JP2017211072A - ピボットアッシー軸受およびディスク駆動装置 - Google Patents

ピボットアッシー軸受およびディスク駆動装置 Download PDF

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Abstract

【課題】熱膨張率の違う材料を混在させても、熱機械的影響によって性能が劣化することを抑制することができるピボットアッシー軸受を提供すること。【解決手段】シャフトと、シャフトの外周側で、シャフトと同軸上にシャフトの軸方向に互いに離間して配置された第1転がり軸受および第2転がり軸受と、第1転がり軸受および第2転がり軸受の外周側で、シャフトと同軸上に設けられたスリーブとを備え、第1転がり軸受および第2転がり軸受における内輪の内周面とシャフトの外周面と、第1転がり軸受および第2転がり軸受における外輪の外周面とスリーブの内周面とのうち少なくとも一方は第1接着剤で接着され、第1転がり軸受および第2転がり軸受における外輪および内輪のうち予圧を加えた端面と、シャフトの外周面またはスリーブの内周面との境界のうち少なくとも一部に、第1接着剤とは特性が異なる第2接着剤が塗布される、ピボットアッシー軸受。【選択図】図3

Description

本発明は、ピボットアッシー軸受およびディスク駆動装置に関する。
磁気ディスク駆動装置等に使用されるピボットアッシー軸受は、一般に、装置に固定されるシャフトの外周に、スイングアーム等の駆動部を取り付けるスリーブが設けられた構造を有している。シャフトとスリーブとの間には、シャフトの軸方向に互いに離間して転がり軸受が配置されており、スリーブは、転がり軸受を介してシャフトに対して回転自在に支持されている(例えば特許文献1参照)。
ところで、近年、磁気ディスク駆動装置等に対する軽量化の要求はますます高まっている。これに対応して、磁気ディスク駆動装置を構成するピボットアッシー軸受についても軽量化の要求が高まっている。そこで、ピボットアッシー軸受を構成する部品の一部の材料をより軽量な材料に置き換えることが検討されている。
特開2010−190345号公報
しかしながら、ピボットアッシー軸受を構成する部品間に、熱膨張率が異なる材料が混在すると、ピボットアッシー軸受の性能が熱機械的(thermomechanical)損傷を受けることがある。すなわち、熱膨張率の違いが構成部品間に応力を発生し、局所的破壊を引き起こすことがある。特に、転がり軸受は、予圧が掛けられた状態でシャフトとスリーブとの間に接着されており、熱膨張率の違いから発生する応力が接着面を破断してしまうと、予圧が抜けてしまうことになる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、熱膨張率の違う材料を混在させても、熱機械的影響によって性能が劣化することを抑制することができるピボットアッシー軸受およびこれを用いたディスク駆動装置を提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、シャフトと、前記シャフトの外周側で、前記シャフトと同軸上に前記シャフトの軸方向に互いに離間して配置された第1転がり軸受および第2転がり軸受と、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受の外周側で、前記シャフトと同軸上に設けられたスリーブと、を備え、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受における内輪の内周面と前記シャフトの外周面と、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受における外輪の外周面と前記スリーブの内周面とのうち少なくとも一方は第1接着剤で接着され、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受における外輪および内輪のうち予圧を加えた端面と、前記シャフトの外周面または前記スリーブの内周面との境界のうち少なくとも一部に、前記第1接着剤とは特性が異なる第2接着剤が塗布されることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記シャフトおよび前記スリーブの少なくとも一方の材料の熱膨張率は、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受の材料の熱膨張率を上回ることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記シャフトおよび前記スリーブの少なくとも一方の材料はアルミ合金であり、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受の材料としてのスチールはマルテンサイト系ステンレス鋼または高炭素クロム軸受鋼であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記予圧は、前記第1転がり軸受の内輪における端面および前記第2転がり軸受の内輪における端面のうち少なくとも一方に加えられ、前記予圧を加えた端面と、前記シャフトの外周面との境界のうち少なくとも一部に、前記第2接着剤が塗布されることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記第1転がり軸受と前記第2転がり軸受との間にはスペーサが設けられ、前記第1転がり軸受の外輪における端面と、前記第2転がり軸受の外輪における端面とは、前記スペーサに互いに対向して当接していることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記シャフトの軸方向における一方側の端部にフランジが設けられ、前記第1転がり軸受は前記軸方向における他方側に配置され、前記第2転がり軸受は前記軸方向における一方側に配置され、前記第1転がり軸受の内輪の端面うち、前記軸方向における他方側の端面に前記予圧が加えられることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記第2転がり軸受の内輪の端面のうち、前記軸方向における一方側の端面は、前記フランジに当接することを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記予圧は、前記第1転がり軸受の内輪の端面のうち、前記軸方向における他方側の端面と、前記第2転がり軸受の端面のうち、前記軸方向における一方側の端面とのうち少なくとも一方に加えられることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記第1接着剤は、紫外線硬化型の嫌気性接着剤であり、前記第2接着剤は、熱硬化性接着剤および2液性接着剤のいずれか一方であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記第1接着剤は、アクリル系接着剤であり、前記第2接着剤は、エポキシ系接着剤であることを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るピボットアッシー軸受は、前記第2接着剤の弾性係数が、前記第1接着剤の弾性係数よりも小さいことを特徴とする。
また、本発明の一態様に係るディスク駆動装置は、上記ピボットアッシー軸受と、前記ピボットアッシー軸受によって搖動可能に支持され、磁気ディスク上で磁気ヘッドを移動させるスイングアームと、前記ピボットアッシー軸受のシャフトが固定されるベースプレートと、を備えることを特徴とする。
本発明に係るピボットアッシー軸受およびディスク駆動装置は、熱膨張率の違う材料を混在させても、熱機械的影響によって性能が劣化することを抑制することができるという効果を奏する。
図1は、本実施形態に係るピボットアッシー軸受を備えた磁気ディスク駆動装置を示す斜視図である。 図2は、ピボットアッシー軸受の外観を示す斜視図である。 図3は、ピボットアッシー軸受の軸方向における断面を示す図である。 図4は、第1転がり軸受の端部を拡大した図である。 図5は、ピボットアッシー軸受のA−A断面図である。 図6は、ピボットアッシー軸受のA−A断面図である。 図7は、本実施形態に係るピボットアッシー軸受を同一の熱環境に暴露させ、共振周波数を測定した検証実験の結果を示す図である。 図8は、比較例に係るピボットアッシー軸受を同一の熱環境に暴露させ、共振周波数を測定した検証実験の結果を示す図である。 図9は、応用例2に係るピボットアッシー軸受の軸方向における断面を示す図である。 図10は、比較例に係る第1転がり軸受の端部を拡大した図である。 図11は、比較例に係る第1転がり軸受の端部を拡大した図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るピボットアッシー軸受および磁気ディスク駆動装置について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
図1は、本実施形態に係るピボットアッシー軸受を備えた磁気ディスク駆動装置を示す斜視図である。図2は、ピボットアッシー軸受の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係るピボットアッシー軸受10は、図1および図2に例示される通り、磁気ディスク駆動装置1(ベースプレート5)に固定されたシャフト12と、シャフト12を内包する略筒状の構造体であるスリーブ13とを備えた構造を有する。シャフト12には、フランジ12aが設けられている。フランジ12aをベースプレート5に当接させて固定することで、ピボットアッシー軸受10を、ベースプレート5に対して垂直に取り付けることが可能である。スリーブ13の外周には、磁気ヘッドアーム2が取り付けられている。ピボットアッシー軸受10(スリーブ13)に揺動可能に支持された磁気ヘッドアーム2の先端の磁気ヘッド3は、磁気ディスク4の上を移動することで、磁気ディスク4に情報を記録し、また、記録された情報を磁気ディスク4から読み出す。
図3は、ピボットアッシー軸受の軸方向における断面を示す図である。図2および図3から判る通り、ピボットアッシー軸受10は、シャフト12とスリーブ13とに加えて、第1転がり軸受11aと第2転がり軸受11bとを具備する。本実施形態では、シャフト12の材料としては、アルミニウムを主成分としてMgやCuやSi等を含むアルミ合金が使用される。また、スリーブ13の材料としては、切削加工性や耐腐食性の良いオーステナイト系ステンレス鋼(SUS300系)等のスチールが使用される。以上のように、シャフト12およびスリーブ13のうち少なくとも一方の材料にアルミ合金を用いることで、ピボットアッシー軸受10の重量の軽量化を実現している。
他方、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの材料としては、強度を確保する観点から、高硬度マルテンサイト系ステンレス鋼等の軸受用スチールが用いられる。
次に、一対の転がり軸受11について説明する。本実施形態では第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの構成要素および機能は同様であるので、第1転がり軸受11aを例示して説明する。
第1転がり軸受11aは内輪11aaと外輪11abと転動体11acとを具備する。内輪11aaと外輪11acとの間には、グリースで潤滑された転動体11acが保持される。内輪11aaは、シャフト12の外周側に、シャフト12と同軸上に設置される円筒形の構造体である。外輪11abは、ピボットアッシー軸受装置10の回転軸mを中心軸とする円筒形の構造体である。転動体11acは、内輪11aaと外輪abとの間に形成される軌道内に配置された球体である。
以降の説明では、ピボットアッシー軸受10の回転軸方向(図3のシャフト12の長手方向)を「軸方向」と表記するとともに、軸方向において、第2転がり軸受11bが配置される側を、軸方向の「一方側」、第1転がり軸受11aが配置される側を、軸方向の「他方側」と表記する。また、以降の説明では、第1転がり軸受11aと第2転がり軸受11bとを特に区別する必要がない場合には、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bを「一対の転がり軸受11」と表記する。
一対の転がり軸受11(第1転がり軸受11a,第2転がり軸受11b)は、シャフト12の外周側に、シャフト12と同軸上に配置される。第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bは、軸方向に互いに離間して配置されている。一対の転がり軸受11の外周側には、シャフト12と同軸上にスリーブ13が設けられている。すなわち、スリーブ13は、径方向内側にシャフト12および一対の転がり軸受11を内包する。
第1転がり軸受11aの内輪11aaの内周面、および、第2転がり軸受11bの内輪11baの内周面と、シャフト12の外周面とは、第1接着剤Xで接着されている。同様に、第1転がり軸受11aの外輪11abの外周面、および、第2転がり軸受11bの外輪11bbの外周面と、スリーブ13の内周面とは、第1接着剤Xで接着されている。第1接着剤Xとしては、紫外線硬化型の嫌気性接着剤が好適に用いられ、具体例としては、紫外線硬化型のアクリル系嫌気性接着剤を例示することができる。嫌気性接着剤は、硬化に要する時間が短く製造にも適していることから、金属間の嵌め合いに用いるのに好適である。
以上の説明から把握される通り、第1転がり軸受11aの外輪11ab、および、第2転がり軸受11bの外輪11bbにおける外周面は、第1接着剤Xによってスリーブ13の内周面に固定され、且つ、第1転がり軸受11aの内輪11aa、および、第2転がり軸受11bの内輪11baにおける内周面は、第1接着剤Xによってシャフト12の外周面に固定されている。
第1転がり軸受11aと第2転がり軸受11bとの間には、スペーサ部14(スペーサ)が設けられている。第1転がり軸受11aの外輪11abの端面と、第2転がり軸受11bの外輪11bbの端面とは、互いに対向してスペーサ部14に当接している。具体的には、第1転がり軸受11aの外輪11abの軸方向における一方側の端面はスペーサ部14の軸方向における他方側の端面に当接する一方で、第2転がり軸受11bの外輪11bbの軸方向における他方側の端面はスペーサ部14の軸方向における一方側の端面に当接する。なお、第1転がり軸受の外輪11abの軸方向における他方側の端面、および、第2転がり軸受11bの外輪11bbの軸方向における一方側の端面と、スペーサ部14とは離間する。
シャフト12の軸方向における一方側の端部には、フランジ12aが設けられている。第2転がり軸受11bの内輪11baはフランジ12aに当接する。具体的には、第2転がり軸受11bの内輪11baの軸方向における一方側の端面はフランジ12aの当接面Sに当接する。外輪11bbの軸方向における一方側の端面とフランジ12aとは離間する。
以上の構成では、第1転がり軸受11aの内輪11aaの軸方向における他方側の端面に、軸方向の他方側から一方側へと向かう方向の予圧F(図4参照)が与えられると、予圧Fは内輪11aaから転動体11ac、外輪11abを介してスペーサ部14に伝わる。また、スペーサ部14は、第1転がり軸受11aの外輪11abからの力Fを、第2転がり軸受11bの外輪11bbに伝える。力Fは、第2転がり軸受11bの転動体11bc、内輪11baを介してフランジ12aに伝わる。以上の説明から理解される通り、第1転がり軸受11aの内輪11aaの軸方向の他方側の端面に予圧Fが与えられると、第2転がり軸受11bに予圧が加えられる。
上述したように第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bに加えられた予圧は、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bがシャフト12およびスリーブ13に固定されることによって維持される。詳細には、前述の通り、第1転がり軸受11aの内輪11aaの内周面、および、第2転がり軸受11bの内輪11baの内周面と、シャフト12の外周面とが第1接着剤Xで固定され、第1転がり軸受11aの外輪11abの外周面、および、第2転がり軸受11bの外輪11bbの外周面と、スリーブ13の内周面とが第1接着剤Xで接着されることで、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bに加えられた予圧が適切に維持される。特に、第1転がり軸受11aの内輪11aaの軸方向における他方側の端面に、軸方向の他方側から、軸方向の一方側へと向かう方向の予圧Fを付与する態様では、第1転がり軸受11aの内輪11aaとシャフト12との接着が予圧の維持に重要な役割を担っている。
ところで、前述した通り、本実施形態では、シャフト12の材料にアルミ合金を使用し、スリーブ13の材料にスチール(オーステナイト系ステンレス鋼)を使用する。他方、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの内外輪の材料にスチール(マルテンサイト系ステンレス鋼)を使用する。ここで、アルミ合金と、スチールとでは熱膨張率が相違する。具体的には、JIS規格で規定される各種のアルミ合金の熱膨張率は、JIS規格で規定されるオーステナイト系ステンレス鋼(SUS300系)およびマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS400系)の熱膨張率を上回る。また、オーステナイト系ステンレス鋼の熱膨張率は、マルテンサイト系ステンレス鋼の熱膨張率を上回る。以上のように、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bとシャフト12とスリーブ13との間で熱膨張率が異なるという状態では、ピボットアッシー軸受10が曝される熱環境の温度変化によって第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bとシャフト12およびスリーブ13との間の接着層に応力が発生し、第1転がり軸受11aの内輪11aaの内周面および第2転がり軸受11bの内輪11bの内周面とシャフト12の外周面、または、第1転がり軸受11aの外輪11abおよび第2転がり軸受11bの外輪11bbの外周面とスリーブ13の内周面とを固定する第1接着剤Xが破断する虞が生まれる。特に、第1転がり軸受11aの内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面との間の第1接着剤Xが破断すると、第1転が軸受11aおよび第2転がり軸受11bに加えられた予圧が抜けてしまうことになる。
そこで、本実施形態では、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bにおける内輪11aa,11baおよび外輪11ab,11bbのうち、予圧を加える端面と、シャフト12の外周面またはスリーブ13の内周面との境界のうち少なくとも一部に、第1接着剤Xとは特性が異なる第2接着剤Bを塗布する。本実施形態では、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの端面に予圧を加える構成を例示する。
図4は、任意の1個のピボットアッシー軸受10の第1転がり軸受11aの端部を拡大した図であり、詳細には図3に示す領域Wの拡大図である。図4を例示して、第1転がり軸受11aの内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面との接着について説明する。第1転がり軸受11aの内輪11aaと、シャフト12の外周面とは、第1接着剤Xにより固定される。第1接着剤Xは、前述の通り、紫外線硬化型の嫌気性接着剤である。図4には、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面との間で、接着剤が塗布される面(接着面)を符号Sで例示する。第1接着剤Xは、例えば接着面Sの全域にわたり塗布される。これにより、第1転がり軸受11aの内輪11aaは、接着面Sを介してシャフト12の外周面に接着される。前述した通り、本実施形態では、第1転がり軸受11aの材料としてマルテンサイト系ステンレス鋼が使用され、シャフト12の材料としてアルミ合金が使用されるから、内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面との接着に、硬化時間が短く金属間の嵌め合いに好適な第1接着剤Xを用いることで、接着強度を確保することができる。なお、以上の説明では、第1転がり軸受11aの内輪11aaとシャフト12の外周面とが接着される場合を例示したが、第2転がり軸受11bにおける内輪11baとシャフト12の外周面との間の接着面Sにも第1接着剤Xが塗布され、内輪11baの内周面は、接着面Sを介してシャフト12の外周面に接着される。
次に、第1転がり軸受11aの外輪11abの外周面とスリーブ13の内周面との接着について説明する。第1転がり軸受11aの外輪11abとスリーブ13の内周面とは、第1接着剤Xにより固定される。図4には、第1転がり軸受11aにおける外輪11abと、スリーブ13の内周面との間で、接着剤が塗布される面(接着面)を符号Sで例示する。第1接着剤Xは、例えば接着面Sの全域にわたり塗布される。これにより、第1転がり軸受11aの外輪11abは、接着面Sを介してスリーブ13の内周面に接着される。以上に説明した通り、本実施形態では、第1転がり軸受11aの材料としてマルテンサイト系ステンレス鋼が使用され、スリーブ13の材料としてオーステナイト系ステンレス鋼が使用されるから、外輪11abの外周面とスリーブ13の内周面との接着に、硬化時間が短く金属間の嵌め合いに好適な第1接着剤Xを用いることで、接着強度を確保することができる。なお、以上の説明では、第1転がり軸受11aの外輪11abとスリーブ13の内周面とが接着される場合を例示したが、第2転がり軸受11bにおける外輪11bbとスリーブ13の内周面との間の接着面Sにも第1接着剤Xが塗布され、外輪11bbの外周面は、接着面Sを介してスリーブ13の内周面に接着される。
次に、第2接着剤Bの塗布について、具体的に説明する。図4には、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaのうち他方側の端面を符号Sで例示する。図4に例示される他方側の端面Sは、第1転がり軸受11aの内輪11aaの端面のうち、軸方向における他方側の端面であり、製造時に予圧Fを加える端面である。以降の説明では、第1転がり軸受11aの内輪11aaの端面のうち、予圧を加える端面、すなわち、軸方向における他方側の端面を「他方側端面S」と表記する。
図4に例示される通り、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界に、第2接着剤Bが塗布される。第2接着剤Bは、熱硬化性接着剤および2液性接着剤のいずれか一方であり、第1接着剤Xとは特性が異なる接着剤である。具体的には、第2接着剤Bはエポキシ系接着剤であり、第1接着剤Xと比較して弾性係数が小さく、アウトガスが発生し難いという特性を有する。本実施形態では、第2接着剤Bとして、熱硬化性エポキシ系接着剤を例示する。第2接着剤Bは、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界のうち少なくとも一部に塗布される。
第2接着剤Bの塗布の態様について、図5を例示して詳細に説明する。図5は、任意の1個のピボットアッシー軸受10の第1転がり軸受11aに対応する部分の断面図(軸方向に直交する断面)であり、詳細には図3のA―A線で破断した場合の断面図である。図5には、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の全体にわたり(すなわち、他方側端面Sに接するシャフトの外周面の全周にわたり)、連続的に第2接着剤Bを塗布した構成が例示される。図5の構成では、内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面とが接着面Sを介して第1接着剤Xで固定されるとともに、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の全体がエポキシ系の第2接着剤Bで覆われる。なお、図5では、転動体11ac等の要素の記載は省略している。
図6には、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の少なくとも一部(例えば、他方側端面Sに接するシャフトの外周面のうち任意の複数箇所)に、第2接着剤Bを不連続に塗布した構成が例示される。図6の構成では、内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面とが接着面Sを介して第1接着剤Xで固定されるとともに、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の一部がエポキシ系の第2接着剤Bで覆われる。なお、図6では、転動体11ac等の要素の記載は省略している。
図5に例示した構成では、内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面とが接着面Sを介して第1接着剤Xで固定されるとともに、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の全体にわたり第2接着剤Bが塗布されるから、内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面とが接着面Sのみを介して第1接着剤Xで固定される構成と比較して、内輪11aaとシャフト12との接着強度を確実に向上し、予圧抜けを防止することが可能になる。
また、図6に例示した構成では、内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面とが接着面Sを介して第1接着剤Xで固定されるとともに、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の少なくとも一部(例えば、他方側端面Sに接するシャフトの外周面のうち任意の複数箇所)に、第2接着剤Bが塗布される。したがって、図6の構成によっても、内輪11aaの内周面とシャフト12の外周面とが接着面Sのみを介して第1接着剤Xで固定される構成と比較して、内輪11aaとシャフト12との接着強度を向上し、予圧抜けを防止するという前述の効果が実現される。
このように、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaとシャフト12の外周面との接着Sに塗布する第1接着剤X(紫外線硬化型の嫌気性接着剤)とは特性が異なる第2接着剤B(エポキシ系接着剤)を、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の少なくとも一部に塗布する構成によれば、シャフト12の材料にアルミ合金を使用するとともにスリーブ13の材料にスチールを使用し、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの材料にスチールを用いた場合(第1転がり軸受11aにおける内輪11aaとシャフト12との熱膨張率が異なる場合)でも、熱環境の変化による応力を吸収し、接着面Sにおける第1接着剤Xが破断することを抑制することが可能になる。
なお、図5および図6の説明から理解される通り、第2接着剤Bは、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の全体にわたり(すなわち、他方側端面Sに接するシャフトの外周面の全周にわたり)連続的に塗布されてもよいし、内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の一部に(例えば、他方側端面Sに接するシャフトの外周面のうち任意の複数箇所)に不連続に塗布されてもよい。すなわち、第2接着剤Bが塗布される領域は、「第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bにおける外輪11ab,11bbおよび内輪11aa,11baのうち予圧Fを加えた端面(他方側端面Sを含む)と、シャフト12の外周面またはスリーブ13の内周面との境界のうち少なくとも一部」として包括的に表現される。
(検証実験)
次に、本実施形態に係るピボットアッシー軸受10の効果の検証実験を開示する。図7および図8は、それぞれ、本実施形態および比較例に係るピボットアッシー軸受の熱機械分析の結果を示す図である。
図7および図8に示されるグラフは、それぞれ本実施形態および比較例に係るピボットアッシー軸受を同一の熱環境に暴露させ、共振周波数を測定した検証実験の結果を表している。図7および図8の検証実験で用いた試料数はそれぞれ5個である。なお、検証実験で用いた熱環境条件すなわちヒートサイクルは、70℃を10分間維持した後、−40℃を10分維持する熱環境を1サイクルとし、これを複数回繰り返して、サイクル開始前、2サイクル目および5サイクル目において各試料の共振周波数を測定している。図7および図8に示されるグラフでは、横軸にヒートサイクルの回数をとり、縦軸に測定された共振周波数の測定幅(5個中の最大値と最小値の間の差)と平均値をプロットしている。
また、検証実験で用いた第1接着剤としての嫌気性接着剤は、メタクリル酸ジエステルを主成分とする紫外線硬化型のアクリル系嫌気性接着剤であり、弾性係数が3GPa(25℃)、ガラス転移点が140℃である。一方、第2接着剤としてのエポキシ系接着剤は、エポキシ樹脂を主成分とするものであり、弾性係数が2.4GPa(25℃)、ガラス転移点が80℃である。本実施形態に係るピボットアッシー軸受では、上記説明したように第1接着剤と第2接着剤とを用いて構成しており、比較例に係るピボットアッシー軸受では、第1接着剤のみを用いて構成している。
なお、本実施形態および比較例に係るピボットアッシー軸受の何れにおいても、ピボットアッシー軸受は、上記説明したようにシャフトをアルミ合金で構成し、スリーブをオーステナイト系ステンレス鋼で構成し、転がり軸受の内外輪をマルテンサイト系ステンレス鋼で構成し、同一の材料構成としている。
図7と図8とを比較すると、比較例に係るピボットアッシー軸受は、周期的熱環境に暴露されたことにより共振周波数が著しく低下している。この結果は、比較例に係るピボットアッシー軸受では、周期的熱環境によって予圧が抜けてしまっていることを意味している。一方、本実施形態に係るピボットアッシー軸受は、周期的熱環境に暴露しても共振周波数の低下は非常に小さい。以上の結果は、本実施形態に係るピボットアッシー軸受が、熱膨張率の異なる材料を混在させても、熱機械的影響による性能の劣化を抑制可能であることを示している。
<応用例・変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。また、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。
(応用例1)
実施形態では、一対の転がり軸受11のうち、第1転がり軸受11aの内輪11aaの端面に予圧を加える構成を例示したが、予圧を加える端面は、第2転がり軸受11bの内輪11baの端面であってもよい。例えば、図3に例示される任意の1個のピボットアッシー軸受10のうち、第2転がり軸受11bの内輪11baの軸方向における一方側の端面(以降、「一方側端面S」という。)に予圧Fが付与される構成としてもよい。第2転がり軸受11bの内輪11baの一方側端面Sに予圧を加えた構成によっても、熱環境の温度変化による応力を吸収し、第1接着剤Xが破断することを抑制する、という本発明の効果が実現される。
(応用例2)
実施形態では、一対の転がり軸受11のうち一方の内輪、すなわち、第1転がり軸受11aの内輪11aa(具体的には、内輪11aaの一方側端面S)にのみ予圧Fを加える構成を例示したが、一対の転がり軸受11の双方の内輪に予圧Fが加えられる構成も好適に採用され得る。例えば、第1転がり軸受11aの内輪11aaの他方側端面Sに予圧を加えるとともに、第2転がり軸受11bの内輪11baの一方側端面Sに予圧Fを加える構成としてもよい。図9は、応用例2に係るピボットアッシー軸受の軸方向における断面を示す図である。応用例2のピボットアッシー軸受10は、実施形態に係るピボットアッシー軸受10とほぼ同様の構成を有するが、シャフト12のフランジ12aが省略される。第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの配置は実施形態と同様であり、軸方向における一方側に第2転がり軸受11bが配置され、軸方向における他方側に第1転がり軸受11aが配置される。第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの双方には、ハブキャップ15a,15bが設けられる。第1転がり軸受11aの内輪11aaの軸方向における他方側の端面と、第2転がり軸受11bの内輪11baの軸方向における一方側の端面とは、それぞれのハブキャップ15a,15bに当接する。
ハブキャップ15a,15bのおもな機能は、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11b内のグリース等から発生したガスや塵埃が外部に放出しないようにすることであるが、ハブキャップ15a,15bを、それぞれ内輪11aaおよび内輪11baに加えた予圧を維持するためにも用いることがある。そこで、応用例2では、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の少なくとも一部、および、第2転がり軸受11bにおける内輪11baの一方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の少なくとも一部に第2接着剤Bを塗布するとともに、当該第2接着剤Bを塗布した領域とハブキャップ15a,15bの端面とを当接させることで、ハブキャップ15a,15bを固定する。
以上の構成では、第1転がり軸受11aの内輪11aaの他方側端面Sに、軸方向の他方側から一方側へと向かう方向の予圧Fが与えられる一方、第2転がり軸受11bの内輪11baの一方側端面Sに、軸方向の一方側から他方側へと向かう方向の予圧Fが与えられる。以上の構成を前提として、内輪11aaおよび内輪11baにおける内周面とシャフト12の外周面との接着面Sを接着する第1接着剤Xと、内輪11aaの他方側端面Sおよび内輪11baの一方側端面Sとシャフト12の外周面との境界の少なくとも一部に塗布する第2接着剤Bとを、特性が異なる接着剤とすれば、第1転がり軸受11aとシャフト12との熱膨張率の相違に起因して、接着面Sに塗布された第1接着剤Xが破断した場合でも、内輪11aaとシャフト12との接着強度を確保し、予圧抜けを防止することが可能になる。以上の構成によれば、内輪11aaとシャフト12との間の接着面Sのみが第1接着剤Xで固定される構成と比較して、内輪11aaとシャフト12との接着強度を確実に向上させることが可能である。また、シャフト12およびスリーブ13の少なくとも一方の材料にアルミ合金を用いる一方、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの材料にスチールを用いた場合でも、熱環境の変化による応力を吸収し、接着面Sにおける第1接着剤Xが破断することを抑制するという効果が実現される。
(応用例3)
以上の構成に加え、一対の転がり軸受11のうち一方の軸受の外輪に予圧Fを加える構成や、一対の転がり軸受11の双方の外輪に予圧Fを加える構成も好適に採用され得る。以上の構成を前提として、第1転がり軸受11aにおける外輪11abの外周面および第2転がり軸受11bにおける外輪11bbの外周面とスリーブ13の内周面とを接着する第1接着剤Xと、第1転がり軸受11aにおける外輪11abの端面とスリーブ13の内周面との境界の少なくとも一部に塗布する第2接着剤Bとを、特性が異なる接着剤としてもよい。以上の構成によれば、シャフト12およびスリーブ13の少なくとも一方の材料にアルミ合金を用いる一方、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの材料にスチールを用いた場合でも、熱環境の変化による応力を吸収し、接着面Sにおける第1接着剤Xが破断することを抑制するという実施形態の効果が実現される。
以上に説明した通り、実施形態および応用例1では、一対の転がり軸受11のうち一方の内輪、すなわち、第1転がり軸受11aの内輪11aaにのみ予圧を加える構成を例示し、応用例2では、一対の転がり軸受11の双方の内輪、すなわち、第1転がり軸受11aの内輪11aaおよび第2転がり軸受11bの内輪11baに予圧を加える構成を例示した。また、応用例3では一対の転がり軸受11のうち少なくとも一方の外輪に予圧を加える構成を例示した。以上の説明から理解される通り、第1転がり軸受11aの内輪11aaの端面と、第1転がり軸受11aの外輪11abの端面と、第2転がり軸受11bの内輪11baの端面と、第2転がり軸受11bの外輪11bbの端面とは、本発明の「予圧を加えた端面」として包括的に表現され得る。
実施形態では、一対の転がり軸受11のうち、第1転がり軸受11aと第2転がり軸受11bとを表記上区別したが、第1転がり軸受11aと第2転がり軸受11bとしては同一の転がり軸受を用いて構成することも可能である。また、実施形態では、スペーサ部14をスリーブ13と一体に形成した構成を例示したが、スペーサ部14をスリーブ13と別体とした(例えばリング状)構成も好適に採用され得る。
実施形態では、シャフト12の材料にアルミ合金を使用するとともに、スリーブ13の材料にスチール(オーステナイト系ステンレス鋼)を使用し、第1転がり軸受および第2転がり軸受の材料にスチール(マルテンサイト系ステンレス鋼)を使用した構成を例示したが、以上の例示以外に、例えば、シャフト12およびスリーブ13の双方の材料にスチール(オーステナイト系ステンレス鋼)を使用し、一対の転がり軸受11の材料にスチール(マルテンサイト系ステンレス鋼)を使用した構成や、シャフトおよびスリーブ13の少なくとも一方の材料にスチール(オーステナイト系ステンレス鋼)を使用し、シャフトおよびスリーブ13の他方の材料を、一対の転がり軸受11と同様にスチール(マルテンサイト系ステンレス鋼)とした構成や、実施形態および以上の変形例の構成を前提として、一対の転がり軸受11の材料に高炭素クロム軸受鋼を使用した構成も本発明の範囲に包含される。すなわち、本発明に係るシャフト12およびスリーブ13は、「両者のうち少なくとも一方の材料が、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの材料の熱膨張率を上回る」要素として包括的に表現され得る。
実施形態では、シャフト12の材料にアルミ合金を使用し、スリーブ13の材料にスチール(オーステナイト系ステンレス鋼)を使用した構成を例示したが、以上の例示以外に、シャフト12の材料にスチール(オーステナイト系ステンレス鋼)を使用するとともにスリーブ13の材料にアルミ合金を使用した構成や、シャフト12およびスリーブ13の双方の材料をアルミ合金とした構成や、実施形態および以上の変形例の構成を前提として、一対の転がり軸受11の材料に高炭素クロム軸受鋼を使用した構成も本発明の範囲に包含される。以上に説明した構成は、シャフト12およびスリーブ13のうち少なくとも一方の材料がアルミ合金であり、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bの材料はスチールである構成として本発明に包括される。
(変形例1)
以下、第2接着剤Bの塗布の態様について変形例を提示する。図10は、変形例1に係る第1転がり軸受の端部を拡大した図である。変形例1の構成は、実施形態(図4)の構成とほぼ同様であるが、変形例1では、シャフト12の外周面に溝12bが設けられる。当該溝12bは、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界に第2接着剤Bを塗布する際に、適量の第2接着剤Bを保持するために設けられている。これにより、第2接着剤Bが熱環境の変化による応力を吸収する効果が高まり、接着面Sにおける第1接着剤Xが破断することをより効果的に抑制することが可能になる。以上の説明から理解される通り、「第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bにおける外輪11aa、11abおよび内輪11ab、11bbのうち予圧を加えた端面と、シャフト12の外周面またはスリーブ13の内周面との境界」には、シャフト12の外周面に設けられた溝12bも包含される。
(変形例2)
図11は、変形例2に係る第1転がり軸受の端部を拡大した図である。変形例2の構成は、変形例1の構成に加えてハブキャップ15が取り付けられる。ハブキャップ15のおもな機能は、第1転がり軸受11a内のグリース等から発生したガスや塵埃が外部に放出しないようにすることであるが、ハブキャップ15を、内輪11aaに加えた予圧を維持するためにも用いることがある。そこで、変形例2では、第1転がり軸受11aにおける内輪11aaの他方側端面Sとシャフト12の外周面との境界に第2接着剤Bを塗布するとともに、当該第2接着剤Bを塗布した領域とハブキャップ15の端面とを当接させることで、ハブキャップ15を固定する。以上の構成では、ハブキャップ15によって内輪11aaに加えた予圧を維持する作用と、第2接着剤Bが熱環境の変化による応力を吸収する作用とを両立されることができるので、接着面Sにおける第1接着剤Xが破断することをより効果的に抑制することが可能になる。
以上の説明から理解される通り、第2接着剤Bは、第1転がり軸受11aおよび第2転がり軸受11bにおける外輪および内輪の端面のうち予圧を加えた端面(実施形態、変形例1、および、変形例2では、内輪11aaの他方側端面S)と、シャフト12の外周面またはスリーブ13の内周面との境界の少なくとも一部に塗布されていればよい。シャフト12の外周上に形成された溝12bにも第2接着剤Bが保持される変形例1の構成や、当該第2接着剤Bが塗布される領域にハブキャップ15の端面が当接する変形例2の構成も本発明の範囲に包含される。
1 磁気ディスク駆動装置
2 磁気ヘッドアーム
3 磁気ヘッド
4 磁気ディスク
5 ベースプレート
10 ピボットアッシー軸受
11a 第1転がり軸受
11b 第2転がり軸受
11aa,11ba 内輪
11ab,11bb 外輪
11ac,11bc 転動体
12 シャフト
12a フランジ
13 スリーブ
14 スペーサ部
14a,14b スペーサ部の端面
15,15a,15b ハブキャップ

Claims (12)

  1. シャフトと、
    前記シャフトの外周側で、前記シャフトと同軸上に前記シャフトの軸方向に互いに離間して配置された第1転がり軸受および第2転がり軸受と、
    前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受の外周側で、前記シャフトと同軸上に設けられたスリーブと、
    を備え、
    前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受における内輪の内周面と前記シャフトの外周面と、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受における外輪の外周面と前記スリーブの内周面とのうち少なくとも一方は第1接着剤で接着され、
    前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受における外輪および内輪のうち予圧を加えた端面と、前記シャフトの外周面または前記スリーブの内周面との境界のうち少なくとも一部に、前記第1接着剤とは特性が異なる第2接着剤が塗布される、
    ことを特徴とするピボットアッシー軸受。
  2. 前記シャフトおよび前記スリーブの少なくとも一方の材料の熱膨張率は、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受の材料の熱膨張率を上回る、
    ことを特徴とする請求項1に記載のピボットアッシー軸受。
  3. 前記シャフトおよび前記スリーブの少なくとも一方の材料はアルミ合金であり、前記第1転がり軸受および前記第2転がり軸受の材料としてのスチールはマルテンサイト系ステンレス鋼または高炭素クロム軸受鋼である、
    ことを特徴とする請求項2に記載のピボットアッシー軸受。
  4. 前記予圧は、前記第1転がり軸受の内輪における端面および前記第2転がり軸受の内輪における端面のうち少なくとも一方に加えられ、
    前記予圧を加えた端面と、前記シャフトの外周面との境界のうち少なくとも一部に、前記第2接着剤が塗布される、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のピボットアッシー軸受。
  5. 前記第1転がり軸受と前記第2転がり軸受との間にはスペーサが設けられ、
    前記第1転がり軸受の外輪における端面と、前記第2転がり軸受の外輪における端面とは、前記スペーサに互いに対向して当接している、
    ことを特徴とする請求項4に記載のピボットアッシー軸受。
  6. 前記シャフトの軸方向における一方側の端部にフランジが設けられ、
    前記第1転がり軸受は前記軸方向における他方側に配置され、前記第2転がり軸受は前記軸方向における一方側に配置され、
    前記第1転がり軸受の内輪の端面うち、前記軸方向における他方側の端面に前記予圧が加えられる、
    ことを特徴とする請求項5に記載のピボットアッシー軸受。
  7. 前記第2転がり軸受の内輪の端面のうち、前記軸方向における一方側の端面は、前記フランジに当接する、
    ことを特徴とする請求項6に記載のピボットアッシー軸受。
  8. 前記予圧は、前記第1転がり軸受の内輪の端面のうち、前記軸方向における他方側の端面と、前記第2転がり軸受の端面のうち、前記軸方向における一方側の端面とのうち少なくとも一方に加えられる、
    ことを特徴とする請求項5に記載のピボットアッシー軸受。
  9. 前記第1接着剤は、紫外線硬化型の嫌気性接着剤であり、
    前記第2接着剤は、熱硬化性接着剤および2液性接着剤のいずれか一方である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1つに記載のピボットアッシー軸受。
  10. 前記第1接着剤は、アクリル系接着剤であり、
    前記第2接着剤は、エポキシ系接着剤である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1つに記載のピボットアッシー軸受。
  11. 前記第2接着剤の弾性係数は、前記第1接着剤の弾性係数よりも小さい、
    ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1つに記載のピボットアッシー軸受。
  12. 請求項1〜11の何れか1つに記載のピボットアッシー軸受と、
    前記ピボットアッシー軸受によって搖動可能に支持され、磁気ディスク上で磁気ヘッドを移動させるスイングアームと、
    前記ピボットアッシー軸受のシャフトが固定されるベースプレートと、
    を備えることを特徴とするディスク駆動装置。
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