JP2004070191A - ベルト、定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

ベルト、定着装置及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属層を有し、繰り返し曲げ変形が生じるベルトにおいて、曲げ変形が生じたときの金属層のひずみを低減し、該金属層にクラックや永久変形が生じるのを防止する。
【解決手段】この定着装置で用いられる定着ベルト1は、フィルム状のポリイミドからなる基層1aと、銅からなる導電性層1bと、基層1aと同じポリイミドからなる中立軸位置調整層1cと、トナー離型層1dとが順に積層されている。そして、定着ベルト1が加圧ロールとの圧接部の出口付近で大きな曲率で曲げ回されるとき、導電性層1bに生じる最大ひずみが0.3%以下となるように、導電性層1bが定着ベルト1の中立軸の近傍に形成されている。また、基層に生じる最大ひずみを1とすると、導電性層に生じる最大ひずみが0.2以下となっている。このため、定着ベルト1に繰り返し曲げ変形が生じても、導電性層1bにクラックや永久変形が生じるのを防ぐことができる。
【選択図】  図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属層を有するベルト及びこれを用いた定着装置・画像形成装置に関するものであり、特に電磁誘導によってベルトを加熱する場合に好適に用いることができるベルト、定着装置及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粉状のトナーを用いる画像形成装置においてトナー像を定着する工程は、トナー像を記録媒体上に静電的に転写した後、定着装置が有する定着部材と加圧部材との間に記録媒体を挟み込んで、トナー像を記録媒体に溶融圧着する方法が広く採用されている。定着部材としては、円筒状芯金の表面に弾性層が積層されたロール状部材や、周回可能に支持された無端状ベルトが用いられる。無端状の定着ベルトは薄肉の耐熱性樹脂等を基層としており、ロール状部材に比べ熱容量が小さいため、ロール状部材より短時間でウォーミングアップを行なうことができる。
【0003】
また、周回可能に支持された無端状の中間転写ベルトにトナー像を一次転写し、中間転写ベルト上でトナー像を加熱した後、トナー像を記録媒体に二次転写すると同時に定着する画像形成装置も知られている。この画像形成装置では、中間転写ベルト上で複数色のトナー像を重ね合わせることによって、色ずれの少ないカラー画像を得ることができる。
【0004】
一方、定着ベルトや中間転写ベルトを加熱する手段として、ベルトに導電性層を設け、電磁誘導加熱によって該導電性層を発熱させるものが知られている。
電磁誘導加熱は、変動磁界を発生する励磁コイルを導電性層に対向配置し、導電性層を貫通する磁束を発生させることにより、導電性層に渦電流が生じ発熱するものである。電磁誘導加熱によれば、極めて短い時間で導電性層を発熱させることができ、定着部材等を直接加熱することができる。このため、加熱源としてハロゲンランプ等の発熱体を用いる場合に比べ、装置のウォーミングアップ時間を短縮することができる。又、励磁コイルは導電性層と対向するように定着部材の内側又は外側のいずれに配置することも可能であり、定着装置の構成に応じて任意の位置に配置することができる。
【0005】
電磁誘導によって加熱される定着ベルトとして、特開平9−44014号公報には、発熱層である金属層の上に弾性層、さらにその上に離型層が積層されているもの、又は断熱層、金属層、弾性層、離型層の順に積層されているものが記載されている。特開平9−90790号公報には、磁性アモルファス金属からなる定着ベルトが記載されており、この定着ベルトは効率良く発熱するとともに、耐久性に優れている。特開平9−96976号公報には、発熱層がスチールペーパからなり、安価で耐久性のある定着ベルトが記載されている。特開2001−312161号公報には、発熱層として溶射法で成膜したアルミ溶射膜が設けられている定着ベルトが記載されており、このアルミ溶射膜は厚さ150μmまで発熱量と屈曲性とを良好に維持できる。
【0006】
また、無端状ベルトに金属層を設ける技術として、特開平6−222695号公報には、樹脂層の上に金属層、さらにその上に離型層が積層された定着ベルトが記載されており、この定着ベルトは金属層によって熱伝導性及び剛性に優れたものとなっている。また、特開2000−212297号公報には、中間転写ベルトとして熱可塑性樹脂上に引張弾性率が高い金属層を積層したフィルムを用いる技術が記載されている。このフィルムは引張応力による伸びが小さいため、張架されても伸びにくく、該フィルム上に複数色のトナー像を良好に重ね合わせることができる。
【0007】
上記のような無端状ベルトが用いられる定着装置や画像形成装置では、無端状ベルトを大きな曲率で曲げ回すことによって、該無端状ベルトを限られたスペース内に配置することができる。また、無端状ベルトを定着ベルトとして用いた場合、大きな曲率で曲げ回すことによって、無端状ベルトと該無端状ベルトに押圧される加圧部材との間に送り込まれた記録媒体が、自身の剛性によって定着ベルトから離れる方向に排出されるため、記録媒体を無端状ベルトから良好に剥離することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように無端状ベルトに金属層が設けられている場合には、次のような問題点がある。
無端状ベルトを大きな曲率で曲げ回すことによって、該無端状ベルトの各層には曲げ変形によるひずみが生じる。そして、無端状ベルトを周回駆動し、無端状ベルトが有する金属層に繰り返しひずみが生じると、該金属層に疲労によるクラックや永久変形が生じるおそれがある。そして、クラックが発生すると金属層の導電性は著しく低下し、電磁誘導加熱によって有効に発熱させることができない。したがって、金属層の疲労等によって無端状ベルトの寿命が短くなってしまうことがある。
【0009】
本願発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属層を有し、繰り返し曲げ変形が生じるベルトにおいて、曲げ変形が生じたときの金属層のひずみを低減し、該金属層にクラックや永久変形が生じるのを防ぐことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、 前記金属層は、該ベルトに曲げ変形が生じたときにひずみが生じない中立軸の近傍に形成されていることを特徴とするベルトを提供する。
【0011】
ベルトに曲げ変形が生じると、該ベルトの中立面を境として、この面に平行な一方の側の層に伸び(引張ひずみ)が生じ、他方の側の層に縮み(圧縮ひずみ)が生じる。このベルトの伸長又は収縮する量は中立面ではゼロとなり、中立面から最も遠い層において最大となる。上記ベルトが有する金属層は、中立面とベルトの断面との交線である中立軸の近傍に形成されているため、該ベルトに曲げ変形が生じたときに、金属層に生じる圧縮側又は引張側のひずみが小さい。このため、金属層に繰り返しひずみが生じても、該金属層にクラックや永久変形が生じにくくなり、ベルトの耐久性が良好となる。
【0012】
請求項2に係る発明は、 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、 前記ベルトの曲げ変形によって前記基層の表面に生じるひずみを1としたときに、前記金属層に発生する最大ひずみが0.2以下となる位置に、該金属層が形成されていることを特徴とするベルトを提供する。
【0013】
基層を形成する熱硬化性の合成樹脂層は、繰り返し作用するひずみの限度が約1.5%であることが知られている。また、基層に積層された金属層に繰り返し作用するひずみの限界は、実験の結果より約0.3%となる。したがって、基層に生じるひずみを1としたときに、金属層のひずみが0.2以下となるように金属層を積層することにより、基層の限界ひずみ内では金属層にクラック等が生じないものとなる。このようなベルトは基層についての限界ひずみのみに着目して曲率や配置を設定することができるとともに、耐用性の管理も基層についてその状態の観察に基づいて行なうことができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、 前記金属層は、該ベルトに曲げ変形が生じたときにひずみが生じない中立軸の位置が、該金属層の断面内となるよう形成されていることを特徴とするベルトを提供する。
【0015】
上記ベルトの中立軸は金属層の断面内に位置し、該中立軸と金属層の両面との距離が小さいため、ベルトに曲げ変形が生じたときにも、金属層の圧縮側の面又は引張側の面に生じるひずみが小さい。特に金属層の厚さを小さくすることによってひずみを著しく低減することができる。また、金属層にはひずみが生じていない部分が常に存在することになる。したがって、ベルトに繰り返し曲げ変形が生じても金属層にクラックや永久変形が生じにくい。
【0016】
請求項4に係る発明は、 請求項1、請求項2又は請求項3に記載のベルトにおいて、前記金属層は、銅からなる厚さが1μmから50μmの層であるものとする。
【0017】
誘導された渦電流によって発熱させるためには、適切な電気抵抗が必要となる。これに対し銅は抵抗率の値が小さいが、上記のように薄くすることによって表皮抵抗値が大きくなり、有効に発熱する。また、これとともに上記金属層は厚さが薄く、フレキシブルであるため、柔軟に曲げ回すことが可能であり、曲げ変形によるひずみの発生を小さく抑えることができる。さらに、金属層自身の熱容量が小さくなるため、該金属層を短時間で所定の温度に加熱することができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、 ロールを含む複数の部材によって張架され、又は少なくとも一つのロールとこれに押圧される加圧部材とに挟持されて周回駆動されるものであり、 周回駆動されるときの最大曲率で変形が生じたときの前記金属層の最大ひずみが、繰り返しひずみが生じることによって該金属層が破断するひずみ量以下となるように、曲げ変形によるひずみが生じない中立軸の近傍に、該金属層が形成されていることを特徴とするベルトを提供する。
【0019】
上記ベルトでは、金属層が中立軸の近傍に形成され、金属層のひずみが小さく抑えられる。そして、このベルトが周回駆動されるときの最大曲率で曲げ回されるとき、金属層の最大ひずみが繰り返しひずみが生じることによって金属層が破断するひずみ量以下となる。このため、ベルトを繰り返し大きな曲率で曲げ回しても、金属層に生じる最大ひずみによって、金属層にクラックや永久変形が生じにくく、ベルトは耐久性に優れたものとなる。
【0020】
請求項6に係る発明は、 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、 ロールを含む複数の部材によって張架され、又は少なくとも一つのロールとこれに押圧される加圧部材とに挟持されて周回駆動されるものであり、 周回駆動されるときの最大曲率で変形が生じたときの前記金属層の最大ひずみが0.3%以下となるように、該金属層が形成されていることを特徴とするベルトを提供する。
【0021】
合成樹脂層に積層された金属層は、ベルトが繰り返し曲げ変形したときのひずみが0.3%以下であれば、クラックが生じないことが実験で確認されている。したがって、金属層をベルトの中立軸付近に配置し、ベルトが周回駆動されるときの金属層の最大ひずみを0.3%とすることによって、該金属層にクラックや永久変形が生じるのを防ぐことができる。
【0022】
請求項7に係る発明は、 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、 前記被覆層は、前記基層とほぼ同じ弾性係数の合成樹脂からなり、前記金属層の上に積層された中立軸位置調整層を含むことを特徴とするベルトを提供する。
【0023】
上記ベルトの中立軸は、各層の厚さと弾性係数とによって決定されるものであり、金属層の上に中立軸位置調整層を積層することによって、中立軸の位置を適切に変えることができる。そして、基層との間に金属層を挟み込むように、基層とほぼ同じ弾性係数の合成樹脂からなる中立軸位置調整層を設けることによって、中立軸の位置を金属層の近傍とすることができる。このため、ベルトに曲げ変形が生じたとき、金属層に生じるひずみが小さく、金属層にクラックや永久変形が生じにくい。
【0024】
請求項8に係る発明は、 請求項7に記載のベルトにおいて、前記中立軸位置調整層は、前記基層とほぼ同じ厚さであるものとする。
【0025】
上記ベルトでは、基層との間に金属層を挟み込むように、基層とほぼ同じ弾性係数の合成樹脂からなる中立軸位置調整層が設けられており、この中立軸位置調整層の厚さが基層とほぼ同じ厚さとなっている。また、中立軸位置調整層の上に弾性層、表面離型層を設ける場合も、弾性層の弾性係数値が小さく、表面離型層は厚さを小さくすることができるので、中立軸位置への影響を小さくすることができる。これにより、中立軸の位置を金属層の断面内か、少なくとも金属層の近傍とすることができる。
【0026】
請求項9に係る発明は、 請求項1から請求項8までのいずれかに記載のベルトと、 前記ベルトと対向するように配置され、交番磁界を発生して、前記金属層に誘導される渦電流で該金属層を加熱する電磁誘導加熱装置と、 トナー像が担持された記録媒体を前記ベルトに押圧する加圧部材とを有することを特徴とする定着装置を提供する。
【0027】
上記ベルトの周回移動によって電磁誘導加熱装置と対向する位置を通過する時、ベルトが有する金属層に渦電流が発生し、該金属層が短い時間で発熱する。この金属層はベルトの中立軸の近傍に形成されているため、ベルトに大きな曲率で変形が生じたときにも、金属層に生じるひずみが小さく、繰り返し周回駆動されても金属層にクラックや永久変形が生じにくい。このため、電磁誘導加熱装置によって加熱されたベルトと加圧部材との間に未定着トナー像が担持された記録媒体を挟み込んで、長期間良好な定着を行なうことができる。
【0028】
請求項10に係る発明は、 請求項9に記載の定着装置において、前記ベルトが有する被覆層は、最表層として設けられたトナー離型層、もしくは該トナー離型層と弾性層とを有するものとする。
【0029】
未定着トナー像が担持された記録媒体をベルトに押圧することによって、トナー像は記録媒体に融着されるとともにベルト表面に密着する。そして、記録媒体をベルトから剥離するとき、ベルトの最表層としてトナー離型層が設けられているのでトナー像がベルト表面から剥離され易くなり、トナー像がベルト表面に転移してしまうオフセットが生じにくくなる。また、弾性層を設けることによって、この弾性層が記録媒体上のトナー像の凹凸に追従するように密着するため、記録媒体及びトナー像の加熱ムラが少なく、光沢ムラの少ない画像が得られる。そして、トナー離型層や弾性層は一般に弾性係数が小さい材料からなるため、これらをベルトに設けても、中立軸の位置にはあまり影響しない。
【0030】
請求項11に係る発明は、 請求項1から請求項8までのいずれかに記載のベルトと、 無端状の周面を有し、外周面上にトナー像が形成される像担持体と、前記像担持体上のトナー像を前記ベルト上に転写する一次転写装置と、 前記ベルトと対向するように配置され、交番磁界を発生して、前記金属層に誘導される渦電流で該金属層を加熱する電磁誘導加熱装置と、 前記ベルトに記録媒体を介して押圧され、前記ベルト上で加熱溶融されたトナー像を、前記記録媒体に転写するとともに定着する二次転写定着装置とを有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0031】
上記ベルトが有する金属層はベルトの中立軸の近傍に形成されているため、ベルトに大きな曲率で変形が生じたとき、金属層に生じるひずみが小さく、繰り返し周回駆動されてもクラックは生じない。したがって、長期間の使用に対しても電磁誘導でベルトを効率良く加熱することができる。また、金属層に生じるひずみが小さくなっているので永久ひずみが残留しない。金属層は一般に合成樹脂からなる基層より弾性係数が大きく、金属層に永久ひずみが生じるとベルト全体に永久的な伸びが生じることもあるが、上記装置におけるベルトでは、このような伸びの発生が防止される。このため、ベルト上で複数色のトナー像を重ね合わせるときに、ベルトの伸びに基づく色ずれ等が防止される。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本願に係る発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、請求項9又は請求項10に係る発明の一実施形態である定着装置を示す概略構成図であり、この定着装置には、本願発明の一実施形態である定着ベルトが用いられている。
この定着装置は、周回駆動される無端状の定着ベルト1と、この定着ベルト1の外周面に当接される加圧ロール2と、定着ベルト1の内周面に当接されて、定着ベルト1を加圧ロール2に押圧する加圧パッド3と、該加圧パッド3を支持するパッド支持部材4と、定着ベルト1の外周面に沿って設けられ、該定着ベルト1を加熱する電磁誘導加熱装置5と、定着ベルト1の両端部の内周面に当接されているガイド部材(図示しない)とで主要部が構成されている。
【0033】
上記定着ベルト1は、図2に示すように、フィルム状の合成樹脂からなる基層1aと、その上に積層された導電性層1b(金属層)と、さらにその上に積層された中立軸位置調整層1cと、最も上層となるトナー離型層1dとの4層で構成されている。この定着ベルト1では、導電性層1bが定着ベルト1の中立軸の近傍となるように、各層が積層されている。定着ベルト1の中立軸とは、定着ベルト1に曲げ変形が生じたときにひずみが生じない面と、該定着ベルト1の断面との交線であり、各層の厚さと弾性係数とによって決定されるものである。
【0034】
上記基層1aは、厚さ10〜100μmの、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリアミド等の耐熱性の高い樹脂が用いられる。
【0035】
上記導電性層1bは、例えば、銅、アルミニウム等の非磁性金属を、厚さ1μm〜50μm程度に形成したものが用いられ、電磁誘導で十分な発熱が得られるような固有抵抗値となるように材質及び厚さが選択される。なお、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属は、薄膜では電磁誘導によって発熱しにくいため、本実施形態の導電性層1bには不向きである。
【0036】
上記中立軸位置調整層1cは、基層1aと弾性係数の値が同等もしくはこれ以上の耐熱性の合成樹脂を用いるのが望ましい。弾性係数の値が小さいと中立軸位置を調整する効果も小さくなり、ベルト全体の厚さが増大してしまう。また、弾性係数の値が過大であるとベルトの柔軟性が失われることもあり、適切な材料を選択するのが良い。この中立軸位置調整層1cは、導電性層に対して基層と反対側に積層されることにより、中立軸の位置と導電性層との相対的な位置関係を調整するものである。
【0037】
上記トナー離型層1dは、離型性の高いシート又はコート層であることが好ましく、例えば、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコン共重合体またはそれらの複合層等を用いることができる。トナー離型層は薄過ぎると耐摩耗性が劣り、厚いと熱容量が大きくなるため、1μm〜50μm程度とするのが望ましい。
【0038】
また、トナー離型層1dと中立軸位置調整層1cとの間に、スポンジやゴム等の弾性部材からなる弾性層を設けてもよい。この弾性層が記録紙上のトナー像の凹凸に追従してベルト表面がトナー像に密着するため、特にカラー画像を形成する場合に、記録紙及びトナー像の加熱ムラが少なく、光沢ムラの少ない画像が得られる。なお、スポンジやゴム等の弾性部材は弾性係数が小さいため、弾性層を設けても定着ベルト1の中立軸の位置にはあまり影響しない。また、各層間にプライマー層を設けてもよい。
【0039】
本実施形態では、定着ベルト1は、厚さ60μmのポリイミドを基層1aとし、その上に電解メッキ等の手段によって10μmの銅を導電性層1bとして積層し、さらに中立軸位置調整層1cとして20μmのポリイミドと、最表面にトナー離型層1dとして30μmのPFAを積層したものが用いられている。
【0040】
図3に示すようなn層からなるベルト状部材の中立軸は、次式によって算出される。
このベルト状部材の表面を基準とし、厚さ方向の距離をy、表面からi番目の層の断面積をA、この層の幅をb、弾性係数をEとすると、ベルト状部材の表面から中立軸までの距離yは次式で定義される。
【数1】
Figure 2004070191
【0041】
ここで、単位幅(b=1)当りを考えると、dA=dyとなり、ベルト状部材の表面から中立軸までの距離yは次式で表される。
【数2】
Figure 2004070191
【0042】
本実施例で用いられている定着ベルト1において、最表層であるPFAの表面を基準(y=0)とし、式2に基づいてPFAの表面から中立軸までの距離yを算出すると、表1に示すようにy=61.3μmとなる。したがって、図4に示すように中立軸から導電性層1bの遠い側の面までの距離は11.3μmとなる。
【表1】
Figure 2004070191
【0043】
上記加圧ロール2は、金属製の円筒状芯金2aを芯材とし、該芯金2aの表面にスポンジやゴム等の弾性層2bと、さらに表面にフッ素樹脂やシリコーン樹脂等の表面離型層2cとを備えている。本実施例では、直径が20mmの中実の鉄ロールを用い、表面に厚さ4mmのシリコンスポンジを形成し、表面離型層2cとして厚さ50μmのPFAが被覆されている。また、加圧ロール2は、駆動モータ(図示しない)によって回転駆動され、これにともなって定着ベルト1が従動し、周回移動する。
【0044】
上記加圧パッド3は、台座3a上に弾性部材3bを設けたものであり、定着ベルト1を介して、該弾性部材3bと加圧ロール2との間にニップ部が形成される。本実施例では、SUS、鉄等の金属又は耐熱性を有する樹脂等からなる台座3a上に、弾性部材3bとして厚さ3mm、ゴム強度50°(JIS−A)のシリコーンゴムが積層されている。弾性部材3bは、定着ベルト1との当接面が加圧ロール2の周面に沿った形に湾曲しており、定着ベルト1はニップ部内では加圧ロール2の周面に沿った形状で移動する。
【0045】
加圧ロール2と定着ベルト1とのニップ部出口付近では、定着ベルト1が弾性部材3bによる押圧から解放されて基層側へ大きな曲率で曲げ回され、定着ベルト1の形状が急激に変化する。一方、ニップ部に送り込まれた記録紙Pは加圧ロール2の周面に沿って進む。このため、記録紙Pは自身の剛性によって定着ベルト1から剥離され、セルフストリッピングが可能となる。なお、上記定着ベルト1が大きく曲げ回されるときの曲率半径は約5mmとなっている。
【0046】
上記パッド支持部材4は、図1に示すように、ほぼ円形断面の棒状部材であり、この棒状部材の両端部4aは中央部付近より円形断面の半径が小さくなっており、ガイド部材(図示しない)が嵌め合わされる。この棒状部材の周面付近の一部を切り欠いた部分に加圧パッド3が取り付けられており、加圧パッド3に定着ベルト1を介して加圧ロール2から圧接力が作用したとき、棒状部材によって加圧パッド3を支持する。パッド支持部材4の材料としては、電磁誘導加熱装置5による磁束の影響で加熱されないように、ガラス入りPPS(ポリフェニレンサルファイド)、フェノール、ポリイミド、液晶ポリマー等の耐熱性の樹脂や耐熱ガラスを用いるのが望ましい。
【0047】
上記ガイド部材はフランジ形状の耐熱性樹脂からなり、パッド支持部材4の両端部4aに嵌め合わされ、定着ベルト1の内周面の両側縁付近に当接され、定着ベルト1の形状を拘束する。また、フランジ形状の張出した部分が定着ベルト1の両縁に近接又は当接され、定着ベルト1の幅方向の動きを規制する。これにより、定着ベルト1は安定した状態で周回移動する。
【0048】
上記電磁誘導加熱装置5は、定着ベルト1の外周面に沿って、この外周面とのギャップが0.5mm〜3mmとなるよう配置されており、コイル支持部材5aに支持されたフェライト等からなる磁性体コア5dと、この磁性体コア5dの周囲に巻き回された励磁コイル5bと、この励磁コイル5bに交流電流を供給する励磁回路5cとで主要部が構成されている。励磁コイル5bは、本実施例では、互いに絶縁された直径0.5mmの銅線材を16本束ねたリッツ線が用いられており、連続したリッツ線が定着ベルト1の幅方向に平行に配置され、平行部分の両端部で折り返されている。また、コイル支持部材5aは、耐熱性のある非磁性材料を用いることが望ましく、例えば、耐熱ガラスや、ポリカーボネイト等の耐熱性樹脂が用いられる。
【0049】
上記励磁回路5cから励磁コイル5bに交流電流が供給されると、励磁コイル5bの周囲に磁束が生成消滅を繰り返す。そして、この磁束が定着ベルト1の導電性層を横切るとき、その磁界の変化を妨げる磁界を生じるように導電性層中に渦電流が発生し、導電性層の表皮抵抗に比例して発熱する。これにより、定着ベルト1が所定の温度まで加熱される。
【0050】
次に、上記定着装置の動作について説明する。
図示しない転写装置によりイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーによるトナー像Tが記録紙Pに転写される。これらのトナーは、着色顔料を含有した熱可塑性樹脂性のバインダで構成されている。
一方、画像形成信号が出力されるのとほぼ同時に、加圧ロール2の駆動モータ(図示しない)及び電磁誘導加熱装置5に電力が供給される。そして、加圧ロール2が回転すると、これに従動して定着ベルト1が周回移動を開始し、電磁誘導加熱装置5と対向する加熱領域を通過する際に、トナー像Tを加熱溶融するのに適当な温度まで加熱される。
【0051】
定着ベルト1が所定の温度まで加熱されると、トナー像Tを担持した記録紙Pが、定着ベルト1と加圧ロール2とが接するニップ部に送り込まれ、トナー像Tは定着ベルト1によって加熱溶融されると同時に、加圧ロール2と加圧パッド3との圧接力によって記録紙Pに圧着される。ニップ部の出口では、加圧パッド3の押圧から解放されて定着ベルト1の形状が急激に変化するため、記録紙Pは自身の剛性によって定着ベルト1から剥離され、定着画像が形成される。
【0052】
上記定着ベルト1が大きく曲げ回されるとき、定着ベルト1に曲げ変形によるひずみが生じる。定着ベルト1の断面に生じるひずみεは、中立軸からの距離をt、定着ベルト1の曲率半径をrとすると次式で表される。
【数3】
Figure 2004070191
この式より、導電性層1bが定着ベルト1の中立軸の近傍に形成されていることにより、導電性層1bに生じるひずみεが小さくなることが解る。本実施形態のベルトでは、中立軸から導電性層1bの遠い側の面までの距離tは11.3μmであり、定着ベルト1の曲率半径rの最小値は5.0mmであるため、導電性層1bに発生する最大ひずみεは次式で表される。
ε(%)=(0.0113/5.0)×100
すなわち、導電性層1bに発生する最大ひずみεは約0.23%となる。
【0053】
ここで、導電性層1bに繰り返しひずみが生じるときの、該導電性層1bにクラックが生じる限界ひずみを調査した実験の結果を示す。
この実験では、本実施例の定着ベルト1の一部を切り出したテストピース13(20mm×170mm)を用いた。そして、図5に示すように、φ30の駆動ロール11と、これより小径のひずみ発生ロール12とに、基層1aが外側となるようにテストピース13を掛け回し、回転速度1000mm/sで周回駆動させた。本実施例では、導電性層1bは中立軸よりトナー離型層1d側に形成されているため、基層1aを外側として支持することによって、導電性層1bは曲げ変形が生じたときに圧縮側となる。そして、ひずみ発生ロールの径が異なる場合、すなわち導電性層1bに生じるひずみが異なる複数の場合について実験を行ない、それぞれのケースについて導電性層1bにクラックが発生するサイクルを求めた。
【0054】
繰り返しひずみが生じることによる導電性層1bの劣化度合い、すなわちクラックの発生レベルはテストピースの局所力率を測定することで検知した。具体的には、銅素線を用いてφ15のミニコイルを作製し、そのコイルに微少の交流電流を流した状態でテストピースに近づける。導電性層1bでの渦電流の流れやすさによってコイルの電流と電圧の位相θが変化するので、cosθをテストピースの局所力率とした。導電性層にクラックが生じると渦電流が流れにくくなり、θがπ/2に近づくので局所力率cosθは0に近づく。すなわち、テストピースの回転のサイクル数を横軸、テストピースの局所力率を縦軸にとり、テストピースの局所力率が下がり始めた時点のサイクル数をクラックが発生したサイクルとする。
【0055】
図6は、導電性層1bのひずみとクラックが発生するサイクルとの関係を示す図である。
定着ベルトに要求される耐用期間は、加熱源や接触する部材等の要因によって決まるが、この実験装置と本実施形態の定着装置とを対応させると約60万サイクルである。よって、60万サイクルでクラックが発生しない最大ひずみが、導電性層1bが圧縮側にあるときの限界ひずみとなり、図6より約0.3%と考えることができる。
【0056】
本実施例の定着ベルト1では、周回駆動されるときに導電性層1bに生じる最大ひずみが0.23%であり、0.3%以下となっている。そして、この定着ベルト1は、図7に示すように、基層1aを内側として周回駆動されるため、導電性層1bは最大曲率で曲げ変形が生じたときに引張側となる。本実施例のように銅からなる導電性層1bが、電解メッキ等の手段によって形成されている場合には、導電性層1bが引張側より圧縮側にあるときにクラックが発生し易いことがテストによりわかっている。このため、引張側の導電性層1bに生じる最大ひずみが0.3%以下となるように、該導電性層1bを形成することによって、定着ベルト1に繰り返し曲げ変形が作用しても、導電性層1bにクラックや永久変形が生じるのを確実に防ぐことができる。
【0057】
また、他のテストによって、基層1aであるポリイミドの限界ひずみは1.5%であることが知られている。この基層1aの限界ひずみを1とすると、導電性層1bの限界ひずみは0.2となる。すなわち、基層1aの限界ひずみを1としたとき、導電性層1bの限界ひずみを0.2以下とすることによって、基層1aに永久変形が生じるまで、導電性層1bにクラックや永久変形が生じるのを防ぐことができる。なお、本実施例の定着ベルト1では、中立軸から基層1aの表面までの距離tは58.7μmであるため、式3より、基層1aに生じる最大ひずみは、約1.17%となっている。そして、導電性層1bの最大ひずみは0.23%であり、基層1aの最大ひずみを1とすると、導電性層1bの最大ひずみは約0.20となっている。
【0058】
次に、上記定着装置で用いることのできる他の定着ベルトであって、請求項3又は請求項8に係る発明の一実施形態である定着ベルトについて説明する。
この定着ベルトは、厚さ40μmのポリイミドからなる基層と、厚さ10μmの銅からなる導電性層と、厚さ40μmのポリイミドからなり、前記基層との間に導電性層を挟み込むように形成された中立軸位置調整層と、厚さ30μmのPFAからなるトナー離型層とで構成されている。この定着ベルトでは、中立軸と最表層であるPFAの表面との距離は、表2に示すとおり74.4μmとなり、図8に示すように中立軸は導電性層の断面内に位置している。そして、中立軸から導電性層1bの遠い方の面、すなわち圧縮側の面までの距離は5.6μmとなる。
【表2】
Figure 2004070191
【0059】
上記定着ベルトを最大の曲率で曲げ回すとき、曲率半径Rを5.0mmと設定すると、式3より、導電性層に生じる最大ひずみが0.11%となる。また、基層1aに生じる最大ひずみは、約0.9%となる。すなわち、基層1a及び導電性層1bの最大ひずみは、それぞれ限界ひずみ以下となっている。
【0060】
この定着ベルトでは、中立軸位置調整層に基層と同じポリイミドを用い、基層と同じ厚さにすることによって、中立軸の位置が導電性層の断面内となるように調整されている。このため、定着ベルトを大きな曲率で曲げ回しても、導電性層に生じるひずみを小さく抑えることができ、導電性層にクラック等が生じるのを効果的に防ぐことができる。
【0061】
図9は、請求項11に係る発明の一実施形態である画像形成装置を示す概略構成図であり、この画像形成装置に、請求項1から請求項8までのいずれかに係る発明の一実施形態であるベルトが中間転写ベルトとして用いられている。
この画像形成装置は、一様帯電後に像光を照射することにより表面に静電電位の差による潜像が形成される円筒状の感光体ドラム21を備えており、この感光体ドラム21の周囲に、感光体ドラム21の表面を一様に帯電させる帯電装置22と、感光体ドラム21に像光を照射して表面に潜像を形成する露光装置23と、感光体ドラム上の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー像を形成する現像ユニット24と、感光体ドラム21と対向し、周面が周回可能に支持される無端ベルト状の中間転写ベルト25と、トナー像の転写後に感光体ドラム21に残留するトナーを除去するクリーニング装置26と、感光体ドラム1の表面を除電する除電露光装置27とを備えている。
【0062】
また、中間転写ベルト25の内側には、感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルト25に一次転写させる転写帯電器28と、2つの支持ロール29a、29bと、二次転写を行うための転写ロール30とが配置されており、これらによって中間転写ベルト25が周回可能に張架されている。さらに、転写ロール30と中間転写ベルト25を介して対向する位置には、加圧ロール31が配設されており、その下流側には外周面に当接してクリーニング装置33が設けられている。また、中間転写ベルト25の内周面と対向して、中間転写ベルト25及び中間転写ベルト上のトナー像を加熱する電磁誘導加熱装置32が設置されている。
【0063】
この画像形成装置では、感光体ドラム21から中間転写ベルト25上に転写され、複数色が重ね合わされたトナー像Tは、中間転写ベルト25の周回移動により、電磁誘導加熱装置32と対向する加熱領域を通過する。トナー像Tは、中間転写ベルト上で加熱されて溶融し、転写ロール30と加圧ロール31との圧接部に搬送される。この搬送にタイミングを合わせて、記録紙Pが用紙トレイ(図示しない)から中間転写ベルト25と加圧ロール31との間に送り込まれ、トナー像Tが記録紙Pに圧着され、転写と定着とが同時に行なわれる。
【0064】
上記中間転写ベルト25は、図1に示す定着装置が有する定着ベルト1と同様に、基層と、導電性層と、中立軸位置調整層と、トナー離型層とがこの順で積層されたものであり、図1に示す定着装置が有する定着ベルト1と同様のものが用いられている。そして、基層が内側となるように支持ロール29a、29b及び転写ロール30に掛け回され、周回駆動される。この中間転写ベルト25では、最も大きな曲率で曲げ回されるとき、導電性層に生じる最大ひずみが0.3%以下となるように、導電性層が中間転写ベルト25の中立軸の近傍に形成されている。また、基層に生じる最大ひずみを1とすると、導電性層に生じる最大ひずみが0.2以下となっている。このため、中間転写ベルト25に繰り返し曲げ変形が生じても、導電性層にクラックや永久変形が生じるのを防ぐことができ、中間転写ベルト上に複数色のトナー像を良好に重ね合わせ、色ズレのない画像を長期間にわたって形成することができる。また、中間転写ベルト25を支持ロール29a、29bや転写ロール30によって大きな曲率で曲げ回して、装置内の限られたスペースに効率良く配置することができる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係るベルトでは、このベルトが有する金属層が、該ベルトに曲げ変形が生じたときにひずみが生じない中立軸の近傍に形成されている。このため、ベルトに曲げ変形が生じたときに金属層に生じるひずみが小さく、金属層に繰り返しひずみが生じても、該金属層にクラックや永久変形が生じにくくなる。そして、上記ベルトを定着ベルト又は中間転写ベルトとして用いることによって、長期間にわたり良好な定着画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項9又は請求項10に係る発明の一実施形態である定着装置を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す定着装置で用いられる定着ベルトの断面図である。
【図3】ベルト状部材の中立軸の算出方法を説明する図である。
【図4】図2に示す定着ベルトの中立軸を示す断面図である。
【図5】導電性層のひずみとクラックが発生するサイクルとの関係を調査する実験装置を示す概略構成図である。
【図6】導電性層のひずみとクラックが発生するサイクルとの関係を示す図である。
【図7】定着ベルトに曲げ変形が生じたときの該定着ベルトの拡大断面図である。
【図8】図1に示す定着装置で用いることのできる他の定着ベルトであって、請求項3又は請求項8に係る発明の一実施形態である定着ベルトを示す断面図である。
【図9】請求項11に係る発明の一実施形態である画像形成装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 定着ベルト
2 加圧ロール
3 加圧パッド
4 パッド支持部材
5 電磁誘導加熱装置
11 駆動ロール
12 ひずみ発生ロール
13 テストピース
21 感光体ドラム
22 帯電装置
23 露光装置
24 現像ユニット
25 中間転写ベルト
26 クリーニング装置
27 除電露光装置
28 転写帯電器
29 支持ロール
30 転写ロール
31 加圧ロール
32 電磁誘導加熱装置
33 クリーニング装置

Claims (11)

  1. 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、
    前記金属層は、該ベルトに曲げ変形が生じたときにひずみが生じない中立軸の近傍に形成されていることを特徴とするベルト。
  2. 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、
    前記ベルトの曲げ変形によって前記基層の表面に生じるひずみを1としたときに、前記金属層に発生する最大ひずみが0.2以下となる位置に、該金属層が形成されていることを特徴とするベルト。
  3. 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、
    前記金属層は、該ベルトに曲げ変形が生じたときにひずみが生じない中立軸の位置が、該金属層の断面内となるよう形成されていることを特徴とするベルト。
  4. 前記金属層は、銅からなる厚さが1μmから50μmの層であることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のベルト。
  5. 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、
    ロールを含む複数の部材によって張架され、又は少なくとも一つのロールとこれに押圧される加圧部材とに挟持されて周回駆動されるものであり、
    周回駆動されるときの最大曲率で変形が生じたときの前記金属層の最大ひずみが、繰り返しひずみが生じることによって該金属層が破断するひずみ量以下となるように、曲げ変形によるひずみが生じない中立軸の近傍に、該金属層が形成されていることを特徴とするベルト。
  6. 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、
    ロールを含む複数の部材によって張架され、又は少なくとも一つのロールとこれに押圧される加圧部材とに挟持されて周回駆動されるものであり、
    周回駆動されるときの最大曲率で変形が生じたときの前記金属層の最大ひずみが0.3%以下となるように、該金属層が形成されていることを特徴とするベルト。
  7. 合成樹脂からなる基層と、その上に積層された金属層と、さらにその上に積層された合成樹脂からなる被覆層とを有する無端状ベルトであって、
    前記被覆層は、
    前記基層とほぼ同じ弾性係数の合成樹脂からなり、前記金属層の上に積層された中立軸位置調整層を含むことを特徴とするベルト。
  8. 前記中立軸位置調整層は、前記基層とほぼ同じ厚さであることを特徴とする請求項7に記載のベルト。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれかに記載のベルトと、前記ベルトと対向するように配置され、交番磁界を発生して、前記金属層に誘導される渦電流で該金属層を加熱する電磁誘導加熱装置と、
    トナー像が担持された記録媒体を前記ベルトに押圧する加圧部材とを有することを特徴とする定着装置。
  10. 前記ベルトが有する被覆層は、最表層として設けられたトナー離型層、もしくは該トナー離型層と弾性層とを有することを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
  11. 請求項1から請求項8までのいずれかに記載のベルトと、
    無端状の周面を有し、外周面上にトナー像が形成される像担持体と、
    前記像担持体上のトナー像を前記ベルト上に転写する一次転写装置と、
    前記ベルトと対向するように配置され、交番磁界を発生して、前記金属層に誘導される渦電流で該金属層を加熱する電磁誘導加熱装置と、
    前記ベルトに記録媒体を介して押圧され、前記ベルト上で加熱溶融されたトナー像を、前記記録媒体に転写するとともに定着する二次転写定着装置とを有することを特徴とする画像形成装置。
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