JP2004069149A - 多重効用吸収冷凍機 - Google Patents

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Osayuki Inoue
井上 修行
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Abstract

【課題】再生器の沸騰温度をある程度低くできる効率のよい多重効用吸収冷凍機を提供する。
【解決手段】外部熱源で加熱濃縮する高温再生器GH、GHからの冷媒蒸気を加熱源とする低温再生器GL、凝縮器C、吸収器A、蒸発器E及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備えた多重効用吸収冷凍機において、前記GHを二分割して、前記溶液流路がAからの吸収溶液を先ず、第一高温再生器GH1に導き、次に第二高温再生器GH2に導くように構成され、前記GLも二分割して、前記溶液流路が、Aからの吸収溶液を先ず、第一低温再生器GL1に導き、次に第二低温再生器GL2に導くように構成され、前記GL1の加熱源に、前記GH2からの冷媒蒸気を、GL2の加熱源にGH1からの冷媒蒸気を導くように、前記冷媒流路を構成したものである。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多重効用吸収冷凍機に係り、特に、必要熱源温度を低下させることができる多重効用吸収冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から多重効用吸収冷凍機は、段数が増えるほど効率がよくなるが、段数が増えるに従い再生器内の溶液温度が上昇し、加熱するために必要な熱源温度も高くなることが知られている。
溶液温度が高くなることで、再生器の腐食の問題、あるいは吸収媒体の安定性、及び吸収剤そのもの以外に、界面活性剤あるいは腐食抑制剤の安定性などに問題がでてくる。
また、加熱源温度が高くなることで、利用できる熱源に制限がでてくる問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、再生器の沸騰温度をある程度低くして、必要熱源温度を低下させ、効率のよい多重効用吸収冷凍機を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、少なくとも吸収溶液を加熱濃縮する高温側再生器、高温側再生器で吸収溶液から分離蒸発した冷媒蒸気を加熱源とする低温側再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備えた多重効用吸収冷凍機において、前記高温側再生器を二分割して、吸収溶液を第一の高温側再生器に導いて、濃縮した溶液を第二の高温側再生器に導き、また、前記低温側再生器も二分割して、吸収溶液を第一の低温側再生器に導いて、濃縮した溶液を第二の低温側再生器に導くように前記溶液流路を構成すると共に、前記第一の低温側再生器の加熱源として、前記第二の高温側再生器からの冷媒蒸気を導き、前記第二の低温側再生器の加熱源として、前記第一の高温側再生器からの冷媒蒸気を導くように、前記冷媒流路を構成したことを特徴とする多重効用吸収冷凍機としたものである。
前記多重効用吸収冷凍機において、低温側再生器は、該再生器内の伝熱管外表面に溶液を散布し、該伝熱管内部に加熱源となる冷媒蒸気を導く構造であり、また、該低温側再生器は、同一容器内の伝熱管群を上下に二分割して、上部の伝熱管群からなる第一の低温側再生器と下部の伝熱管群からなる第二の低温側再生器とを構成し、前記散布された吸収溶液が上部から下部に落下して行くように構成することができる。
【0005】
また、本発明では、外部熱源を受け入れて吸収溶液を加熱濃縮する高温再生器、高温再生器で吸収溶液から分離蒸発した冷媒蒸気を加熱源とする低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備えた二重効用吸収冷凍機において、前記高温再生器を二分割して、前記溶液流路が、吸収器からの吸収溶液を先ず、第一の高温再生器に導き、濃縮した溶液を第二の高温再生器に導くように構成され、また、前記低温再生器も二分割して、前記溶液流路が、吸収器からの吸収溶液を先ず、第一の低温再生器に導き、前記濃縮した溶液を第二の低温再生器に導くように構成されると共に、前記第一の低温再生器の加熱源として、前記第二の高温再生器からの冷媒蒸気を導き、前記第二の低温再生器の加熱源として、前記第一の高温再生器からの冷媒蒸気を導くように、前記冷媒流路を構成し、前記低温再生器は、該再生器内の伝熱管外表面に溶液を散布し、該伝熱管内部に加熱源となる冷媒蒸気を導く構造であり、また、該低温再生器は、同一容器内の伝熱管群を上下に二分割して、上部の伝熱管群からなる第一の低温再生器と下部の伝熱管群からなる第二の低温再生器とを構成し、前記散布された吸収溶液が上部から下部に落下して行くように構成したことを特徴とする二重効用吸収冷凍機としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、再生器の沸騰温度は、同一圧力のもとでは、濃度が高くなるに従い高温になるので、この濃度と温度関係を利用して、サイクルの温度を少しでも下げようとするものである。
即ち、低温側再生器の希溶液側濃度を利用して、高温側再生器の濃溶液側温度を低下させる。
次に、本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の多重効用吸収冷凍機の基礎となるフロー構成図で、二重効用吸収冷凍機に適用した例であり、図2は、そのデューリング線図である。
図において、Aは吸収器、GL1、GL2は低温再生器、GH1、GH2は高温再生器、Cは凝縮器、Eは蒸発器、11〜15は溶液流路、16〜22は冷媒流路である。
【0007】
図1では、溶液流路を実線で、冷媒流路を破線で示している。図1のフローを説明すると、吸収溶液は、吸収器Aから流路11で第一高温再生器GH1と第一低温再生器GL1とに分岐して導入され、第一高温再生器GH1に導入された吸収溶液は、外部熱源により加熱濃縮されて第二高温再生器GH2に導入され、そこでさらに外部熱源により濃縮されて流路13から、流路15を通って吸収器Aに流入する。
一方、第一低温再生器GL1に導入された吸収溶液は、第二高温再生器GH2で発生する流路17からの冷媒蒸気により加熱濃縮されて第二低温再生器GL2に導入され、そこでさらに第一高温再生器GH1で発生する流路16からの冷媒蒸気により加熱濃縮されて、流路14から流路13に合流して流路15を通って吸収器Aに導入して、蒸発器Eからの冷媒蒸気を吸収して循環される。
【0008】
また、第一及び第二の高温再生器GH1、GH2で発生した冷媒蒸気は、流路16、17からそれぞれ第二及び第一低温再生器GL2、GL1の加熱源として使用された後、凝縮器Cに流入され、また、第一低温再生器GL1で発生した冷媒蒸気は流路20から、第二低温再生器GL2で発生した冷媒蒸気は流路21から、それぞれ凝縮器Cに流入する。凝縮器Cで凝縮された冷媒液が、流路18から蒸発器Eに導入され、蒸発器Eで冷水から熱を奪って蒸発し、冷却された冷水が冷房に供され、冷媒は蒸気となって流路22から吸収器Aに流入して吸収溶液に吸収されて循環する。
【0009】
図2は、図1を用いた冷房運転における冷凍サイクルを示すデューリング線図である。
図2において、従来サイクルは、二点鎖線のように、溶液温度が高温になるが、本発明では、GH2の発生冷媒が、濃度の希いGL1に熱を与え凝縮し、GH1の発生冷媒が、濃度の濃いGL2に熱を与え凝縮するので、図のように、GH2の露点がGH1露点よりも低くなり、その結果として、GH2出口の溶液温度が低下する。
【0010】
図3〜図5は、本発明の吸収冷凍機の他の例を示すフロー構成図である。
図3〜図5において、A、A1、A2は吸収器、GL1、GL2は低温再生器、GH1、GH2は高温再生器、Cは凝縮器、E、E1、E2は蒸発器、Xは低温熱交換器、XHは高温熱交換器、XAは排熱回収熱交換器、SP、SP1、SP2は溶液ポンプ、RPは冷媒ポンプ、1と2は冷媒蒸気通路、3と4は冷却水、5は熱源流路、6は冷水通路、7は隔壁、8はバーナ、9はバーナファン、10〜15は溶液流路、16〜19は冷媒流路である。
図3について説明すると、図3は、蒸気を熱源とし、吸収器Aを出た吸収溶液が、分岐されてそれぞれ低温再生器GLl、高温再生器GH1に導入されるパラレルフローの例である。
熱源の蒸気は、流路5から第一高温再生器GH1と第二高温再生器GH2にそれぞれ分岐されて導入され、内部の吸収溶液を加熱した後、排熱回収熱交換器XAの加熱側を通り排出される。
【0011】
図3の吸収冷凍機の冷房運転においては、冷媒を吸収した希溶液は、吸収器Aから溶液ポンプSPにより流路11を通り、低温熱交換器Xの被加熱側を通った後、一部が分岐されて流路12から低温再生器GL1に導入され、残りは、排熱回収熱交換器XA、高温熱交換器XHの被加熱側を経て第一高温再生器GH1に導入される。
第一高温再生器GH1に導入された希溶液は、熱源からの蒸気で加熱濃縮され、第二高温再生器GH2に導入され、熱源からの蒸気でさらに加熱濃縮されて、流路13を通り高温熱交換器XHの加熱側、低温熱交換器Xの加熱側を通り流路15から吸収器Aに流入する。
【0012】
分岐されて低温再生器GL1に導入された希溶液は、第一低温再生器GL1で第二高温再生器GH2から流路17を通った冷媒蒸気により加熱濃縮され、次いで、第二低温再生器GL2で第一高温再生器GH1から流路16を通った冷媒蒸気により加熱濃縮され、濃縮された濃縮液は、流路14を通り流路13と合流して、低温熱交換器Xの加熱側を通り流路15から吸収器Aに流入する。
高温再生器GH1、GH2で蒸発した冷媒蒸気は、それぞれ冷媒流路16、17を通り、低温再生器GL1、GL2の熱源として用いられたのち凝縮器Cに導入される。凝縮器Cでは、低温再生器GL1、GL2からの冷媒蒸気と共に冷却水により冷却されて凝縮し、流路18から蒸発器Eに入る。蒸発器Eでは、冷媒が冷媒ポンプRPにより、流路19により循環され、その際に蒸発熱を負荷側の冷水から奪い蒸発し、冷水を冷却して冷房に供される。
蒸発した冷媒は、吸収器Aで濃溶液により吸収されて、希溶液となり溶液ポンプで循環されるサイクルとなる。
【0013】
図3は、二重効用だけでなく、三重効用あるいはさらに多重の効用缶にも利用できる。
三重効用吸収冷凍機の場合、外部熱源を受け入れる高温再生器GH、高温再生器で発生する冷媒蒸気を熱源とする中温再生器GM、中温再生器で発生する冷媒蒸気を熱源とする低温再生器GLの温度レベルで3レベルの再生器を持っているが、本発明は、高温再生器GHと中温再生器GMとの関係に利用、あるいは、中温再生器GMと低温再生器GLとの関係に利用することができる。即ち、高温側再生器に高温再生器、低温側再生器に中温再生器を対応させる例、高温側再生器に中温再生器、低温側再生器に低温再生器を対応させる等がある。
図6に、三重効用吸収冷凍機に適用した場合の冷凍サイクルのデューリング線図を示し、図6(a)は、外部熱源利用の高温再生器GHと中温再生器GMの間に本発明を適用した場合で、図6(b)は、内部熱源利用の中温再生器GMと低温再生器GLの間に本発明を適用した場合である。
【0014】
また、本発明は、一二重効用吸収冷凍機にも利用できる。該吸収冷凍機は、高温の外部熱源を受け入れる高温再生器、低温の外部熱源を受け入れる排熱低温再生器、前記高温再生器で発生する冷媒蒸気を熱源とする低温再生器の少なくとも3種の再生器を持ち、本発明の高温側再生器を高温再生器とし、低温側再生器を低温再生器とすることができる。
二重効用の場合、シリーズフロー、パラレルフロー、分岐フローなど溶液サイクルフローに各種あり、三重効用ではさらに多くのサイクルフローが存在するが、本発明は、これらのフローに限定されるものではない。
また、熱源は、GH1とGH2に並列に流しているが、直列に流しても差支えない。
蒸気の代りに、高温水あるいは高温ガスを熱源にしてもよい。
【0015】
図4は、図3の熱源を蒸気に代えて、平面燃焼バーナーを用いた直火式を示す本発明のフロー構成図であり、図3と同様に作用する。
暖房サイクルは明記していないが、冷温水機にも適用できる。
また、吸収器Aと蒸発器Eを二段にすると、単段のときよりも、サイクル濃度が低くなることが知られている。
図5は、吸収器Aと蒸発器Eを二段A1、A2とE1、E2にしたものに、本発明を適用したフロー構成図である。高温再生器温度は、単段の場合よりもさらに低く抑えることができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、高温再生器と低温再生器をそれぞれ分割して多段としたことにより、高温再生器の溶液温度を低く抑えることができ、必要熱源温度を低下させ、多重効用吸収冷凍機の効率を上げるための多段化の問題点をある程度解消でき、効率のよい多重効用吸収冷凍機とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の吸収冷凍機の基本のフロー構成図。
【図2】図1の冷凍サイクルのデューリング線図。
【図3】本発明の吸収冷凍機の他の例を示すフロー構成図。
【図4】本発明の吸収冷凍機の他の例を示すフロー構成図。
【図5】本発明の吸収冷凍機の他の例を示すフロー構成図。
【図6】(a)(b)三重効用吸収冷凍機に本発明を適用した場合の冷凍サイクルのデューリング線図。
【符号の説明】
A、A1、A2:吸収器、GL、GL1、GL2:低温再生器、GH、GH1、GH2:高温再生器、GM:中温再生器、C:凝縮器、E、E1、E2:蒸発器、X:低温熱交換器、XH:高温熱交換器、XA:排熱回収熱交換器、SP、SP1、SP2:溶液ポンプ、RP:冷媒ポンプ、1、2:冷媒蒸気通路、3、4:冷却水、5:熱源流路、6:冷水通路、7:隔壁、8:バーナ、9:バーナファン、10〜15:溶液流路、16〜22:冷媒流路

Claims (3)

  1. 少なくとも吸収溶液を加熱濃縮する高温側再生器、高温側再生器で吸収溶液から分離蒸発した冷媒蒸気を加熱源とする低温側再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備えた多重効用吸収冷凍機において、前記高温側再生器を二分割して、吸収溶液を第一の高温側再生器に導いて、濃縮した溶液を第二の高温側再生器に導き、また、前記低温側再生器も二分割して、吸収溶液を第一の低温側再生器に導いて、濃縮した溶液を第二の低温側再生器に導くように前記溶液流路を構成すると共に、前記第一の低温側再生器の加熱源として、前記第二の高温側再生器からの冷媒蒸気を導き、前記第二の低温側再生器の加熱源として、前記第一の高温側再生器からの冷媒蒸気を導くように、前記冷媒流路を構成したことを特徴とする多重効用吸収冷凍機。
  2. 前記低温側再生器は、該再生器内の伝熱管外表面に溶液を散布し、該伝熱管内部に加熱源となる冷媒蒸気を導く構造であり、また、該低温側再生器は、同一容器内の伝熱管群を上下に二分割して、上部の伝熱管群からなる第一の低温側再生器と下部の伝熱管群からなる第二の低温側再生器とを構成し、前記散布された吸収溶液が上部から下部に落下して行くように構成したことを特徴とする請求項1記載の多重効用吸収冷凍機。
  3. 外部熱源を受け入れて吸収溶液を加熱濃縮する高温再生器、高温再生器で吸収溶液から分離蒸発した冷媒蒸気を加熱源とする低温再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを備えた二重効用吸収冷凍機において、前記高温再生器を二分割して、前記溶液流路が、吸収器からの吸収溶液を先ず、第一の高温再生器に導き、濃縮した溶液を第二の高温再生器に導くように構成され、また、前記低温再生器も二分割して、前記溶液流路が、吸収器からの吸収溶液を先ず、第一の低温再生器に導き、前記濃縮した溶液を第二の低温再生器に導くように構成されると共に、前記第一の低温再生器の加熱源として、前記第二の高温再生器からの冷媒蒸気を導き、前記第二の低温再生器の加熱源として、前記第一の高温再生器からの冷媒蒸気を導くように、前記冷媒流路を構成し、前記低温再生器は、該再生器内の伝熱管外表面に溶液を散布し、該伝熱管内部に加熱源となる冷媒蒸気を導く構造であり、また、該低温再生器は、同一容器内の伝熱管群を上下に二分割して、上部の伝熱管群からなる第一の低温再生器と下部の伝熱管群からなる第二の低温再生器とを構成し、前記散布された吸収溶液が上部から下部に落下して行くように構成したことを特徴とする二重効用吸収冷凍機。
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