JP2004065685A - 煮物用あく取りシート - Google Patents
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Abstract
【課題】あくや油分を付着させる除去性能に優れ、落としぶたとしての機能も有し、構造が簡単で量産性に優れた煮物用あく取りシートを提供する。
【解決手段】略円形又は略方形に形成された不織布シートと、前記不織布シートに直線状又は曲線状に形成された複数の切れ目部とを備え、前記切れ目部の互いに隣接した前記直線状部分又は前記曲線状部分が所定間隔を有して平行配置された煮物用あく取りシートとして、鍋等の煮汁を対流させ、煮汁中を上下に運動する大根等の食材が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シートを密着させ食材の周囲に特に濃縮され易いあくや油分を効率的に吸着させる。
【選択図】 図1
【解決手段】略円形又は略方形に形成された不織布シートと、前記不織布シートに直線状又は曲線状に形成された複数の切れ目部とを備え、前記切れ目部の互いに隣接した前記直線状部分又は前記曲線状部分が所定間隔を有して平行配置された煮物用あく取りシートとして、鍋等の煮汁を対流させ、煮汁中を上下に運動する大根等の食材が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シートを密着させ食材の周囲に特に濃縮され易いあくや油分を効率的に吸着させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は煮物を調理する際に使用される煮物用あく取りシートに関する。さらに詳しくは、煮汁の表面に浮き上がるあくや油分等を付着させて除くことのできる煮物用あく取りシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
煮物やスープを調理する際には、肉や魚等から大量のあくや油分が発生し煮汁の液面に浮き上がり、放っておくと仕上がりの外観が悪くなると共に味も低下することが知られている。そこで、従来は玉杓子等を使用してこまめにあくや油分を取り除くことが必要であった。
しかしながらこの作業は煩雑であり、また、玉杓子等で掬うと煮汁まで掬いとってしまうため煮汁が無駄に捨てられ、あくや油脂を完全に取り除くことは困難であった。
そこで近年、親油性繊維からなる不織布や紙等のあく取りシートを鍋等に入れて、これに付着吸着される方法が検討されている。
例えば、実開平1−59551号公報(以下イ号公報という)には、ポリプロピレン製の不織布シートを薄い円盤状にしたあく取り材が開示されている。
実開平2−55851号公報(以下ロ号公報という)には、イ号公報と同様の形状の不織布シート製のあく取り材と、放射方向に切り込みを入れた不織布シートを複数枚重ねたあく取り材が開示されている。
特開平8−24149号公報(以下、ハ号公報という)や登録実用新案第2581656号公報(以下ニ号公報という)には、不織布シートに円形の孔を形成したあく取り材が開示されている。
実開平4−77835号公報(以下ホ号公報という)には、紙製や不織布製のシートに複数の円形の通汁孔を設けた落としぶたが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の煮物用あく取りシートは、以下のような課題を有していた。
(1)イ号公報やロ号公報に記載の煮汁をシートの表裏面に流通させるための煮汁孔等が形成されていないあく取り材は、あくや油が主にあく取り材のシート下面には付着するが、その上面にはほとんど付着しないため、あく取り容量が少なく十分なあく取りが困難で、調理中に新しいあく取り材と交換したりしなければらないという問題点を有していた。
(2)ロ号公報のように放射状の切り込みを入れた不織布シートを複数枚重ねたようなあく取り材では、シート状の各部分で各切れ目の間隔がそれぞれ異なるために、股肉や魚肉の切身、大根、ニンジン等の比較的大きな食材が煮汁の表面に浮遊してシートと接触する際には、その丸み等を帯びあくが濃縮された表面にシート部を密着させてあくを効率的に吸着させることが困難であるという問題点があった。
(3)また、複数枚を重ねるため、製造工数が多く必要となり生産性に欠けると共に、不織布シートの使用量が多くなって経済性に欠けるという問題点を有していた。
(4)ハ号公報やニ号公報に記載のあく取り材は、孔の面積分だけ不織布シートの面積が減り、あくや油の吸着量が少なくなるという問題点を有していた。
(5)また、大きな孔を形成した場合は、一旦あく取り材の上面に吹き上がった煮汁が、あくや油脂が完全に除かれないうちに孔や周囲からショートパスして煮汁中に戻るという問題点を有していた。
(6)ハ号公報及びニ号公報に記載のあく取り材や、ホ号公報に記載の落としぶたは、円形の孔が形成された部分から蒸気圧がすぐに抜けるため、煮汁の吹き上がりが不十分となり易いために、少ない煮汁で調理する場合や煮汁が少なくなった場合に吹き上がった煮汁を落としぶたの下面を伝わらせて落としぶたの周縁部などに循環させ食材に効果的に行き渡らせることができず、食材への味のしみ込みや煮上がりが不均一になり易いという問題点を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の技術の課題を解決するもので、あくや油分を付着させる除去性能に優れ、構造が簡単で量産性に優れた煮物用あく取りシートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の煮物用あく取りシートは、略円形又は略方形に形成された不織布シートと、前記不織布シートに直線状又は曲線状に形成された複数の切れ目部とを備え、前記切れ目部の互いに隣接した前記直線状部分又は前記曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されて構成されている。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)複数の切れ目部が平行配置され、その直線状部分又は波形等の曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、鍋等の煮汁が沸騰により対流して、煮汁中を上下に運動する股肉や切身、大根等の食材が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シートを密着させ、食材の周囲に特に濃縮され易いあくをかき取ったり、吸着させたりすることができ、あくや油分の除去性に優れる。
(2)切れ目部が形成され、煮汁は切れ目部の隙間から煮物用あく取りシートの上面に吹き上がって流動するので、上面から下面に通過する際にこの狭まった部分で煮汁中のだし屑等の固形分を漉し取ることもできる。
(3)加熱が弱まった時には切れ目部の隙間が閉じるので、煮汁が戻りにくく、あくや油分を逆流させることなく取り除くことができ、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
(4)煮汁が少なくなった場合も切れ目部が大きく開口しないため、煮汁の保温性に優れ、食材に味をムラなく浸透させることができる。
(5)直線状部分又は曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、煮物用あく取りシートの全面に渡って切れ目部の開口度を略等しくして、あくを均一に吸着してシート一枚たりのあくの吸着量を高めることができ、経済性に優れる。
(6)切れ目部を煮物用あく取りシートの略中央付近に形成した場合は、通常のガス等の加熱器具で加熱する際に、対流により煮汁の略中央から煮汁が吹き上がり、煮物用あく取りシートの上面から外周方向に向かって流れるため、効果的にあくや油脂を付着させ除くことができる。
(7)切れ目部を煮物用あく取りシートの略全面に分散させて形成した場合は、電磁調理器等で煮物容器の底面の略全面を一様に加熱し煮汁が複雑な対流となる場合にも対応し効果的にあくや油脂を除くことができる。
【0006】
ここで、不織布シートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン,ポリアクリロニトリル,ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等が使用され、特に比重が小さく親油性に優れたポリエチレン,ポリプロピレンが好適に使用される。これらの繊維は単独で使用してもよく、混織したものでもよい。また、比重を調節したり煮汁とのなじみをよくするために親水性繊維等を含有させてもよい。
繊維径は1〜15デニール程度が好ましく、あくや油脂の付着性に優れる2〜10デニールのものがより好適に使用される。
不織布シートは、前記繊維をメルトブロー法やサーマルボンド法,スパンレース法等で交絡させたものが使用され、中でも、強度、密度、生産性の点で優れ、また、水圧による交絡法であるため接着剤や熱処理が不要なスパンレース法によるものが特に生産性や経済性等の面から好適に使用される。
不織布シートの見掛け密度は0.01〜0.10g/cm3、目付けは20〜60g/m2程度に形成すると、あくや油脂の付着率が優れるため好ましい。
【0007】
切れ目部は、直線状や略くの字状、略コの字状、ジグザグ状、波型状、略円弧状、略放物線状等に形成することができる。
切れ目部は、不織布シートを裁断したり、所要長さや形状のカッターを押し当てたりして形成される。また、例えば0.5〜1mm程度の幅を持たせるように切り取ったり、成形したりすることもできる。この切れ目部の幅は、煮物用あく取りシートの厚みや強度等にもよるが、1mmを超えると、煮汁がこの間隙を通過する際の流動抵抗が減少して保温性が減退したり、耐久性が低下したりするので好ましくない。
切れ目部の互いに隣接した直線状部分又は曲線状部分は平行配置され、これによって、鍋等で煮られる食材が切れ目部間に絡み付き易くなり食材の運動を妨げることなく、食材の表面に不織布シートを十分に密着させて大量のあくや油分を切れ目部の長さは煮物用あく取りシートの大きさ等にもよるが、10mm〜150mm程度に形成されることが好ましく、20mm〜100mmに形成されることがより好ましい。切れ目部の長さが20mmより短くなるにつれ切れ目部からの煮汁の吹き上がりが十分に行われなくなる傾向が見られ、150mmより長くなるにつれ、煮物用あく取りシートの引っ張り強度が低下すると共に、落としぶたとして使用する際に大きく開口してしまい、煮汁を食材に行き渡らせることが困難になる傾向が見られるので、いずれも好ましくない。さらに、10mmより短くなるか、150mmより長くなるにつれ上記傾向が著しくなるので、好ましくない。
【0008】
請求項2に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1に記載の発明において、平行配置された前記切れ目部の直線部分又は曲線部分の間隔が3〜30mmであるように構成されている。
この構成によって、請求項1の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)切れ目部の直線部分又は曲線部分の間隔が特定範囲に形成されているので、不織布シートが食材の形に倣って食材に容易に密着して、煮汁の沸騰により煮汁が上下振動することで、効率良く煮物に付着したあくをすくい取ることができる。
ここで、切れ目部の互いに隣接した直線状部分又は曲線状部分の間隔は3〜30mmの範囲に設定することが好ましい。これは調理する食材の種類や鍋等の大きさ等にもより多少変動するが、間隔が3mmより少ないと、鍋等で煮られる食材が切れ目部間に絡み付き易くなり食材の運動を妨げる傾向にあり、逆に30mmを超えると食材の表面に不織布シートを十分に密着させることが困難となってあくの吸着が妨げられるからである。
【0009】
請求項3に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1又は2に記載の発明において、前記不織布シートに形成された前記切れ目部の配置パターンが、前記不織布シートの略中心に対して点対称状であるように構成されている。
この構成によって、請求項1又は2の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)沸騰した煮汁は鍋の中心部から上に吹き上がるので、切れ目部の配置パターンを点対称にすることで、煮汁と共に中心から周縁に向かって移動するあくをこの切れ目の部分で効果的に捕捉してあく取りを行うことができる。
(b)切れ目部の配置パターンが煮物用あく取りシートの略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシートにあくと油分を均一に分散させて付着し、煮物用あく取りシートの全面を有効に利用することができる。
(c)略山形状又は略円弧状等に切れ目部を形成し、煮物用あく取りシートの中心に対して略同一周回方向に配向するように形成した場合には、煮汁の吹き上がりに伴う流れが旋回流となるため、一箇所の切れ目部から吹き上がったあくや油脂が他の箇所の切れ目部から煮汁中に戻るのを防止でき、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
【0010】
請求項4に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の発明において、前記不織布シートがその周囲に突出して延設された膨出部を有して構成されている。
この構成によって、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)不織布シートがその四隅等の周囲に突出して延設された膨出部を備えているので、鍋等の調理容器の側面と煮物用あく取りシートの周縁部との間の煮汁面を開口させ、この開口部を介して煮汁を煮物用あく取りシートの中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート上の煮汁の動きを維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めることができ、大量のあくや油脂を除くことができる。
ここで、膨出部は円形状、多角形状等の一部をなす半円形、半多角形状等に不織布シートを裁断したり、押し切ったりすることで煮物用あく取りシートの周縁から突出して形成される。これによって、不織布シートを鍋の煮汁面に浮かべたときに、その鍋の内壁面との間に10〜50mm、好ましくは、20〜40mm程度の間隙を有した開口部を形成することができる。鍋等の調理容器の形状や大きさ、調理法等にもより左右されるが、この間隙が20mmより少なくなるにつれ、調理中に煮汁が不織布シートの上面に対流する対流量が不足し、効果的にシート上面でのあく取りが不十分となる傾向が現れ、逆に間隙が40mmを超えるにつれ、鍋内の煮汁に対する保温性が低下したり、あく取りの吸着量が少なくなったりする傾向が現れるので好ましくない。これらの傾向は間隙が10mmより少なくなるか、50mmを超えるとさらに顕著になるので好ましくない。
【0011】
請求項5に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の発明において、前記不織布シートが、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等の親油性繊維からなるように構成されている。
この構成によって、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)不織布シートが親油性繊維からなるので、調理によって煮汁中に生じるあくや油分をさらに効率的に吸着できると共に、耐久性や調理性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
(b)異なる種類の親油性繊維を複数組み合わせたり、親水性繊維等を混合することもでき、吸着性や可撓性、耐久性に応じてこれらの混合比率を設定して、
これらの機能性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における煮物用あく取りシートの平面図である。
図1において、10は実施の形態1の煮物用あく取りシート、11は略円形に形成された不織布シート、12は不織布シート11に直線状に形成され互いに隣接した直線状部分が所定間隔を有して平行配置された複数の切れ目部である。
不織布シート11はポリエチレンやポリプロピレン、ポリアクリル、ポリメタクリル酸、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等の親油性繊維を材料とした直径が約100mm〜300mm、厚みが約0.5〜3mmの円盤状に形成されている。
直線状又は曲線状に形成された複数の切れ目部12はそれぞれが互いに不織布シート11の直径の約1/10〜1/5に相当する間隔を有して平行に配置されており、例えば、カッター等を用いて不織布シート11を押し切ることで形成されている。
【0013】
以上のように構成された実施の形態1の煮物用あく取りシート1の使用方法を、以下に説明する。
図2は実施の形態1の煮物用あく取りシート10を用いる調理方法の説明図である。
図2において、13は鍋、14は煮物用あく取りシート10がその鍋13中の表面に浮かべられるあくや油分を含む煮汁、15は煮汁14で煮炊きされる骨付き股肉や大根、ニンジン等の食材、16は鍋13の鍋蓋である。
先ず、食材15に水や、だし汁を加えた後に、煮物用あく取りシート10を煮汁14の液面に浮かべる。鍋蓋16を被せて加熱を開始し、煮汁14の液温が徐々に上昇するにつれて食材15からあくや油脂が分離し液面に浮かび上がり、煮物用あく取りシート10に付着し除かれる。
煮込みを続けると、煮汁14からのあくや油分の発生はほとんど停止し、蒸発により煮汁14が少なくなり食材15が煮汁14の液面より上に出るようになると、食材15の上に煮物用あく取りシート10が載り、切れ目部12により食材15の表面に不織布シート11が密着して、食材15の周囲に濃縮あるいは付着しているあくや油分がぬぐい取られる。
【0014】
実施の形態1の煮物用あく取りシート10は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)切れ目部12が平行配置され、その直線状部分又は曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、鍋13の煮汁14が沸騰により対流して、煮汁14を上下に運動する該股肉等の食材15が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シート11の面を密着させることができ、食材15の周囲に特に濃縮され易いあくや油分を効率的に吸着させることができる。
(2)切れ目部12が形成され、煮汁14は切れ目部12の隙間から煮物用あく取りシートの上面に吹き上がって流動するので、上面から下面に通過する際にこの狭まった部分で煮汁14中のだし屑等の固形分を漉し取ることもできる。
(3)加熱が弱まった時には切れ目部12の隙間が閉じるので、煮汁が戻りにくく、あくや油分を逆流させることなく取り除くことができ、食材15への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
(4)煮汁14が少なくなった場合も切れ目部12が大きく開口しないため、煮汁14の保温性に優れ、食材15に味をムラなく浸透させることができる。
(5)直線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、煮物用あく取りシート10の全面に渡って切れ目部12の開口度を略等しくして、あくを均一に吸着させあくの吸着量を高めることができ、経済性に優れる。
(6)切れ目部12の直線部分又は曲線部分の間隔が特定範囲に形成されているので、不織布シート11が食材15の形に倣って食材15に容易に密着して、煮汁14の沸騰により煮汁14が上下動することで、効率良く煮物の食材15に付着したあくをすくい取ることができる。
(7)不織布シート11が親油性繊維からなるので、調理によって煮汁14中に生じるあくや油分をさらに効率的に吸着できると共に、耐久性や調理性に優れた煮物用あく取りシート10を提供できる。
【0015】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2の煮物用あく取りシートの平面図である。
図3において、20は実施の形態2の煮物用あく取りシート、22は不織布シート11に直線状に形成され互いに隣接した直線状部分が所定間隔を有して平行配置された複数の切れ目部、23は不織布シート11の四隅に突出して延設された膨出部である。
なお、実施の形態2の煮物用あく取りシート20は、不織布シート11に形成れる切れ目部22の配置パターンの点と、不織布シート11の四隅に半円形状に突出した膨出部23を有する点とで実施の形態1のものと異なっており、その他の構成は略同じなので、これらについては同一の符号を付して説明を省略する。
不織布シート11に複数直線状に形成される切れ目部22は、略円形状をなす不織布シート11の中心に対して全体が略点対称となるパターンで配置されている。即ち、不織布シート11の半径に対して1/2〜1/3長さの直線状の切れ目部22が、中心からそれぞれ直角となる東西南北4方向に等間隔例えば20〜50mmの間隔で平行放射状に配列されている。
膨出部23は略半円形状の一部をなすように不織布シート11の四隅から突出して延設され、この膨出部23を鍋13の内壁に当接させることで膨出部23の周囲に不織布シート11で覆われることのない所定の開口部を形成させることができるようになっている。
図4は実施の形態2の煮物用あく取りシート20を用いる調理方法の説明図である。
図4において、13aは不織布シート11の膨出部23が鍋13の内壁面と接触せずに不織布シート11で煮汁面が塞がれることなく開口した開口部である。
煮物用あく取りシート20はその四隅に膨出部23を有しているので、沸騰する煮汁14が鍋13の内壁の不織布シート11と近接していない開口部13aから沸出して煮物用あく取りシート20の上面に行き渡らせることができる。
【0016】
実施の形態2の煮物用あく取りシート20は以上のように構成されているので、実施の形態1の作用に加えて以下の作用を有する。
(1)煮物用あく取りシート20に形成された切れ目部22の配置パターンが不織布シート11の略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシート20にあくと油分を均一に分散させて付着させ、不織布シート11の全面を有効に利用することができる。
(2)不織布シート11がその周囲に延設された膨出部23を備えているので、鍋13の調理容器の側面と煮物用あく取りシート20の周縁部との間の煮汁面を開口させ、この開口部13aを介して煮汁14を煮物用あく取りシート20の中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート20上の煮汁14の動きを維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めて、大量のあくや油脂を除くことができる。
【0017】
(実施の形態3)
図5(a)は本発明の実施の形態3の煮物用あく取りシートの平面図であり、図5(b)はその変形例1の平面図であり、図5(c)はその変形例2の平面図である。
図5(a)において、30は実施の形態3の煮物用あく取りシート、31〜34は不織布シート11に直線状部分と直線状部分を結合させる湾曲した曲線状部分とを周期的に形成して全体が櫛の歯状のパターンとなるように形成されその直線状部分が所定間隔を有して平行配置された切れ目部である。
なお、実施の形態3の煮物用あく取りシート30は、不織布シート11に形成された切れ目部31〜34の配置パターンが実施の形態1の切れ目部12の配置パターンと異なっており、他の材料構成等は略同じなので、これらについては同一の符号を付して説明を省略する。
不織布シート11に複数形成される切れ目部31〜34は、略円形状をなす不織布シート11の中心に対して切れ目部31と切れ目部33、及び切れ目部32と切れ目部34とがそれぞれ略矩形ジグザグ状に折り返して全体が点対称となるパターンで配置されている。
各切れ目部31〜34には、不織布シート11の半径の長さ方向に略4〜6等分するように所定長さ、例えば20〜50mmの長さを有する直線部分が配置されこの直線部分が湾曲状の曲線部によって連結されている。
【0018】
ここで、図5(b)、(c)は切れ目部が図5(a)とは異なる形態で配置された変形例1の煮物用あく取りシート30aと変形例2の煮物用あく取りシート30bを示している。変形例1の煮物用あく取りシート30aは、図5(b)に示すようにその切れ目部31a〜34aが湾曲して略同心円状に配列されその端部で曲線状部分により連結されジグザグ状に形成され、これによって全体が円形の不織布シート11の全面にわたって切れ目部をほぼ均等に配置できるようにしている。
変形例2の煮物用あく取りシート30bは図5(c)に示すように切れ目部31b〜34bが直線状に形成されると共にその端部で曲線状部分で連結されジグザグ状に配置されているので、不織布シート11の面を切れ目部31b〜34bで有効にカバーできると共にその不織布シート11の裁断等における切れ目部31b〜34bの形成を容易にできる。
【0019】
実施の形態3の煮物用あく取りシート30は以上のように構成されているので、実施の形態1の作用に加えて以下の作用を有する。
(1)切れ目部31〜32が直線部分とこれに連設された曲線部からなる舌片状部を有するので、煮物の食材15が沸き上がって煮物用あく取りシート30に当接したときの開口度を大きくでき、しかも食材15との密着性も確保することができ、あくや油分の吸着性に優れている。
(2)煮物用あく取りシート30に形成された切れ目部31〜34の配置パターンが不織布シート11の略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシート30にあくと油分を均一に分散させて付着させ、不織布シート11の全面を有効利用することができる。
【0020】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4の煮物用あく取りシートの平面図である。
図6において、40は実施の形態4の煮物用あく取りシート、41〜44は不織布シート11に直線状部分と直線状部分を結合させる湾曲した曲線状部分とを周期的に連結させて全体が櫛の歯状のパターンとなるように形成されその直線状部分が所定間隔を有して平行配置された切れ目部、45は不織布シート11の四隅に突出して半円形状に形成された膨出部である。
なお、切れ目部41〜44に適用される不織布シート11上の配置パターンとしては、図6に示したものの他に図5の実施の形態3に示したようなものも適用することができる。
なお、実施の形態4の煮物用あく取りシート40は、実施の形態3の不織布シート11が膨出部45を備えている点で実施の形態3のものと異なっており、他の材料構成等は略同じなので、これらについては同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態4の煮物用あく取りシート40は以上のように構成されているので、実施の形態1及び実施の形態3の作用に加えて以下の作用を有する。
(1)膨出部45を備えているので、煮汁14を煮物用あく取りシート40の中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート40上の煮汁14の動きを適正に維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めて、大量のあくや油脂を除くことができる。
(2)煮物用あく取りシート40が略丸形や略方形等の種々の形状の調理容器に適用でき、汎用性に優れる。
【0021】
以上、実施の形態1〜4について説明したが本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく広く適用できる。例えば、全体が湾曲したような切れ目部を一本形成し、この切れ目部から所定間隔でずらして隣接した別の切れ目部を配置してこれを繰り返して不織布シートの中心点に合わせた螺旋状等の周期パターンとすることもでき、また所定間隔を有した螺旋状に切れ目部を形成することもできる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に記載の煮物用あく取りシートによれば、以下の効果を有する。
(a)複数の切れ目部が平行配置され、その直線状部分又は波形等の曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、鍋等の煮汁が沸騰により対流して、煮汁中を上下に運動する股肉や切身、大根等の食材が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シートを密着させ、食材の周囲に特に濃縮され易いあくをかき取ったり、吸着させたりすることができ、あくや油分の除去性に優れる。
(b)切れ目部が形成され、煮汁は切れ目部の隙間から煮物用あく取りシートの上面に吹き上がって流動するので、上面から下面に通過する際にこの狭まった部分で煮汁中のだし屑等の固形分を漉し取ることもできる。
(c)加熱が弱まった時には切れ目部の隙間が閉じるので、煮汁が戻りにくく、あくや油分を逆流させることなく取り除くことができ、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
(d)煮汁が少なくなった場合も切れ目部が大きく開口しないため、煮汁の保温性に優れ、食材に味をムラなく浸透させることができる。
(e)直線状部分又は曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、煮物用あく取りシートの全面に渡って切れ目部の開口度を略等しくして、あくを均一に吸着してシート一枚たりのあくの吸着量を高めることができ、経済性に優れる。
(f)切れ目部を煮物用あく取りシートの略中央付近に形成した場合は、通常のガス等の加熱器具で加熱する際に、対流により煮汁の略中央から煮汁が吹き上がり、煮物用あく取りシートの上面から外周方向に向かって流れるため、効果的にあくや油脂を付着させ除くことができる。
(g)切れ目部を煮物用あく取りシートの略全面に分散させて形成した場合は、電磁調理器等で煮物容器の底面の略全面を一様に加熱し煮汁が複雑な対流となる場合にも対応し効果的にあくや油脂を除くことができる。
【0023】
請求項2に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1の効果の他、以下の効果を有する。
(a)切れ目部の直線部分又は曲線部分の間隔が特定範囲に形成されているので、不織布シートが食材の形に倣って食材に容易に密着して、煮汁の沸騰により煮汁が上下振動することで、効率良く煮物に付着したあくをすくい取ることができる。
【0024】
請求項3に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1又は2の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)沸騰した煮汁は鍋の中心部から上に吹き上がるので、切れ目部の配置パターンを点対称にすることで、煮汁と共に中心から周縁に向かって移動するあくをこの切れ目の部分で効果的に捕捉してあく取りを行うことができる。
(b)切れ目部の配置パターンが煮物用あく取りシートの略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシートにあくと油分を均一に分散させて付着し、煮物用あく取りシートの全面を有効に利用することができる。
(c)略山形状又は略円弧状等に切れ目部を形成し、煮物用あく取りシートの中心に対して略同一周回方向に配向するように形成した場合には、煮汁の吹き上がりに伴う流れが旋回流となるため、一箇所の切れ目部から吹き上がったあくや油脂が他の箇所の切れ目部から煮汁中に戻るのを防止でき、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
【0025】
請求項4に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)不織布シートがその四隅等の周囲に突出して延設された膨出部を備えているので、鍋等の調理容器の側面と煮物用あく取りシートの周縁部との間の煮汁面を開口させ、この開口部13aを介して煮汁を煮物用あく取りシートの中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート上の煮汁の動きを維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めることができ、大量のあくや油脂を除くことができる。
【0026】
請求項5に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)不織布シートが親油性繊維からなるので、調理によって煮汁中に生じるあくや油分をさらに効率的に吸着できると共に、耐久性や調理性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
(b)異なる種類の親油性繊維を複数組み合わせたり、親水性繊維等を混合したりすることもでき、吸着性や可撓性、耐久性に応じてこれらの混合比率を設定して、これらの機能性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の煮物用あく取りシートの平面図
【図2】実施の形態1の煮物用あく取りシートを用いる調理方法の説明図
【図3】本発明の実施の形態2の煮物用あく取りシートの平面図
【図4】実施の形態2の煮物用あく取りシートを用いる調理方法の説明図
【図5】(a)本発明の実施の形態3の煮物用あく取りシートの平面図
(b)変形例1の煮物用あく取りシートの平面図
(c)変形例2の煮物用あく取りシートの平面図
【図6】本発明の実施の形態4の煮物用あく取りシートの平面図
【符号の説明】
10 実施の形態1の煮物用あく取りシート
11 不織布シート
12 切れ目部
13 鍋
13a 開口部
14 煮汁
15 食材
16 鍋蓋
20 実施の形態2の煮物用あく取りシート
22 切れ目部
23 膨出部
30、30a、30b 実施の形態3の煮物用あく取りシート
31〜34、31a〜34a、31b〜34b 切れ目部
40 実施の形態4の煮物用あく取りシート
41〜44 切れ目部
45 膨出部
【発明の属する技術分野】
本発明は煮物を調理する際に使用される煮物用あく取りシートに関する。さらに詳しくは、煮汁の表面に浮き上がるあくや油分等を付着させて除くことのできる煮物用あく取りシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
煮物やスープを調理する際には、肉や魚等から大量のあくや油分が発生し煮汁の液面に浮き上がり、放っておくと仕上がりの外観が悪くなると共に味も低下することが知られている。そこで、従来は玉杓子等を使用してこまめにあくや油分を取り除くことが必要であった。
しかしながらこの作業は煩雑であり、また、玉杓子等で掬うと煮汁まで掬いとってしまうため煮汁が無駄に捨てられ、あくや油脂を完全に取り除くことは困難であった。
そこで近年、親油性繊維からなる不織布や紙等のあく取りシートを鍋等に入れて、これに付着吸着される方法が検討されている。
例えば、実開平1−59551号公報(以下イ号公報という)には、ポリプロピレン製の不織布シートを薄い円盤状にしたあく取り材が開示されている。
実開平2−55851号公報(以下ロ号公報という)には、イ号公報と同様の形状の不織布シート製のあく取り材と、放射方向に切り込みを入れた不織布シートを複数枚重ねたあく取り材が開示されている。
特開平8−24149号公報(以下、ハ号公報という)や登録実用新案第2581656号公報(以下ニ号公報という)には、不織布シートに円形の孔を形成したあく取り材が開示されている。
実開平4−77835号公報(以下ホ号公報という)には、紙製や不織布製のシートに複数の円形の通汁孔を設けた落としぶたが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の煮物用あく取りシートは、以下のような課題を有していた。
(1)イ号公報やロ号公報に記載の煮汁をシートの表裏面に流通させるための煮汁孔等が形成されていないあく取り材は、あくや油が主にあく取り材のシート下面には付着するが、その上面にはほとんど付着しないため、あく取り容量が少なく十分なあく取りが困難で、調理中に新しいあく取り材と交換したりしなければらないという問題点を有していた。
(2)ロ号公報のように放射状の切り込みを入れた不織布シートを複数枚重ねたようなあく取り材では、シート状の各部分で各切れ目の間隔がそれぞれ異なるために、股肉や魚肉の切身、大根、ニンジン等の比較的大きな食材が煮汁の表面に浮遊してシートと接触する際には、その丸み等を帯びあくが濃縮された表面にシート部を密着させてあくを効率的に吸着させることが困難であるという問題点があった。
(3)また、複数枚を重ねるため、製造工数が多く必要となり生産性に欠けると共に、不織布シートの使用量が多くなって経済性に欠けるという問題点を有していた。
(4)ハ号公報やニ号公報に記載のあく取り材は、孔の面積分だけ不織布シートの面積が減り、あくや油の吸着量が少なくなるという問題点を有していた。
(5)また、大きな孔を形成した場合は、一旦あく取り材の上面に吹き上がった煮汁が、あくや油脂が完全に除かれないうちに孔や周囲からショートパスして煮汁中に戻るという問題点を有していた。
(6)ハ号公報及びニ号公報に記載のあく取り材や、ホ号公報に記載の落としぶたは、円形の孔が形成された部分から蒸気圧がすぐに抜けるため、煮汁の吹き上がりが不十分となり易いために、少ない煮汁で調理する場合や煮汁が少なくなった場合に吹き上がった煮汁を落としぶたの下面を伝わらせて落としぶたの周縁部などに循環させ食材に効果的に行き渡らせることができず、食材への味のしみ込みや煮上がりが不均一になり易いという問題点を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の技術の課題を解決するもので、あくや油分を付着させる除去性能に優れ、構造が簡単で量産性に優れた煮物用あく取りシートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の煮物用あく取りシートは、略円形又は略方形に形成された不織布シートと、前記不織布シートに直線状又は曲線状に形成された複数の切れ目部とを備え、前記切れ目部の互いに隣接した前記直線状部分又は前記曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されて構成されている。
この構成により、以下の作用を有する。
(1)複数の切れ目部が平行配置され、その直線状部分又は波形等の曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、鍋等の煮汁が沸騰により対流して、煮汁中を上下に運動する股肉や切身、大根等の食材が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シートを密着させ、食材の周囲に特に濃縮され易いあくをかき取ったり、吸着させたりすることができ、あくや油分の除去性に優れる。
(2)切れ目部が形成され、煮汁は切れ目部の隙間から煮物用あく取りシートの上面に吹き上がって流動するので、上面から下面に通過する際にこの狭まった部分で煮汁中のだし屑等の固形分を漉し取ることもできる。
(3)加熱が弱まった時には切れ目部の隙間が閉じるので、煮汁が戻りにくく、あくや油分を逆流させることなく取り除くことができ、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
(4)煮汁が少なくなった場合も切れ目部が大きく開口しないため、煮汁の保温性に優れ、食材に味をムラなく浸透させることができる。
(5)直線状部分又は曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、煮物用あく取りシートの全面に渡って切れ目部の開口度を略等しくして、あくを均一に吸着してシート一枚たりのあくの吸着量を高めることができ、経済性に優れる。
(6)切れ目部を煮物用あく取りシートの略中央付近に形成した場合は、通常のガス等の加熱器具で加熱する際に、対流により煮汁の略中央から煮汁が吹き上がり、煮物用あく取りシートの上面から外周方向に向かって流れるため、効果的にあくや油脂を付着させ除くことができる。
(7)切れ目部を煮物用あく取りシートの略全面に分散させて形成した場合は、電磁調理器等で煮物容器の底面の略全面を一様に加熱し煮汁が複雑な対流となる場合にも対応し効果的にあくや油脂を除くことができる。
【0006】
ここで、不織布シートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン,ポリアクリロニトリル,ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等が使用され、特に比重が小さく親油性に優れたポリエチレン,ポリプロピレンが好適に使用される。これらの繊維は単独で使用してもよく、混織したものでもよい。また、比重を調節したり煮汁とのなじみをよくするために親水性繊維等を含有させてもよい。
繊維径は1〜15デニール程度が好ましく、あくや油脂の付着性に優れる2〜10デニールのものがより好適に使用される。
不織布シートは、前記繊維をメルトブロー法やサーマルボンド法,スパンレース法等で交絡させたものが使用され、中でも、強度、密度、生産性の点で優れ、また、水圧による交絡法であるため接着剤や熱処理が不要なスパンレース法によるものが特に生産性や経済性等の面から好適に使用される。
不織布シートの見掛け密度は0.01〜0.10g/cm3、目付けは20〜60g/m2程度に形成すると、あくや油脂の付着率が優れるため好ましい。
【0007】
切れ目部は、直線状や略くの字状、略コの字状、ジグザグ状、波型状、略円弧状、略放物線状等に形成することができる。
切れ目部は、不織布シートを裁断したり、所要長さや形状のカッターを押し当てたりして形成される。また、例えば0.5〜1mm程度の幅を持たせるように切り取ったり、成形したりすることもできる。この切れ目部の幅は、煮物用あく取りシートの厚みや強度等にもよるが、1mmを超えると、煮汁がこの間隙を通過する際の流動抵抗が減少して保温性が減退したり、耐久性が低下したりするので好ましくない。
切れ目部の互いに隣接した直線状部分又は曲線状部分は平行配置され、これによって、鍋等で煮られる食材が切れ目部間に絡み付き易くなり食材の運動を妨げることなく、食材の表面に不織布シートを十分に密着させて大量のあくや油分を切れ目部の長さは煮物用あく取りシートの大きさ等にもよるが、10mm〜150mm程度に形成されることが好ましく、20mm〜100mmに形成されることがより好ましい。切れ目部の長さが20mmより短くなるにつれ切れ目部からの煮汁の吹き上がりが十分に行われなくなる傾向が見られ、150mmより長くなるにつれ、煮物用あく取りシートの引っ張り強度が低下すると共に、落としぶたとして使用する際に大きく開口してしまい、煮汁を食材に行き渡らせることが困難になる傾向が見られるので、いずれも好ましくない。さらに、10mmより短くなるか、150mmより長くなるにつれ上記傾向が著しくなるので、好ましくない。
【0008】
請求項2に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1に記載の発明において、平行配置された前記切れ目部の直線部分又は曲線部分の間隔が3〜30mmであるように構成されている。
この構成によって、請求項1の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)切れ目部の直線部分又は曲線部分の間隔が特定範囲に形成されているので、不織布シートが食材の形に倣って食材に容易に密着して、煮汁の沸騰により煮汁が上下振動することで、効率良く煮物に付着したあくをすくい取ることができる。
ここで、切れ目部の互いに隣接した直線状部分又は曲線状部分の間隔は3〜30mmの範囲に設定することが好ましい。これは調理する食材の種類や鍋等の大きさ等にもより多少変動するが、間隔が3mmより少ないと、鍋等で煮られる食材が切れ目部間に絡み付き易くなり食材の運動を妨げる傾向にあり、逆に30mmを超えると食材の表面に不織布シートを十分に密着させることが困難となってあくの吸着が妨げられるからである。
【0009】
請求項3に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1又は2に記載の発明において、前記不織布シートに形成された前記切れ目部の配置パターンが、前記不織布シートの略中心に対して点対称状であるように構成されている。
この構成によって、請求項1又は2の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)沸騰した煮汁は鍋の中心部から上に吹き上がるので、切れ目部の配置パターンを点対称にすることで、煮汁と共に中心から周縁に向かって移動するあくをこの切れ目の部分で効果的に捕捉してあく取りを行うことができる。
(b)切れ目部の配置パターンが煮物用あく取りシートの略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシートにあくと油分を均一に分散させて付着し、煮物用あく取りシートの全面を有効に利用することができる。
(c)略山形状又は略円弧状等に切れ目部を形成し、煮物用あく取りシートの中心に対して略同一周回方向に配向するように形成した場合には、煮汁の吹き上がりに伴う流れが旋回流となるため、一箇所の切れ目部から吹き上がったあくや油脂が他の箇所の切れ目部から煮汁中に戻るのを防止でき、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
【0010】
請求項4に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の発明において、前記不織布シートがその周囲に突出して延設された膨出部を有して構成されている。
この構成によって、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)不織布シートがその四隅等の周囲に突出して延設された膨出部を備えているので、鍋等の調理容器の側面と煮物用あく取りシートの周縁部との間の煮汁面を開口させ、この開口部を介して煮汁を煮物用あく取りシートの中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート上の煮汁の動きを維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めることができ、大量のあくや油脂を除くことができる。
ここで、膨出部は円形状、多角形状等の一部をなす半円形、半多角形状等に不織布シートを裁断したり、押し切ったりすることで煮物用あく取りシートの周縁から突出して形成される。これによって、不織布シートを鍋の煮汁面に浮かべたときに、その鍋の内壁面との間に10〜50mm、好ましくは、20〜40mm程度の間隙を有した開口部を形成することができる。鍋等の調理容器の形状や大きさ、調理法等にもより左右されるが、この間隙が20mmより少なくなるにつれ、調理中に煮汁が不織布シートの上面に対流する対流量が不足し、効果的にシート上面でのあく取りが不十分となる傾向が現れ、逆に間隙が40mmを超えるにつれ、鍋内の煮汁に対する保温性が低下したり、あく取りの吸着量が少なくなったりする傾向が現れるので好ましくない。これらの傾向は間隙が10mmより少なくなるか、50mmを超えるとさらに顕著になるので好ましくない。
【0011】
請求項5に記載の煮物用あく取りシートは、請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の発明において、前記不織布シートが、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等の親油性繊維からなるように構成されている。
この構成によって、請求項1乃至4の内いずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。
(a)不織布シートが親油性繊維からなるので、調理によって煮汁中に生じるあくや油分をさらに効率的に吸着できると共に、耐久性や調理性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
(b)異なる種類の親油性繊維を複数組み合わせたり、親水性繊維等を混合することもでき、吸着性や可撓性、耐久性に応じてこれらの混合比率を設定して、
これらの機能性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における煮物用あく取りシートの平面図である。
図1において、10は実施の形態1の煮物用あく取りシート、11は略円形に形成された不織布シート、12は不織布シート11に直線状に形成され互いに隣接した直線状部分が所定間隔を有して平行配置された複数の切れ目部である。
不織布シート11はポリエチレンやポリプロピレン、ポリアクリル、ポリメタクリル酸、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等の親油性繊維を材料とした直径が約100mm〜300mm、厚みが約0.5〜3mmの円盤状に形成されている。
直線状又は曲線状に形成された複数の切れ目部12はそれぞれが互いに不織布シート11の直径の約1/10〜1/5に相当する間隔を有して平行に配置されており、例えば、カッター等を用いて不織布シート11を押し切ることで形成されている。
【0013】
以上のように構成された実施の形態1の煮物用あく取りシート1の使用方法を、以下に説明する。
図2は実施の形態1の煮物用あく取りシート10を用いる調理方法の説明図である。
図2において、13は鍋、14は煮物用あく取りシート10がその鍋13中の表面に浮かべられるあくや油分を含む煮汁、15は煮汁14で煮炊きされる骨付き股肉や大根、ニンジン等の食材、16は鍋13の鍋蓋である。
先ず、食材15に水や、だし汁を加えた後に、煮物用あく取りシート10を煮汁14の液面に浮かべる。鍋蓋16を被せて加熱を開始し、煮汁14の液温が徐々に上昇するにつれて食材15からあくや油脂が分離し液面に浮かび上がり、煮物用あく取りシート10に付着し除かれる。
煮込みを続けると、煮汁14からのあくや油分の発生はほとんど停止し、蒸発により煮汁14が少なくなり食材15が煮汁14の液面より上に出るようになると、食材15の上に煮物用あく取りシート10が載り、切れ目部12により食材15の表面に不織布シート11が密着して、食材15の周囲に濃縮あるいは付着しているあくや油分がぬぐい取られる。
【0014】
実施の形態1の煮物用あく取りシート10は以上のように構成されているので、以下の作用を有する。
(1)切れ目部12が平行配置され、その直線状部分又は曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、鍋13の煮汁14が沸騰により対流して、煮汁14を上下に運動する該股肉等の食材15が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シート11の面を密着させることができ、食材15の周囲に特に濃縮され易いあくや油分を効率的に吸着させることができる。
(2)切れ目部12が形成され、煮汁14は切れ目部12の隙間から煮物用あく取りシートの上面に吹き上がって流動するので、上面から下面に通過する際にこの狭まった部分で煮汁14中のだし屑等の固形分を漉し取ることもできる。
(3)加熱が弱まった時には切れ目部12の隙間が閉じるので、煮汁が戻りにくく、あくや油分を逆流させることなく取り除くことができ、食材15への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
(4)煮汁14が少なくなった場合も切れ目部12が大きく開口しないため、煮汁14の保温性に優れ、食材15に味をムラなく浸透させることができる。
(5)直線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、煮物用あく取りシート10の全面に渡って切れ目部12の開口度を略等しくして、あくを均一に吸着させあくの吸着量を高めることができ、経済性に優れる。
(6)切れ目部12の直線部分又は曲線部分の間隔が特定範囲に形成されているので、不織布シート11が食材15の形に倣って食材15に容易に密着して、煮汁14の沸騰により煮汁14が上下動することで、効率良く煮物の食材15に付着したあくをすくい取ることができる。
(7)不織布シート11が親油性繊維からなるので、調理によって煮汁14中に生じるあくや油分をさらに効率的に吸着できると共に、耐久性や調理性に優れた煮物用あく取りシート10を提供できる。
【0015】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2の煮物用あく取りシートの平面図である。
図3において、20は実施の形態2の煮物用あく取りシート、22は不織布シート11に直線状に形成され互いに隣接した直線状部分が所定間隔を有して平行配置された複数の切れ目部、23は不織布シート11の四隅に突出して延設された膨出部である。
なお、実施の形態2の煮物用あく取りシート20は、不織布シート11に形成れる切れ目部22の配置パターンの点と、不織布シート11の四隅に半円形状に突出した膨出部23を有する点とで実施の形態1のものと異なっており、その他の構成は略同じなので、これらについては同一の符号を付して説明を省略する。
不織布シート11に複数直線状に形成される切れ目部22は、略円形状をなす不織布シート11の中心に対して全体が略点対称となるパターンで配置されている。即ち、不織布シート11の半径に対して1/2〜1/3長さの直線状の切れ目部22が、中心からそれぞれ直角となる東西南北4方向に等間隔例えば20〜50mmの間隔で平行放射状に配列されている。
膨出部23は略半円形状の一部をなすように不織布シート11の四隅から突出して延設され、この膨出部23を鍋13の内壁に当接させることで膨出部23の周囲に不織布シート11で覆われることのない所定の開口部を形成させることができるようになっている。
図4は実施の形態2の煮物用あく取りシート20を用いる調理方法の説明図である。
図4において、13aは不織布シート11の膨出部23が鍋13の内壁面と接触せずに不織布シート11で煮汁面が塞がれることなく開口した開口部である。
煮物用あく取りシート20はその四隅に膨出部23を有しているので、沸騰する煮汁14が鍋13の内壁の不織布シート11と近接していない開口部13aから沸出して煮物用あく取りシート20の上面に行き渡らせることができる。
【0016】
実施の形態2の煮物用あく取りシート20は以上のように構成されているので、実施の形態1の作用に加えて以下の作用を有する。
(1)煮物用あく取りシート20に形成された切れ目部22の配置パターンが不織布シート11の略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシート20にあくと油分を均一に分散させて付着させ、不織布シート11の全面を有効に利用することができる。
(2)不織布シート11がその周囲に延設された膨出部23を備えているので、鍋13の調理容器の側面と煮物用あく取りシート20の周縁部との間の煮汁面を開口させ、この開口部13aを介して煮汁14を煮物用あく取りシート20の中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート20上の煮汁14の動きを維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めて、大量のあくや油脂を除くことができる。
【0017】
(実施の形態3)
図5(a)は本発明の実施の形態3の煮物用あく取りシートの平面図であり、図5(b)はその変形例1の平面図であり、図5(c)はその変形例2の平面図である。
図5(a)において、30は実施の形態3の煮物用あく取りシート、31〜34は不織布シート11に直線状部分と直線状部分を結合させる湾曲した曲線状部分とを周期的に形成して全体が櫛の歯状のパターンとなるように形成されその直線状部分が所定間隔を有して平行配置された切れ目部である。
なお、実施の形態3の煮物用あく取りシート30は、不織布シート11に形成された切れ目部31〜34の配置パターンが実施の形態1の切れ目部12の配置パターンと異なっており、他の材料構成等は略同じなので、これらについては同一の符号を付して説明を省略する。
不織布シート11に複数形成される切れ目部31〜34は、略円形状をなす不織布シート11の中心に対して切れ目部31と切れ目部33、及び切れ目部32と切れ目部34とがそれぞれ略矩形ジグザグ状に折り返して全体が点対称となるパターンで配置されている。
各切れ目部31〜34には、不織布シート11の半径の長さ方向に略4〜6等分するように所定長さ、例えば20〜50mmの長さを有する直線部分が配置されこの直線部分が湾曲状の曲線部によって連結されている。
【0018】
ここで、図5(b)、(c)は切れ目部が図5(a)とは異なる形態で配置された変形例1の煮物用あく取りシート30aと変形例2の煮物用あく取りシート30bを示している。変形例1の煮物用あく取りシート30aは、図5(b)に示すようにその切れ目部31a〜34aが湾曲して略同心円状に配列されその端部で曲線状部分により連結されジグザグ状に形成され、これによって全体が円形の不織布シート11の全面にわたって切れ目部をほぼ均等に配置できるようにしている。
変形例2の煮物用あく取りシート30bは図5(c)に示すように切れ目部31b〜34bが直線状に形成されると共にその端部で曲線状部分で連結されジグザグ状に配置されているので、不織布シート11の面を切れ目部31b〜34bで有効にカバーできると共にその不織布シート11の裁断等における切れ目部31b〜34bの形成を容易にできる。
【0019】
実施の形態3の煮物用あく取りシート30は以上のように構成されているので、実施の形態1の作用に加えて以下の作用を有する。
(1)切れ目部31〜32が直線部分とこれに連設された曲線部からなる舌片状部を有するので、煮物の食材15が沸き上がって煮物用あく取りシート30に当接したときの開口度を大きくでき、しかも食材15との密着性も確保することができ、あくや油分の吸着性に優れている。
(2)煮物用あく取りシート30に形成された切れ目部31〜34の配置パターンが不織布シート11の略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシート30にあくと油分を均一に分散させて付着させ、不織布シート11の全面を有効利用することができる。
【0020】
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4の煮物用あく取りシートの平面図である。
図6において、40は実施の形態4の煮物用あく取りシート、41〜44は不織布シート11に直線状部分と直線状部分を結合させる湾曲した曲線状部分とを周期的に連結させて全体が櫛の歯状のパターンとなるように形成されその直線状部分が所定間隔を有して平行配置された切れ目部、45は不織布シート11の四隅に突出して半円形状に形成された膨出部である。
なお、切れ目部41〜44に適用される不織布シート11上の配置パターンとしては、図6に示したものの他に図5の実施の形態3に示したようなものも適用することができる。
なお、実施の形態4の煮物用あく取りシート40は、実施の形態3の不織布シート11が膨出部45を備えている点で実施の形態3のものと異なっており、他の材料構成等は略同じなので、これらについては同一の符号を付して説明を省略する。
実施の形態4の煮物用あく取りシート40は以上のように構成されているので、実施の形態1及び実施の形態3の作用に加えて以下の作用を有する。
(1)膨出部45を備えているので、煮汁14を煮物用あく取りシート40の中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート40上の煮汁14の動きを適正に維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めて、大量のあくや油脂を除くことができる。
(2)煮物用あく取りシート40が略丸形や略方形等の種々の形状の調理容器に適用でき、汎用性に優れる。
【0021】
以上、実施の形態1〜4について説明したが本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく広く適用できる。例えば、全体が湾曲したような切れ目部を一本形成し、この切れ目部から所定間隔でずらして隣接した別の切れ目部を配置してこれを繰り返して不織布シートの中心点に合わせた螺旋状等の周期パターンとすることもでき、また所定間隔を有した螺旋状に切れ目部を形成することもできる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1に記載の煮物用あく取りシートによれば、以下の効果を有する。
(a)複数の切れ目部が平行配置され、その直線状部分又は波形等の曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、鍋等の煮汁が沸騰により対流して、煮汁中を上下に運動する股肉や切身、大根等の食材が、煮汁面に浮かんだ時に、これらの形に応じて不織布シートを密着させ、食材の周囲に特に濃縮され易いあくをかき取ったり、吸着させたりすることができ、あくや油分の除去性に優れる。
(b)切れ目部が形成され、煮汁は切れ目部の隙間から煮物用あく取りシートの上面に吹き上がって流動するので、上面から下面に通過する際にこの狭まった部分で煮汁中のだし屑等の固形分を漉し取ることもできる。
(c)加熱が弱まった時には切れ目部の隙間が閉じるので、煮汁が戻りにくく、あくや油分を逆流させることなく取り除くことができ、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
(d)煮汁が少なくなった場合も切れ目部が大きく開口しないため、煮汁の保温性に優れ、食材に味をムラなく浸透させることができる。
(e)直線状部分又は曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されているので、煮物用あく取りシートの全面に渡って切れ目部の開口度を略等しくして、あくを均一に吸着してシート一枚たりのあくの吸着量を高めることができ、経済性に優れる。
(f)切れ目部を煮物用あく取りシートの略中央付近に形成した場合は、通常のガス等の加熱器具で加熱する際に、対流により煮汁の略中央から煮汁が吹き上がり、煮物用あく取りシートの上面から外周方向に向かって流れるため、効果的にあくや油脂を付着させ除くことができる。
(g)切れ目部を煮物用あく取りシートの略全面に分散させて形成した場合は、電磁調理器等で煮物容器の底面の略全面を一様に加熱し煮汁が複雑な対流となる場合にも対応し効果的にあくや油脂を除くことができる。
【0023】
請求項2に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1の効果の他、以下の効果を有する。
(a)切れ目部の直線部分又は曲線部分の間隔が特定範囲に形成されているので、不織布シートが食材の形に倣って食材に容易に密着して、煮汁の沸騰により煮汁が上下振動することで、効率良く煮物に付着したあくをすくい取ることができる。
【0024】
請求項3に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1又は2の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)沸騰した煮汁は鍋の中心部から上に吹き上がるので、切れ目部の配置パターンを点対称にすることで、煮汁と共に中心から周縁に向かって移動するあくをこの切れ目の部分で効果的に捕捉してあく取りを行うことができる。
(b)切れ目部の配置パターンが煮物用あく取りシートの略中心に対し点対称状になっているので、煮物用あく取りシートにあくと油分を均一に分散させて付着し、煮物用あく取りシートの全面を有効に利用することができる。
(c)略山形状又は略円弧状等に切れ目部を形成し、煮物用あく取りシートの中心に対して略同一周回方向に配向するように形成した場合には、煮汁の吹き上がりに伴う流れが旋回流となるため、一箇所の切れ目部から吹き上がったあくや油脂が他の箇所の切れ目部から煮汁中に戻るのを防止でき、食材への味のしみ込みや食材の煮上がりを均一にして調理性に優れる。
【0025】
請求項4に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)不織布シートがその四隅等の周囲に突出して延設された膨出部を備えているので、鍋等の調理容器の側面と煮物用あく取りシートの周縁部との間の煮汁面を開口させ、この開口部13aを介して煮汁を煮物用あく取りシートの中心方向に向かって吹き上がらせたり、逆流させたりすることができ、煮物用あく取りシート上の煮汁の動きを維持させ、シート上面におけるあくや油分の吸着をさらに高めることができ、大量のあくや油脂を除くことができる。
【0026】
請求項5に記載の煮物用あく取りシートによれば、請求項1乃至4の内いずれか1項の効果の他、以下の効果が得られる。
(a)不織布シートが親油性繊維からなるので、調理によって煮汁中に生じるあくや油分をさらに効率的に吸着できると共に、耐久性や調理性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
(b)異なる種類の親油性繊維を複数組み合わせたり、親水性繊維等を混合したりすることもでき、吸着性や可撓性、耐久性に応じてこれらの混合比率を設定して、これらの機能性に優れた煮物用あく取りシートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の煮物用あく取りシートの平面図
【図2】実施の形態1の煮物用あく取りシートを用いる調理方法の説明図
【図3】本発明の実施の形態2の煮物用あく取りシートの平面図
【図4】実施の形態2の煮物用あく取りシートを用いる調理方法の説明図
【図5】(a)本発明の実施の形態3の煮物用あく取りシートの平面図
(b)変形例1の煮物用あく取りシートの平面図
(c)変形例2の煮物用あく取りシートの平面図
【図6】本発明の実施の形態4の煮物用あく取りシートの平面図
【符号の説明】
10 実施の形態1の煮物用あく取りシート
11 不織布シート
12 切れ目部
13 鍋
13a 開口部
14 煮汁
15 食材
16 鍋蓋
20 実施の形態2の煮物用あく取りシート
22 切れ目部
23 膨出部
30、30a、30b 実施の形態3の煮物用あく取りシート
31〜34、31a〜34a、31b〜34b 切れ目部
40 実施の形態4の煮物用あく取りシート
41〜44 切れ目部
45 膨出部
Claims (5)
- 略円形又は略方形に形成された不織布シートと、前記不織布シートに直線状又は曲線状に形成された複数の切れ目部とを備え、前記切れ目部の互いに隣接した前記直線状部分又は前記曲線状部分が所定間隔を有して平行配置されていることを特徴とする煮物用あく取りシート。
- 平行配置された前記切れ目部の直線部分又は曲線部分の間隔が3〜30mmであることを特徴とする請求項1に記載の煮物用あく取りシート。
- 前記不織布シートに形成された前記切れ目部の配置パターンが、前記不織布シートの略中心に対して点対称状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の煮物用あく取りシート。
- 前記不織布シートがその周囲に突出して延設された膨出部を有していることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の煮物用あく取りシート。
- 前記不織布シートが、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル等の親油性繊維からなることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1項に記載の煮物用あく取りシート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002230529A JP2004065685A (ja) | 2002-08-07 | 2002-08-07 | 煮物用あく取りシート |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2462404A (en) * | 2008-05-16 | 2010-02-10 | Gillian Owen | A utensil for separating and removing fat from food |
CN103202664A (zh) * | 2012-01-15 | 2013-07-17 | 汪芳 | 炖锅挡浮器 |
-
2002
- 2002-08-07 JP JP2002230529A patent/JP2004065685A/ja active Pending
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