JP4806292B2 - 金属表面処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、Al、又はAlを60原子%以上含有するAl基合金の表面に拡散層を設ける金属表面処理方法に関する。
金属製部材の表面を改質する手法の1種として、該表面に皮膜を設けることが広汎に採用されるに至っている。この観点から、金属の中では比較的軟質であるAlやAl基合金に皮膜を設け、例えば、高強度を付与することが試みられている。
しかしながら、周知のようにAlやAl基合金は低融点であり、一方、高強度が得られる皮膜を設けるには概して高温が必要である。このため、皮膜を設けると、AlやAl基合金からなる部材に応力歪みが発生したり、変形が生じたりすることがある。このような不具合を回避するべく、AlやAl基合金に皮膜を設ける場合には、メッキ、溶射、陽極酸化が採用されるのが通例である。
しかしながら、メッキや溶射には、形成された皮膜が剥離を起こし易いという不都合がある。また、陽極酸化では、皮膜の厚みを大きくすることが困難である。
そこで、特許文献1に提案されているように、皮膜ではなく拡散層をAlに設けることが想起される。
特開平10−102232号公報
特許文献1記載の拡散層は、厚みが300μm程度であり、高強度を付与することは容易ではない。しかも、仮に表面に対して仕上げ加工を行うと、この程度の厚みでは、拡散層が除去されてしまう。また、主たる成分がMgとAlを含む低融点合金であるため、耐熱性も十分ではない。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、十分な厚みを有し、しかも、高耐熱性・高強度を付与する拡散層を設けることが可能な金属表面処理方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、Al、又はAlを60原子%以上含有するAl基合金の表面に拡散層を設ける金属表面処理方法であって、
Al、又はAlを60原子%以上含有するAl基合金のいずれかからなる部材の表面に、Cu、Zn、Si、Mn、Ni、Fe、B、Cr、C、Moを少なくとも含有する金属粉末を塗布する工程と、
前記金属粉末が塗布された前記部材を非酸化性雰囲気中で125〜350℃に加熱してCu及びZnを拡散させる工程と、
Cu及びZnが拡散した前記部材に対して溶体化処理を行う工程と、
を有することを特徴とする。
この場合、はじめの加熱においてCu及びZnが先ず拡散する。これらCu及びZnが他の元素の拡散を支援する機能を営むので、溶体化処理時に他の元素から金属原子が容易に拡散する。従って、Al又はAl基合金に各種の金属下原子が確実に拡散し、拡散層が形成される。上記した金属原子を含有するこの拡散層が存在することにより、Al又はAl基合金に高強度、高硬度、耐熱性が発現する。すなわち、諸特性が向上したAl又はAl基合金が容易且つ簡便に得られるに至る。
金属粉末には、さらに、Mg、ランタノイド元素、ランタノイド元素のミッシュメタル、Zr、Coを含有させるようにしてもよい。これにより、拡散層、ひいてはAl又はAl基合金の強度、硬度、耐熱性を一層向上させることができるようになる。
ここで、Cu及びZnを拡散させる際の加熱時には、上記したように非酸化性雰囲気とする。金属粉末が酸化する速度は原子拡散速度を上回るので、酸化性雰囲気であると、拡散層を形成することが困難となるからである。
非酸化性雰囲気の好適な例としては、Ar雰囲気、又は真空のいずれかが挙げられる。又は、N2雰囲気であってもよい。この場合、金属粉末が窒化することに起因して拡散が生じ難くなることを回避するべく、10-3気圧以下とすることが好ましい。
本発明によれば、他の元素の原子拡散を支援するCu及びZnの予備拡散を先ず行うようにしている、このため、溶体化処理時、他の元素からAl又はAl基合金に金属原子が容易に拡散して拡散層が形成され、これにより、Al又はAl基合金の諸特性が向上する。
すなわち、諸特性が向上したAl又はAl基合金を容易且つ簡便に得ることができる。
以下、本発明に係る金属表面処理方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態に係る金属表面処理方法は、ワークの表面に金属粉末を塗布する第1工程と、金属粉末が塗布された前記ワークを加熱する第2工程と、前記ワークに対して溶体化処理を行う第3工程とを有する。
ワークは、純Alからなるものであってもよいし、Alとその他の金属原子とが結合したAl基合金であってもよい。ここで、本実施の形態におけるAl基合金は、Alが原子%で60%以上含まれるものを指称する。好適な例としては、JISに規格される1000系(純Al)、2000系(Al−Cu系合金)、3000系(Al−Mn系合金)、4000系(Al−Si系合金)、5000系(Al−Mg系合金)、6000系(Al−Mg−Si系合金)、7000系(Al−Zn−Mg系合金)が挙げられる。
先ず、第1工程S1において、このワークの表面に対し、上記したように金属粉末を塗布する。ここで、この金属粉末には、少なくとも、Cu、Zn、Si、Mn、Ni、Fe、B、Cr、C、Moが含有される。
Cuは、拡散層に高強度を付与する成分である。また、後述する第2工程及び第3工程において部分的に酸化することで、ワークの内部に酸素が拡散することを支援する。これにより、他の元素の拡散も容易となる。金属粉末中のCuの割合は、3〜30質量%であることが好ましい。
Znは、Cu同様に、拡散層に高強度を付与するとともに、部分的に酸化してワークの内部に酸素が拡散することを支援し、他の元素の拡散を容易化する。金属粉末中の好適なZnの割合は、3〜30質量%である。
Siも高強度化に寄与する成分であり、また、他の元素の拡散を容易にする。好適には、Siは、金属粉末中に3〜10質量%が含まれる。
Mnは、各元素を活性化するとともに、各元素が酸化することを抑制する。また、拡散層を高融点化し、且つ高強度をもたらす。Mnは、金属粉末中に5〜30質量%であることが好ましい。
Niは、拡散層に高強度、高靱性、高剛性をもたらすとともに、拡散層を高融点化する。すなわち、Mnとともに拡散層に耐熱性を付与する。Niの好ましい割合は、8〜20質量%である。
Feは、拡散層を高強度化する。また、拡散層内で他の元素とともに金属間化合物を形成し、耐熱性を向上させる。Feの好ましい割合は、1〜7質量%である。
Bは、拡散層の耐焼き付き性を向上させる。すなわち、Bを含有する拡散層が形成されたワークには、耐焼き付き性が発現する。このため、該ワークを摺動部品として供することも可能である。
なお、Bは、ホウ酸や窒化ホウ素の形態で添加すればよい。そして、Bに換算して金属粉末中に1〜20質量%含まれることが好ましい。
Crは、拡散層を高強度化して剛性を向上させる。また、拡散層の耐熱性も向上する。Crの好ましい割合は、1〜10質量%である。
Cは還元作用を有し、この作用によって各元素が酸化することを抑制する機能を営む。すなわち、Cが共存することにより、金属粉末中の他の元素が酸化することが回避される。また、他の元素の拡散を支援するとともに、拡散層の耐熱性を向上させて強度上昇にも寄与する。金属粉末中のCの好適な割合は、0.1〜0.5質量%である。
Moは、拡散層を高靱性化するとともに、他の元素と金属間化合物を形成して耐熱性を向上させる成分である。Moは、1〜5質量%であることが好ましい。
金属粉末には、さらに、Mg、ランタノイド元素、ランタノイド元素のミッシュメタル、Zr、Coが含有されていてもよい。Mgが存在すると、強度が一層優れた拡散層が得られる。ただし、Mgは酸化され易いので、5質量%までとすることが好ましい。
また、ランタノイド元素、ランタノイド元素のミッシュメタルが存在すると、拡散層の強度が優れるようになるとともに、耐熱性が向上する。さらに、拡散層に微細な析出物を析出させ、これによりワーク全体の強度を上昇させる。ランタノイド元素又はそのミッシュメタルの好ましい割合は、5質量%以下である。
Zrは、拡散層に靱性を付与する。また、析出物の成長を促進する。しかしながら、過度に大量であると強度が低下するので、5質量%までとすることが好ましい。
Coは、拡散層を高強度化するとともに他の金属間化合物を安定化し、その結果、耐熱性を向上させる。その一方で、過度に存在すると脆性を向上させるので、3質量%以下に設定される。
以上のような元素を含む金属粉末の塗布は、例えば、該金属粉末を溶媒に分散させた塗布剤を塗布することによって行うことができる。溶媒としては、アセトンやアルコール等、容易に蒸発する有機溶媒を選定することが好ましい。又は、エポキシ樹脂等をバインダとする溶液と金属粉末とを混合したペーストを塗布するようにしてもよい。
次いで、第2工程において、前記金属粉末が塗布されたワークを125〜350℃に加熱する。この加熱により、先ず、Cu及びZnが不動態を経由してワークの内部に拡散する。場合によっては、Mgも拡散することがある。
なお、加熱温度が125℃未満では拡散が起こり難い。また、350℃を超えると、Cu及びZnの拡散距離に差異が生じる。すなわち、ある部位では拡散距離が大きいのに対し、別の部位では拡散距離が小さくなる、いわゆる拡散ムラが発生する。
第2工程では、Cu及びZnをワーク内部に拡散させるべく、15分以上保持することが好ましい。
また、第2工程は、金属粉末が酸化することを回避するべく、非酸化性雰囲気中で行う。非酸化性雰囲気にするには、例えば、Arガスを使用すればよい。又は、真空にしてもよい。
窒素を用いる場合には、高圧であると、窒素によって金属粉末が窒化し、拡散速度が極めて緩慢になることがある。これを回避するべく、10-3気圧以下とすることが好ましい。
次いで、第3工程において、溶体化処理を行う。溶体化処理の好適な例としては、JISに規格されるT3処理、T4処理、T5処理、T6処理、T7処理、T8処理等が挙げられる。
この溶体化処理に伴い、上記した金属粉末に含まれる構成原子がワークの内部に拡散する。Cu、Znはこの拡散を支援する。
上記したように、ワークの表面には不動態が存在する。しかしながら、本実施の形態においては、ワーク内部にCu、Znが既に拡散しているので、他の元素の原子拡散が比較的容易に起こる。すなわち、各種の原子がワークの内部に拡散することが可能となる。
この原子拡散に伴い、ワークに拡散層が形成される。拡散層においては、金属種の上記した効果に依拠して、ワークの強度、硬度、耐熱性等の諸特性が向上する。
原子拡散の距離は、フィックの第1法則及び第2法則に従う。すなわち、温度を高くすると拡散距離が大きくなる。従って、拡散層の厚み、ひいては諸特性が向上する深さは、温度を高くすることで大きくすることができる。なお、融点未満とすることはいうまでもない。
上記の金属元素を含む金属粉末を塗布して予備拡散(第2工程)及び溶体化処理(第3工程)を行うと、拡散距離、換言すれば、拡散層の厚みは少なくとも1mmに達する。この値は、メッキや溶射、PVD、CVDによって設けられる皮膜が数十μmであるのに対して著しく大きい。このため、拡散層に基づく諸物性がワークに確実に発現する。
さらに、この拡散層は、ワーク内部に金属原子が拡散することによって形成されたものであるので、ワークから剥離することもない。
このように、本実施の形態によれば、Al又はAl基合金に金属粉末を塗布した後、予備拡散、溶体化処理を行うことで、該金属粉末の構成原子を容易且つ簡便にAl又はAl基合金に拡散させることができる。そして、その結果形成される拡散層により、Al又はAl基合金の諸特性が著しく向上する。
すなわち、Al又はAl基合金の諸特性を、表面処理によって容易且つ簡便に向上させることができる。しかも、拡散層が剥離し難いので、この諸特性が確実に維持される。
なお、ワークに対する金属粉末の塗布は、全表面であってもよいし、一部分であってもよい。すなわち、ある部位には高靱性が希求され、別のある部位には高強度が希求される部材においては、高強度が希求される部位に前記金属粉末を塗布して予備拡散、溶体化処理を行うようにすればよい。さらに、金属粉末における金属種の組成比を変更することで硬度の上昇の度合いを制御することもできるので、金属種の組成比が異なる金属粉末を部位に応じて塗布することで、各部位の硬度を相違させることもできる。このように、本実施の形態に係る金属表面処理方法は、諸特性を部位によって相違させる場合にも好適である。
Al基合金であるAC4A、AC8B、ADC12からなり、寸法が50mm×50mm×30mmである直方体形状のテストピースの各々に対して機械加工を行い、JISに規格される表面粗さをそれぞれ1.6〜3.2Sとした。この状態で、大気中で2週間放置した。
その後、各テストピースの表面に、図1に成分・組成比を示す金属粉末をペーストにしたものを塗布した。なお、厚みは0.3〜0.7mmとした。ここで、Crを含んでいない試料番号1は、参考例として示す。
ペーストを風乾した後、テストピースを熱処理炉に収容し、350℃で30分の予備加熱を行ってCu及びZnを拡散させた。その後、真空下で、溶体化処理の1種であるT6処理を行った。さらに、テストピースの略中腹部を長手方向に直交する方向に沿って分割し、表面から内部にわたってビッカース硬度を測定した。
各々での結果を、図2〜図4にそれぞれ示す。これら図2〜図4の結果から、表面から内部になるに従って硬度が低下していること、換言すれば、表面に高硬度の拡散層が設けられていることが明らかである。
図2から、AC4Aでは、拡散層が最大で1.5mm程度の深さまで形成されていることが諒解される。すなわち、この場合、メッキや溶射、PVD又はCVD等の既存の皮膜形成法に比して大きな厚みでワークの改質を行うことができる。
図3に示すAC8Bでは、AC4Aに比して拡散層の厚みが若干小さい。この理由は、AC8BにはAC4AよりもAl以外の金属原子量が多く、このために金属粉末からの拡散がやや生じ難くなるためであると推察される。
また、図4から、Siを12原子%程度含むADC12においても、表面から1〜1.2mmの深さまで拡散層を設けることが可能であることが分かる。そして、この場合、内部に存在する鋳巣の大多数が、CuやZn等が拡散することに伴って消失することも確認された。すなわち、金属粉末からの金属原子の拡散により、Al基合金の内部欠陥を低減させることもできる。このことは、内部品質が向上し、これに伴って諸物性が内部まで向上することを意味する。
以上の結果から、Al基合金の種類に関わらず厚み1mm以上の拡散層を設け得ることが明らかである。従って、例えば、仕上げ加工等の際に拡散層の一部を若干研削したとしても残部の拡散層が存在するので、拡散層に由来する諸物性を確実に発現させることが可能となる。
いわゆる1000系のAl基合金である1100−H16からなり、且つ寸法が40mm×80mm×3mmのテストピースに対し、図1における試料中の試料番号5、9、19、26、29、37のペーストを、厚みを0.2mmとして塗布した。次に、ペーストを風乾した後にテストピースを熱処理炉に収容し、350℃で30分の予備加熱を行ってCu及びZnを拡散させた。その後、真空下でT6処理を行って拡散層を設けた。
そして、拡散層が設けられたテストピースの略中腹部を長手方向に直交する方向に沿って分割し、表面から内部にわたってビッカース硬度を測定した。
その一方で、ペーストの塗布厚を0.4mmとしたことを除いては上記と同様にして別のテストピースに拡散層を設け、該テストピースにおける表面から内部にわたるビッカース硬度を測定した。
それぞれの結果を図5、図6に示す。これら図5及び図6の対比から、塗布量を多くすることでテストピースの内部の硬度を高くできることが分かる。
また、試料番号29を使用した両テストピースにつき破断面観察を行ったところ、表面からの深さが0.5mmまで変質していること、すなわち、拡散層が形成されていることが目視によっても認められた。
2000系Al基合金である2024−O、5000系Al基合金である5052−O、6000系Al基合金である6063−Oからなり、寸法が40mm×80mm×3mmである各テストピースに対し、図1中の試料番号29のペーストを厚みが0.3mmとなるように塗布した。ペーストを風乾した後、350℃で30分の予備加熱を行うことでCu及びZnを拡散させた。さらに、2024−O製テストピースに対してはT3処理、5052−O製テストピースに対してはH34処理、6063−O製テストピースに対してはT6処理を施した。
各々のテストピースにおける塗布部位の表面から内部にわたるビッカース硬度変化を図7に示す。T3処理後の2024−O、H34処理後の5052−O、T6処理後の6063−Oにおける一般的なビッカース硬度は、それぞれ、136、82、82であるから、この値と図7とを対比すれば、各テストピースにおいて、表面から少なくとも深さ1mmまで硬度が上昇していることが分かる。このことは、ペーストに含まれた元素の各テストピースへの原子拡散が起こり、その結果、拡散層が形成されたことを意味する。
高硬度である物質は、概して高強度である。すなわち、この結果から、Al基合金の硬度や強度を著しく向上できることが明らかである。
図1における試料番号37の組成中のTiを4%から5%に増加する一方、Alを7%から6%に低減した組成のペーストを調製した。
このペーストを、AC4Aからなる30mm×30mm×30mmの立方体状テストピースに塗布した。厚みは、1.2〜1.5mmとした。
ペーストを風乾した後、350℃で30分の予備加熱を行ってCu及びZnを拡散させ、次に、580℃で2時間加熱することにより溶体化処理を行った。さらに、時効処理の後、テストピースを中央で破断して研磨し、表面から内部にわたってビッカース硬度を測定した。結果をグラフにして図8に示す。
この図8と図2から、加熱保持温度を高くするに従ってテストピースのより内部まで硬度が高くなることが諒解される。この結果は、拡散距離の長短を支配する因子は主に温度の高低であることを示すフィックの第1法則及び第2法則に合致する。すなわち、温度を高くする方が、ペーストを源とする原子の拡散距離、換言すれば、拡散層の厚みが大きいからである。
結局、温度を高くすると、硬度が上昇する深さを大きくすることができる。
図1における試料番号37の組成中のCuを低減する一方、ランタノイド元素であるCe、Sm、Dyを添加して、図9に試料番号37a〜37fとして示す組成比のペーストを調製した。
このペーストを、AC8Bからなる50mm×50mm×30mmの直方体形状のテストピースの表面に、図9に成分・組成比を示すペーストを厚み0.3mmで塗布した。
ペーストを風乾した後、テストピースを熱処理炉に収容し、350℃で30分の予備加熱を行ってCu及びZnを拡散させた。さらに、真空下で、溶体化処理の1種であるT6処理を行った後、テストピースの略中腹部を長手方向に直交する方向に沿って分割し、表面から内部にわたってビッカース硬度を測定した。
各々での結果を、試料番号37での結果と併せて図10に示す。この図10から、ランタノイド元素を添加した場合、添加しない場合(試料番号37)に比して一層高硬度の拡散層を設けることができることが分かる。
各テストピースに塗布したペーストに含まれる金属粉末の成分・組成比を示す図表である。 図1のペーストが塗布されて表面処理が施されたAC4Aにおける表面から内部にわたるビッカース硬度を示す図表である。 図1のペーストが塗布されて表面処理が施されたAC8Bにおける表面から内部にわたるビッカース硬度を示す図表である。 図1のペーストが塗布されて表面処理が施されたADC12における表面から内部にわたるビッカース硬度を示す図表である。 図1のペーストが塗布されて表面処理が施された1100−H16における表面から内部にわたるビッカース硬度を示す図表である。 図1のペーストが図5に示す場合よりも多量に塗布されて表面処理が施された1100−H16における表面から内部にわたるビッカース硬度を示す図表である。 図1のペーストが同一量塗布されて表面処理が施された2024−O、5052−O、6063−Oにおける表面から内部にわたるビッカース硬度を示す図表である。 図1における試料番号37の組成中のTiを1%増加する一方Alを1%低減した組成のペーストが塗布され、図2に示す場合よりも高温で表面処理が施されたAC4Aにおける表面から内部にわたるビッカース硬度を示すグラフである。 図1における試料番号37の組成中のCuを低減する一方ランタノイド元素を添加したペースト中の成分・組成比を示す図表である。 図9のペーストが塗布されて表面処理が施されたAC8Bにおける表面から内部にわたるビッカース硬度を示す図表である。

Claims (3)

  1. Al、又はAlを60原子%以上含有するAl基合金の表面に拡散層を設ける金属表面処理方法であって、
    Al、又はAlを60原子%以上含有するAl基合金のいずれかからなる部材の表面に、Cu、Zn、Si、Mn、Ni、Fe、B、Cr、C、Moを少なくとも含有する金属粉末を塗布する工程と、
    前記金属粉末が塗布された前記部材を非酸化性雰囲気中で125〜350℃に加熱してCu及びZnを拡散させる工程と、
    Cu及びZnが拡散した前記部材に対して溶体化処理を行う工程と、
    を有することを特徴とする金属表面処理方法。
  2. 請求項1記載の処理方法において、前記金属粉末として、Mg、ランタノイド元素、ランタノイド元素のミッシュメタル、Zr、Coをさらに含有するものを使用することを特徴とする金属表面処理方法。
  3. 請求項1又は2記載の処理方法において、前記加熱をAr雰囲気、10-3気圧以下のN2雰囲気、又は真空のいずれかで実施することを特徴とする金属表面処理方法。
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