JP2004076328A - 水底格納式消波装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】消波部分の水中格納を可能にすることにより、水槽試験後の消波時間を短縮できる水底格納式消波装置を提供する。
【解決手段】水面上の波を砕波し、減衰させる消波ユニット14と、消波ユニットを駆動し、水中に収納する為の昇降駆動機構15とを備える。消波部ユニットが、消波部11と、フロート12と、フレーム13とからなり、昇降駆動機構15が、消波ユニットを水底側に牽引し水中への格納を可能にする昇降駆動機構を有するものとした。
【選択図】 図1
【解決手段】水面上の波を砕波し、減衰させる消波ユニット14と、消波ユニットを駆動し、水中に収納する為の昇降駆動機構15とを備える。消波部ユニットが、消波部11と、フロート12と、フレーム13とからなり、昇降駆動機構15が、消波ユニットを水底側に牽引し水中への格納を可能にする昇降駆動機構を有するものとした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消波装置に係り、特に試験水槽に於ける実験終了後の消波を目的とした水底格納式消波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の試験水槽用消波装置を図11乃至図14に示した。これらの装置は、図示しない造波装置で波を起こして船舶や海洋構造物などの模型試験を行なう場合に、造波装置および模型船が造る波を水槽端部まで到達した際に消波するものである。
図11及び図12は消波板タイプの消波装置であり、図12に示す様に一般に水槽の長辺には可動式の消波板4、短辺には固定式の消波板4’が設置され、消波板の斜辺により砕波を起こし消波していた。
【0003】
また、この方式では、消波板上部にてポーラス材が消波材として併用されている例もある。この場合、ポーラス材は消波板の上部に残る短周期の波の消波用に設置されている。
つまり、消波板とポーラス材との併用により、長周期の波は消波板で、上部に残留する短周期の波についてはポーラス材で消波するというのが一般的である。なお、消波後には、該可動式消波板は消波板用モータ3を回転させることによって水面から引き上げられるようになっている。
【0004】
図13及び図14は、特開平10−019722号に記載された「水槽用消波装置」であり、水槽の端部において、該水槽の底部に下端を枢着されて揺動しうる造波板6と、該造波板を揺動させる駆動機構5と、を備え、上記水槽の水面に生起され上記造波板へ入射する波の高さを計測する波高センサ7が、該造波板の前面に装着されるとともに、同波高センサの検出信号に応じて上記造波板を揺動させ消波するように上記駆動機構を制御する制御部8が設けられている。
【0005】
この水槽用消波装置では、水槽の端部における造波板6へ入射する波の波高を該造波板の前面に装着された波高センサ7で検出し、その検出信号を受けた制御部8により該造波板の駆動機構を制御することにより、該造波板が揺動して波の伝播を妨げ、水槽端部へ入射する波の消波が適切に行なわれるようになっている。すなわち、この装置では制御部8が、波高センサ7からの検出信号に基づき波高が増大し始めるのを検知した際には、造波板6を後方へ倒すように駆動機構5を制御し、入射波の波高が減少し始める際には造波板6を前方へ倒すように駆動機構5を制御して、前記水面に生起された波の消波を行なうようになっており、造波板6への入射波に対する消波が十分に行われるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11および図14に示す消波板タイプの消波装置の場合、消波板4が水槽壁1に設置されているため、波の発生源から消波板4までの間に距離がある。そのため波の伝播に時間がかかり、結果として消波までの時間が増長されていた。特に短周期の波が含まれる場合には、波の伝播にさらに時間がかかり、消波に長い時間を要していた。
また、消波性能を十分得ようとすると、消波板4および4’を水面方向に延長した長い斜面が必要になるが、実際にこれを実施しようとすると、消波板に必要とされる水槽中の部位の比率が大きくなり現実的ではなかった。このため実験後の消波を十分行えていない水槽が多かった。
さらに、消波板4は、消波後上方に離水されるが、その際発生する水滴により二次的な波が発生するといった問題もあった。
【0007】
図13及び図14に示した造波板を用いる装置では、水面上を全方向に広がる波の性質上、図14に示す様に分割タイプの造波板を水槽全域に設置する必要があり、また波高センサにより、波の位置を検知して造波板の制御を行うための制御機構が必要となるため、コスト高となる問題があった。
【0008】
さらに、これら図11から図14に示す装置に共通する課題として、水槽の端部に消波のための構造を設ける必要から、試験水槽の水面の一部が占有され、試験を行う面積を制限してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上述した種々の問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、消波機能をもつ消波ユニットを水中に格納することにより、消波時には消波に使用するスペースを十分確保する一方、水槽試験時には水面を最大限有効に使用でき、さらに、波の発生箇所付近での消波を可能にすることにより、短時間での消波を実現し、効率的な水槽試験を容易に実現する水底格納式消波装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、試験水槽用の消波装置であって、水面の波を減衰させる消波ユニット(14)と、該消波ユニットを水面と水底の間で昇降させる昇降駆動装置(15)と、を備えたことを特徴とする水底格納式消波装置が提供される。
【0011】
上記本発明の構成によれば、試験が行われる水槽中央部に消波ユニットが設置されるため、水槽壁面に消波板または造波板を設置する従来の構成に比べ、波の発生源である水槽中央部において消波ができる。すなわち、従来の消波に比べて波の発生源から消波を行う部位までの距離が短くでき、これにより、短時間での消波が可能となる。
また、上記本発明の構成によれば、水槽試験時には消波材が水中に格納されるため水面上を占有することもなく、水面を最大限活用でき、消波時には、消波部を水面に浮上させることにより、従来と比較して広い面積を波消に使用することが可能となる。
さらに、従来の消波板タイプの消波装置に見られた消波板格納時の水滴も発生しないため、水滴に起因する波の発生の問題もなくなり、二次的な波の発生による消波時間の増加もなく、短時間での消波が可能となる。
【0012】
本発明によれば、前記消波ユニット(14)は、水面上の波のエネルギーを吸収する消波材(11)と、該消波材を保持するフレーム(13)と、からなる。
【0013】
上記本発明の構成によれば、消波中に確実に消波材を保持できる水底格納式消波装置が提供される。
【0014】
また、好ましい実施例によれば、前記フレームは、矩形形状または直方体形状を有し、かつその内部が複数の区画(13a)に分割されており、
前記消波材はフレーム(13)内の任意の区画に取り付けられる。
【0015】
上記本発明の構成によれば、フレーム上の任意の位置に消波材を設置できることから、水槽試験で波が発生する位置に対応して消波材を設置でき、波の発生源から消波材までの距離を短くでき、これにより、消波までの時間を短縮できる。
【0016】
ここで、前記消波材(11)は、ポーラス材であることが好ましい。
【0017】
上記本発明の構成によれば、ポーラス材を消波板で使用した場合よりも、広い面積で消波材として用いることができ、その立体的な内部構造による砕波が多数回行われることにより、消波が効果的に行われる。また、ポーラス材を用いる事により、従来の消波板にくらべ短周期の波も効率的に消波することができる。
これにより、ポーラス材による消波では、消波板による消波の場合、最後まで消波板上部に残っていた、最も消波に時間のかかった短周期の波に対しても効率良く消波することができ、短時間の消波を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
本実施形態に係る消波装置の構造を説明する。
図1は第1の実施形態の消波装置の側面断面図、図2は図1の部分Aの拡大図、図3は平面図を表しており、図4は本実施形態の水底格納時の状態を示した側面図である。
【0020】
図1に示すように、消波ユニット14は、消波材11とフロート12とフレーム13からなり、フレーム13はさらに細かな区画13aに分けられており、この中に消波材11が取り付けられる。
ここで、消波材11は消波を行う部分であり、フロート12はフレーム13に上向きの浮力を与え、またフレーム13は消波材とフロートを支える部材である。ここで、フロートは消波材をできるかぎり多く使用し、フロート自身による波の散乱を防ぐため、必要最小限の大きさとする。また、消波ユニットの下側には昇降駆動装置15がとりつけられている。
【0021】
消波材11に用いられているポーラス材とは、多孔質な立体構造物であり、その入手及び取り扱いの簡易性から本実施例では樹脂製のものを想定している。一例を挙げると、線状な熱可逆性樹脂をカールさせたまま積み重ね、該樹脂の相互接点を溶着形成し、板状に加工した様なものを示す。
区画13aには消波材として、これらを充填し消波効果を持たせている。
【0022】
本実施形態は、比較的簡易な構成で部品点数が少ない装置により消波を行い消波後には水底への格納が可能である点にその特徴がある。
【0023】
図1および図2に示す様に、ユニットの水中への格納は、水槽上側平面部に取り付けられた2台のユニット昇降用モータ18からの牽引力にて浮力に対抗し、消波ユニットを水底まで牽引することにより行われる。
すなわち、ユニット昇降用モータ18からの牽引力は、ワイヤ15bにより、水槽端部に取り付けられた滑車17と水槽底に設置された滑車16と、ブラケット15aを介しフレーム13に伝えられる。フレーム13に伝えられた牽引力は、消波ユニット下側方向に作用することにより、消波ユニットは水底に格納される。
ここで、図3に示す様に、各ユニット昇降用モータの両端には滑車17が各々取り付けられており、消波ユニットの両側で均一にワイヤを牽引できるようになっている。
フレーム13内部は複数の区画13aに分けられており、該各区画にポーラス材を取り付けることにより、フレーム上面の任意の位置に消波材を移動できるようになっている。
図4に消波ユニットを水底に格納した様子を示す。ここで、消波ユニットの厚みは水深の約1/10以下であれば、収納時試験に影響しないことが分かっている。
【0024】
次に、本発明の第2の実施形態を、図面を参照して説明する。消波ユニット24は、図5に示すように、消波材11とフレーム23からなる。フレーム23内部は図7に示すように、複数の区画13aに分けられており、該各区画にポーラス材を取り付けることにより、フレーム上面の任意の位置に消波材を移動できるようになっている。また、消波ユニットの下側には消波ユニットの水底への格納および水面への上昇の為の昇降駆動装置25が取り付けられている。
図6に、昇降駆動装置25を示す。ここではパンタグラフ型の昇降機構が用いられている。以下にその動作を説明する。
図6に示すように、まず、ユニット昇降用モータ18からの回転力にて、シャフト27が回転する。次に、ユニット底部に取り付けられたボルト28がこの回転を受け、固定軸アーム30を固定した状態でスライドアーム31をガイドレール29に沿ってスライドさせる。最後に、このスライドにより、各アームが可動部32を中心に開閉し、アーム全体を上下方向に伸縮させる。
ここで、消波ユニットはスライドによりアーム間の距離が近くなった場合には上に、遠くなった場合には下に動き、使用する水槽の水深に合わせて数段組み合わされている。
図7に示すとおり、昇降駆動装置25は、フレームの4隅に設けられており、各々に昇降用モータが取り付けられている。
これにより、消波ユニットの高さを変化させることが可能になり、水底への格納が可能となる。
【0025】
本実施形態は、構造が多少複雑になるものの、消波ユニット浮上の為のフロートを必要とせず、昇降機構が水槽壁から独立できるため、4つのユニット昇降用モータを各々お互いに固定し、キャスターなどを取り付けることにより、消波ユニット自身を水中で移動することが容易になるといった特徴をもつ。
図8に消波ユニットを水底に格納した様子を示す。ここで、消波ユニットの上面から水底までの高さは水深の約1/10以下であれば、収納時試験に影響しないことが分かっている。
【0026】
さらに、前記の実地形態を発展させ、複数の消波装置を使用する場合の図を図9および図10に示す。図9は消波装置を長水槽に複数取り付ける場合の実施例、図10は消し波装置を角水槽に複数取り付ける場合の実地例である。本実施例では、消波装置を複数用いる事により、より広い範囲での消波を実施する事が可能となる。また、必要な箇所の消波装置だけを水面まで上昇させ消波をすることも可能である。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは無論である。例えば、上述した例では、浮力体、ワイヤ、ユニット昇降用モータおよびアームの組み合わせを用い消波部の上下運動を可能にしたが、その他の駆動機構を用いた場合にもそのまま適用することができる。また、消波材についてポーラス材以外のものについても同様に消波ユニットに取り付け使用可能であるものとする。さらに、フレームの形状については、矩形および直方体にはとらわれず用途により円形や三角その他の形状についても考えられる。
【0028】
【発明の効果】
上記本発明の構成によれば、試験が行われる水槽中央部への消波材の設置が可能になり、従来の水槽壁面に消波板および造波板を設置する構成に比べ、波の発生源付近において消波ができる。すなわち、従来の消波に比べて波の発生源から消波を行う部位までの距離が短くできるため、短時間での消波が可能となる。
また、従来の消波板タイプの消波装置に見られた消波板格納時の水滴も発生しないため、水滴に起因する波の発生もなくなる。そのため、二次的な波の発生による消波時間の増加を防げ、短時間で消波が可能となる。
さらに、上記本発明の構成によれば、水槽試験時には消波材が水中に格納され水面上での占有面積が少なくなるため、水面を最大限活用できると同時に、消波時には、消波部を水面に浮上させることにより、従来と比較して広い面積を波消に使用でき、これによりポーラス材を消波部として用いることが可能となり、従来の消波板にくらべ消波に時間のかかった短周期の波に対しても消波効果が期待できる。
従って、本発明によれば、短時間での消波を可能にし、水面の使用可能スペースを増やす事により、効率的な水槽試験を容易に可能にする水底格納式消波装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の側面断面である。
【図2】本発明の実施形態1のブラケット取り付け部分詳細である。
【図3】本発明の実施形態1の平面図である。
【図4】本発明の実施形態1の消波部水底格納時の側面断面である。
【図5】本発明の実施形態2の側面断面である。
【図6】本発明の実施形態2の昇降部分詳細である。
【図7】本発明の実施形態2の平面図である。
【図8】本発明の実施形態2の消波部水底格納時の側面断面である。
【図9】本発明の消波装置を複数用いた場合の実施例(長水槽の場合)である。
【図10】本発明の消波装置を複数用いた場合の実施例(角水槽の場合)である。
【図11】従来の消波板を用いた装置の側面断面である。
【図12】従来の消波板を用いた装置の平面図である。
【図13】従来の造波板を用いた装置の側面断面である。
【図14】従来の造波板を用いた装置の平面図である。
【符号の説明】
1水槽壁面
2水面
3消波板用モータ
11消波材
12フロート
13フレーム
14消波ユニット
15昇降駆動装置
18ユニット昇降用モータ
19消波装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、消波装置に係り、特に試験水槽に於ける実験終了後の消波を目的とした水底格納式消波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の試験水槽用消波装置を図11乃至図14に示した。これらの装置は、図示しない造波装置で波を起こして船舶や海洋構造物などの模型試験を行なう場合に、造波装置および模型船が造る波を水槽端部まで到達した際に消波するものである。
図11及び図12は消波板タイプの消波装置であり、図12に示す様に一般に水槽の長辺には可動式の消波板4、短辺には固定式の消波板4’が設置され、消波板の斜辺により砕波を起こし消波していた。
【0003】
また、この方式では、消波板上部にてポーラス材が消波材として併用されている例もある。この場合、ポーラス材は消波板の上部に残る短周期の波の消波用に設置されている。
つまり、消波板とポーラス材との併用により、長周期の波は消波板で、上部に残留する短周期の波についてはポーラス材で消波するというのが一般的である。なお、消波後には、該可動式消波板は消波板用モータ3を回転させることによって水面から引き上げられるようになっている。
【0004】
図13及び図14は、特開平10−019722号に記載された「水槽用消波装置」であり、水槽の端部において、該水槽の底部に下端を枢着されて揺動しうる造波板6と、該造波板を揺動させる駆動機構5と、を備え、上記水槽の水面に生起され上記造波板へ入射する波の高さを計測する波高センサ7が、該造波板の前面に装着されるとともに、同波高センサの検出信号に応じて上記造波板を揺動させ消波するように上記駆動機構を制御する制御部8が設けられている。
【0005】
この水槽用消波装置では、水槽の端部における造波板6へ入射する波の波高を該造波板の前面に装着された波高センサ7で検出し、その検出信号を受けた制御部8により該造波板の駆動機構を制御することにより、該造波板が揺動して波の伝播を妨げ、水槽端部へ入射する波の消波が適切に行なわれるようになっている。すなわち、この装置では制御部8が、波高センサ7からの検出信号に基づき波高が増大し始めるのを検知した際には、造波板6を後方へ倒すように駆動機構5を制御し、入射波の波高が減少し始める際には造波板6を前方へ倒すように駆動機構5を制御して、前記水面に生起された波の消波を行なうようになっており、造波板6への入射波に対する消波が十分に行われるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11および図14に示す消波板タイプの消波装置の場合、消波板4が水槽壁1に設置されているため、波の発生源から消波板4までの間に距離がある。そのため波の伝播に時間がかかり、結果として消波までの時間が増長されていた。特に短周期の波が含まれる場合には、波の伝播にさらに時間がかかり、消波に長い時間を要していた。
また、消波性能を十分得ようとすると、消波板4および4’を水面方向に延長した長い斜面が必要になるが、実際にこれを実施しようとすると、消波板に必要とされる水槽中の部位の比率が大きくなり現実的ではなかった。このため実験後の消波を十分行えていない水槽が多かった。
さらに、消波板4は、消波後上方に離水されるが、その際発生する水滴により二次的な波が発生するといった問題もあった。
【0007】
図13及び図14に示した造波板を用いる装置では、水面上を全方向に広がる波の性質上、図14に示す様に分割タイプの造波板を水槽全域に設置する必要があり、また波高センサにより、波の位置を検知して造波板の制御を行うための制御機構が必要となるため、コスト高となる問題があった。
【0008】
さらに、これら図11から図14に示す装置に共通する課題として、水槽の端部に消波のための構造を設ける必要から、試験水槽の水面の一部が占有され、試験を行う面積を制限してしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上述した種々の問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、消波機能をもつ消波ユニットを水中に格納することにより、消波時には消波に使用するスペースを十分確保する一方、水槽試験時には水面を最大限有効に使用でき、さらに、波の発生箇所付近での消波を可能にすることにより、短時間での消波を実現し、効率的な水槽試験を容易に実現する水底格納式消波装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、試験水槽用の消波装置であって、水面の波を減衰させる消波ユニット(14)と、該消波ユニットを水面と水底の間で昇降させる昇降駆動装置(15)と、を備えたことを特徴とする水底格納式消波装置が提供される。
【0011】
上記本発明の構成によれば、試験が行われる水槽中央部に消波ユニットが設置されるため、水槽壁面に消波板または造波板を設置する従来の構成に比べ、波の発生源である水槽中央部において消波ができる。すなわち、従来の消波に比べて波の発生源から消波を行う部位までの距離が短くでき、これにより、短時間での消波が可能となる。
また、上記本発明の構成によれば、水槽試験時には消波材が水中に格納されるため水面上を占有することもなく、水面を最大限活用でき、消波時には、消波部を水面に浮上させることにより、従来と比較して広い面積を波消に使用することが可能となる。
さらに、従来の消波板タイプの消波装置に見られた消波板格納時の水滴も発生しないため、水滴に起因する波の発生の問題もなくなり、二次的な波の発生による消波時間の増加もなく、短時間での消波が可能となる。
【0012】
本発明によれば、前記消波ユニット(14)は、水面上の波のエネルギーを吸収する消波材(11)と、該消波材を保持するフレーム(13)と、からなる。
【0013】
上記本発明の構成によれば、消波中に確実に消波材を保持できる水底格納式消波装置が提供される。
【0014】
また、好ましい実施例によれば、前記フレームは、矩形形状または直方体形状を有し、かつその内部が複数の区画(13a)に分割されており、
前記消波材はフレーム(13)内の任意の区画に取り付けられる。
【0015】
上記本発明の構成によれば、フレーム上の任意の位置に消波材を設置できることから、水槽試験で波が発生する位置に対応して消波材を設置でき、波の発生源から消波材までの距離を短くでき、これにより、消波までの時間を短縮できる。
【0016】
ここで、前記消波材(11)は、ポーラス材であることが好ましい。
【0017】
上記本発明の構成によれば、ポーラス材を消波板で使用した場合よりも、広い面積で消波材として用いることができ、その立体的な内部構造による砕波が多数回行われることにより、消波が効果的に行われる。また、ポーラス材を用いる事により、従来の消波板にくらべ短周期の波も効率的に消波することができる。
これにより、ポーラス材による消波では、消波板による消波の場合、最後まで消波板上部に残っていた、最も消波に時間のかかった短周期の波に対しても効率良く消波することができ、短時間の消波を実現することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
本実施形態に係る消波装置の構造を説明する。
図1は第1の実施形態の消波装置の側面断面図、図2は図1の部分Aの拡大図、図3は平面図を表しており、図4は本実施形態の水底格納時の状態を示した側面図である。
【0020】
図1に示すように、消波ユニット14は、消波材11とフロート12とフレーム13からなり、フレーム13はさらに細かな区画13aに分けられており、この中に消波材11が取り付けられる。
ここで、消波材11は消波を行う部分であり、フロート12はフレーム13に上向きの浮力を与え、またフレーム13は消波材とフロートを支える部材である。ここで、フロートは消波材をできるかぎり多く使用し、フロート自身による波の散乱を防ぐため、必要最小限の大きさとする。また、消波ユニットの下側には昇降駆動装置15がとりつけられている。
【0021】
消波材11に用いられているポーラス材とは、多孔質な立体構造物であり、その入手及び取り扱いの簡易性から本実施例では樹脂製のものを想定している。一例を挙げると、線状な熱可逆性樹脂をカールさせたまま積み重ね、該樹脂の相互接点を溶着形成し、板状に加工した様なものを示す。
区画13aには消波材として、これらを充填し消波効果を持たせている。
【0022】
本実施形態は、比較的簡易な構成で部品点数が少ない装置により消波を行い消波後には水底への格納が可能である点にその特徴がある。
【0023】
図1および図2に示す様に、ユニットの水中への格納は、水槽上側平面部に取り付けられた2台のユニット昇降用モータ18からの牽引力にて浮力に対抗し、消波ユニットを水底まで牽引することにより行われる。
すなわち、ユニット昇降用モータ18からの牽引力は、ワイヤ15bにより、水槽端部に取り付けられた滑車17と水槽底に設置された滑車16と、ブラケット15aを介しフレーム13に伝えられる。フレーム13に伝えられた牽引力は、消波ユニット下側方向に作用することにより、消波ユニットは水底に格納される。
ここで、図3に示す様に、各ユニット昇降用モータの両端には滑車17が各々取り付けられており、消波ユニットの両側で均一にワイヤを牽引できるようになっている。
フレーム13内部は複数の区画13aに分けられており、該各区画にポーラス材を取り付けることにより、フレーム上面の任意の位置に消波材を移動できるようになっている。
図4に消波ユニットを水底に格納した様子を示す。ここで、消波ユニットの厚みは水深の約1/10以下であれば、収納時試験に影響しないことが分かっている。
【0024】
次に、本発明の第2の実施形態を、図面を参照して説明する。消波ユニット24は、図5に示すように、消波材11とフレーム23からなる。フレーム23内部は図7に示すように、複数の区画13aに分けられており、該各区画にポーラス材を取り付けることにより、フレーム上面の任意の位置に消波材を移動できるようになっている。また、消波ユニットの下側には消波ユニットの水底への格納および水面への上昇の為の昇降駆動装置25が取り付けられている。
図6に、昇降駆動装置25を示す。ここではパンタグラフ型の昇降機構が用いられている。以下にその動作を説明する。
図6に示すように、まず、ユニット昇降用モータ18からの回転力にて、シャフト27が回転する。次に、ユニット底部に取り付けられたボルト28がこの回転を受け、固定軸アーム30を固定した状態でスライドアーム31をガイドレール29に沿ってスライドさせる。最後に、このスライドにより、各アームが可動部32を中心に開閉し、アーム全体を上下方向に伸縮させる。
ここで、消波ユニットはスライドによりアーム間の距離が近くなった場合には上に、遠くなった場合には下に動き、使用する水槽の水深に合わせて数段組み合わされている。
図7に示すとおり、昇降駆動装置25は、フレームの4隅に設けられており、各々に昇降用モータが取り付けられている。
これにより、消波ユニットの高さを変化させることが可能になり、水底への格納が可能となる。
【0025】
本実施形態は、構造が多少複雑になるものの、消波ユニット浮上の為のフロートを必要とせず、昇降機構が水槽壁から独立できるため、4つのユニット昇降用モータを各々お互いに固定し、キャスターなどを取り付けることにより、消波ユニット自身を水中で移動することが容易になるといった特徴をもつ。
図8に消波ユニットを水底に格納した様子を示す。ここで、消波ユニットの上面から水底までの高さは水深の約1/10以下であれば、収納時試験に影響しないことが分かっている。
【0026】
さらに、前記の実地形態を発展させ、複数の消波装置を使用する場合の図を図9および図10に示す。図9は消波装置を長水槽に複数取り付ける場合の実施例、図10は消し波装置を角水槽に複数取り付ける場合の実地例である。本実施例では、消波装置を複数用いる事により、より広い範囲での消波を実施する事が可能となる。また、必要な箇所の消波装置だけを水面まで上昇させ消波をすることも可能である。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは無論である。例えば、上述した例では、浮力体、ワイヤ、ユニット昇降用モータおよびアームの組み合わせを用い消波部の上下運動を可能にしたが、その他の駆動機構を用いた場合にもそのまま適用することができる。また、消波材についてポーラス材以外のものについても同様に消波ユニットに取り付け使用可能であるものとする。さらに、フレームの形状については、矩形および直方体にはとらわれず用途により円形や三角その他の形状についても考えられる。
【0028】
【発明の効果】
上記本発明の構成によれば、試験が行われる水槽中央部への消波材の設置が可能になり、従来の水槽壁面に消波板および造波板を設置する構成に比べ、波の発生源付近において消波ができる。すなわち、従来の消波に比べて波の発生源から消波を行う部位までの距離が短くできるため、短時間での消波が可能となる。
また、従来の消波板タイプの消波装置に見られた消波板格納時の水滴も発生しないため、水滴に起因する波の発生もなくなる。そのため、二次的な波の発生による消波時間の増加を防げ、短時間で消波が可能となる。
さらに、上記本発明の構成によれば、水槽試験時には消波材が水中に格納され水面上での占有面積が少なくなるため、水面を最大限活用できると同時に、消波時には、消波部を水面に浮上させることにより、従来と比較して広い面積を波消に使用でき、これによりポーラス材を消波部として用いることが可能となり、従来の消波板にくらべ消波に時間のかかった短周期の波に対しても消波効果が期待できる。
従って、本発明によれば、短時間での消波を可能にし、水面の使用可能スペースを増やす事により、効率的な水槽試験を容易に可能にする水底格納式消波装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の側面断面である。
【図2】本発明の実施形態1のブラケット取り付け部分詳細である。
【図3】本発明の実施形態1の平面図である。
【図4】本発明の実施形態1の消波部水底格納時の側面断面である。
【図5】本発明の実施形態2の側面断面である。
【図6】本発明の実施形態2の昇降部分詳細である。
【図7】本発明の実施形態2の平面図である。
【図8】本発明の実施形態2の消波部水底格納時の側面断面である。
【図9】本発明の消波装置を複数用いた場合の実施例(長水槽の場合)である。
【図10】本発明の消波装置を複数用いた場合の実施例(角水槽の場合)である。
【図11】従来の消波板を用いた装置の側面断面である。
【図12】従来の消波板を用いた装置の平面図である。
【図13】従来の造波板を用いた装置の側面断面である。
【図14】従来の造波板を用いた装置の平面図である。
【符号の説明】
1水槽壁面
2水面
3消波板用モータ
11消波材
12フロート
13フレーム
14消波ユニット
15昇降駆動装置
18ユニット昇降用モータ
19消波装置
Claims (4)
- 試験水槽用の消波装置であって、
水面の波を減衰させる消波ユニット(14)と、
該消波ユニットを水面と水底との間で昇降させる昇降駆動機構(15)と、を備えたことを特徴とする水底格納式消波装置。 - 前記消波ユニット(14)は、水面上の波のエネルギーを吸収する消波材(11)と、該消波材を保持するフレーム(13)と、からなることを特徴とする請求項1に記載の水底格納式消波装置。
- 前記フレームは、矩形形状または直方体形状を有し、かつその内部が複数の区画(13a)に分割されており、
前記消波材はフレーム(13)内の任意の区画に取り付けられる、ことを特徴とする請求項2に記載の水底格納式消波装置。 - 前記消波材は、ポーラス材である、ことを特徴とする請求項2に記載の水底格納式消波装置。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2002-08-13 JP JP2002235351A patent/JP2004076328A/ja active Pending
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