JP2011080875A - 屈折率分布の測定装置及び測定方法 - Google Patents

屈折率分布の測定装置及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マッチング液を用いることなく、収差測定からレンズ内の屈折率分布を測定する屈折率の測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】光源と、該光源からの光束を収束させてスポット像を形成させる被検レンズと、フォーカス面又は該フォーカス面の近傍でスポット像を撮像する撮像手段と、光束と被検レンズとの間に光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルト手段と、複数のチルト角度で撮像されたスポット像のそれぞれから収差解析を行う収差解析手段と、屈折率分布を同定する同定手段とを備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、マッチング液を用いることなく、収差測定からレンズ内の屈折率分布を測定する屈折率分布の測定装置及び測定方法に関する。
近年、コンタクトレンズや眼鏡にはもちろん、光学記録用ピックアップ用レンズやカメラレンズなどの光学機器に使用される光学レンズの材料として、プラスチックレンズを用いることが多くなっている。プラスチックレンズは、ガラスレンズに比べ、軽量かつ耐衝撃性に優れ、また射出成型等により製造されるため自由表面の実現や量産が容易であるという利点がある。
しかしながら、射出成型等により製造されるプラスチックレンズは、射出時や冷却時の温度、圧力、射出速度等の様々な要因により、ガラスレンズに比べ、屈折率分布が生じやすく、レンズの内部に不均一性を生じることがある。このように屈折率分布が生じることにより結像性能は大きく劣化し、光学特性に大きな影響を及ぼし、画質の劣化やボケといった原因につながる。このため、プラスチックレンズの結像性能向上のために屈折率分布測定が必要である。また、より高品質なプラスチックレンズを製造する上で、製造時における温度、圧力等の条件設定の適切化を行うためにも、屈折率分布測定は重要である。
そこで、従来より用いられている屈折率分布の測定方法として、例えば特許文献1に記載され、図1及び図2に示すようなレーザ干渉によるCT解析手法があげられる。すなわち、従来のCT解析手法は、図1に示すように、まず、レンズ110の表面におけるレーザ光111の屈折を防ぐために屈折率がレンズ110とほぼ等しい液体(マッチング液)112にレンズ110を浸し、次に、図2に示すように、レンズ110を0(deg)から180(deg)まで回転させ、各回転角における波面を測定し、最後に、干渉計113を用いてCT解析により屈折率分布を再構成する方法である。
しかしながら、マッチング液112が用いられるCT解析手法には以下に挙げる問題点があった。
(1)マッチング液に四塩化炭素、ジエチルエーテル等の人体に有毒な有機溶剤系の物質が含まれている。さらに、マッチング液によってプラスチックレンズの表面が侵食されてしまい、このように表面が侵食されたプラスチックレンズは使用することができない。
(2)屈折率の異なるレンズの分布を測定するたびにマッチング液の調整が必要である。
(3)マッチング液に温度分布があると透過波面に歪みが生じ、測定誤差の原因となるため、その温度を均一にする必要がある。
(4)屈折率分布再構成のために多数の回転角での測定データが必要であり、測定時間が長い。
特開2005−201724号公報
本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、マッチング液を用いることなく、収差測定からレンズ内の屈折率分布を測定する屈折率の測定装置及び測定方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、光源と、該光源からの光束を収束させてスポット像を形成させる被検レンズと、フォーカス面又は該フォーカス面の近傍で前記スポット像を撮像する撮像手段と、前記光束と前記被検レンズとの間に前記光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルト手段と、前記複数のチルト角度で撮像された前記スポット像のそれぞれから収差解析を行う収差解析手段と、屈折率分布を同定する同定手段とを備えることを特徴とする屈折率分布の測定装置を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記収差解析手段は、デフォーカス面における前記スポット像の強度分布の測定値及びスポット像の計算モデルの重み付二乗残差で与えられる目的関数を最小化する手段を備えることを特徴とする屈折率分布の測定装置を提供することによって、効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、前記同定手段は、屈折率分布をパラメータ表現し、該パラメータを最小二乗問題を解くことにより同定する手段を備えることを特徴とする屈折率分布の測定装置を提供することによって、より効果的に達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、前記撮像手段は顕微鏡であることを特徴とする屈折率分布の測定装置を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明の上記目的は、光源から出射された光束が被検レンズを通過して収束してスポット像を形成するスポット像形成ステップと、フォーカス面又は該フォーカス面の近傍で前記スポット像を撮像する撮像ステップと、前記光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルトステップと、前記複数のチルト角度で撮像された前記スポット像のそれぞれから収差解析を行う収差解析ステップと、屈折率分布を同定する同定ステップとを備えることを特徴とする屈折率分布の測定方法を提供することによって達成される。
また、本発明の上記目的は、前記収差解析ステップは、デフォーカス面における前記スポットの強度分布の測定値及びスポット像の計算モデルの重み付二乗残差で与えられる目的関数を最小化することを特徴とする屈折率分布の測定方法を提供することによって、効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、前記同定ステップは、屈折率分布をパラメータ表現し、該パラメータを最小二乗問題を解くことにより行われることを特徴とする屈折率分布の測定方法を提供することによって、より効果的に達成される。
さらにまた、本発明の上記目的は、前記撮像ステップは顕微鏡を用いて行われることを特徴とする屈折率分布の測定方法を提供することによって、より効果的に達成される。
本発明に係る屈折率分布の測定装置によれば、光源と、該光源からの光束を収束させてスポット像を形成させる被検レンズと、フォーカス面又は該フォーカス面の近傍でスポット像を撮像する撮像手段と、光束と被検レンズとの間に前記光束に対して相対的にチルトを与えるチルト手段と、複数のチルト角度で撮像された前記スポット像のそれぞれから収差解析を行う手段と、屈折率分布を同定する手段とを備えるので、マッチング液を用いることなく、収差解析から屈折率分布の測定を行うことができる。また、従来のCT解析法に比べて、屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができるので、同定に必要な測定情報を低減させて、屈折率分布を測定することができる。
また、本発明に係る屈折率分布の測定方法によれば、光源から出射された光束が被検レンズを通過して収束してスポット像を形成するスポット像形成ステップと、フォーカス面又は該フォーカス面の近傍で前記スポット像を撮像する撮像ステップと、前記光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルトステップと、複数のチルト角度で撮像されたスポット像のそれぞれから収差解析を行う収差解析ステップと、屈折率分布を同定する同定ステップとを備えるので、マッチング液を用いることなく、収差解析から屈折率分布の測定を行うことができる。また、従来のCT解析法に比べて、屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができるので、同定に必要な測定情報を低減させて、屈折率分布を測定することができる。
従来のマッチング液を用いた屈折率分布の測定装置の概略を示す図である。 従来のマッチング液を用いた屈折率分布の測定装置の概略を示す図である。 本発明に係る屈折率分布の測定装置の概略を示す構成図である。 本発明の光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルト手段の変更例を示す概略図である。 本発明の光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルト手段の他の変更例を示す概略図である。 本発明の光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルト手段のさらに別の変更例を示す概略図である。 所定の角度だけ回転したレンズを通過する光線の概観を示す図である。 レンズの形状及びソース点の概観を示す図である。 レンズの正確な屈折率分布を示す図である。 レンズの回転角が0[deg]のときの光路差の擬似測定値を示すグラフである。 適切化を行わない場合のレンズの屈折率の変化量の同定結果を示す図である。 適切化を行わない場合のレンズの屈折率分布の大きさに対する誤差の分布を示す図である。 適切化を行った場合のレンズの屈折率の変化量の同定結果を示す図である。 適切化を行った場合のレンズの屈折率分布の大きさに対する誤差の分布を示す図である。 偏心がある場合のレンズの屈折率分布を示す図である。 偏心があるレンズの適切化を行った場合の屈折率の変化量の同定結果を示す図である。 偏心があるレンズの適切化を行った場合の屈折率分布の大きさに対する誤差の分布を示す図である。 入射光の方向から光軸が傾けられた光学系のための座標系を定義する概略図である。 入射光の方向から光軸が傾けられた光学系の射出瞳形状を示す概略図である。 ローパスフィルタの円形の窓がスポット強度の空間スペクトルのいくつかの情報を除去する様子を示す概略図である。 収差係数を示すグラフである。 収差係数の誤差を示すグラフである。 デフォーカス面上において模擬的に作成したスポット像を示す図である。 デフォーカス面上において収束計算後のスポット像を示す図である。 収差解析手段の実験装置の概略図である。 実験により得られた収差係数を示すグラフである。 実験により得られた収差係数の10回の測定の標準偏差を示すグラフである。 実験により観測したスポット像を示す図である。 実験により得られたスポット像の収束計算後のスポット像を示す図である。
以下、本発明に係る屈折率分布の測定装置及び測定方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明に係る屈折率分布の測定装置及び測定方法は、以下の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内において、その構成を適宜変更できることはいうまでもない。
図3に、本発明に係る屈折率分布の測定装置1(以下、「本測定装置1」)の概略構成図を示す。図3に示すように、本測定装置1は、光源2と、被検レンズ3と、撮像手段4と、チルト手段5と、収差解析手段6と、同定手段7とを具備して構成されている。
光源2は、スポット像Pを形成するための光束21を出射するもので、半導体レーザが好適に用いられるが、この他にも種々の光源2を用いることができる。
被検レンズ3(以下では、単に「レンズ3」とも言う。)は、光源2から出射された光束21を通過させて収束させ、スポット像Pを形成させるものである。この被検レンズ3としては、公知の種々のものを用いることができるが、被検レンズ3としてダブルレンズのものを用いる場合は、被検レンズ3の他にコリメートレンズを配設することが好ましい。
撮像手段4は、フォーカス面又はフォーカス面の近傍でスポット像Pを撮像する手段であり、顕微鏡やCCD等が用いられる。特に、撮像手段4として顕微鏡が用いられると、本測定装置1の製造コストが低くなるとともに、多くの微調整が不要となるという利点もある。ここで、フォーカス面とはスポット像Pが形成された焦点位置面であり、また本願発明で言うフォーカス面の近傍とは、λを光源2の波長、NAをスポット像Pの開口数としたときの、フォーカス面からλ/(NA)の5倍以内の位置を言う。
チルト手段5とは、光束21に対して相対的に複数のチルト角度を与える手段であり、被検レンズ3を回転させることができるスウィベルステージ(回転台)等の種々のものを用いることができる。また、本測定装置1が備えるチルト手段5は、図1に示すような1枚の被検レンズ3を回転させる手段だけでなく、本測定装置1が、例えば図4に示すような2枚以上(図4では3枚)の被検レンズ3A,3B,3Cで構成されている光学系を有する場合であっても、少なくとも1枚(図4では被検レンズ3B)の被検レンズ3をチルトさせることにより、光束21に対して相対的に複数のチルトを与えることも可能である。あるいは図5に示すように、被検レンズ3を、複数枚(図5では3枚)の被検レンズ3D,3E,3Fを被検組みレンズ3´とし、この被検組みレンズ3´全体をチルトさせて光束21に対して相対的に複数のチルト角度を与えることも可能であり、さらにまた、撮像手段4として顕微鏡が用いられた場合、図6に示すように、顕微鏡の対物レンズとして被検レンズ3を利用し、被検レンズ3をチルトさせることも可能である。さらにまた、上記のように被検レンズ3をチルトさせるのみならず、図示しないが、光源2をチルトさせて光束21に対して相対的に複数のチルト角度を与えることも可能である。
収差解析手段6は、複数のチルト角度で撮像されたスポット像Pのそれぞれから収差解析を行う手段である。この収差解析手段6は、デフォーカス面におけるスポット像Pの強度分布の測定値及びスポット像Pの計算モデルの重み付二乗残差で与えられる目的関数を最小化する手段を備える。なお、収差解析を行う方法については後述する。
同定手段7は、被検レンズ3内の屈折率分布を同定する手段である。この同定手段7は、屈折率分布をパラメータ表現し、このパラメータを最小二乗問題を解くことにより同定する手段を備える。
本測定装置1は、上述し、図1に示すように構成することにより、マッチング液を用いることなく被検レンズ3内の屈折率分布を測定することができる。さらに、被検レンズ3内の屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができるので、従来のCT解析法に比べ未知数の数を減らし、同定に必要な測定情報を低減させることもできる。
以下、本測定装置1に備えられる同定手段7及び収差解析手段6について、より詳細に説明する。まず、同定手段7としては、重調和方程式を利用する方法がある。すなわち、重調和方程式の基本解を基底とし、基本解の重ね合わせによりレンズ3内の屈折率分布を表すことにより、レンズ3内の屈折率分布をモデル化し、屈折率分布をパラメータ表現する方法である。これにより、レンズ3内の屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができるため、従来のCT解析法に比べ未知数の数を減らし、同定に必要な測定情報を低減させることができる。
(レンズ3内の屈折率分布のモデル化)
まず、レンズ3内の屈折率分布
を下記の(数1)に示すように、レンズ3の屈折率の設計値である
と屈折率の微少な変化量分布
に分解する。
このとき、屈折率の変化量分布
は滑らかであると仮定できるので、下記の(数2)を満足する関数であるとモデル化する。
ここで、
は適当に配置した
個のソース点であり、
はソース点
における集中ソースである。また、
はDiracのデルタ関数である。
(数2)の解は重調和方程式の基本解
の重ね合わせにより(数3)で表される。
ここで、
は屈折率の変化量分布のオフセット量である。
基本解
は2次元問題では下記の(数4)、(数5)、(数6)となる。
ここで、
はそれぞれx軸、y軸方向の代表長さを表す。
従って、上記(数3)は、下記の(数7)、(数8)、(数9)のように書き換えることができる。
ここで、
はベクトル、添え字
は転置を示す(以下、同様)。
(数7)〜(数9)より、各ソース点における集中ソース
および屈折率の変化量分布のオフセット量
をパラメータとして与えることによって、レンズ3の領域内の屈折率の変化量分布
を求めることができる。
(レンズ3内を通過する光線の近似)
レンズ3内に屈折率分布が存在すると、そこを通過する光線は曲線を描く。一方、プラスチックレンズ3内に発生する屈折率分布の大きさは10−5程度である。厚さが数[mm]のレンズ3では、レンズ3内の光線が直線からずれることにより光路長の変化は、レンズ3内に屈折率分布が発生することによる光路長の変化に比べ1/100程度である。よって、本測定装置1ではレンズ3内の光線を直線で近似し、屈折率分布による光路長の変化のみを考慮する。これにより、後述する逆解析の目的関数の計算を簡便にし、最適化問題を効率化し、最小二乗法で解ける形に変形することができる。
図7に所定の角度だけ回転したレンズ3を通過する光線rの概観を示す。図7に示すように、xy平面上においてレンズ3が回転角
にあるとする。これにx軸に平行に入射した光線rが点
を通りレンズ3の外へ射出するとする。前述したように、本測定装置1ではレンズ3内の光線rを直線で近似することができるので、光線rは
間および
間をそれぞれ直線で結ぶように進むとする。
を数値計算する光線rの本数とし、光線rの初期位置
まで変化させたとき、レンズ3の入射点
および射出点
がこれと対応するとする。このとき、
の座標はレンズ3の形状および屈折率の設計値
を与えることで、解析的あるいは簡単な光線追跡により求めることができる。
(逆問題の設定)
をサンプル点とする。波面収差の測定値からサンプル点
で、レンズ3内に屈折率分布がある場合とない場合との光路差
が得られたとする。この光路差
の値をもとに集中ソース
および屈折率の変化量分布のオフセット量
を最小二乗法を用いて同定する。

における波面収差の計算値
は光路長の差となるため、集中ソース
および屈折率の変化量分布のオフセット量
が与えられたとき、点
における波面収差の計算値
は下記の(数10)で得られる。
ここで、
は空気中の屈折率、
は光線rに沿った積分を示す。
この(数10)は、上記(数1)、(数7)〜(数9)より下記の(数11)、(数12)、(数13)のように書き換えられる。
ここで、点
の座標を

の座標を
とする。
ここで、点
の座標を
の座標を
とする。
(数11)〜(数13)は、上記(数7)〜(数9)より下記の(数14)のようになる。
この(数14)の右辺の積分項は既知関数の積分のため、適当な数値積分法を用いて計算できる。従って、上記(数14)は下記の(数15)及び(数16)のように表せる。
ここで、
はレンズ3の設計値から求められる既知ベクトルである。
ここで、
はレンズ3の設計値から求められる既知ベクトルである。
レンズ3の回転角
までとし、測定のサンプル点数を
とするとき、測定値との残差にTikhonovの適切化項を加えた目的関数
を下記の(数17)のように定義する。
レンズ3の回転角によってはレンズ3表面での全反射等により入射した光線rがすべて射出されないため、
の変数となる。従って、下記の(数18)のように行列
を定義し、また下記の(数19)のようにベクトル
を定義する。
上記
により、
は下記の(数20)のように表される。
を最小にする
は、最小二乗法より下記の(数21)のようになる。
以上より
を求めることによってレンズ3内の屈折率の変化量分布を同定することができる。すなわち、レンズ3の屈折率分布を同定し、レンズ3内の屈折率分布を測定することができる。
次に、数値解析例を示すことにより、本測定装置1が備える同定手段7の有効性を確認する。
(屈折率分布に偏心がない場合)
(問題設定)
図8にレンズ3の形状及びソース点の概観を示す。図8に示すようなレンズ3を考え、レンズ3の屈折率分布のモデル化に用いるソース点を49点配置する。このレンズ3の屈折率の設計値を1.49、x軸方向の代表長さ
をレンズ3の厚さ4.9[mm]、y軸方向の代表長さ
をレンズ3の径11.4[mm]とする。レンズ3の形状は片凸であり、凸面の形状は下記の(数22)で表される。
ここで、面の頂点曲率
コーニック係数
非球面係数
は以下の通りである。
図9にレンズ3内の正確な屈折率分布を示す。レンズ3の内部に図9に示す屈折率の変化量分布
が存在するとする。この
は下記の(数23)で設定した。
ここで
とする。
レンズ3の回転角
を−30[deg]から30[deg]まで1[deg]ごとにとり、収差の側転点数を201、入射光の波長をλ=650[nm]とした。すなわち、光束21に対して相対的に複数のチルト角度を与え、各チルト角度におけるスポット像Pをそれぞれ本測定装置1の撮像手段4にて撮影した。
各サンプル点
における屈折率分布がある場合と無い場合の光路差を光線追跡により求める。この計算結果に±2.5[mλ]のランダムノイズを加え、20次の多項式で展開し高周波成分を取り除いたものを擬似的な測定値とする。一例として、レンズ3の回転角が0[deg]のときの光路差の擬似測定値を図10に示す。
このようにして得られた擬似測定値を用いてレンズ3の屈折率の変化量(レンズ3の屈折率分布)を同定し、レンズ3内の屈折率分布を測定する。
(同定結果)
Tikhonovの適切化パラメータ
を0.0、すなわちTikhonovの適切化を行わない同定手法による屈折率の変化量の同定結果を図11に、この場合の屈折率分布の大きさ
に対する誤差の分布を図12に示す。図12より、誤差は最大で約7[%]となっている。これは、従来手法の精度が約5[%]程度であるのに比べわずかに大きい。
従って、Tikhonovの適切化を行うことで同定精度の向上を図る。すなわち、適切化パラメータ
を0.0001とした場合の同定手法による屈折率の変化量の同定結果を図13に、この場合の屈折率分布の大きさ
に対する誤差の分布を図14に示す。図14より、Tikhonovの適切化を行うと、同定精度が約4[%]程度であり、従来手法と同程度の精度で屈折率分布が得られることが確認された。
(屈折率分布に偏りがある場合)
(問題設定)
図15に、偏心がある場合のレンズ3の屈折率分布を示す。図15に示すように屈折率の変化量分布
がy軸方向へ偏心しているとする。この
は、下記の(数24)及び(数25)で設定した。
その他の問題設定を、屈折率に偏りがない場合の問題設定と同様にし、擬似測定値を計算した後、これを基にレンズ3の屈折率の変化量分布を同定する。Tikhonovの適切化パラメータ
も前記と同様に0.0001とした。
(同定結果)
本測定装置1による屈折率の変化量の同定結果を図16に、屈折率分布の大きさ
に対する誤差の分布を図17に示す。図17より、レンズ3の屈折率の変化量分布に偏りがある場合に対しても、本測定装置1の同定手段7は同定精度が約4[%]程度であり、従来手法と同程度の精度であることが確認された。
このように、本測定装置1に同定手段7を備えることにより、逆解析によってレンズ3内の屈折率分布を測定することができるようになる。特に、屈折率分布をパラメータ表現し、このパラメータを最小二乗問題を解くことにより同定することにより、屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができる。従って、従来のCT解析法に比べ未知数の数を減らし、同定に必要な測定情報を低減させることができ、これによりマッチング液の使用および数多くの回転角における収差測定が不要となり、レンズ3の視野角の範囲の回転角における収差の測定情報から屈折率分布の同定を可能とした。
さらに、数値解析例により、ノイズをもつ測定情報から従来手法と同程度の精度で、レンズ3内における屈折率分布の偏心の有無に関わらず屈折率分布の同定が可能であることを示した。
次に、本測定装置1が備える収差解析手段6について説明する。本測定装置1に備えられる収差解析手段6は、上述したように、デフォーカス面におけるスポット像Pの強度分布の測定値及びスポット像Pの計算モデルの重み付二乗残差で与えられる目的関数を最小化する手段であり、さらに光軸外のスポット像Pからの収差解析を行うことができる手法である。
この手法では、まずレンズ3に入射する平行光に対してレンズ3の光軸を傾けた光学系を考える。このとき、予めこの光学系における射出瞳形状を評価し、空間スペクトル(=瞳関数)の台の形状をこの射出瞳形状でモデル化する。また、測定したスポット像Pにローパスフィルタを施すことにより、高周波ノイズを除去する。このとき、カットオフ周波数を空間スペクトルの台の形状から決定する。これにより、光軸外のスポット像Pのように、一般に射出瞳の形状が円形でない光学系であっても、高精度かつ高効率に収差解析を行うことができる。
(光軸外結像における射出瞳形状)
図18に、入射光の方向から光軸lが傾けられた光学系のための座標系を定義する概略図を示す。入射光の方向をz軸とし、図18のようにz軸に垂直に立てた面
を考える。この面に対し、
面上で
軸回りに
軸を
だけ回転した軸を
とする。
面に対して光軸lが垂直となるようにレンズ3を配置する。
このレンズ3へz軸に平行な光線束8が入射すると、これらの光線束8はレンズ3通過後に近似的に1点で交わる。この点において、z軸に垂直な像面9を立て、像面9の中心を原点
とした座標系
を考える。このとき、像面9側から見た絞りの像を射出瞳と呼ぶ。特に、図18の光学系においては、
面へのレンズ3の投影像が射出瞳である。そこで、
面を射出瞳面と定義する。以下では、これらの座標系をレンズ3の半径で規格化する。
レンズ3を傾けた場合の見かけ上の焦点距離
(Effective Focul Length)、及び
方向の開口数
(Numerical Aperture)は、レンズ3の開口数を
として簡単な幾何計算により次の(数26)及び(数27)のように求められる。なお、添え字
はレンズ3を角度
だけ傾けたことを表している。
このように
を用いると、射出瞳面上の点
座標系上では
となる。同様に、射出瞳面から角度
だけ傾けた面上の点
は、
となる。
ここで、射出瞳面から角度
だけ傾けた面上の点
は、
をレンズ3の縁上の点であるとすると、媒介変数
を用いて、下記の(数28)のようにおくことができる。
さらに、
を延長して射出瞳面と交わる点であるとすると、下記の(数29)で表される
の軌跡が射出瞳の縁を表す。

ただし、
であり、下記の(数30)で与えられる。
よって、図19で示される入射光の方向から光軸が傾けられた光学系の射出瞳形状のように、光線の通過する領域
すなわち射出瞳形状は上記(数29)及び(数30)から
を消去することにより下記の(数31)で与えられる。
ここで、
はそれぞれ楕円の長軸半径、短軸半径、
方向の平行移動量を表し、下記の(数32)である。
(光軸外スポット像Pのモデル化)
スポット像Pからの収差解析手法では、観測したスポット像Pの強度分布からスポット像Pの空間スペクトルを逆解析により同定する。このとき、空間スペクトルが複素振幅分布であるのに対し、スポット像Pは位相情報が欠落した強度分布である。このため逆解析を行うにあたって、欠落した情報を補うためにデフォーカス像を複数枚用いる。
フォーカス面における複素振幅分布を
これに対する任意のデフォーカス面の複素振幅分布を
とする。ここで、
はデフォーカス面に対する添え字とする。また、波面収差を
とする。このとき、これらの間で以下の(数33)及び(数34)に示す関係式が成り立つ。
また、
はそれぞれ
の空間スペクトルとする。また、
は空間周波数の極座標系座標値を最大空間周波数
で規格化した極座標系座標値である。また、(数34)中の
は光伝播を表す式であり、下記の(数35)で与えられる。
ここで、
はデフォーカス距離である。
このとき、デフォーカス面のスポット像Pの複素振幅分布は下記の(数36)で与えられる。
これまでの定式は、従来と同様であるが、レンズ3の結像系においては、射出瞳面上の複素振幅分布とスポット像Pの空間スペクトルが等しいと仮定できるため、光軸外スポット像Pにおける空間スペクトルの台の形状は、射出瞳形状と同じ楕円形となる。つまり、光軸外スポット像Pに対しては上記(数36)における積分領域
が上記(数31)で示す楕円形となる。
このとき、(数36)は、下記の(数39)のようになる。
ただし、
はそれぞれ
の極座標系座標値である。
次に、空間スペクトル
を下記の(数40)〜(数42)のように、Zernike多項式で展開する。なお、
は展開級数である。
Zernike多項式の基底関数は直行系を成すので、
との間の関係が下記の(数43)及び(数44)により与えられる。
また、Zernike多項式の基底関数のフーリエ変換
は下記の(数45)で与えられる。
つまり、デフォーカス面のスポット像Pの複素振幅分布は、基底関数
を用いて下記の(数46)で与えられる。
以上のように空間スペクトルを解析的にフーリエ変換可能な基底関数を用いて級数展開することにより、(数39)の計算を数値的に行う必要がなくなり、計算を効率化することができる。
デフォーカス面の空間スペクトル分布を表す係数
を並べたベクトルを
それに対応する基底関数
を並べたマトリックスを
とする。また、
を空間的に離散化したベクトルを
とする。このとき、上記(数46)の離散表現は下記の(数47)となる。
また、フォーカス面の空間スペクトル分布を表す係数
を並べたベクトルを
とすると、上記(数43)は
との間の線形関係を表しており、この線形変換マトリックスを
とすると、(数43)は下記の(数48)で表すことができる。
(数47),(数48)より、係数ベクトル
とフォーカス面スポット像Pの複素振幅分布を並べたベクトル
との関係が下記の(数49)で与えられる。
(数49)により、収差
仮定されると、
面におけるスポット像Pの複素振幅分布の離散表現が効率的に計算可能となる。また、
とデフォーカス面におけるスポット像Pの強度分布
の間の関係は下記の(数50)で与えられる。
よって、スポット像Pの離散分布
の間の関係は下記の(数51)となる。
ここで、添え字
はベクトルの
番目の成分を表す。
(光軸外スポット像Pからの収差解析手法)
測定したデフォーカス面におけるスポット像Pの強度分布
から、フォーカス面の空間スペクトルを表す提示にZernike係数
を求める逆問題を定式化する。
測定したデフォーカス面におけるスポット像Pの強度分布とスポット像Pの計算モデルの二乗残差
は下記の(数52)で与えられる。ただし、
は重み行列である。
BFGS法などの非線形計画法による上記(数52)を最小化することで、フォーカス面の空間スペクトルを表す提示のZernike係数
を同定する。
求めた
から下記の(数53)、(数54)の関係式を用いて、波面収差
及び波面収差係数
を求める。
ここで、
の組み合わせを適当な順に並べた添え字である。このとき収差係数
はFringe Zernike係数の順に並べるのが一般的である。従って、本明細書においても、収差係数
をFringe Zernike係数の順に並べる。
(光軸外スポット像Pに対するローパスフィルタ)
CCDなどの撮像手段4を用いて観測したスポット像Pには高周波な信号ノイズが含まれると考えられる。そこで、従来手法においては、観測したスポット像Pにローパスフィルタを施すことで、高周波ノイズを除去している。このとき、スポット像Pに含まれる最大空間周波数は
であり、これより大きい周波数成分は測定ノイズであると考えられるため、ローパスフィルタのカットオフ周波数を方向
に依らず
で一定としている。しかし、光軸外のスポット像Pの空間スペクトルの台の形状は、下記の(数55)で与えられる楕円形になるため、方向
に依って最大空間周波数
が変化する。ただし、
はスポット像Pの強度分布に対する空間周波数座標系を
で規格化した直交座標系座標値である。
このため、このままカットオフ周波数でローパスフィルタを施すと、図20に示すように、本来スポット像Pが有する周波数特性の一部を失う可能性がある。
そこで、本測定装置1に備える収差解析手段6では、ローパスフィルタの通過帯域を上記(数55)で与えられる楕円形とする。これにより、本来スポットが有する周波数特性を失うことなく、高周波ノイズを除去することができる。
(数値シミュレーションによる誤差の検証)
(解析条件)
解析対象(すなわち、被検レンズ3)は
の携帯電話搭載用カメラレンズとする。また、波長は660[nm]とし、レンズ3の傾角
として数値シミュレーションを行う。Zernike多項式はフォーカス面、デフォーカス面ともに低次の37項を用いる。
まず、以下のように模擬的にスポット像Pを作成する。180倍の顕微鏡対物レンズを解して256階調(8bit)のCCDで撮影することを想定し、フォーカス面でのスポット像Pの中心強度を最大強度である255とする。焦点位置から−16200[nm]及び7500[nm]デフォーカスさせた像を用い、これに±0.5階調のランダムノイズと0.5階調のバックグラウンドレベルのオフセット値を与える。
作成した像に対し、ローパスフィルタを施した後、二次リングをおおよそカバーできる範囲を解析領域とし、これを59×59点に離散化して解析を行う。
また、重み行列
は下記の(数56)で定める。
ここで、
は本発明者の経験により0.02とする。
(解析結果)
上述した収差解析手段6により得られた収差係数
を図21に示し、また得られた収差係数の誤差を図22に示す。また、デフォーカス面において模擬的に作成したスポット像Pの強度分布を図23に示し、さらにデフォーカス面における収束計算後のスポット像Pを図24に示す。なお、図23及び図24のそれぞれの軸は255階調に規格化された無次元強度である。
図23及び図24から、収束計算後の2枚のデフォーカス像はともに、分布全体に渡って模擬的に作成したスポット像Pとよく一致しているが、ピーク付近でわずかにずれが生じていることが確認された。これに伴い、収差係数の誤差が最大で10[mλ]程度発生していることが確認された。
(実験による誤差の検証)
(実験条件)
実験装置の概観を図25に示す。光学系は顕微鏡光学系となっている。チルト手段5により、被検レンズ3をチルトさせることができる。解析対象は、
の携帯電話搭載用カメラレンズとする。また、波長は650[nm]とし、レンズ傾角が8[degree]として解析を行う。Zernike多項式はフォーカス面、デフォーカス面ともの低次の37項を用いる。
まず、180倍の顕微鏡を用いてスポット像Pを取得する。この時、焦点位置から−16200[nm]及び7500[nm]デフォーカスさせたスポット像Pを取得する。
取得した像に対し、ローパスフィルタを施した後、二次リングをおおよそカバーできる範囲を解析領域とし、これを59×59点に離散化して解析を行う。
また、重み行列は、上述した「数値シミュレーションによる誤差の検証」の数値解析で用いたものと同じに設定した。
(実験結果)
得られた収差係数
を図26に、収差係数の10回の測定の標準偏差を図27に示す。また、デフォーカス面上において観測したスポット像Pを図28に、デフォーカス面上において観測したスポット像Pの収束計算後のスポット像Pを図29に示す。なお、図28及び図29のそれぞれの軸は255階調に規格化された無次元強度である。図28及び図29から、収束計算後の2枚のデフォーカス像はともに、分布全体に渡って測定したスポット像Pとよく一致しているが、上述した数値解析と同様に、ピーク付近でわずかにずれが生じていることが確認された。これに伴い、収差係数の誤差が最大で10[mλ]程度発生したと考えられる。一方で、図22から分かるように、10回の計測における標準偏差は係数全域にわたって1[mλ]以内に収まっており、十分な精度が得られることを確認できた。
このように、本測定装置1に備える収差解析手段6は、予めこの光学系における射出瞳形状を評価し、空間スペクトルの台の形状をこの射出瞳形状でモデル化し、また、スポット像Pの空間スペクトルを級数展開することで、計算の効率化を行い、さらに、光軸外スポット像Pに適用可能な新たなローパスフィルタを施す手法である。これにより、射出瞳の形状が円形でない光学系(楕円形である光学系)であっても、高精度かつ高効率に収差解析を行うことができるようになる。
このように、本測定装置1によれば、光源2と、該光源2からの光束21を収束させて前記スポット像Pを形成させる被検レンズ3と、フォーカス面又は該フォーカス面の近傍で前記スポット像Pを撮像する撮像手段4と、光束21と被検レンズ3との間に光束21に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルト手段5と、複数のチルト角度で撮像されたスポット像Pのそれぞれから収差解析を行う収差解析手段6と、屈折率分布を同定する同定手段7とを備えるので、マッチング液を用いることなく、収差解析から屈折率分布の測定を行うことができる。また、従来のCT解析法に比べて、屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができるので、同定に必要な測定情報を低減させて、屈折率分布を測定することができる。
次に、本発明に係る屈折率分布の測定方法について説明する。本発明に係る屈折率分布の測定方法(以下、「本測定方法」と言う。)は、スポット像形成ステップと、撮像ステップと、チルトステップと、収差解析ステップと、同定ステップとを備える。すなわち、
すなわち、本測定方法は、上述した本測定装置1を用いて測定され、上述したスポット像形成ステップと、撮像ステップと、チルトステップと、収差解析ステップと、同定ステップとを行うことにより、レンズ3内の屈折率分布を測定する方法である。
まず、本測定方法におけるスポット像P形成ステップは、上述した本測定装置1の光源2と被検レンズ3とにより行われるステップで、光源2から出射された光束21を、被検レンズ3を通過させて収束させてスポット像Pを形成するステップである。
次に、撮像ステップとは、スポット像形成ステップで形成されたスポット像Pを、本測定装置1の撮像手段4で撮像するステップである。このとき、スポット像Pはフォーカス面又はフォーカス面の近傍で撮像される。なお、フォーカス面とは、スポット像Pが形成された焦点位置面であり、フォーカス面の近傍とは、光源2の波長をλとし、スポット像Pの開口数をNAとしたとき、フォーカス面からλ/(NA)の5倍以内の位置を言う。
チルトステップとは、上述した本測定装置1のチルト手段5により行われるステップで、光束21に対して相対的に複数のチルト角度を与えるステップである。
収差解析ステップは、チルトステップにて与えられた複数のチルト角度のそれぞれにおいて撮像ステップにて撮像されたスポット像Pのそれぞれから収差解析を行うステップであり、本測定装置1の収差解析手段6で行われる。この収差解析ステップは、デフォーカス面におけるスポット像Pの強度分布の測定値とスポット像Pの計算モデルの重み付二乗残差で与えられる目的関数を最小化して行われると、本測定方法をより高精度かつ高効率で行うことができるので好ましい。なお、収差解析ステップの収差解析方法は、上述の通りである。
また、同定ステップとは、屈折率分布を同定するステップで、本測定装置1の同定手段7で行われるステップである。本測定方法における同定ステップは、屈折率分布をパラメータ表現し、このパラメータを最小二乗問題を解くことにより行われると、屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができるので、従来のCT解析法に比べ未知数の数を減らし、同定に必要な測定情報を低減させることができる。これによりマッチング液の使用および数多くの回転角における収差測定が不要となり、レンズ3の視野角の範囲の回転角における収差の測定情報から屈折率分布の同定を可能となる。なお、同定ステップの同定方法については、上述の通りである。
上述したステップを備える本測定方法は、まず、スポット像形成ステップにてスポット像Pを形成し、このスポット像Pを撮像ステップにて撮像する。その後、チルトステップにて光束21と被検レンズ3との間で光束21に対して相対的にチルト角度を与える。チルト角度が与えられた後、再度スポット像形成ステップにて、与えられたチルト角度におけるスポット像Pを形成し、このスポット像Pを撮像ステップにて撮像する。なお、本明細書では、その一例として上述したように−30〜30[deg]まで1[deg]ごとのチルト角度をチルトステップにて与え、各チルト角度においてスポット像形成ステップでスポット像Pを形成し、チルト角度ごとのスポット像Pを撮像ステップにて撮像するというステップを繰り返す。チルト角度ごとのスポット像Pを撮像ステップにて撮像した後、収差解析ステップにて撮像された複数のスポット像Pのそれぞれから収差解析を行い、同定ステップにて同定して被検レンズ3内の屈折率分布を測定する。
このように、上述した本測定装置1を用い、スポット像形成ステップと、撮像ステップと、チルトステップと、収差解析ステップと、同定ステップとを行う本測定方法によれば、マッチング液を用いることなく、収差解析から屈折率分布の測定を行うことができる。また、従来のCT解析法に比べて、屈折率分布を少ない数のパラメータで表現することができるので、同定に必要な測定情報を低減させて、屈折率分布を測定することができる。
1 本発明に係る屈折率分布の測定装置
2 光源
21 光束
3,3A〜3F,110 被検レンズ(レンズ)
4 撮像手段
5 チルト手段
6 収差解析手段
7 同定手段
8 光線束
9 像面
111 レーザ光
112 マッチング液
113 干渉計
P スポット像
r 光線
l 光軸

Claims (8)

  1. 光源と、
    該光源からの光束を収束させてスポット像を形成させる被検レンズと、
    フォーカス面又は該フォーカス面の近傍で前記スポット像を撮像する撮像手段と、
    前記光束と前記被検レンズとの間に前記光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルト手段と、
    前記複数のチルト角度で撮像された前記スポット像のそれぞれから収差解析を行う収差解析手段と、
    屈折率分布を同定する同定手段と、
    を備えることを特徴とする屈折率分布の測定装置。
  2. 前記収差解析手段は、デフォーカス面における前記スポット像の強度分布の測定値及びスポット像の計算モデルの重み付二乗残差で与えられる目的関数を最小化する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の屈折率分布の測定装置。
  3. 前記同定手段は、屈折率分布をパラメータ表現し、該パラメータを最小二乗問題を解くことにより同定する手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の屈折率分布の測定装置。
  4. 前記撮像手段は顕微鏡であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の屈折率分布の測定装置。
  5. 光源から出射された光束が被検レンズを通過して収束してスポット像を形成するスポット像形成ステップと、
    フォーカス面又は該フォーカス面の近傍で前記スポット像を撮像する撮像ステップと、
    前記光束に対して相対的に複数のチルト角度を与えるチルトステップと、
    前記複数のチルト角度で撮像された前記スポット像のそれぞれから収差解析を行う収差解析ステップと、
    屈折率分布を同定する同定ステップと、
    を備えることを特徴とする屈折率分布の測定方法。
  6. 前記収差解析ステップは、デフォーカス面における前記スポットの強度分布の測定値及びスポット像の計算モデルの重み付二乗残差で与えられる目的関数を最小化することを特徴とする請求項5に記載の屈折率分布の測定方法。
  7. 前記同定ステップは、屈折率分布をパラメータ表現し、該パラメータを最小二乗問題を解くことにより行われることを特徴とする請求項5又は6に記載の屈折率分布の測定方法。
  8. 前記撮像ステップは顕微鏡を用いて行われることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の屈折率分布の測定方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013525060A (ja) * 2010-05-04 2013-06-20 アッコレンズ インターナショナル ビー.ヴイ. 角膜形状解析器
JP2016109670A (ja) * 2014-12-08 2016-06-20 キヤノン株式会社 屈折率分布計測方法、屈折率分布計測装置、及び光学素子の製造方法
CN109313102A (zh) * 2016-01-23 2019-02-05 6超越6视觉有限公司 确定镜片的一个或多个光学参数的装置、系统和方法

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