JP2004077154A - レンズ性能評価装置 - Google Patents

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Kenjiro Hamanaka
浜中 賢二郎
Kazuhiro Yamamoto
山本 一洋
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】実際の使用条件に応じたレンズの良否判定などの性能評価を適切に行うことができるレンズ性能評価装置を提供すること。
【解決手段】レンズ性能評価装置11は、光源13からの出射光を物体光と参照光に分割し、被検レンズ12による位相差を受けた物体光と参照光を合成して干渉縞を発生させるマッハツェンダー干渉計14と、結像レンズ16により受光面に結像される干渉縞に応じた撮像素子15の出力に基づいて波面収差を求め、該波面収差に基づいて被検レンズの各種評価値を算出するコンピュータ17とを備える。コンピュータ17は、波面収差に基づいてRMS値を算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをする。重み付けをして算出したRMS値により、実際の使用条件に応じた被検レンズの良否判定などの性能評価が可能になる。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、干渉を利用し、干渉縞から被検レンズにより付与される位相差の分布、例えばマッハツェンダー干渉計を使用する場合にはレンズ透過波面などの位相分布を解析し、波面収差のRMS値などの各種評価値を測定し、レンズの良否などの性能評価をするレンズ性能評価装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のレンズ性能評価装置として、例えば特開平06−109582号公報に開示されたレンズ総合検査機がある。この検査機は、レーザ光源からの出射光を2つに分割し、基準レンズを透過した一方の光束と、被検レンズを透過したもう一方の光束とを合成して干渉縞を発生させるマッハツェンダー干渉計を備えている。その干渉縞はレンズによりCCD上に結像され、CCDからは干渉縞に応じた電気信号が出力され、この電気信号に基づき波面収差のRMS値(自乗平均平方根)などが演算手段により算出され、レンズの良否が判定される。このレンズの良否判定は、被検レンズのレンズ径内で所望の領域を指定して行う。通常の装置はレンズ径内で波面収差を解析する領域をソフトウェアに対して指定するような機能を備えている。
【0003】
なお、本明細書中でいう「波面収差」とは、レンズ瞳面における波面の球面からのズレをいう。この波面収差は、瞳面各点での波面の位相歪を極座標で表し、W(ρ,θ)とする。ここで、ρは瞳半径で規格化した瞳中心からの距離、θは瞳面上の角度である。このように定義される波面収差Wを用いてレンズの良否などを分かり易く示すために、種々の評価値が使われるが、RMS値はもっとも一般的であり、次式で与えられる。
【0004】
【数1】
Figure 2004077154
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、(1)式で表したRMS値などの評価値は、入射光の光量分布、すなわちその強度分布に影響される。しかしながら、上記従来技術では、干渉計で測定した干渉縞から算出したRMS値などの評価値(測定値)と、実際に使用される入射光の強度分布における実際のRMS値などの値(実際値)との対応がついていない。そのため、実際に使用する条件におけるレンズの良否判定などの性能評価を、干渉計で測定して得たRMS値などの評価値によって行うのが適切かどうか不明確であった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に着目してなされたもので、その目的は実際の使用条件に応じたレンズの良否判定などの性能評価を適切に行うことができるレンズ性能評価装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、光源からの出射光を物体光と参照光に分割し、被検レンズによる位相差を受けた物体光と参照光を合成して干渉縞を発生させる干渉計と、前記干渉縞を検出する干渉縞検出手段と、該干渉縞検出手段の出力に基づいて前記被検レンズの波面収差を求め、該波面収差に基づいて前記被検レンズの各種評価値を算出する演算手段とを備えるレンズ性能評価装置において、前記演算手段は、前記波面収差に基づいて前記各種評価値を算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをして前記各種評価値を算出することを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをして被検レンズの各種評価値を算出するので、この算出した各種評価値により、実際の使用条件に応じた被検レンズの良否判定などの性能評価を適切に行うことができる。なお、ここにいう「被検レンズの実使用状態での入射光」とは、本装置による性能評価を終えた被検レンズを実際に使用する場合における同レンズの入射光をいう。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のレンズ性能評価装置において、前記演算手段は、前記各種評価値の一つとして前記波面収差のRMS値を算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをすることを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをして波面収差のRMS値を算出するので、この算出したRMS値により、実際の使用条件に応じた被検レンズの性能評価を適切に行うことができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のレンズ性能評価装置において、前記被検レンズの実使用状態での入射光として単一モード光ファイバからの出射光を用い、該出射光を前記被検レンズに入射させる場合、前記演算手段は、光スポット形状が円形のガウシアンビームである前記出射光の強度分布に対応する重み付けをして前記RMS値を算出することを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、単一モード光ファイバからの出射光を被検レンズに入射させる場合、光スポット形状が円形のガウシアンビームである前記出射光の強度分布に対応する重み付けをして前記RMS値を算出する。このため、算出したRMS値により、単一モード光ファイバからの出射光を被検レンズに入射させるという実際の使用条件に応じた被検レンズの性能評価を適切に行うことができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項2に記載のレンズ性能評価装置において、前記被検レンズの実使用状態での入射光として楕円状の発光強度分布をもつ半導体レーザの出射光を用い、該出射光を前記被検レンズに入射させる場合、前記演算手段は、光スポット形状が楕円状のガウシアンビームである前記出射光の強度分布に対応する重み付けをして前記RMS値を算出することを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、楕円状の発光強度分布をもつ半導体レーザの出射光を被検レンズに入射させる場合、光スポット形状が楕円状のガウシアンビームである前記出射光の強度分布に対応する重み付けをして前記RMS値を算出する。このため、算出したRMS値により、楕円状の発光強度分布をもつ半導体レーザの出射光を被検レンズに入射させるという実際の使用条件に応じた被検レンズの性能評価を適切に行うことができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ性能評価装置において、前記演算手段は、前記各種評価値の一つとして、前記被検レンズの瞳面における光の複素振幅のフーリエ変換の2乗で表される点像強度分布関数を前記波面収差に基づいて算出する際に、前記点像強度分布関数を、前記複素振幅に前記被検レンズの実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをして算出することを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、各種評価値の一つとして、被検レンズの瞳面における光の複素振幅のフーリエ変換の2乗で表される点像強度分布関数を波面収差に基づいて算出する際に、点像強度分布関数を、前記複素振幅に被検レンズの実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをして算出する。これにより、被検レンズの実使用状態での光の強度分布に応じた点像強度分布関数を算出することができる。このため、算出した点像強度分布関数により実際の使用条件に応じた被検レンズの性能評価を適切に行うことができる。例えば、特定の広がりをもつガウシアンビームを被検レンズで集光する場合には、レンズ全面で測定された波面収差W(ρ,θ)に、入射ガウシアンビームの強度分布(振幅分布)に対応する重み付けをして点像強度分布関数を算出する。このため、その強度分布に応じた点像強度分布関数を算出することができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のレンズ性能評価装置において、前記演算手段は、前記各種評価値の一つとして、単一モード光ファイバに対する前記被検レンズの結合効率を、同光ファイバの近視野像と、前記被検レンズの実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをした前記複素振幅のフーリエ変換とに基づいて算出することを要旨とする。
【0018】
この構成によれば、単一モード光ファイバに対する前記被検レンズの結合効率を、被検レンズの実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをした複素振幅のフーリエ変換と光ファイバの近視野像とに基づいて算出する。これにより、例えば特定の広がりをもつガウシアンビームを被検レンズで集光し、その集光点に配置した単一モード光ファイバに光を結合する場合のように、実使用状態に対応した性能評価値、すなわち上記結合効率を求めることができる。なお、ここにいう「光ファイバの近視野像」とは、単一モード光ファイバの出射端面近傍での光の強度分布をいう。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ性能評価装置を示している。このレンズ性能評価装置11は、干渉を利用し、干渉縞からレンズ透過波面の位相分布を解析し、そこから、波面収差のRMS値などの評価項目を定量評価し、被検レンズ12の良否などの性能を数値で評価するための装置である。なお、本実施形態では、被検レンズ12として、光通信、光ディスク、レーザプリンタなどの分野で使用されるマイクロレンズ(平板状マイクロレンズ)である。
【0020】
レンズ性能評価装置11は、半導体レーザである光源13と、光源13から出射されるレーザ光を物体光と参照光に分割し、被検レンズ12による位相差を受けた物体光と参照光を合成して干渉縞を発生させるマッハツェンダー干渉計14とを備えている。さらに、レンズ性能評価装置11は、マッハツェンダー干渉計14で発生した干渉縞を撮像素子15の受光面に結像させる結像レンズ16を備える。撮像素子15は、CCDカメラで構成され、その受光面に結像された干渉縞に応じた電気信号を出力する。この出力信号は演算手段としてのコンピュータ17に送られる。このコンピュータ17には、キーボードなどの入力装置18と、マッハツェンダー干渉計14で測定した干渉縞などを表示する表示装置やRMS値などの数値データを出力するプリンタ装置などを含む出力装置19とがそれぞれ電気的に接続されている。
【0021】
マッハツェンダー干渉計14は、光源13から出射されるレーザ光を光分岐器20で物体光と参照光に分割し、その物体光は単一モード光ファイバ21により送られて被検レンズ12に入射し、その参照光は単一モード光ファイバ22により送られて参照レンズ23に入射するようになっている。当然ながら,参照レンズは理想的には無収差であることが望まれる。また、マッハツェンダー干渉計は、被検レンズ12を透過して同レンズによる位相差(被検レンズの波面収差)を受けた物体光と、参照レンズ23を透過して同レンズによる位相差を受けた参照光とを光合成器24で合成して干渉縞を発生させるようになっている。この干渉縞が結像レンズ16により撮像素子15の受光面に結像される。なお、図1に示すように、被検レンズ12の瞳面を撮像素子15の受光面に結像させるように、光合成器24と撮像素子15の間に結像レンズ16が配置されている。また、結像レンズ16は、被検レンズ12と光合成器24の間、或いは参照レンズ23と光合成器24の間に配置してもよい。
【0022】
コンピュータ17は、マイクロコンピュータ(PC)で構成され、結像レンズ16と撮像素子15とで構成される干渉縞検出手段の出力、すなわち撮像素子15の出力に基づいて上記波面収差Wを求め、該波面収差Wに基づいて被検レンズ12のRMS値を算出する。そのため、コンピュータ17に内蔵されたROMなどのメモリには、撮像素子15の出力に基づいて波面収差Wを演算するとともに、その波面収差Wに基づいてRMS値を算出するための計算処理を実行するプログラムが格納されている。このプログラムは、波面収差Wに基づいてRMS値を算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをしてRMS値を算出するようになっている。つまり、その計算処理により、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをしたRMS値として下記の(3)式で表すRMSを算出する。
【0023】
次に、そのプログラムにより実行されるRMS値(RMS)を算出するための計算処理の手順を、以下の2つの場合(A),(B)に分けて説明する。
(A)単一モード光ファイバからの出射光をレンズに入射させる場合:
図2は、本実施形態に係るレンズ性能評価装置11により性能を評価された被検レンズ12をレンズ12´で示して、このレンズ12´の実際の使用例を示している。被検レンズ12が実際に使用される条件として、図2に示すように、単一モード光ファイバ30からの出射光31をレンズ12´に入射させる場合、その出射光31は図3に示すように光スポット形状が円形のガウシアンビームである。このガウシアンビームの強度分布(ガウス分布)I(ρ)は、次式で与えられる。
【0024】
【数2】
Figure 2004077154
ここで、σは単一モード光ファイバ30のモードフィールド径や開口数(NA)で決まる係数である。
【0025】
この場合における計算処理の手順は次の通りである。
(1)単一モード光ファイバ30の開口数(NA)、そのモードフィールド径、ファイバ端面とレンズ間の距離d(図2参照)、およびレンズ12´の焦点距離などのデータを入力装置18により入力する。
【0026】
(2)コンピュータ17は、入力装置18により入力された開口数(NA)、モードフィールド径、距離d、およびレンズ12´の焦点距離などのデータに基づいて、レンズ12´の瞳面での上記ガウス分布(ガウシアンビームのI(ρ))を計算する。
【0027】
(3)次に、ガウシアンビームの強度分布I(ρ)で重み付けをしたRMS値(以下、この値をRMSという。)を次式により計算する。
【0028】
【数3】
Figure 2004077154
このように、単一モード光ファイバ30からの出射光31をレンズ12´に入射させる場合、コンピュータ17は、波面収差Wに基づいてRMS値を算出する際に、光スポット形状が円形のガウシアンビームである出射光31の強度分布に対応する重み付けをしてRMSを算出する。こうして計算されたRMSにより被検レンズ12の良否などの性能評価を行う。
【0029】
(B)半導体レーザからの出射光をレンズに入射させる場合:
図4は、図2の場合と同様にレンズ性能評価装置11により性能を評価された被検レンズ12をレンズ12´で示して、このレンズ12´の実際の使用例を示している。被検レンズ12が実際に使用される条件として、図4に示すように、楕円状の発光強度分布をもつ半導体レーザ40からの出射光41をレンズ12´に入射させる場合、その出射光41は図5に示すように光スポット形状が楕円状のガウシアンビームである。このガウシアンビームの強度分布(ガウス分布)I(ρ,θ)は、次式で与えられる。
【0030】
【数4】
Figure 2004077154
ここで、σxはx方向の係数、σyはy方向の係数であり、σx,σyは半導体レーザ40固有の定数である。
【0031】
この場合における計算処理の手順は次の通りである。
(1)半導体レーザ40の発光角θ⊥,θ‖、レーザ端面とレンズ間の距離d、およびレンズの焦点距離などのデータを入力装置18により入力する。θ⊥は垂直方向の発光角であり、θ‖は水平方向の発光角である。
【0032】
(2)コンピュータ17は、入力装置18により入力された発光角θ⊥,θ‖(水平方向の発光角)、距離d、およびレンズの焦点距離などのデータに基づいて、レンズ12´の瞳面での上記ガウス分布(ガウシアンビームの強度分布I(ρ,θ))を計算する。
【0033】
(3)次に、ガウシアンビームの強度分布I(ρ,θ)で重み付けをしたRMSを、上記(3)式中の(exp[ −σρ] )の項を
(exp{[ σx(ρcosθ)] +[ σy(ρsinθ)] })の項で置き換えて、(3)式により計算する。
【0034】
このように、半導体レーザ40からの出射光41をレンズ12´に入射させる場合、コンピュータ17は、波面収差Wに基づいてRMS値を算出する際に、光スポット形状が楕円状のガウシアンビームである出射光41の強度分布に対応する重み付けをしてRMSを算出する。こうして計算されたRMSにより被検レンズ12の良否などの性能評価を行う。
【0035】
(C)次に、被検レンズ12の各種評価値の一つとして、波面収差Wに基づいて点像強度分布関数(PSF:Point Spread Function)を算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをする計算処理について説明する。
【0036】
この計算処理を実行するためのプログラムが、コンピュータ17の上記メモリに格納されている。ここにいう、「点像強度分布関数(PSF)」とは、瞳面における光の複素振幅fのフーリエ変換の2乗をいう。
【0037】
次に、そのプログラムを使ってコンピュータ17により実行される点像強度分布関数(PSF)を算出するための計算処理の手順を説明する。
(1)コンピュータ17は、瞳面における光の複素振幅fを次式により計算する。
【0038】
【数5】
Figure 2004077154
ここでgは瞳面における光の振幅である。この振幅gは、図3或いは図5に示すようなガウシアンビームの強度分布をもつ出射光を被検レンズ12に入射させる場合には、次式で表される。
【0039】
【数6】
Figure 2004077154
したがって、(5)式により計算される複素振幅fは、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布、すなわち(6)式で表されるガウシアンビームの強度分布に対応する重み付けをしてある。
【0040】
(2)次に、算出した複素振幅fをフーリエ変換し、さらに、そのフーリエ変換を2乗して点像強度分布関数(PSF)を計算する。
【0041】
【数7】
Figure 2004077154
ここで、F(r,φ)は複素振幅fのフーリエ変換である。
【0042】
このようにして、実際に使用される入射光の強度分布に応じた図6に示すような点像強度分布関数(PSF)が求まる。
次に、被検レンズ12の各種評価値の一つとして、単一モード光ファイバに対するレンズ12´の結合効率ηを算出する際に、被検レンズの実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをする計算処理について説明する。そのレンズ12´は、単一モード光ファイバの出射端面にガウシアンビームの集光位置(ビームウェストの位置)が合致するように配置されている。
【0043】
この計算処理を実行するためのプログラムが、コンピュータ17の上記メモリに格納されている。すなわち、コンピュータ17は、そのプログラムを使って、結合効率ηを、上記の複素振幅fのフーリエ変換F(r,φ)と、光ファイバの近視野像H(r,φ)とから次式により計算する。
【0044】
【数8】
Figure 2004077154
ここで、光ファイバの近視野像H(r,φ)は、上で定義したように光ファイバ30の出射端面近傍での光の強度分布をいう。
【0045】
【数9】
Figure 2004077154
また、(8)式のF(r,φ)は、(6)式で表されるガウシアンビームの強度分布に対応する重み付けをして(5)式で求めた複素振幅fのフーリエ変換
である。
【0046】
こうして、単一モード光ファイバに対するレンズ12´の結合効率ηを、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをしてそれぞれ求めた複素振幅分布F(r,φ)と光ファイバの近視野像H(r,φ)とから計算する。この計算により、実際に使用される入射光の強度分布に応じた図7に示すような結合効率ηが求まる。
【0047】
以上のように構成された一実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
・単一モード光ファイバ30からの出射光31を被検レンズ12(レンズ12´)に入射させる場合、光スポット形状が円形のガウシアンビームである出射光31の強度分布I(ρ)に対応する重み付けをしてRMS値を算出する。このため、算出したRMSにより、単一モード光ファイバ30からの出射光31をマイクロレンズである被検レンズ12に入射させるという実際の使用条件に応じた被検レンズ12の性能評価を適切に行うことができる。
【0048】
・楕円状の発光強度分布をもつ半導体レーザ40の出射光41を被検レンズ12に入射させる場合、光スポット形状が楕円状のガウシアンビームである出射光41の強度分布に対応する重み付けをしてRMS値を算出する。このため、算出したRMS値(RMS)により、楕円状の発光強度分布をもつ半導体レーザ40の出射光41をマイクロレンズである被検レンズ12に入射させるという実際の使用条件に応じた被検レンズ12の性能評価を適切に行うことができる。
【0049】
・各種評価値の一つとして、被検レンズ12の瞳面における光の複素振幅fのフーリエ変換F(r,φ)の2乗で表される点像強度分布関数PSFを波面収差に基づいて算出する際に、そのPSFを、複素振幅fに被検レンズ12の実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをして算出する。これにより、被検レンズ12の実使用状態での光の強度分布に応じた点像強度分布関数を算出することができる。このため、算出した点像強度分布関数により実際の使用条件に応じた被検レンズ12の性能評価を適切に行うことができる。例えば、特定の広がりをもつガウシアンビームを被検レンズ12で集光する場合には、レンズ全面で測定された波面収差W(ρ,θ)に、入射ガウシアンビームの強度分布(振幅分布)に対応する重み付けをして点像強度分布関数を算出する。このため、その強度分布に応じた点像強度分布関数を算出することができる。
【0050】
・単一モード光ファイバに対する被検レンズ12の結合効率ηを、光ファイバの近視野像H(r,φ)と、被検レンズ12の実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをした複素振幅fのフーリエ変換F(r,φ)とに基づいて算出する。これにより、例えば特定の広がりをもつガウシアンビームを被検レンズ12で集光し、その集光点に配置した単一モード光ファイバに光を結合する場合のように、実使用状態に対応した性能評価値、すなわち上記結合効率ηを求めることができる。このため、その強度分布に応じた結合効率ηを適切に算出することができる。
【0051】
[ 変形例]
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
・上記一実施形態では、被検レンズ12として、光通信分野などで使用されるマイクロレンズ(平板状マイクロレンズ)を用いた場合について説明したが、本発明はマイクロレンズ以外に、通常の球面レンズ、非球面レンズなどにも本発明は適用できる。
【0052】
・上記一実施形態では、波面収差Wに基づいて波面収差のRMS値、点像強度分布関数(PSF)、光ファイバとの結合効率ηなどを算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをするようにしているが、本発明はこれに限定されない。上記以外の各種評価値、例えば波面収差のP− V値,ストレール強度,非点収差(X),非点収差(Y),コマ収差(X),コマ収差(Y),球面収差などを算出する際にも、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをするようにしてもよい。
【0053】
・上記一実施形態では、本発明をマッハツェンダー干渉計に適用した場合について説明したが、干渉計自体の構成は問題とならず、トワイマングリーン干渉計などのその他の干渉計にも本発明は適用可能である。
【0054】
・上記一実施形態で説明したマッハツェンダー干渉計14は、参照光と物体光との位相差を一定量ずつシフトさせて干渉縞を複数回測定するフリンジスキャン方式に構成するのが好ましい。例えば、被検レンズ12と単一モード光ファイバ21或いは参照レンズ23と単一モード光ファイバ21をピエゾ素子により光軸方向に微小量ずつ変位させるように構成するのが好ましい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、実際の使用条件に応じたレンズの良否判定などの性能評価を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態に係るレンズ性能評価装置を示す概略構成図。
【図2】単一モード光ファイバの出射光をレンズに入射させる場合の使用例を示す説明図。
【図3】同光ファイバの強度分布を示す説明図。
【図4】半導体レーザの出射光をレンズに入射させる場合の使用例を示す説明図。
【図5】半導体レーザの強度分布を示す説明図。
【図6】点像強度分布を示すグラフ。
【図7】複素振幅分布と光ファイバの近視野像を示すグラフ。
【符号の説明】
η…結合効率、f…複素振幅、F…フーリエ変換、H…近視野像、I…強度分布、W…波面収差、PSF…点像強度分布関数、11…レンズ性能評価装置、12…被検レンズ、13…光源、14…マッハツェンダー干渉計、15…撮像素子、16…結像レンズ、17…演算手段としてのコンピュータ、21,22,30…単一モード光ファイバ、31,41…出射光、40…半導体レーザ。

Claims (6)

  1. 光源からの出射光を物体光と参照光に分割し、被検レンズによる位相差を受けた物体光と参照光を合成して干渉縞を発生させる干渉計と、前記干渉縞を検出する干渉縞検出手段と、該干渉縞検出手段の出力に基づいて前記被検レンズの波面収差を求め、該波面収差に基づいて前記被検レンズの各種評価値を算出する演算手段とを備えるレンズ性能評価装置において、
    前記演算手段は、前記波面収差に基づいて前記各種評価値を算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをして前記各種評価値を算出することを特徴とするレンズ性能評価装置。
  2. 前記演算手段は、前記各種評価値の一つとして前記波面収差のRMS値を算出する際に、被検レンズの実使用状態での入射光の強度分布に対応する重み付けをすることを特徴とする請求項1に記載のレンズ性能評価装置。
  3. 前記被検レンズの実使用状態での入射光として単一モード光ファイバからの出射光を用い、該出射光を前記被検レンズに入射させる場合、前記演算手段は、光スポット形状が円形のガウシアンビームである前記出射光の強度分布に対応する重み付けをして前記RMS値を算出することを特徴とする請求項2に記載のレンズ性能評価装置。
  4. 前記被検レンズの実使用状態での入射光として楕円状の発光強度分布をもつ半導体レーザの出射光を用い、該出射光を前記被検レンズに入射させる場合、前記演算手段は、光スポット形状が楕円状のガウシアンビームである前記出射光の強度分布に対応する重み付けをして前記RMS値を算出することを特徴とする請求項2に記載のレンズ性能評価装置。
  5. 前記演算手段は、前記各種評価値の一つとして、前記被検レンズの瞳面における光の複素振幅のフーリエ変換の2乗で表される点像強度分布関数を前記波面収差に基づいて算出する際に、前記点像強度分布関数を、前記複素振幅に前記被検レンズの実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをして算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ性能評価装置。
  6. 前記演算手段は、前記各種評価値の一つとして、単一モード光ファイバに対する前記被検レンズの結合効率を、同光ファイバの近視野像と、前記被検レンズの実使用状態での光の強度分布に対応する重み付けをした前記複素振幅のフーリエ変換とに基づいて算出することを特徴とする請求項5に記載のレンズ性能評価装置。
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