JP2004068860A - 転がり軸受装置 - Google Patents

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Hironori Suzuki
鈴木 弘典
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Abstract

【課題】温度変化に対する軸受すきま、予圧、アキシャル剛性およびラジアル剛性等の変化を少なくして、回転トルク等の軸受性能の温度依存性を小さくした,例えば磁気ディスク装置のスイングアームを支持するのに好適な転がり軸受装置を提供する。
【解決手段】転がり軸受装置10において、ハウジング9の線膨張係数αを、軸5、内輪6、外輪8および転動体7の線膨張係数αと同等、または小さくした構成を特徴とする。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受装置に係り、例えば高速で微小振動する磁気ディスク装置のスイングアームを回動自在に支持する転がり軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11に示すように、磁気ディスク装置1のスイングアーム2は、転がり軸受装置3のハウジング9に嵌合して保持されている。ハウジング9は、2個の玉軸受4の外輪8に嵌合、固定されている。
また、転動体7を介して外輪8に回動自在に配置された内輪6は、軸5に嵌合している。図12に示すように、対向して配設された2個の玉軸受4は、グリースが封入されると共に、適正な予圧がかけられ、接触角θ1を有している。
【0003】
従来の転がり軸受装置3のハウジング9および軸5は、オーステナイト系ステンレス鋼により、また内輪6、外輪8および転動体7は、マルテンサイト系ステンレス鋼により製作されている。
【0004】
オーステナイト系ステンレス鋼の線膨張係数α1は、略16.3×10−6/°Kであり、マルテンサイト系ステンレス鋼の線膨張係数α2は、略10.1×10−6/°Kである。線膨張係数は、同一鋼種のステンレス鋼(例えばオーステナイト系ステンレス鋼)であっても、構成成分等が異なると微妙に異なる値を有している。
【0005】
しかし、オーステナイト系ステンレス鋼とマルテンサイト系ステンレス鋼の線膨張係数の大きさが、逆転するようなことはない。
従って、ハウジング9および軸5の線膨張係数は、内輪6、外輪8および転動体7の線膨張係数より大きくなっている(ハウジングおよび軸の線膨張係数>内輪、外輪および転動体の線膨張係数)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図12に示すように、従来の転がり軸受装置3の温度が上昇すると、各部材の線膨張係数の差から、軸受すきまが初期設定値より大きくなり、予圧抜け(予圧低下)が発生する。
これによって、接触角は初期値θ1より大きくなり、接触角θ3となる。転動体7に作用していた弾性力F1は、弾性力F3と小さくなって、図13に示すように、転がり軸受装置3の温度上昇と共に、共振周波数が次第に低下する。これによって、アキシャル剛性およびラジアル剛性が共に低下してスイングアーム2の高速化、目標トラックへの位置決め精度に悪影響を与える問題点があった。
【0007】
また、転がり軸受装置3の温度が低くなると、上記とは逆に、線膨張係数の差から軸受すきまが初期設定値より小さくなる。これによって、接触角θ1が接触角θ2と小さくなり、弾性力F1は弾性力F2と大きくなる。
これに伴なって、共振周波数も高くなってアキシャル剛性およびラジアル剛性が共に増大し、回転トルクが大きくなる問題点があった。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度変化に対する予圧、アキシャル剛性およびラジアル剛性等の変化を少なくして、回転トルク等の温度依存性を小さくし、軸受性能の変動を小さくした転がり軸受装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載したように、軸に嵌合される内輪と、ハウジングに保持される外輪との間に回動自在に配設された複数個の転動体を備えた転がり軸受装置において、
前記ハウジングの線膨張係数を前記軸、前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数と同等、または小さくしたことを特徴としている。
【0010】
このように構成された転がり軸受装置においては、ハウジングの線膨張係数が軸、内輪、外輪および転動体の線膨張係数と同等、または小さくなっているので、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが小さくなって予圧が増加し、温度が低くなると軸受すきまが大きくなって予圧が低減することになる。またその変化量は小さくなる。
【0011】
従って、この転がり軸受装置においては、従来のような転がり軸受装置の温度が高くなると予圧が低下し、温度が低くなると予圧が増大し、また予圧の温度依存性が大きいという問題を解消できることになる。
これによって、転がり軸受装置の温度に関係なく、スイングアームの高速化、位置決め精度の向上が図れると共に、安定した回転トルクが得られることになる。
【0012】
また、本発明は、請求項2に記載したように、請求項1に記載した転がり軸受装置であって、前記軸、前記内輪、前記外輪、前記転動体および前記ハウジングの線膨張係数を同一としたことを特徴としている。
【0013】
このように構成された転がり軸受装置においては、軸、内輪、外輪、転動体およびハウジングの線膨張係数が同一となっているので、転がり軸受装置の温度が変化しても、軸受すきまを一定のすきまに維持できることになる。
従って、この転がり軸受装置においては、予圧、アキシャル剛性およびラジアル剛性等を略一定に維持して、従来のような転がり軸受装置の温度によって回転トルクや位置決め精度が変化するという問題を解消できることになる。
【0014】
また、本発明は、請求項3に記載したように、請求項1に記載した転がり軸受装置であって、前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数より小さいことを特徴としている。
【0015】
このように構成された転がり軸受装置においては、内輪、外輪および転動体の線膨張係数は、軸の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジングの線膨張係数は内輪、外輪および転動体の線膨張係数より小さくなっているので、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが減少し、温度が低くなると軸受すきまが増大することになる。しかし、その変化量は、従来の転がり軸受装置と比較して小さくなっている。
従って、この転がり軸受装置においては、従来のような転がり軸受装置の温度が変化すると、予圧、アキシャル剛性およびラジアル剛性が大きく変化するという問題を解消できることになる。
【0016】
また、本発明は、請求項4に記載したように、請求項1に記載した転がり軸受装置であって、前記転動体の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記内輪、前記外輪の線膨張係数は、前記転動体の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は前記内輪、前記外輪の線膨張係数より小さいことを特徴としている。
【0017】
このように構成された転がり軸受装置においては、転動体の線膨張係数は、軸の線膨張係数より小さく、かつ、内輪、外輪の線膨張係数は、転動体の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジングの線膨張係数は内輪、外輪の線膨張係数より小さくなっている。これによって、従来の転がり軸受装置とは逆に、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが減少し、温度が低くなると軸受すきまが増大することになる。
従って、この転がり軸受装置においては、従来のような転がり軸受装置の温度が変化すると、軸受すきまが大幅に変化して、予圧や転がり軸受装置の剛性に悪影響を与えるという問題を解消できることになる。
【0018】
また、本発明は、請求項5に記載したように、請求項1に記載した転がり軸受装置であって、前記内輪の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記転動体の線膨張係数は、前記内輪の線膨張係数より小さく、かつ、前記外輪の線膨張係数は、前記転動体の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は、前記外輪の線膨張係数より小さいことを特徴としている。
さらに、本発明は、請求項6に記載したように、請求項1に記載した転がり軸受装置であって、前記外輪の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記転動体の線膨張係数は、前記外輪の線膨張係数より小さく、かつ、前記内輪の線膨張係数は、前記転動体の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は、前記内輪の線膨張係数より小さいことを特徴としている。
【0019】
これらのように構成された転がり軸受装置においては、内輪(外輪)の線膨張係数は、軸の線膨張係数より小さく、かつ、転動体の線膨張係数は、内輪(外輪)の線膨張係数より小さく、かつ、外輪(内輪)の線膨張係数は、転動体の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジングの線膨張係数は、外輪(内輪)の線膨張係数より小さくなっている。これによって、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが減少し、温度が低くなると軸受すきまが増大することになるが、その変化量は従来の転がり軸受装置より少ない。
従って、この転がり軸受装置においては、従来のような転がり軸受装置の温度が変化すると、軸受すきまが大幅に変化して、予圧、転がり軸受装置の剛性に悪影響を与えるという問題を解消できることになる。
【0020】
また、本発明は、請求項7に記載したように、軸に嵌合される内輪と、ハウジングに保持される外輪との間に回動自在に配設された複数個の転動体を備えた転がり軸受装置において、前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数は、前記軸および前記ハウジングの線膨張係数より小さく、かつ、前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数と、前記軸および前記ハウジングの線膨張係数とは、夫々異なる、同一の線膨張係数であることを特徴としている。
【0021】
このように構成された転がり軸受装置においては、内輪、外輪および転動体の線膨張係数は同一であり、また軸およびハウジングの線膨張係数は同一、かつ、内輪、外輪および転動体の線膨張係数とは異なる値を有し、更に内輪、外輪および転動体の線膨張係数は軸およびハウジングの線膨張係数より小さくなっている。
【0022】
従って、この転がり軸受装置においては、従来の転がり軸受装置と同様に、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが増大し、温度が低くなると軸受すきまが減少することになるが、その変化量は従来の転がり軸受装置より少ない。従って、従来の転がり軸受装置より軸受すきま等の温度依存性が小さく、予圧、転がり軸受装置の剛性の変化を小さくすることができる。
【0023】
また、本発明は、請求項8に記載したように、請求項1から請求項7のいずれかに記載した転がり軸受装置であって、前記転がり軸受装置は、磁気ヘッドを先端に有する磁気ディスク装置のスイングアームを回動自在に支持する軸受装置であることを特徴としている。
【0024】
このように構成された転がり軸受装置においては、温度による軸受すきま、予圧、剛性等の変化が小さい転がり軸受装置により、磁気ディスク装置のスイングアームを支持しているので、磁気ディスク装置のトルク等の性能の変動を少なくできることになる。
従って、この転がり軸受装置においては、従来のような温度変化によって磁気ディスク装置のスイングアームの高速化や目標トラックへの位置決めの高精度化が阻害されるという問題を解消できることになる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明する実施の形態において、既に図11ないし図12において説明した部材等については、図中に同一符号あるいは相当符号を付すことにより説明を簡略化あるいは省略する。
【0026】
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態である転がり軸受装置10は、軸5、内輪6、転動体7、外輪8およびハウジング9が全てマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS400系統)により製作されている。
従って、全ての構成部材の線膨張係数は、マルテンサイト系ステンレス鋼の線膨張係数α2である、略10.1×10−6/°Kとなっている(線膨張係数:軸=内輪=転動体=外輪=ハウジング)。
【0027】
磁気ディスク装置1のスイングアーム2を支持する転がり軸受に要求される性能の1つに耐蝕性があり、これを満たすために、ステンレス鋼が用いられている。更に軸受機能に必要な硬度を得る目的から、焼入硬化処理が可能なマルテンサイト系ステンレス鋼が使用されている。
【0028】
図2に示すように、本発明に係る第2実施形態である転がり軸受装置20は、軸5がオーステナイト系ステンレス鋼(SUS300系統)により製作されている。内輪6、転動体7および外輪8は、軸受鋼(高炭素クロム鋼)またはマルテンサイト系ステンレス鋼により、またハウジング9はマルテンサイト系ステンレス鋼により製作されている。ここで、軸受鋼の線膨張係数α3は、略12.5×10−6/°Kであり、オーステナイト系ステンレス鋼の線膨張係数α1は、略16.3×10−6/°Kである。
従って、内輪6、転動体7および外輪8の線膨張係数は、軸5の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジング9の線膨張係数は、内輪6、転動体7および外輪8の線膨張係数より小さくなっている(線膨張係数:軸>内輪=転動体=外輪>ハウジング)。
【0029】
図3に示すように、本発明に係る第3実施形態である転がり軸受装置30は、軸5がオーステナイト系ステンレス鋼により製作されている。内輪6および外輪8は、マルテンサイト系ステンレス鋼により、また転動体7は軸受鋼により製作されている。更に、ハウジング9はマルテンサイト系ステンレス鋼により製作されている。
【0030】
従って、転動体7の線膨張係数は、軸5の線膨張係数より小さく、かつ、内輪6および外輪8の線膨張係数は、転動体7の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジング9の線膨張係数は内輪6および外輪8の線膨張係数より小さくなっている(線膨張係数:軸>転動体>内輪=外輪>ハウジング)。
【0031】
図4に示すように、本発明に係る第4実施形態である転がり軸受装置40は、軸5がオーステナイト系ステンレス鋼により製作されている。転動体7は、マルテンサイト系ステンレス鋼または軸受鋼により製作されている。内輪6は軸受鋼で製作され外輪8がマルテンサイト系ステンレス鋼により製作されているか、または、内輪6がマルテンサイト系ステンレス鋼により製作され外輪8が軸受鋼で製作されている。更に、ハウジング9はマルテンサイト系ステンレス鋼により製作されている。
【0032】
従って、内輪6(外輪8)の線膨張係数は、軸5の線膨張係数より小さく、かつ、転動体7の線膨張係数は、内輪6(外輪8)の線膨張係数より小さく、かつ、外輪8(内輪6)の線膨張係数は、転動体7の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジング9の線膨張係数は、外輪8(内輪6)の線膨張係数より小さくなっている(線膨張係数:軸>内輪>転動体>=外輪>ハウジング。または軸>外輪>転動体>=内輪>ハウジング)。
【0033】
図5に示すように、本発明に係る第5実施形態である転がり軸受装置50は、軸5およびハウジング9がオーステナイト系ステンレス鋼(または軸受鋼)により製作され、内輪6、転動体7および外輪8が軸受鋼(またはマルテンサイト系ステンレス鋼)により製作されている。
従って、内輪6、転動体7および外輪8の線膨張係数は、軸5およびハウジング9の線膨張係数より小さく、かつ、軸5とハウジング9の線膨張係数は同一であり、更に内輪6、転動体7および外輪8の線膨張係数も同一となっている(線膨張係数:軸=ハウジング>内輪=転動体=外輪)。
【0034】
従来の転がり軸受装置3の温度を0℃〜60℃まで変化させたときの共振周波数の変化を図6に示す。
一方、前述した本発明を適用した転がり軸受装置10,20,30,40,50におけるアキシャル変位の変化を図7に、また、予圧の変化状態を図8に示す。更に、転がり軸受装置10,20,30,40,50におけるアキシャル共振周波数の変化を図9に、ラジアル共振周波数の変化を図10に示す。
【0035】
図6〜図10において、直線Aは従来の転がり軸受装置3の特性を示し、直線Bは第1実施形態の転がり軸受装置10の特性を、直線Cは第2実施形態の転がり軸受装置20の特性を、直線Dは第3実施形態の転がり軸受装置30の特性を、直線E、直線Fおよび直線Gは夫々第4実施形態の転がり軸受装置40の特性を示している。直線Eは転動体7としてSUS402系統のマルテンサイト系ステンレス鋼を用いた例であり、直線Fは転動体7として軸受鋼を用いた例であり、また直線Gは転動体7としてSUS400系統のマルテンサイト系ステンレス鋼を用いた例である。直線Hは第5実施形態の転がり軸受装置50の特性を示している。
【0036】
なお、比較を容易にするため、各転がり軸受装置は、常温(25℃)において、ラジアルすきまを9.5μm、予圧を0.19kgfとした。その時のアキシャル共振周波数およびラジアル共振周波数は、夫々略9.5Hz、7Hzである。
【0037】
図6〜図8の直線Aに示すように、従来の転がり軸受装置3は、温度が高くなるとラジアルすきまが大きくなり、温度が低くなると小さくなって、略10.1μm〜9.1μmと大きく変化している。これに伴なって、予圧は、60℃において略0.03kgfと小さく、0℃において略0.36kgfと大きくなって、大きな変動を示している。また、図9および図10に示すように、予圧の変化に伴なって、アキシャル共振周波数およびラジアル共振周波数も変化し、転がり軸受装置3の温度が高くなると低下し、転がり軸受の剛性が低下していることが認められる。
【0038】
一方、第1実施形態の転がり軸受装置10は、直線Bに示すように、ラジアルすきま、予圧、アキシャル変位とも殆ど変化が見られず、従ってアキシャル共振周波数およびラジアル共振周波数も温度に無関係に一定となっている。従って、接触角θ1も初期状態のまま変動がなく、回転トルクの変動やスイングアームの位置決め精度が変化することはなく、安定した特性を維持することができる。
【0039】
第2実施形態の転がり軸受装置20は、直線Cに示すように、ラジアルすきまは、従来の転がり軸受装置3の特性とは逆に、温度が高くなると小さくなり、温度が低くなると大きくなっている。これに伴なって、予圧も温度が高くなると大きくなり、温度が低くなると小さくなって、従来の転がり軸受装置3と逆の特性を示している。すなわち、温度が高くなって、ラジアルすきまが小さくなると、予圧が増大して接触角が小さく(接触角θ2)なる(図12)。図9および図10に示すように、アキシャル共振周波数およびラジアル共振周波数は、共に大きくなって、剛性が高まっている。いずれの特性値も温度によって変化はしているが、その変化量は、従来の転がり軸受装置3の変化量よりも小さく、特性が改善されている。
【0040】
第3実施形態および第4実施形態の転がり軸受装置30,40は、直線D〜直線Gに示すように、ラジアル隙間は、温度が高くなると小さくなり、温度が低くなると大きくなっている。
これに伴なって、予圧も温度が高くなると大きくなり、温度が低くなると小さくなっている。各特性値は、転がり軸受装置30,40を構成する材料の組合せ方によって程度の差は見られるが、第2実施形態の転がり軸受装置20と同様の傾向を示している。
【0041】
第5実施形態の転がり軸受装置50は、直線Hに示すように、ラジアル隙間は、温度が高くなると大きくなり、温度が低くなると小さくなっている。従って、温度の上昇と共に、予圧が低減して接触角が大きく(接触角θ3)なり、図9および図10に示すように、アキシャル共振周波数およびラジアル共振周波数が共に小さくなって、剛性が弱くなる。
これは、従来の転がり軸受装置3と同様の傾向であるが、軸5とハウジング9の線膨張係数が同一であり、また内輪6、転動体7および外輪8の線膨張係数も同一となっているので、温度に対する依存性は、従来の転がり軸受装置3より小さくなっている。
【0042】
なお、本発明の転がり軸受装置は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態では、転がり軸受装置は磁気ディスク装置のスイングアームを回動自在に支持するものとして説明したが、これに限定されるものではない。
【0043】
その他、前述した各実施形態において例示した軸、内輪、ハウジング、外輪、転動体、転がり軸受装置、磁気ディスク装置、スイングアーム等の材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0044】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、請求項1に記載したように、ハウジングの線膨張係数が軸、内輪、外輪および転動体の線膨張係数と同等、または小さくなっているので、転がり軸受装置の温度が高くなると予圧が増加し、温度が低くなると予圧が低減する。
従って、従来のような転がり軸受装置の温度が高くなると予圧が低下し、温度が低くなると予圧が増大し、予圧の温度依存性が大きいという問題を解消できる。また、これによって、スイングアームの高速化、位置決めの高精度化が図れ、更に、安定した回転トルクを得ることができる。
【0045】
また、本発明によれば、請求項2に記載したように、軸、内輪、外輪、転動体およびハウジングの線膨張係数が同一となっているので、転がり軸受装置の温度が変化しても、軸受すきまを一定のかきまに維持できる。
従って、温度に無関係に、予圧、アキシャル剛性およびラジアル剛性を略一定に維持して、回転トルクや位置精度等の温度依存性をなくすことができる。
【0046】
また、本発明によれば、請求項3に記載したように、内輪、外輪および転動体の線膨張係数は、軸の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジングの線膨張係数は内輪、外輪および転動体の線膨張係数より小さくなっているので、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが減少し、温度が低くなると軸受すきまが増大する。しかし、その変化量は、従来の転がり軸受装置と比較して小さいので、予圧、アキシャル剛性およびラジアル剛性等の温度による軸受性能を改善できる。
【0047】
また、本発明によれば、請求項4に記載したように、転動体の線膨張係数は、軸の線膨張係数より小さく、かつ、内輪、外輪の線膨張係数は、転動体の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジングの線膨張係数は内輪、外輪の線膨張係数より小さくなっている。これによって、従来の転がり軸受装置とは逆に、転がり軸受装置の温度が上昇すると軸受すきまが減少し、温度が低下すると軸受すきまが増大する。
従って、転がり軸受装置の温度変化に伴う、軸受すきまの大幅な変化を防止でき、予圧や転がり軸受装置の剛性等に悪影響を与えることがない。
【0048】
また、本発明によれば、請求項5に記載したように、内輪の線膨張係数は、軸の線膨張係数より小さく、かつ、転動体の線膨張係数は、内輪の線膨張係数より小さく、かつ、外輪の線膨張係数は、転動体の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジングの線膨張係数は、外輪の線膨張係数より小さくなっている。
さらに、本発明によれば、請求項6に記載したように、外輪の線膨張係数は、軸の線膨張係数より小さく、かつ、転動体の線膨張係数は、外輪の線膨張係数より小さく、かつ、内輪の線膨張係数は、転動体の線膨張係数より小さく、かつ、ハウジングの線膨張係数は、内輪の線膨張係数より小さくなっている。
これらによって、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが減少し、温度が低くなると軸受すきまが増大する。
従って、従来のような転がり軸受装置の温度が変化すると、軸受すきまが大幅に変化して、予圧や転がり軸受装置の剛性等に悪影響を与えるという問題を解消できる。
【0049】
また、本発明によれば、請求項7に記載したように、内輪、外輪および転動体の線膨張係数は同一であり、また軸およびハウジングの線膨張係数も同一であるが内輪、外輪および転動体の線膨張係数とは異なる値を有し、かつ内輪、外輪および転動体の線膨張係数は軸およびハウジングの線膨張係数より小さくなっている。
従って、従来の転がり軸受装置と同様に、転がり軸受装置の温度が高くなると軸受すきまが増大し、温度が低くなると軸受すきまが減少することになる。しかし、その変化量は従来の転がり軸受装置より少ない。従って、従来の転がり軸受装置より、軸受すきま等の温度依存性が小さく、予圧、転がり軸受装置の剛性の変化を小さくすることができる。
【0050】
また、本発明によれば、請求項8に記載したように、温度による軸受すきま、予圧、剛性等の変化が小さい転がり軸受装置によって、磁気ディスク装置のスイングアームを支持しているので、温度が変化しても磁気ディスク装置のトルク変動等を少なくできる。
従って、温度変化の有無に係わらず、磁気ディスク装置のスイングアームの高速化や目標トラックへの位置決め精度の高精度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態を示す要部断面図である。
【図2】第2実施形態を示す要部断面図である。
【図3】第3実施形態を示す要部断面図である。
【図4】第4実施形態を示す要部断面図である。
【図5】第5実施形態を示す要部断面図である。
【図6】従来の転がり軸受装置における温度変化に伴う共振周波数の変化を示すグラフである。
【図7】温度とアキシャル変位の関係を、従来の転がり軸受装置と、本発明の転がり軸受装置と比較して示すグラフである。
【図8】温度と予圧の関係を、従来の転がり軸受装置と、本発明の転がり軸受装置と比較して示すグラフである。
【図9】温度とアキシャル共振周波数の関係を、従来の転がり軸受装置と、本発明の転がり軸受装置と比較して示すグラフである。
【図10】温度とラジアル共振周波数の関係を、従来の転がり軸受装置と、本発明の転がり軸受装置と比較して示すグラフである。
【図11】磁気ディスク装置のスイングアームが転がり軸受装置によって回動自在に支持された状態を示す要部縦断面図である。
【図12】図11の転がり軸受装置の要部拡大断面図である。
【図13】温度とアキシャル共振周波数およびラジアル共振周波数の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 磁気ディスク装置
2 スイングアーム
3,10,20,30,40,50 転がり軸受装置
5 軸
6 内輪
7 転動体
8 外輪
9 ハウジング
α1 オーステナイト系ステンレス鋼の線膨張係数
α2 マルテンサイト系ステンレス鋼の線膨張係数
α3 軸受鋼の線膨張係数

Claims (8)

  1. 軸に嵌合される内輪と、ハウジングに保持される外輪との間に回動自在に配設された複数個の転動体を備えた転がり軸受装置において、
    前記ハウジングの線膨張係数を前記軸、前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数と同等、または小さくしたことを特徴とする転がり軸受装置。
  2. 前記軸、前記内輪、前記外輪、前記転動体および前記ハウジングの線膨張係数を同一としたことを特徴とする請求項1に記載した転がり軸受装置。
  3. 前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数より小さいことを特徴とする請求項1に記載した転がり軸受装置。
  4. 前記転動体の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記内輪、前記外輪の線膨張係数は、前記転動体の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は前記内輪、前記外輪の線膨張係数より小さいことを特徴とする請求項1に記載した転がり軸受装置。
  5. 前記内輪の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記転動体の線膨張係数は、前記内輪の線膨張係数より小さく、かつ、前記外輪の線膨張係数は、前記転動体の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は、前記外輪の線膨張係数より小さいことを特徴とする請求項1に記載した転がり軸受装置。
  6. 前記外輪の線膨張係数は、前記軸の線膨張係数より小さく、かつ、前記転動体の線膨張係数は、前記外輪の線膨張係数より小さく、かつ、前記内輪の線膨張係数は、前記転動体の線膨張係数より小さく、かつ、前記ハウジングの線膨張係数は、前記内輪の線膨張係数より小さいことを特徴とする請求項1に記載した転がり軸受装置。
  7. 軸に嵌合される内輪と、ハウジングに保持される外輪との間に回動自在に配設された複数個の転動体を備えた転がり軸受装置において、
    前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数は、前記軸および前記ハウジングの線膨張係数より小さく、かつ、前記内輪、前記外輪および前記転動体の線膨張係数と、前記軸および前記ハウジングの線膨張係数とは、夫々異なる、同一の線膨張係数であることを特徴とする転がり軸受装置。
  8. 前記転がり軸受装置は、磁気ヘッドを先端に有する磁気ディスク装置のスイングアームを回動自在に支持する軸受装置であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載した転がり軸受装置。
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