JP5904896B2 - レンズ検査装置およびレンズ検査方法 - Google Patents
レンズ検査装置およびレンズ検査方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5904896B2 JP5904896B2 JP2012158948A JP2012158948A JP5904896B2 JP 5904896 B2 JP5904896 B2 JP 5904896B2 JP 2012158948 A JP2012158948 A JP 2012158948A JP 2012158948 A JP2012158948 A JP 2012158948A JP 5904896 B2 JP5904896 B2 JP 5904896B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lens
- calibration
- measurement
- unit
- wavefront
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Testing Of Optical Devices Or Fibers (AREA)
Description
面間偏心の検査方法としては、レンズ面の反射光束を測定する方法や、触針などによりレンズ面を3次元計測する方法などが提案されているが、いずれも測定時間が長いという問題がある。このため、面間偏心を短時間で検査する方法が強く求められてきた。
例えば、特許文献1には、測定時間の短縮が可能なレンズ検査装置として、被検レンズの透過光の波面収差を測定することにより面間偏心の合否判定を行うレンズ総合検査機が記載されている。
特許文献1に記載の技術では、透過波面の位相データをツェルニケ(Zernike、ゼルニケ。本明細書では、以下、「ゼルニケ」に統一する)の多項式展開によって近似すると、多項式展開の係数であるゼルニケ係数が、6つの偏心量の1次結合で表されることを利用し、連立方程式を解くことで面間偏心を求めている。この連立方程式の係数行列は、各ゼルニケ係数を各偏心量で偏微分した偏微分係数になっており、特許文献1では、被検レンズの設計値に基づいてコンピュータシミュレーションプログラムから計算される値を利用している。
特許文献1に記載の技術では、面間偏心量を求める連立方程式の係数行列として、被検レンズの設計値に基づいてコンピュータシミュレーションプログラムから計算される値を利用している。
このような光学シミュレーションは、理想的な測定系を前提としているため、実際の波面収差の測定系における波面収差の挙動とのずれが無視できない場合には、測定精度が悪化してしまうという問題がある。
測定系にも、例えば、測定光学系のレンズの製作誤差や配置誤差など、波面収差の誤差要因がある。このため、測定系における測定光束の波面は、光学シミュレーションの波面収差の挙動とは異なる挙動を示す可能性がある。このような誤差要因は、レンズ検査装置ごとにばらつくため、複数のレンズ検査装置間の機差が発生する原因となる。
また、測定光束の波面を表す位相データを多項式展開する空間領域が、実際の測定系と光学シミュレーションとで一致しないために、実際の波面の挙動が光学シミュレーションと一致しない場合もある。
例えば、測定系で検出される光束のうち周辺部は輝度が低下していたり、歪みが生じていたり、光束が真円でなかったりする。さらに、このような周辺部では、画像データを取得する撮像光学系のディストーションの影響もある。
このため、光束の周辺まで含めてゼルニケ多項式によるフィッティングを行うと各項の係数が不安定になりがちである。
一般的には光束に円形のマスクをかけてその内部のみで多項式展開するが、この空間領域を狭くしすぎると、多項式展開のフィッティング誤差が大きくなってしまうおそれがある。
本発明の第1の実施形態のレンズ検査装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のレンズ検査装置の構成を示す模式的なシステム構成図である。図2は、レンズの軸について説明する模式的な断面図である。図3は、レンズの軸の傾斜と面間偏心との関係を示す模式図である。図4は、レンズの面間偏心について説明する模式的な断面図である。図5は、本発明の第1の実施形態のレンズ検査装置のレンズ保持部の構成を示す模式的な構成図である。図6は、本発明の第1の実施形態のレンズ検査装置の制御部の機能構成を示す機能ブロック図である。
まず、レンズ検査装置1で検査可能な面間偏心について簡単に説明する。
例えば、図2に示すように、第1面100aと、第2面100bとを有するレンズ100では、第1面100aの球心O1と第2面100bの球心O2とを通る直線O1O2は、レンズの姿勢を表すレンズの軸OLと考えることができる。
なお、図2は模式図であり見やすいように寸法は誇張している(図3、4も同様)。
図示略のレンズ保持枠に固定する際の位置決め面、例えば、光軸に沿う方向の位置決め用の平面部100cがレンズ100に形成されている場合には、位置決め面の加工誤差等によって、レンズ保持枠の基準軸線O0に対してレンズ100の軸OLが傾いて保持されることになり、光学性能の劣化につながる。すなわち、レンズの軸OLが基準軸線O0に対して許容範囲を超える傾き量で倒れていれば、レンズ保持枠に保持された光学ユニットとして光学性能が確保できなくなり、不良品となる。そのため、レンズの軸OLの基準軸線O0に対する傾きθが規定内かどうかの検査を実施する必要がある。ここで、傾きθは、平面部100cで決まる基準平面H0に直交する軸線に対する傾きとして求めることができる。
例えば、第1面100aの曲率半径(非球面の場合には近軸曲率半径)がr1、第2面100bの曲率半径(非球面の場合には近軸曲率半径)がr2、第1面100aと第2面100bと間の中心部の肉厚がd12であるとする。このとき、球心(非球面の場合は近軸球面の球心)O1、O2、レンズの軸OLと第1面100a、第2面100bと交点a、b、および基準平面H0との関係は、図3に示す三角形で表される。
このため、基準平面H0に沿う方向における球心O1、O2の間のシフト偏心の差は、Δ=(r1−r2−d12)・sinθとなる。
そこで、本実施形態では、図3、4に示すように、このシフト偏心で表した第1面100aと第2面100bとの間の相対的な偏心量Δを、レンズ100の面間偏心と称する。
被検レンズ7の種類は、特に限定されず、凸レンズでもよいし、凹レンズでもよい。また、被検レンズ7の各レンズ面の面形状も特に限定されず、球面でもよいし、非球面でもよい。
結像レンズ25とスクリーン10との間には、アライメント絞り26が設けられている。
また、ビームスプリッター24によって合成された光路の光軸上には、スクリーン10を介して、結像レンズ25と反対側に、補助接写レンズ27、ズームレンズ28、および撮像素子29がこの順に配置されている。
コリメータ14とビームスプリッター16との間には、レーザー光の光束径を決める明るさ絞り15が配置されている。なお、明るさ絞り15は、被検レンズ7となるべく共役な位置に配置することが好ましい。
凸レンズ13は、焦点距離の異なる複数のものが、図示略のスライド機構により切り替え可能に設けられている。
ただし、例えば、従来と同様な面間偏心の測定を行って、被検レンズ7のうちから、面間偏心量が十分小さいものを見つけ出しておき、これを基準レンズ6として用いることも可能である。
また、基準レンズ6は必ずしも被検レンズ7と同一の面形状・同一の肉厚・同一の屈折率でなくてよい。干渉縞が生じ、その干渉縞本数が解析可能な本数内(例えば数10本程度など、干渉縞の識別が可能な範囲)であればよい。例えば被検レンズ7が作りにくい形状の場合、上記の範囲で基準レンズ6の形状・肉厚・屈折率を適宜変更してもよい。
基準レンズ6と被検レンズ7とが回転対称な形状で、解析可能な干渉縞は生ずるようになっていれば、偏心は求めることができる。
このため、入射レンズ8(9)は、基準レンズ6(被検レンズ7)が凸レンズの場合に光路R(S)から退避できるように、例えば、図示略の保持部材に設けられたバイヨネットマウント等のレンズマウントに着脱可能に固定されるか、またはスライダ方式やレボルバ方式による可動機構に保持されている。
また、本実施形態では、入射レンズ8、9はそれぞれ光路R、Sの光軸OR、OS(波面測定部の測定光軸)に沿って移動可能に保持されている。このため、入射レンズ8、9は被検レンズ7の各レンズ面の有効径を十分カバーするような最適な光軸OR、OS上の位置に配置することができる。
入射レンズ8(9)を光路中に配置した場合には、被検レンズ7に対する共役な位置も移動するため、明るさ絞り15は、例えば、凸レンズ13とコリメータ14との間に形成される共役な位置45に配置することが好ましい。
スクリーン10は、レーザーのスペックルパターンを避けるため、毎秒数回回転している。
本実施形態では、光軸OS(OR)に沿う方向の位置決めを行うため、第2面7b(6b)の外周側に隣接して、位置決め平面部7c(6c)が形成されている。位置決め平面部7c(6c)は、レンズの軸に直交する平面を目標として形成されているが、一般には加工誤差が含まれている。
本実施形態では、光路Sにおいてレンズ保持部20が配置された位置では、光路Sの光軸OSが鉛直軸に沿っており、光路Rにおいてレンズ保持部20が配置された位置では、光路Rの光軸ORが水平方向に沿っている。このため、被検レンズ7は、レンズ保持部20上に載置されているが、基準レンズ6は、図示略の押えバネ等で、位置決め状態が保持されている。
レンズ保持部20の保持部は、保持中心軸線Pに直交する平面からなる軸方向保持面20aと、保持中心軸線Pに向かって進退する径方向保持部20bとを備える。
移動ステージ21は、図示略の保持部材に固定され、レンズ保持部20を光軸OS(OR)に直交する2軸方向に移動可能に保持するXYステージ21A(軸直角移動部)と、XYステージ21Aの可動部に固定され、レンズ保持部20を保持中心軸線P回りに回転移動可能に保持する回転ステージ21B(回転移動部)とを備える。
移動ステージ21は、図6に示すように、後述する制御ユニット5からの制御信号によって駆動されるようになっている。
ここで、測定上の最適の高さとは、レンズ保持部20を基準面21aに固定したとき、被検レンズ7(基準レンズ6)の第1面7a(6a)および第2面7b(6b)の有効径を光束が十分覆うことができ、かつ、被検レンズ7(基準レンズ6)通過後の光束が集光レンズ23(22)によってケラレることなく通過し、かつ、被検レンズ7(基準レンズ6)付近の位置とスクリーン10とが光学的に共役となるような高さである。
このため、異なる種類の被検レンズ7(基準レンズ6)を測定する場合には、本実施形態では、その種類に応じたレンズ保持部20に被検レンズ7(基準レンズ6)を保持させて、移動ステージ21の基準面21aに固定するだけでよく、移動ステージ21の光軸OS(OR)に沿う方向の位置は、被検レンズ7(基準レンズ6)の種類が変わっても変更する必要がなくなる
なお、「被検レンズ7(基準レンズ6)付近の位置」は、干渉縞をより鮮明に観察したい位置に応じて適宜設定することができる。例えば、第1面7a(6a)の面のうねりを明瞭に観察するためには、第1面7a(6a)の位置に合わせればよく、同様に第2面7b(6b)に設定してもよい。あるいは、第1面7a(6a)と第2面7b(6b)との中間の一定位置に設定してもよい。
すなわち、干渉計4の測定光学系である集光レンズ23(22)、入射レンズ9(8)、結像レンズ25においても、レンズ設計上の収差がある程度発生することは避けられないが、特に歪曲収差は、後述する波面収差のフィッティングの精度を悪化させる要因となる。
そこで、予め、全光学系の光線追跡を行って歪曲収差が最小となる光軸上の位置が、被検レンズ7付近の位置と共役になる位置からどれだけ移動した位置になるか求めておき、そのような位置にスクリーン10を移動する微調整を行うことが好ましい。
このとき、被検レンズ7付近の位置とスクリーン10との共役関係は多少崩れてもよい。
ズームレンズ28は、補助接写レンズ27で拡大された干渉縞画像を適宜の大きさに変換するものであり、補助接写レンズ27とズームレンズ28とは、ほぼアフォーカルな光学系を構成している。
なお、アライメント絞り26と補助接写レンズ27とは、スクリーン10と一体に光軸に沿う方向に移動可能に支持されている。
撮像素子29は、図6に示すように、後述する制御ユニット5のデータ取得部102と通信可能に接続されている。
また、撮像素子29には、光電変換された干渉縞の映像を表示するモニタ30が接続されている。これにより、操作者は、モニタ30で干渉縞画像をリアルタイムで観測することができる。
制御ユニット5の装置構成は、CPU、メモリ、入出力インターフェース、外部記憶装置などからなるコンピュータからなり、以下に説明する制御、演算を行う制御プログラム、演算プログラムを実行することにより、上記の各機能構成の動作が実現できるようになっている。
表示部31は、測定制御部100から出力される画像情報、文字情報を表示するものである。測定制御部100から出力される情報としては、例えば、測定制御部100が取得した干渉縞画像、測定制御部100が画像処理した画像、操作者が操作入力を行うため測定制御部100が生成した操作画面画像、被検レンズ7の検査結果の情報、後述する校正モードにおける演算結果の数値やグラフなどを挙げることができる。
操作者は、測定制御部100を手動移動モードに設定することにより、操作入力を通じて、移動ステージ21を移動させることができる。例えば、XYステージ21Aを駆動して、レンズ保持部20に保持された基準レンズ6および被検レンズ7の光軸OR、OSに直交する方向の位置を検査基準位置に合わせたり、回転ステージ21Bを駆動して、レンズ保持部20を保持中心軸線P回りに回転させたりすることができる。
検査基準位置は、マッハツェンダー型の干渉計4において基準レンズ6および被検レンズ7を用いて、被検レンズ7の波面収差を測定するための干渉縞が取得される位置であり、詳しくは動作説明の中で説明する。
測定制御部100は、検査モードでは、手動移動モードによって移動ステージ21の位置が検査基準位置に設定されたら、手動移動モードを終了し、設定された検査基準位置を維持する制御を行う。
また、測定制御部100は、校正モードでは、手動移動モードによって移動ステージ21の位置が検査基準位置に設定されたら、自動移動モードに移行し、移動ステージ21のXYステージ21Aを駆動して、校正用測定位置に移動させていく制御を行う。そして校正用の干渉縞の取得が終了したら、検査基準位置にXYステージ21Aの位置を戻す制御を行う。
すなわち、光軸を中心とする極座標(ρ,θ)として、波面データをWi(ρ,θ)(ただし、iは、1以上K以下の整数。Kは撮像素子29の有効画素数。)で表すとき、この波面データWi(ρ,θ)を次式(1)に示す近似関数W(ρ,θ)で表す。
Jの大きさは、被検レンズ7の種類などに応じて、後述する係数算出部105の計算に使用するゼルニケ係数を精度よく計算できる程度の大きさとすればよい。例えば、J=9〜36程度の範囲から選択することが好ましい。
フィッティング演算としては、最小二乗法を採用することができる。
フィッティング演算によって算出された、ゼルニケ係数Zjは、測定制御部100に送出され、測定制御部100によって、記憶部101に記憶される。
ゼルニケ多項式は、nを0以上の整数、mを整数とすると、放射方向の次数nと、回転方向の次数mとにより規定され、それぞれを(n,m)モードのゼルニケ多項式と称する場合がある。ここで、次数nはゼルニケ多項式におけるρの最高次のべき数になっている。
また、各(n,m)モードを適宜の順番に並べたときの配置位置を番号jで表す場合もある。
ゼルニケ多項式の例について、j=1〜16の場合の例を、表1に示す。
被検レンズ7に面間偏心があると、透過光の波面収差に、面間偏心に応じた特定の方位角θの向きに偏りが生じる収差成分が発生する。このような収差成分は、光軸に対して回転対称性を有しない収差成分になる。ここで、「回転対称性」とは、収差成分の分布形状を回転軸(光軸)の回りに2π/N(N=2,3,…)だけ回転移動したときに、回転前の分布形状に一致する性質を言い、それぞれNに応じて、N回対称であると言う。
特定の方位角θの向きに偏りが生じる収差成分を表すゼルニケ係数とは、回転方向の次数mが1または−1のゼルニケ係数である。このようなゼルニケ係数に対応するゼルニケ多項式は、表1に例示した範囲では、j=2,3,7,8,14,15に対応するfj(ρ,θ)である。このようなゼルニケ多項式を、以下では、回転対称性を有しないという意味で「回転非対称項」と称する。
これらに対応するゼルニケ係数は、[Z2,Z3]、[Z7,Z8]、[Z14,Z15]である。ここで、大かっこでくくったもの同士は、同じ次数nを有するゼルニケ多項式に対応するもので、それぞれ、方位角0°成分(X成分)・90°成分(Y成分)、±90°成分同士というように、方位角θとの関係で対をなしていることを示している。
以下、ゼルニケ多項式の次数という場合、特に断らない限り、放射方向の次数nを意味するものとする。
また、[Z5,Z6]、[Z12,Z13]、[Z10,Z11]、[Z17,Z18]などは、mが±2もしくは±3であるため、それぞれ2回対称もしくは3回対称の成分を表している。厳密には、被検レンズ7に面間偏心があると、これらの収差成分も発生はするが、その量は小さいため、これらを用いて面間偏心を算出すると測定誤差の影響が大きくなる。したがって、これらのゼルニケ係数は面間偏心の算出にはあまり適していない。
被検レンズ7の第1面7a、第2面7bにそれぞれ、測定光軸基準のシフト偏心量δX,1、δY,1、δX,2、δY,2が生じた場合、これらが微小量であるとすることで、近似的に、次式(2a)、(2b)が成り立つ。
このため、上記式(2a)、(2b)は、それぞれ定係数の2元連立方程式を表しており、逆行列を計算することで、δX,1、δY,1、δX,2、δY,2について解くことができる。
ここで、∂Z2/∂δX,1=∂Z3/∂δY,1=C1,∂Z2/∂δX,2=∂Z3/∂δY,2=C2,∂Z7/∂δX,1=∂Z8/∂δY,1=C3,∂Z7/∂δX,2=∂Z8/∂δY,2=C4の関係に注意すると、次式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)が成り立つ。
したがって、面間偏心量δX、δY、面間偏心の大きさδが、a、bを定数として、次式(4a)、(4b)、(4c)で表される。
特許文献1では、上記式(4a)、(4b)において、ゼルニケ係数を干渉縞測定によって求め、定数a、bを、光学シミュレーションを行う汎用のコンピュータシミュレーションプログラムによる計算値によって求めている。
これに対して、本実施形態では、上記式(4a)、(4b)を一般化した次式(5a)、(5b)を仮定し、定係数A、Bを実測データから求める。
δY=A・Z3+B・Z8 ・・・(5b)
なお、上記式(4a)、(4b)は、ゼルニケ係数が偏心量に応じて多少とも変化する(偏心感度を有する)ゼルニケ係数であれば、どんなゼルニケ係数に適用することも可能であるが、ゼルニケ係数の測定にはフィッティング誤差が含まれることを考慮すると、偏心量に対する感度が高いゼルニケ係数を用いることが好ましい。このため、回転非対称項に対応するゼルニケ係数が好ましい。
以下では、一例として波面の傾き成分を表すゼルニケ係数[Z2,Z3]と、3次のコマ収差を表すゼルニケ係数[Z7,Z8]を用いた例で説明する。ただし、例えば、それぞれに代えて、ゼルニケ係数[Z7,Z8]と、5次のコマ収差を表すゼルニケ係数[Z8、Z15]を用いることも可能である。
上記式(5a)、(5b)を、それぞれZ7、Z8について解くと、次式(6a)、(6b)のように表される。
Z8=(−A/B)・Z3+δY/B ・・・(6b)
本実施形態では、校正モードにおける校正用レンズ70の測定結果を、2次元データの組(Z2、Z7)、(Z3、Z8)で表すとき、その散布図の分布を直線近似して傾きを算出し、この傾きから係数比A/Bを求める。
直線近似演算としては、最小二乗法を採用している。
面間偏心量に対応する偏心判定値とは、面間偏心量と一対一に対応する適宜の判定値を採用することができる。ここで、面間偏心量は発生方位が特定されるベクトル量であってもよいし、単に面間偏心の大きさでもよく、検査の目的によって適宜選択することができる。検査の一例として、面間偏心量自体や、面間偏心量に比例する量を挙げることができる。
本実施形態では、次式(7a)、(7b)に示す偏心判定値Z7,0、Z8,0を採用している。
Z8,0=Z8−(−A/B)・Z3 ・・・(7b)
被検レンズ7として、既知の面間偏心量δX、δYを有する校正用レンズを使用する場合、δX(δY)をZ7,0(Z8,0)で割ることによって、係数Bを求めることができる。このようにして係数Bが求めておけば、係数A/Bの値から係数Bも求まるため、上記式(5a)、(5b)によって、面間偏心量δX、δYも求まる。
ただし、係数Bを算出しなくても、偏心判定値Z7,0、Z8,0によって、面間偏心量の相対比較が可能となる。このため、面間偏心量の絶対値を必要としないレンズ検査では、偏心判定値Z7,0、Z8,0によってレンズ検査を行うことが可能である。例えば、レンズの加工条件の条件出しをするため、種々の加工条件で加工したレンズの面間偏心の検査を行うような場合には、面間偏心の相対比較ができれば十分である。
図7は、本発明の第1の実施形態のレンズ検査方法の工程フローを示すフローチャートである。図8は、本発明の第1の実施形態のレンズ検査方法の校正工程の工程フローを示すフローチャートである。図9(a)、(b)は、それぞれ、校正に用いる2次元データの組(Z2、Z7)、(Z3、Z8)の散布図の一例を示すグラフである。横軸はゼルニケ係数Z2(Z3)、縦軸はゼルニケ係数Z7(Z8)であり、いずれの単位もλ(=633(nm))である。
まず、光路S中のシャッター32を閉じ、光路R中のシャッター33を開き、基準レンズ6をレンズ保持部20に保持させる。この時、基準レンズ6の中心が光軸ORと一致するようにするために、アライメント絞り26を開閉して、スクリーン10上に映る基準レンズ6を通った光束の像(明るい円盤)がアライメント絞り26の開閉と共に均等にケラレるように、移動ステージ21を駆動して、基準レンズ6を保持したレンズ保持部20の位置の微動調節を行う。
これにより、スクリーン10上に干渉縞が形成され、モニタ30上に表示される。
この状態で、操作者は、レンズ保持部20を光軸OS回りに回転させたときの干渉縞の形を観察して、干渉縞の形が、校正用レンズ70の回転と共に形を変えずに回るように、移動ステージ21を駆動して、光路S上のレンズ保持部20の位置の微動調節を行う。
このようにして、レンズ保持部20の回転中心が光軸OS上に来るようにすることができる。この位置が、検査基準位置となる。以上で、初期設定が終了する。
操作者は、操作部32から、初期設定が終了したこと、および続いて校正工程S1を行うことを測定制御部100に伝えるための操作入力を行う。
このとき、校正用レンズ70が非球面レンズの場合には、明るさ絞り15を調整して、校正用レンズ70に照射される光束が近軸光と見なせる程度の光束径に設定する。これにより、非球面は、近似的に球面と見なせる。
例えば、校正用レンズ70について、測定位置が、検査基準位置P0、校正用測定位置P1、…、PN(ただし、Nは、1以上の整数)のように設定されている場合、測定位置移動用カウンタの値から1つの校正用レンズ70の何番目の測定かを検知して、測定順番に対応する測定位置にXYステージ21Aを移動する。ただし、初回の測定が検査基準位置P0の場合には移動は行われない。
測定制御部100は、XYステージ21Aによる測定位置の移動が完了したら、データ取得部102に制御信号を送出して、撮像素子29から干渉縞の画像データを取得させ、取得した画像データを記憶部101に記憶する。
必要な枚数の干渉縞の画像データが取得されたら、ピエゾ素子19を移動開始前の位置に戻す。また、すべての測定位置での画像データの取得が終了したら、移動ステージ21の位置を検査基準位置に復帰させる。
波面データ生成部103では、送出された画像データから、波面データWi(ρ,θ)を算出し、測定制御部100に送出する。
測定制御部100は、送出された波面データWi(ρ,θ)を記憶部101に記憶させる。
以上で、校正用波面測定工程S11が終了する。
測定制御部100は、波面データWi(ρ,θ)をフィッティング演算部104に送出する。フィッティング演算部104では、波面データWi(ρ,θ)をゼルニケ多項式近似して、ゼルニケ係数を算出する。算出したゼルニケ係数は、少なくとも、偏心判定値の計算に用いるゼルニケ係数の組(Z2、Z7)、(Z3,Z8)を測定制御部100に送出し、測定制御部100は記憶部101に予め設定された記憶領域に記憶させる。
以上で、校正用フィッティング演算工程S12が終了する。
予定されたデータが取得されていない場合には、測定位置移動用カウンタを更新して、校正用波面測定工程S11を行うステップに移行する。
係数算出部105では、2次元データの組(Z2、Z7)、(Z3、Z8)のそれぞれの散布図の分布を最小二乗法によって、次式(8a)、(8b)のように、直線近似して、それぞれの傾きαX、αYと切片βX、βYを求める。
Z8=αY・Z3+βY ・・・(8b)
β=(βX+βY)/2 ・・・(9b)
なお、校正用レンズ70の面間偏心量δX、δYが既知の場合には、本工程において、さらに、δX(δY)をZ7,0(Z8,0)で割って、係数Bを算出し、上記式(10)から係数Aを算出するようにしてもよい。
表2に示すように、傾きαはわずかにばらついているものの、略一致している。
また、図9(a)、(b)を参照すると、散布図のデータは、良好に直線近似されていることが分かる。
測定例3−1、3−2は、面間偏心量30μmの校正用レンズ70を用い、校正用レンズ70を光軸に沿う方向に移動してデフォーカスした位置で測定した例である。
表2に示すように、これら測定例2−1、2−2、3−1、3−2の測定結果も、測定例1−1の傾きαと略一致していることが分かる。
このように、傾きαは、レンズ保持部20の固定位置、レンズ保持部20の光軸に沿う方向の位置、校正用レンズ70の面間偏心量の大きさがばらついても、安定していることが分かる。
本工程では、測定制御部100は、検査モードの動作制御を行い、各レンズ保持部20の位置は検査基準位置に固定しておく。
操作者は、検査を行う被検レンズ7をレンズ保持部20に保持させ、検査を開始する操作入力を行う。
これにより、測定制御部100は、上記の校正用波面測定工程S11と同様にして、フリンジスキャン法により被検レンズ7の透過波面の波面データWi(ρ,θ)を取得し、記憶部101に記憶させる。
以上で、波面測定工程S2が終了する。
測定制御部100は、被検レンズ7の波面データWi(ρ,θ)をフィッティング演算部104に送出する。フィッティング演算部104では、上記の校正用フィッティング演算工程S12と同様にして、波面データWi(ρ,θ)をゼルニケ多項式近似して、ゼルニケ係数を算出する。また、算出したゼルニケ係数は、少なくとも、偏心判定値の計算に用いるゼルニケ係数の組(Z2、Z7)、(Z3,Z8)を測定制御部100に送出し、測定制御部100は記憶部101に予め設定された記憶領域に記憶させる。
以上で、フィッティング演算工程S3が終了する。
測定制御部100は、上記フィッティング演算工程S3でフィッティング演算部104から送出されたゼルニケ係数の組(Z2、Z7)、(Z3,Z8)を、判定値算出部106に送出して、上記式(7a)、(7b)に基づいて、偏心判定値Z7,0、Z8,0を算出させる。
判定値算出部106は、上記式(7a)、(7b)に基づいて、偏心判定値Z7,0、Z8,0を算出して、測定制御部100に送出する。
以上で、判定値演算工程S4が終了する。
測定制御部100は、偏心判定値Z7,0、Z8,0を表示部31に文字情報や画像情報によって表示する。
以上で、検査結果出力工程S5が終了する。
操作者は、表示部31に表示された偏心判定値を見て、偏心判定値の大小により、被検レンズ7の合否判定、あるいは相対比較を行う。そして、必要に応じて、次に測定する被検レンズ7を選定する。例えば、予め用意された他の被検レンズ7を検査してもよいし、検査結果の出た被検レンズ7を再測定してもよい。
操作者は、検査を続行する場合には、検査を終了しないための操作入力を行う。この場合、測定制御部100は、波面測定工程S2に移行する。すなわち、検査モードを維持して、操作者による検査を開始する操作入力待ちとなる。この間、操作者は、次に検査する被検レンズ7をレンズ保持部20に保持させて、上記波面測定工程S2の動作を繰り返す。
一方、操作者が検査を終了する操作入力を行うと、測定制御部100は、検査を終了する。
このため、フリンジスキャン法によって、波面データを取得するのと同程度の時間で検査を行うことができるため、例えば、レンズ面の反射光束を測定する方法や、触針などによりレンズ面を3次元計測する方法などに比べて、迅速な検査を行うことができる。
これに対して、本実施形態では、予め校正用レンズ70によって実測したゼルニケ係数の散布図を直線近似して求めた係数比A/Bを用いることで、上記式(7a)、(7b)が校正されるため、干渉計4の光源や測定光学系に含まれる誤差要因の影響が低減され、高精度な検査を行うことができる。
また、検査結果出力工程S5で算出された偏心判定値を記憶部101に記憶し、複数の被検レンズ7の検査が終了した段階で、測定制御部100が、各測定における偏心判定値を比較して、最も良好な偏心判定値が得られた被検レンズ7の情報を表示部31に表示するようにしてもよい。
本発明の第2の実施形態のレンズ検査装置について説明する。
図10は、本発明の第2の実施形態のレンズ検査装置の制御部の機能構成を示す機能ブロック図である。
制御ユニット5Aは、上記第1の実施形態の制御ユニット5に、補正値算出部107を追加し、測定制御部100、判定値算出部106に代えて、測定制御部100A、判定値算出部106Aを備えるものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
また、測定制御部100Aは、検査モードにおいて、偏心判定値を算出させる前に、補正値算出部107によって偏心判定値に含まれる測定系の収差であるシステム収差を除去するための補正値を算出させる点が上記第1の実施形態と異なる。
システム収差は、干渉計4に含まれる光学系、例えば、入射レンズ8、9、集光レンズ22、23、基準レンズ6等の偏心や面精度誤差など起因する収差であり、レンズ検査装置1Aに固有の収差である。
ただし、検査モードでは、判定値算出部106と同様にして、被検レンズ7に対する偏心判定値を測定してから、補正値算出部107から送出された補正値による補正を加えたものを偏心判定値として算出し、測定制御部100Aに送出する構成とされている。
図11は、本発明の第2の実施形態のレンズ検査方法の校正工程の工程フローを示すフローチャートである。図12は、補正値算出工程における補正値の算出方法を説明する模式的なグラフである。横軸は偏心判定値Z7,0、縦軸は偏心判定値Z8,0である。
また、本実施形態の校正工程S21は、図11に示すように、校正用波面測定工程S31、および校正用フィッティング演算工程S32を必要な回数だけ繰り返した後、係数算出工程S34、補正値算出工程S35を行う。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
校正用波面測定工程S31では、校正用測定位置として、XYステージ21Aによる移動に加えて、回転ステージ21Bによってレンズ保持部20を回転移動させた測定位置が追加されている。回転移動量は、検査基準位置に対して0°〜360°の範囲で、少なくとも3箇所を設定しておく。測定精度を向上するためには、90°以下のステップで4箇所以上設定することが好ましい。
以下では、一例として90°ステップ回転移動し、上記第1の実施形態の各校正用測定位置で、回転位置が異なる4箇所で、上記第1の実施形態と同様に、透過波面の測定を行う。
予定されたデータが取得されていない場合には、測定位置移動用カウンタを更新して、校正用波面測定工程S31を行うステップに移行する。
ゼルニケ係数Ziにおける被検体収差、システム収差をそれぞれSi、Niとすると、次式(11a)、(11b)、(11c)、(11d)が成り立つ。
Z3=S3+N3 ・・・(11b)
Z7=S7+N7 ・・・(11c)
Z8=S8+N8 ・・・(11d)
このため、例えば、4つの回転位置に応じて算出された偏心判定値(Z7,0(1),Z8,0(1))、…、(Z7,0(4),Z8,0(4))を、Z7,0Z8,0平面上にプロットすると、それぞれ図12の点q1、…、q4のようにばらついてプロットされることになる。
本工程では、補正値算出部107は、このような点q1、…、q4をZ7,0Z8,0平面上で円近似するフィッティングを行って、近似円Cの中心座標qe(Z7,e,Z8,e)を算出し、測定制御部100Aに送出する。
この中心座標qeは、被検レンズ7の回転により変化しない成分であり、システム収差の寄与分である[N7−{(−A/B)・N2}]と[N8−{(−A/B)・N3}]とを表している。
測定制御部100Aは、送出された中心座標qe(Z7,e,Z8,e)を後述する検査モードにおける偏心判定値の計算に用いる補正値として、判定値算出部106Aに設定する。
以上で、補正値算出工程S35が終了し、校正工程S21が終了する。
次に、本実施形態の判定値演算工程S24を行う。
本工程では、測定制御部100Aは、上記第1の実施形態と同様にして、被検レンズ7のゼルニケ係数の組(Z2,Z7)、(Z3,Z8)を判定値算出部106Aに送出して、偏心判定値を算出させる。
本実施形態の判定値算出部106Aは、上記第1の実施形態と同様に、上記式(7a)、(7b)に基づいて、偏心判定値Z7,0、Z8,0を算出した後、次式(13a)、(13b)に基づいて、システム収差が補正された偏心判定値Z7,S、Z8,Sを算出して、測定制御部100Aに送出する。
Z8,S=Z8,0−Z8,e ・・・(13b)
すなわち、本実施形態では、測定制御部100Aが、判定値算出部106Aから送出された被検レンズ7の偏心判定値Z7,S、Z8,Sを記憶部101に予め記憶された偏心判定値の許容値と比較して、被検レンズ7の面間偏心の合否を判定し、判定結果を出力する。
次に、ステップS6に移行して、検査を続行または終了する。
以上で、本実施形態のレンズ検査工程が終了する。
また、本実施形態では、システム収差を除去することができるため、基準レンズ6の面間偏心量がある程度はあっても、被検レンズ7の面間偏心量を正確に測定することができる。
次に、本実施形態の変形例(第1変形例)について説明する。
本変形例は、上記第2の実施形態の補正値算出工程S35、判定値演算工程S24、検査結果出力工程S25の変形例である。
以下、上記第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
Z8,S=δY/B ・・・(14b)
そこで、本工程では、補正値算出部107は、これら定係数A、Bを算出して、測定制御部100Aに送出し、測定制御部100Aは、判定値算出部106Aに定係数A、Bを設定する。
また、判定値演算工程S24では、判定値算出部106は、測定制御部100Aによって設定された定係数A、Bを用い、上記式(5a)、(5b)に基づいて、偏心判定値として、面間偏心量δX、δYそのものを算出する。
検査結果出力工程S25では、測定制御部100Aは、算出された面間偏心量δX、δYを許容面間偏心と比較して、合否の判定を行う。
ただし、本変形例では、定係数Bを求めればよいため、上記式(4c)で定義される面間偏心の大きさδを用いて次式(15)によって、定係数Bを算出してもよい。
これに対して、比較のため、同一の被検レンズ7の群を用いて、光学シミュレーションを用いて上記式(4a)、(4b)から算出された係数a、bを用いた面間偏心の測定を行ったところ、相関係数は、0.25となった。
このため、本変形例の方が格段に高精度に面間偏心を測定できていることが分かる。
本発明の第3の実施形態のレンズ検査装置について説明する。
図13は、本発明の第3の実施形態のレンズ検査装置の構成を示す模式的なシステム構成図である。図14は、本発明の第3の実施形態のレンズ検査装置の制御部の機能構成を示す機能ブロック図である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
波面変換レンズ51は、レーザー11とレンズ保持部20との間の光路上に配置され、レーザー11から出射されるレーザー光の波面を、校正用レンズ70の種類に応じて変換するためのものである。本実施形態では、校正用レンズ70の焦点位置に集光する球面波を形成し校正用レンズ70、およびこれと同じ設計の被検レンズ7の透過波面が平面波となるようにしている。
シャックハルトマンセンサーは、マイクロレンズアレイと撮像素子とを備え、マイクロレンズアレイに入射した光束の集光スポットを撮像素子で撮像し、この画像データを用いて、解析演算部が各集光スポットの集光位置を解析し、波面解析を行うものである。
解析演算部は、シャックハルトマンセンサーから送出された各集光スポットの集光位置から、シャックハルトマンセンサーのマイクロレンズアレイに理想波面が入射した場合の各集光スポットの理想集光位置との差分を求める。そして、この差分を、ゼルニケ多項式を用いて解析しフィッティング演算を行うことにより、ゼルニケ係数を算出する。
波面測定部52は、制御ユニット5Bと通信可能に接続され、ゼルニケ係数を制御ユニット5Bに送出できるようになっている。
このため、波面測定部52は、被検レンズ7の透過波面を測定する波面測定部と、この透過波面をゼルニケ多項式近似して、ゼルニケ係数を算出するフィッティング演算部とを兼ねている。
測定制御部100Bは、上記第1の実施形態の測定制御部100から、ピエゾ素子19、波面データ生成部103、フィッティング演算部104に関する制御機能を削除したものである。
データ取得部102Bは、波面測定部52から送出されるゼルニケ係数を取得し、測定制御部100Bに送出するものである。
また、測定制御部100Bは、データ取得部102Bを介して、校正用レンズ70、被検レンズ7の波面収差を表すゼルニケ係数を取得することができる。
このため、上記第1の実施形態と同様、図7、8に示すフローに従って、校正用レンズ70による校正と、被検レンズ7の面間偏心の測定とを行うことができる。
また、本実施形態では、測定光学系は、レーザー11、波面変換レンズ51、およびシャックハルトマンセンサーで校正されるため、測定光学系に含まれる誤差も低減される。
また、このような測定光学系に起因するシステム収差は、上記第2の実施形態の第1変形例のレンズ検査方法を用いれば、同様にして低減することが可能である。
Z3,0=Z3−(−B/A)・Z8 ・・・(16b)
レンズ面が非球面の場合には、非球面固有の回転対称軸が存在するため、非球面の姿勢を非球面の回転対称軸で代表した面間偏心も採用できる。例えば、非球面と球面とを有する単レンズの場合、非球面の回転対称軸が球面の球心を通る場合以外は、非球面と球面との間に偏心が生じている。また、2つの非球面を有する単レンズの場合、各非球面の回転対称軸が同軸になっている場合以外は、2つの非球面との間に偏心が生じている。
校正用レンズ、被検レンズ、基準レンズが非球面と球面とを有する場合には、非球面の回転対称軸の姿勢による偏心も含めた面間偏心を測定するため、上記各実施形態、変形例において、近軸光よりも光束径の大きい光束を入射させて、上記と同様の測定を行うことが可能である。
この測定を行うには、校正用レンズ、被検レンズ、基準レンズを、例えば心取りするなどして、各レンズの位置決め平面部に対して非球面の回転対称軸の傾きが略直交するようにしておく。
この場合、位置決め平面部に対して非球面の回転対称軸が略直交しているため、非球面の回転対称軸のチルト偏心が低減されている。このため、入射光束の光束径を大きくするのみでその他は上記各実施形態、変形例と同様の測定を行うことで、非球面の回転対称軸で代表させた非球面のシフト偏心を測定することができる。
このようにして測定された面間偏心は、非球面の情報を含む面間偏心測定になっているため、非球面レンズのシフト偏心をより高精度に表す面間偏心になっている。
4 干渉計(波面測定部)
5、5A、5B 制御ユニット
6 基準レンズ
7 被検レンズ
6a、7a 第1面
6b、7b 第2面
6c、7c 位置決め平面部
19 ピエゾ素子
20 レンズ保持部
21 移動ステージ
21A XYステージ(軸直角移動部)
21B 回転ステージ(回転移動部)
29 撮像素子
52 波面測定部
70 校正用レンズ
100、100A、100B 測定制御部(制御部)
101 記憶部
102、102B データ取得部
103 波面データ生成部
104 フィッティング演算部
105 係数算出部
106、106A 判定値算出部
107 補正値算出部
OS、O0 光軸(波面測定部の測定光軸)
P 保持中心軸線
R、S 光路
S1、S21 校正工程
S2 波面測定工程
S3 フィッティング演算工程
S4、S24 判定値演算工程
S5、S25 検査結果出力工程
S11、S31 校正用波面測定工程
S14、S34 係数算出工程
S31 校正用波面測定工程
S32 校正用フィッティング演算工程
S35 補正値算出工程
Claims (7)
- 単レンズからなる被検レンズの第1面と第2面との面間偏心の検査を行うレンズ検査装置であって、
前記被検レンズを検査基準位置に保持するレンズ保持部と、
前記被検レンズの透過波面を測定する波面測定部と、
該波面測定部で測定された前記透過波面をゼルニケ多項式近似して、ゼルニケ係数を算出するフィッティング演算部と、
該フィッティング演算部により算出された前記ゼルニケ係数のうち、回転方向の次数が1または−1であって放射方向の次数が互いに異なる次数に対応する2種類のゼルニケ係数Zp、Zq(ただし、p、qは、p≠qの整数)を変数とし、係数が予め実測値により校正された1次式によって、前記面間偏心量に対応する偏心判定値を算出する判定値算出部と、
を備えることを特徴とするレンズ検査装置。 - 前記レンズ保持部を、前記検査基準位置と、該検査基準位置から前記波面測定部の測定光軸に直交する方向にずらされた複数の校正用測定位置との間で切り替え可能に移動する軸直角移動部と、
前記校正用測定位置において測定された透過波面から算出された前記ゼルニケ係数Zp、Zqに基づいて前記1次式の係数を算出する係数算出部と、
校正用レンズを用いた校正動作の制御を行う校正モードと、前記被検レンズを検査する検査動作の制御を行う検査モードとが切り替え可能に設けられた制御部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記校正モードでは、前記軸直角移動部によって、前記校正用レンズを前記校正用測定位置に移動させ、前記校正用測定位置を複数の測定位置において、前記波面測定部による透過波面を測定と、前記フィッティング演算部による前記ゼルニケ係数の算出と、をそれぞれ行わせて、前記フィッティング演算部から該ゼルニケ係数のうち前記ゼルニケ係数Zp、Zqからなる2次元データの組(Zp、Zq)を取得して、前記係数算出部に送出し、
前記係数算出部は、
前記制御部が前記校正モードにおいて取得した前記校正用レンズの前記2次元データの組(Zp、Zq)の分布を直線近似して傾きを算出し、該傾きを前記1次式の係数として前記判定値算出部に設定する
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ検査装置。 - 前記レンズ保持部をその保持中心回りに回転移動する回転移動部と、
前記レンズ保持部を回転移動して測定された前記偏心判定値の分布を解析して、測定系の収差であるシステム収差を推定し、該システム収差を除去するための補正値を算出して前記判定値算出部に送出する補正値算出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記校正モードでは、前記軸直角移動部による移動と前記回転移動部による回転移動とを組み合わせて、複数の移動位置および複数の回転位置において、前記波面測定部による透過波面を測定と、前記フィッティング演算部による前記ゼルニケ係数の算出とをそれぞれ行わせて、前記回転位置の情報とともに前記フィッティング演算部から前記校正用レンズの前記2次元データの組(Zp、Zq)を取得して、前記係数算出部に送出し、
該係数算出部が前記校正用レンズの前記2次元データの組(Zp、Zq)に基づいて前記1次式の係数を算出して前記判定値算出部に設定した後に、該判定値算出部に前記校正用レンズの前記2次元データの組(Zp、Zq)を送出し、
該2次元データの組(Zp、Zq)を用いて、前記判定値算出部に算出させた前記偏心判定値の分布を取得して、前記回転位置の情報とともに、前記補正値算出部に送出して、前記補正値を算出させ、
前記検査モードでは、前記レンズ保持部に前記被検レンズが保持された後に、前記軸直角移動部によって、前記レンズ保持部を前記検査基準位置に位置づけ、
該検査基準位置において、前記波面測定部による透過波面を測定と、前記フィッティング演算部による前記ゼルニケ係数の算出とをそれぞれ行わせて、前記フィッティング演算部から前記被検レンズの前記2次元データの組(Zp、Zq)を取得し、
前記判定値算出部に、前記被検レンズの前記2次元データの組(Zp、Zq)を送出し、
前記判定値算出部は、
前記検査モードで偏心判定値を算出する場合に、前記被検レンズの前記2次元データの組(Zp、Zq)を用いて前記1次式による偏心判定値を算出してから、前記補正値算出部から送出された前記補正値による補正を施したものを偏心判定値として算出する
ことを特徴とする請求項2に記載のレンズ検査装置。 - 前記判定値算出部が用いる前記1次式の係数は、
単レンズからなる校正用レンズを前記検査基準位置から前記波面測定部の測定光軸に直交する方向に移動し、前記波面測定部によって前記校正用レンズの透過波面を複数の移動位置において測定し、測定された前記校正用レンズの各透過波面から前記フィッティング演算部により前記ゼルニケ係数を算出し、該ゼルニケ係数のうち、前記ゼルニケ係数Zp、Zqからなる2次元データの組(Zp、Zq)の分布を直線近似したときの傾きである
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ検査装置。 - 単レンズからなる被検レンズの第1面と第2面との面間偏心量の検査を行うレンズ検査方法であって、
前記被検レンズを検査基準位置に保持して、前記被検レンズの透過波面を測定する波面測定工程と、
該波面測定工程で測定された前記透過波面をゼルニケ多項式近似して、ゼルニケ係数を算出するフィッティング演算工程と、
該フィッティング演算工程により算出された前記ゼルニケ係数のうち、回転方向の次数が1または−1であって放射方向の次数が互いに異なる次数の2種類のゼルニケ係数Zp、Zq(ただし、p、qは、p≠qの整数)を変数とし、係数が予め実測値により校正された1次式によって、前記面間偏心量に対応する偏心判定値を算出する判定値算出工程と、
を備えることを特徴とするレンズ検査方法。 - 前記波面測定工程に先行して、
校正用レンズを、前記検査基準位置から透過波面の測定光軸に直交する方向にずらした校正用測定位置を含む複数の測定位置に保持して、前記校正用レンズの透過波面を測定する校正用波面測定工程と、
前記測定位置ごとに測定された前記透過波面をゼルニケ多項式近似して、ゼルニケ係数を算出する校正用フィッティング演算工程と、
該校正用フィッティング演算工程で算出された前記ゼルニケ係数のうち前記ゼルニケ係数Zp、Zqからなる2次元データの組(Zp、Zq)を前記測定位置ごとに取得し、前記2次元データの組(Zp、Zq)の分布を直線近似して傾きを算出し、該傾きを前記判定値算出工程に用いる前記1次式の係数に設定する係数算出工程と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載のレンズ検査方法。 - 前記係数算出工程と前記波面測定工程との間に、補正値算出工程を備え、
前記校正用波面測定工程では、
前記校正用レンズの保持中心回りに回転移動することにより、回転位置を変えた透過波面の測定を併せて行い、
前記補正値算出工程では、
前記係数算出工程で取得された前記2次元データの組(Zp、Zq)を用いて、前記回転位置ごとに、前記1次式による前記偏心判定値を算出して、前記校正用レンズの回転移動に伴う偏心誤差を含む前記偏心判定値の分布を取得し、該偏心判定値の分布を解析して、測定系の収差であるシステム収差を推定し、該システム収差を除去するための補正値を算出し、
前記判定値算出工程では、
前記ゼルニケ係数Zp、Zqを用いて、前記1次式による偏心判定値に、前記補正値による補正を施したものを偏心判定値として算出する
ことを特徴とする請求項6に記載のレンズ検査方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012158948A JP5904896B2 (ja) | 2012-07-17 | 2012-07-17 | レンズ検査装置およびレンズ検査方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012158948A JP5904896B2 (ja) | 2012-07-17 | 2012-07-17 | レンズ検査装置およびレンズ検査方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014020881A JP2014020881A (ja) | 2014-02-03 |
JP5904896B2 true JP5904896B2 (ja) | 2016-04-20 |
Family
ID=50195934
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012158948A Active JP5904896B2 (ja) | 2012-07-17 | 2012-07-17 | レンズ検査装置およびレンズ検査方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5904896B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5870234B1 (ja) * | 2014-07-03 | 2016-02-24 | オリンパス株式会社 | 偏心量計測方法及び偏心量計測装置 |
DE112015006198T5 (de) * | 2015-03-27 | 2017-11-09 | Olympus Corporation | Wellenfrontmessvorrichtung und wellenfrontmessverfahren |
JP7558726B2 (ja) | 2020-09-03 | 2024-10-01 | 株式会社東芝 | 測定プログラムおよび測定装置 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3206984B2 (ja) * | 1992-09-25 | 2001-09-10 | オリンパス光学工業株式会社 | レンズ総合検査機 |
JPH07234173A (ja) * | 1993-12-27 | 1995-09-05 | Asahi Optical Co Ltd | 干渉測定装置および干渉測定方法 |
JP2007170888A (ja) * | 2005-12-20 | 2007-07-05 | Olympus Corp | 光学素子検査装置 |
JP2009145081A (ja) * | 2007-12-11 | 2009-07-02 | Fujinon Corp | 回転非対称収差の発生要因誤差量測定方法および装置 |
JP5627495B2 (ja) * | 2011-02-09 | 2014-11-19 | 三菱電機株式会社 | 光学調整装置及び光学調整方法 |
-
2012
- 2012-07-17 JP JP2012158948A patent/JP5904896B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014020881A (ja) | 2014-02-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1869401B1 (en) | Method for accurate high-resolution measurements of aspheric surfaces | |
JP5399304B2 (ja) | 非球面体測定方法および装置 | |
JP5971965B2 (ja) | 面形状計測方法、面形状計測装置、プログラム、および、光学素子の製造方法 | |
US20190271532A1 (en) | Method for measuring a spherical-astigmatic optical surface | |
JP6000577B2 (ja) | 非球面計測方法、非球面計測装置、光学素子加工装置および光学素子の製造方法 | |
JP5896792B2 (ja) | 非球面計測方法、非球面計測装置および光学素子加工装置 | |
JP5904896B2 (ja) | レンズ検査装置およびレンズ検査方法 | |
JP2011252774A (ja) | 被検面測定装置 | |
JP5870234B1 (ja) | 偏心量計測方法及び偏心量計測装置 | |
KR20110065365A (ko) | 비구면체 측정 방법 및 장치 | |
KR101826127B1 (ko) | 광학적 웨이퍼 검사 장치 | |
JP2009145081A (ja) | 回転非対称収差の発生要因誤差量測定方法および装置 | |
JP2001147174A (ja) | 干渉測定機 | |
JP2005201703A (ja) | 干渉測定方法及び干渉測定システム | |
JP4768904B2 (ja) | 光学素子又は光学系の物理量測定方法 | |
JP6558975B2 (ja) | 形状計測方法、形状計測装置および形状計測プログラム | |
JP2005024505A (ja) | 偏心測定装置 | |
JP2005024504A (ja) | 偏心測定方法、偏心測定装置、及びこれらにより測定された物 | |
US11754832B1 (en) | Wavefront tester calibration method | |
JP5317619B2 (ja) | 偏芯量測定方法 | |
US20240319041A1 (en) | Multi-configurable wavefront tester | |
JP6821407B2 (ja) | 計測方法、計測装置、光学機器の製造方法および光学機器の製造装置 | |
JP2005315683A (ja) | シヤリング干渉計及び干渉計測装置 | |
JP2005345288A (ja) | マッハツェンダー干渉計及びマッハツェンダー干渉計による光学素子の検査方法 | |
JP6738060B2 (ja) | 面形状測定方法および面形状測定装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150513 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160212 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160223 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160315 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |