JP2004077635A - 現像方法、現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】現像スリーブ4を静電潜像を担持する感光体ドラム11に対向して配置し、現像スリーブを回転することで、現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、二成分現像剤の磁気ブラシより感光体ドラム上の静電潜像にトナーを供給して現像するものにおいて、現像領域を感光体ドラム側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、(空隙の総面積)/(現像領域総面積)を25%以下とする。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体上の静電潜像を現像する現像方法、現像装置および該現像装置を用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
潜像形成を行った像担持体に、磁性粉末キャリアとトナーよりなる二成分現像剤を用いた現像装置からトナーを供給して可視化し、画像を形成する画像形成装置が広く用いられている。このような現像装置の現像剤担持体としては、内部に複数の磁極を有する磁界発生手段を固定配置し、その外周の現像スリーブが回転する機構のものが用いられている。このような現像装置では、現像スリーブを回転させることで、現像スリーブの表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を搬送する。二成分現像剤は像担持体と現像スリーブとの最近接点付近を中心として磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシと像担持体とが接触する現像領域を形成する。この現像領域で、トナーは像担持体の表面電位と現像スリーブに印加されるバイアスとによって形成される現像電界から受ける力で、像担持体に付着して顕像化される。
【0003】
このような現像装置で、画像のザラツキ感をなくして高品位な画像を得るための改良がおこなわれている。その一つとして、像担持体と現像スリーブとの間に形成される電界を交番電界とし、トナーの再配置を促しながら現像することでざらつき感をなくすものが知られている。しかし、交番電界を形成すると、直流電界のみの場合に比べ、電界の最大値が大きくなり像担持体へのキャリア付着を起こしやすいという問題がある。また、交番電界を形成するめの電源が必要であり、コスト高となる。このため、直流電界を用いて現像するものでも、ザラツキ感をなくすことが望まれている。
【0004】
画像のザラツキ感が悪くなるの原因の一つとして、現像領域のおける磁気ブラシの密度が疎であり、均一な現像がおこなわれないことが知られている。そこで、現像領域のおける磁気ブラシの密度を、現像領域中のキャリアの体積比率を用いて規定し、画質を向上させようとするものが提案されている(例えば、特開平8−146668号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らは、上記キャリアの体積比率が同じであっても、画像のザラツキ感に差が生じることを見出した。これは、現像領域のおける磁気ブラシの密度を表すためにキャリアの体積比率を規定するものは、ザラツキ感との関係を説明しきれないといえる。これは、以下の理由によると考えられる。像担持体と現像スリーブとの間に直流電界を形成して現像する場合で考えると、磁気ブラシの根元の方から像担持体に向けて飛翔するトナーが少なく、磁気ブラシ先端部から像担持体にトナーが供給される。すなわち、現像動作に主として関与するのは磁気ブラシ先端部であり、ざらつき感を改良するためには磁気ブラシの配列状態や密度を考慮する必要がある。
【0006】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、二成分現像剤の磁気ブラシ先端部の状態を特性値として規定し、ザラツキ感のない高品位な画像を得ることのできる現像方法、現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、上記現像領域を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、(空隙の総面積)/(現像領域総面積)が25%以下であること特徴とするものである。
請求項2の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域中央部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)が20%以下であること特徴とするものである。
請求項3の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域中央部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、該磁気ブラシの空隙の分布状態が、S1/S2>0.4の関係を満足することを特徴とするものである。
ただし、S1は現像領域中央部の磁気ブラシの個々の空隙のうち平均以下の大きさの空隙の総和面積、S2は現像領域中央部の磁気ブラシの空隙の総面積である。
請求項4の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域上流部、該現像領域中央部、及び、該現像領域下流部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、各部の個々の空隙の平均面積が7500μm2以下、5000μm2以下、及び、7500μm2以下であること特徴とするものである。
請求項5の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域中央部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、該現像領域中央部の個々の空隙の大きさが上記現像スリーブ長手方向に関して平均で70μm以下であり、且つ、該現像スリーブ回転方向に関して平均で200μm以下であること特徴とするものである。
請求項6の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域上流部、該現像領域中央部、及び、該現像領域下流部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、以下の関係を満足することを特徴とするものである。
0<α1・p1・q1+α2・p2・q2+α3・p3・q3<5
α1+α2+α3=1
ただし、
p1:現像領域上流部における空隙の総面積/現像領域上流部の総面積
p2:現像領域中央部における空隙の総面積/現像領域中央部の総面積
p3:現像領域下流部に空隙の総面積/現像領域下流部の総面積
q1:現像領域上流部の空隙の総面積に対する、17500μm2以上の空隙面積を有する空隙の占める比率
q2:現像領域中央部の空隙の総面積に対する、4000μm2以上の空隙面積を有する空隙の占める比率
q3:現像領域下流部の総面積に対する、17500μm2以上の空隙面積を有する空隙の占める比率
α1:現像領域上流部の重み係数(=0.375定数)
α2:現像領域中央部の重み係数(=0.25定数)
α3:現像領域下流部の重み係数(定数)
請求項7の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置において、請求項1乃至6の現像方法を用いて現像することを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項7の現像装置において、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極の法線磁束密度が60mT〜120mTであることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項7または8の現像装置において、上記現像スリーブに印加する現像バイアスが、上記像担持体との間に交番電界を形成する振動バイアスであることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項7、8または9の現像装置において、上記現像スリーブによる二成分現像剤の汲上量が20〜100mg/cm2であることを特徴とするものである。
請求項11の発明は、請求項7、8、9または10の現像装置において、上記像担持体に対する上記現像スリ−ブの線速比が1.2〜3であることを特徴とするものである。
請求項12の発明は、請求項7、8、9、10または11の現像装置において、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極の主極角度が上記現像スリーブ回転方向の上流方向に0〜5°であることを特徴とするものである。
請求項13の発明は、請求項7、8、9、10、11または12の現像装置において、上記二成分現像剤のキャリアの単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gであることを特徴とするものである。
請求項14の発明は、請求項7、8、9、10、11、12または13の現像装置において、上記二成分現像剤のキャリアの動的抵抗値が105〜1010Ω・cmであることを特徴とするものである。
請求項15の発明は、請求項7、8、9、10、11、12、13または14の現像装置において、上記二成分現像剤のキャリアの体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とするものである。
請求項16の発明は、静電潜像を担持する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像する現像装置とを備えた画像形成装置において、上記現像装置が請求項7乃至15の現像装置であることを特徴とするものである。
【0008】
これらの現像方法、現像装置、及び画像形成装置においては、現像動作に主として関与する二成分現像剤の磁気ブラシ先端部の状態を特性値として規定し、ザラツキ感のない高品位な画像を得る。
以下、詳細に説明する。実際の現像動作においては、磁気ブラシの根元の方から像担持体に飛翔するトナーが少なく、像担持体に接触する磁気ブラシ先端部からトナーが供給される。よって、ザラツキ感のない均一な現像を行うためには、像担持体に接触する磁気ブラシ先端の配列状態が均一で密な状態であり、このような磁気ブラシの先端部が像担持体へ接触することが望ましい。そこで、像担持体に直に接触する磁気ブラシの状態を表す特性値として、現像領域において像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部の、(空隙の総面積)/(現像領域総面積)を用いる。ここで、現像領域とは、図3に示すように現像スリーブ4上の磁気ブラシと像担持体11が接触している領域のことである。また、空隙とは、磁気ブラシを構成する磁性キャリアの存在しない部分のことである。この現像領域において、磁気ブラシは、概ね等間隔で穂立ちを形成しているので、像担持体側からみた磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域総面積)を小さくしていくと、磁気ブラシ先端の配列状態が均一で密な状態となっていく。よって、磁気ブラシ先端が像担持体へ均一に接触することができるようになる。次に、本発明者らは、実験により現像領域を像担持体側からみたときの磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域総面積)の最適な範囲を求めた。現像領域での磁気ブラシの空隙の測定方法について説明する。磁気ブラシの空隙を求めるために、現像領域の磁気ブラシを可視化装置を用いて観察する。可視化装置は、像担持体の代わりに透明アクリル管を用い、これに対向するよう現像スリーブを配置する。このアクリル管の現像スリーブに対向していない側の一部はくりぬいてあり、アクリル管の内側から現像領域の磁気ブラシ先端部を観察できるようにする。そして、アクリル管の表面に透明な導電性シートを貼りつけ、現像スリーブとアクリル管の間に電位差を設けることにより、トナーをアクリル管の表面に付着させずに磁気ブラシ先端部を明瞭に観察することが可能となる。さらに、CCDカメラ等で、この可視化装置で観察される磁気ブラシ先端部のほぼキャリア1層分のみが映るように撮影する。そして、撮影した画像の処理を行い磁気ブラシ部分とキャリアの存在しない空隙部分に分け、その領域中に含まれる個々の空隙の面積、平均面積、個数等の統計情報を得た。このような測定方法を用いて、上記(空隙の総面積)/(現像領域総面積)を25%以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。上記(空隙の総面積)/(現像領域総面積)が25%を超えると、接触むらが顕著になり、ざらつき感が出てしまった。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を複写機、ファクシミリ、プリンター等の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図1は、画像形成装置の概略構成図である。像坦持体としての円筒状の感光体ドラム11の周囲には、帯電装置12、露光装置14、現像装置15、転写装置16、クリーニング装置17、図示しない除電装置が順に配設されている。また、図示しない給紙トレイより転写紙を感光体ドラム11と転写装置16との対向部に向けて給紙する図示しない給紙搬送装置と、トナー像を転写された転写紙が感光体ドラム6から分離した後、トナーを転写紙に定着する図示しない定着装置とを備えている。
【0010】
このように構成された画像形成装置では、感光体ドラム6は矢印方向に一定速度で回転しながら、帯電装置12により一様に帯電された後に、露光装置14により原稿に応じて部分的に露光光線が照射されて、感光体ドラム11上に静電潜像が形成される。ここでは、露光光線が未照射部分が背景部となり、照射部分が画像部とする。この感光体ドラム6上の静電潜像は、現像装置15の現像スリーブ4に図示しない電源から現像バイアス電圧を印加することによって可視化されたトナー像となる。このトナー像は、図示しない給紙部から搬送されてくる転写紙上に転写装置16により転写された後、図示しない定着装置により定着される。さらに感光体ドラム11上に残留した未転写トナーはクリーニング装置17により感光体ドラム11上から除去され、クリーニング装置17内に回収される。その後、感光体ドラム11の表面は、図示しない除電装置により残留電荷が除去される。なお、トナー像を転写する対象は転写紙に限るわけではなく、トナー像を一時的に保持する中間転写体等の像担持体であってもよい。
【0011】
次に、現像装置について詳しく説明する。図2は、現像装置15の概略構成図である。この現像装置15は、感光体ドラム11の側方に配置され、感光体ドラム11に向けて開口部が形成された本体ケース6を有している。この本体ケース6の開口部から、トナー及び磁性粉末キャリアからなる二成分現像剤(以下、現像剤という)を表面に坦持する現像剤担持体としての現像ローラが一部露出するよう配置されている。現像ローラは非磁性材料からなる円筒状の現像スリーブ4と、内部に固定された磁界発生手段としてのマグネットローラの磁石とから構成されており、現像スリーブ4はこの磁石の周りを自在に回転することができる。また、現像スリーブ4上で搬送されてきた現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード5と、現像スリーブ4に平行且つ対向配置されたパドル8とを有している。磁石4には感光体ドラム11の対向部位に主極(P1極)が配置され、反時計回り方向にS極とN極とが交互に配置されている。また、感光体ドラム11との対向部より現像スリーブ4回転方向下流位置では、現像剤を現像スリーブ4から剥離するために、同極性の磁極が隣接して配置されている。なお、本実施形態においては、現像スリーブ4の材質としてはアルミニウムを用い、表面をサンドブラスト仕上げしたものを用いた。
【0012】
上記構成の現像装置15では、現像剤は現像装置15内での攪拌作用によって摩擦帯電され、プラス帯電したキャリアのまわりにマイナス帯電したトナーが付着する。そして、図示しないモータによるパドル8の矢印方向の回転により、本体ケース6内部の現像剤がパドル8により現像スリーブ4に搬送される。このとき、現像剤は現像スリーブ4内部の磁石による磁力によって現像スリーブ4表面に引き付けられ、磁気ブラシを形成する。次にドクターブレード5により層厚を規制された現像剤は、感光体ドラム11に最近接する部位まで搬送され、トナーが静電潜像に電気的に付着する。なお、本実施形態では、現像スリーブ4の直径30mm、感光体ドラム11の直径90mmのものを用いた。また、感光体ドラム11の非画像部の電位V0を−640V、画像部の電位VLを−130V、現像バイアス電圧Vbを直流バイアス−470Vとした。その他の現像条件は以下のように設定した。
【0013】
上記条件で、画像形成を行い、画像のざらつき感を評価した。ざらつき感の程度を表す評価基準として粒状度を用いる。ここで、粒状度の測定原理を説明する。粒状度を測定用として、ハーフトーン領域の画像をスキャナで読み取り、1cm2程度のパッチを用意する。この画像をフーリエ変換して得られたパワースペクトルに対し、人間の視覚特性を表す周波数フィルタをかけて、人間の目に目立ちやすい部分を抽出したパワースペクトルを積分する。このようにしてパッチ毎に得られた数値のことを粒状度と呼ぶ。本実施形態では、特に明度が40〜80となる部分のパッチの粒状度の平均値を用いた。粒状度は、小さい程ざらつき感のない良好な画像であるといえる。
【0014】
次に、本実施形態における現像領域で感光体ドラム11側から見た磁気ブラシ先端部の空隙の測定方法について説明する。ここで、現像領域とは、図3に示すように現像スリーブ4上の磁気ブラシと感光体ドラムが接触している領域のことである。さらに、現像領域をスリーブ回転上流方向から順に3つに分け、磁気ブラシが穂立ちして感光体に接触し始める領域を「現像領域上流部」、磁気ブラシが感光体に向かってほぼ垂直に立っている領域を「現像領域中央部」、磁気ブラシが穂倒れを起こし始め、感光体ドラムから離れ始める領域を「現像領域下流部」と呼ぶ。
【0015】
上記感光体ドラム11側から見た磁気ブラシ先端部の空隙を求めるために、現像領域の磁気ブラシを可視化装置を用いて観察する。可視化装置は、φ90mmの透明アクリル管を感光体の代わりとして備え、これに、所定の現像ギャップだけ離れた位置に、現像スリーブ4を配置する。そしてアクリル管の現像スリーブ4に接していない方の側の一部をくりぬき、アクリル管の内側から現像領域の磁気ブラシ先端部を観察できるようにする。また、このアクリル管の表面には透明な導電性シートが貼りつけ、現像スリーブ4とアクリル管の間に電位差を設けることにより、トナーをアクリル管の表面にに付着させずに磁気ブラシ先端部を明瞭に観察する。この可視化装置で観察される磁気ブラシ先端部を、CCDカメラ(オリンパス製 SZ60)で、長手方向に幅5.4mm以上、磁気ブラシ先端部のほぼキャリア1層分が映るように、撮影する。図4は、感光体ドラム11側から現像領域の空隙が多い磁気ブラシを撮影したもの、図5は、感光体ドラム11側から現像領域の空隙が少ないない磁気ブラシを撮影したものである。この画像を、画像処理ソフト(Image.Hyper2)で適当なしきい値で2値化処理し、磁気ブラシ部分とキャリアの存在しない空隙部分とに分ける。さらに、その領域中に含まれる、個々の空隙の面積、平均面積、個数等の統計情報が得る。
【0016】
以下の実施例1、2、比較例1、2の実験では、現像領域の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域総面積)を変化させ、この際の粒状度によるザラツキ感の判定をおこなった。また、磁気ブラシ先端部の空隙を構成する個々の空隙の現像スリーブ長手方向及び回転方向の大きさとザラツキ感との関係を検討した。ここで、ザラツキ感のない画像を得るためには、全体的な空隙を小さくすることはもちろんだが、現実的には個々の空隙がスリーブ回転方向に長くならないようにすることが重要である。表1に実施例1、2、比較例1、2の結果を示す。なお、粒状度0.46未満を〇、0.46以上を×として、ザラツキ感の良否を判定した。
【表1】
【0017】
表1の結果より、感光体ドラム11側からみた磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域総面積)とザラツキ感との間に高い相関が見らる。具体的には、感光体ドラム11がわからみた現像領域の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域総面積)を25%以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。上記値がが25%を超えると、接触むらが顕著になり、ざらつき感が出てしまった。また、現像領域の磁気ブラシを構成する個々の空隙の形状が、現像スリーブ長手方向に関して平均で70μm以下であり、且つ、現像スリーブ回転方向に関して平均で200μm以下ですることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。
【0018】
さらに、実際の現像動作をより詳細にみると、最もトナーを付着させる効果の高いのは、現像電界が最も強くなる領域、すなわち現像領域中央部であり、現像領域中央部で感光体ドラム11に接触する磁気ブラシから主にトナーが現像される。そこで、以下の実施例3〜13、比較例3〜6の実験では、現像領域中央部の感光体ドラム11側から見た磁気ブラシ先端部の空隙について注目し、(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)を変化させ、この際の粒状度によるザラツキ感の判定をおこなった。
また、この時の、現像領域中央部の磁気ブラシの空隙を構成する個々の空隙の縦横の大きさとザラツキ感との関係を検討した。表2に実施例3〜13、比較例3〜6の結果を示す。なお、空隙の縦横の大きさの判定は、現像スリーブ長手方向に関して平均で70μm以下であり、且つ、現像スリーブ回転方向に関して平均で200μm以下のものを○、それより回転方向に対して大きいものを×とした。
【表2】
【0019】
表2の結果より、感光体ドラム11側からみた現像領域中央部の磁気ブラシ先端部の(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)、現像領域中央部の磁気ブラシの空隙を構成する個々の空隙の縦横の大きさとザラツキ感との間に高い相関が見らる。具体的には、感光体ドラム11がわからみた現像領域中央部の(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)を20%以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。上記値が20%を超えると、接触むらが顕著になり、ざらつき感が出てしまった。また、現像スリーブ長手方向に関して平均で70μm以下であり、且つ、現像スリーブ回転方向に関して平均で200μm以下のものとすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。
【0020】
ところで、現像領域の磁気ブラシの配列状態は、図4、5に示すように穂立ちが始まる上流部では、中央部に比べて磁気ブラシが疎であり空隙が多い。そして、中央部では感光体ドラム11と現像スリーブ4との距離が最も小さく、且つ、磁力線がおおむね現像スリーブ4の回転中心から感光体ドラム11の回転中心の方向へ伸びているため、磁気ブラシは密に配列され空隙も少なくなる。磁気ブラシが穂倒れを起こす下流部では再び磁気ブラシは疎になり空隙が多くなる。現像像領域上流から中央部にかけての領域では、像担持体上の潜像にトナーを付着させる、いわゆる現像本来の役目を果たしており、現像領域下流では、現像電界が弱まるため、スキャベンジやトナーの掃き寄せなどが発生しやすくなっており、画像に対して良くない影響を与えていると考えられる。これより、まず現像領域上流部から中央部で均一な現像を行うためには、上流部から中央部の磁気ブラシを密にして、感光体ドラムと均一の接触させることが必要条件である。さらに、いったん中央部までに現像されたトナー像が、磁気ブラシによって不均一に乱されないようにするために、現像領域下流において、磁気ブラシが均一に穂倒れして感光体ドラム11から離れることが必要である。均一に穂倒れをするということは、感光体ドラム11と磁気ブラシが離れる下流部の境界がくっきりと線引きができるということであり、このような磁気ブラシ状態のとき、現像領域下流部の磁気ブラシ状態は密になる。以上のことから、ザラツキのない画像を得るためには、現像領域上流部から中央部の(空隙の総面積)/(現像領域各部の総面積)を小さくし、且つ下流部の(空隙の総面積)/(現像領域下流部の総面積)を小さくすることが重要である(図6参照)。
【0021】
以下の実施例14〜25、比較例7〜11の実験では、現像領域上流部、中央部及び下流部において、磁気ブラシ先端部の(現像領域各部の空隙の総面積)/(現像領域各部の総面積)を変化させ、この際の粒状度によるザラツキ感の判定をおこなった。また、この時の、現像領域上流部、中央部及び下流部の磁気ブラシ先端部の空隙を構成する個々の空隙の平均面積とザラツキ感との関係を検討した。これは、感光体ドラム11に接触する現像領域の磁気ブラシの空隙を構成する個々の空隙の面積を小さくすることによって、現像に関与する磁気ブラシの密度が高く均一にすることができる。さらに、S1/S2(S1:現像領域中央部に含まれる空隙の平均以下の大きさの空隙の総和面積、S2:現像領域中央部の空隙面積)を求め、ザラツキ感との関係を検討した。S1/S2が小さいほど現像領域中央部に大きな空隙が多数存在することを意味し、磁気ブラシ先端部が不均一な配列状態であることを示している。逆に、S1/S2が大きいほど、現像領域中央部で個々の空隙が小さい状態で磁気ブラシが均一に分布しているといえる。また、空隙状態関数α1・p1・q1+α2・p2・q2+α3・p3・q3を求め、ザラツキ感との関係を検討した。ここで、係数α1、α2、α3は0から1の値を代入し、最も相関の高かった数値を選んだものあり、下記表3にしめす実験から得られた近似式である。表3に実施例14〜25、比較例7〜11を示す。S1/S2の判定は、0.4以上を〇とし、0.4未満を×とした。空隙状態関数の判定は、0以上5未満を〇、5以上を×とした。
【表3】
【0022】
表3の結果より、感光体ドラム11側からみた現像領域上流部、中央部及び下流部の磁気ブラシ先端部の空隙を構成する個々の空隙の平均面積、S1/S2、空隙状態関数とザラツキ感との間に高い相関が見らる。具体的には、上記S1/S2>0.4とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。磁気ブラシ先端部の空隙を構成する個々の空隙の分布状態、S1/S2が0.4以上であると、接触むらが顕著になるとともに、十分な回数を確保できなくなり、ざらつき感が出てしまった。
【0023】
また、現像領域を上流部、中央部、下流部の3つの部分に分別し、各部を感光体ドラム11側から観察したとき磁気ブラシ先端部の個々の空隙の平均面積が7500μm2以下、5000μm2以下、7500μm2以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。また、空隙状態関数が0より大きく、5より小さい範囲とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。空隙状態関数が5以上では、接触むらが顕著になり、ざらつき感が出てしまった。このように、現像領域中央部の磁気ブラシの疎密だけではなく、磁気ブラシが穂倒れをして感光体ドラム11から離れる現像領域下流部における磁気ブラシの疎密にも着目して、現像条件の設定を行うことによって、ザラツキ感のない高画質な画像を得ることができる。
【0024】
さらに、磁気ブラシを形成するのマグネットの条件、現像剤汲み上げ量、現像バイアス、線速比等の条件を適切なものとすることで、ざらつき感をなくすことができる。
【0025】
マグネットの条件としては、現像領域に対向する主磁極の法線磁束密度が60mT〜120mTとすると、直流の現像バイアスを用いても、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。現像領域に対向する主磁極の法線磁束密度がこれより大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎となってザラツキ感が悪くなる。また、これより小さいと、キャリアの磁気的拘束力が弱まってキャリア付着を生じやすくなるという不具合を生じる。
【0026】
また、現像スリーブ4に印加する現像バイアスを、感光体ドラム11との間に交番電界を形成する振動バイアスとすることで、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。これは、交番電界により一度感光体ドラム11上に付着したトナーが、複数回、付着と離脱を繰り返すことにより均一化されるものである。上記表1及び表2に示した各条件で、現像バイアスとして直流バイアスの代わりに、DC成分VDCが−420V、振幅Vppが900Vの振動バイアスを用いた。この結果、直流バイアスのときと同様、(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)、空隙状態関数の値が小さい条件では、ザラツキ感のない画像が得られた。また、ザラツキ感は直流バイアスのときよりも少なく、高画質な画像が得られた。
また、現像スリーブ4に印加する現像バイアスを、上記表1及び表2に示した各条件で直流バイアスのままとし、感光体ドラム11の帯電電位を−450V、現像ポテンシャルを250Vと、通常よりも電位を低くしたプロセス条件で行い、画像を評価した。その結果、通常の電位のときと同様、(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)、空隙状態関数が小さい条件では、ザラツキ感のない画像が得られた。
【0027】
また、現像スリーブ4による現像剤の汲上量が20〜100mg/cm2になるようにする。このように、汲上量を20mg/cm2以上と、比較的多くすることにより、現像領域において、現像剤が、均一にパッキングされ、磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)を小さくすることができ、ザラツキの向上に有効である。一方、汲上量を100mg/cm2よりを多くしすぎると、現像領域の上流に剤溜まりが生じて、現像電界が弱い領域でも磁気ブラシと感光体ドラム11が接触してしまうため、ザラツキが逆に悪化し、画像端部の白抜け等も悪化する。
【0028】
また、上記感光体ドラム11に対する上記現像スリ−ブ4の線速比とざらつき感の関係をしらべたところ、高い相関があることがわっかた。ざらつき感としては、上述のように粒状度を調べた。線速比を1.2以上と大きくしていくと、磁気ブラシが感光体ドラム11に接触する回数が増えるため、(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)を小さくするのと同じ効果があり、ザラツキ感の向上に有効である。しかし、線速比を3より大きいものに上げすぎると、画像端部の白抜け等の悪影響がでてくる。そこで、線速比をを1.2〜3とすると、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。より好ましくは現像スリ−ブ4の線速比を1.7〜2.3とするとよい。
また、他の理由から線速比を小さくしたいときは、磁気ブラシの空隙状態を良くすれば、線速比を落としても粒状感の良い画像が得られ、現像剤の長寿命化をも図ることができる。
【0029】
また、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極P1の主極角度が上記現像スリーブ4回転方向の上流方向に0〜5°とする。主極角度をややプラスに向けると、磁気ブラシの穂倒れ位置が0°での位置よりも、現像ギャップが小さい位置に移動するため、現像領域下流での磁気ブラシの空隙が小さくなる。よって、よりザラツキのない画像を得ることができる。
【0030】
また、現像剤のキャリアとして、単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gのものを用いる。より好ましくは40〜80emu/gとする。40〜80emu/gの場合には、直流の現像バイアスを用いた場合にも、ザラツキ感がほとんどなく、高画質な画像を得ることができる。σsがこれより小さいと、キャリア付着によって異常画像が発生しやすくなり、これよりσsが大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎になり、現像領域中の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)が大きくなってザラツキ感の悪い画像となる。
【0031】
また、現像剤のキャリアとして動的抵抗値が105〜1010Ω・cmのものを用いる。このような抵抗値のキャリアでは、充分な現像能力を確保しつつ、キャリア付着しない現像を行うことができる。よって、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。
【0032】
また、現像剤のキャリアとして体積平均粒径が20〜60μmのものを用いる。より好ましくは20〜40μmのものを用いる。このような粒径の小さいキャリアを用いると、大きな粒径のキャリアを用いる場合と比較して、上述の現像領域の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)が同一であっても、磁気ブラシ先端のキャリアが感光体ドラム11に接触する個数が増加する。このため、トナーを均一に現像することが可能であり、ザラツキ感のない画像を得ることができる。
【0033】
以上述べたように、本実施形態の現像方法、現像装置および画像形成装置では、二成分現像剤の磁気ブラシ密度をより実際の現像動作により近い特性値として規定し、ざらつき感のない高品位な画像を得ることができる。
また、上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、現像領域中央部を感光体ドラム11側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)を20%以下とする。現像動作を詳細にみると、感光体ドラム11に最もトナーを付着させる効果の高いのは、現像電界が最も強くなる領域、すなわち現像領域中央部である。そこで、現像領域中央部の磁気ブラシ先端の(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)の最適な範囲を、上述の実験で求めた。そして、現像領域中央部の(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)を20%以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)が20%を超えると、接触むらが顕著になるとともに、十分な回数を確保できなくなり、ざらつき感が出てしまった。
また、感光体ドラム11側からみた現像領域中央部の磁気ブラシ先端部の空隙の分布状態を、S1/S2>0.4とする。現像動作を詳細にみると、現像領域中央部の磁気ブラシ先端の空隙が小さい程、現像に関与する磁気ブラシが均一な配列で密な状態になり、ザラツキ感のない均一な現像が行える。現像領域中央部の磁気ブラシ先端部の空隙の分布状態を表すものとしては、S1は現像領域中央部の磁気ブラシ先端部の個々の空隙のうち平均以下の大きさの空隙の総和面積、S2は現像領域中央部の空隙の総面積したとき、S1/S2を用いた。S1/S2が小さいほど現像領域中央部の磁気ブラシ先端部に大きな空隙が多数存在することを意味し、磁気ブラシ先端部が不均一な配列状態であることを示している。逆に、S1/S2が大きいほど、現像領域中央部で個々の空隙が小さい状態で磁気ブラシ先端部が均一に分布しているといえる。そこで、現像領域中央部の磁気ブラシ先端の空隙分布状態の最適な範囲を上述の実験で求めた。そして、S1/S2>0.4とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。磁気ブラシ先端部の空隙を構成する個々の空隙の分布状態、S1/S2が0.4以下であると、接触むらが顕著になるとともに、十分な回数を確保できなくなり、ざらつき感が出てしまった。
また、感光体ドラム11側からみた現像領域上流部、中央部、下流部の磁気ブラシ先端部の空隙の平均面積を規定した。磁気ブラシ先端部の空隙の面積を小さくすることによって、現像に関与する磁気ブラシの密度が高く均一になり、ザラツキ感のない高画質な画像を得ることができる。そこで、現像領域中央部の磁気ブラシ先端の空隙分布状態の最適な範囲を上述の実験で求めた。そして、現像領域を上流部、中央部、下流部の3つの部分に分別し、各領域部を像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部の空隙の平均面積が7500μm2以下、5000μm2以下、7500μm2以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。
また、感光体ドラム11側からみた現像領域中央部の磁気ブラシを構成する空隙の縦横の大きさを用いた。以下、空隙の縦横の大きさを規定した理由について説明する。濃度ムラやザラツキ感のない画像を得るためには、磁気ブラシの方向性が全くないことが理想的である。しかし一般的に磁気ブラシは、磁場中では、キャリアの粒径、飽和磁化、磁界の強さ等によって、ギザギザを持って穂立ちする。この磁気ブラシが、現像領域上流部で穂立ちするとき、磁気ブラシ先端が感光体ドラム11に擦られながら押さえつけらるため、磁気ブラシの本数が増え、背が短くなって、現像現像領域中央部では、現像領域上流部よりは緻密な磁気ブラシが形成される。しかし、現像現像領域上流部で磁気ブラシが不均一な場合には現像現像領域中央部に入っても履歴が残り、現像スリーブ回転方向に細長い空隙が多数発生する。このように現像スリーブ回転方向に長い空隙ができてしまうと、空隙の箇所では現像スリーブが回転しても、像担持体と磁気ブラシがなかなか接触できない状況となり、ザラツキ感のある画像となってしまう。以上のことから、ザラツキ感のない画像を得るためには、全体的な空隙を小さくすることはもちろんだが、現実的には個々の空隙がスリーブ回転方向に長くならないようにすることが重要である。本発明者らは、像担持体側からみた現像領域中央部の磁気ブラシを構成する空隙の形状の最適な範囲を、上述の実験で求めた。そして、現像領域の磁気ブラシを構成する個々の空隙の形状が、現像スリーブ長手方向に関して平均で70μm以下であり、且つ、現像スリーブ回転方向に関して平均で200μm以下ですることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。
また、現像動作に関与する磁気ブラシ先端部の状態を表す特性値として、現像領域中央部のみでなく、上流部、下流部の影響をも考慮した「空隙状態関数」として、α1・p1・q1+α2・p2・q2+α3・p3・q3 を用いた。これは、磁気ブラシ先端部の均一な配列状態を、ある面積以下の小さいな空隙で、全体の空隙の多くの占有することと考え、現像領域の各々の部分における空隙の状態を上記空隙状態関数で数式化したものである。本発明者らは、上記空隙状態関数の最適な範囲を、上記請求項1と同様の方法で求めた。そして、0<α1・p1・q1+α2・p2・q2+α3・p3・q3<5とすることで、ざらつき感のない画像が得られることを見出した。
また、現像領域に対向する主磁極P1の法線磁束密度が60mT〜120mTとする。現像領域に対向する主磁極P1の法線磁束密度がこれより大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎となってザラツキ感が悪くなる。一方、これより小さいと、キャリアの磁気的拘束力が弱まってキャリア付着を生じやすくなるという不具合を生じる。
また、現像スリーブ4に印加する現像バイアスが、上記像担持体としての感光体ドラムとの間に交番電界を形成する振動バイアスとする。これにより、一度感光体上に付着したトナーが、複数回、付着と離脱を繰り返すことによる均一化することができ、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、現像スリーブ4による二成分現像剤の汲上量が20〜100mg/cm2とする。であることを特徴とするものである。汲上量を多くすることにより、現像領域において、現像剤が均一にパッキングされ、磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)を小さくすることができ、ザラツキの向上に有効である。一方、汲上量をこの範囲のよりもに多くしすぎると、現像領域の上流に剤溜まりが生じて、現像電界が弱い領域でも磁気ブラシと感光体が接触してしまうため、ザラツキが逆に悪化し、画像端部の白抜け等も悪化する。
また、感光体ドラム11に対する現像スリ−ブ4の線速比が1.2〜3とする。線速比を1.2以上と大きくしていくと、磁気ブラシが感光体ドラム11に接触する回数が増えるため、(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)を小さくするのと同じ効果があり、ザラツキ感の向上に有効である。一方、線速比を3より大きいものに上げすぎると、画像端部の白抜け等の悪影響がでてくる。そこで、線速比をを1.2〜3とすると、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極P1の主極角度が現像スリーブ4回転方向の上流方向に0〜5°とする。主極角度をややプラスに向けると、磁気ブラシの穂倒れ位置が0°での位置よりも、現像ギャップが小さい位置に移動するため、現像領域下流での磁気ブラシの空隙が小さくなる。よって、よりザラツキのない画像を得ることができる。
また、現像剤のキャリアとして、単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gのものを用いる。σsがこれより小さいと、キャリア付着によって異常画像が発生しやすくなる。一方、これよりσsが大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎になり、現像領域中の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)が大きくなってザラツキ感の悪い画像となる。
また、現像剤のキャリアとして、動的抵抗値が105〜1010Ω・cmのものを用いる。このような抵抗値のキャリアでは、充分な現像能力を確保しつつ、キャリア付着しない現像を行うことができる。よって、直流の現像バイアスを用いた場合にも、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。
また、現像剤のキャリアとして、体積平均粒径が20〜60μmのものを用いる。このような粒径の小さいキャリアを用いると、大きな粒径のキャリアを用いる場合と比較して、上述の現像領域の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)が同一であっても、磁気ブラシ先端のキャリアが感光体ドラム11に接触する個数が増加する。このため、トナーを均一に現像することが可能であり、ザラツキ感のない画像を得ることができる。
【0034】
【発明の効果】
請求項1乃至16の発明によれば、二成分現像剤の磁気ブラシ密度をより実際の現像動作により近い特性値として規定し、ざらつき感のない高品位な画像を得ることのできるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の画像形成装置の概略構成図。
【図2】本実施形態の現像装置の概略断面図。
【図3】現像領域の磁気ブラシの状態の説明図。
【図4】感光体ドラム側から現像領域の空隙が多い磁気ブラシをみた図。
【図5】感光体ドラム側から現像領域の空隙が少ない磁気ブラシをみた図。
【図6】感光体ドラム側から現像領域の模式図。
【符号の説明】
4 現像スリーブ
5 ドクターブレード
6 外側ケース
7 現像剤収容部
8 パドル
9 現像剤
11 感光体ドラム
14 露光装置
15 現像装置
16 転写装置
17 クリーニング装置
Claims (16)
- 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、
上記現像領域を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、(空隙の総面積)/(現像領域総面積)が25%以下であること特徴とする現像方法。 - 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、
上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域中央部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、(現像領域中央部の空隙の総面積)/(現像領域中央部の総面積)が20%以下であること特徴とする現像方法。 - 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、
上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域中央部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、該磁気ブラシの空隙の分布状態が、S1/S2>0.4の関係を満足することを特徴とする現像方法。
ただし、S1は現像領域中央部の磁気ブラシの個々の空隙のうち平均以下の大きさの空隙の総和面積、S2は現像領域中央部の空隙の総面積である。 - 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、
上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域上流部、該現像領域中央部、及び、該現像領域下流部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、各部の個々の空隙の平均面積が7500μm2以下、5000μm2以下、及び、7500μm2以下であること特徴とする現像方法。 - 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、
上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域中央部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、該現像領域中央部の個々の空隙の大きさが上記現像スリーブ長手方向に関して平均で70μm以下であり、且つ、該現像スリーブ回転方向に関して平均で200μm以下であること特徴とする現像方法。 - 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像方法において、
上記現像領域を上流部、中央部、下流部の3つに分割した際、該現像領域上流部、該現像領域中央部、及び、該現像領域下流部を上記像担持体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、以下の関係を満足することを特徴とする現像方法。
0<α1・p1・q1+α2・p2・q2+α3・p3・q3<5
α1+α2+α3=1
ただし、
p1:現像領域上流部における空隙の総面積/現像領域上流部の総面積
p2:現像領域中央部における空隙の総面積/現像領域中央部の総面積
p3:現像領域下流部に空隙の総面積/現像領域下流部の総面積
q1:現像領域上流部の空隙の総面積に対する、17500μm2以上の空隙面積を有する空隙の占める比率
q2:現像領域中央部の空隙の総面積に対する、4000μm2以上の空隙面積を有する空隙の占める比率
q3:現像領域下流部の総面積に対する、17500μm2以上の空隙面積を有する空隙の占める比率
α1:現像領域上流部の重み係数(=0.375定数)
α2:現像領域中央部の重み係数(=0.25定数)
α3:現像領域下流部の重み係数(定数) - 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像スリーブを静電潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像スリーブを回転することで、該現像スリーブ表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置において、
請求項1乃至6の現像方法を用いて現像することを特徴とする現像装置。 - 請求項7の現像装置において、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極の法線方向磁束密度が60mT〜120mTであることを特徴とする現像装置。
- 請求項7または8の現像装置において、上記現像スリーブに印加する現像バイアスが、上記像担持体との間に交番電界を形成する振動バイアスであることを特徴とする現像装置。
- 請求項7、8または9の現像装置において、上記現像スリーブによる二成分現像剤の汲上量が20〜100mg/cm2であることを特徴とする現像装置。
- 請求項7、8、9または10の現像装置において、上記像担持体に対する上記現像スリ−ブの線速比が1.2〜3であることを特徴とする現像装置。
- 請求項7、8、9、10または11の現像装置において、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極の主極角度が上記現像スリーブ回転方向の上流方向に0〜5°であることを特徴とする現像装置。
- 請求項7、8、9、10、11または12の現像装置において、上記二成分現像剤のキャリアの単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gであることを特徴とする現像装置。
- 請求項7、8、9、10、11、12または13の現像装置において、上記二成分現像剤のキャリアの動的抵抗値が105〜1010Ω・cmであることを特徴とする現像装置。
- 請求項7、8、9、10、11、12、13または14の現像装置において、上記二成分現像剤のキャリアの体積平均粒径が20〜60μmであることを特徴とする現像装置。
- 静電潜像を担持する像担持体と、該像担持体上の静電潜像を現像する現像装置とを備えた画像形成装置において、
上記現像装置として請求項7乃至15の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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