JP2004074106A - 触媒の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】石炭焚脱硝触媒を再生するにおいて有効でしかも低コストに行える触媒の再生方法を提供する。
【解決手段】劣化した石炭焚用脱硝触媒の再生に際し、触媒表面から物理的に付着したダスト成分を除去した後、触媒を水洗・乾燥し、その触媒を、蓚酸などの酸と共にバナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液を含浸させて乾燥し、その後、300〜600℃で焼成して再生するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】劣化した石炭焚用脱硝触媒の再生に際し、触媒表面から物理的に付着したダスト成分を除去した後、触媒を水洗・乾燥し、その触媒を、蓚酸などの酸と共にバナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液を含浸させて乾燥し、その後、300〜600℃で焼成して再生するものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭焚ボイラの燃焼排ガス中のNOx を除去する脱硝触媒の再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、脱硝触媒の劣化要因としては、熱的要因(シンタリング)、化学的要因、物理的要因が複雑に関係している。
【0003】
先ず、熱的要因(シンタリング)の劣化とは、触媒が長時間加熱されていることにより、触媒を構成している結晶粒子が徐々に粗大化し、触媒の細孔、比表面積が減少して脱硝性能が低下する現象であり、化学的要因の劣化は、燃料中のアルカリ成分(Na、K)によるの触媒被毒が要因であり、また、触媒へのV付着により、V分の影響によりSO2 転化率が上昇し、後流機器に影響を与える問題もある。
【0004】
物理的要因(コーティング)の劣化とは、排ガス中の灰分が徐々に付着して触媒表面が物理的に覆われてしまうため、排ガスが触媒細孔内へ入り込むことができず脱硝性能が低下する現象である。
【0005】
また、脱硝触媒の劣化原因は、使用する燃料の種類により次のように大きく分類される。
【0006】
▲1▼ガス焚のガスタービン等の場合
触媒のシンタリングによる表面積低下などの熱的な要因が劣化の主原因である。
【0007】
▲2▼油焚ボイラの場合
シンタリングなどの熱的要因の他に、ダスト中に含まれるアルカリ成分(Na、K)やヒ素(As)の触媒表面への付着による化学的要因も挙げられる。
【0008】
油焚の場合は、脱硝率の低下に加えて、ダスト中のバナジウム(V)の付着・堆積によるSO2 (二酸化硫黄)転化率の上昇による触媒の劣化も同時に引き起こされる。
【0009】
▲3▼石炭焚ボイラの場合
熱的要因の他に、アルカリ成分の付着による化学的要因、ダストの触媒表面でのコーティングによる物理的要因などの複合的要因が触媒劣化の原因となるといわれている。
【0010】
従来、脱硝触媒の再生方法としては、(a)特開平7−222924号公報に示されるように、油焚向けの触媒で触媒表面に堆積したバナジウムを、蓚酸等の酸で溶解処理する方法、(b)特開平10−235209号公報に示されるように、フッ酸水溶液で触媒を処理した後・減少した触媒中のバナジウムを再度含浸法により担持する方法、(c)特開平11−57410号公報に示されるように、アルカリで劣化した触媒に、硫酸水溶液を含浸後、焼成することで、触媒活性成分であるバナジウム(V)やタングステン(W)を流失することなく、付着したアルカリ分を無害化する方法、(d)特開2000−167405号公報に示されるように、アルカリ劣化した触媒を予め水分等で吸湿させた後、同じく予め焼成したV/W/Ti粉末を空気噴霧などの方法でコーティングする方法が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術による触媒再生は主に、石油焚向けの触媒を対象としており、このため、付着したアルカリ成分を、酸などにより除去する必要がある。場合によっては、酸などによる除去の後工程として、バナジウム等の触媒活性成分を再度含浸・担持する必要があるため、再生工程が複雑になり、再生コストが増加する傾向にあった。
【0012】
しかし、上述の触媒再生方法を石炭焚向けの触媒の再生に適用する場合、劣化の原因が、油焚とは異なるため、必ずしも有効な再生方法とはならない。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、石炭焚脱硝触媒を再生するにおいて有効でしかも低コストに行える触媒の再生方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、劣化した石炭焚用脱硝触媒の再生に際し、触媒表面から物理的に付着したダスト成分を除去した後、その触媒表面に触媒活性成分を含浸或いはコーティングして再担持させるようにした触媒の再生方法である。
【0015】
請求項2の発明は、再担持は、蓚酸などの酸と共にバナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液に触媒を含浸させて乾燥し、その後、300〜600℃で焼成して行う請求項1記載の触媒の再生方法である。
【0016】
請求項3の発明は、バナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液に酸化チタンのスラリーを加え、触媒にバナジウムやタングステンの含浸と共に酸化チタンをコーティングする請求項2記載の触媒の再生方法である。
【0017】
請求項4の発明は、メタバナジン酸アンモニウムと蓚酸を加えた水溶液に触媒を浸漬させ、その後、100℃以下で数十時間乾燥させ、その後、300〜600℃で数時間焼成する請求項2記載の触媒の再生方法である。
【0018】
請求項5の発明は、メタバナジン酸アンモニウムと蓚酸を加え、さらにパラタングステン酸アンモニウムを加え、さらに酸化チタンを添加した水溶液に触媒を含浸させ、その後、100℃以下で数十時間乾燥させ、その後、300〜600℃で数時間焼成する請求項3記載の触媒の再生方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を詳述する。
【0020】
先ず、本発明に用いる脱硝触媒は、酸化チタンを担体とし、これに酸化バナジウムや酸化タングステンを担持させ、これをハニカム形状に形成したものからなり、石炭焚ボイラの下流に接続した脱硝装置本体内にハニカム形状の脱硝触媒が多段多列に収容されて、排ガス(350℃前後)中のNOxを除去するようになっている。
【0021】
さて、この石炭焚向け触媒の劣化要因を鋭意検討した結果、ダストによる触媒表面のコーティングや閉塞による物理的要因以外の、アルカリ成分の触媒表面付着による化学的要因による劣化の割合は比較的小さいことがわかった。
【0022】
従来化学的要因と考えられていた触媒劣化は、触媒表面の数μm程度の範囲に堆積したカルシウムおよび硫黄からなる石膏成分や二酸化珪素成分等の表面への物理化学的固着により引き起こされていることが判明した。従って、触媒の再生方法として物理的に付着・触媒のセルを閉塞したダスト成分を除去した後は、コスト高につながる酸などの薬剤による洗浄・再生は不要である。
【0023】
本発明では、物理的に付着したダスト成分を除去した後、触媒を酸などの薬剤を使わずに水洗・乾燥後・触媒活性成分を含浸や担持することで、低コストな触媒再生を行うことが可能となる。
【0024】
ダスト成分の除去としては、ハニカム触媒の各孔(セル)内を直接ブラシで清掃したり、エアブローやサンドブラストで除去したり、或いは水洗や超音波洗浄など、適宜これらを併用して行う。
【0025】
活性成分の含浸方法としては、蓚酸などの酸とともに、バナジウム化合物、タングステン化合物の水溶液を含浸する方法、および、バナジウム、タングステンを触媒担体主成分である酸化チタン(TiO2 )粉末のスラリー状態としてコーティングする方法がある。
【0026】
含浸またはコーティングを行った触媒は、100℃以下の温度で乾燥を行い、最終的に300〜600℃の範囲で空気中焼成することで触媒の再生を行う。
【0027】
本発明においては、酸などの薬剤を使用する必要が無いため、余分な廃液を排出することなく、触媒の洗浄が可能となる。
【0028】
また、バナジウムに加えて、タングステンや酸化チタンを併せて含浸、コーティングにより担持するために、担持するバナジウム、タングステン、酸化チタンの比率を最適にすることができ、SO2 転化率の上昇を抑制しつつ、脱硝率の回復を図ることが可能となる。
【0029】
さらに、触媒劣化は、表面から数μmの範囲であり、この数μmの範囲にコーティングを施すだけで再生が行えるため、触媒活性成分の含浸液の量は、少なくても十分再生することができるため、低コストで再生が行える。
【0030】
【実施例】
実施例1(V2O5コーティングによる触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の実施例1を示す。
【0031】
1000ccのイオン交換水に、メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)および蓚酸((COOH)2)を、それぞれ、19.6gおよび31.7g加え、両者が完全に溶解するまで、攪拌を行った。
【0032】
その後、あらかじめ目詰まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を浸漬する。
【0033】
含浸液が触媒中に良く分散するよう、30分程度浸漬した状態で保持する。その後、触媒を含浸液から取り出し、室温にて、余分な含浸液を取り除いた後、70℃において乾燥を行った。
【0034】
乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行うが、本実施例では、20hr程度の乾燥で完全に水分を除去することができた。
【0035】
乾燥した触媒は、大気雰囲気中にて焼成を行った。昇温速度は、約0.5℃/minとし、最終的に、550℃(5hr)にて焼成を行った。また、降温は、炉内放冷とした。
【0036】
実施例2(V2O5−WO3/TiO2コーティングによる触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の実施例2を示す。
【0037】
1000ccのイオン交換水に、メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)および蓚酸((COOH)2)を、それぞれ、19.6gおよび31.7g加え、実施例1と同様の含浸液を調製した。
【0038】
その後、パラタングステン酸アンモニウム((NH4)10W12O41・5H2O)を61g加え、同じく、各原料が完全に溶解するまで、攪拌を行った。
【0039】
その後、酸化チタン(TiO2 )粉末10gの添加を行い、TiO2 粉末が水中に懸濁するよう、良く攪拌を行った。
【0040】
あらかじめ目詰まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を浸漬するが、TiO2 粉末が、沈殿しないよう、含浸液を良く攪拌した状態で、30分程度浸漬した。
【0041】
その後、触媒を含浸液から取り出し、室温にて余分な含浸液を取り除いた後、70℃において乾燥を行った。乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行うが、本実施例では、20hr程度の乾燥で完全に水分を除去することができた。
【0042】
乾燥した触媒は、大気雰囲気中にて、焼成を行った。昇温速度は、約0.5℃/minとし、最終的に、550℃(5hr)にて焼成を行った。また、降温は、炉内放冷とした。
【0043】
比較例1(水洗による触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の比較例1を示す。
【0044】
実施例1および実施例2と同様に,あらかじめ目詰まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を、イオン交換水に浸漬した。
【0045】
触媒表面に付着したダストが除去されるよう、触媒を交換水中で振揺および交換水からの引上げと再浸漬を何度か繰り返した。その後、触媒を洗浄液から取り出し、室温にて、余分な洗浄液を取り除いた後、120℃において乾燥を行った。
【0046】
乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行った。
【0047】
比較例2(超音波を用いた水洗による触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の比較例2を示す。
【0048】
実施例1および実施例2と同様に、あらかじめ目語まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を、超音波を加えた状態のイオン交換水に浸漬した。触媒表面に付着したダストが除去し易いように、交換水に超音波を加える以外は、比較例1と同じである。
【0049】
触媒表面に付着したダストが除去されるよう、触媒を交換水中で振揺および交換水からの引上げと再浸漬を何度か繰り返した。その後、触媒を洗浄液から取り出し室温にて、余分な洗浄液を取り除いた後、120℃において乾燥を行った。
【0050】
乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行った。
【0051】
次に、実施例1、2及び比較例1、2の脱硝触媒の初期脱硝率、再生前の脱硝率、再生後の脱硝率を下表に示す。
【0052】
表1
この表1の結果を図1〜図3に示した。
【0053】
図1は、実施例1のV2O5コーティングにより触媒を再生したときの脱硝率と実施例2のV2O5−WO3/TiO2コーティングにより触媒を再生したときの脱硝率(排ガス温度380℃)を示し、図2は比較例1の水洗したときの脱硝率(排ガス温度355℃)を、図3は比較例3の超音波洗浄したときの脱硝率(排ガス温度380℃)を示している。
【0054】
表1及び図1に示すように、本発明の再生では、図1でaで示した実施例1では、その再生率が、106%、bで示した実施例2では、再生率が129%で、いずれも100%以上となり、触媒活性が初期活性のものより向上していることが認められる。
【0055】
これに対して、図2にcで示した水洗浄(比較例1)は、再生率が39%と低く、また、図3にdで示した超音波洗浄(比較例2)は、再生率が67%と、初期の活性より低下している。
【0056】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、以下に示すごとく優れた効果を発揮するものである。
【0057】
(1)酸など薬剤を使用する必要がないため、再生に余分な廃液を排出することはなく、触媒の洗浄が可能となる。
【0058】
(2)バナジウムに加えて、タングステンや酸化チタンを併せて含浸、コーティングにより担持するため、担持するバナジウム、タングステン、酸化チタンの比率を最適にすることで、SO2 転化率の上昇を抑制しつつ、脱硝率の回復を図ることが可能となる。
【0059】
(3)触媒劣化は、表面から数μmの範囲であり、この数μmの範囲にコーティングを施すだけで再生が行えるため、触媒活性成分の含浸液の量は、少なくても十分再生することができるため、低コストで再生が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び2における触媒の初期、再生前、再生後の脱硝率を示す図である。
【図2】触媒を水洗した比較例1における触媒の初期、再生前、再生後の脱硝率を示す図である。
【図3】触媒を超音波水洗した比較例2における触媒の初期、再生前、再生後の脱硝率を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、石炭焚ボイラの燃焼排ガス中のNOx を除去する脱硝触媒の再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、脱硝触媒の劣化要因としては、熱的要因(シンタリング)、化学的要因、物理的要因が複雑に関係している。
【0003】
先ず、熱的要因(シンタリング)の劣化とは、触媒が長時間加熱されていることにより、触媒を構成している結晶粒子が徐々に粗大化し、触媒の細孔、比表面積が減少して脱硝性能が低下する現象であり、化学的要因の劣化は、燃料中のアルカリ成分(Na、K)によるの触媒被毒が要因であり、また、触媒へのV付着により、V分の影響によりSO2 転化率が上昇し、後流機器に影響を与える問題もある。
【0004】
物理的要因(コーティング)の劣化とは、排ガス中の灰分が徐々に付着して触媒表面が物理的に覆われてしまうため、排ガスが触媒細孔内へ入り込むことができず脱硝性能が低下する現象である。
【0005】
また、脱硝触媒の劣化原因は、使用する燃料の種類により次のように大きく分類される。
【0006】
▲1▼ガス焚のガスタービン等の場合
触媒のシンタリングによる表面積低下などの熱的な要因が劣化の主原因である。
【0007】
▲2▼油焚ボイラの場合
シンタリングなどの熱的要因の他に、ダスト中に含まれるアルカリ成分(Na、K)やヒ素(As)の触媒表面への付着による化学的要因も挙げられる。
【0008】
油焚の場合は、脱硝率の低下に加えて、ダスト中のバナジウム(V)の付着・堆積によるSO2 (二酸化硫黄)転化率の上昇による触媒の劣化も同時に引き起こされる。
【0009】
▲3▼石炭焚ボイラの場合
熱的要因の他に、アルカリ成分の付着による化学的要因、ダストの触媒表面でのコーティングによる物理的要因などの複合的要因が触媒劣化の原因となるといわれている。
【0010】
従来、脱硝触媒の再生方法としては、(a)特開平7−222924号公報に示されるように、油焚向けの触媒で触媒表面に堆積したバナジウムを、蓚酸等の酸で溶解処理する方法、(b)特開平10−235209号公報に示されるように、フッ酸水溶液で触媒を処理した後・減少した触媒中のバナジウムを再度含浸法により担持する方法、(c)特開平11−57410号公報に示されるように、アルカリで劣化した触媒に、硫酸水溶液を含浸後、焼成することで、触媒活性成分であるバナジウム(V)やタングステン(W)を流失することなく、付着したアルカリ分を無害化する方法、(d)特開2000−167405号公報に示されるように、アルカリ劣化した触媒を予め水分等で吸湿させた後、同じく予め焼成したV/W/Ti粉末を空気噴霧などの方法でコーティングする方法が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術による触媒再生は主に、石油焚向けの触媒を対象としており、このため、付着したアルカリ成分を、酸などにより除去する必要がある。場合によっては、酸などによる除去の後工程として、バナジウム等の触媒活性成分を再度含浸・担持する必要があるため、再生工程が複雑になり、再生コストが増加する傾向にあった。
【0012】
しかし、上述の触媒再生方法を石炭焚向けの触媒の再生に適用する場合、劣化の原因が、油焚とは異なるため、必ずしも有効な再生方法とはならない。
【0013】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、石炭焚脱硝触媒を再生するにおいて有効でしかも低コストに行える触媒の再生方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、劣化した石炭焚用脱硝触媒の再生に際し、触媒表面から物理的に付着したダスト成分を除去した後、その触媒表面に触媒活性成分を含浸或いはコーティングして再担持させるようにした触媒の再生方法である。
【0015】
請求項2の発明は、再担持は、蓚酸などの酸と共にバナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液に触媒を含浸させて乾燥し、その後、300〜600℃で焼成して行う請求項1記載の触媒の再生方法である。
【0016】
請求項3の発明は、バナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液に酸化チタンのスラリーを加え、触媒にバナジウムやタングステンの含浸と共に酸化チタンをコーティングする請求項2記載の触媒の再生方法である。
【0017】
請求項4の発明は、メタバナジン酸アンモニウムと蓚酸を加えた水溶液に触媒を浸漬させ、その後、100℃以下で数十時間乾燥させ、その後、300〜600℃で数時間焼成する請求項2記載の触媒の再生方法である。
【0018】
請求項5の発明は、メタバナジン酸アンモニウムと蓚酸を加え、さらにパラタングステン酸アンモニウムを加え、さらに酸化チタンを添加した水溶液に触媒を含浸させ、その後、100℃以下で数十時間乾燥させ、その後、300〜600℃で数時間焼成する請求項3記載の触媒の再生方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な一実施形態を詳述する。
【0020】
先ず、本発明に用いる脱硝触媒は、酸化チタンを担体とし、これに酸化バナジウムや酸化タングステンを担持させ、これをハニカム形状に形成したものからなり、石炭焚ボイラの下流に接続した脱硝装置本体内にハニカム形状の脱硝触媒が多段多列に収容されて、排ガス(350℃前後)中のNOxを除去するようになっている。
【0021】
さて、この石炭焚向け触媒の劣化要因を鋭意検討した結果、ダストによる触媒表面のコーティングや閉塞による物理的要因以外の、アルカリ成分の触媒表面付着による化学的要因による劣化の割合は比較的小さいことがわかった。
【0022】
従来化学的要因と考えられていた触媒劣化は、触媒表面の数μm程度の範囲に堆積したカルシウムおよび硫黄からなる石膏成分や二酸化珪素成分等の表面への物理化学的固着により引き起こされていることが判明した。従って、触媒の再生方法として物理的に付着・触媒のセルを閉塞したダスト成分を除去した後は、コスト高につながる酸などの薬剤による洗浄・再生は不要である。
【0023】
本発明では、物理的に付着したダスト成分を除去した後、触媒を酸などの薬剤を使わずに水洗・乾燥後・触媒活性成分を含浸や担持することで、低コストな触媒再生を行うことが可能となる。
【0024】
ダスト成分の除去としては、ハニカム触媒の各孔(セル)内を直接ブラシで清掃したり、エアブローやサンドブラストで除去したり、或いは水洗や超音波洗浄など、適宜これらを併用して行う。
【0025】
活性成分の含浸方法としては、蓚酸などの酸とともに、バナジウム化合物、タングステン化合物の水溶液を含浸する方法、および、バナジウム、タングステンを触媒担体主成分である酸化チタン(TiO2 )粉末のスラリー状態としてコーティングする方法がある。
【0026】
含浸またはコーティングを行った触媒は、100℃以下の温度で乾燥を行い、最終的に300〜600℃の範囲で空気中焼成することで触媒の再生を行う。
【0027】
本発明においては、酸などの薬剤を使用する必要が無いため、余分な廃液を排出することなく、触媒の洗浄が可能となる。
【0028】
また、バナジウムに加えて、タングステンや酸化チタンを併せて含浸、コーティングにより担持するために、担持するバナジウム、タングステン、酸化チタンの比率を最適にすることができ、SO2 転化率の上昇を抑制しつつ、脱硝率の回復を図ることが可能となる。
【0029】
さらに、触媒劣化は、表面から数μmの範囲であり、この数μmの範囲にコーティングを施すだけで再生が行えるため、触媒活性成分の含浸液の量は、少なくても十分再生することができるため、低コストで再生が行える。
【0030】
【実施例】
実施例1(V2O5コーティングによる触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の実施例1を示す。
【0031】
1000ccのイオン交換水に、メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)および蓚酸((COOH)2)を、それぞれ、19.6gおよび31.7g加え、両者が完全に溶解するまで、攪拌を行った。
【0032】
その後、あらかじめ目詰まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を浸漬する。
【0033】
含浸液が触媒中に良く分散するよう、30分程度浸漬した状態で保持する。その後、触媒を含浸液から取り出し、室温にて、余分な含浸液を取り除いた後、70℃において乾燥を行った。
【0034】
乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行うが、本実施例では、20hr程度の乾燥で完全に水分を除去することができた。
【0035】
乾燥した触媒は、大気雰囲気中にて焼成を行った。昇温速度は、約0.5℃/minとし、最終的に、550℃(5hr)にて焼成を行った。また、降温は、炉内放冷とした。
【0036】
実施例2(V2O5−WO3/TiO2コーティングによる触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の実施例2を示す。
【0037】
1000ccのイオン交換水に、メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)および蓚酸((COOH)2)を、それぞれ、19.6gおよび31.7g加え、実施例1と同様の含浸液を調製した。
【0038】
その後、パラタングステン酸アンモニウム((NH4)10W12O41・5H2O)を61g加え、同じく、各原料が完全に溶解するまで、攪拌を行った。
【0039】
その後、酸化チタン(TiO2 )粉末10gの添加を行い、TiO2 粉末が水中に懸濁するよう、良く攪拌を行った。
【0040】
あらかじめ目詰まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を浸漬するが、TiO2 粉末が、沈殿しないよう、含浸液を良く攪拌した状態で、30分程度浸漬した。
【0041】
その後、触媒を含浸液から取り出し、室温にて余分な含浸液を取り除いた後、70℃において乾燥を行った。乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行うが、本実施例では、20hr程度の乾燥で完全に水分を除去することができた。
【0042】
乾燥した触媒は、大気雰囲気中にて、焼成を行った。昇温速度は、約0.5℃/minとし、最終的に、550℃(5hr)にて焼成を行った。また、降温は、炉内放冷とした。
【0043】
比較例1(水洗による触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の比較例1を示す。
【0044】
実施例1および実施例2と同様に,あらかじめ目詰まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を、イオン交換水に浸漬した。
【0045】
触媒表面に付着したダストが除去されるよう、触媒を交換水中で振揺および交換水からの引上げと再浸漬を何度か繰り返した。その後、触媒を洗浄液から取り出し、室温にて、余分な洗浄液を取り除いた後、120℃において乾燥を行った。
【0046】
乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行った。
【0047】
比較例2(超音波を用いた水洗による触媒の再生)
以下に、ラボスケールにて実施した石炭焚き触媒再生方法の比較例2を示す。
【0048】
実施例1および実施例2と同様に、あらかじめ目語まりを取り除いた使用済み触媒(寸法:約30mm×約30mm×約100mmL)を、超音波を加えた状態のイオン交換水に浸漬した。触媒表面に付着したダストが除去し易いように、交換水に超音波を加える以外は、比較例1と同じである。
【0049】
触媒表面に付着したダストが除去されるよう、触媒を交換水中で振揺および交換水からの引上げと再浸漬を何度か繰り返した。その後、触媒を洗浄液から取り出し室温にて、余分な洗浄液を取り除いた後、120℃において乾燥を行った。
【0050】
乾燥は、触媒中の含浸液が完全に乾燥するまで行った。
【0051】
次に、実施例1、2及び比較例1、2の脱硝触媒の初期脱硝率、再生前の脱硝率、再生後の脱硝率を下表に示す。
【0052】
表1
この表1の結果を図1〜図3に示した。
【0053】
図1は、実施例1のV2O5コーティングにより触媒を再生したときの脱硝率と実施例2のV2O5−WO3/TiO2コーティングにより触媒を再生したときの脱硝率(排ガス温度380℃)を示し、図2は比較例1の水洗したときの脱硝率(排ガス温度355℃)を、図3は比較例3の超音波洗浄したときの脱硝率(排ガス温度380℃)を示している。
【0054】
表1及び図1に示すように、本発明の再生では、図1でaで示した実施例1では、その再生率が、106%、bで示した実施例2では、再生率が129%で、いずれも100%以上となり、触媒活性が初期活性のものより向上していることが認められる。
【0055】
これに対して、図2にcで示した水洗浄(比較例1)は、再生率が39%と低く、また、図3にdで示した超音波洗浄(比較例2)は、再生率が67%と、初期の活性より低下している。
【0056】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、以下に示すごとく優れた効果を発揮するものである。
【0057】
(1)酸など薬剤を使用する必要がないため、再生に余分な廃液を排出することはなく、触媒の洗浄が可能となる。
【0058】
(2)バナジウムに加えて、タングステンや酸化チタンを併せて含浸、コーティングにより担持するため、担持するバナジウム、タングステン、酸化チタンの比率を最適にすることで、SO2 転化率の上昇を抑制しつつ、脱硝率の回復を図ることが可能となる。
【0059】
(3)触媒劣化は、表面から数μmの範囲であり、この数μmの範囲にコーティングを施すだけで再生が行えるため、触媒活性成分の含浸液の量は、少なくても十分再生することができるため、低コストで再生が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1及び2における触媒の初期、再生前、再生後の脱硝率を示す図である。
【図2】触媒を水洗した比較例1における触媒の初期、再生前、再生後の脱硝率を示す図である。
【図3】触媒を超音波水洗した比較例2における触媒の初期、再生前、再生後の脱硝率を示す図である。
Claims (5)
- 劣化した石炭焚用脱硝触媒の再生に際し、触媒表面から物理的に付着したダスト成分を除去した後、その触媒表面に、触媒活性成分を含浸或いはコーティングして再担持させることを特徴とする触媒の再生方法。
- 再担持は、蓚酸などの酸と共にバナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液に触媒を含浸させて乾燥し、その後、300〜600℃で焼成して行う請求項1記載の触媒の再生方法。
- バナジウム化合物やタングステン化合物の水溶液に酸化チタンのスラリーを加え、触媒にバナジウムやタングステンの含浸と共に酸化チタンをコーティングする請求項2記載の触媒の再生方法。
- メタバナジン酸アンモニウムと蓚酸を加えた水溶液に触媒を浸漬させ、その後、100℃以下で数十時間乾燥させ、その後、300〜600℃で数時間焼成する請求項2記載の触媒の再生方法。
- メタバナジン酸アンモニウムと蓚酸を加え、さらにパラタングステン酸アンモニウムを加え、さらに酸化チタンを添加した水溶液に触媒を浸漬させ、その後、100℃以下で数十時間乾燥させ、その後、300〜600℃で数時間焼成する請求項3記載の触媒の再生方法。
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