある。さらに、出発原料として固体高分子電解質を用いる場合において、炭化水素骨格をフルオロカーボン骨格に変換する前に、電解質基をハライド基又は金属塩に変換すると、耐久性及び電気伝導性に優れた高耐久高分子電解質が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例1で得られた膜の耐久時間と開回路電圧の関係を示す図である。
【図2】実施例2〜5及び比較例1で得られた膜の耐久時間と開回路電圧の関係を示す図である。
【図3】実施例4及び比較例1で得られた膜の赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図4】実施例6、7及び比較例1で得られた膜の耐久時間と開回路電圧の関係を示す図である。
【図5】実施例8及び比較例1で得られた膜の耐久時間と開回路電圧の関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 炭化水素骨格から変換されたフルオロカーボン骨格を備えた高耐久高分子電解質。
  2. 固体高分子電解質の電解質基の一部又は全部をハライド基又は金属塩に変換し、前記固体高分子電解質を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換し、前記ハライド基又は前記金属塩を電解質基に変換することにより得られる高耐久高分子電解質。
  3. 固体高分子化合物を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換し、前記固体高分子化合物に電解質基を導入することにより得られる高耐久高分子電解質。
  4. 固体高分子電解質を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換する第1フッ素化工程を備えた高耐久高分子電解質の製造方法。
  5. 前記第1フッ素化工程の前に、前記固体高分子電解質の電解質基の一部又は全部をハライド基又は金属塩に変換する非プロトン化工程と、
    前記第1フッ素化工程の後に、前記ハライド基又は前記金属塩を電解質基に変換するプロトン化工程をさらに備えた請求項4に記載の高耐久高分子電解質の製造方法。
  6. 固体高分子化合物を構成する炭化水素骨格の一部又は全部をフルオロカーボン骨格に変換する第2フッ素化工程と、
    前記固体高分子化合物に電解質基を導入する電解質基導入工程とを備えた高耐久高分子電解質の製造方法。
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