JPH05148598A - チタン又はチタン合金からなる基材の表面硬化法および表面硬化部材 - Google Patents

チタン又はチタン合金からなる基材の表面硬化法および表面硬化部材

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JPH05148598A
JPH05148598A JP2655291A JP2655291A JPH05148598A JP H05148598 A JPH05148598 A JP H05148598A JP 2655291 A JP2655291 A JP 2655291A JP 2655291 A JP2655291 A JP 2655291A JP H05148598 A JPH05148598 A JP H05148598A
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Takumi Shibuya
巧 渋谷
Satoshi Kano
智 狩野
Hiroo Ozeki
宏夫 大関
Junya Oe
潤也 大江
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明はチタン又はチタン合金の表面硬化法
および表面硬化部材を提供することを目的とする。 【構成】 チタン又はチタン合金の基材上に下記の元素
を含むチタン合金の被覆層を形成し、加熱し溶融拡散反
応させて溶融拡散層を形成する。被覆層としては、チタ
ンろう、又は、チタン基合金粉末の塗布物、粉末の圧密
体でも良い。チタン合金を用いる場合は、窒素、炭素、
ホウ素、ジルコニウム、銅、タングステン、ニオブなど
を含むものを用いる。 【効果】 基材に含有される元素と被覆層に含有される
元素との溶融拡散反応により共晶合金化と化合物生成が
なされて硬い溶融拡散層が生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン又はチタン合金
の表面硬化法および表面硬化部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車エンジンでは、高速回転化
に伴なってエンジンの構成部材の軽量化が要求されてい
る。例えばロッカアームを例にとると、従来のロッカア
ームは、必要箇所に浸炭処理を施した鉄系の合金から形
成されるのが一般的であったが、近年、前記軽量化の要
求に答えるべく、チタンあるいはチタン合金を用いてロ
ッカアームを製造することが考えられている。これは、
チタンが、鉄と同程度の強度を持ちながらその比重が鉄
とアルミニウムの中間程度であるので、ずみやかにロッ
カアームの軽量化が図れるからである。
【0003】ところで、ロッカアームをチタンあるいは
チタン合金で製造する場合であっても、バルブトップや
カムとの接触部は優れた耐摩耗性を有する必要があり、
この部分は硬化させる必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで現行で考えられ
るチタン表面の硬化法の1つとして、窒化があるが、窒
化ではチタン表面のごく一部分(例えば表面の数μm程
度)しか硬化することができず、ロッカアーム用には供
しえないものである。また、耐摩耗性の高い合金の盛金
による硬化法も知られているが、チタンの材料的な特性
上、溶接は難しく、この方法も採用しがたい問題があ
る。
【0005】なお、特開昭50−28443号公報で開
示されるように、Ti又はTi合金に金属または合金を被
覆した後に硬化処理する方法が知られている。ところ
が、この方法で得られる硬化層の厚さは、数十μm程度
であって、ロッカアームなどの耐摩耗性部品用の硬化法
としては、十分な厚さの硬化層が形成できない問題があ
る。
【0006】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、比較的容易な処理によっ
てチタン又はチタン合金の基材の表面に1mm以上の厚い
硬化された層を形成することができ、チタン又はチタン
合金製の耐摩耗性の高い硬化材を得ることができるとと
もに、硬化された厚い層を有するチタン又はチタン合金
製の表面硬化部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は
前記課題を解決するために、チタン又はチタン合金から
なる基材の表面に、炭素、窒素、ホウ素、ジルコニウ
ム、銅、タングステン、モリブデン、ニオブの中から選
択される少なくとも1種以上の元素を含有するチタン合
金からなる被覆層を形成し、次いで前記被覆層と基材の
少なくとも境界部分を融点以上の温度に加熱して溶融さ
せ、溶融拡散により被覆層の少なくとも一部と基材表面
部とを合金化するものである。
【0008】請求項2に記載の発明は前記課題を解決す
るために、被覆層を構成するチタン合金として、チタン
ろうを用いるものである。
【0009】請求項3に記載の発明は前記課題を解決す
るために、被覆層として、チタン合金の粉末の塗布物、
あるいは、チタン合金の粉末の圧密体を用いるものであ
る。
【0010】請求項4に記載の発明は前記課題を解決す
るために、チタン又はチタン合金からなる基材と、この
基材上に形成された溶融拡散層とを具備してなり、前記
溶融拡散層が、炭素、窒素、ホウ素、ジルコニウム、
銅、タングステン、モリブデン、ニオブの中から選択さ
れる少なくとも1種以上の元素と、チタン合金の構成元
素とを含むものである。
【0011】請求項5に記載の発明は前記課題を解決す
るために、チタン又はチタン合金からなる基材と、この
基材上に形成された溶融拡散層と、この溶融拡散層上の
被覆層とを具備してなり、前記被覆層が炭素、窒素、ホ
ウ素、ジルコニウム、銅、タングステン、モリブデン、
ニオブの中から選択される少なくとも1種以上の元素を
含有するチタン合金からなり、前記溶融拡散層が、基材
の構成元素と被覆層の構成元素とを含む
【0012】請求項6に記載の発明は前記課題を解決す
るために、溶融拡散層に、基材の構成元素と被覆層の構
成元素との化合物が混在されてなるものである。
【0013】
【作用】本発明によれば、チタン又はチタン合金からな
る基材の表面に、チタン合金からなる溶融拡散層を形成
するので、チタン又はチタン合金の構成元素とチタン合
金の構成元素とが溶融拡散反応して共晶合金化による硬
化が起こり、更に化合物の析出による析出硬化が生じ、
これらにより硬化された溶融拡散層が基材表面を硬化す
る。更に、基材表面側に被覆層の構成元素が拡散すると
ともに、被覆層側にも基材構成元素が拡散するので、基
材と溶融拡散層の境界部分は硬さの勾配がゆるやかに変
化するようになる。
【0014】溶融拡散層は耐摩耗性に優れるので、本発
明により得られる表面硬化部材はロッカアームなどのよ
うに耐摩耗性が要求される機械部品用として好適であ
る。また、本発明の基材は、あくまでチタン又はチタン
合金であるので、本発明の表面硬化部材を用いて得られ
る機械部品は、従来の鉄系材料に比較して軽量で同程度
の強度を有し、耐摩耗性も優秀である。
【0015】更に、基材の構成元素と被覆層の構成元素
の溶融拡散反応によれば、拡散原子の相互拡散速度を高
めることができるので、厚い溶融拡散層が得られる。こ
の厚い溶融拡散層が基材上に形成されていると、基材の
塑性加工が可能になり、基材表面の切削加工が可能にな
る。
【0016】被覆層として粉末の塗布物あるいは圧密体
を用いることで被覆層の厚さを自由に制御することがで
き、所望の厚さの硬化層が形成される。
【0017】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0018】図1は本発明方法を適用して得られたロッ
カアームを示している。この例のロッカアーム1は、軸
受部2とその両側に延設されたアーム部3,4とを具備
してなり、アーム部3の先端にはカムに摺接する第1接
触部5が、また、アーム部4の先端にはバルブ軸に摺接
する第2接触部6が各々形成されている。
【0019】前記ロッカアーム1は、チタン又はチタン
合金からなり、その接触部5,6には本発明方法に係る
硬化処理が施されている。ロッカアームを構成するチタ
ン合金として、Ti-6Al-4V合金、Ti-13V-11
Cr-3Al合金、Ti-5Al-2Cr-1-Fe合金、Ti-5
Al-3Mn合金などを例示することができるが、これ以
外のチタン合金を用いても良い。
【0020】前記接触部5,6の断面構造は、図2に示
すようにチタン又はチタン合金からなる基材7と、この
基材7の表面に被覆された溶融拡散層8とからなってい
る。この溶融拡散層8は、厚さ0.7〜1.0mm以上のも
のである。
【0021】溶融拡散層8を形成するには、まず、図3
に示す基材7の表面に、図4に示すように被覆層9を形
成する。この被覆層9を構成する金属として用いるの
は、チタンとの間に、金属間化合物、炭化物、チッ化
物、ホウ化物などの化合物を生成する金属が好ましい。
具体的には、Ti-48Zr-4Be、Ti-30V-4Be、
Ti-33Cr、Ti-13V-11Cr-3Alなどのチタン
ろうを中心とするチタン合金を例示することができる
が、これらに限るものではない。
【0022】被覆層9を基材7上に形成する手段として
は、前記各組成の金属の箔を基材7上に、圧着、接着、
スポット溶接などの方法により接合して形成しても良い
し、前記組成の金属の粉体とをバインダーに混合した塗
布物を塗布しても良いし、電解メッキ、無電解メッキに
より形成しても良い。。また、前記組成の金属の粉末を
基材7上にまぶした後に、液圧プレスなどの手法により
圧密して被覆しても良い。要は、ある程度の厚さをもっ
た被覆層9を形成できる手段であれば公知のいかなる手
段を用いても良い。前記の手段により、厚さ数mm程度の
被覆層9を容易に形成することができる。
【0023】被覆層9を形成したならば、真空炉などに
収納して、例えば1×10-4Torr以下の真空中で90
0〜1100℃に加熱する。真空中で処理するのは、チ
タンが化学的に活性であり、還元反応を防止するためで
ある。また、加熱温度は被覆層9の構成主要元素とチタ
ンとの共晶点近傍の温度あるいはそれ以上の温度が好ま
しい。従って前記のように900〜1100℃の範囲が
好ましいが、加熱温度は被覆層9の種類によって前記の
範囲内で適宜設定するものとする。
【0024】前記真空加熱処理によって被覆層9の一部
又は全部が溶融拡散する。このような溶融拡散状態で所
定時間(数十分〜数十時間)保持することで被覆層9を構
成する元素と基材7を構成する元素が相互拡散し、冷却
後に図2に示す溶融拡散層8が生成する。
【0025】この溶融拡散層8の硬度は、Ti-20Zr
-20Cr-20Ni合金においてビッカース硬度で40
0〜450の値を示す。
【0026】ここで前記溶融拡散処理を行うことで、チ
タンと他の元素との共晶合金化、更には、炭素とケイ素
とホウ素と窒素とジルコニウムとクロムとニオブのいず
れかから選択される元素と、基材のチタンとの2元系あ
るいは3元系の共晶合金化、並びに金属間化合物の生成
が起こり、被覆層9よりも硬化が高められた溶融拡散層
8が形成される。溶融拡散反応で生成される金属間化合
物として、Ni3(Al+Ti)などのγ'相を例示すること
ができる。また、被覆層に含有させる元素において炭素
がカーバイド、ケイ素がシリサイド、ホウ素がボライ
ド、窒素がチッ化物、ジルコニウムとニオブとクロムが
金属間化合物を生成して硬化に寄与する。
【0027】なお、前記被覆層9を加熱溶融する場合、
高周波加熱などの手段を用い、基材7側の被覆層9の一
部を溶融させても良いし、被覆層9の全体を溶融させて
も良い。
【0028】図5は溶融拡散層8の拡大構造を示すもの
である。溶融拡散層8は、基部層11と、この基部層1
1上の硬化層12とから構成される。即ち、被覆層9の
構成元素が基材7側に拡散して生成されたものが基部層
11であり、溶融拡散層8に基材7の構成元素が拡散し
て生成されたものが硬化層12である。
【0029】溶融拡散層8は、チタン又はチタン合金の
基材7に被覆層9の構成元素が拡散して構成され、硬化
層12は、被覆層9の構成元素に基材7の構成元素が拡
散して構成されたものであるので、拡散元素の濃度勾配
が緩やかな場合は基部層11と硬化層12との境界部分
が明確ではないこともある。ここで硬化層12は基部層
11よりも硬くなる。即ち、硬さの分布に傾斜がつくわ
けであり、基材7側の基部層11から硬化層12側にか
けて順次硬度が向上するような構造になる。
【0030】このように硬度がなめらかに低下する構造
をもつ表面硬化部材は、使用に際し、仮に表面の最も硬
い部分が摩耗した場合でも徐々に耐摩耗性が低下するだ
けで、摩耗が急激に進んで周囲の部品とのバランスが崩
れる不具合が生じない。即ち、ロッカアーム1の場合を
例にとると、バルブトップとの接触面積が急激に摩耗す
ることがなく、バルブクリアランスが大きくなりすぎる
ことがなく、打音が発生するといった不具合は生じな
い。
【0031】これに対して通常の盛金による硬化法で
は、硬度が低下しないように基材と盛金との合金化を極
力抑えて行うのが通常であるが、本発明では逆に、積極
的に合金化を促進し、盛金よりも硬度を上げることがで
きるとともに、溶融拡散層8の硬度変化を滑らかに低下
させて基材7に連続させることができるようにしたもの
である。
【0032】一方、図6は本発明の硬化材をリングギヤ
30に適用した実施例を示すものである。このリングギ
ヤ30では外周のギヤ部が本発明方法で硬化されてい
る。リングギヤ30の全体の概略部分はチタン又はチタ
ン合金で鍛造などの通常の手段で作製し、この後に外周
のギヤ部全体に被覆層を形成して硬化させた後に、切削
加工あるいは研摩加工を行ってギヤ部を仕上げることで
リングギヤ30を得ることができる。
【0033】本発明に係る溶融拡散層8は数分の一mm〜
数mmと十分な厚さを有するので、切削加工や塑性加工が
可能になる。よって製造時に切削加工や塑性加工が必要
な機械部品をチタン又はチタン合金で製造することが可
能になる。
【0034】なお、前記の例ではロッカアーム1とリン
グギヤ30に本発明方法を適用した例について説明した
が、その他の耐摩耗性の要求される部材(バルブリテー
ナ、トランスミッションギア、デファレンシャルギア、
ディスクブレーキ、軸受など)に本発明を適用しても良
いのは勿論である。
【0035】
【実施例】チタンあるいはチタン合金製の基材を用い、
その基材の表面に粉末塗布法により、厚さ0.5mmのチ
タン合金の被覆層を形成し、この被覆層付きの基材を真
空加熱炉に収納して真空加熱炉の内部を1×10-4Tor
rに真空引きした後に、900〜1100℃に1時間加
熱して溶融拡散処理を行った。
【0036】得られた溶融拡散層を有する基材を硬度H
RC−57のSUJリングに摺接させて摩耗速度(m/
秒)と比摩耗量の関係を測定した。この測定には、大越
式摩耗試験機を用いた。この大越式摩耗試験機は、株式
会社:東京試験機製作所製の迅速摩耗試験機であって、
回転円盤を平面試験片に押し付けて摩耗し、その時の摩
耗痕の大きさで摩耗量を測定する装置である。いま、回
転円盤の外径を2r、厚さをBとし、摩耗距離loだけ
摩耗した時の最終荷重をPo、摩耗痕の深さをboとする
と、 摩耗量(体積)は、 Bbo3/12r mm3で示さ
れ、 接触圧力は、 Po/Bbo kg/mm2で示さ
れるとともに、試験材料の摩耗特性を示す 比摩耗量Wsは、 Bb3/8rPolo mm2/k
gで示される。
【0037】また、回転円盤の寸法は、外径28mmの
円筒部材の外周部に厚さ3mmの外径30mmのフラン
ジ部を形成した回転円盤を用いるとともに、平面試験片
は、長さ40〜60mm、幅25mm、厚さ5〜10m
mのものを用い、回転軸の先端に前記回転円盤を装着
し、回転円盤のフランジ部を前記試験片に所要の圧力で
押し当てて回転軸を回転駆動し、フランジ部が試験片に
対して所定距離擦り合った後に試験を停止して摩耗痕を
測定し、計算により比摩耗量を算出した。
【0038】図7に、チタン合金の基材にTi-20Zr
-20Cu-20Niなる組成の被覆層を形成して得られた
溶融拡散層を有するものの耐摩耗性について耐摩耗試験
を行った結果と、チタン合金の基材にNi-50Co合金
の被覆層を形成して得られた溶融拡散層を有する試料の
耐摩耗性試験結果とを示す。
【0039】図7においてTi合はTi-6Al-4Vなる
組成のチタン合金を示す。図7から、チタン合金の基材
に、チタンろうの被覆層を形成して溶融拡散させた試料
は、他の試料に比較して耐摩耗性に優れていることが判
明した。
【0040】図8は、チタンろうを被覆層として用いた
場合の加熱温度変化と摩耗速度との関係を示すものであ
る。図8から、加熱温度を900℃と940℃のいずれ
の値としても良好な耐摩耗性が得られることが明らかで
あるが、特に低速域での耐摩耗性の面では、900℃で
処理した試料の方が良好な耐摩耗性を示した。
【0041】図9はTiあるいはTi-6Al-4V合金基
材の表面にTi-20Zr-20Cu-20Niなる組成の箔
を被覆してプレスした後に950℃で1時間溶融拡散処
理を行なって得られた硬化部材において、表面からの深
さに応じた硬度の測定結果を示す。図9に示す結果から
本発明による硬化部材は、表面部分の硬度が最も高く、
深くなるほど硬度が低くなっていることが明らかになっ
た。
【0042】図10はTi-6Al-4V合金基材の板材
の一辺側にこの部分を覆うようにTi-20Zr-20Cu
-20Niなる組成の被覆層を形成し、これを1000℃
で1時間溶融拡散させて得られた硬化部材を示す。この
硬化部材において、斜線部分が硬化層を示す。この硬化
部材の冷間による圧延加工性を測定したところ、硬化部
材の厚tを厚さ0.6tに減少させるまでの圧下率では
硬化層にクラックが生じなかったが、硬化部材の厚さを
0.5t以下になるように圧下すると硬化層および基材
との界面にヘアークラックが発生した。よってこの硬化
部材は圧下率40%まで耐えることが判明した。なお、
前記基材を構成するTi合金自体の冷間圧延加工の限界
が20〜30%程度であることが一般に知られているこ
とを考慮すると、硬化層の方が冷間加工に強いことが判
明した。
【発明の効果】本発明の表面硬化部材においては、チタ
ン又はチタン合金の基材上にチタン合金の溶融拡散層を
形成し、共晶合金化、化合物による析出硬化をさせてい
るので、この溶融拡散層自体が硬化するとともに、基材
を硬化する。更に、被覆層は1mm以上の厚さに容易に形
成することができ、この厚い被覆層を溶融させて溶融拡
散層を形成するので、1mm以上もの厚さの溶融拡散層を
容易に得ることができる。よって本発明方法により得ら
れる表面硬化部材は、切削加工と組成加工が可能にな
り、ロッカアームやバルブリテーナ、各種のギアなどの
耐摩耗性の要求される機械部品を提供することができ
る。溶融拡散層と基材とは互いの構成元素が相互に拡散
しているので、境界部分の基材も強化される。この結
果、仮に溶融拡散層の部分が摩耗した場合であっても、
耐摩耗性の低下はゆるやかであり、急激に耐摩耗性が低
下することはない。よってロッカアームなどの摺動部分
においては、摩耗が進んでもバルブクリアランスが急に
大きくなることはなく、打音が生じることはない。ま
た、本発明の表面硬化部材は、内部がチタン又はチタン
合金製であるので、従来の鉄系材料よりも軽量で耐食性
に優れ、強度も高い特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係る硬化材を適用して得られる
ロッカアームの一例を示す側面図である。
【図2】図2は溶融拡散層を示す断面図である。
【図3】図3は基材の断面図である。
【図4】図4は基材上に被覆層を形成した状態を示す断
面図である。
【図5】図5は溶融拡散層の他の例を示す断面図であ
る。
【図6】図6は本発明に係る硬化材を適用して得られた
ギヤの斜視図である。
【図7】図7は比摩耗量と摩耗速度との関係を示す第1
のグラフである。
【図8】図8は比摩耗量と摩耗速度との関係を示す第2
のグラフである。
【図9】図9は硬化層の硬度と深さの関係を示すグラフ
である。
【図10】図10は圧延加工試験に供した硬化部材を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 ロッカアーム 3 アーム部 4 アーム部 5 接触部 6 接触部 7 基材 8 溶融拡散層 9 被覆層 11 基部層 12 硬化層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大江 潤也 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社商品開発センター内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン又はチタン合金からなる基材の表
    面に、炭素、窒素、ホウ素、ジルコニウム、銅、タング
    ステン、モリブデン、ニオブの中から選択される少なく
    とも1種以上の元素を含有するチタン合金からなる被覆
    層を形成し、次いで前記被覆層と基材の少なくとも境界
    部分を融点以上の温度に加熱して溶融拡散させ、溶融拡
    散により被覆層の少なくとも一部と基材表面部とを合金
    化することを特徴とするチタン又はチタン合金からなる
    基材の表面硬化法。
  2. 【請求項2】 被覆層を構成するチタン合金として、チ
    タンろうを用いることを特徴とする請求項1記載の基材
    の表面硬化法。
  3. 【請求項3】 被覆層として、チタン合金の粉末の塗布
    物、あるいは、チタン合金の粉末の圧密体を用いること
    を特徴とする請求項1記載の基材の表面硬化法。
  4. 【請求項4】 チタン又はチタン合金からなる基材と、
    この基材上に形成された溶融拡散層とを具備してなり、
    前記溶融拡散層が、炭素、窒素、ホウ素、ジルコニウ
    ム、銅、タングステン、モリブデン、ニオブ、ニッケル
    の中から選択される少なくとも1種以上の元素と、チタ
    ン合金の構成元素とを含むことを特徴とする表面硬化部
    材。
  5. 【請求項5】 チタン又はチタン合金からなる基材と、
    この基材上に形成された溶融拡散層と、この溶融拡散層
    上の被覆層とを具備してなり、前記被覆層が炭素、窒
    素、ホウ素、ジルコニウム、銅、タングステン、モリブ
    デン、ニオブ、ニッケルの中から選択される少なくとも
    1種以上の元素を含有するチタン合金からなり、前記溶
    融拡散層が、基材の構成元素と被覆層の構成元素とを含
    むことを特徴とする表面硬化部材。
  6. 【請求項6】溶融拡散層に、基材の構成元素と被覆層の
    構成元素との化合物が混在されてなることを特徴とする
    請求項4又は請求項5に記載の表面硬化部材。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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