JP4454976B2 - 画像形成装置の画像評価方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置の画像評価方法関するものである。
【0002】
【従来の技術】
潜像形成を行った像担持体に、磁性粉末キャリアとトナーよりなる二成分現像剤を用いた現像装置からトナーを供給してトナー像化し、画像を形成する画像形成装置が広く用いられている。このような現像装置の現像剤担持体としては、内部に複数の磁極を有する磁界発生手段を固定配置し、その外周の現像スリーブが回転する機構のものが用いられている。このような現像装置では、現像スリーブを回転させることで、現像スリーブの表面に担持した磁性キャリアとトナーからなる二成分現像剤を搬送する。二成分現像剤は像担持体と現像スリーブとの最近接点付近を中心として磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシと像担持体とが接触する現像領域を形成する。この現像領域で、トナーは像担持体の表面電位と現像スリーブに印加されるバイアスとによって形成される現像電界から受ける力で、像担持体に付着して顕像化される。
【0003】
このような現像装置で、画像のザラツキ感をなくして高品位な画像を得るための改良がおこなわれている。その一つとして、像担持体の線速に対して現像スリーブの線速の比率を上げることで、像担持体に供給するトナー量を増加させてザラツキ感をなくすものが知られている。しかし、線速比を上げすぎてしまうと、画像の後端に白抜けなどの異常画像が発生したり、現像剤へかかるストレスが大きくなってしまったりするため、線速比をあまりあげることができなかった。
【0004】
画像のザラツキ感が悪くなるの原因の一つとして、現像領域における磁気ブラシの密度が疎であるため、均一な現像がおこなわれないことが知られている。そこで、現像領域中のキャリアの体積比率を規定して、磁気ブラシの密度を高めて、画質を向上させようとするものが提案されている(例えば、特許文献1)。このように、磁気ブラシの密度を高めることで、均一な現像となり、画像のざらつきが良好になる。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−146668号公報公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1は、キャリアの体積比率が同じであっても、画像のざらつき感に差が生じる場合があった。これは、磁性キャリアの密度や配列状態は、ざらつき感を左右する間接的な要因であるため、キャリアの体積比率や配列状態が同一の値を示したとしても、実際に感光体に付着するトナーの量は、同じであるとは限らない。この結果、従来では、画像のざらつき感に差が生じてしまうため、画像のざらつき感を評価するには、実際に感光体と現像スリーブとを装置に組み込んで、画像を出力し、その画像に基づいて画像のざらつき感を判定する必要があり、開発コストが嵩む要因となっていた。
【0007】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、実際に画像を出力することなく、ざらつき感の判定をすることができる画像形成装置の判定方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する像担持体と、複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像剤担持体を、上記像担持体に対向して配置し、該現像剤担持体を回転することで、該現像剤担持体表面に担持した磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の潜像にトナー像を形成する現像装置とを備えた画像形成装置の画像評価方法において、上記像担持体が取り付けられる像担持体取り付け部と、上記現像装置が取り付けられ、該像担持体取り付け部に対して接離可能な現像ユニット取り付け部と、現像バイアス印加手段と、該像担持体と該現像剤担持体とを回転駆動させる駆動手段とを有する単体試験機を用いて感光体表面上にベタ画像を形成するステップと、上記現像ユニット取り付け部を上記像担持体取り付け部から一旦離間させ、像担持体表面のベタ画像を上記現像剤担持体と対向させるステップと、上記現像ユニット取り付け部を上記像担持体に接近させて、上記現像剤担持体表面に形成されている磁気ブラシを感光体表面のベタ画像に接触させるステップと、上記ベタ画像を形成したときの現像バイアスと逆極性の現像バイアスを印加して、上記磁気ブラシで上記像担持体表面に付着したトナーを剥がすステップと、トナーが剥がされた後の像担持体表面の画像に対してトナーが剥がされた領域を1とし、トナーが付着している領域を0として、2値化処理して分離し、上記画像形成装置が画像を形成するときに、上記像担持体のある点に対して現像に用いられる上記現像剤担持体の回転方向長さだけ積分平均化処理を施し、この回転方向長さ分だけ除算して、像担持体軸方向における磁気ブラシと像担持体との接触確率の一次波形を求めるステップと、上記接触確率の一次波形をフーリエ変換して、空間周波数特性f(u)を求めるステップと、下式から、現像均一評価値αを導出し、この現像均一評価値αから、上記画像形成装置の画像を評価するステップとを有することを特徴とするものである。
数1
α=∫f(u)VTF(u)du
f(u):像担持体の軸方向の各位置で、像担持体の任意の点が磁気ブラシと接触する確率を示す波形から導出された空間周波数情報。
VTF(u):人間の視覚周波数特性。
u:周波数(cycle/mm
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を画像形成装置であるタンデム型間接転写方式のデジタル複写機(以下、複写機という)に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機の全体的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る複写機の概略構成図である。この複写機は、複写装置本体200、この複写機本体を載せる給紙テーブル100、複写装置本体上に取り付けるスキャナ300、さらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)400から主に構成されている。
【0010】
複写装置本体200には、中央に、無端の中間転写ベルト12を設ける。この中間転写ベルト12を、支持部材としてのローラ10,11,15に掛け回して図中時計回り方向に回転搬送可能とする。中間転写ベルト12の上方には、その搬送方向に沿って、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの4つの画像形成手段を横に並べて配置してタンデム画像形成装置を構成する。そのタンデム画像形成装置の上方には、デジタル書き込み装置5を設ける。
【0011】
中間転写ベルト12の内部には、中間転写ベルト12を挟んで感光体17に押し当てる1次転写ローラ18を配設し、1次転写装置3を構成する。また、中間転写ベルト12を挟んでタンデム画像形成装置と反対の側には、2次転写装置7を備える。2次転写装置7は、2つのローラ31、32間に、無端ベルトである2次転写ベルト30を掛け渡して構成し、中間転写ベルト12上の画像をシートに転写する。また、ローラ11と15との間に、2次転写後に中間転写ベルト12上に残留する残留トナーを除去するクリーニングブレード23を備えた中間転写体クリーニング装置22を設ける。また、2次転写装置7の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置8を設ける。この2次転写装置7には、画像転写後のシートをこの定着装置8へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。
【0012】
上記構成の複写機では、スキャナ300を駆動し、原稿内容を読み取る。また、不図示の駆動モータでローラ10を回転駆動してローラ11,15を従動回転し、中間転写ベルト12を回転駆動する。同時に、個々の画像形成手段でその感光体17を回転して各感光体17上にそれぞれ、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト12を回転駆動して搬送するとともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写ベルト12上に合成カラー画像を形成する。一方、給紙テーブル200では給紙カセットからシートを繰り出し、複写装置本体100内の給紙路に搬送する。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせて、中間転写ベルト12と2次転写装置7との間にシートを送り込み、2次転写装置7で転写してシート上にカラー画像を記録する。画像転写後のシートは、2次転写装置7で搬送して定着装置8へと送り込み、定着装置8で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して、機外へ排出する。一方、画像転写後の中間転写ベルト12は、中間転写体クリーニング装置22で、画像転写後に中間転写ベルト12上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置による再度の画像形成に備える。
【0013】
次に、タンデム画像形成装置の個々の画像形成手段について説明する。画像形成手段は、ドラム状の感光体17のまわりに、帯電装置1、現像装置2、1次転写ローラ18、感光体クリーニング装置4、図示しない除電装置などを備えてなる。なお、タンデム画像形成装置の各画像形成手段の各感光体17、各帯電装置1、各現像装置2、各1次転写ローラ18、各感光体クリーニング装置4の各符号の後に、それぞれブラックの場合はBKを、シアンの場合はCを、マゼンタの場合はMを、イエローの場合はYを付して示す。
【0014】
このような構成の画像形成手段では、感光体17の回転とともに、まず帯電装置1で感光体17の表面を一様に帯電する。次いでスキャナ300の読取り内容に応じてデジタル書き込み装置5からレーザやLED等による書込み光Lを照射して感光体17上に静電潜像を形成する。そして、現像装置2によりトナーが付着され静電潜像を可視像化し、その可視像を1次転写ローラ18で中間転写ベルト12上に転写する。画像転写後の感光体17の表面は、感光体クリーニング装置4で残留トナーを除去して清掃し、除電装置で除電して再度の画像形成に備える。
【0015】
次に、現像装置について詳しく説明する。図2は、現像装置2の概略構成図である。この現像装置2は、感光体ドラム17の側方に配置され、感光体ドラム17に向けて開口部が形成された本体ケース501を有している。この本体ケース501の開口部から、トナー及び磁性粉末キャリアからなる二成分現像剤(以下、現像剤という)を表面に坦持する現像剤担持体としての現像ローラが一部露出するよう配置されている。現像ローラは非磁性材料からなる円筒状の現像スリーブ502と、内部に固定された磁界発生手段としてのマグネットローラの磁石とから構成されており、現像スリーブ502はこの磁石の周りを自在に回転することができる。また、現像スリーブ502上で搬送されてきた現像剤の量を規制する現像剤規制部材としてのドクターブレード5と、現像スリーブ502に平行且つ対向配置されたパドル503とを有している。磁石には感光体ドラム11の対向部位に主極(P1極)が配置され、反時計回り方向にS極とN極とが交互に配置されている。また、感光体ドラム17との対向部より現像スリーブ502回転方向下流位置では、現像剤を現像スリーブ502から剥離するために、同極性の磁極が隣接して配置されている。なお、本実施形態においては、現像スリーブ502の材質としてはアルミニウムを用い、表面をサンドブラスト仕上げしたものを用いた。
【0016】
上記構成の現像装置2では、現像剤は現像装置2内での攪拌作用によって摩擦帯電され、プラス帯電したキャリアのまわりにマイナス帯電したトナーが付着する。そして、図示しないモータによるパドル503の矢印方向の回転により、本体ケース501内部の現像剤がパドル503により現像スリーブ502に搬送される。このとき、現像剤は現像スリーブ502内部の磁石による磁力によって現像スリーブ502表面に引き付けられ、磁気ブラシを形成する。次にドクターブレード504により層厚を規制された現像剤は、感光体ドラム17に最近接する部位まで搬送され、トナーが静電潜像に電気的に付着する。なお、本実施形態では、現像スリーブ502の直径30mm、感光体ドラム17の直径40mmのものを用いた。また、感光体ドラム17の非画像部の電位V0を−640V、画像部の電位VLを−130V、現像バイアス電圧Vbを直流バイアス−470Vとした。その他の現像条件は以下のように設定した。
現像ギャップ: 0.40mm
汲上量 : 38から80mg/cm
感光体線速 : 245mm/s
線速比 : 1.5〜2.4
キャリア粒径: 35〜55μm
トナー粒径 : 6.8μm
帯電量 : −20μC/g
【0017】
上記条件で、画像形成を行い、画像のざらつき感を評価した。ざらつき感の程度を表す評価基準として粒状度を用いる。ここで、粒状度の測定原理を説明する。粒状度を測定用として画像形成装置から出力された、画像評価チャート中の階調パターンのうち、高明度から低明度までの17パッチのハーフトーン領域の画像をスキャナで読み取り、1cm程度のパッチを用意する。スキャナの読み取り解像度は、2400dpiである。読み込んだ画像の輝度を明度データに変換し、以下の式にて粒状度を算出する。
粒状度=d・exp(a・L+b)Σ(WS(f))1/2・VTF(f)+c
L :パッチ平均明度
f(cycle/mm):空間周波数
a,b,c,d :定数
WS(f) :明度変動のパワースペクトラム
VTF(f) :視覚の空間周波数特性
【0018】
この式により、パッチ内全域の明度ムラを周波数解析し、視覚の周波数特性を乗ずることで、視覚特性の重み付けをしたザラツキ感を評価することができる。出力画像の粒状度を上述の手法によって測定することによって、画像のノイズ特性(ざらつき)を数値化することが可能である。粒状度の数値はその定義からも分かるように、ざらつきが良好である場合には値が小さく、ざらつきが悪くなるに従って値が大きくなる。
【0019】
次に現像均一性評価値αの導出方法について説明する。
実際の画像形成装置においては、感光体線速と現像スリーブの線速との間には差(線速比k)が生じている。この差(線速比k)は、現像性能に大きく影響する。詳述すると、感光体のある点が現像スリーブと感光体との接触部である現像ニップ幅Lを通過する間に、現像スリーブのある点はLk進むことになる。ゆえに、感光体のある点が現像領域(現像ニップ幅L)を通過する間に現像スリーブとL・(k−1)接触することとなり、感光体のある点に対しては、現像スリーブのL・(k−1)の領域で現像することとなる。しかし、二成分現像剤においては、磁気ブラシの密度、配列状態によっては、感光体と接触しない領域が出てしまい、感光体のある点に対する現像スリーブの現像に係わる領域が、必ずしもL・(k−1)の領域で接触しなくなる。この結果、感光体の軸方向に接触する領域(現像領域)が均一ではなくなってしまい、ざらつき感のある画像が得られてしまっていた。そこで、感光体のある点における現像スリーブとの実際の接触する領域の感光体軸方向における均一性を評価することで、ざらつき感の評価を精度良く行うことができる。
【0020】
そこで、まず、感光体と現像スリーブとの接触状態を調べる。現像装置と感光体をそれぞれ駆動でき、バイアス印加も可能な図3に示すような単体試験機を作成した。この単体試験機の感光体17は試験台601に固定されている感光体取り付け部602に取り付けられている。また、現像装置2は、試験台601に対して水平移動可能な現像ユニット取り付け部603に取り付けられており、この現像ユニット取り付け部603を移動させることで、現像ギャップGpを自由に変えることができるようになっている。この単体試験機には帯電装置および露光装置は備えていないので、感光体17をアースにおとし、現像バイアスを印加して所望の現像ポテンシャルを得るようにしている。上述に示したように、本実施形態の画像形成装置は、感光体の画像部の電位VLは、−130Vであり、現像バイアス電圧Vbを直流バイアス−470Vとしているので、現像ポテンシャルは、−340Vとなる。この実機試験機では、感光体はアースにおとしており0Vであるので、現像バイアスを−340Vbとすることで、実機と同じ現像ポテンシャルを得ることができる。
感光体表面上にトナーをベタ付着量M/A=0.5mg/cm^「2」^付着させるべく、感光体および、現像装置を駆動させる。現像スリーブに−340Vの現像バイアスを印加して、感光体表面に所望のベタ付着量を得るべくトナーを付着させる。次に、感光体表面に所望のベタ付着量を付着させたら、一旦装置を止めて、現像スリーブを感光体から離間させる。感光体を回転させて、所望のベタ付着量が付着しているトナー面を現像スリーブに対向させる。感光体、現像スリーブを停止した状態で、磁気ブラシが動かないように、現像スリーブを感光体に接近させ、現像ギャップGpだけ離して配置する。感光体および現像スリーブを静止した状態で、現像スリーブに上記とは逆極性の現像バイアス+340Vを印加する。このとき、感光体上のトナーの一部が、現像スリーブ上の感光体表面に接触している磁気ブラシに移動する。そして、現像バイアスを切り、磁気ブラシが動かないように気をつけながら、現像スリーブを感光体から離す。すると、感光体表面は、ベタ画像から、磁気ブラシの接触位置のみトナーが剥がされた穴あき模様となる。この画像をトナーが剥がされた領域(以下、離脱領域)を1とし、トナーが付着した領域を0として、2値化処理して分離し、現像ニップ幅Lの中心から回転方向にL・(k−1)だけ積分平均化処理を施し、この距離L・(k−1)分だけ、除算する。これにより、図4に示す、感光体軸方向における、接触確率の一次波形が求められる。図4に示す波形がフラットに近いほど、磁気ブラシと感光体とが、均一に接触していることとなる。次に、この波形をフーリエ変換して、図5に示す、空間周波数特性f(u)を求める。これに、図6に示す人間の視覚の周波数特性VTF(u)を掛け合わせて、図7に示す波形f(u)VTF(u)を積分した値で、以下の数1に現像均一性評価値αが表される。
【数
α=∫f(u)VTF(u)du
【0021】
以下の実施例1乃至5および比較例1、2の実験では、汲上量、線速比、キャリア粒径を変化させて、このときの現像均一性評価値αと、このときの粒状度によるざらつき感の判定を行った。粒状度が0.3以下を◎とし、0.5以下を○、0.7以下を△、0.7を越えるものを×とした。また、現像バイアス電圧Vbを直流バイアス−470Vとしている。この結果を以下に示す。
【表1】
Figure 0004454976
【0022】
表1の結果から、現像均一性評価値αが低いほうが、ざらつき感が向上することがわかる。また、現像均一性評価値αが0.05を超えると、多少のざらつき感のある画像が得られた。また、現像均一性評価値αの値が低いときは、粒状度の値も低い値となり、現像均一性評価値αと粒度度との間に比例の関係にあり、現像均一性評価値αを用いても、ざらつき感の判定ができることがわかる。
【0023】
また、実施例5として、汲上量、線速比、キャリア粒径を実施例2と同一条件で、現像バイアスを上述の直流バイアスから、DC成分Vdcが−420V、振幅Vppが900Vの振動バイアスを用いて実施した。その結果、現像均一性評価値αは、0.022となり、粒状度も0.3以下となり、実施例2よりもざらつき感が向上した。
【0024】
また、比較例2として、汲上量、線速比、キャリア粒径を実施例3と同一とし、トナーを強制攪拌して劣化させたトナーを用いた条件で実施した。強制攪拌するとトナー表面に付着していた外添剤が埋没し、その結果トナーとキャリア間の付着力が強くなり現像能力が下がってしまうことが分かっている。実際、この劣化させたトナーを用いたところ、現像均一性評価値αは、0.07、粒状度も悪化しざらつき感のある画像が得られた。
【0025】
さらに、本実施形態においては、磁気ブラシを形成するのマグネットの条件、現像剤汲み上げ量、現像バイアス、線速比等の条件を適切なものとすることで、ざらつき感をなくすことができる。
【0026】
マグネットの条件としては、現像領域に対向する主磁極の法線磁束密度が60mT〜120mTとすると、直流の現像バイアスを用いても、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。現像領域に対向する主磁極の法線磁束密度がこれより大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎となってザラツキ感が悪くなる。また、これより小さいと、キャリアの磁気的拘束力が弱まってキャリア付着を生じやすくなるという不具合を生じる。
【0027】
また、現像スリーブ502に印加する現像バイアスを、感光体ドラム11との間に交番電界を形成する振動バイアスとすることで、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。これは、交番電界により一度感光体17上に付着したトナーが、複数回、付着と離脱を繰り返すことにより均一化されるからである。
【0028】
また、現像スリーブ502による現像剤の汲上量が30〜100mg/cmになるようにする。このように、汲上量を30mg/cm以上と、比較的多くすることにより、現像領域において、現像剤が、均一にパッキングされるため、現像均一性評価値αを下げることができ、ざらつき感の向上に有効である。一方、汲上量を100mg/cmよりを多くしすぎると、現像領域の上流に剤溜まりが生じて、現像電界が弱い領域でも磁気ブラシと感光体が接触してしまうため、ザラツキが逆に悪化し、画像端部の白抜け等も悪化する。
【0029】
また、上記感光体に対する上記現像スリ−ブ502の線速比とざらつき感の関係をしらべたところ、高い相関があることがわっかた。ざらつき感としては、上述のように粒状度を調べた。線速比を1.2以上と大きくしていくと、磁気ブラシが感光体ドラム17に接触する回数が増えるため、現像均一性評価値αを下げるのと同じ効果があり、ザラツキ感の向上に有効である。しかし、線速比を3より大きいものに上げすぎると、画像端部の白抜け等の悪影響がでてくる。そこで、線速比をを1.2〜3とすると、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。より好ましくは現像スリ−ブ502の線速比を1.7〜2.3とするとよい。
【0030】
また、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極P1の主極角度が上記現像スリーブ502回転方向の上流方向に0〜5°とする。主極角度をややプラスに向けると、磁気ブラシの穂倒れ位置が0°での位置よりも、現像ギャップGpが小さい位置に移動するため、現像領域下流での磁気ブラシの空隙が小さくなる。よって、よりザラツキのない画像を得ることができる。
【0031】
また、現像剤のキャリアとして、単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gのものを用いる。より好ましくは40〜80emu/gとする。40〜80emu/gの場合には、直流の現像バイアスを用いた場合にも、ザラツキ感がほとんどなく、高画質な画像を得ることができる。σsがこれより小さいと、キャリア付着によって異常画像が発生しやすくなり、これよりσsが大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎になり、現像均一性評価値αの増加を引き起こしてザラツキ感の悪い画像となる。
【0032】
また、現像剤のキャリアとして動的抵抗値が10〜1010Ω・cmのものを用いる。このような抵抗値のキャリアでは、充分な現像能力を確保しつつ、キャリア付着しない現像を行うことができる。よって、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。
【0033】
また、現像剤のキャリアとして体積平均粒径が20〜60μmのものを用いる。より好ましくは20〜40μmのものを用いる。このような粒径の小さいキャリアを用いると、大きな粒径のキャリアを用いる場合と比較して、磁気ブラシ先端のキャリアが感光体ドラム11に接触する個数が増加する。このため、現像均一性評価値αが下がり、ザラツキ感のない画像を得ることができる。
【0034】
また、現像剤のトナーの粒径を非磁性トナーの体積平均粒径が7μm以下である二成分現像剤を用いる。このような粒径の小さいトナーを用いると、大きな粒径のトナーを用いる場合と比較して、現像均一性評価値αが下がり、ざらつきの感のない画像を得ることができる。
【0035】
本実施形態によれば、感光体および現像スリーブともに静止状態において、べた画像を現像した感光体と現像スリーブを現像位置に配置し、作像時とは逆向きの現像電界を形成して感光体上のトナーを引き剥がしたあとの感光体上トナー像を撮影する。撮影した画像をトナー付着部を0、キャリアによってトナーが引き剥がされた部位を1として、二値化する。現像ニップ幅をL(mm)、現像スリーブと感光体の線速比(現像スリーブの線速Vs/感光体の線速Vp)をkとした時に、現像ニップ部を中心として、像担持体回転方向に距離L・(k−1)だけ積分平均化処理を施こす。この値を、L・(k−1)分除算することで、感光体軸方向の一次元波形を導出し、この波形をフーリエ変換して空間周波数情報を生成し、人間の視覚系の空間周波数特性を表す関数と演算処理を施した後に積分して、現像均一性評価値αを導く。このように、現像の均一性を評価しているので、従来のように現像状態の特性値が同じ値であっても、画像のざらつき感に差が生じることがない。この結果、従来では、画像のざらつき感を評価するのに、画像を出力し、その画像から、粒状度などを求めて画像のざらつき感を判定していたが、本実施形態では、画像を出力しなくても、感光体と現像スリーブの単体試験機を作成すれば、画像のざらつき感を判定することができる。よって、開発コストが削減することができる。
また、本実施形態によれば、現像均一性評価値αの値を0.05以下とすることで、ざらつき感のない良好な画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ502による二成分現像剤の汲上量が30〜100mg/cmとする。汲上量を多くすることにより、現像領域において、現像剤が均一にパッキングされ、磁気ブラシの空隙率を小さくすることができ、さらに、現像均一性評価値αを下げることができるため、ザラツキの向上に有効である。一方、汲上量をこの範囲のよりもに多くしすぎると、現像領域の上流に剤溜まりが生じて、現像電界が弱い領域でも磁気ブラシと感光体が接触してしまうため、ザラツキが逆に悪化し、画像端部の白抜け等も悪化する。
また、本実施形態によれば、感光体17に対する現像スリ−ブ502の線速比kを1.2〜3とする。線速比を1.2以上と大きくしていくと、磁気ブラシが感光体に接触する回数が増えるため、現像均一性評価値αを小さくするのと同じ効果があり、ザラツキ感の向上に有効である。一方、線速比kを3より大きいものに上げすぎると、画像端部の白抜け等の悪影響がでてくる。そこで、線速比kを1.2〜3とすると、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像スリーブ502に印加する現像バイアスが、上記像担持体としての感光体との間に交番電界を形成する振動バイアスとする。これにより、トナーの離脱が促進され、現像均一性評価値αが低下する。また、一度感光体上に付着したトナーが、複数回、付着と離脱を繰り返すことによる均一化することができ、さらにザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像領域に対向する主磁極P1の法線磁束密度が60mT〜120mTとする。現像領域に対向する主磁極P1の法線磁束密度がこれより大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎となってザラツキ感が悪くなる。一方、これより小さいと、キャリアの磁気的拘束力が弱まってキャリア付着を生じやすくなるという不具合を生じる。
また、本実施形態によれば、上記磁界発生手段のうち現像領域に対向する主磁極P1の主極角度が現像スリーブ502回転方向の上流方向に0〜5°とする。主極角度をややプラスに向けると、磁気ブラシの穂倒れ位置が0°での位置よりも、現像ギャップが小さい位置に移動するため、現像領域下流での磁気ブラシの空隙が小さくなる。よって、よりザラツキのない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像剤のキャリアとして、単位質量当たりの磁化の強さσsが1kOeの磁場において30emu/g〜100emu/gのものを用いる。σsがこれより小さいと、キャリア付着によって異常画像が発生しやすくなる。一方、これよりσsが大きいと、現像領域における磁気ブラシが疎になり、現像疎密度α低下を引き起こしザラツキ感の悪い画像となる。
また、本実施形態によれば、現像剤のキャリアとして、動的抵抗値が10〜1010Ω・cmのものを用いる。このような抵抗値のキャリアでは、充分な現像能力を確保しつつ、キャリア付着しない現像を行うことができる。よって、直流の現像バイアスを用いた場合にも、ザラツキ感がなく、高画質な画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、現像剤のキャリアとして、体積平均粒径が20〜60μmのものを用いる。このような粒径の小さいキャリアを用いると、大きな粒径のキャリアを用いる場合と比較して、磁気ブラシ先端のキャリアが感光体17に接触する個数が増加する。このため、現像均一性評価値αが下がり、ザラツキ感のない画像を得ることができる。
また、本実施形態によれば、前記非磁性トナーの体積平均粒径が7μm以下である二成分現像剤を用いる。このような粒径の小さいトナーを用いると、大きな粒径のトナーを用いる場合と比較して、現像均一性評価値αが下がり、ざらつきの感のない画像を得ることができる。
【0036】
【発明の効果】
請求項1発明によれば、像担持体の軸方向の各位置で、像担持体の任意の点が現像剤担持体と接触する確率を示す波形から、現像の均一性を評価する値αを導出する。上記波形がフラットであればあるほど、像担持体の軸方向で均一な接触が行われていることとなる。この波形の状態を数値化することで、磁気ブラシが均一に接触しているかどうかを把握することが可能となる。これにより、従来のキャリアの体積比率から良好なざらつき感が得られる範囲として規定したものに比べてより実機に近い形で上記範囲を規定することができる。よって、同一の値を示しているにもかかわらず、画像のざらつき感に差が生じる事がなくなる。この結果、この現像の均一性を評価する値αを用いれば、ざらつき感を評価することができる。よって、従来のように、画像を形成して、ざらつき感を判定する必要がなくなり、例えば、像担持体と現像剤担持体の単体試験機を作成するだけで、画像の評価を行うことができ、開発コストが削減できるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の要部の説明図。
【図2】実施形態に係る現像装置の要部説明図。
【図3】単体試験機の要部説明図。
【図4】感光体の軸方向距離と接触確率との関係を示す図。
【図5】図4の波形をフーリエ変換して、得られた空間周波数情報f(u)を示す図。
【図6】人間の視覚の周波数特性VTF(u)を示す図。
【図7】空間周波数情報f(u)と人間の視覚の周波数特性VTF(u)とを掛け合わせた波形を示す図。
【符号の説明】
2 現像装置
8 定着装置
12 中間転写ベルト
17 感光体
22 中間転写体クリーニング装置
30 2次転写ベルト
100 給紙テーブル
200 複写装置本体
300 スキャナ
502 現像スリーブ

Claims (1)

  1. 潜像を担持する像担持体と、
    複数の磁極を有する磁界発生手段を内部に固定配設した現像剤担持体を、上記像担持体に対向して配置し、該現像剤担持体を回転することで、該現像剤担持体表面に担持した磁性キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を現像領域へ搬送し、該二成分現像剤の磁気ブラシより該像担持体上の潜像にトナー像を形成する現像装置とを備えた画像形成装置の画像評価方法において、
    上記像担持体が取り付けられる像担持体取り付け部と、上記現像装置が取り付けられ、該像担持体取り付け部に対して接離可能な現像ユニット取り付け部と、現像バイアス印加手段と、該像担持体と該現像剤担持体とを回転駆動させる駆動手段とを有する単体試験機を用いて感光体表面上にベタ画像を形成するステップと、
    上記現像ユニット取り付け部を上記像担持体取り付け部から一旦離間させ、像担持体表面のベタ画像を上記現像剤担持体と対向させるステップと、
    上記現像ユニット取り付け部を上記像担持体に接近させて、上記現像剤担持体表面に形成されている磁気ブラシを感光体表面のベタ画像に接触させるステップと、
    上記ベタ画像を形成したときの現像バイアスと逆極性の現像バイアスを印加して、上記磁気ブラシで上記像担持体表面に付着したトナーを剥がすステップと、
    トナーが剥がされた後の像担持体表面の画像に対してトナーが剥がされた領域を1とし、トナーが付着している領域を0として、2値化処理して分離し、上記画像形成装置が画像を形成するときに、上記像担持体のある点に対して現像に用いられる上記現像剤担持体の回転方向長さだけ積分平均化処理を施し、この回転方向長さ分だけ除算して、像担持体軸方向における磁気ブラシと像担持体との接触確率の一次波形を求めるステップと、
    上記接触確率の一次波形をフーリエ変換して、空間周波数特性f(u)を求めるステップと、
    下式から、現像均一評価値αを導出し、この現像均一評価値αから、上記画像形成装置の画像を評価するステップとを有することを特徴とする画像形成装置の画像評価方法。
    【数1】
    α=∫f(u)VTF(u)du
    f(u):像担持体の軸方向の各位置で、像担持体の任意の点が磁気ブラシと接触する確率を示す波形から導出された空間周波数情報。
    VTF(u):人間の視覚周波数特性。
    u:周波数(cycle/mm
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