JPH0739584B2 - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JPH0739584B2
JPH0739584B2 JP31406289A JP31406289A JPH0739584B2 JP H0739584 B2 JPH0739584 B2 JP H0739584B2 JP 31406289 A JP31406289 A JP 31406289A JP 31406289 A JP31406289 A JP 31406289A JP H0739584 B2 JPH0739584 B2 JP H0739584B2
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Description

【発明の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 本発明は摺動部材に関するものである。
《従来の技術》 無潤滑条件下で使用される摺動部材には、摺動面での摩
擦係数の低減や耐摩耗性の向上が特に必要とされる。そ
のため従来より無潤滑下ですべり接触を行うこととなる
摺動部材には一般的に、摩擦係数を低減するためのZnク
ロメート処理、樹脂コーティング等を施したり、耐摩耗
性を向上させるための浸炭焼入れ等を施した摺動部材が
用いられている。
《発明が解決しようとする課題》 上記従来の摺動部材は、摺動部材特性に関する最近の厳
しい要請に応えるには、摩擦係数の低減及び耐摩耗性の
向上の点でまだ十分とは言えなかった。
そこで本発明者等は先に、摺動面にポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)が分散されたNi−Pめっき層を形成さ
せた摺動部材を提案し(特開平2-173472号、特開平2-21
9894号)ある程度の解決をみている。しかしこれとて完
全に満足できるものではなく、摺動面部で初期に発生す
る凝着摩耗により滑りが悪くなるという問題があった。
本発明はこのような問題を解決する目的でなされたもの
であり、その解決しようとする課題は、摩擦係数が低く
安定した状態に維持され、耐摩耗性が向上し、初期凝着
摩耗が発生しない摺動部材を提供することである。
《課題を解決するための手段》 上記課題を解決できる本発明の摺動部材は、摺動面部
が、母材上に形成された硬さHv450以上のポリテトラフ
ルオロエチレンが分散されたNi−Pめっき層(PTFE分散
Ni−Pめっき層;第一層)と、その上に形成されたポリ
テトラフルオロエチレン層(PTFE層;第二層)とから構
成されていることを特徴とする。
第一の層であるPTFE分散Ni−Pめっき層は、PTFE粒子を
適当に分散させたNi−Pめっき液で母材にめっき処理を
施すことにより形成できる。めっき方法自体は無電解・
化学めっきが簡便であり、母材に直接施してもよいが、
密着性を確実なものとするには被処理部を脱脂、酸洗い
した後、或は更に亜鉛置換めっき処理した後、上記めっ
き液に所望の厚さのめっき層が得られるまで浸漬すれば
よい。なお上記方法によらず、電解析出法によりNi−P
めっき層を形成させてもよい。
上記Ni−Pめっき層中のPTFEの分散量は、15Vol%未満
ではPTFEが固体潤滑材として十分役割を果さず、即ち初
期凝着摩耗の発生及び焼き付きを防止する効果が十分で
なく、逆に35Vol%を超えるとめっき層の耐摩耗性が大
幅に低下するため15〜35Vol%であるのが好ましい。PTF
Eの粒径は、好ましくは0.2〜0.6μmである。
またNi−Pめっき中のP量は2〜13wt%であるのが好ま
しい。これは2wt%未満では熱処理を行なっても十分な
硬さが得られずめっき層の摩耗量が増加し、13wt%を越
えるP量では硬さは得られてもめっき層の靱性が低下し
めっき層の剥離が発生し易くなるからである。また、上
記Ni−Pめっき層の硬さは、耐摩耗性を確保する上でHv
450以上必要であり、めっき処理後の熱処理で達成し得
る。外熱処理はNi−Pめっき層を加熱することによりNi
-Ni3P共晶体として硬化させる処理である。その硬さは
熱処理の温度や時間で調節することができ、通常250℃
×1hrの熱処理で十分である。
第二層のPTFE層は次の二種類の層のどちらでも良い: 上記“PTFE被膜層”は、0.5〜2.0μm程度の厚さでよ
く、第一層として形成させたPTFE25〜35vol%分散Ni−
Pめっき層を350〜450℃で約1時間熱処理することによ
り形成させることができる。また“PTFEコーティング
層”は、PTFE+溶剤等より成る塗料を浸漬法、噴霧法等
でコーティングし焼付け乾燥させることにより形成させ
ることができ、該層の場合その厚さは1〜10μmが良
い。
母材の材質は特に限定されず、各種鋼、アルミニウム合
金等、Ni−Pめっき層を形成できる材料であればよい。
以上の知見から本発明は摺動部材の新規製造方法をも提
供することになり、その方法は、母材の少なくとも摺動
面にPTFE15〜35vol%分散Ni−2〜13wt%Pめっき層を
形成させた後、該めっき層を350〜450℃で約1時間熱処
理するか又は上記めっき層の上に純PTFEコーティング層
を形成させることを特徴とする。
なおPTFE層として“PTFE被膜層”を設ける場合の長所と
しては、熱処理だけで表面にPTFE層を形成できるため
コストが安い.コーティングに較べ工程が少なくて済
む.同一組織から表面上に被膜を形成するため密着性
が良い.等が挙げられ、一方、“PTFEコーティング層”
を設ける場合の長所としては、PTFE層を厚く形成でき
る.PTFE層の厚さを均一にできる.容易な浸漬法で
コーティングでき、安定した品質が得られる.表面の
平滑性が良い(摺動面がシビアな部品に適用可能)等が
挙げられる。
《作用》 PTFE分散Ni−Pめっき層は優れた耐摩耗性を示し、その
Ni−Pマトリックス中に分散しているPTFEが摺動面での
摩擦係数を長期安定的に低減する。
PTFE分散Ni−Pめっき層の上に更にPTFE層を設けると、
該PTFE層が相手材に転写し、摩擦係数の低く安定した状
態を助長するとともに初期の摩擦係数を大きく低減させ
るので、初期凝着特性が向上する。
《実施例》 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
参考例1 スチール(JIS規格S45C)製で大きさが長さ70mm×巾15m
m×10mmの平板片を、PTFE(粒径φ0.2〜0.3μm)、硫
酸ニッケル、次亜燐酸ソーダ、アルキルヒドロキシカル
ボン酸(錯化剤)、アルキルジカルボン酸(反応促進
剤)、安定剤、pH調製剤等をを適当に含む浴温85〜90℃
のめっき液に90分程度浸漬し、厚さ15μmのPTFE25vol
%分散Ni−8%P合金めっき層を形成させた後、300℃
×1hrの熱処理を行なうことにより、合金めっき層の硬
さをHv550とした摩擦試験用の平板試験片(70mm×15mm
を試験面とする)を作製した。
実施例1 参考例1と同様な方法で厚さ15μmのPTFE30vol%分散N
i−8%P合金めっき層を形成させた後、400℃×1Hrの
熱処理を行うことにより、めっき層中のPTFEがにじみ出
て表面に厚さ1μmのPTFE被膜を生じた平板試験片を作
製した。この試験片の硬さはHv550であった。
実施例2 参考例1と同様な方法で厚さ15μmのPTFE25vol%分散N
i−8%P合金めっき層を形成させ、300℃×1Hrの熱処
理後、純PTFEをティッピングにより焼成条件250℃×30
分でコーティングし、めっき層上に厚さ5μmの純PTFE
コーティング層を持つ平板試験片を作製した。この試験
片の硬さはHv530であった。
比較例1〜3 比較例1、2及び3の平板試験片として夫々、S45C鋼に
Znクロメート処理(8μm)を施したもの、快削鋼に浸
炭焼入れを施したもの及びS45C鋼にNi−8wt%Pめっき
(15m)を施したものを作製した。なお硬さは夫々Hv20
0、Hv750及びHv600であった。
相手材(ピン試験片)の製造 スチール(JIS規格SWRCH10R)製で大きさが直径4mm×長
さ5mmで試験面がR10のピンに、浸炭焼入れを施すことに
より、硬さHv700のピン試験片を製作した。該ピン試験
片を上記各参考例、実施例及び比較例の平板試験片と組
み合わせて摩擦試験を行なった。各組合せをまとめて次
表に示す。
摩擦試験 上記表に示されている各組合せ試験片を順次バウデン式
摩擦試験機にセットし、約80℃に加熱した平板試験片の
70mm×15mmにピン試験片を接触させ、荷重0.5kgfを負荷
しながら3.3mm/sの滑り速度で平板試験片側を往復摺動
させる摩擦試験を行い、往復サイクル数と摩擦係数
(μ)の関係を調べた。なお平板試験片の表面粗さは2
〜3μmRZである。この摩擦試験結果を第1図に示す。
第1図から判かるように実施例1及び2の試験片はいず
れも比較例1〜3の試験片に比べμレベルが低く、しか
も安定したμを示す。
比較例1では初期μはZnクロメートの効果により低くな
っているが、サイクル数の増加とともにZnクロメートが
摩耗して凝着が発生し、μはすぐに高値となる。参考例
1ではPTFE分散の効果により比較例3に比べてμレベル
は低くなっているが初期のμが高く、初期の凝着摩耗特
性に対してはまだ充分とは言えない。
実施例1は、参考例1のPTFE分散Ni−Pめっき層の上に
更にPTFE被膜が形成されているため、初期のμはさらに
低くなり、初期の凝着特性に優れるが、PTFE被膜が1μ
mと薄いため効果が持続せず20サイクル付近からは参考
例1と同等のμレベルとなる。
一方、実施例2では純PTFEコーティング層が形成されて
いるため、初期のμは低く、初期の凝着特性に優れる。
またコーティング層の厚さが5μmと実施例1に比べ厚
いため、この効果が持続し、μは安定して低い値を保
つ。
摩耗試験 参考例2、実施例3及び4、並びに比較例4、5及び6
の各平板状試験片(25mm×25mm×10mm)を夫々前記参考
例1、実施例1及び2、並びに比較例1、2及び3の各
平板試験片の材料で作製し、また前記ピン試験片の材料
で外径30mm×当り巾3mmのリング試験片を作製し、それ
らを前記第1表の材料組合せA〜Fと同一となるように
組合わせて摩耗試験に供した。
摩耗試験は、各組合せ試験片を順次大越式摩耗試験機に
セットし、リング試験片を0.3m/sで回転させ、それに平
板状試験片を押付け、段階的に6.3kgまで押付荷重を増
加させて滑り距離100mでの摩耗体積を測ることにより行
った。この摩耗試験結果を第2図に示す。
第2図から判かるように実施例3及び4の試験片は硬度
がHv500〜550と高いため、いずれも比較例4の試験片に
比べ耐摩耗性は約3倍向上する。
《発明の効果》 以上の如く本発明の摺動部材は、摺動面に硬さHv450以
上のPTFE分散Ni−Pめっき層を設け、該層の上に更にPT
FE層を設けたものであるため、従来の摺動部材に比べ初
期の摩擦係数が一段と低くなり、しかもその低い摩擦係
数が安定的に維持される。そのため耐摩耗性は約3倍向
上する。
従って本発明の摺動部材を自動車等に使用することによ
り、その耐久性、信頼性等を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例、参考例及び比較例の各摺動部
材の摩擦試験結果をまとめて示す図、第2図は同じく摩
擦試験結果に係る図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10M 103:04) C10N 10:16 20:00 Z 40:02 50:08

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】摺動面部が、母材上に形成された硬さHv45
    0以上のポリテトラフルオロエチレンが分散されたNi−
    Pめっき層と、その上に形成されたポリテトラフルオロ
    エチレン層とから構成されていることを特徴とする摺動
    部材。
JP31406289A 1989-12-02 1989-12-02 摺動部材 Expired - Fee Related JPH0739584B2 (ja)

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WO2002019313A1 (fr) * 2001-03-05 2002-03-07 Gotoh Gut Co., Ltd. Enrouleur de cordes pour un instrument a cordes
WO2002073590A1 (fr) * 2001-03-05 2002-09-19 Gotoh Gut Co., Ltd. Composants metalliques pour instrument a cordes

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