JP2004071818A - 支持装置およびステージ装置並びに露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の大型化や露光精度の低下を招くことなくデバイスの微細化に対応する。
【解決手段】物体6を支持する支持面68aを有する。所定圧力の気体が充填され、物体6を気体により支持面68aと直交する第1方向に支持する気体室30と、気体室30に配設され、電磁力により物体6を第1方向に駆動する駆動装置31とを備えた。
【選択図】 図6
【解決手段】物体6を支持する支持面68aを有する。所定圧力の気体が充填され、物体6を気体により支持面68aと直交する第1方向に支持する気体室30と、気体室30に配設され、電磁力により物体6を第1方向に駆動する駆動装置31とを備えた。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体により物体を支持するとともに電磁力により物体を駆動する支持装置およびステージ装置並びに半導体集積回路や液晶ディスプレイ等の製造に用いられる露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程においては、マスク又はレチクル(以下、レチクルと称する)に形成された回路パターンをレジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する種々の露光装置が用いられている。
【0003】
例えば、半導体デバイス用の露光装置としては、近年における集積回路の高集積化に伴うパターンの最小線幅(デバイスルール)の微細化に応じて、レチクルのパターンを投影光学系を用いてウエハ上に縮小転写する縮小投影露光装置が主として用いられている。
【0004】
この縮小投影露光装置としては、レチクルのパターンをウエハ上の複数のショット領域(露光領域)に順次転写するステップ・アンド・リピート方式の静止露光型の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパを改良したもので、特開平8−166043号公報等に開示されるようなレチクルとウエハとを一次元方向に同期移動してレチクルパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)が知られている。
【0005】
これらの縮小投影露光装置においては、ステージ装置として、床面に先ず装置の基準になるベースプレートが設置され、その上に床振動を遮断するための防振台を介してレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系(投影レンズ)等を支持する本体コラムが載置されたものが多く用いられている。最近のステージ装置では、前記防振台として、内圧が制御可能なエアマウントやボイスコイルモータ等のアクチュエータ(推力付与装置)を備え、本体コラム(メインフレーム)に取り付けられた、例えば6個の加速度計の計測値に基づいて前記ボイスコイルモータ等の推力を制御することにより本体コラムの振動を制御するアクティブ防振台が採用されている。
【0006】
これらエアマウント及びアクチュエータからなる支持装置は、支持対象となる物体に対する(主にエアマウントによる)支持方向と、(主にアクチュエータによる)駆動方向とが同軸となるように機構的には直列で配置され、また各機器が独立して駆動可能なように機能上は並列に構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の支持装置およびステージ装置並びに露光装置には、以下のような問題が存在する。
近年においては、半導体デバイスの微細化や露光処理の高速化の要請が益々高まってきており、この要請に応えることができるステージ装置および露光装置が強く要望されている。ところが、この種の装置は、微細化が進むと更なるレンズの高NA化が進み、結果として装置全体が大型化する傾向にある。
【0008】
そのため、支持装置を構成するエアマウントとアクチュエータとを直列に配置すると、装置高さ(支持対象物体に対する支持方向の高さ)に与える影響が非常に大きくなってしまう。そこで、エアマウントとアクチュエータとを直列ではなく並列に配置する構成も採用されているが、多くの場合、この構成では支持対象物体に対する支持方向と駆動方向とが同軸でなくなるため支持対象物体に捻りが加わることになり、支持対象物体が変形して露光精度が低下する虞がある。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、装置の大型化や露光精度の低下を招くことなくデバイスの微細化に対応できる支持装置およびステージ装置並びに露光装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図6に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の支持装置は、物体(6)を支持する支持面(68a)を有した支持装置(29)であって、所定圧力の気体が充填され、物体(6)を気体により支持面(68a)と直交する第1方向に支持する気体室(30)と、気体室(30)に配設され、電磁力により物体(6)を第1方向に駆動する駆動装置(31)とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
従って、本発明の支持装置では、駆動装置(31)が気体室(30)に配設されることで、装置の大型化を防ぐことが可能になる。また、気体室(30)により物体(6)を支持する方向と駆動装置(31)により物体(6)を駆動する方向とを同軸にすることが可能になり、物体(6)に捻りが加わらず変形等が生じることも防ぐことが可能になる。
【0012】
また、本発明のステージ装置は、定盤(6)上をステージ本体(5)が移動するステージ装置(7)であって、定盤(6)を請求項1から8のいずれか一項記載の支持装置(29)により支持することを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、ステージ本体(5)の移動による定盤(6)の荷重変動を気体室(30)及び駆動装置(31)により支持したり、床振動を遮断する場合でも、装置の大型化を防ぐことが可能になるとともに、定盤(6)に捻りが加わらず変形等が生じることも防ぐことが可能になる。
【0014】
そして、本発明の露光装置は、マスクステージ(2)に保持されたマスク(R)のパターンを基板ステージ(5)に保持された感光基板(W)に投影光学系(PL)により露光する露光装置(1)において、マスクステージ(2)と、投影光学系(PL)と、基板ステージ(5)との少なくとも一つを、請求項1から8のいずれか一項記載の支持装置(29)により支持することを特徴とするものである。
【0015】
従って、本発明の露光装置では、マスクステージ(2)や基板ステージ(5)を移動させる場合でも、マスクステージ(2)や基板ステージ(5)、投影光学系(PL)に捻りが加わらず変形等が生じることも防ぐことが可能になる。そのため、装置を大型化させることなく露光精度の低下を防ぐことが可能になり、デバイスの微細化にも容易に対応できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の支持装置およびステージ装置並びに露光装置の実施の形態を、図1ないし図7を参照して説明する。ここでは、例えば露光装置として、レチクルとウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパを使用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては、本発明のステージ装置をウエハステージに適用し、また本発明の支持装置をウエハステージの定盤を支持する防振ユニットに適用するものとする。
【0017】
図1に示す露光装置1は、光源(不図示)からの露光用照明光によりレチクル(マスク)R上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する照明光学系IUと、レチクルRを保持して移動するレチクルステージ(マスクステージ)2および該レチクルステージ2を支持するレチクル定盤3を含むステージ装置4と、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板、感光基板)W上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを保持して移動するウエハステージ(基板ステージ、ステージ本体)5および該ウエハステージ5を保持する物体としてのウエハ定盤6を含むステージ装置7と、上記ステージ装置4および投影光学系PLを支持するリアクションフレーム8とから概略構成されている。なお、ここで投影光学系PLの光軸方向をZ方向とし、このZ方向と直交する方向でレチクルRとウエハWの同期移動方向をY方向とし、非同期移動方向をX方向とする。また、それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
【0018】
照明光学系IUは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9によって支持される。なお、露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)およびKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)およびF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)などが用いられる。
【0019】
リアクションフレーム8は、床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、その上部側および下部側には、内側に向けて突出する段部8aおよび8bがそれぞれ形成されている。
【0020】
ステージ装置4の中、レチクル定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、その中央部にはレチクルRに形成されたパターン像が通過する開口3aが形成されている。なお、レチクル定盤3の材料として金属やセラミックスを用いることができる。防振ユニット11は、内圧が調整可能なエアマウント12とボイスコイルモータ13とが段部8a上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット11によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介してレチクル定盤3に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている(Gは重力加速度)。
【0021】
レチクル定盤3上には、レチクルステージ2が該レチクル定盤3に沿って2次元的に移動可能に支持されている。レチクルステージ2の底面には、複数のエアベアリング(エアパッド)14が固定されており、これらのエアベアリング14によってレチクルステージ2がレチクル定盤3上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。また、レチクルステージ2の中央部には、レチクル定盤3の開口3aと連通し、レチクルRのパターン像が通過する開口2aが形成されている。
【0022】
レチクルステージ2について詳述すると、図2に示すように、レチクルステージ2は、レチクル定盤3上を一対のYリニアモータ15、15によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ16と、このレチクル粗動ステージ16上を一対のXボイスコイルモータ17Xと一対のYボイスコイルモータ17YとによってX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ18とを備えた構成になっている(なお、図1では、これらを1つのステージとして図示している)。
【0023】
各Yリニアモータ15は、レチクル定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)19によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介してレチクル粗動ステージ16に固定された可動子21とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて、固定子20は−Y方向に移動する。この固定子20の移動によりレチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0024】
なお、固定子20は、レチクル定盤3上に代えて、リアクションフレーム8に設けてもよい。固定子20をリアクションフレーム8に設ける場合には、エアベアリング19を省略し、固定子20をリアクションフレーム8に固定して、レチクル粗動ステージ16の移動により固定子20に作用する反力をリアクションフレーム8を介して床に逃がしてもよいし、前述の運動量保存の法則を用いた反力処理を実施してもよい。
【0025】
レチクル粗動ステージ16は、レチクル定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
【0026】
レチクル微動ステージ18には、バキュームチャック18aを介してレチクルRが吸着保持されるようになっている。レチクル微動ステージ18の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡52a、52bが固定され、また、レチクル微動ステージ18の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡53が固定されている。そして、これら移動鏡52a、52b、53に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージ2のX、Y、θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。なお、レチクル微動ステージ18の材質として金属やコージェライトまたはSiCからなるセラミックスを用いることができる。
【0027】
図1に戻り、投影光学系PLとして、ここでは物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)からなる1/4(または1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRに照明光が照射されると、レチクルR上の回路パターンのうち、照明光で照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0028】
投影光学系PLの鏡筒部の外周には、該鏡筒部に一体化されたフランジ23が設けられている。そして、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鋳物等で構成された鏡筒定盤25に、光軸方向をZ方向として上方から挿入されるとともに、フランジ23が係合している。なお、鏡筒定盤25として、高剛性・低熱膨張のセラミックス材を用いてもよい。
【0029】
フランジ23の素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、および微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。このフランジ23は、投影光学系PLを鏡筒定盤25に対して点と面とV溝とを介して3点で支持する、いわゆるキネマティック支持マウントを構成している。このようなキネマティック支持構造を採用すると、投影光学系PLの鏡筒定盤25に対する組み付けが容易で、しかも組み付け後の鏡筒定盤25および投影光学系PLの振動、温度変化等に起因する応力を最も効果的に軽減できるという利点がある。
【0030】
防振ユニット24は、鏡筒定盤25の各コーナーに配置され(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、内圧が調整可能なエアマウント26とボイスコイルモータ27とが段部8b上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット24によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介して鏡筒定盤25(ひいては投影光学系PL)に伝わる微振動がマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁されるようになっている。
【0031】
ステージ装置7は、図1から明らかなように、ステージ装置4と投影光学系PLとから分離してベースプレート10上に設けられている。ステージ装置7は、ウエハステージ5、このウエハステージ5をXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持するウエハ定盤6、ウエハステージ5と一体的に設けられウエハWを吸着保持する試料台ST、これらウエハステージ5および試料台STを相対移動自在に支持するXガイドバーXGを主体に構成されている。ウエハステージ5の底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)28が固定されており、これらのエアベアリング28によってウエハステージ5がウエハ定盤6上に、例えば数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0032】
ウエハステージ5の上面には、ウエハホルダ41を介してウエハWが真空吸着等によって固定される(図1参照、図3では図示略)。また、ウエハステージ5のX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42を基準として、ウエハステージ5の一部に固定された移動鏡43の位置変化を計測するレーザ干渉計44によって所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。なお、上記参照鏡42、移動鏡43、レーザ干渉計44とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計および移動鏡48(図3参照)によってウエハステージ5のY方向の位置が計測される。なお、これらレーザ干渉計の中、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウエハステージ5(ひいてはウエハW)のXY位置のみならず、θ回転量あるいはこれらに加え、レベリング量をも求めることができるようになっている。
【0033】
図3に示すように、XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36、36(図3では1つのみ図示)がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37は、ベースプレート10に突設されたサイド定盤32、32上にエアパッド54を介して設けられている。そして、これら可動子36および固定子37によってムービングコイル型のリニアモータ33、33が構成されており、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドバーXGはY方向に移動するとともに、リニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このリニアモータ33によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウエハステージ5(および試料台ST、以下単にウエハステージ5と称する)がY方向およびθZ方向に駆動されるようになっている。なお、ウエハステージ5は、Y方向の移動にはガイド部材を有さないガイドレスステージとなっているが、ウエハステージ5のX方向の移動に関しても適宜ガイドレスステージとすることができる。
【0034】
固定子37、37は、ウエハ定盤6のX方向両側にウエハ定盤6とは(振動的に)独立して設けられたサイド定盤32、32上に、Y方向へのガイド機構を有するエアパッド54を介してそれぞれY方向に移動自在にそれぞれ浮揚支持されている。このため、運動量保存の法則により、ウエハステージ5の例えば+Y方向の移動に応じて、固定子37は−Y方向に移動する。換言すると、固定子37は、カウンタマスとして機能しており、その移動によりウエハステージ5の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0035】
なお、+X側(図3中、左側)に配置される固定子37には、XガイドバーXGや可動子36に接続されるエア用配管、冷媒用配管、電力配線、信号供給用のシステム配線等の各種用力供給ケーブル等に応力集中を発生させずに(緩和して)導くための傾斜面が形成されている(但し、図1では便宜上同形状に図示)。
【0036】
ウエハステージ5は、XガイドバーXGとの間にZ方向に所定量のギャップを維持する磁石およびアクチュエータからなる磁気ガイドを介して、XガイドバーXGにX方向に相対移動自在に非接触で支持・保持されている。また、ウエハステージ5は、XガイドバーXGに埋設された固定子35aを有するXリニアモータ35による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。なお、Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウエハステージ5に取り付けられている。
【0037】
また、図4に示すように、XガイドバーXGの−X方向側には、ボイスコイルモータで構成されたXトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。Xトリムモータ34は、Xリニアモータ35の固定子としてのXガイドバーXGとリアクションフレーム8との間に介装されており、その固定子34bはリアクションフレーム8に設けられている。このため、ウエハステージ5をX方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34によりリアクションフレーム8に伝達され、さらにリアクションフレーム8を介してベースプレート10に伝達されることで、ウエハ定盤6に振動が伝わることを防げる。なお、実際にはXトリムモータ34は、リニアモータ33を挟んだZ方向両側に配置されているが、図4では便宜上+Z側のXトリムモータ34のみ図示している。
【0038】
なお、固定子37には、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいて当該固定子の運動量を補正するトリムモータ(不図示)が備えられている。このトリムモータは、例えば固定子37のY側端部にY方向に沿って延設された円柱状の移動子と、移動子をY方向に駆動する固定子とからなるシャフトモータで構成される。そして、図5に示すように、ウエハステージ5がX方向及びY方向の双方に移動する場合や、XガイドバーXGの中央部から偏心した位置から移動する場合に左右の固定子37が、その推力配分によってそれぞれ異なる変位が生じたり、可動子36と固定子37とのカップリングにより、これらが相対移動した際に元の位置に止まろうとする力が作用した場合は、固定子37が移動すべき位置とは異なる位置に移動する。そのため、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいてトリムモータを駆動することで、固定子37が所定の位置に到達するようにその移動量(運動量)を補正することができる構成になっている。
【0039】
ウエハ定盤6は、ベースプレート10の上方に、三角形の頂点に配置された3つの防振ユニット(支持装置)29を介してほぼ水平に支持されている。図6に、防振ユニットの概略構成図を示す。防振ユニット29は、所定圧力のエア(気体)が充填され、このエアによりウエハ定盤6を支持するエアマウント(気体室)30と、当該エアマウント30内に配設されたボイスコイルモータ(駆動装置)31とを主体に構成されている。
【0040】
エアマウント30は、ベースプレート10上に設置されアルミニウム、ステンレス等のケミカルクリーン対応材で形成されたベース(壁部材)61と、取付ネジ等によりベース61に取り外し可能に固定され、且つベース61との間にOリング(シール部材)65が介装されて内部空間66を気密に保持する本体部62と、内部空間66のエア圧を検出する圧力センサ63と、内部空間66を加圧・減圧する不図示のエア圧調整装置に接続され、その加圧・減圧を切り替えるサーボバルブ64と、圧力センサ63の検出結果に基づいてサーボバルブ64を制御する制御装置80とから概略構成される。本体部62は、ベース61上に立設された外壁67と、ウエハ定盤6を支持する支持面68aを有し、当該支持面68aと直交するZ方向(第1方向)にウエハ定盤6を支持する可動子68と、外壁67と可動子68との間に介装され可動子68を外壁67に対してZ方向に移動自在に支持するダイヤフラム(支持部材)69とから構成されている。
【0041】
ボイスコイルモータ31は、電磁力によりウエハ定盤6をZ方向に駆動するものであって、ベース61に突設された固定子70と、固定子70に対してZ方向に移動するステンレス等で形成された可動子71とから構成されている。この可動子71は、エアマウント30の可動子68と取付ネジ等の締結手段72によって一体的に構成(形成)されている。なお、締結手段72の頭部は可動子71に係合し、ネジ部は可動子68に螺着するが、可動子68においてネジ部と螺着する雌ねじ部は、内部空間66のエアが溢出しないように上部側(ウエハ定盤6側)に貫通せずに形成されている。また、内部空間66の容積は、ボイスコイルモータ31を内装するために、当該ボイスコイルモータ31の体積を考慮して設定されている。
【0042】
また、ボイスコイルモータ31は駆動により発熱するため、温度調整用に冷媒(温度調整用媒体)の流動によりボイスコイルモータ31の温度を調整する温度調整装置73が付設されている。そして、ベース61には、冷媒を流動させるための流路74が設けられており、この冷媒は外壁67と離間したベース61の側面61aから流路74に導入・排出される。なお、冷却媒体としては、HFE(ハイドロ・フルオロ・エーテル)やフロリナートを用いることが可能であるが、本実施の形態では地球温暖化係数が低く、オゾン破壊係数がゼロであるため、地球環境保護の観点からHFEを用いている。
【0043】
また、ベース61には、ボイスコイルモータ31に電力、駆動信号等の用力を供給するための用力供給線(用力供給路)75が設けられている。そして、ベース61の側面61aには、これら用力供給線75を外部線と接続させるための端子台76が取り付けられている。
【0044】
図1に戻り、投影光学系PLのフランジ23には、異なる3カ所に3つのレーザ干渉計45が、ウエハ定盤6とのZ方向の相対位置を検出するための検出装置として固定されている(ただし、図1においてはこれらのレーザ干渉計のうち1つが代表的に示されている)。各レーザ干渉計45に対向する鏡筒定盤25の部分には、開口25aがそれぞれ形成されており、これらの開口25aを介して各レーザ干渉計45からZ方向のレーザビーム(測長ビーム)がウエハ定盤6に向けて照射される。ウエハ定盤6の上面の各測長ビームの対向位置には、反射面がそれぞれ形成されている。このため、上記3つのレーザ干渉計45によってウエハ定盤6の異なる3点のZ位置がフランジ23を基準としてそれぞれ計測される(図1においては、測長ビームがウエハステージ5の手前を通過する状態を示している)。なお、ウエハステージ5の上面に反射面を形成して、この反射面上の異なる3点のZ方向位置を投影光学系PLまたはフランジ23を基準として計測する干渉計を設けてもよい。
【0045】
また、上記レチクル定盤3、ウエハ定盤6、鏡筒定盤25には、各定盤のZ方向の振動を計測する3つの振動センサ(例えば加速度計;不図示)と、XY面内方向の振動を計測する3つの振動センサ(例えば加速度計;不図示)とがそれぞれ取り付けられている。後者の振動センサのうち2つは、各定盤のY方向の振動を計測し、残りの振動センサはX方向の振動を計測するものである(以下、便宜上これらの振動センサを振動センサ群と称する)。そして、これらの振動センサ群の計測値に基づいてレチクル定盤3、ウエハ定盤6、鏡筒定盤25の6自由度(X、Y、Z、θX、θY、θZ)の振動をそれぞれ求めることができる。
【0046】
次に、上記のように構成された露光装置の中、まずステージ装置7の動作について説明する。
リニアモータ33、35の駆動によりウエハステージ5が移動した際には、レーザ干渉計44等の計測値に基づいて、ウエハステージ5の移動に伴う重心の変化による影響をキャンセルするカウンターフォースを防振ユニット29に対してフィードフォワードで与え、この力を発生するようにエアマウント30およびボイスコイルモータ31を駆動する。また、ウエハステージ5とウエハ定盤6との摩擦が零でない等の理由で、ウエハ定盤6の6自由度方向の微少な振動が残留した場合にも、上記残留振動を除去すべく、エアマウント30およびボイスコイルモータ31をフィードバック制御する。
【0047】
具体的には、ウエハステージ5の移動により防振ユニット29の負担すべき重量が増えたときには、エアマウント30においては、制御装置80が圧力センサ63の検出結果をモニタしながらサーボバルブ64をエア供給側に切り替える。これにより、エア圧調整装置から所定圧力(例えば10kPa)のエアがサーボバルブ64を介して内部空間66に充填され、可動子68を介してウエハ定盤6を支持する際の支持力を増すことができる。また、エアマウント30の支持力で不足する重量増加についてはボイスコイルモータ31を駆動し、可動子71(及び可動子68)を介してウエハ定盤6に推力を付与することで、不足する支持力を負担することになる。また、ウエハ定盤6の残留振動に関しては、振動センサ群の検出結果に基づいて、重心変化時と同様にエアマウント30及びボイスコイルモータ31を駆動することで残留振動をアクティブに制振し、ベースプレートBPを介してウエハ定盤6に伝わる微振動をマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁する。
【0048】
なお、エアマウント30の駆動及びボイスコイルモータ31の駆動によりウエハ定盤6に付与される力は、一体的に形成された可動子68及び可動子71から付与されるため、複数カ所に跨ってウエハ定盤6に力を付与する場合に比べて安定した推力付与及び支持を実施できるとともに、制御性能の向上も実現可能である。
【0049】
また、上記ボイスコイルモータ31を駆動した際には熱が生じるが、温度調整装置73により温度調整された冷媒が固定子70の流路74を流動することで、熱交換により熱が吸収される。また、ボイスコイルモータ31で生じた熱は、内部空間66に封止されるため、防振ユニット29からの発熱としては小さくすることができる。そして、ウエハステージ5の移動により防振ユニット29の負担すべき重量が減り、エアマウント30内の圧力を減圧する際には、サーボバルブ64をエア排出側に切り替えて内部空間66からエアを排出するが、これはボイスコイルモータ31の駆動で生じた熱で温度上昇したエアを排出することになり、ボイスコイルモータ31の冷却の一翼を担うことになる。
【0050】
なお、冷媒流動用の流路74は、エアマウント本体部62の外壁67と離間した側面61aに開口するので、外壁67にシール処理を施す必要がなくなる。同様に、用力供給線76も側面61aからベース61に導入されるため、外壁67を貫通させる場合のように、エア溢出防止用のシール処理が不要になる。さらに、用力供給線76と接続させるための端子台76も側面61aに外部に露出させて取り付けることで、メンテナンスや用力供給線76と外部装置との接続作業を容易に実施できる。
【0051】
続いて、露光装置1における露光動作について説明する。
ここでは、予め、ウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が設定されているものとする。そして、いずれも不図示のレチクル顕微鏡およびオフアクシス・アライメントセンサ等を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われ、その後アライメントセンサを用いたウエハWのファインアライメント(EGA;エンハンスト・グローバル・アライメント等)が終了し、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0052】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が完了すると、アライメント結果に基づいてレーザ干渉計44の計測値をモニタしつつ、リニアモータ33、35を制御してウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置にウエハステージ5を移動する。そして、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2とウエハステージ5とのY方向の走査を開始し、両ステージ2、5がそれぞれの目標走査速度に達すると、照明光学系IUからの露光用照明光により、レチクルR上の所定の矩形状の照明領域が均一な照度で照明される。この照明領域に対してレチクルRがY方向に走査されるのに同期して、この照明領域と投影光学系PLに関して共役な露光領域に対してウエハWを走査する。
【0053】
そして、レチクルRのパターン領域を透過した照明光が投影光学系PLにより1/5倍あるいは1/4倍に縮小され、レジストが塗布されたウエハW上に照射される。そして、ウエハW上の露光領域には、レチクルRのパターンが逐次転写され、1回の走査でレチクルR上のパターン領域の全面がウエハW上のショット領域に転写される。この走査露光時には、レチクルステージ2のY方向の移動速度と、ウエハステージ5のY方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(1/5倍あるいは1/4倍)に応じた速度比に維持されるように、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2およびウエハステージ5が同期制御される。
【0054】
レチクルステージ2の走査方向の加減速時の反力は、固定子20の移動により吸収され、ステージ装置4における重心の位置がY方向において実質的に固定される。また、レチクルステージ2と固定子20とレチクル定盤3との3者間の摩擦が零でなかったり、レチクルステージ2と固定子20との移動方向が僅かに異なる等の理由で、レチクル定盤3の6自由度方向の微少な振動が残留した場合には、上記残留振動を除去すべく、エアマウント12およびボイスコイルモータ13をフィードバック制御する。また、鏡筒定盤25においては、レチクルステージ2、ウエハステージ5の移動による微振動が発生しても、6自由度方向の振動を求め、エアマウント26およびボイスコイルモータ27をフィードバック制御することによりこの微振動をキャンセルして、鏡筒定盤25を定常的に安定した位置に維持することができる。
【0055】
このように、本実施の形態では、ボイスコイルモータ31がエアマウント30内に配設されているので、ウエハ定盤6に対する支持方向及び駆動方向を同軸にして、ウエハ定盤6に捻りを加えず変形させない状態を維持しながら、露光装置の大型化を防ぐことができる。そのため、本実施の形態では、装置の大型化を回避しつつ、露光精度の低下も防止してデバイスの微細化に対応することが可能である。また、本実施の形態では、ボイスコイルモータ31をエアマウント30内に配設することで、ボイスコイルモータ31で生じた熱を内部空間66に封止するので、防振ユニット29の外部に与える熱の悪影響を抑制できるとともに、内部空間66のエアを排出したときに、ボイスコイルモータ31の駆動で生じた熱も併せて排出することができ、冷却効率の向上も実現している。
【0056】
そして、本実施の形態では、ウエハ定盤6を支持する可動子68と推力を付与する可動子71とが一体的に形成されているので、外乱等の要因になることなく安定した支持及び推力付与が実現できるとともに、制御性の向上も実現している。
【0057】
また、本実施の形態では、エアマウント本体部62がベース61に対して取り外しが自在であるので、メンテナンスや部品交換等を容易に実施することができ、作業効率を向上させることができる。しかも、エアマウント本体部62とベース61との間にOリング65を介装することで、これらの間からエアが溢出することも防ぐことができる。加えて、本実施の形態では、ボイスコイルモータ31(及び内部空間66のエア)を温度調整するための冷媒用流路74や用力供給線76をベース61に設けることで、エアマウント本体部62に設ける場合に必要なシール処理が不要になり、シール不備に起因する障害を回避できるとともに、装置のコスト低減に寄与できる。さらに、端子台76をベース61の側面61aに露出して取り付けることで、メンテナンスや用力供給線76と外部装置との接続作業も容易化できる。
【0058】
なお、上記実施の形態において、ウエハ定盤6を介してウエハステージ5を支持・駆動する防振ユニット29に本発明の支持装置を適用する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばレチクル定盤3を介してレチクルステージ2を支持・駆動する防振ユニット11や、鏡筒定盤25を介して投影光学系PLを支持・駆動する防振ユニット24にも適用可能である。また、上記実施の形態では、本発明のステージ装置を露光装置のステージ装置7に適用した構成としたが、露光装置以外にも転写マスクの描画装置、マスクパターンの位置座標測定装置等の精密測定機器にも適用可能である。
【0059】
なお、本実施の形態の基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハWのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0060】
露光装置1としては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0061】
露光装置1の種類としては、ウエハWに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0062】
また、不図示の露光用光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。
【0063】
例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0064】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0065】
投影光学系PLの倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0066】
ウエハステージ5やレチクルステージ2にリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージ2、5は、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0067】
各ステージ2、5の駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージ2、5を駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージ2、5に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージ2、5の移動面側(ベース)に設ければよい。
【0068】
以上のように、本願実施形態の露光装置1は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0069】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図7に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、装置の大型化を回避しつつ、露光精度の低下も防止してデバイスの微細化に対応できるとともに、制御性の向上及びコスト低減も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光装置の概略構成図である。
【図2】同露光装置を構成するレチクルステージの外観斜視図である。
【図3】本発明に係るウエハステージの外観斜視図である。
【図4】同ウエハステージの概略正面図である。
【図5】同ウエハステージの概略平面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す図であって、防振ユニットの概略構成図である。
【図7】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
PL 投影光学系
R レチクル(マスク)
W ウエハ(基板、感光基板)
1 露光装置
2 レチクルステージ(マスクステージ)
5 ウエハステージ(基板ステージ、ステージ本体)
6 ウエハ定盤(物体)
7 ステージ装置
29 防振ユニット(支持装置)
30 エアマウント(気体室)
31 ボイスコイルモータ(駆動装置)
61 ベース(壁部材)
62 本体部
65 Oリング(シール部材)
68a 支持面
69 ダイヤフラム(支持部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体により物体を支持するとともに電磁力により物体を駆動する支持装置およびステージ装置並びに半導体集積回路や液晶ディスプレイ等の製造に用いられる露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程においては、マスク又はレチクル(以下、レチクルと称する)に形成された回路パターンをレジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する種々の露光装置が用いられている。
【0003】
例えば、半導体デバイス用の露光装置としては、近年における集積回路の高集積化に伴うパターンの最小線幅(デバイスルール)の微細化に応じて、レチクルのパターンを投影光学系を用いてウエハ上に縮小転写する縮小投影露光装置が主として用いられている。
【0004】
この縮小投影露光装置としては、レチクルのパターンをウエハ上の複数のショット領域(露光領域)に順次転写するステップ・アンド・リピート方式の静止露光型の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパを改良したもので、特開平8−166043号公報等に開示されるようなレチクルとウエハとを一次元方向に同期移動してレチクルパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)が知られている。
【0005】
これらの縮小投影露光装置においては、ステージ装置として、床面に先ず装置の基準になるベースプレートが設置され、その上に床振動を遮断するための防振台を介してレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系(投影レンズ)等を支持する本体コラムが載置されたものが多く用いられている。最近のステージ装置では、前記防振台として、内圧が制御可能なエアマウントやボイスコイルモータ等のアクチュエータ(推力付与装置)を備え、本体コラム(メインフレーム)に取り付けられた、例えば6個の加速度計の計測値に基づいて前記ボイスコイルモータ等の推力を制御することにより本体コラムの振動を制御するアクティブ防振台が採用されている。
【0006】
これらエアマウント及びアクチュエータからなる支持装置は、支持対象となる物体に対する(主にエアマウントによる)支持方向と、(主にアクチュエータによる)駆動方向とが同軸となるように機構的には直列で配置され、また各機器が独立して駆動可能なように機能上は並列に構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の支持装置およびステージ装置並びに露光装置には、以下のような問題が存在する。
近年においては、半導体デバイスの微細化や露光処理の高速化の要請が益々高まってきており、この要請に応えることができるステージ装置および露光装置が強く要望されている。ところが、この種の装置は、微細化が進むと更なるレンズの高NA化が進み、結果として装置全体が大型化する傾向にある。
【0008】
そのため、支持装置を構成するエアマウントとアクチュエータとを直列に配置すると、装置高さ(支持対象物体に対する支持方向の高さ)に与える影響が非常に大きくなってしまう。そこで、エアマウントとアクチュエータとを直列ではなく並列に配置する構成も採用されているが、多くの場合、この構成では支持対象物体に対する支持方向と駆動方向とが同軸でなくなるため支持対象物体に捻りが加わることになり、支持対象物体が変形して露光精度が低下する虞がある。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、装置の大型化や露光精度の低下を招くことなくデバイスの微細化に対応できる支持装置およびステージ装置並びに露光装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図6に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の支持装置は、物体(6)を支持する支持面(68a)を有した支持装置(29)であって、所定圧力の気体が充填され、物体(6)を気体により支持面(68a)と直交する第1方向に支持する気体室(30)と、気体室(30)に配設され、電磁力により物体(6)を第1方向に駆動する駆動装置(31)とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
従って、本発明の支持装置では、駆動装置(31)が気体室(30)に配設されることで、装置の大型化を防ぐことが可能になる。また、気体室(30)により物体(6)を支持する方向と駆動装置(31)により物体(6)を駆動する方向とを同軸にすることが可能になり、物体(6)に捻りが加わらず変形等が生じることも防ぐことが可能になる。
【0012】
また、本発明のステージ装置は、定盤(6)上をステージ本体(5)が移動するステージ装置(7)であって、定盤(6)を請求項1から8のいずれか一項記載の支持装置(29)により支持することを特徴とするものである。
【0013】
従って、本発明のステージ装置では、ステージ本体(5)の移動による定盤(6)の荷重変動を気体室(30)及び駆動装置(31)により支持したり、床振動を遮断する場合でも、装置の大型化を防ぐことが可能になるとともに、定盤(6)に捻りが加わらず変形等が生じることも防ぐことが可能になる。
【0014】
そして、本発明の露光装置は、マスクステージ(2)に保持されたマスク(R)のパターンを基板ステージ(5)に保持された感光基板(W)に投影光学系(PL)により露光する露光装置(1)において、マスクステージ(2)と、投影光学系(PL)と、基板ステージ(5)との少なくとも一つを、請求項1から8のいずれか一項記載の支持装置(29)により支持することを特徴とするものである。
【0015】
従って、本発明の露光装置では、マスクステージ(2)や基板ステージ(5)を移動させる場合でも、マスクステージ(2)や基板ステージ(5)、投影光学系(PL)に捻りが加わらず変形等が生じることも防ぐことが可能になる。そのため、装置を大型化させることなく露光精度の低下を防ぐことが可能になり、デバイスの微細化にも容易に対応できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の支持装置およびステージ装置並びに露光装置の実施の形態を、図1ないし図7を参照して説明する。ここでは、例えば露光装置として、レチクルとウエハとを同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、スキャニング・ステッパを使用する場合の例を用いて説明する。また、この露光装置においては、本発明のステージ装置をウエハステージに適用し、また本発明の支持装置をウエハステージの定盤を支持する防振ユニットに適用するものとする。
【0017】
図1に示す露光装置1は、光源(不図示)からの露光用照明光によりレチクル(マスク)R上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する照明光学系IUと、レチクルRを保持して移動するレチクルステージ(マスクステージ)2および該レチクルステージ2を支持するレチクル定盤3を含むステージ装置4と、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板、感光基板)W上に投影する投影光学系PLと、ウエハWを保持して移動するウエハステージ(基板ステージ、ステージ本体)5および該ウエハステージ5を保持する物体としてのウエハ定盤6を含むステージ装置7と、上記ステージ装置4および投影光学系PLを支持するリアクションフレーム8とから概略構成されている。なお、ここで投影光学系PLの光軸方向をZ方向とし、このZ方向と直交する方向でレチクルRとウエハWの同期移動方向をY方向とし、非同期移動方向をX方向とする。また、それぞれの軸周りの回転方向をθZ、θY、θXとする。
【0018】
照明光学系IUは、リアクションフレーム8の上面に固定された支持コラム9によって支持される。なお、露光用照明光としては、例えば超高圧水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、i線)およびKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)およびF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV)などが用いられる。
【0019】
リアクションフレーム8は、床面に水平に載置されたベースプレート10上に設置されており、その上部側および下部側には、内側に向けて突出する段部8aおよび8bがそれぞれ形成されている。
【0020】
ステージ装置4の中、レチクル定盤3は、各コーナーにおいてリアクションフレーム8の段部8aに防振ユニット11を介してほぼ水平に支持されており(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、その中央部にはレチクルRに形成されたパターン像が通過する開口3aが形成されている。なお、レチクル定盤3の材料として金属やセラミックスを用いることができる。防振ユニット11は、内圧が調整可能なエアマウント12とボイスコイルモータ13とが段部8a上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット11によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介してレチクル定盤3に伝わる微振動がマイクロGレベルで絶縁されるようになっている(Gは重力加速度)。
【0021】
レチクル定盤3上には、レチクルステージ2が該レチクル定盤3に沿って2次元的に移動可能に支持されている。レチクルステージ2の底面には、複数のエアベアリング(エアパッド)14が固定されており、これらのエアベアリング14によってレチクルステージ2がレチクル定盤3上に数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。また、レチクルステージ2の中央部には、レチクル定盤3の開口3aと連通し、レチクルRのパターン像が通過する開口2aが形成されている。
【0022】
レチクルステージ2について詳述すると、図2に示すように、レチクルステージ2は、レチクル定盤3上を一対のYリニアモータ15、15によってY軸方向に所定ストロークで駆動されるレチクル粗動ステージ16と、このレチクル粗動ステージ16上を一対のXボイスコイルモータ17Xと一対のYボイスコイルモータ17YとによってX、Y、θZ方向に微小駆動されるレチクル微動ステージ18とを備えた構成になっている(なお、図1では、これらを1つのステージとして図示している)。
【0023】
各Yリニアモータ15は、レチクル定盤3上に非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)19によって浮上支持されY軸方向に延びる固定子20と、この固定子20に対応して設けられ、連結部材22を介してレチクル粗動ステージ16に固定された可動子21とから構成されている。このため、運動量保存の法則により、レチクル粗動ステージ16の+Y方向の移動に応じて、固定子20は−Y方向に移動する。この固定子20の移動によりレチクル粗動ステージ16の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0024】
なお、固定子20は、レチクル定盤3上に代えて、リアクションフレーム8に設けてもよい。固定子20をリアクションフレーム8に設ける場合には、エアベアリング19を省略し、固定子20をリアクションフレーム8に固定して、レチクル粗動ステージ16の移動により固定子20に作用する反力をリアクションフレーム8を介して床に逃がしてもよいし、前述の運動量保存の法則を用いた反力処理を実施してもよい。
【0025】
レチクル粗動ステージ16は、レチクル定盤3の中央部に形成された上部突出部3bの上面に固定されY軸方向に延びる一対のYガイド51、51によってY軸方向に案内されるようになっている。また、レチクル粗動ステージ16は、これらYガイド51、51に対して不図示のエアベアリングによって非接触で支持されている。
【0026】
レチクル微動ステージ18には、バキュームチャック18aを介してレチクルRが吸着保持されるようになっている。レチクル微動ステージ18の−Y方向の端部には、コーナキューブからなる一対のY移動鏡52a、52bが固定され、また、レチクル微動ステージ18の+X方向の端部には、Y軸方向に延びる平面ミラーからなるX移動鏡53が固定されている。そして、これら移動鏡52a、52b、53に対して測長ビームを照射する3つのレーザ干渉計(いずれも不図示)が各移動鏡との距離を計測することにより、レチクルステージ2のX、Y、θZ(Z軸回りの回転)方向の位置が高精度に計測される。なお、レチクル微動ステージ18の材質として金属やコージェライトまたはSiCからなるセラミックスを用いることができる。
【0027】
図1に戻り、投影光学系PLとして、ここでは物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や蛍石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)からなる1/4(または1/5)縮小倍率の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRに照明光が照射されると、レチクルR上の回路パターンのうち、照明光で照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうち、1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0028】
投影光学系PLの鏡筒部の外周には、該鏡筒部に一体化されたフランジ23が設けられている。そして、投影光学系PLは、リアクションフレーム8の段部8bに防振ユニット24を介してほぼ水平に支持された鋳物等で構成された鏡筒定盤25に、光軸方向をZ方向として上方から挿入されるとともに、フランジ23が係合している。なお、鏡筒定盤25として、高剛性・低熱膨張のセラミックス材を用いてもよい。
【0029】
フランジ23の素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、および微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。このフランジ23は、投影光学系PLを鏡筒定盤25に対して点と面とV溝とを介して3点で支持する、いわゆるキネマティック支持マウントを構成している。このようなキネマティック支持構造を採用すると、投影光学系PLの鏡筒定盤25に対する組み付けが容易で、しかも組み付け後の鏡筒定盤25および投影光学系PLの振動、温度変化等に起因する応力を最も効果的に軽減できるという利点がある。
【0030】
防振ユニット24は、鏡筒定盤25の各コーナーに配置され(なお、紙面奥側の防振ユニットについては図示せず)、内圧が調整可能なエアマウント26とボイスコイルモータ27とが段部8b上に直列に配置された構成になっている。これら防振ユニット24によって、ベースプレート10およびリアクションフレーム8を介して鏡筒定盤25(ひいては投影光学系PL)に伝わる微振動がマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁されるようになっている。
【0031】
ステージ装置7は、図1から明らかなように、ステージ装置4と投影光学系PLとから分離してベースプレート10上に設けられている。ステージ装置7は、ウエハステージ5、このウエハステージ5をXY平面に沿った2次元方向に移動可能に支持するウエハ定盤6、ウエハステージ5と一体的に設けられウエハWを吸着保持する試料台ST、これらウエハステージ5および試料台STを相対移動自在に支持するXガイドバーXGを主体に構成されている。ウエハステージ5の底面には、非接触ベアリングである複数のエアベアリング(エアパッド)28が固定されており、これらのエアベアリング28によってウエハステージ5がウエハ定盤6上に、例えば数ミクロン程度のクリアランスを介して浮上支持されている。
【0032】
ウエハステージ5の上面には、ウエハホルダ41を介してウエハWが真空吸着等によって固定される(図1参照、図3では図示略)。また、ウエハステージ5のX方向の位置は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡42を基準として、ウエハステージ5の一部に固定された移動鏡43の位置変化を計測するレーザ干渉計44によって所定の分解能、例えば0.5〜1nm程度の分解能でリアルタイムに計測される。なお、上記参照鏡42、移動鏡43、レーザ干渉計44とほぼ直交するように配置された不図示の参照鏡、レーザ干渉計および移動鏡48(図3参照)によってウエハステージ5のY方向の位置が計測される。なお、これらレーザ干渉計の中、少なくとも一方は、測長軸を2軸以上有する多軸干渉計であり、これらレーザ干渉計の計測値に基づいてウエハステージ5(ひいてはウエハW)のXY位置のみならず、θ回転量あるいはこれらに加え、レベリング量をも求めることができるようになっている。
【0033】
図3に示すように、XガイドバーXGは、X方向に沿った長尺形状を呈しており、その長さ方向両端には電機子ユニットからなる可動子36、36(図3では1つのみ図示)がそれぞれ設けられている。これらの可動子36,36に対応する磁石ユニットを有する固定子37,37は、ベースプレート10に突設されたサイド定盤32、32上にエアパッド54を介して設けられている。そして、これら可動子36および固定子37によってムービングコイル型のリニアモータ33、33が構成されており、可動子36が固定子37との間の電磁気的相互作用により駆動されることで、XガイドバーXGはY方向に移動するとともに、リニアモータ33、33の駆動を調整することでθZ方向に回転移動する。すなわち、このリニアモータ33によってXガイドバーXGとほぼ一体的にウエハステージ5(および試料台ST、以下単にウエハステージ5と称する)がY方向およびθZ方向に駆動されるようになっている。なお、ウエハステージ5は、Y方向の移動にはガイド部材を有さないガイドレスステージとなっているが、ウエハステージ5のX方向の移動に関しても適宜ガイドレスステージとすることができる。
【0034】
固定子37、37は、ウエハ定盤6のX方向両側にウエハ定盤6とは(振動的に)独立して設けられたサイド定盤32、32上に、Y方向へのガイド機構を有するエアパッド54を介してそれぞれY方向に移動自在にそれぞれ浮揚支持されている。このため、運動量保存の法則により、ウエハステージ5の例えば+Y方向の移動に応じて、固定子37は−Y方向に移動する。換言すると、固定子37は、カウンタマスとして機能しており、その移動によりウエハステージ5の移動に伴う反力を相殺するとともに、重心位置の変化を防ぐことができる。
【0035】
なお、+X側(図3中、左側)に配置される固定子37には、XガイドバーXGや可動子36に接続されるエア用配管、冷媒用配管、電力配線、信号供給用のシステム配線等の各種用力供給ケーブル等に応力集中を発生させずに(緩和して)導くための傾斜面が形成されている(但し、図1では便宜上同形状に図示)。
【0036】
ウエハステージ5は、XガイドバーXGとの間にZ方向に所定量のギャップを維持する磁石およびアクチュエータからなる磁気ガイドを介して、XガイドバーXGにX方向に相対移動自在に非接触で支持・保持されている。また、ウエハステージ5は、XガイドバーXGに埋設された固定子35aを有するXリニアモータ35による電磁気的相互作用によりX方向に駆動される。なお、Xリニアモータの可動子は図示していないが、ウエハステージ5に取り付けられている。
【0037】
また、図4に示すように、XガイドバーXGの−X方向側には、ボイスコイルモータで構成されたXトリムモータ34の可動子34aが取り付けられている。Xトリムモータ34は、Xリニアモータ35の固定子としてのXガイドバーXGとリアクションフレーム8との間に介装されており、その固定子34bはリアクションフレーム8に設けられている。このため、ウエハステージ5をX方向に駆動する際の反力は、Xトリムモータ34によりリアクションフレーム8に伝達され、さらにリアクションフレーム8を介してベースプレート10に伝達されることで、ウエハ定盤6に振動が伝わることを防げる。なお、実際にはXトリムモータ34は、リニアモータ33を挟んだZ方向両側に配置されているが、図4では便宜上+Z側のXトリムモータ34のみ図示している。
【0038】
なお、固定子37には、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいて当該固定子の運動量を補正するトリムモータ(不図示)が備えられている。このトリムモータは、例えば固定子37のY側端部にY方向に沿って延設された円柱状の移動子と、移動子をY方向に駆動する固定子とからなるシャフトモータで構成される。そして、図5に示すように、ウエハステージ5がX方向及びY方向の双方に移動する場合や、XガイドバーXGの中央部から偏心した位置から移動する場合に左右の固定子37が、その推力配分によってそれぞれ異なる変位が生じたり、可動子36と固定子37とのカップリングにより、これらが相対移動した際に元の位置に止まろうとする力が作用した場合は、固定子37が移動すべき位置とは異なる位置に移動する。そのため、ウエハステージ5の移動時の運動量に基づいてトリムモータを駆動することで、固定子37が所定の位置に到達するようにその移動量(運動量)を補正することができる構成になっている。
【0039】
ウエハ定盤6は、ベースプレート10の上方に、三角形の頂点に配置された3つの防振ユニット(支持装置)29を介してほぼ水平に支持されている。図6に、防振ユニットの概略構成図を示す。防振ユニット29は、所定圧力のエア(気体)が充填され、このエアによりウエハ定盤6を支持するエアマウント(気体室)30と、当該エアマウント30内に配設されたボイスコイルモータ(駆動装置)31とを主体に構成されている。
【0040】
エアマウント30は、ベースプレート10上に設置されアルミニウム、ステンレス等のケミカルクリーン対応材で形成されたベース(壁部材)61と、取付ネジ等によりベース61に取り外し可能に固定され、且つベース61との間にOリング(シール部材)65が介装されて内部空間66を気密に保持する本体部62と、内部空間66のエア圧を検出する圧力センサ63と、内部空間66を加圧・減圧する不図示のエア圧調整装置に接続され、その加圧・減圧を切り替えるサーボバルブ64と、圧力センサ63の検出結果に基づいてサーボバルブ64を制御する制御装置80とから概略構成される。本体部62は、ベース61上に立設された外壁67と、ウエハ定盤6を支持する支持面68aを有し、当該支持面68aと直交するZ方向(第1方向)にウエハ定盤6を支持する可動子68と、外壁67と可動子68との間に介装され可動子68を外壁67に対してZ方向に移動自在に支持するダイヤフラム(支持部材)69とから構成されている。
【0041】
ボイスコイルモータ31は、電磁力によりウエハ定盤6をZ方向に駆動するものであって、ベース61に突設された固定子70と、固定子70に対してZ方向に移動するステンレス等で形成された可動子71とから構成されている。この可動子71は、エアマウント30の可動子68と取付ネジ等の締結手段72によって一体的に構成(形成)されている。なお、締結手段72の頭部は可動子71に係合し、ネジ部は可動子68に螺着するが、可動子68においてネジ部と螺着する雌ねじ部は、内部空間66のエアが溢出しないように上部側(ウエハ定盤6側)に貫通せずに形成されている。また、内部空間66の容積は、ボイスコイルモータ31を内装するために、当該ボイスコイルモータ31の体積を考慮して設定されている。
【0042】
また、ボイスコイルモータ31は駆動により発熱するため、温度調整用に冷媒(温度調整用媒体)の流動によりボイスコイルモータ31の温度を調整する温度調整装置73が付設されている。そして、ベース61には、冷媒を流動させるための流路74が設けられており、この冷媒は外壁67と離間したベース61の側面61aから流路74に導入・排出される。なお、冷却媒体としては、HFE(ハイドロ・フルオロ・エーテル)やフロリナートを用いることが可能であるが、本実施の形態では地球温暖化係数が低く、オゾン破壊係数がゼロであるため、地球環境保護の観点からHFEを用いている。
【0043】
また、ベース61には、ボイスコイルモータ31に電力、駆動信号等の用力を供給するための用力供給線(用力供給路)75が設けられている。そして、ベース61の側面61aには、これら用力供給線75を外部線と接続させるための端子台76が取り付けられている。
【0044】
図1に戻り、投影光学系PLのフランジ23には、異なる3カ所に3つのレーザ干渉計45が、ウエハ定盤6とのZ方向の相対位置を検出するための検出装置として固定されている(ただし、図1においてはこれらのレーザ干渉計のうち1つが代表的に示されている)。各レーザ干渉計45に対向する鏡筒定盤25の部分には、開口25aがそれぞれ形成されており、これらの開口25aを介して各レーザ干渉計45からZ方向のレーザビーム(測長ビーム)がウエハ定盤6に向けて照射される。ウエハ定盤6の上面の各測長ビームの対向位置には、反射面がそれぞれ形成されている。このため、上記3つのレーザ干渉計45によってウエハ定盤6の異なる3点のZ位置がフランジ23を基準としてそれぞれ計測される(図1においては、測長ビームがウエハステージ5の手前を通過する状態を示している)。なお、ウエハステージ5の上面に反射面を形成して、この反射面上の異なる3点のZ方向位置を投影光学系PLまたはフランジ23を基準として計測する干渉計を設けてもよい。
【0045】
また、上記レチクル定盤3、ウエハ定盤6、鏡筒定盤25には、各定盤のZ方向の振動を計測する3つの振動センサ(例えば加速度計;不図示)と、XY面内方向の振動を計測する3つの振動センサ(例えば加速度計;不図示)とがそれぞれ取り付けられている。後者の振動センサのうち2つは、各定盤のY方向の振動を計測し、残りの振動センサはX方向の振動を計測するものである(以下、便宜上これらの振動センサを振動センサ群と称する)。そして、これらの振動センサ群の計測値に基づいてレチクル定盤3、ウエハ定盤6、鏡筒定盤25の6自由度(X、Y、Z、θX、θY、θZ)の振動をそれぞれ求めることができる。
【0046】
次に、上記のように構成された露光装置の中、まずステージ装置7の動作について説明する。
リニアモータ33、35の駆動によりウエハステージ5が移動した際には、レーザ干渉計44等の計測値に基づいて、ウエハステージ5の移動に伴う重心の変化による影響をキャンセルするカウンターフォースを防振ユニット29に対してフィードフォワードで与え、この力を発生するようにエアマウント30およびボイスコイルモータ31を駆動する。また、ウエハステージ5とウエハ定盤6との摩擦が零でない等の理由で、ウエハ定盤6の6自由度方向の微少な振動が残留した場合にも、上記残留振動を除去すべく、エアマウント30およびボイスコイルモータ31をフィードバック制御する。
【0047】
具体的には、ウエハステージ5の移動により防振ユニット29の負担すべき重量が増えたときには、エアマウント30においては、制御装置80が圧力センサ63の検出結果をモニタしながらサーボバルブ64をエア供給側に切り替える。これにより、エア圧調整装置から所定圧力(例えば10kPa)のエアがサーボバルブ64を介して内部空間66に充填され、可動子68を介してウエハ定盤6を支持する際の支持力を増すことができる。また、エアマウント30の支持力で不足する重量増加についてはボイスコイルモータ31を駆動し、可動子71(及び可動子68)を介してウエハ定盤6に推力を付与することで、不足する支持力を負担することになる。また、ウエハ定盤6の残留振動に関しては、振動センサ群の検出結果に基づいて、重心変化時と同様にエアマウント30及びボイスコイルモータ31を駆動することで残留振動をアクティブに制振し、ベースプレートBPを介してウエハ定盤6に伝わる微振動をマイクロG(Gは重力加速度)レベルで絶縁する。
【0048】
なお、エアマウント30の駆動及びボイスコイルモータ31の駆動によりウエハ定盤6に付与される力は、一体的に形成された可動子68及び可動子71から付与されるため、複数カ所に跨ってウエハ定盤6に力を付与する場合に比べて安定した推力付与及び支持を実施できるとともに、制御性能の向上も実現可能である。
【0049】
また、上記ボイスコイルモータ31を駆動した際には熱が生じるが、温度調整装置73により温度調整された冷媒が固定子70の流路74を流動することで、熱交換により熱が吸収される。また、ボイスコイルモータ31で生じた熱は、内部空間66に封止されるため、防振ユニット29からの発熱としては小さくすることができる。そして、ウエハステージ5の移動により防振ユニット29の負担すべき重量が減り、エアマウント30内の圧力を減圧する際には、サーボバルブ64をエア排出側に切り替えて内部空間66からエアを排出するが、これはボイスコイルモータ31の駆動で生じた熱で温度上昇したエアを排出することになり、ボイスコイルモータ31の冷却の一翼を担うことになる。
【0050】
なお、冷媒流動用の流路74は、エアマウント本体部62の外壁67と離間した側面61aに開口するので、外壁67にシール処理を施す必要がなくなる。同様に、用力供給線76も側面61aからベース61に導入されるため、外壁67を貫通させる場合のように、エア溢出防止用のシール処理が不要になる。さらに、用力供給線76と接続させるための端子台76も側面61aに外部に露出させて取り付けることで、メンテナンスや用力供給線76と外部装置との接続作業を容易に実施できる。
【0051】
続いて、露光装置1における露光動作について説明する。
ここでは、予め、ウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が設定されているものとする。そして、いずれも不図示のレチクル顕微鏡およびオフアクシス・アライメントセンサ等を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われ、その後アライメントセンサを用いたウエハWのファインアライメント(EGA;エンハンスト・グローバル・アライメント等)が終了し、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0052】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が完了すると、アライメント結果に基づいてレーザ干渉計44の計測値をモニタしつつ、リニアモータ33、35を制御してウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置にウエハステージ5を移動する。そして、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2とウエハステージ5とのY方向の走査を開始し、両ステージ2、5がそれぞれの目標走査速度に達すると、照明光学系IUからの露光用照明光により、レチクルR上の所定の矩形状の照明領域が均一な照度で照明される。この照明領域に対してレチクルRがY方向に走査されるのに同期して、この照明領域と投影光学系PLに関して共役な露光領域に対してウエハWを走査する。
【0053】
そして、レチクルRのパターン領域を透過した照明光が投影光学系PLにより1/5倍あるいは1/4倍に縮小され、レジストが塗布されたウエハW上に照射される。そして、ウエハW上の露光領域には、レチクルRのパターンが逐次転写され、1回の走査でレチクルR上のパターン領域の全面がウエハW上のショット領域に転写される。この走査露光時には、レチクルステージ2のY方向の移動速度と、ウエハステージ5のY方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(1/5倍あるいは1/4倍)に応じた速度比に維持されるように、リニアモータ15、33を介してレチクルステージ2およびウエハステージ5が同期制御される。
【0054】
レチクルステージ2の走査方向の加減速時の反力は、固定子20の移動により吸収され、ステージ装置4における重心の位置がY方向において実質的に固定される。また、レチクルステージ2と固定子20とレチクル定盤3との3者間の摩擦が零でなかったり、レチクルステージ2と固定子20との移動方向が僅かに異なる等の理由で、レチクル定盤3の6自由度方向の微少な振動が残留した場合には、上記残留振動を除去すべく、エアマウント12およびボイスコイルモータ13をフィードバック制御する。また、鏡筒定盤25においては、レチクルステージ2、ウエハステージ5の移動による微振動が発生しても、6自由度方向の振動を求め、エアマウント26およびボイスコイルモータ27をフィードバック制御することによりこの微振動をキャンセルして、鏡筒定盤25を定常的に安定した位置に維持することができる。
【0055】
このように、本実施の形態では、ボイスコイルモータ31がエアマウント30内に配設されているので、ウエハ定盤6に対する支持方向及び駆動方向を同軸にして、ウエハ定盤6に捻りを加えず変形させない状態を維持しながら、露光装置の大型化を防ぐことができる。そのため、本実施の形態では、装置の大型化を回避しつつ、露光精度の低下も防止してデバイスの微細化に対応することが可能である。また、本実施の形態では、ボイスコイルモータ31をエアマウント30内に配設することで、ボイスコイルモータ31で生じた熱を内部空間66に封止するので、防振ユニット29の外部に与える熱の悪影響を抑制できるとともに、内部空間66のエアを排出したときに、ボイスコイルモータ31の駆動で生じた熱も併せて排出することができ、冷却効率の向上も実現している。
【0056】
そして、本実施の形態では、ウエハ定盤6を支持する可動子68と推力を付与する可動子71とが一体的に形成されているので、外乱等の要因になることなく安定した支持及び推力付与が実現できるとともに、制御性の向上も実現している。
【0057】
また、本実施の形態では、エアマウント本体部62がベース61に対して取り外しが自在であるので、メンテナンスや部品交換等を容易に実施することができ、作業効率を向上させることができる。しかも、エアマウント本体部62とベース61との間にOリング65を介装することで、これらの間からエアが溢出することも防ぐことができる。加えて、本実施の形態では、ボイスコイルモータ31(及び内部空間66のエア)を温度調整するための冷媒用流路74や用力供給線76をベース61に設けることで、エアマウント本体部62に設ける場合に必要なシール処理が不要になり、シール不備に起因する障害を回避できるとともに、装置のコスト低減に寄与できる。さらに、端子台76をベース61の側面61aに露出して取り付けることで、メンテナンスや用力供給線76と外部装置との接続作業も容易化できる。
【0058】
なお、上記実施の形態において、ウエハ定盤6を介してウエハステージ5を支持・駆動する防振ユニット29に本発明の支持装置を適用する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えばレチクル定盤3を介してレチクルステージ2を支持・駆動する防振ユニット11や、鏡筒定盤25を介して投影光学系PLを支持・駆動する防振ユニット24にも適用可能である。また、上記実施の形態では、本発明のステージ装置を露光装置のステージ装置7に適用した構成としたが、露光装置以外にも転写マスクの描画装置、マスクパターンの位置座標測定装置等の精密測定機器にも適用可能である。
【0059】
なお、本実施の形態の基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハWのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0060】
露光装置1としては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0061】
露光装置1の種類としては、ウエハWに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0062】
また、不図示の露光用光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。
【0063】
例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0064】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0065】
投影光学系PLの倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0066】
ウエハステージ5やレチクルステージ2にリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージ2、5は、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0067】
各ステージ2、5の駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージ2、5を駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージ2、5に接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージ2、5の移動面側(ベース)に設ければよい。
【0068】
以上のように、本願実施形態の露光装置1は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0069】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図7に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、装置の大型化を回避しつつ、露光精度の低下も防止してデバイスの微細化に対応できるとともに、制御性の向上及びコスト低減も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光装置の概略構成図である。
【図2】同露光装置を構成するレチクルステージの外観斜視図である。
【図3】本発明に係るウエハステージの外観斜視図である。
【図4】同ウエハステージの概略正面図である。
【図5】同ウエハステージの概略平面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す図であって、防振ユニットの概略構成図である。
【図7】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
PL 投影光学系
R レチクル(マスク)
W ウエハ(基板、感光基板)
1 露光装置
2 レチクルステージ(マスクステージ)
5 ウエハステージ(基板ステージ、ステージ本体)
6 ウエハ定盤(物体)
7 ステージ装置
29 防振ユニット(支持装置)
30 エアマウント(気体室)
31 ボイスコイルモータ(駆動装置)
61 ベース(壁部材)
62 本体部
65 Oリング(シール部材)
68a 支持面
69 ダイヤフラム(支持部材)
Claims (10)
- 物体を支持する支持面を有した支持装置であって、
所定圧力の気体が充填され、前記物体を前記気体により前記支持面と直交する第1方向に支持する気体室と、
前記気体室に配設され、電磁力により前記物体を前記第1方向に駆動する駆動装置と、を備えたことを特徴とする支持装置。 - 請求項1記載の支持装置において、
前記気体室は、前記支持面を有した本体部と、該本体部から取り外し可能な壁部材とを有し、
前記駆動装置は、前記壁部材に設けられた固定子と、該固定子に対して移動する可動子とを有することを特徴とする支持装置。 - 請求項2記載の支持装置において、
前記本体部と前記壁部材との間にはシール部材が介装されることを特徴とする支持装置。 - 請求項1から3のいずれか一項記載の支持装置において、
前記駆動装置の温度を調整する温度調整装置を備えたことを特徴とする支持装置。 - 請求項2または3記載の支持装置において、
前記壁部材には、温度調整用媒体を流す流路が形成されていることを特徴とする支持装置。 - 請求項2、3、5のいずれか一項記載の支持装置において、
前記壁部材には、前記駆動装置に用力を供給する用力供給路が形成されていることを特徴とする支持装置。 - 請求項1から6のいずれか一項記載の支持装置において、
前記駆動装置の可動子は、前記支持面と一体的に形成されていることを特徴とする支持装置。 - 請求項1から7のいずれか一項記載の支持装置において、
前記支持面を前記第1方向に移動可能に支持する支持部材を備えたことを特徴とする支持装置。 - 定盤上をステージ本体が移動するステージ装置であって、
前記定盤を請求項1から8のいずれか一項記載の支持装置により支持することを特徴とするステージ装置。 - マスクステージに保持されたマスクのパターンを基板ステージに保持された感光基板に投影光学系により露光する露光装置において、
前記マスクステージと、前記投影光学系と、前記基板ステージとの少なくとも一つを、請求項1から8のいずれか一項記載の支持装置により支持することを特徴とする露光装置。
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