JP2004079717A - 静電保護回路及び同静電保護回路を有する半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明では、入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、同アッテネータ回路の内部に形成したサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路と、同第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とから静電保護回路を構成した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電保護回路及び同静電保護回路を有する半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、尖頭ノイズが重畳した入力信号が電子回路に入力されると、許容範囲を越える電流が電子回路内に通電し、電子回路を構成する電子部品が静電破壊されてしまい、電子回路が故障するおそれがあった。
【0003】
そのため、従来の電子回路においては、許容範囲を越える入力信号が入力されないように、電子回路の入力端子に静電保護回路を設けていた。
【0004】
かかる静電保護回路100としては、図5に示すように、電子回路101の入力端子Tinとグランド端子TGNDとの間、及び入力端子Tinと電源端子Tvccとの間に静電保護ダイオードD100,D101をそれぞれ接続したものが知られている。
【0005】
ところが、上記の静電保護回路100では、図6に示すように、基準電圧(グランド電圧)よりも静電保護ダイオードD100の順方向電圧だけ低い電圧、或いは電源電圧よりも静電保護ダイオードD101の順方向電圧だけ高い電圧で入力信号がクランプされてしまうため、入力端子Tinに電源電圧を越える入力信号が印加される場合には、入力信号が歪むといった不具合が発生するおそれがあった。
【0006】
かかる不具合を解消するためには、図7に示すように、入力端子Tinとグランド端子TGNDとの間、及び入力端子Tinと電源端子TVCCとの間に直列接続した複数個の静電保護ダイオードD100〜D105をそれぞれ接続して、クランプされる電圧を増大させた構造とすることが考えられる。
【0007】
しかしながら、電子回路101を半導体基板上に形成した半導体装置の場合には、半導体基板上の基準電位(グランド電位)と電源電位との間に形成される寄生ダイオードの影響によって、回路上で複数個の静電保護ダイオードを直列接続しても、実質的には1個の寄生ダイオードだけが接続された構成となり、クランプされる電圧を増大させることができなかった。
【0008】
すなわち、図8に示すように、半導体基板102に複数個の静電保護ダイオードD100,D102,D103を直列接続する場合には、半導体基板102に基準電位となるP型ウェル103を形成し、同P型ウェル103に複数個のPN接合からなる静電保護ダイオードD100,D102,D103をそれぞれ形成し、これらの静電保護ダイオードD100,D102,D103を接続端子104,105で接続していた。図中、106は絶縁層である。
【0009】
そして、半導体基板102においては、静電保護ダイオードD100,D102,D103を構成するN型領域とP型ウェル103との間もPN接合となることから、これらの間に寄生ダイオードが等価的に形成されることになる。
【0010】
したがって、半導体基板102に複数個の静電保護ダイオードD100,D102,D103を直列接続しても、結局は基準電位となるP型ウェル103と入力端子Tinとの間に形成された寄生ダイオードが支配的に機能することになり、入力端子Tinとグランド端子TGNDとの間に1個の寄生ダイオードを接続した回路と等価な回路を構成することになってしまい、実質的には上記静電保護回路100と変わらず1個の寄生ダイオードの順方向電圧によって入力信号がクランプされてしまっていた。
【0011】
そのため、従来においては、図9に示すように、電子回路101の入力部107と入力端子Tinとの間に入力信号の振幅を減衰させるためのアッテネータ回路108を設けるとともに、同アッテネータ回路108の内部に静電保護回路100を設けて、実際に電子回路101に入力される信号の振幅を減衰させ、減衰させた信号に対して静電保護回路100が動作するように構成するようにしていた。ここで、アッテネータ回路108は、バイアス電源Vbと2個の分圧抵抗R100,R101とから構成していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のアッテネータ回路を設けた静電保護回路にあっては、静電保護回路をアッテネータ回路の内部に設ける必要があることから、静電保護回路の動作時にサージ電流がアッテネータ回路を構成する分圧抵抗に流れてしまい、過大なサージ電流が流れる場合には、分圧抵抗が過電流によって破壊され、電子回路が故障してしまうおそれがあった。
【0013】
特に、半導体基板上に形成した電子回路にアッテネータ回路と静電保護回路とを設けた場合には、分圧抵抗としてポリシリコン膜からなるポリ抵抗を用いると過電流によって破壊されやすくなってしまうことから、ポリ抵抗を用いることができなくなり、これにより、電子回路の小型・高速化が図れなくなるおそれがあった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、請求項1に係る本発明では、入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、このアッテネータ回路の内部に形成したサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路と、この第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、前記アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とから静電保護回路を構成することにした。
【0015】
また、請求項2に係る本発明では、入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、このアッテネータ回路の内部に形成したサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路と、この第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、前記アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とからなる静電保護回路を半導体基板上に形成することにした。
【0016】
また、請求項3に係る本発明では、入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、このアッテネータ回路の内部に形成した負のサージ電流を通電するための第1のサージ電流通電回路と、この第1のサージ電流通電回路によって所定値以上の負のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、前記アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とからなる静電保護回路を半導体基板上に形成し、前記第2のサージ電流通電回路は、半導体基板上の基準電位と電源電位との間に形成される寄生ダイオードを介して負のサージ電流を通電するように構成することにした。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係る静電保護回路は、半導体基板上に信号処理などを行う電子回路を形成するとともに、同電子回路の入力部に入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路を形成し、同アッテネータ回路の内部にサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路を形成し、さらには、第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作する第2のサージ電流通電回路をアッテネータ回路の入力側外部に形成したものである。
【0018】
しかも、第2のサージ電流通電回路は、半導体基板上の基準電位(グランド:GND)と電源電位(電源:VCC)との間に形成される寄生ダイオード(PN接合部)を介してサージ電流を通電するようにしたものである。
【0019】
そして、尖頭ノイズが重畳された入力信号が入力された場合には、まず、アッテネータ回路の内部に形成した第1のサージ電流通電回路が動作して内部の電子回路を保護する。
【0020】
しかも、第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流を通電した場合には、第2のサージ電流通電回路が動作してサージ電流を入力端子へ直接的に通電する。
【0021】
これにより、第1のサージ電流通電回路及びアッテネータ回路の内部を流れるサージ電流が急激に増大するのを阻止することができ、アッテネータ回路の内部に過大なサージ電流が通電してしまうのを未然に防止して、アッテネータ回路を保護することができる。
【0022】
すなわち、本発明に係る静電保護回路では、アッテネータ回路を有する電子回路において、第1及び第2のサージ電流通電回路によってサージ電流を通電させることにより内部の電子回路を保護することができるとともに、第2のサージ電流通電回路によってアッテネータ回路の内部には過大なサージ電流を通電させることなくサージ電流を通電させることができ、過大なサージ電流が通電することによるアッテネータ回路の故障を未然に防止することができる。
【0023】
しかも、第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに第2のサージ電流通電回路が動作するようにしているため、第1のサージ電流通電回路を内部に有するアッテネータ回路に所定値以上のサージ電流が通電するのを確実に防止することができ、アッテネータ回路の保護を確実に行うことができる。
【0024】
特に、第2のサージ電流通電回路が半導体基板上の基準電位と電源電位との間に形成される寄生ダイオードを介してサージ電流を通電するようにした場合には、第2のサージ電流通電回路を構成するサージ電流通電用のダイオードを別途設ける必要がなくなり、回路規模の縮小や構成部品点数の削減を図ることができ、静電保護回路を有する半導体装置の小型軽量化や低廉化を図ることができる。
【0025】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0026】
本発明に係る静電保護回路1は、図1に示すように、半導体基板上に信号処理などを行う電子回路2を形成するとともに、同電子回路2の入力部3に入力信号の振幅を減衰させるためのアッテネータ回路4を形成し、同アッテネータ回路4の内部にサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路5を形成し、さらには、第1のサージ電流通電回路5の動作後にサージ電流を入力端子Tinへ直接的に通電するための第2のサージ電流通電回路6をアッテネータ回路4の入力側に形成している。
【0027】
電子回路2には、入力端子Tinの他に電源電位となる電源端子Tvccと基準電位となるグランド端子TGNDとを接続している。
【0028】
アッテネータ回路4は、バイアス電源Vbと分圧抵抗R1〜R4とで構成しており、入力端子Tinと電子回路2の入力部3との間に分圧抵抗R1〜R3を直列接続するとともに、電子回路2の入力部3とグランド端子TGNDとの間に分圧抵抗R4とバイアス電源Vbとを直列接続している。
【0029】
そして、アッテネータ回路4は、直列接続した分圧抵抗R1〜R3の合成抵抗と分圧抵抗R4とで入力端子に印加された入力信号を分圧することによって入力信号の振幅を減衰させて電子回路2の入力部3に入力するようにしている。
【0030】
第1のサージ電流通電回路5は、アッテネータ回路4の分圧抵抗R2とR3との間(図中、符号Aで示す部位。)とグランド端子TGNDとの間にサージ電流通電用のダイオードD1を接続している。
【0031】
そして、第1のサージ電流通電回路5は、入力信号を分圧抵抗R1,R2の合成抵抗と分圧抵抗R3,R4の合成抵抗とで分圧したA点での電圧が基準電位(グランド電位)よりもダイオードD1の順方向電圧以上低下した場合に、グランド端子TGNDから入力端子TinにダイオードD1と分圧抵抗R1,R2を介してサージ電流IS1を通電するようにしている。
【0032】
第2のサージ電流通電回路6は、2個のNPN型のトランジスタT1,T2と抵抗R5とダイオードD2とから構成しており、サージ電流IS2を入力端子Tinへ直接的に通電するようにしている。
【0033】
具体的には、第2のサージ電流通電回路6は、入力端子TinにトランジスタT1のエミッタ端子を直列接続し、同トランジスタT1のコレクタ端子に抵抗R5の一端を直列接続し、同抵抗R5の他端にトランジスタT2のエミッタ端子を直列接続し、同トランジスタT2のコレクタ端子に電源端子Tvccを直列接続し、さらには、電源端子TvccにダイオードD2のカソード端子を直列接続し、同ダイオードD2のアノード端子にグランド端子TGNDを直列接続している。
【0034】
ここで、トランジスタT1は、エミッタ端子とベース端子との間にアッテネータ回路4の分圧抵抗R1を接続しており、これにより、第1のサージ電流通電回路5によって通電されたサージ電流IS1が所定値以上の場合に分圧抵抗R1での電圧降下を利用してトランジスタT1がON状態となり、サージ電流IS2を入力端子Tinに通電するようにしている。すなわち、トランジスタT1は、第1のサージ電流通電回路5によって通電されたサージ電流IS1が所定値以上か否かを判断するサージ電流検出手段として機能している。
【0035】
また、トランジスタT2は、エミッタ端子とベース端子とを直接的に接続して逆流防止用のダイオードを形成している。
【0036】
また、抵抗R5は、トランジスタT1,T2を流れるサージ電流IS2を制限する電流制限抵抗として機能しており、これによって、トランジスタT1,T2に過大なサージ電流IS2が流れてトランジスタT1,T2が破壊されてしまうのを防止している。
【0037】
また、ダイオードD2は、サージ電流IS2をグランド端子TGNDから供給するためのものであり、本実施の形態に係る静電保護回路1では、半導体基板上の電源端子Tvccとグランド端子TGNDとの間に形成される寄生ダイオードを利用している。かかる寄生ダイオードは、グランド端子TGNDと同電位に導通する半導体基板上のP型ウェルと電源端子Tvccとの間に形成されたPN接合からなる。
【0038】
そして、第2のサージ電流通電回路6は、トランジスタT1がON状態となった場合に、サージ電流IS2をグランド端子TGNDに接続されたP型ウェルからダイオードD2、トランジスタT2、抵抗R5、トランジスタT1を順に介して入力端子Tinに直接的に通電するようにしている。ここで、サージ電流IS2を入力端子Tinに直接的に通電するとは、アッテネータ回路4や第1のサージ電流通電回路5の内部にサージ電流IS2を通電させることなく入力端子Tinにサージ電流IS2を通電させることを指す。なお、これに対して、第1のサージ電流通電回路5は、アッテネータ回路4の分圧抵抗R1,R2を介してサージ電流IS 1を入力端子Tinに間接的に通電している。
【0039】
なお、通常状態の入力信号が入力端子Tinに印加される場合には、ダイオードD1に逆バイアスが印加されていて第1のサージ電流通電回路5が動作しておらず、また、トランジスタT1がOFF状態となっていて第2のサージ電流通電回路6も動作しないようにしている。これらは、分圧抵抗R1〜R4の抵抗値を適宜選択することによって実現できる。
【0040】
本実施の形態に係る静電保護回路1は、上述した構成となっており、入力端子Tinに尖頭ノイズが重畳された許容範囲を越える入力信号が印加された場合に、以下のようにしてサージ電流を通電して、内部の電子回路2の入力部3に過大な信号が印加されないようにして、電子回路2を保護するようにしている(図2参照)。
【0041】
すなわち、静電保護回路1は、図2に示すように、入力端子Tinに尖頭ノイズが重畳された許容範囲を越える入力信号が印加されると、入力信号を分圧抵抗R1,R2の合成抵抗と分圧抵抗R3,R4の合成抵抗とで分圧したA点での電圧が基準電位(グランド電位)よりもダイオードD1の順方向電圧以上低下し、これにより、まず、第1のサージ電流通電回路5が動作し、グランド端子TGNDから入力端子TinにダイオードD1と分圧抵抗R1,R2を介してサージ電流IS1が通電される。
【0042】
その後、第1のサージ電流通電回路5によって通電されたサージ電流IS1が所定値以上の場合には、分圧抵抗R1での電圧降下によって第2のサージ電流通電回路6のトランジスタT1のベース−エミッタ間にバイアス電圧が印加されてトランジスタT1がON状態となり、これにより、サージ電流IS2がグランド端子TGNDに接続されたP型ウェルからダイオードD2、トランジスタT2、抵抗R5、トランジスタT1を順に介して入力端子Tinに直接的に通電される。なお、第2のサージ電流通電回路6が動作しているときにも第1のサージ電流通電回路5は動作しており、所定値以下のサージ電流IS1を通電している。
【0043】
このように、本実施の形態に係る静電保護回路1では、入力信号の振幅を減衰させるためのアッテネータ回路4と、同アッテネータ回路4の内部に形成したサージ電流IS1を通電させるための第1のサージ電流通電回路5と、同第1のサージ電流通電回路5の動作後にサージ電流IS2を入力端子Tinへ直接的に通電させるための第2のサージ電流通電回路6とから構成している。
【0044】
そのため、尖頭ノイズが重畳された入力信号が入力された場合には、まず、アッテネータ回路4の内部に形成した第1のサージ電流通電回路5が動作して内部の電子回路2を保護し、その後、第2のサージ電流通電回路6が動作してサージ電流IS2を入力端子Tinへ直接的に通電することによって第1のサージ電流通電回路5及びアッテネータ回路4の内部を流れるサージ電流IS1が急激に増大するのを阻止して、アッテネータ回路4の内部に過大なサージ電流IS1が通電してしまうのを未然に防止し、アッテネータ回路4を保護するようにしている。
【0045】
これにより、本実施の形態に係る静電保護回路1では、アッテネータ回路4を有する電子回路2において、第1及び第2のサージ電流通電回路5,6によってサージ電流IS1,IS2を通電させることにより内部の電子回路2を保護することができるとともに、第2のサージ電流通電回路6でサージ電流IS2を入力端子Tinに直接的に通電することによってアッテネータ回路4の内部に過大なサージ電流IS1を通電させることなくサージ電流IS1,IS2を通電させることができ、過大なサージ電流IS1が通電することによるアッテネータ回路4の故障を未然に防止することができる。
【0046】
しかも、本実施の形態に係る静電保護回路1は、第2のサージ電流通電回路6にサージ電流検出手段を設けて、第1のサージ電流通電回路5によって所定値以上のサージ電流IS1が通電されたときに第2のサージ電流通電回路6が動作するようにしているため、第1のサージ電流通電回路5を内部に有するアッテネータ回路4に所定値以上のサージ電流IS1が通電するのを確実に防止することができ、アッテネータ回路4の保護を確実に行うことができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る静電保護回路1は、半導体基板上に形成されており、半導体基板上の基準電位(電源端子Tvccの電位)と電源電位(グランド端子TGNDの電位)との間に形成される寄生ダイオード(D2)を介して第2のサージ電流通電回路6がサージ電流IS2を通電するようにしているため、第2のサージ電流通電回路6を構成するサージ電流通電用のダイオードD2を別途設ける必要がなくなり、回路規模の縮小や構成部品点数の削減を図ることができ、静電保護回路1を有する半導体装置の小型軽量化や低廉化を図ることができる。
【0048】
以上に説明した静電保護回路1は、負のサージ電流を通電するために設けたマイナス側の保護回路だけについて説明しているが、プラス側の保護回路も同様の構成とすることができる。
【0049】
すなわち、図3に示す静電保護回路11は、プラス側の保護回路であり、半導体基板上に信号処理などを行う電子回路12を形成するとともに、同電子回路12の入力部13に入力信号の振幅を減衰させるためのアッテネータ回路14を形成し、同アッテネータ回路14の内部にサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路15を形成し、さらには、第1のサージ電流通電回路15の動作後にサージ電流をグランド端子TGNDへ直接的に通電するための第2のサージ電流通電回路16をアッテネータ回路14の入力側に形成している。図中、Tvccは電源電位となる電源端子、TGNDは基準電位となるグランド端子である。
【0050】
アッテネータ回路14は、バイアス電源Vbと分圧抵抗R11〜R14とで構成しており、入力端子Tinと電子回路12の入力部13との間に分圧抵抗R11〜R13を直列接続するとともに、電子回路12の入力部13とグランド端子TGNDとの間に分圧抵抗R14とバイアス電源Vbとを直列接続して、直列接続した分圧抵抗R11〜R13の合成抵抗と分圧抵抗R14とで入力端子に印加された入力信号を分圧することによって入力信号の振幅を減衰させて電子回路12の入力部13に入力するようにしている。
【0051】
第1のサージ電流通電回路15は、アッテネータ回路14の分圧抵抗R12とR13との間(図中、符号Bで示す部位。)と電源端子Tvccとの間にサージ電流通電用のダイオードD11を接続して、入力信号を分圧抵抗R11,R12の合成抵抗と分圧抵抗R13,R14の合成抵抗とで分圧したB点での電圧が電源電位よりもダイオードD11の順方向電圧以上上昇した場合に、入力端子Tinから電源端子Tvccに分圧抵抗R11,R12とダイオードD11とを介してサージ電流IS1を通電するようにしている。
【0052】
第2のサージ電流通電回路16は、2個のPNP型のトランジスタT11,T12と抵抗R15とダイオードD12とから構成しており、サージ電流IS2をグランド端子TGNDへ直接的に通電するようにしている。
【0053】
具体的には、第2のサージ電流通電回路16は、入力端子TinにトランジスタT11のエミッタ端子を直列接続し、同トランジスタT11のコレクタ端子に抵抗R15の一端を直列接続し、同抵抗R15の他端にトランジスタT12のエミッタ端子を直列接続し、同トランジスタT12のコレクタ端子にグランド端子TGNDを直列接続し、さらには、電源端子TvccにダイオードD12のカソード端子を直列接続し、同ダイオードD12のアノード端子にグランド端子TGNDを直列接続している。
【0054】
ここでも、トランジスタT11は、エミッタ端子とベース端子との間にアッテネータ回路14の分圧抵抗R11を接続しており、これにより、第1のサージ電流通電回路15によって通電されたサージ電流IS1が所定値以上の場合に分圧抵抗R11での電圧降下を利用してトランジスタT11がON状態となり、サージ電流IS2をグランド端子TGNDに通電するようにしている。すなわち、トランジスタT11は、第1のサージ電流通電回路15によって通電されたサージ電流IS1が所定値以上か否かを判断するサージ電流検出手段として機能している。
【0055】
また、トランジスタT12は、エミッタ端子とベース端子とを直接的に接続して逆流防止用のダイオードを形成している。
【0056】
また、抵抗R15は、トランジスタT11,T12を流れるサージ電流IS2を制限する電流制限抵抗として機能しており、これによって、トランジスタT11,T12に過大なサージ電流IS2が流れてトランジスタT11,T12が破壊されてしまうのを防止している。
【0057】
そして、第2のサージ電流通電回路16は、トランジスタT11がON状態となった場合に、サージ電流IS2をトランジスタT11、抵抗R15、トランジスタT12、ダイオードD12、P型ウェルを順に介して入力端子Tinからグランド端子TGNDに直接的に通電するようにしている。ここで、サージ電流IS2を入力端子Tinから直接的に通電するとは、アッテネータ回路14や第1のサージ電流通電回路15の内部にサージ電流IS2を通電させることなく入力端子Tinからサージ電流IS2を通電させることを指す。なお、これに対して、第1のサージ電流通電回路15は、アッテネータ回路14の分圧抵抗R11,R12を介してサージ電流IS 1を入力端子Tinから間接的に通電している。
【0058】
静電保護回路11も、入力端子Tinに尖頭ノイズが重畳された許容範囲を越える入力信号が印加されると、入力信号を分圧抵抗R11,R12の合成抵抗と分圧抵抗R13,R14の合成抵抗とで分圧したB点での電圧が電源電位よりもダイオードD11の順方向電圧以上上昇し、これにより、まず、第1のサージ電流通電回路15が動作し、入力端子Tinから電源端子TVCCに分圧抵抗R1,R2とダイオードD11とを介してサージ電流IS1が通電される。
【0059】
その後、第1のサージ電流通電回路15によって通電されたサージ電流IS1が所定値以上の場合には、分圧抵抗R11での電圧降下によって第2のサージ電流通電回路16のトランジスタT11のベース−エミッタ間にバイアス電圧が印加されてトランジスタT11がON状態となり、これにより、入力端子Tinからグランド端子TGNDに直接的に通電される。なお、第2のサージ電流通電回路16が動作しているときにも第1のサージ電流通電回路15は動作しており、所定値以下のサージ電流IS1を通電している。
【0060】
この静電保護回路11も、尖頭ノイズが重畳された入力信号が入力された場合には、まず、アッテネータ回路14の内部に形成した第1のサージ電流通電回路15が動作して内部の電子回路12を保護し、その後、第2のサージ電流通電回路16が動作してサージ電流IS2を入力端子Tinから直接的に通電することによって第1のサージ電流通電回路15及びアッテネータ回路14の内部を流れるサージ電流IS1が急激に増大するのを阻止して、アッテネータ回路14の内部に過大なサージ電流IS1が通電してしまうのを未然に防止し、アッテネータ回路14を保護するようにしている。なお、静電保護回路11も、通常状態の入力信号が入力端子Tinに印加される場合には、ダイオードD11に逆バイアスが印加されていて第1のサージ電流通電回路15が動作せず、また、トランジスタT11がOFF状態となっていて第2のサージ電流通電回路16も動作しないように、分圧抵抗R11〜R14の抵抗値を適宜選択している。
【0061】
上述した説明では、理解を容易なものとするために、マイナス側の保護回路である静電保護回路1とプラス側の保護回路である静電保護回路11とをそれぞれ別個に説明しているが、これらの静電保護回路1,11を組合わせることによって、プラス及びマイナス側の保護回路とすることができる。
【0062】
また、プラス側の保護回路を半導体基板上に形成する場合に、半導体基板上の電源端子Tvccと入力端子Tinとの間には寄生ダイオードが形成されることがないことから、図4に示すように、入力信号のプラス側の保護回路である静電保護回路21として、電源端子Tvccと入力端子Tinとの間にサージ電流通電用のダイオードD3,D4,D5を複数個直列接続した構造のものを用いてもよい。この場合には、プラス側の静電保護回路21の回路規模を縮小することができ、半導体装置の小型軽量化や低廉化を図ることができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0064】
すなわち、請求項1に係る本発明では、入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、同アッテネータ回路の内部に形成したサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路と、同第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とから静電保護回路を構成しているため、第1及び第2のサージ電流通電回路によってサージ電流を通電させることにより内部の電子回路を保護することができるとともに、アッテネータ回路の内部に過大なサージ電流が通電するのを防止することができ、過大なサージ電流が通電することによるアッテネータ回路の故障を未然に防止することができる。
【0065】
また、請求項2に係る本発明では、入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、同アッテネータ回路の内部に形成したサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路と、同第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とからなる静電保護回路を半導体基板上に形成しているため、半導体基板上に形成した電子回路の保護とアッテネータ回路の保護とを行うことができる。
【0066】
また、請求項3に係る本発明では、第2のサージ電流通電回路によって半導体基板上の基準電位と電源電位との間に形成される寄生ダイオードを介してサージ電流を通電するようにしているため、第2のサージ電流通電回路を構成するサージ電流通電用のダイオードを別途設ける必要がなくなり、回路規模の縮小や構成部品点数の削減を図ることができ、静電保護回路を有する半導体装置の小型軽量化や低廉化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電保護回路を示す回路図。
【図2】同動作説明図。
【図3】入力信号のプラス側に設けた静電保護回路を示す回路図。
【図4】入力信号のプラス側及びマイナス側に設けた静電保護回路を示す回路図。
【図5】従来の静電保護回路を示す回路図。
【図6】クランプ状態を示す説明図。
【図7】従来の静電保護回路を示す回路図。
【図8】同断面構造の説明図。
【図9】従来のアッテネータ回路を有する静電保護回路を示す回路図。
【符号の説明】
1 静電保護回路
2 電子回路
3 入力部
4 アッテネータ回路
5 第1のサージ電流通電回路
6 第2のサージ電流通電回路
IS1,IS2 サージ電流
Claims (3)
- 入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、このアッテネータ回路の内部に形成したサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路と、この第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、前記アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とからなる静電保護回路。
- 入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、このアッテネータ回路の内部に形成したサージ電流通電用の第1のサージ電流通電回路と、この第1のサージ電流通電回路によって所定値以上のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、前記アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とからなる静電保護回路を半導体基板上に形成したことを特徴とする半導体装置。
- 入力信号の振幅を減衰させるアッテネータ回路と、このアッテネータ回路の内部に形成した負のサージ電流を通電するための第1のサージ電流通電回路と、この第1のサージ電流通電回路によって所定値以上の負のサージ電流が通電されたときに動作し、かつ、前記アッテネータ回路の入力側外部に設けた第2のサージ電流通電回路とからなる静電保護回路を半導体基板上に形成し、前記第2のサージ電流通電回路は、半導体基板上の基準電位と電源電位との間に形成される寄生ダイオードを介して負のサージ電流を通電すべく構成したことを特徴とする半導体装置。
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