JP4393805B2 - 現像装置の特性値の規定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体上の静電潜像を現像する現像現像装置の特性値の規定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
潜像形成を行った像担持体に、磁性粉末キャリアとトナーよりなる二成分現像剤を用いた現像装置からトナーを供給してトナー像化し、画像を形成する画像形成装置が広く用いられている。このような現像装置の現像剤担持体としては、内部に複数の磁極を有する磁界発生手段を固定配置し、その外周の現像スリーブが回転する機構のものが用いられている。このような現像装置では、現像スリーブを回転させることで、現像スリーブの表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を搬送する。二成分現像剤は像担持体と現像スリーブとの最近接点付近を中心として磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシと像担持体とが接触する現像領域を形成する。この現像領域で、トナーは像担持体の表面電位と現像スリーブに印加されるバイアスとによって形成される現像電界から受ける力で、像担持体に付着して顕像化される。
【0003】
このような現像装置で、画像のザラツキ感をなくして高品位な画像を得るための改良がおこなわれている。その一つとして、像担持体の線速に対して現像スリーブの線速の比率を上げることで、像担持体に供給するトナー量を増加させてザラツキ感をなくすものが知られている。しかし、線速比を上げすぎてしまうと、画像の後端に白抜けなどの異常画像が発生したり、現像剤へかかるストレスが大きくなってしまったりするため、線速比をあまりあげることができなかった。
【0004】
画像のザラツキ感が悪くなるの原因の一つとして、現像領域のおける磁気ブラシの密度が疎であり、均一な現像がおこなわれないことが知られている。そこで、現像領域のおける磁気ブラシの密度を、現像領域中のキャリアの体積比率を用いて規定し、画質を向上させようとするものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−146668号公報公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記キャリアの体積比率が同じであっても、画像のざらつき感に差が生じる場合があった。磁性キャリアの密度や配列状態は、ざらつき感を左右する間接的な要因であるため、キャリアの体積比率や配列状態が同一の値を示したとしても、実際に感光体に付着するトナーの量は、同じであるとは限らない。また、本出願人によって、感光体と現像スリーブとを静止した状態にして、現像領域における感光体と磁気ブラシとの接触状態から良好な画像のざらつき感が得られる範囲を規定するものが提案されている。(特願2002−235461号)。しかしながら、上記接触状態が同じであっても、画像のざらつき感に差が生じる場合があった。これは、実際の現像では、感光体と現像スリーブは、異なる線速で回転しているため、感光体と現像スリーブを静止させた状態での感光体と磁気ブラシとの接触状態が実際の現像時の感光体と磁気ブラシとの接触状態であるとは限らない。このように、従来では、実際の現像動作に近い条件で、良好なざらつき感が得られる範囲を規定しなかったため、装置を調整して規定された範囲内に値を収めたとしても、ざらつき感のある画像が得らてしまう場合があった。
【0007】
本発明は、上記背景に鑑みなされたものであり、ザラツキ感のない高品位な画像を得ることのできる現像装置の特性値の規定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像剤担持体を潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像剤担持体を回転することで、該現像剤担持体表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置の特性値の規定方法であって、汲上量、像担持体に対する現像剤担持体の線速比、上記磁性キャリアの粒径を異なる条件にした現像装置で現像を行なった画像のザラツキ感を評価するとともに、各条件の現像装置で、α・L・(k−1)を求め、α・L・(k−1)を特性値とし、ザラツキ感について良好な評価を得られた範囲を最適値として規定すること特徴とする現像装置の特性値の規定方法。
α(現像疎密度):該像担持体上と該現像剤担持体とを静止させた状態で該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の潜像にトナーを供給したとき、(像担持体上の現像領域中に担持されているトナーの総面積)/(現像領域総面積)
L:現像ニップ幅
k:像担持体に対する現像剤担持体の線速比
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置であるタンデム型間接転写方式のデジタル複写機(以下、複写機という)に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機の全体的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。この複写機は、複写装置本体200、この複写機本体を載せる給紙テーブル100、複写装置本体上に取り付けるスキャナ300、さらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)400から主に構成されている。
【0010】
複写装置本体200には、中央に、無端の中間転写ベルト12を設ける。この中間転写ベルト12を、支持部材としてのローラ10,11,15に掛け回して図中時計回り方向に回転搬送可能とする。中間転写ベルト12の上方には、その搬送方向に沿って、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの4つの画像形成手段を横に並べて配置してタンデム画像形成装置を構成する。そのタンデム画像形成装置の上方には、デジタル書き込み装置5を設ける。
【0011】
中間転写ベルト12の内部には、中間転写ベルト12を挟んで感光体17に押し当てる1次転写ローラ18を配設し、1次転写装置3を構成する。また、中間転写ベルト12を挟んでタンデム画像形成装置と反対の側には、2次転写装置7を備える。2次転写装置7は、2つのローラ31、32間に、無端ベルトである2次転写ベルト30を掛け渡して構成し、中間転写ベルト12上の画像をシートに転写する。また、ローラ11と15との間に、2次転写後に中間転写ベルト12上に残留する残留トナーを除去するクリーニングブレード23を備えた中間転写体クリーニング装置22を設ける。また、2次転写装置7の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置8を設ける。この2次転写装置7には、画像転写後のシートをこの定着装置8へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。
【0012】
上記構成の複写機では、スキャナ300を駆動し、原稿内容を読み取る。また、不図示の駆動モータでローラ10を回転駆動してローラ11,15を従動回転し、中間転写ベルト12を回転駆動する。同時に、個々の画像形成手段でその感光体17を回転して各感光体17上にそれぞれ、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト12を回転駆動して搬送するとともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト12上に合成カラー画像を形成する。一方、給紙テーブル200では給紙カセットからシートを繰り出し、複写装置本体100内の給紙路に搬送する。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせて、中間転写ベルト12と2次転写装置7との間にシートを送り込み、2次転写装置7で転写してシート上にカラー画像を記録する。画像転写後のシートは、2次転写装置7で搬送して定着装置8へと送り込み、定着装置8で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して、機外へ排出する。一方、画像転写後の中間転写ベルト12は、中間転写体クリーニング装置22で、画像転写後に中間転写ベルト12上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0013】
次に、タンデム画像形成装置の個々の画像形成手段について説明する。画像形成手段は、ドラム状の感光体17のまわりに、帯電装置1、現像装置2、1次転写ローラ18、感光体クリーニング装置4、図示しない除電装置などを備えてなる。なお、タンデム画像形成装置の各画像形成手段の各感光体17、各帯電装置1、各現像装置2、各1次転写ローラ18、各感光体クリーニング装置4の各符号の後に、それぞれブラックの場合はBKを、シアンの場合はCを、マゼンタの場合はMを、イエローの場合はYを付して示す。
【0014】
このような構成の画像形成手段では、感光体17の回転とともに、まず帯電装置1で感光体17の表面を一様に帯電する。次いでスキャナ300の読取り内容に応じてデジタル書き込み装置5からレーザやLED等による書込み光Lを照射して感光体17上に静電潜像を形成する。そして、現像装置2によりトナーが付着され静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写ローラ18で中間転写ベルト12上に転写する。画像転写後の感光体17の表面は、感光体クリーニング装置4で残留トナーを除去して清掃し、除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
【0015】
次に、現像装置について詳しく説明する。図2は、現像装置2の概略構成図である。この現像装置2は、感光体ドラム17の側方に配置され、感光体ドラム17に向けて開口部が形成された本体ケース501を有している。この本体ケース501の開口部から、トナー及び磁性粉末キャリアからなる二成分現像剤(以下、現像剤という)を表面に坦持する現像剤担持体としての現像ローラが一部露出するよう配置されている。現像ローラは非磁性材料からなる円筒状の現像スリーブ502と、内部に固定された磁界発生手段としてのマグネットローラの磁石とから構成されており、現像スリーブ502はこの磁石の周りを自在に回転することができる。また、現像スリーブ502上で搬送されてきた現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード5と、現像スリーブ502に平行且つ対向配置されたパドル503とを有している。磁石には感光体ドラム11の対向部位に主極(P1極)が配置され、反時計回り方向にS極とN極とが交互に配置されている。また、感光体ドラム17との対向部より現像スリーブ502回転方向下流位置では、現像剤を現像スリーブ502から剥離するために、同極性の磁極が隣接して配置されている。なお、本実施形態においては、現像スリーブ502の材質としてはアルミニウムを用い、表面をサンドブラスト仕上げしたものを用いた。
【0016】
上記構成の現像装置2では、現像剤は現像装置2内での攪拌作用によって摩擦帯電され、プラス帯電したキャリアのまわりにマイナス帯電したトナーが付着する。そして、図示しないモータによるパドル503の矢印方向の回転により、本体ケース501内部の現像剤がパドル503により現像スリーブ502に搬送される。このとき、現像剤は現像スリーブ502内部の磁石による磁力によって現像スリーブ502表面に引き付けられ、磁気ブラシを形成する。次にドクターブレード504により層厚を規制された現像剤は、感光体ドラム17に最近接する部位まで搬送され、トナーが静電潜像に電気的に付着する。なお、本実施形態では、現像スリーブ502の直径30mm、感光体ドラム17の直径40mmのものを用いた。また、感光体ドラム17の非画像部の電位V0を−640V、画像部の電位VLを−130V、現像バイアス電圧Vbを直流バイアス−470Vとした。その他の現像条件は以下のように設定した。
現像ギャップ: 0.40mm
汲上量 : 38から80mg/cm
感光体線速 : 245mm/s
線速比 : 1.5〜2.4
キャリア粒径: 35〜55μm
トナー粒径 : 6.8μm
帯電量 : −20μC/g
【0017】
上記条件で、画像形成を行い、画像のざらつき感を評価した。ざらつき感の程度を表す評価基準として粒状度を用いる。ここで、粒状度の測定原理を説明する。粒状度を測定用として画像形成装置から出力された、画像評価チャート中の階調パターンのうち、高明度から低明度までの17パッチのハーフトーン領域の画像をスキャナで読み取り、1cm程度のパッチを用意する。スキャナの読み取り解像度は、2400dpiである。読み込んだ画像の輝度を明度データに変換し、以下の式にて粒状度を算出する。
粒状度=d・exp(a・L+b)Σ(WS(f))1/2・VTF(f)+c
L :パッチ平均明度
f(cycle/mm):空間周波数
a,b,c,d :定数
WS(f) :明度変動のパワースペクトラム
VTF(f) :視覚の空間周波数特性
【0018】
この式により、パッチ内全域の明度ムラを周波数解析し、視覚の周波数特性を乗ずることで、視覚特性の重み付けをしたザラツキ感を評価することができる。出力画像の粒状度を上述の手法によって測定することによって、画像のノイズ特性(ざらつき)を数値化することが可能である。粒状度の数値はその定義からも分かるように、ざらつきが良好である場合には値が小さく、ざらつきが悪くなるに従って値が大きくなる。
【0019】
次に現像疎密度αの測定方法について説明する。実験の効率を上げるため、この実験は現像装置と感光体をそれぞれ駆動でき、バイアス印加も可能な図3に示すような単体試験機を作成した。この単体試験機の感光体17は試験台601に固定されている感光体取り付け部602に取り付けられている。また、現像装置2は、試験台601に対して水平移動可能な現像ユニット取り付け部603に取り付けられており、この現像ユニット取り付け部603を移動させることで、現像ギャップGpを自由に変えることができるようになっている。この単体試験機には帯電装置および露光装置は備えていないので、感光体17をアースにおとし、現像バイアスを印加して所望の現像ポテンシャルを得るようにしている。上述に示したように、本実施形態の画像形成装置は、感光体の画像部の電位VLは、−130Vであり、現像バイアス電圧Vbを直流バイアス−470Vとしているので、現像ポテンシャルは、−340Vとなる。この実機試験機では、感光体はアースにおとしており0Vであるので、現像バイアスを−340Vbとすることで、実機と同じ現像ポテンシャルを得ることができる。
現像スリーブ502上に現像剤が汲み上がった状態で現像装置を実機と同条件の現像ギャップGp(0.4mm)となるように移動させて、現像バイアス(−340Vb)を印加し現像する。現像後、感光体上のトナー像を拡大撮影し、この画像を画像処理ソフトで適当な閾値で二値化処理すると、現像された部分(感光体表面にトナーが付着した部分)と、現像されなかった部分(感光体表面にトナーが付着していない部分)とに分けられる。このような測定方法を用いて、現像されたトナーが占める割合(現像された部分の総面積/現像領域総面積)を現像疎密度αと定義する。
【0020】
上記測定方法で測定された現像疎密度αを規定することでも、画像のざらつき感は、良好になる。しかしながら、同じ現像疎密度αを規定しても、画像のざらつき感に差が生じる場合があった。これは、実機では感光体および現像スリーブは回転しているが、上記測定方法では、感光体は静止状態であるので、現像疎密度αは、上記回転の影響を考慮したものになっていないからである。つまり、感光体の線速と、現像スリーブの線速とが異なることによって、実際には、感光体の現像される領域と現像スリーブの現像に付与する領域とに差が出てしまう。この差が同じ現像疎密度αであっても、画像のざらつき感に差が生じる原因と考えられる。そこで、以下に、この線速差から生じる上記の領域の差についても考慮した現像疎密度(真の現像密度)について説明する。
一般的に、現像スリーブの線速を感光体の線速より早く設定している。これは、感光体の線速が現像スリーブの線速より早いと、感光体にトナーが供給できなくなるため、画像品質は著しく低下してしまう。このため、現像スリーブの線速Vsと感光体の線速Vpとの線速比k(Vd/Vp)は、1以上となる。
感光体のある点が現像スリーブと感光体との接触部であるニップ幅Lを通過する間に、現像スリーブのある点はLk進むことになる。つまり、現像スリーブのある点は、感光体のある点よりL・(k−1)分だけ先に進んだこととなる。ゆえに、感光体のある点が現像領域(ニップ幅)を通過する間に現像スリーブとL・(k−1)接触することとなり、感光体のある点に対しては、現像スリーブのL・(k−1)の領域で現像することとなる。よって、上記で求めた現像疎密度αを掛け合わせたα・L・(k−1)は、感光体表面の単位面積を現像する際の真の現像密度をしめすこととなる。
【0021】
次に、磁気ブラシの空隙率測定方法について説明する。
上記感光体17側から見た磁気ブラシ先端部の空隙を求めるために、現像領域の磁気ブラシを可視化装置を用いて観察する。可視化装置は、φ40mmの透明アクリル管を感光体の代わりとして備え、これに、所定の現像ギャップだけ離れた位置に、現像スリーブ502を配置する。そしてアクリル管の現像スリーブ502に接していない方の側の一部をくりぬき、アクリル管の内側から現像領域の磁気ブラシ先端部を観察できるようにする。また、このアクリル管の表面には透明な導電性シートが貼りつけ、現像スリーブ502とアクリル管の間に電位差を設けることにより、トナーをアクリル管の表面にに付着させずに磁気ブラシ先端部を明瞭に観察する。この可視化装置で観察される磁気ブラシ先端部を、CCDカメラで、撮影する。この画像を、画像処理ソフトで適当な閾値で2値化処理し、磁気ブラシ部分とキャリアの存在しない空隙部分とに分ける。さらに、その領域中に含まれる、個々の空隙の面積、平均面積、個数等の統計情報が得られる。現像領域面積におけるキャリアが存在しない割合を磁気ブラシの空隙率とする。
空隙率が25%以下とすることでざらつき感のない画像を得ることができた。空隙率が25%を越えると接触ムラが顕著となり、ざらつき感が出てしまった。
【0022】
空隙率が25%以下であっても、空隙状態によっては、画像にざらつき感が生じてしまう場合があった。
そこで、上述の空隙率を測定するときに得られた、現像領域中に含まれる、個々の空隙の面積、平均面積をもとに、現像領域に含まれる全空隙の中で、平均面積よりも小さい空隙の総和面積(S1)、現像領域における全空隙の総和面積(S2)を算出して、像担持体側から観察される磁気ブラシ空隙分布状態を測定した。磁気ブラシ先端部の空隙を構成する個々の空隙の分布状態、S1/S2が0.4以下であると、接触むらが顕著になり、ざらつき感が出てしまった。また、S1/S2が0.4を越えると、ざらつきのない画像を得ることができた。S1/S2が小さいほど現像領域中央部の磁気ブラシ先端部に大きな空隙が多数存在することを意味し、磁気ブラシ先端部が不均一な配列状態であることを示している。逆に、S1/S2が大きいほど、現像領域で個々の空隙が小さい状態で磁気ブラシ先端部が均一に分布しているといえる。
【0023】
以下の実施例では、汲上量、線速比、キャリア粒径を変化させて、このときの、真の現像密度、空隙率、磁気ブラシ空隙分布状態を測定して、このときの粒状度によるざらつき感の判定を行った。粒状度が0.5以下を○とし、0.5を越えるものを×とした。また、この実施例においては、粒状度が0.7を越えるものはなかった。表1に主な結果を示す。また、現像バイアス電圧Vbを直流バイアス−470Vとしている。
【表1】
Figure 0004393805
【0024】
表1の結果より、真の現像密度(α・L(k−1))が0.1以下の比較例1、2は、粒状度が0.5を越えてしまい、接触ムラが起こり、画像にざらつき感が出てしまった。また、実施例2と比較例2を見ると、汲上量が少なくても、線速比を大きくすることで、ざらつき感が向上することがわかる。
【0025】
また、実施例4として、汲上量、線速比、キャリア粒径を比較例1と同条件として、現像バイアスを上述の直流バイアスから、DC成分Vdcが−420V、振幅Vppが900Vの振動バイアスを用いて実施した。その結果、真の現像密度(α・L(k−1))は、0.28を示し、また、粒状度も0.5以下となり、ざらつき感のない画像が得られた。
【0026】
また、比較例3として、汲上量、線速比、キャリア粒径を実施例2と同条件として、トナーを強制攪拌して劣化させたトナーを用いた条件で実施した。強制攪拌するとトナー表面に付着していた外添剤が埋没し、その結果トナーとキャリア間の付着力が強くなり現像能力が下がってしまうことが分かっている。実際、この劣化させたトナーを用いたところ、真の現像密度(α・L(k−1))は、0.07であり、粒状度は、0.5を越えてしまい、ざらつき感のある画像となってしまった。しかしながら、線速比をあげると粒状度が0.5以下となり、ざらつきのない画像を得ることができた。このときの真の現像密度(α・L(k−1))の値は、0.1以上であった。
【0027】
また、比較例4は、汲上量、線速比、キャリア粒径を上記実験値に比べて大幅に増加させて、真の現像密度(α・L(k−1))の値を、1.0よりも大きくしたものである。この比較例における画像の状態を確認したところ、ざらつき感のある画像であったことに加え、画像の後端部に抜けが発生し、画像品質は著しく低下してしまった。
【0028】
以上の結果から、真の現像密度(α・L(k−1))の値が、0.1以上1.0以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られることがわかる。また、ざらつき感のある画像となった場合でも、線速比をあげることで、真の現像密度(α・L(k−1))の値を0.1以上とすることができ、ざらつきのない画像を得ることができることがわかる。しかし、線速比をあげすぎてしまうと、画像の後端に白抜けなどの異常画像発生したり、現像剤へかかるストレスが大きくなってしまったりする場合があるので、線速比をあげすぎないようにするため、現像疎密度αは、0.075以上とするのが好ましい。
【0029】
さらに、本実施形態においては、磁気ブラシを形成するのマグネットの条件、現像剤汲み上げ量、現像バイアス、線速比等の条件を適切なものとすることで、ざらつき感をなくすことができる。
【0030】
マグネットの条件としては、現像領域に対向する主磁極の法線磁束密度が60mT〜120mTとすると、直流の現像バイアスを用いても、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。現像領域に対向する主磁極の法線磁束密度がこれより大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎となってザラツキ感が悪くなる。また、これより小さいと、キャリアの磁気的拘束力が弱まってキャリア付着を生じやすくなるという不具合を生じる。
【0031】
また、現像スリーブ502に印加する現像バイアスを、感光体ドラム11との間に交番電界を形成する振動バイアスとすることで、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。これは、交番電界により一度感光体17上に付着したトナーが、複数回、付着と離脱を繰り返すことにより均一化されるからである。
【0032】
また、現像スリーブ502による現像剤の汲上量が30〜100mg/cmになるようにする。このように、汲上量を30mg/cm以上と、比較的多くすることにより、現像領域において、現像剤が、均一にパッキングされ、磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)を小さくすることができ、さらに現像疎密度を上げることができるためザラツキの向上に有効である。一方、汲上量を100mg/cmよりを多くしすぎると、現像領域の上流に剤溜まりが生じて、現像電界が弱い領域でも磁気ブラシと感光体が接触してしまうため、ザラツキが逆に悪化し、画像端部の白抜け等も悪化する。
【0033】
また、上記感光体に対する上記現像スリ−ブ502の線速比とざらつき感の関係をしらべたところ、高い相関があることがわっかた。ざらつき感としては、上述のように粒状度を調べた。線速比を1.2以上と大きくしていくと、磁気ブラシが感光体ドラム17に接触する回数が増えるため、現像疎密度を大きくするのと同じ効果があり、ザラツキ感の向上に有効である。しかし、線速比を3より大きいものに上げすぎると、画像端部の白抜け等の悪影響がでてくる。そこで、線速比をを1.2〜3とすると、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。より好ましくは現像スリ−ブ502の線速比を1.7〜2.3とするとよい。
【0034】
また、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極P1の主極角度が上記現像スリーブ502回転方向の上流方向に0〜5°とする。主極角度をややプラスに向けると、磁気ブラシの穂倒れ位置が0°での位置よりも、現像ギャップGpが小さい位置に移動するため、現像領域下流での磁気ブラシの空隙が小さくなる。よって、よりザラツキのない画像を得ることができる。
【0035】
また、現像剤のキャリアとして、単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gのものを用いる。より好ましくは40〜80emu/gとする。40〜80emu/gの場合には、直流の現像バイアスを用いた場合にも、ザラツキ感がほとんどなく、高画質な画像を得ることができる。σsがこれより小さいと、キャリア付着によって異常画像が発生しやすくなり、これよりσsが大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎になり、現像疎密度の低下を引き起こしてザラツキ感の悪い画像となる。
【0036】
また、現像剤のキャリアとして動的抵抗値が10〜1010Ω・cmのものを用いる。このような抵抗値のキャリアでは、充分な現像能力を確保しつつ、キャリア付着しない現像を行うことができる。よって、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。
【0037】
また、現像剤のキャリアとして体積平均粒径が20〜60μmのものを用いる。より好ましくは20〜40μmのものを用いる。このような粒径の小さいキャリアを用いると、大きな粒径のキャリアを用いる場合と比較して、上述の現像領域の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)が同一であっても、磁気ブラシ先端のキャリアが感光体ドラム11に接触する個数が増加する。このため、現像疎密度αがあがり、ザラツキ感のない画像を得ることができる。
【0038】
本実施形態によれば、感光体および現像スリーブ502を静止させた状態で、感光体17の潜像を現像したときの現像されたトナーが占める割合(現像された部分/現像領域総面積)である現像疎密度αを測定する。そして、この測定値に感光体17と現像スリーブ502との線速の差によって生じる、感光体の単位面積あたりにおける現像スリーブの接触領域L・(k−1)を掛け合わせて、求められた値を真の現像密度(α・L・(k−1))から、良好なざらつき感が得られる範囲を規定している。このように、本実施形態では、実際の現像動作に近づけるため、実際に現像を行い、さらに感光体17と現像スリーブ502との線速差を考慮にいれた値から良好なざらつき感が得られる範囲を規定している。これにより、従来のように、良好なざらつき感が得るために規定した特性値が同一の値を示したにも係わらず、ざらつき感に差が生じることがない。このため、装置を調整して値を、0.1<α・L・(k−1)<1.0に収めれば、ざらつき感のない高品質の画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像疎密度αを0.075以上としている。線速比kをあげることで、真の現像密度(α・L・(k−1))も上昇し、ざらつき感のない画像を得ることができる。しかし、線速比kをあげすぎると、画像の後端部に抜けが発生し、画像品質が劣化したり、現像剤へかかるストレスが大きくなってしまったりする場合がある場合がある。現像疎密度αを0.075以上とすることで、線速比kをあまり上げなくても、真の現像密度(α・L・(k−1))を上昇させることができる。
また、本実施形態によれば、現像領域を感光体側からみたとき観察される磁気ブラシ先端部において、(現像領域の空隙の総面積)/(現像領域の総面積)を25%以下としている。(現像領域部の空隙の総面積)/(現像領域部の総面積)を25%以下とすることで、ざらつき感のない画像が得られる。(現像領域の空隙の総面積)/(現像領域の総面積)が25%を超えると、接触むらが顕著になり、ざらつき感が出てしまう。
また、本実施形態によれば、感光体17側からみた現像領域の磁気ブラシ先端部の空隙の分布状態を、S1/S2>0.4としている。S1/S2>0.4とすることで、ざらつき感のない画像が得られることができる。磁気ブラシ先端部の空隙を構成する個々の空隙の分布状態、S1/S2が0.4以下であると、接触むらが顕著になり、ざらつき感が出てしまった。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ502による二成分現像剤の汲上量が30〜100mg/cmとする。汲上量を多くすることにより、現像領域において、現像剤が均一にパッキングされ、磁気ブラシの空隙率を小さくすることができ、さらに、現像疎密度を上げることができるため、ザラツキの向上に有効である。一方、汲上量をこの範囲のよりもに多くしすぎると、現像領域の上流に剤溜まりが生じて、現像電界が弱い領域でも磁気ブラシと感光体が接触してしまうため、ザラツキが逆に悪化し、画像端部の白抜け等も悪化する。
また、本実施形態によれば、感光体17に対する現像スリ−ブ502の線速比kを1.2〜3とする。線速比を1.2以上と大きくしていくと、磁気ブラシが感光体に接触する回数が増えるため、現像疎密度αを大きくするのと同じ効果があり、ザラツキ感の向上に有効である。一方、線速比kを3より大きいものに上げすぎると、画像端部の白抜け等の悪影響がでてくる。そこで、線速比kを1.2〜3とすると、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ502に印加する現像バイアスが、上記像担持体としての感光体との間に交番電界を形成する振動バイアスとする。これにより、トナーの離脱が促進され、現像疎密度が増加する。また、一度感光体上に付着したトナーが、複数回、付着と離脱を繰り返すことによる均一化することができ、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像領域に対向する主磁極P1の法線磁束密度が60mT〜120mTとする。現像領域に対向する主磁極P1の法線磁束密度がこれより大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎となってザラツキ感が悪くなる。一方、これより小さいと、キャリアの磁気的拘束力が弱まってキャリア付着を生じやすくなるという不具合を生じる。
また、本実施形態によれば、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極P1の主極角度が現像スリーブ502回転方向の上流方向に0〜5°とする。主極角度をややプラスに向けると、磁気ブラシの穂倒れ位置が0°での位置よりも、現像ギャップが小さい位置に移動するため、現像領域下流での磁気ブラシの空隙が小さくなる。よって、よりザラツキのない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像剤のキャリアとして、単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gのものを用いる。σsがこれより小さいと、キャリア付着によって異常画像が発生しやすくなる。一方、これよりσsが大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎になり、現像疎密度α低下を引き起こしザラツキ感の悪い画像となる。
また、本実施形態によれば、現像剤のキャリアとして、動的抵抗値が10〜1010Ω・cmのものを用いる。このような抵抗値のキャリアでは、充分な現像能力を確保しつつ、キャリア付着しない現像を行うことができる。よって、直流の現像バイアスを用いた場合にも、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像剤のキャリアとして、体積平均粒径が20〜60μmのものを用いる。このような粒径の小さいキャリアを用いると、大きな粒径のキャリアを用いる場合と比較して、上述の現像領域の磁気ブラシ先端部の(空隙の総面積)/(現像領域の総面積)が同一であっても、磁気ブラシ先端のキャリアが感光体17に接触する個数が増加する。このため、現像疎密度αがあがり、ザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、前記非磁性トナーの体積平均粒径が7μm以下である二成分現像剤を用いる。このような粒径の小さいトナーを用いると、大きな粒径のトナーを用いる場合と比較して、現像疎密度αが上がり、ざらつきの感のない画像を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】
請求項の発明によれば、現像疎密度α=(像担持体上の現像領域中に担持されているトナーの総面積)/(現像領域総面積)に像担持体の単位面積あたりにおける現像剤担持体の接触領域L・(k−1)を掛け合わせた値α・L・(k−1)から良好なざらつき感が得られる範囲を最適値として規定する。これにより、従来の磁気ブラシの体積率や、感光体と磁気スリーブとを静止させた時の感光体と磁気ブラシとの接触率等を、良好なざらつき感が得られる範囲として規定したものに比べてより実機に近い形で上記範囲を規定することができる。この結果、同一の値を示しているにもかかわらず、画像のざらつき感に差が生じる事がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の要部の説明図。
【図2】実施形態に係る現像装置の要部説明図。
【図3】単体試験機の要部説明図。
【符号の説明】
2 現像装置
8 定着装置
12 中間転写ベルト
17 感光体
22 中間転写体クリーニング装置
30 2次転写ベルト
100 給紙テーブル
200 複写装置本体
300 スキャナ
502 現像スリーブ

Claims (1)

  1. 複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像剤担持体を、潜像を担持する像担持体に対向して配置し、該現像剤担持体を回転することで、該現像剤担持体表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置の特性値の規定方法であって、汲上量、像担持体に対する現像剤担持体の線速比、上記磁性キャリアの粒径を異なる条件にした現像装置で現像を行なった画像のザラツキ感を評価するとともに、各条件の現像装置で、α・L・(k−1)を求め、α・L・(k−1)を特性値とし、ザラツキ感について良好な評価を得られた範囲を最適値として規定すること特徴とする現像装置の特性値の規定方法。
    α(現像疎密度):上記像担持体上と上記現像剤担持体とを静止させた状態で該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の潜像にトナーを供給したときの(像担持体上の現像領域中に担持されているトナーの総面積)/(現像領域総面積)
    L:現像ニップ幅
    k:像担持体に対する現像剤担持体の線速比
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