JP2004068047A - 元素拡散金属材およびその製造方法 - Google Patents

元素拡散金属材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】金属材の諸特性を内部深くまで向上させる。
【解決手段】例えば、Zn−Al−Sn系合金(ZAS合金)にCuを拡散させる場合、Cu粉末またはCu−Mn合金粉末等、Cuを含有する物質を溶媒に分散させて塗布剤とする。なお、塗布剤には、ZAS合金の表面に存在する酸化物膜を還元する還元剤を分散ないし溶解させることが好ましい。この状態で、母材を加熱することによってCuをZAS合金中に拡散させる。これにより、ZAS合金の表面からの深さが0.5mm以上の内部にまでCuが拡散し、かつCuの濃度がZAS合金の表面から内部に指向して減少したCu拡散ZAS合金が得られる。なお、このCu拡散ZAS合金においては、CuとZAS合金との間に明確な界面は存在しない。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属からなる母材に元素が拡散した元素拡散金属材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金属材に対しては、耐摩耗性や耐食性、強度等の諸特性を向上させるという観点から、浸炭、浸硫、窒化、炭窒化等の様々な表面処理が施される。または、物理的気相成長(PVD)法や化学的気相成長(CVD)法、メッキ、陽極酸化等によって皮膜が設けられることもある。
【0003】
例えば、Zn−Al−Sn系合金等のZn合金の表面を硬化処理する手段としては、特許第2832224号公報に開示されている直接無電解ニッケルメッキ法が挙げられる。この場合、Zn合金からなる金型を、有機酸ニッケル塩等を含有する無電解ニッケルメッキ液に浸漬して、該金型の表面にニッケル皮膜を設けるようにしている。
【0004】
特許第2832224号公報によれば、このようなニッケル皮膜を有するZn基合金は、耐摩耗性および耐食性が良好となるとのことである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した方法のいずれにおいても、諸特性が向上するのは金属材の表面に限られる。例えば、窒化や浸炭等では、元素が拡散するのは金属材の表面から僅かに数十μm、最大でも200μm程度であり、それより内部の諸特性を向上させることは困難である。
【0006】
この不具合は、前記の特許第2832224号公報に開示された発明をはじめとする皮膜形成においても同様である。しかも、この場合、皮膜と金属材との間に界面が存在する。このため、皮膜と金属材との熱膨張係数が互いに著しく異なる場合、加熱・冷却が繰り返されるような条件下では、膜が剥離することがあるという欠点がある。
【0007】
さらに、Zn合金やAl合金、Ti合金等、表面に酸化物膜を迅速に形成してしまう金属材では、皮膜を設ける方法がメッキや陽極酸化程度に限られるとともに、肉厚が小さい皮膜しか得られないため、諸特性を向上させる効果に乏しいという不具合が顕在化している。
【0008】
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、酸化物膜を迅速に形成する金属材であっても元素が濃度勾配を有する状態で金属材の内部深くまで拡散され、かつ拡散した元素と金属材との間に界面が存在しない元素拡散金属材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明は、金属からなる母材に元素が拡散された元素拡散金属材であって、
前記元素は、前記母材の表面からの深さが0.5mm以上の内部に到達しており、
かつ前記元素の濃度は、前記母材の表面から内部に指向して減少することを特徴とする。
【0010】
すなわち、本発明に係る元素拡散金属材における元素の拡散距離は、浸炭や窒化等によって拡散された元素の拡散距離に比して著しく大きい。このため、耐熱性、強度、硬度、耐食性等の諸特性が内部深くまで向上している。
【0011】
母材である金属材は、特に限定されるものではないが、Zn合金、Al合金、Mg合金、Cu合金、Ti合金、Fe合金等を好適な例として挙げることができる。
【0012】
なお、拡散させる元素は、金属材の種類に応じて、該金属材の諸特性を向上させるものを選定すればよい。例えば、母材がZn合金である場合、拡散させる元素としてCuまたはMnの少なくともいずれか1種を選定すればよい。また、母材がFe合金である場合にはCrを選定すればよい。さらに、母材がTi合金である場合にはAl、Cr、NiまたはNの少なくともいずれか1種を選定し、Cu合金である場合にはNiを選定すればよい。
【0013】
また、本発明は、金属からなる母材の表面からの深さが0.5mm以上の内部にまで拡散した元素を有し、かつ前記元素の濃度が前記母材の表面から内部に指向して減少する元素拡散金属材の製造方法であって、
拡散させる前記元素を含有する物質の粉末が溶媒に分散ないし溶解された塗布剤を前記母材の表面に塗布する第1工程と、
前記物質が塗布された前記母材を加熱することによって前記元素を前記母材中に拡散させる第2工程と、
を有することを特徴とする。
【0014】
溶媒を介して粉末を塗布した後に加熱処理を施すことにより、元素拡散金属材を容易かつ簡便に得ることができる。
【0015】
なお、母材がZn合金やAl合金等の酸化物膜を形成し易い金属材である場合には、該酸化物膜を還元する還元剤を前記物質とともに塗布することが好ましい。この還元剤の作用下に酸化物膜が還元されて消失するので、多大な熱エネルギを供給することなく元素を拡散させることができるようになるからである。
【0016】
そして、母材がZn合金等の低融点物質である場合には、第2工程にて、温度勾配を設けた状態で母材を加熱するようにしてもよい。これにより母材が過度に加熱されることを回避することができるので、母材が融解することを回避することができる。温度勾配を設けるには、例えば、母材の一端面に板部材を当接させればよい。
【0017】
さらに、母材に酸化物膜が生成することを回避するため、第2工程は、不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る元素拡散金属材およびその製造方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本実施の形態に係る元素拡散金属材は、母材である金属材の内部に元素が拡散されてなる。
【0020】
母材である金属材の好適な例としては、実用合金として広汎に使用されているZn合金、Al合金、Mg合金、Cu合金、Ti合金、Fe合金を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0021】
このような金属材からなる母材に拡散された元素のうち最も拡散したものは、該母材の表面からの深さが少なくとも0.5mm(500μm)に達しており、最大では、2cm(2000μm)に達することがある。この値は、窒化や浸炭等における元素の拡散距離が数十μm、大きくても200μm程度であるのに対し、著しく大きい。すなわち、本実施の形態に係る元素拡散金属材における元素の拡散距離は、従来技術に係る表面処理方法によって導入された元素の拡散距離に比して著しく大きい値である。
【0022】
拡散される元素の種類は、母材である金属材の種類に応じ、該金属材の諸特性を向上させることが可能なものが選定される。例えば、母材がZn合金からなる場合にはCuまたはMnの少なくともいずれか1種、Fe合金からなる場合にはCr、Ti合金からなる場合にはAl、Cr、NiまたはNの少なくともいずれか1種、Cu合金からなる場合にはNiを選定することができる。
【0023】
ここで、金属材の内部に拡散して存在する元素の形態は、特に限定されるものではない。すなわち、母材を構成する金属材と合金化していてもよいし、金属材に含有された不純物と化合物を形成していてもよいし、元素単独で固溶していてもよい。
【0024】
なお、後述するように、元素は、母材の表面から拡散される。このため、元素の濃度は、母材の表面で最も高く、母材の内部に指向するにつれて漸次的に減少する。このため、拡散した元素と母材との間には、明確な界面は存在しない。
【0025】
このような元素拡散金属材においては、元素が拡散された深さまで母材の諸特性が向上する。例えば、Zn合金であるZn−Al、Zn−Sn、またはZn−Al−Sn系合金(いわゆるZAS合金)からなる母材に対してCuを拡散させると、CuがZnと結合する。その結果、融点が上昇するので、耐熱性が向上する。また、強度、硬度、耐食性等も向上するという利点がある。
【0026】
しかも、この元素拡散金属材においては、拡散した元素と母材との間に明確な界面が存在しないため、応力集中が起こることが回避される。したがって、元素を拡散させることに伴って脆性が増すことを抑制することもできる。
【0027】
次に、上記した元素拡散金属材の製造方法につき、そのフローチャートである図1を参照して説明する。本実施の形態に係る製造方法は、拡散させる元素を含有する物質を母材の表面に塗布する第1工程S1と、加熱処理を施すことによって元素を母材中に拡散させる第2工程S2とを有する。なお、以下の説明においては、ZAS合金にCuを拡散させる場合を例とする。
【0028】
まず、第1工程S1において、母材であるZAS合金の表面に塗布する塗布剤を調製する。塗布剤の溶媒としては、アセトンやアルコール等、容易に蒸発する有機溶媒を選定することが好ましい。そして、この溶媒に、Cuを含有する物質を分散させる。
【0029】
Cuを含有する物質としてはCu粉末やCu−Mn合金粉末等が例示される。このうち、比較的低融点であるということから、Cu−Mn合金粉末を選定することが好ましい。この場合、より低温、換言すれば、より小さな熱エネルギでCuを拡散させることができるからである。Cu−Mn合金としては、CuとMnの組成比がモル比で6:4であるもの等を使用することができる。
【0030】
ここで、ZAS合金の表面には、通常、酸化物膜が形成されている。この状態でCuを拡散させるには、Cuが酸化物膜を通過できるように、多大な熱エネルギを供給しなければならない。これを回避するために、塗布剤に、酸化物膜を還元することが可能な還元剤を混合することが好ましい。
【0031】
具体的には、酸化物膜に対して還元剤として作用し、かつZAS合金とは反応しない物質を溶媒に分散ないし溶解させる。還元剤の好適な例としては、ニトロセルロース、ポリビニル、アクリル、メラミン、スチレンの各樹脂を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。なお、還元剤の濃度は、5%程度とすればよい。
【0032】
以上の物質が溶解ないし分散された塗布剤は、刷毛塗り法等の公知の塗布技術によってZAS合金の表面に塗布される。
【0033】
次いで、第2工程S2において、塗布剤が塗布されたZAS合金に対して加熱処理を施す。この加熱処理は、バーナー火炎をZAS合金の一端面側から当てることによって施すことができる。
【0034】
この場合、第2工程S2において、温度勾配を設けた状態でZAS合金を加熱するようにしてもよい。すなわち、ZAS合金の一端面に過度の加熱防止用の板部材を当接させ、この状態で板部材を当接させた端面とは反対側の端面からZAS合金を加熱するようにすればよい。後述するように、この板部材によって熱が吸収されるので、ZAS合金を融解させることなくCuを拡散させることができるようになる。
【0035】
この昇温の過程では、250℃程度で還元剤が分解し始め、炭素や水素が生成する。ZAS合金表面の酸化物膜は、この炭素や水素の作用下に還元されて消失する。このため、Cuが酸化物膜を通過する必要がなくなるので、拡散に要する時間を短縮することができるとともに、熱エネルギを低減することができる。
【0036】
さらに昇温を続行すると、母材であるZAS合金中にCuが拡散し始める。Cu−Mn合金粉末を塗布した場合、この拡散は、Cu粉末を塗布した場合に比して低温で開始する。
【0037】
拡散したCuは、最終的には、ZAS合金の構成元素であるZn等と結合し、Cu−Zn合金等を形成する。その結果、ZAS合金の融点が上昇する。このため、ZAS合金が融解することはない。
【0038】
しかも、一端面に板部材が当接している場合、ZAS合金に供給された熱は、該板部材に伝達された後、該板部材を昇温することによって消費される。換言すれば、熱は板部材に吸収される。このため、ZAS合金を融解させることなくCuを効率的に拡散させることができる。
【0039】
ZAS合金が100mm×100mm×100mmの立方体である場合、加熱処理によって、該立方体の表面から1.5mm程度の深さまでCuを拡散させることができる。また、Cuの濃度は漸次的に減少し、Cuの拡散到達終端部とZAS合金との間に明確な界面が生じることもない。
【0040】
このようにして得られたCu拡散ZAS合金では、拡散前のZAS合金に比して硬度や強度が著しく向上する。具体的には、拡散前のZAS合金における表面のビッカース硬度(Hv)が約120、引っ張り強度が約200MPaであるのに対し、Cu拡散ZAS合金における表面のHv、引っ張り強度はそれぞれ約250、約450MPaと、ともにおよそ2倍となる。
【0041】
上記と同様にして、ZAS合金内にMnを拡散させることもできる。
【0042】
一方、S45C(JIS規格)等に代表されるFe合金にCrを拡散させる場合、例えば、アセトンにアクリル樹脂モノマーを濃度が0.5%となるように溶解し、これにCr、Mo、Ni、C、BNの各粉末が2:3:4:0.5:0.5の割合(重量比)で混合された混合粉末を分散させて塗布剤を調製すればよい。
【0043】
この塗布剤をS45Cに塗布した後(第1工程S1)、電気炉内にて加熱処理を施す(第2工程S2)。S45Cは高融点物質であり、融解し難いので、加熱温度を1200℃程度とすることができる。この温度で、1時間程度保持すればよい。
【0044】
電気炉内にて加熱処理を施す場合、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気とすることが好ましい。これにより、S45Cの表面が酸化することを回避することができる。
【0045】
なお、この場合、過度の加熱を防止するために板部材を母材の一端面に当接させる必要は特にない。上記したようにS45Cは高融点物質であるので、高温での加熱処理時に融解することを阻止するべく熱を吸収させる必要が特にないからである。また、上記した理由から、第2工程S2は、不活性雰囲気中で遂行することが好ましい。
【0046】
第2工程S2が終了したS45Cにおいては、表面に炭窒化クロムが生成し、かつS45C中には、Crが拡散している。この場合、Crは、表面からの深さ1.8mmにまで到達する。また、その濃度は漸次的に減少し、S45Cとの間に界面を生成することはない。
【0047】
このようにして得られたCr拡散S45Cの表面におけるHvは、650と著しく高い値を示す。
【0048】
さらに、表面に炭窒化クロムが生成するため、第2工程S2の前後での体積変化は、0.216%と著しく抑制される。この際に蓄積された歪エネルギを概算すると、約102MPamとなる。これは、焼き入れ・焼き戻し操作にて大きな歪エネルギを蓄積することができることを示す。
【0049】
次に、Ti−6Al−4V合金にAl、Cr、NiおよびNを拡散させる例について説明する。
【0050】
上記と同様に、第1工程S1において、Ti−6Al−4V合金の表面に塗布する塗布剤を調製する。この場合、Ti合金中のTiと金属間化合物を容易に形成する金属元素の粉末、例えば、Al粉末、Cr粉末、Ni粉末の混合粉末をアセトンやアルコール等に分散させればよい。
【0051】
ここで、Ti−6Al−4V合金の表面にも酸化物膜が存在する。このため、この場合においても、酸化物膜を還元することが可能な還元剤、例えば、粉末状炭素材等を塗布剤に混合することが好ましい。
【0052】
また、Tiのホウ化物であるTiBが得られ、このTiBが母材であるTi−6Al−4V合金中に分散することによって該合金の硬度を向上させることができることから、塗布剤にBN粉末を混合するようにしてもよい。
【0053】
以上の観点から、この場合、Al粉末、Cr粉末、Ni粉末、C粉末およびBN粉末が例えば30:10:50:5:5の割合(重量比)で混合された混合粉末を含有する塗布剤を使用することが好ましい。
【0054】
この塗布剤を、刷毛塗り法等の公知の塗布技術によってTi−6Al−4V合金の表面に厚み0.5mm程度で塗布した後、第2工程S2において、上記と同様に加熱処理を施す。この加熱処理は、例えば、窒素雰囲気とした熱処理炉内で遂行すればよい。
【0055】
この場合、圧力が10Paとなるように窒素を流通させながら10℃/分の昇温速度で昇温し、250℃、450℃および650℃でそれぞれ30分保持した後、圧力を0.3MPaとして5℃/分で777℃まで昇温して1時間保持することによって加熱処理を施すようにすればよい。これにより、Ti−6Al−4V合金の表面に存在する酸化物膜が還元され、塗布剤に含まれた金属元素と、雰囲気である窒素を源とするNとを該合金中に確実に拡散させることができる。
【0056】
拡散した元素、例えば、Alは、最終的には、Ti−6Al−4V合金の構成元素であるTi等と結合し、Al−Ti合金等を形成する。また、表面に残留したCrやTiが窒化されることに伴って窒化クロム、窒化チタン等が生成するとともに、TiとBとが結合してTiBが生成する。その結果、加熱処理後のTi−6Al−4V合金には、セラミックスないし合金からなる拡散層が形成される。
【0057】
Ti−6Al−4V合金が直径15mm×長さ100mmの円柱体である場合、上記したような加熱処理によって、該円柱体の表面から2.3mm程度の深さまでTiとAl、CrまたはNiとの合金を生成させることができるとともに、窒化クロム、窒化チタンおよびTiBを生成させることができる。また、合金またはセラミックスの濃度は漸次的に減少し、これらの拡散到達終端部とTi−6Al−4V合金との間に明確な界面が生じることもない。
【0058】
この場合においても、拡散前のTi−6Al−4V合金に比して諸特性が著しく向上する。具体的には、拡散前のTi−6Al−4V合金における表面のHvが約300であるのに対し、拡散後のTi−6Al−4V合金でのHvは1200となる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る元素拡散金属材によれば、母材を構成する金属材の諸特性を向上させる元素が、表面から0.5mm以上の深さにまで拡散されている。このため、耐熱性、強度、硬度、耐食性等の諸特性を内部深くまで向上させることができるという効果が達成される。
【0060】
しかも、この元素拡散金属材においては、拡散した元素の濃度が表面から漸次的に減少するので、元素と母材との間に明確な界面が存在しない。このため、応力集中が起こることを回避することもできる。
【0061】
また、本発明に係る元素拡散金属材の製造方法によれば、拡散させる元素を母材の表面に塗布した後に加熱処理を施すという容易かつ簡便な操作にて元素拡散金属材を得ることができる。
【0062】
なお、表面に酸化物膜を形成し易い金属材を母材とする場合、還元剤を塗布するようにすることが好ましい。これにより、多大な熱エネルギを供給することなく元素を拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る元素拡散金属材の製造方法のフローチャートである。

Claims (10)

  1. 金属からなる母材に元素が拡散された元素拡散金属材であって、
    前記元素は、前記母材の表面からの深さが0.5mm以上の内部に到達しており、
    かつ前記元素の濃度は、前記母材の表面から内部に指向して減少することを特徴とする元素拡散金属材。
  2. 請求項1記載の元素拡散金属材において、前記母材は、Zn合金、Al合金、Mg合金、Cu合金、Ti合金、Fe合金のいずれかからなることを特徴とする元素拡散金属材。
  3. 請求項2記載の元素拡散金属材において、前記母材がZn合金からなり、かつ前記元素がCuまたはMnの少なくともいずれか1種であることを特徴とする元素拡散金属材。
  4. 請求項2記載の元素拡散金属材において、前記母材がFe合金からなり、かつ前記元素がCrであることを特徴とする元素拡散金属材。
  5. 請求項2記載の元素拡散金属材において、前記母材がTi合金からなり、かつ前記元素がAl、Cr、NiまたはNの少なくともいずれか1種であることを特徴とする元素拡散金属材。
  6. 請求項2記載の元素拡散金属材において、前記母材がCu合金からなり、かつ前記元素がNiであることを特徴とする元素拡散金属材。
  7. 金属からなる母材の表面からの深さが0.5mm以上の内部にまで拡散した元素を有し、かつ前記元素の濃度が前記母材の表面から内部に指向して減少する元素拡散金属材の製造方法であって、
    拡散させる前記元素を含有する物質の粉末が溶媒に分散ないし溶解された塗布剤を前記母材の表面に塗布する第1工程と、
    前記物質が塗布された前記母材を加熱することによって前記元素を前記母材中に拡散させる第2工程と、
    を有することを特徴とする元素拡散金属材の製造方法。
  8. 請求項7記載の製造方法において、前記母材の表面に形成された酸化物膜を還元する還元剤を前記物質とともに塗布することを特徴とする元素拡散金属材の製造方法。
  9. 請求項7または8記載の製造方法において、前記第2工程にて、温度勾配を設けた状態で前記母材を加熱することを特徴とする元素拡散金属材の製造方法。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に記載の製造方法において、前記第2工程を不活性ガス雰囲気中で行うことを特徴とする元素拡散金属材の製造方法。
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