JP2004064738A - 非可逆回路素子の構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気特性を劣化することなく小型化と量産性とを実現する。
【解決手段】互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極12a〜12cを設ける。中心電極12a〜12cそれぞれの一端に並列接続されるコンデンサ6a〜6cを設ける。中心電極12a〜12cそれぞれの他端に接続されるとともに、中心電極12a〜12cの間に少なくとも1つずつ配置される接地電極13a,13bを設ける。中心電極12a〜12cと接地電極13a,13bとの間それぞれに配置される電気分離層αを設ける。中心電極12a〜12cに近接して配置されるフェライト部材2を設ける。フェライト部材2に直流磁界を印加する磁石3を設ける。フェライト部材2と磁石3とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材4を設ける。これにより電気特性を劣化することなく小型化と量産性を実現する。
【選択図】 図1
【解決手段】互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極12a〜12cを設ける。中心電極12a〜12cそれぞれの一端に並列接続されるコンデンサ6a〜6cを設ける。中心電極12a〜12cそれぞれの他端に接続されるとともに、中心電極12a〜12cの間に少なくとも1つずつ配置される接地電極13a,13bを設ける。中心電極12a〜12cと接地電極13a,13bとの間それぞれに配置される電気分離層αを設ける。中心電極12a〜12cに近接して配置されるフェライト部材2を設ける。フェライト部材2に直流磁界を印加する磁石3を設ける。フェライト部材2と磁石3とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材4を設ける。これにより電気特性を劣化することなく小型化と量産性を実現する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は磁性体を用いて信号の伝送に方向性を与える非可逆回路素子およびそれを回路素子として備える通信回路モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信機器のアンテナに接続されるフロントエンド部として用いられるサーキュレータ,アイソレータなどの非可逆回路素子は、小型・薄型化とともに電気的特性の向上が求められる。特に端末機における電池寿命を左右する挿入損失特性に対する要望は厳しくなってきており、そのような要求に対して様々な改善取り組みがなされている。
【0003】
従来のサーキュレータ1の分解斜視図が図27に示される。従来のサーキュレータ1は、円板状のフェライト部材2と、磁石3と、平行平板コンデンサ6と、入出力端子部7と、ヨーク材4,8とを備える。磁石3はフェライト部材2に対向して配置される。平行平板コンデンサ6は整合用コンデンサを構成する。入出力端子部7は、図示しない外部回路に接続される入出力端子7a,7b,7cを有する。ヨーク材4,8はフェライト部材2,磁石3などを内包し磁気回路を構成する。
【0004】
ヨーク材4,8は互いに嵌合して一体となるが、図27では、これらヨーク材4,8を分解した状態が示される。フェライト部材2の周囲には、3つの中心電極5a,5b,5cが配置される。中心電極5a〜5cは導電性の薄板材で構成される。中心電極5a〜5cは互いに電気的に絶縁されて120度の角度で交差して重ね合わせ配置される。
【0005】
中心電極5a〜5cとフェライト部材2との構成が図28に示される。中心電極5aと中心電極5bとの間に絶縁層9aが配置される。中心電極5bと中心電極5cとの間に絶縁層9bが配置される。中心電極5a〜5cのそれぞれの一端は、フェライト部材2の下方に配置された接地円板5pに接続される。中心電極5a〜5c間に配置される絶縁層9a,9bは、図27において図示省略される。接地円板5pはフェライト部材2の下面に設けられるため図30において図示されない。
【0006】
全体構成の説明に戻る。図27において、3個の平行平板コンデンサ6a,6b,6cの下部電極は、ヨーク材8の所定の位置に配置されてヨーク材8に接続される。中心電極5a〜5cの他端は、平行平板コンデンサ6a〜6cの上部電極に接続される。フェライト部材2のヨーク材8側の接地円板5pはヨーク材8上の所定の位置に接続される。ヨーク材8に接地端子8d,8e,8fが形成される。接地端子8d,8e,8fは図示しない外部回路に接続されて信号が入出力される。入出力端子部7には、フェライト部材2を収納する孔Hが形成される。OLE_LINK1入出力端子7a〜7cはインサート成型で樹脂構造体内に構成される。入出力端子部7の下面において、入出力端子7a〜7cから延長された3つの電極は、平行平板コンデンサ6a〜6c上に接続された中心電極5a〜5cの各先端に接続される。図27において入出力端子7cは隠れた位置にあるため図示していないが、この入出力端子7cは、接地端子8e,8f間に配置される。
OLE_LINK1 図において各部品は、図中の各部品付された数字に添付されたアルファベットによって互いに対応付けられる。
【0007】
なお、図27では、サーキュレータの構成を説明した。しかしながら、サーキュレータの構成において、入出力端子のうちの1つを抵抗器で終端することによってアイソレータが構成される。
【0008】
以上が従来の非可逆回路素子の基本的な構成である。最近の技術動向においては、非可逆回路素子の一層の小型化と量産性の向上を目的として、中心電極部分やコンデンサ部分、あるいはその両方を一つの基板中に組み込む構成が提案されている。具体的には、積層技術を用いて立体的に電極を配置することで中心電極部分やコンデンサ部分、あるいはその両方を一つの基板中に組み込む構造が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
積層基板を用いて中心電極部分を一体化した構成が図29に示される。積層基板の要部構成が図30に示される。図29の基本的な構成は図27で説明されたサーキュレータと同じである。図30に示される積層基板265において、中心電極275a,275b,275cは図示しない絶縁層を介して積層形成される。中心電極275a〜275cは互いに120度の角度で交差するように配置される。積層基板265の下表面には、内部接続用端子電極271a,271b,271c,271d,271e,271fがそれぞれ配置される。これら内部接続用端子電極271a〜271fは、ビアホール導体を介して中心電極275a〜275cの端部に接続される。図30において、ビアホール導体を介して接続される電極同士の接続状態が破線で概念的に示される。また、図29中で、積層基板265の下表面に構成された各内部接続用端子電極271a〜271fは、入出力端子部267上面に構成された電極266a,266b,266c,266d,266e,266fに接続される。電極266a〜266cは入出力端子部267下面に延長されて、平行平板コンデンサ6a〜6cの上部電極に接続される。さらに電極266a〜266cは延長されて、入出力端子267a〜267cに接続される。図29において入出力端子267cは図示されない。電極266d〜266fは入出力端子部267の下面に延長されてヨーク材8に接続される。図において各部品は、図中の各部品に付された数字に添付されたアルファベットによって互いに対応付けられる。
【0010】
積層基板を用いて中心電極とコンデンサ部分とを一体化した構成が図31に示される。積層基板の要部構成が図32に示される。図31の基本的な構成は図27で説明されたサーキュレータと同じである。図32に示される積層基板285において、中心電極295a,295b,295cは、絶縁層を介して積層形成される。中心電極295a,295b,295cは、その長手方向が互いに平面視120度の角度で交差するように配置される。電極296a,296b,296cは接地電極292と対向して形成される。積層基板285の下表面には、内部接続用端子電極291a,291b,291c,291d,291e,291fがそれぞれ配置される。中心電極295a〜295cの各一端は、ビアホール導体を介して電極296a〜296cと、内部接続用端子電極291a〜291cとに接続される。中心電極295a〜295cの各他端は、ビアホール電極を介して電極292と内部接続用端子電極291d〜291fとに接続される。図31中で、積層基板285の下表面に構成される各内部接続用端子電極291a〜291fは、入出力端子部287上面に構成された電極286a,286b,286c,286d,286e,286fに接続される。電極286a〜286cは入出力端子部287中に設けられる。電極286a〜286cは入出力端子287a〜287cに接続される。入出力端子287cは図示されない。電極286d〜286fは入出力端子部287下面に延長され、ヨーク材8に接続される。図において各部品は、図中の各部品に付された数字に添付されたアルファベットによって互いに対応付けられる。
【0011】
以上、説明したような非可逆回路素子を代表とする単品部品の小型化と並行して、フロントエンド部などを構成する無線回路中のいくつかの回路部品を取り込んで一体化した通信回路モジュールを形成することが行われている。これは、部品点数の削減と省スペースを実現しようとする試みである。特に、単品部品として構成した非可逆回路素子を含んで通信回路モジュールを構成する場合には、通信回路モジュールを構成する基板上に非可逆回路素子を実装してパッケージ化している。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−203509(請求項1、図1、段落0021)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
図29や図31に示される改良された従来のサーキュレータ(積層基板を用いている)では、図27のサーキュレータに比べて部品点数が削減され、組立の煩雑さも解消されていることから、量産性が向上し小型化にも対応できる。しかしながら、金属箔で構成された中心電極の接地端をフェライト部材の下面まで延長し共通の接地円板に接続する構造に比べて、改良された従来のサーキュレータは、各中心電極の接地端の等電位性が不十分になる。そのため、改良された従来のサーキュレータでは、電気特性の劣化やアースインピーダンスの上昇を招くおそれがある。
【0014】
また、非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールを構成する際、非可逆回路素子を単品部品として構成する限り、非可逆回路素子の基板上での占有スペースを小さくすることに限度があり、このことが通信回路モジュールの小型化の妨げになる。これは、非可逆回路素子を通信回路モジュールに実装する際に、周りに配置される部品との距離をある程度とらなければならないという実装上の理由に因る。
【0015】
また、通信回路モジュールにパワーアンプなどの発熱する部品が含まれる場合、その放熱対策のため、主構造材として使用する積層基板の材料や構成に制限があり、回路構成の自由度が下がり、集積化が困難となる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極の他端に接続されるとともに、前記中心電極の間に少なくとも1つずつ配置される接地電極と、前記中心電極と前記接地電極との間に配置される電気分離層と、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材とを有して非可逆回路素子が構成される。
【0017】
上記の構成によれば、別々の層に形成された3つの中心電極の各層間に、1つ以上の接地電極が形成されているため、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、積層基板を用いて中心電極を形成しても電気特性を劣化することなく非可逆回路素子を実現することができる。また、アースインピーダンスの小さい非可逆回路素子が実現される。
【0018】
また、本発明の他の態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極どうしの間に配置される電気分離層と、前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、前記積層基板内に設けられて、前記中心電極両端の接続箇所を含むこの積層基板内の接続箇所における層間接続を行うビアホール導体とを有して非可逆回路素子が構成される。さらに、前記中心電極の他端に接続される前記ビアホール導体は、他の前記ビアホール導体よりも電気抵抗が低い。
【0019】
以上の構成によれば、前記積層基板中の各層の電極パターンはビアホール導体で接続されるため、別途側面電極を構成する場合と比べ、基板の形成と一括して非可逆回路素子を製造できるので、その量産性が格段に向上する。また、その際、中心電極のの他端に接続されるビアホール導体は、他のビアホール導体よりも電気抵抗が低く構成されるので、同一導電性のビアホール導体で画一的に接続されたものと比べて、アースインピーダンスが低減され、電気特性の優れた非可逆回路素子が実現される。
【0020】
なお、前記中心電極の他端に接続するビアホール導体は、前記中心電極の一端に接続するビアホール導体、あるいは、前記積層基板中のその他の電極パターンに接続するビアホール導体よりも総断面積が大きいのが好ましい。
【0021】
このような非可逆回路素子によれば、他の前記ビアホール導体よりも電気抵抗が低いビアホール導体を比較的容易に形成できるようになり、その量産性が格段に向上する。
【0022】
また、本発明の他の態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極それぞれの一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極どうしの間それぞれに配置される電気分離層と、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、前記積層基板の端面に設けられる接地電極とを有して非可逆回路素子が構成される。さらには、前記中心電極それぞれの他端を前記積層基板の端面まで延出させて前記接地電極に接続される。
【0023】
上記の構成によれば、別々の層に形成される3つの中心電極の他端は、積層基板の端面に形成される接地電極に接続されるので、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、積層基板を用いて中心電極部を形成しても電気特性を劣化することなく非可逆回路素子を実現することができる。また、アースインピーダンスの小さい非可逆回路素子が実現できる。
【0024】
なお、前記コンデンサは前記積層基板中に積層形成されているのが好ましい。そうすれば、非可逆回路素子のさらなる小型化を図ることができる。
【0025】
本発明の他の態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極どうしの間に配置される電気分離層と、
前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板とを有して非可逆回路素子が構成される。さらには、前記コンデンサは、対向配置される一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有する。コンデンサは前記積層基板と一体に成形される。一方の前記対向電極は前記中心電極の一端に接続される。他方の前記対向電極は前記積層基板の表面に露出される。
【0026】
この構成によれば、コンデンサの接地側の電極を最短距離で外部の接地電位の電極と接続することができるので、アースインピーダンスが低減される。この場合、コンデンサが1対の対向電極と誘電体層で構成されるので、複数の対向電極を用いて積層構造でコンデンサを構成したものと比べ、不要なインダクタンス成分を含まない純粋な容量性素子を構成できる。これにより、電気特性の優れた非可逆回路素子を実現できる。
【0027】
なお、積層基板中にコンデンサを積層形成する際、前記コンデンサを構成する誘電体層は、前記電気分離層より誘電率の高い材料から構成されているのが好ましい。そうすれば、コンデンサを単層構造で構成しても十分な容量値を得ることができる。
【0028】
なお、前記誘電体層を除く前記積層基板の他の層の間に接地電極を設け、この接地電極を前記中心電極の他端に接続するのが好ましい。そうすれば、中心電極のそれぞれの他端が接続される接地電極を設けたので、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、より電気特性の優れた非可逆回路素子を実現することができる。
【0029】
なお、前記積層基板の表面に露出配置されて前記中心電極の他端に接続される表面電極をさらに有し、前記ヨーク材を導電性材料から構成し、このヨーク材を前記表面電極に当接させることで接続するのが好ましい。そうすれば、接地電極を直接ヨーク材に電気接続することで、ヨーク材の低インピーダンスを利用して積層基板のアースインピーダンスを下げることができ、電気特性の優れた非可逆回路素子を実現することができる。
【0030】
なお、本発明の通信回路モジュールでは、積層基板を前記通信回路モジュールの主構造材とするのが好ましい。そうすれば、通信回路モジュールの主構造材となる積層基板に非可逆回路素子が内蔵されることになり、従来のように単品部品としての非可逆回路素子を基板上に実装する場合と比べて、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減される。その結果、電気特性の優れた上記本発明の非可逆回路素子を実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能となる。
【0031】
なお、前記積層基板内に前記中心電極を含む電極パターンを設け、前記中心電極の電極厚みを、積層基板内に設けられる他の前記電極パターンの電極厚みの平均値より厚くするのが好ましい。
【0032】
そうすれば、必要最小限の工程追加により、非可逆回路素子部分の中心電極の導体抵抗を下げることができる。これにより、伝送損失を低減することができ、電気特性の優れた非可逆回路素子を内蔵した通信回路モジュールを容易に実現できる。
【0033】
なお、通信回路モジュールを構成する場合、前記積層基板上に実装部品を実装し、この実装部品の少なくとも1つを、前記ヨーク材に当接させるのが好ましい。そうすれば、実装部品の熱をヨーク材を介して外部に効率よく放熱することが可能となる。これにより、特定の積層基板材料や積層構造を用いることなく、高効率の放熱構造を構築できる結果、回路構成の自由度が高く、集積度の高い通信回路モジュールを実現することができる。
【0034】
なお、前記発熱する部品がパワーアンプである場合にはその放熱性が非常に重要になるため、本発明を用いた場合の効果が顕著に発揮される。
【0035】
なお、通信回路モジュールを構成する場合、複数の非可逆回路素子を設けるのが好ましい。そうすれば、通信回路モジュールがデュアルバンド、トリプルバンドなどの複数の周波数帯を利用するものであっても、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減されて、複数の非可逆回路素子を実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能となる。その結果、集積化された小型のマルチバンド通信回路モジュールを実現することができる。
【0036】
なお、複数の非可逆回路素子で別々にヨーク材を用意するのではなく、1組のヨーク材を共有利用することが好ましい。さらには、磁石も1組の磁石を共有利用することが好ましい。
【0037】
そうすれば、部品点数を削減することができるので、量産性、コストの面で優れた複数の非可逆回路素子を内蔵したマルチバンド通信回路モジュールを実現することができる。
【0038】
なお、積層基板に、前記フェライト部材と前記ヨーク材との一部もしくは全部を、これら部材の表面を前記積層基板から突出させることなく収納する収納凹部を設けるのが好ましい。または、前記積層基板に、前記磁石と前記ヨーク材との一部もしくは全部を、これら部材の表面を前記積層基板から突出させることなく収納する収納凹部を設けるのが好ましい。そうすれば、通信回路モジュールの実装面に実装上問題になる突起部を無くすことができるので、携帯電話等の回路基板への実装を容易に実現することができる。
【0039】
以上説明した本発明では、電気特性を劣化することなく小型化と量産性を実現する非可逆回路素子を提供することができる。また、電気特性を劣化することなく実効的な占有スペースを小さくできるようにして非可逆回路素子を有する通信回路モジュールを提供することができる。また、積層基板の材料や構成に制約を受けることなく簡易な方法で実装部品の放熱対策が可能となる通信回路モジュールを提供することができる。
【0040】
なお、本発明における電気分離層は、電気絶縁層や誘電体層等といった層から構成できる。また、本発明においては、フェライト部材と中心電極との間の離間間隔を両者が近接する間隔とした。この間隔は、フェライト部材を含んで構成される磁気回路が発する磁気的影響を十分に中心電極が受ける程度の間隔をいう。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0042】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、中心電極部分のみを積層基板で形成した例について説明される。図1に第1の実施の形態におけるサーキュレータの積層基板10の構成が示される。サーキュレータ全体の構成は、従来の技術で説明された図29のサーキュレータの積層基板265を図1に示される積層基板10で置き換えた構造である。そのため、本実施の形態のサーキュレータの全体の構成についてはその詳細な説明が省略される。
【0043】
中心電極12a,12b,12cは平面視細長矩形の枠状に形成される。中心電極12a〜12cは、平面視その長手方向が互いに120度の角度で交差するように積層配置される。中心電極12a〜12cの間には、それぞれ接地電極13a,23bが配置される。接地電極13a,13bと中心電極12a〜12cとの間には電気分離層である絶縁層αが設けられている。この状態で中心電極12a〜12cと絶縁層αと接地電極23a,13bとが積層される。中心電極12aと中心電極12cとの積層方向外側位置にも絶縁層αが積層配置される。これにより積層基板10が構成される。
【0044】
積層基板10の下表面には、内部接続用端子電極11a,11b,11c,11d,11e,11fがそれぞれ配置される。中心電極12aの一端はビアホール導体γにより内部接続用端子電極11aに接続される。中心電極12bの一端はビアホール導体γにより内部接続用端子電極11bに接続される。中心電極12cの一端はビアホール導体γを介して内部接続用端子電極11cに接続される。
【0045】
中心電極12a〜12cの他端は、ビアホール導体γにより接地電極13a,13bに接続される。中心電極12a〜12cの他端は、内部接地端子電極11d〜11fにそれぞれ接続される。図中、ビアホール導体γによる接続個所は、細線の破線で概念的に示される。
【0046】
本実施の形態のサーキュレータでは、
・中心電極12a〜12cの間に接地電極13a,13bが配置される、
・中心電極12a〜12cの一端が接地電極13a,13bに接続される、
という構成を備えることで、各中心電極12a〜12cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善される。
【0047】
本実施の形態のサーキュレータと、図30に示される積層基板265を用いた従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表1に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0048】
【表1】
【0049】
本実施の形態のサーキュレータは、従来例に比べて各中心電極12a〜12cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善されている。
【0050】
なお、本実施の形態では中心電極12a〜12cの各層間に1層ずつ接地電極13a,13bが配置されたが、中心電極12a〜12cの各層間に接地電極が複数層配置されてもよい。
【0051】
また、本実施の形態で示した各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。例えば、図2に示されるようにビアホール導体γではなく積層基板20の外側面に形成された電極パターンεにより、各層の電極パターンが接続されてもよい。
【0052】
図2において、積層基板20の下表面には、内部接続用端子電極21a,21b,21c,21d,21e,21fがそれぞれ配置される。電極21a〜21fの一端は積層基板20の端縁まで延出する。中心電極22a〜22cの一端は、積層基板20の外側面に形成された接続用の電極パターンεにより電極21a〜21cに接続される。中心電極22a〜22cの他端は、積層基板20の外側面に形成された接続用の電極パターンεにより接地電極23a,23bに接続される。同時に中心電極22a〜22cの他端は、接続用の電極パターンεにより内部接続端子電極21d〜21fにそれぞれ接続される。図中、接続用の電極パターンεによる接続箇所は、破線で概念的に示される。
【0053】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、中心電極とコンデンサ部分とを積層基板で形成した構成である。図3には、第2の実施の形態の第1の構成であるサーキュレータの積層基板30が示される。図4には、第2の実施の形態の第2の構成であるサーキュレータの積層基板40の構成が示される。サーキュレータ全体の構成は、従来例で説明された図31のサーキュレータの積層基板285を図3の積層基板30、あるいは図4の積層基板40に置き換えた構造である。そのため、サーキュレータ全体の詳細な説明は省略される。
【0054】
本実施の形態の第1の構成である積層基板30は、中心電極32a,32b,32cと、接地電極33a,33bと、内部接続用端子電極31a,31b,31c,31d,31e,31fとを備えている。これら電極32a〜32c,33a,33b,31a〜31fの構造は、基本的には第1の実施の形態における中心電極12a〜12c,接地電極13a,13b, および内部接続用端子電極11a〜11fの構造と同様である。積層基板30では、接地電極33cと内部接続用端子電極31a〜31fとの間にコンデンサ形成用の対向電極36a,36b,36cが設けられる。対向電極36a〜36cは誘電体層βを間にして接地電極33cに対向して配置される。この場合、接地電極33cと対向電極36a〜36cとその間に配置される誘電体層βによりコンデンサが構成される。
【0055】
中心電極32aの一端は、ビアホール導体γにより電極36aと電極31aとに接続される。中心電極32bの一端は、ビアホール導体γにより電極36bと電極31bとに接続される。中心電極32cの一端は、ビアホール導体γにより電極36cと電極31cとに接続される。
【0056】
中心電極32a〜32cの他端はビアホール導体γにより接地電極33a〜33cに接続される。また、中心電極32aの他端は、ビアホール導体γにより電極31eに接続される。中心電極32bの他端は、ビアホール導体γにより電極31fに接続される。中心電極32cの他端は、ビアホール導体γにより電極31dに接続される。図中、ビアホール導体γによる接続箇所は、細線の破線で概念的に示される。
【0057】
本実施の形態の第2の構成である積層基板40は、図4に示されるように、基本的には、第1の構成である積層基板30と同様の構成を備えている。そこで、図4では、積層基板30で30番台の符号が付されている各部分の同様の部分に40番台の符号が付されており、積層基板40(図4)の各部分に付された符号の一桁目の数字およびその末尾に付されたアルファベットは積層基板30(図3)と共通化される。
【0058】
積層基板40は、もう一つの接地電極43dが設けられる。接地電極43dは最上層に設けられた中心電極43bのさらに上層に絶縁層αを間にして積層配置される。接地電極43dはビアホール導体γにより他の接地電極43a〜43cに接続される。接地電極43dはビアホール導体γにより中心電極42a〜42cの他端にそれぞれ接続される。図中、ビアホール導体γによる接続については、細線の破線で概念的に示される。
【0059】
本実施の形態のサーキュレータでは、
・中心電極32a〜32c,42a〜42cの間に接地電極33a,33b,43a,43bが配置される、
・中心電極32a〜32c,42a〜42cの一端が接地電極33a〜33c,43a〜43dに接続される、
という構成を有することで、各中心電極32a〜32c,43a〜43cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善する。
【0060】
本実施の形態のサーキュレータと、図31に示される従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表2に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、素子サイズ3mm角において実施された。
【0061】
【表2】
【0062】
本実施の形態のサーキュレータは、各中心電極32a〜32c,42a〜42cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善していることがわかる。また、積層基板40に示されるように、中心電極42a〜42cが形成される層間以外の層間に、コンデンサ形成用の対向電極とならない接地電極43dをさらに設けた場合には、さらに良好な効果が得られる。
【0063】
なお、本実施の形態では、中心電極32a〜32c,42a〜42cの各層間に1層ずつ接地電極33a〜33c,43a〜43cを配置したが、中心電極32a〜32c,42a〜42cの各層間に接地電極を複数層形成してもよい。
【0064】
また、中心電極が形成される層間以外に配置される接地電極やコンデンサが形成される誘電体層β以外に配置される接地電極を、複数層形成してもよい。
【0065】
本実施の形態で示した各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。
【0066】
例えば、図5の積層基板50に示されるように、コンデンサ形成用の対向電極56a,56b,56cが最上層の中心電極52cより上部に配置されてもよい。また、図6の積層基板60に示されるように、コンデンサ形成用の対向電極が複数組(図6では対向電極66a〜66c,67a〜67cの二組)設けられ、各コンデンサ形成用の対向電極が接地電極63c,63dに積層基板60の厚み方向に沿って誘電体層βを間にして対向配置されることでコンデンサが形成されてもよい。
【0067】
図6に示される積層基板60では、対向電極66a〜66cと、接地電極63cとにより第1のコンデンサが形成され、対向電極66a〜66cと、接地電極63dとにより第2のコンデンサが形成され、対向電極67a〜67cと、接地電極63dとにより第3のコンデンサが形成される。
【0068】
なお、図6に示される積層基板60では、大きな容量を形成するすることができるものの、コンデンサを積層構造にすることにより、コンデンサ部分に不要なインダクタンス成分が生じる可能性がある。そのため、不要なインダクタンスの抑制を優先する場合には、図3〜図5に示されるようにコンデンサを単層構造にするのがのが好ましい。その際、構成しようとする非可逆回路素子の中心周波数、素子サイズによっては、コンデンサ容量が不足する場合がある。そのような場合は、コンデンサが形成される層間に配置される誘電体層βを、その他の層間を構成する電気分離層(絶縁体層)より高誘電率の材料で形成すればよい。そうすれば、十分な容量値を得ることができる。
【0069】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、ヨーク材の低インピーダンスを利用して積層基板中のアースインピーダンスを低減した構成である。図7〜図9は、第3の実施の形態であるサーキュレータが示される。
【0070】
図7の基本的な構成は図27で説明されたサーキュレータと同じである。図7に示されるサーキュレータの縦断面図は図8に示される。
【0071】
ヨーク材78に、入出力端子部77が収納される。入出力端子部77の中央に円形状の孔Hが形成される。円形状のフェライト部材2が孔Hに収納される。入出力端子部77上に積層基板75が載置される。積層基板75上に磁石3が載置される。この状態でヨーク材78にヨーク材4が取り付けられる。入出力端子部77とフェライト部材2と積層基板75と磁石3とは、一体化されたヨーク材78,4の内部に収納される。
【0072】
積層基板75の構成が図9を参照して説明される。積層基板75は、図3を参照して説明された第2の実施の形態の積層基板30と同様の構成を備える。そこで、図9では、積層基板30において30番台の符号が付される各部分と同様の部分に90番台の符号が付され、積層基板75(図9)の各部分に付された符号の一桁目の数字およびその末尾に付されたアルファベットは積層基板30(図3)と共通化される。
【0073】
積層基板75が上述した第2の実施の形態の積層基板30と異なるのは、積層基板75の上表面にヨーク材接続用電極94が配置される点である。ヨーク材接続用電極94は、ビアホール導体γにより中心電極92a,92b,92cの他端に接続される。
【0074】
このように構成される積層基板75は、図7に示されるように入出力端子部77に接続される。入出力端子部77は、樹脂構造体に入出力端子77a,77b,77cを収納することで構成される。入出力端子部77は、図示しない外部回路に接続される入出力端子77a〜77cを有する。入出力端子77a〜77cは、例えばインサート成型によって樹脂構造体に収納される。図7において入出力端子77cは隠れた位置にあるため図示されていない。入出力端子部77の図中の上面には入出力電極76a,76b,76c,76d,76e,76fが設けられる。入出力電極76a〜76cは入出力端子部77内で延長されて入出力端子77a〜77cにそれぞれ接続される。入出力電極76d〜76fは入出力端子部77下面まで延長されてヨーク材78に接続される。
【0075】
積層基板75の図中下側の表面に配置される内部接続用端子電極91a〜91fは、入出力電極76a〜76fに接続される。ヨーク材78は、本体部78aと屈曲部78bとを備える。本体部78aは平板形状を有する。屈曲部78bは本体部78aの両端からほぼ直角に屈曲される。屈曲部78bの先端に突起78h,78iが設けられる。突起78h,78iは、図7,図8に図示されるように、入出力端子部77,フェライト部材2,積層基板75がヨーク材78の内に組み込まれた後に積層基板75上面で折り曲げられる。折り曲げられた突起78h,78iは積層基板75上に形成されたヨーク材接続用電極94に接続される。
【0076】
本実施の形態のサーキュレータでは、
・中心電極92a〜92cの間に接地電極93a,93bが配置される、
・中心電極92a〜92cの一端に接地電極93a,93bが接続される、
・積層基板75の表面に設けられたヨーク材接続用電極94(接地電極93a〜93cに接続されている)が直接ヨーク材78に接続される、
という構成を備えることで、各中心電極92a〜92cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善する。さらには、ヨーク材4,78の低インピーダンスを利用して積層基板75中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善される。
【0077】
本実施の形態のサーキュレータと、第2の実施の形態のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表3に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0078】
【表3】
【0079】
本実施の形態のサーキュレータでは、積層基板75の表面に設けたヨーク材接続用電極94(接地電極93a〜93cに接続されている)を直接ヨーク材78に接続することで、第2の実施の形態に比べて、積層基板75中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善されている。
【0080】
なお、ヨーク材4,78と積層基板75の接地電極との間の接続構造は、本実施の形態の構成に限定されるものではなく、上下いずれかのヨーク材4,78に直接積層基板75の接地電位電極93a〜93cが接続される構成であれば同様の効果が得られる。
【0081】
上述した第1〜第3の実施の形態は次のように構成されるのがさらに好ましい。第1〜第3の実施の形態では、ビアホール導体γとして次のものが設けられる。
・中心電極の接地電極接続端(他端)に接続されるビアホール導体γ(以下、第1のビアホール導体γという)。
・中心電極の接地電極接続端(他端)ではなく積層基板中のその他の電極パターンに接続されるビアホール導体γ(以下、第2のビアホール導体γという)。
・中心電極の接地電極接続端ではなく中心電極のコンデンサ接続端(一端)に接続されるビアホール導体γ(以下、第3のビアホール導体γという)。
【0082】
以上のビアホール導体γにおいて、第1のビアホール導体γは、第2,第3のビアホール導体γより電気抵抗を低くするのが好ましい。ビアホール導体γの電気抵抗は、例えば、ビアホール導体γの総断面積を大きくすることで低くすることができる。また、ビアホール導体γの導体材料を調整することで電気抵抗を低くすることができる。これにより、積層基板中のアースインピーダンスを低減することができる。
【0083】
図10Aは第1〜第3の実施の形態におけるビアホール導体γの形状および配置図が示される。図10Bは、ビアホール導体γの第1の改良例の形状および配置図が示される。図10Cは、ビアホール導体γの第2の改良例の形状および配置図が示される。これらの図は、積層基板の平面方向に沿った断面図である。これらのビアホール導体γで接続される積層基板中の電極パターンはすべて図3で示される電極パターンが採用される。サーキュレータ全体の構成は、従来例で説明された図31のサーキュレータの構造が採用される。図10A〜図10Cにおいて、符号(101a,101b,101c),(102a,102b,102c),(103a,103b,103c)は、図3中の内部接続用端子電極31a,31b,31cに接続されて、接地電極に接続されない第2,第3のビアホール導体γが示される。符号(101d,101e,101f),(102d,102e,102f),(103d,103e,103f)は、接地電極に接続される第1のビアホール導体γが示される。
【0084】
図10Aの構成においては、すべてのビアホール導体101a〜101fは同一径で各1個ずつ構成される。
【0085】
図10Bの第1の改良例においては、
・第2,第3のビアホール導体102a〜102cは図10Aにおける第2,第3のビアホール導体101a〜101cと同一径である、
・第1のビアホール導体102d〜102fは、図10Aにおける第1のビアホール導体101d〜101fより大径(この例では2倍径)で各1個ずつ構成される、
という構成を備える。
【0086】
図10Cの第2の改良例においては、
・すべてのビアホール導体103a〜103fは同一径である、
・第2,第3のビアホール導体103a〜103cは各1個ずつ形成される、
・第1のビアホール導体103d〜103fは各3個ずつ構成される、
という構成を備える。
【0087】
なお、図3に示される電極パターンは図10aのビアホール導体101a〜101fの形状および配置に対応したものである。図3の構成において、図10b,図10cに示される第1,第2の改良例のビアホール導体の構成を採用する場合には、ビアホール導体に接続される積層基板の電極パターンの形状をビアホール導体の形状変更に応じて変更する必要がある。
【0088】
ビアホール導体の第1,第2の改良例を用いたサーキュレータは、これら改良例を採用していないサーキュレータに比べて、接地電極に接続されるビアホール導体の総断面積が大きくてその電気抵抗が低いので、積層基板中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善される。
【0089】
上述したビアホール導体の第1,第2の改良例を第2の実施の形態の第1の構成に採用したサーキュレータの挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表4に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0090】
【表4】
【0091】
ビアホール導体の第1,第2の改良例を採用したサーキュレータは、これらの改良例を採用していないサーキュレータに比べて、積層基板中のアースインピーダンスが低減されて挿入損失特性が改善されている。
【0092】
なお、第1の改良例の構成において、すべてのビアホール導体101a〜101fの直径を同一径にした状態でその径を大径にしても同様の特性改善効果が得られると考えられるが、そうすると、次のような不都合が生じる。
・プロセス上の問題として、素子断面積中に占めるビアホール導体γの総断面積が大きくなって基板中にクラックが入りやすくなる。
・回路上の問題として、入出力端子に接続される側のビアホール導体γの断面積が増大して伝送線路上に不要容量が重畳しやすくなる。
【0093】
このような観点から、上述した第1改良例(接地電極が接続される側のビアホール導体γの総断面積を大きくする)を採用するのが好ましい。
【0094】
なお、ビアホール導体γの第1,第2の改良例は、上述した第1〜第3の実施の形態に記載されたサーキュレータにおいて実施できるだけではなく、従来例のように中心電極の各層間に接地電極がない構成において実施しても同様の効果が得られる。
【0095】
上述した第1,第2の改良例の構成はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲であれば同様の効果が得られる。また、各ビアホール導体γの総断面積を同じにしたうえで、第1のビアホール導体γを構成する導体材料を、第2,第3のビアホール導体γを構成する導体材料より導電率の大きい導体材料としてもよい。
【0096】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態は、中心電極の接地側端部(他端)が積層基板の端面まで延長され、積層基板端面に形成した接地電極に接続された非可逆回路素子である。図11に第4の実施の形態におけるサーキュレータの積層基板110の構成が示される
。サーキュレータ全体の構成は従来例で説明された図29のサーキュレータと同一であるので、その詳細な説明は省略される。
【0097】
積層基板110は、平面視細長矩形の枠状に形成される中心電極112a,112b,112cを備える。中心電極112a〜112cそれぞれは平面視その長手方向が120度の角度で交差するように積層配置される。中心電極112a〜112cは、絶縁層αを介してそれぞれ積層配置される。
【0098】
積層基板110の下表面に、内部接続用端子電極111a,111b,111c,111d,111e,111fが配置される。これら内部接続用端子電極のうち、電極111d〜111fの一端は積層基板110の端面まで延長される。
【0099】
中心電極112a〜112cの一端は、ビアホール導体γにより内部接続用端子電極111a〜111cに接続される。中心電極112a〜112cの他端は積層基板110の端面まで延長される。積層基板110の上下面を除く4端面の全面に接地電極113a,113b,113c,113dが形成される。中心電極112a〜112cの他端は接地電極113a〜113dに接続される。中心電極112a〜112cは接地電極113a〜113dを介して内部接地端子電極111d〜111fに接続される。図中、ビアホール導体γによる接続については、細線の破線で概念的に示される。
【0100】
本実施の形態のサーキュレータは、
・別々の層に形成された3組の中心電極112a〜112cの他端が、積層基板110の端面に形成される接地電極113a〜113dに接続される、
という構成を備えることで、各中心電極112a〜112cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善される。
【0101】
本実施の形態のサーキュレータと、図29に示される従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表5に示される。測定は、中心周波数は1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0102】
【表5】
【0103】
本実施の形態のサーキュレータは、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善されている。
【0104】
なお、本実施の形態で示された各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。例えば、従来例として図31を参照して説明されたコンデンサを積層基板内に一体化した構成においても、本実施の形態を応用することができる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態は、
・中心電極とコンデンサ部分とが積層基板で形成される、
・コンデンサが誘電体層βを挟んで対向配置された一対の対向電極から構成される、
・対向電極のうち接地される側の対向電極が、積層基板の表層に露出する状態で構成される、
という構成を有する非可逆回路素子である。
【0105】
本実施の形態のサーキュレータの構成が、図12〜図14を参照して説明される。
【0106】
積層基板125は、中心電極とコンデンサ部分とが内部に積層形成される。積層基板125は外部接続端子と入出力端子部とを備える。図13の断面図に示されるように、積層基板125の図中下面にキャビティ129,130とが形成される。キャビティ129はフェライト部材122を収納する。キャビティ130はヨーク材128を収納する。フェライト部材122とヨーク材128とがキャビティ129,130とに収納されることにより、積層基板125の図中下面に設けられる外部接続端子は素子の実装面に当接する。
【0107】
積層基板125の構成が図14に示される。積層基板125は、中心電極142a,142b,142cを備える。中心電極142a〜142cは平面視その長手方向が120度の角度で交差するように絶縁層αを間にして積層される。コンデンサ形成用の電極146a,146b,146cが絶縁層αを間にして中心電極142aに対向配置される。接地電極143が誘電体層βを間にして対向電極146a〜146cに対向配置される。外部接続用端子電極141a,141b,141c,141d,141e,141fが、絶縁層αを間にして接地電極143の平面方向の両端にそれぞれ対向配置される。接地電極143の平面方向の中央は、積層基板125の図中下面に露出する。接地電極143の両端だけに絶縁層αと電極141a〜141fとが設けられることで、積層基板125の図中下面の中央(接地電極143の露出部位)にキャビティ130が形成される。キャビティ130にヨーク材128が収納される。収納されるヨーク材128は、接地電極143に当接して接続される。
【0108】
中心電極142a〜142cの一端は、積層基板125の側面に形成された接続用の電極パターンεにより、コンデンサ形成用の対向電極146a,146b,146cと外部接続用端子電極141a,141b,141cとに接続される。電極146a〜146cと電極141a〜141cとは、積層基板125の側面において横方向位置が同一となったものどうしが接続用電極パターンεにより接続される。図14において、接続される電極146a〜146cと電極141a〜141cとに付された符号の末尾には同一のアルファベットが配される。
【0109】
中心電極142a〜142cの他端は、積層基板125の側面に形成された接続用の電極パターンεにより接地電極143に接続される。同時に、中心電極142a〜142cの他端は接続用の電極パターンεにより外部接続用端子電極141d〜141fに接続される。
【0110】
中心電極142aより下の各層にはキャビティ129を形成する開口148が設けられる。図14において、接続用の電極パターンεは、破線で概念的に示される。
【0111】
本実施の形態のサーキュレータは、
・積層基板表面に露出させたコンデンサの接地側電極をヨーク材の低インピーダンスを利用して接地する、
という構成を備えることで、積層基板125中のアースインピーダンスが低減されて挿入損失特性が改善される。
【0112】
本実施の形態のサーキュレータと、図31に示される従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表6に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0113】
【表6】
【0114】
本実施の形態のサーキュレータは、積層基板中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善されている。
【0115】
なお、本実施の形態で示された各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。
【0116】
第1〜第5の実施の形態においては、代表的な非可逆回路素子として、中心周波数1.96GHz,素子サイズ3mm角のサーキュレータを例に挙げて本発明が説明された。しかしながら、その他の中心周波数,素子サイズにおいても本発明は有効である。また、入出力端子の1つが抵抗器で終端されているアイソレータにおいて本発明は同様の効果を発揮する。さらに、積層基板以外の非可逆回路素子の構成要素についても、特に限定されることなく本発明は実施される。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態は非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールである。一般に、通信回路モジュールは、移動体通信機器の無線部を構成するデバイスと回路素子とが積層基板等の中に少なくとも2つ以上一体化されて構成される。
【0117】
デバイスとしては、デュプレクサ,LPF(ロー・パス・フィルタ),BPF(バンド・パス・フィルタ),スイッチ,PA(パワー・アンプ)などが例として挙げられる。回路素子としては、コンデンサ,インダクタ,抵抗などが例として挙げられる。
【0118】
近年では回路部品のIC化が進んでいるため、通信回路モジュールとしては次の構成を有するものがある。この通信回路モジュールは、IC等を実装するためのランドパターンが実装基板表面に設けられる。設けられたランドパターンにICが実装されたうえで、IC実装面が樹脂モールドされてパッケージ化される。
【0119】
以下の説明において、非可逆回路素子が内蔵される部分以外の通信回路モジュールの構成については、本発明の効果に影響を与えるものではないので特別には言及しない。
【0120】
本実施の形態の第1の構成が、図15〜図17を参照して説明される。図15において、積層基板155には、サーキュレータの中心電極とコンデンサ部分とが形成される。積層基板155は通信回路モジュール全体の主構造材としても機能する。各種チップなどの実装部品が積層基板155の表面に実装され、さらには内部に回路素子が組み込まれる。サーキュレータが構成されている通信回路モジュールの要部の断面図が図16Aに、その裏面図が図16Bにそれぞれ示される。
【0121】
積層基板155には、円板状のフェライト部材152を収納するキャビティ156と、ヨーク材158を埋設するキャビティ157とが設けられる。キャビティ156は、フェライト部材152を収納する大きさを備えており、積層基板155の一方面に形成される。
【0122】
ヨーク材158は、平板状の本体158aと、屈曲部158bとを備える。屈曲部158bは本体158aの両端からほぼ直角に屈曲され、積層基板155がその厚み方向に挿通可能な長さ寸法を備える。
【0123】
キャビティ157は、積層基板155の一方面に設けられてキャビティ156を横切る溝部157aと、溝部157aの両端に設けられて積層基板155を貫通する貫通孔157bとを有する。溝部157aは、ヨーク材158の厚みと同等の深さと、ヨーク材158の本体158aを収納可能な縦×横寸法とを備える。
【0124】
貫通孔157bは、ヨーク材158の屈曲部158bを挿通可能な大きさを備える。両貫通孔157b,157bの離間間隔は、屈曲部158bの形成間隔と同等に設定される。
【0125】
キャビティ156にフェライト部材152が収納された状態でキャビティ157にヨーク材158が収納される。この状態でヨーク材158はキャビティ157に装着される。具体的には屈曲部158bを貫通孔157bに挿通させて本体158aが溝部157aに収納される。キャビティ156の深さ寸法と溝部157aの深さ寸法とを合計した深さ寸法は、フェライト部材152の厚み寸法とヨーク材158の厚み寸法とを加算した厚み寸法と同等かもしくは若干ながら大きな寸法に設定される。そのため、フェライト部材152とヨーク材158とを積層基板155に収納した状態において、ヨーク材158は積層基板155の表面から突出しない。
【0126】
一方、積層基板155の孔形成面の反対側に位置する表面に磁石153が配置される。磁石153は積層基板155を挟んでフェライト部材152と対向配置される。積層基板155上の磁石153を覆ってヨーク材154が配置される。貫通孔157bを挿通するヨーク材158の屈曲部158bの先端はヨーク材154に連結される。
【0127】
このように構成される通信回路モジュールは、モジュールを他の部材に実装する面(キャビティ形成面が相当する)が面一となる。これは、フェライト部材152とヨーク材158とが、キャビティ156とキャビティ157とに収納されて、ヨーク材158がモジュール実装面から突出しないためである。
【0128】
積層基板155の構成が図17に示される。中心電極172a,172b,172cはその長手方向が平面視互いに120度の角度で交差するように積層配置される。積層される中心電極172a〜172cの間にはそれぞれ接地電極173a,173bが一層ずつ配置される。積層配置される中心電極172a〜172c, 接地電極173a,173bの間に電気分離層である絶縁層αが配置される。
【0129】
端部に配置された中心電極172aのさらに外側にはコンデンサ形成用の対向電極176a,176b,176cが積層配置される。電極176a〜176cは同一平面上に配置される。対向電極176a〜176cは絶縁層αを介して中心電極172aに対向配置される。対向電極176a〜176cのさらに外側には接地電極173cが積層配置される。接地電極173cは誘電体層βを介して対向電極176a〜176cに対向配置される。
【0130】
対向電極176a〜176cと接地電極173cとの間に配置される誘電体層βと接地電極173cとには、キャビティ156を形成する開口178が設けられる。接地電極173cの積層基板外側には絶縁層αが設けられる。この絶縁層αに、キャビティ157の溝部157aとなる開口171が設けられる。接地電極173cは、開口171により形成された溝部157aにより、積層基板155の表面に露出する。積層基板155を構成する各絶縁層αには、キャビティ157の貫通孔157bとなる開口177が設けられる。
【0131】
中心電極172a〜172cの一端は、ビアホール導体γにより接地電極173〜173cに接続される。中心電極172a,172b,172cの他端は対向電極176a〜176cにビアホール導体γによりそれぞれ接続される。接続される中心電極172a〜172cと対向電極176a〜176cとに付された符号の末尾には同一のアルファベットが配される。また、中心電極172a〜172cの他端は通信回路モジュール内の所定の回路と結合するため、引き出し線路が接続される。
【0132】
本実施の形態の第2の構成が図18〜図20を参照して説明される。第2の構成は、基本的には上述した第1の構成と同一である。第2の構成を示す図18〜図20においては、180番台の符号と200番台の符号とが付される。180番台の符号が付される部品は、第1の構成における150番台の符号が付される部品に相当し、200番台の符号が付される部品は、第1の構成における170番台の符号が付される部品に相当する。ここで、対応する符号において1桁目の番号および末尾に付されるアルファベットは、第1の構成と第2の構成との間で共通化される。
【0133】
図18において、積層基板185には、サーキュレータの中心電極が形成される。積層基板185は通信回路モジュール全体の主構造材として機能する。各種チップなどの実装部品が積層基板185の表面に実装され、さらには内部に回路素子が組み込まれる。サーキュレータが構成されている通信回路モジュールの要部の断面図が図19Aに、その裏面図が図19Bにそれぞれ示される。
【0134】
積層基板185の一方面には、磁石183とヨーク材184とを収納するキャビティ187が設けられる。キャビティ187は、磁石183とヨーク材184とを収納する大きさを備える。キャビティ187の深さ寸法は、磁石183の厚み寸法とヨーク材184の厚み寸法とを加算した寸法と同等もしくはそれより若干大きい寸法を備える。
【0135】
ヨーク材184は、平板状の本体184aと、屈曲部184bとを備える。屈曲部184bは本体184aの両端からほぼ直角に屈曲され、積層基板185をその厚み方向に挿通可能な長さ寸法を備える。
【0136】
キャビティ187は、本体187aと本体187aの両端に設けられて積層基板185を貫通する貫通孔187bとを有する。
【0137】
貫通孔187bは、ヨーク材184の屈曲部184bを挿通可能な大きさを備える。両貫通孔187b,187bの離間間隔は、屈曲部184bの形成間隔と同等に設定される。
【0138】
キャビティ187の本体187aに磁石183が収納された状態でキャビティ187にヨーク材184が収納される。具体的には屈曲部184bを貫通孔187bに挿通させて本体184aが本体187aに収納される。キャビティ187の深さ寸法は、磁石183の厚み寸法とヨーク材184の厚み寸法とを加算した厚み寸法と同等かもしくは若干ながら大きな寸法に設定される。そのため、磁石183とヨーク材184とを積層基板185に収納した状態において、ヨーク材184は積層基板185の表面から突出しない。
【0139】
一方、積層基板185のキャビティ形成面の反対側面にフェライト部材182が配置される。フェライト部材182は積層基板185を挟んで磁石183と対向配置される。積層基板185上のフェライト部材182を覆ってヨーク材188が配置される。貫通孔187bを挿通するヨーク材184の屈曲部184bの先端はヨーク材188に連結される。
【0140】
このように構成される通信回路モジュールは、モジュールを他の部材に実装する面(キャビティ形成面が相当する)が面一となる。これは、磁石183とヨーク材184とが、キャビティ187とに収納されて、ヨーク材184がモジュール実装面から突出しないためである。
【0141】
積層基板185の構成が図20に示される。中心電極202a,202b,202cはその長手方向が平面視互いに120度の角度で交差するように積層配置される。積層される中心電極202a〜202cの間にはそれぞれ接地電極203a,203bが一層ずつ配置される。積層配置される中心電極202a〜202c, 接地電極203a,203bの間に絶縁層αが配置される。
【0142】
端部に配置される中心電極202cのさらに外側にはヨーク材接続用電極204が積層配置される。ヨーク材接続用電極204は絶縁層αを介して中心電極202cに対向配置される。
【0143】
中心電極202aの積層基板厚み外側には絶縁層αが設けられる。この絶縁層αに、キャビティ187の本体187aとなる開口201が設けられる。中心電極202aは、開口201により形成されるキャビティ187の本体187aにより、積層基板185の表面に露出する。なお、キャビティ187の本体187aと中心導体202aとの間にさらに絶縁層αを設けてもよい。積層基板185を構成する各絶縁層αには、キャビティ187の貫通孔187bとなる開口207が設けられる。
【0144】
中心電極202a〜202cの一端は、ビアホール導体γにより接地電極203a,203bとヨーク材接続用電極204とに接続される。中心電極202a,202bの一端は、引き出し線路により積層基板185内に構成されたコンデンサ(図示省略)に並列接続される。中心電極202a,202bの他端は通信回路モジュール内の所定の回路と結合するため、引き出し線路が接続される。
【0145】
積層基板185の表面に露出するヨーク材接続用電極204は、ヨーク材188に設けられた突起188h,188iに接続される。
【0146】
本実施の形態における第1の構成と第2の構成とは、フェライト部材と磁石との配置位置が逆になっており、それに伴って、積層基板の構成および積層基板に設けられたキャビティの構成が互いに若干ながら異なっている。
【0147】
本実施の形態の通信回路モジュールは、通信回路モジュールの実装面に実装上問題になる突起部が無い。具体的には、積層基板内に収納するヨーク材が積層基板と面一になる。このような構成の通信回路モジュールは携帯電話等の回路基板への実装が容易になる。
【0148】
本実施の形態の通信回路モジュールは、従来のように単品部品としてのサーキュレータ子を基板上に実装する場合と比べ、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減される。そのため、サーキュレータを実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能になる。
【0149】
本実施の形態の通信回路モジュールは、積層基板中でサーキュレータの中心電極が形成される層間に各中心電極の一端が接続される接地電極を設けているので、電気特性の優れた非可逆回路素子を内蔵することができる。
【0150】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態は積層基板の構成に特徴を有する。図21は本実施の形態の第1の構成である。図22は本実施の形態の第2の構成である。
【0151】
図21に示されるように、本実施の形態の第1の構成では、積層基板232において中心電極が形成される層におけるすべての電極パターン230の電極厚みが、その他の層の電極パターン231の電極厚みより厚く設定される。これにより、中心電極部分の導体損失が低減し、サーキュレータ部分の低損失化を図ることができる。
【0152】
このような構成を実現する具体的な方法としては、
・中心電極を含む同一平面位置の電極パターン230を選択的に複数回印刷形成する、
・中心電極を含む同一平面位置の電極パターン230を形成する際、電極パターン230が厚塗りされるように印刷スクリーンのメッシュや印刷条件を調節する、
といった方法がある。
【0153】
図21の構成を採用したことによる効果は、その形成方法によらず有効である。
【0154】
本実施の形態の第2の構成は、図22に示されるように、積層基板242において中心電極となる電極パターン240の電極厚みだけが、選択的にその他の電極パターン241の電極厚みより厚く設定される。この場合、その他の電極パターン241は、電極パターン240と同一層(同一平面位置)にある他の電極パターンが含まれる。
【0155】
これにより、中心電極部分の導体損失が低減し、サーキュレータ部分の低損失化を図ることができる。
【0156】
このような構成を実現する具体的な方法としては、中心電極の部分だけ複数回印刷形成するの方法がある。図22の構成を採用したみとによる効果は、その形成方法によらず有効である。
【0157】
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態は、非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールである。る。本実施の形態の通信回路モジュールが、図23,図24を参照して説明される。
【0158】
本実施の形態の積層基板215は、サーキュレータの中心電極とコンデンサ部分とがその内部に形成される。積層基板215は通信回路モジュール全体の主構造材を構成する。積層基板層基板215の表面には、各種チップなどの実装部品のほかパワーアンプ219が実装される。サーキュレータが構成される部分の電極構成や断面構成は他の実施の形態と同様であるので説明は省略される。
【0159】
積層基板215に、円板状のフェライト部材212を収納するキャビティ216と、ヨーク材218を埋設するキャビティ217とが設けられる。キャビティ216は、フェライト部材212を収納する大きさを備えており、積層基板215の一方面に形成される。
【0160】
ヨーク材218は、平板状の本体218aと、屈曲部218bとを備える。屈曲部218bは本体218aの両端からほぼ直角に屈曲され、積層基板215をその厚み方向に挿通可能な長さ寸法を備える。
【0161】
キャビティ217は、積層基板215の一方面に設けられてキャビティ216を横切る溝部217aと、溝部217aの両端に設けられて積層基板215を貫通する貫通孔217bとを有する。溝部217aは、ヨーク材218の厚みと同等の深さと、ヨーク材218の本体218aを収納可能な縦×横寸法とを備える。
【0162】
貫通孔217bは、ヨーク材218の屈曲部218bを挿通可能な大きさを備える。両貫通孔217b,217bの離間間隔は、屈曲部218bの形成間隔と同等に設定される。
【0163】
キャビティ216にフェライト部材212が収納された状態でキャビティ217にヨーク材218が収納される。この状態でヨーク材218はキャビティ217に装着される。具体的には屈曲部218bを貫通孔217bに挿通させて本体218aが溝部217aに収納される。キャビティ216の深さ寸法と溝部217aの深さ寸法とを合計した深さ寸法は、フェライト部材212の厚み寸法とヨーク材218の厚み寸法とを加算した厚み寸法と同等かもしくは若干ながら大きな寸法に設定される。そのため、フェライト部材212とヨーク材218とを積層基板215に収納した状態において、ヨーク材218は積層基板215の表面から突出しない。
【0164】
一方、積層基板215のキャビティ形成面の反対側の表面に磁石213が配置される。磁石213は積層基板215を挟んでフェライト部材212と対向配置される。積層基板215上の磁石213を覆ってヨーク材214が配置される。貫通孔217bを挿通するヨーク材218の屈曲部218bの先端はヨーク材214に連結される。
【0165】
以上の基本構成を備える通信回路モジュールにおいて、本実施の形態は、積層基板215のキャビティ形成面の反対側に位置する表面にキャビティ215Hが設けられる。キャビティ215Hは、一方の貫通孔217bの開口端に連通して形成される。キャビティ215Hは、他方の貫通孔217b側ではなくてその反対側に配置される。キャビティ215Hは、一方の貫通孔217bから突出する屈曲部218bの先端218hを収納する大きさを備える。キャビティ215Hの深さ寸法は、屈曲部218bの厚み寸法と同等に設定される。
【0166】
ヨーク材218は屈曲部218bを貫通孔217bに挿通させた状態で積層基板215に装着される。この状態で一方の屈曲部218bの先端218hがキャビティ215H側に屈曲されて、キャビティ215Hに収納される。このとき、先端218hの表面と積層基板215の表面とは面一となる。この状態で,キャビティ215H上にパワーアンプ219が実装される。実装されたパワーアンプ219とヨーク材218の先端218hとは当接する。
【0167】
本実施の形態の通信回路モジュールは、パワーアンプ219のように発熱する部品が含まれる場合でも、ヨーク材218の先端部218hを介して、パワーアンプ219の熱を効率よく実装基板側に放熱することができる。そのため、熱伝導率に優れた積層基板材料を採用したり、サーマルビアなどを用いることなく、良好な放熱構造を実現できる。そのため、回路構成の自由度が高くなり、集積度の高い通信回路モジュールが実現される。
【0168】
なお、ヨーク材218と発熱する実装部品(パワーアンプ219)との接触構造は、本実施の形態の構成に限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。
【0169】
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態は、非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールである。本実施の形態が、図25,図26を参照して説明される。
【0170】
本実施の形態の構成は、基本的には上述した第6,第8の実施の形態の構成と同一である。本実施の形態の構成を示す図25,図26においては、220番台の符号が付されている。220番台の符号が付された各部品は、第6の実施の形態における150番台,180番台、第8の実施の形態における210番台の符号が付された部品に相当する。ここで、対応する符号において1桁目の番号および末尾に付されるアルファベットは、第6,第8,第9の実施の形態の間で共通化される。
【0171】
第6,第8の実施の形態は、積層基板層155,185の内部に単一のサーキュレータを内蔵した通信回路モジュールである。本実施の形態は、積層基板225の内部に、複数のサーキュレータを内蔵する。具体的には、使用する周波数帯の異なる2つのサーキュレータの中心電極とコンデンサ部分とが積層基板層225に設けられる。積層基板225には、フェライト部材222A,222Bをそれぞれ収納する一対のキャビティ226A,226Bとヨーク材228を埋設するキャビティ227とが設けられる。磁気回路を構成するヨーク材224,228とフェライト部材222A,222Bを磁化する磁石223とは両フェライト部材222A,222Bで共用される。
【0172】
積層基板225は2つのサーキュレータを構成する電極構成が内蔵される。電極構成は、第6の実施の形態において図17を参照して説明した積層基板155の電極構成と同様である。ただし、本実施の形態では、サーキュレータ数(2)に合わせて複数の電極構成が積層基板225に内蔵される。
【0173】
本実施の形態の通信回路モジュールは、異なった周波数帯で動作する複数のサーキュレータを1つのモジュール中に一体化する。そのため、単品部品としてのサーキュレータを基板上に複数実装する場合と比べ、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減される。したがって、複数のサーキュレータを実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能となり、集積化された小型のデュアルバンド通信回路モジュールを実現することができる。各サーキュレータは1組のヨーク材224,228と1つの磁石223とを共有するので、これらを別々に用意する場合より部品点数を削減できる。これにより、量産性、コストの面で優れた複数のサーキュレータを内蔵したデュアルバンド通信回路モジュールを実現できる。
【0174】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、電気特性を劣化することなく小型化と量産性を実現する非可逆回路素子を得ることができる。電気特性を劣化することなく実効的な占有スペースを小さくできる非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールを得ることができる。積層基板の材料や構成に制約を受けることなく簡易な方法で実装部品の放熱対策が可能となる通信回路モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図2】第1の実施の形態の変形例を示すサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図3】本発明の第2の実施の形態の第1の構成におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図4】第2の実施の形態の第2の構成におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図5】第2の実施の形態の第1の変形例におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図6】第2の実施の形態の第2の変形例におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるサーキュレータを構成する分解斜視図。
【図8】第3の実施の形態におけるサーキュレータの縦断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図10】(A)〜(C)は、第1〜第3の実施の形態の変形例である積層基板中のビアホール導体の形状および配置を示す平面図。
【図11】本発明の第4の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図12】本発明の第5の実施の形態におけるサーキュレータの分解斜視図。
【図13】第5の実施の形態のサーキュレータの縦断面図。
【図14】第5の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図15】本発明の第6の実施の形態における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図16】(A)は、第6の実施の形態の第1の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の断面図、(B)は、第6の実施の形態の第1の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の平面図。
【図17】第6の実施の形態の第1の構成における通信回路モジュールの積層基板中の非可逆回路素子部の第1の構成の一部破断分解斜視図。
【図18】第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図19】(A)は、第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の断面図、(B)は、第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の平面図。
【図20】第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの積層基板中の非可逆回路素子部の一部破断分解斜視図。
【図21】本発明の第7の実施の形態の第1の構成における接層基板の断面図。
【図22】本発明の第7の実施の形態の第2の構成における接層基板の断面図。
【図23】本発明の第8の実施の形態における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図24】第8の実施の形態における通信回路モジュールの断面図。
【図25】本発明の第9の実施の形態における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図26】第9の実施の形態における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の断面図。
【図27】サーキュレータの第1の従来例の分解斜視図。
【図28】第1の従来例のサーキュレータの中心電極部の分解斜視図。
【図29】第1の従来例におけるサーキュレータの分解斜視図。
【図30】第1の従来例のサーキュレータの積層基板の分解斜視図。
【図31】第2の従来例におけるサーキュレータの分解斜視図。
【図32】第2の従来例のサーキュレータの積層基板の分解斜視図。
【符号の説明】
1 サーキュレータ
2,122,152,182,212,221,222 フェライト部材
3,123,153,183,213,223 磁石
4,8,78,124,,128,154,158,184,188,214,218, 224,228 ヨーク材
5a〜5c 中心電極 5p 接地円板
6a〜6c 平行平板コンデンサ 7,267 入出力端子部
7a,7b,7c 入出力端子
8d〜8f 接地端子 9a,9b 絶縁層
10,20,30,40,50,60,75,110,125,155,185,215,225,265,285 積層基板
11a〜11f,21a〜21f,31a〜31f,41a〜41f,51a〜51f,61a〜61f,91a〜91f,111a〜111f,271a〜271f 291a〜291f 内部接続用端子電極
12a〜12c,22a〜22c,32a〜32c,42a〜42c,52a〜52c,62a〜62c,92a〜92,112a〜112cc,142a〜142c,172a〜172c,202a〜202c,275a〜275c,295a〜295c 中心電極
13a,13b,23a,23b,33a,33b,43a,43b,53a,53b,63a〜63d,93a〜93c,143,173a〜173c,203a,203b,292 接地電極
36a〜36c,46a〜46c,56a〜56c,66a〜66c,67a〜67c,96a〜96c,146a〜146c,176a〜176c,296a〜296c コンデンサ形成用電極
76a〜76f,266a〜266f,286a〜286f 電極
77,287 入出力端子部 77a〜77c 入出力端子
78d〜78f 接地端子
78h,78i,188h,188i,218h 突起
94,204 ヨーク材接続用電極
101a〜101f,102a〜102f ビアホール導体
141a〜141f 外部接続用端子電極
148,171,178,201,215H キャビティ
177,207 孔 216 パワー・アンプ
267a〜267c,287a〜287c 入出力端子
α 絶縁層
【発明の属する技術分野】
本発明は磁性体を用いて信号の伝送に方向性を与える非可逆回路素子およびそれを回路素子として備える通信回路モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信機器のアンテナに接続されるフロントエンド部として用いられるサーキュレータ,アイソレータなどの非可逆回路素子は、小型・薄型化とともに電気的特性の向上が求められる。特に端末機における電池寿命を左右する挿入損失特性に対する要望は厳しくなってきており、そのような要求に対して様々な改善取り組みがなされている。
【0003】
従来のサーキュレータ1の分解斜視図が図27に示される。従来のサーキュレータ1は、円板状のフェライト部材2と、磁石3と、平行平板コンデンサ6と、入出力端子部7と、ヨーク材4,8とを備える。磁石3はフェライト部材2に対向して配置される。平行平板コンデンサ6は整合用コンデンサを構成する。入出力端子部7は、図示しない外部回路に接続される入出力端子7a,7b,7cを有する。ヨーク材4,8はフェライト部材2,磁石3などを内包し磁気回路を構成する。
【0004】
ヨーク材4,8は互いに嵌合して一体となるが、図27では、これらヨーク材4,8を分解した状態が示される。フェライト部材2の周囲には、3つの中心電極5a,5b,5cが配置される。中心電極5a〜5cは導電性の薄板材で構成される。中心電極5a〜5cは互いに電気的に絶縁されて120度の角度で交差して重ね合わせ配置される。
【0005】
中心電極5a〜5cとフェライト部材2との構成が図28に示される。中心電極5aと中心電極5bとの間に絶縁層9aが配置される。中心電極5bと中心電極5cとの間に絶縁層9bが配置される。中心電極5a〜5cのそれぞれの一端は、フェライト部材2の下方に配置された接地円板5pに接続される。中心電極5a〜5c間に配置される絶縁層9a,9bは、図27において図示省略される。接地円板5pはフェライト部材2の下面に設けられるため図30において図示されない。
【0006】
全体構成の説明に戻る。図27において、3個の平行平板コンデンサ6a,6b,6cの下部電極は、ヨーク材8の所定の位置に配置されてヨーク材8に接続される。中心電極5a〜5cの他端は、平行平板コンデンサ6a〜6cの上部電極に接続される。フェライト部材2のヨーク材8側の接地円板5pはヨーク材8上の所定の位置に接続される。ヨーク材8に接地端子8d,8e,8fが形成される。接地端子8d,8e,8fは図示しない外部回路に接続されて信号が入出力される。入出力端子部7には、フェライト部材2を収納する孔Hが形成される。OLE_LINK1入出力端子7a〜7cはインサート成型で樹脂構造体内に構成される。入出力端子部7の下面において、入出力端子7a〜7cから延長された3つの電極は、平行平板コンデンサ6a〜6c上に接続された中心電極5a〜5cの各先端に接続される。図27において入出力端子7cは隠れた位置にあるため図示していないが、この入出力端子7cは、接地端子8e,8f間に配置される。
OLE_LINK1 図において各部品は、図中の各部品付された数字に添付されたアルファベットによって互いに対応付けられる。
【0007】
なお、図27では、サーキュレータの構成を説明した。しかしながら、サーキュレータの構成において、入出力端子のうちの1つを抵抗器で終端することによってアイソレータが構成される。
【0008】
以上が従来の非可逆回路素子の基本的な構成である。最近の技術動向においては、非可逆回路素子の一層の小型化と量産性の向上を目的として、中心電極部分やコンデンサ部分、あるいはその両方を一つの基板中に組み込む構成が提案されている。具体的には、積層技術を用いて立体的に電極を配置することで中心電極部分やコンデンサ部分、あるいはその両方を一つの基板中に組み込む構造が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
積層基板を用いて中心電極部分を一体化した構成が図29に示される。積層基板の要部構成が図30に示される。図29の基本的な構成は図27で説明されたサーキュレータと同じである。図30に示される積層基板265において、中心電極275a,275b,275cは図示しない絶縁層を介して積層形成される。中心電極275a〜275cは互いに120度の角度で交差するように配置される。積層基板265の下表面には、内部接続用端子電極271a,271b,271c,271d,271e,271fがそれぞれ配置される。これら内部接続用端子電極271a〜271fは、ビアホール導体を介して中心電極275a〜275cの端部に接続される。図30において、ビアホール導体を介して接続される電極同士の接続状態が破線で概念的に示される。また、図29中で、積層基板265の下表面に構成された各内部接続用端子電極271a〜271fは、入出力端子部267上面に構成された電極266a,266b,266c,266d,266e,266fに接続される。電極266a〜266cは入出力端子部267下面に延長されて、平行平板コンデンサ6a〜6cの上部電極に接続される。さらに電極266a〜266cは延長されて、入出力端子267a〜267cに接続される。図29において入出力端子267cは図示されない。電極266d〜266fは入出力端子部267の下面に延長されてヨーク材8に接続される。図において各部品は、図中の各部品に付された数字に添付されたアルファベットによって互いに対応付けられる。
【0010】
積層基板を用いて中心電極とコンデンサ部分とを一体化した構成が図31に示される。積層基板の要部構成が図32に示される。図31の基本的な構成は図27で説明されたサーキュレータと同じである。図32に示される積層基板285において、中心電極295a,295b,295cは、絶縁層を介して積層形成される。中心電極295a,295b,295cは、その長手方向が互いに平面視120度の角度で交差するように配置される。電極296a,296b,296cは接地電極292と対向して形成される。積層基板285の下表面には、内部接続用端子電極291a,291b,291c,291d,291e,291fがそれぞれ配置される。中心電極295a〜295cの各一端は、ビアホール導体を介して電極296a〜296cと、内部接続用端子電極291a〜291cとに接続される。中心電極295a〜295cの各他端は、ビアホール電極を介して電極292と内部接続用端子電極291d〜291fとに接続される。図31中で、積層基板285の下表面に構成される各内部接続用端子電極291a〜291fは、入出力端子部287上面に構成された電極286a,286b,286c,286d,286e,286fに接続される。電極286a〜286cは入出力端子部287中に設けられる。電極286a〜286cは入出力端子287a〜287cに接続される。入出力端子287cは図示されない。電極286d〜286fは入出力端子部287下面に延長され、ヨーク材8に接続される。図において各部品は、図中の各部品に付された数字に添付されたアルファベットによって互いに対応付けられる。
【0011】
以上、説明したような非可逆回路素子を代表とする単品部品の小型化と並行して、フロントエンド部などを構成する無線回路中のいくつかの回路部品を取り込んで一体化した通信回路モジュールを形成することが行われている。これは、部品点数の削減と省スペースを実現しようとする試みである。特に、単品部品として構成した非可逆回路素子を含んで通信回路モジュールを構成する場合には、通信回路モジュールを構成する基板上に非可逆回路素子を実装してパッケージ化している。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−203509(請求項1、図1、段落0021)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
図29や図31に示される改良された従来のサーキュレータ(積層基板を用いている)では、図27のサーキュレータに比べて部品点数が削減され、組立の煩雑さも解消されていることから、量産性が向上し小型化にも対応できる。しかしながら、金属箔で構成された中心電極の接地端をフェライト部材の下面まで延長し共通の接地円板に接続する構造に比べて、改良された従来のサーキュレータは、各中心電極の接地端の等電位性が不十分になる。そのため、改良された従来のサーキュレータでは、電気特性の劣化やアースインピーダンスの上昇を招くおそれがある。
【0014】
また、非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールを構成する際、非可逆回路素子を単品部品として構成する限り、非可逆回路素子の基板上での占有スペースを小さくすることに限度があり、このことが通信回路モジュールの小型化の妨げになる。これは、非可逆回路素子を通信回路モジュールに実装する際に、周りに配置される部品との距離をある程度とらなければならないという実装上の理由に因る。
【0015】
また、通信回路モジュールにパワーアンプなどの発熱する部品が含まれる場合、その放熱対策のため、主構造材として使用する積層基板の材料や構成に制限があり、回路構成の自由度が下がり、集積化が困難となる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極の他端に接続されるとともに、前記中心電極の間に少なくとも1つずつ配置される接地電極と、前記中心電極と前記接地電極との間に配置される電気分離層と、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材とを有して非可逆回路素子が構成される。
【0017】
上記の構成によれば、別々の層に形成された3つの中心電極の各層間に、1つ以上の接地電極が形成されているため、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、積層基板を用いて中心電極を形成しても電気特性を劣化することなく非可逆回路素子を実現することができる。また、アースインピーダンスの小さい非可逆回路素子が実現される。
【0018】
また、本発明の他の態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極どうしの間に配置される電気分離層と、前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、前記積層基板内に設けられて、前記中心電極両端の接続箇所を含むこの積層基板内の接続箇所における層間接続を行うビアホール導体とを有して非可逆回路素子が構成される。さらに、前記中心電極の他端に接続される前記ビアホール導体は、他の前記ビアホール導体よりも電気抵抗が低い。
【0019】
以上の構成によれば、前記積層基板中の各層の電極パターンはビアホール導体で接続されるため、別途側面電極を構成する場合と比べ、基板の形成と一括して非可逆回路素子を製造できるので、その量産性が格段に向上する。また、その際、中心電極のの他端に接続されるビアホール導体は、他のビアホール導体よりも電気抵抗が低く構成されるので、同一導電性のビアホール導体で画一的に接続されたものと比べて、アースインピーダンスが低減され、電気特性の優れた非可逆回路素子が実現される。
【0020】
なお、前記中心電極の他端に接続するビアホール導体は、前記中心電極の一端に接続するビアホール導体、あるいは、前記積層基板中のその他の電極パターンに接続するビアホール導体よりも総断面積が大きいのが好ましい。
【0021】
このような非可逆回路素子によれば、他の前記ビアホール導体よりも電気抵抗が低いビアホール導体を比較的容易に形成できるようになり、その量産性が格段に向上する。
【0022】
また、本発明の他の態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極それぞれの一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極どうしの間それぞれに配置される電気分離層と、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、前記積層基板の端面に設けられる接地電極とを有して非可逆回路素子が構成される。さらには、前記中心電極それぞれの他端を前記積層基板の端面まで延出させて前記接地電極に接続される。
【0023】
上記の構成によれば、別々の層に形成される3つの中心電極の他端は、積層基板の端面に形成される接地電極に接続されるので、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、積層基板を用いて中心電極部を形成しても電気特性を劣化することなく非可逆回路素子を実現することができる。また、アースインピーダンスの小さい非可逆回路素子が実現できる。
【0024】
なお、前記コンデンサは前記積層基板中に積層形成されているのが好ましい。そうすれば、非可逆回路素子のさらなる小型化を図ることができる。
【0025】
本発明の他の態様においては、互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、前記中心電極どうしの間に配置される電気分離層と、
前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板とを有して非可逆回路素子が構成される。さらには、前記コンデンサは、対向配置される一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有する。コンデンサは前記積層基板と一体に成形される。一方の前記対向電極は前記中心電極の一端に接続される。他方の前記対向電極は前記積層基板の表面に露出される。
【0026】
この構成によれば、コンデンサの接地側の電極を最短距離で外部の接地電位の電極と接続することができるので、アースインピーダンスが低減される。この場合、コンデンサが1対の対向電極と誘電体層で構成されるので、複数の対向電極を用いて積層構造でコンデンサを構成したものと比べ、不要なインダクタンス成分を含まない純粋な容量性素子を構成できる。これにより、電気特性の優れた非可逆回路素子を実現できる。
【0027】
なお、積層基板中にコンデンサを積層形成する際、前記コンデンサを構成する誘電体層は、前記電気分離層より誘電率の高い材料から構成されているのが好ましい。そうすれば、コンデンサを単層構造で構成しても十分な容量値を得ることができる。
【0028】
なお、前記誘電体層を除く前記積層基板の他の層の間に接地電極を設け、この接地電極を前記中心電極の他端に接続するのが好ましい。そうすれば、中心電極のそれぞれの他端が接続される接地電極を設けたので、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、より電気特性の優れた非可逆回路素子を実現することができる。
【0029】
なお、前記積層基板の表面に露出配置されて前記中心電極の他端に接続される表面電極をさらに有し、前記ヨーク材を導電性材料から構成し、このヨーク材を前記表面電極に当接させることで接続するのが好ましい。そうすれば、接地電極を直接ヨーク材に電気接続することで、ヨーク材の低インピーダンスを利用して積層基板のアースインピーダンスを下げることができ、電気特性の優れた非可逆回路素子を実現することができる。
【0030】
なお、本発明の通信回路モジュールでは、積層基板を前記通信回路モジュールの主構造材とするのが好ましい。そうすれば、通信回路モジュールの主構造材となる積層基板に非可逆回路素子が内蔵されることになり、従来のように単品部品としての非可逆回路素子を基板上に実装する場合と比べて、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減される。その結果、電気特性の優れた上記本発明の非可逆回路素子を実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能となる。
【0031】
なお、前記積層基板内に前記中心電極を含む電極パターンを設け、前記中心電極の電極厚みを、積層基板内に設けられる他の前記電極パターンの電極厚みの平均値より厚くするのが好ましい。
【0032】
そうすれば、必要最小限の工程追加により、非可逆回路素子部分の中心電極の導体抵抗を下げることができる。これにより、伝送損失を低減することができ、電気特性の優れた非可逆回路素子を内蔵した通信回路モジュールを容易に実現できる。
【0033】
なお、通信回路モジュールを構成する場合、前記積層基板上に実装部品を実装し、この実装部品の少なくとも1つを、前記ヨーク材に当接させるのが好ましい。そうすれば、実装部品の熱をヨーク材を介して外部に効率よく放熱することが可能となる。これにより、特定の積層基板材料や積層構造を用いることなく、高効率の放熱構造を構築できる結果、回路構成の自由度が高く、集積度の高い通信回路モジュールを実現することができる。
【0034】
なお、前記発熱する部品がパワーアンプである場合にはその放熱性が非常に重要になるため、本発明を用いた場合の効果が顕著に発揮される。
【0035】
なお、通信回路モジュールを構成する場合、複数の非可逆回路素子を設けるのが好ましい。そうすれば、通信回路モジュールがデュアルバンド、トリプルバンドなどの複数の周波数帯を利用するものであっても、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減されて、複数の非可逆回路素子を実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能となる。その結果、集積化された小型のマルチバンド通信回路モジュールを実現することができる。
【0036】
なお、複数の非可逆回路素子で別々にヨーク材を用意するのではなく、1組のヨーク材を共有利用することが好ましい。さらには、磁石も1組の磁石を共有利用することが好ましい。
【0037】
そうすれば、部品点数を削減することができるので、量産性、コストの面で優れた複数の非可逆回路素子を内蔵したマルチバンド通信回路モジュールを実現することができる。
【0038】
なお、積層基板に、前記フェライト部材と前記ヨーク材との一部もしくは全部を、これら部材の表面を前記積層基板から突出させることなく収納する収納凹部を設けるのが好ましい。または、前記積層基板に、前記磁石と前記ヨーク材との一部もしくは全部を、これら部材の表面を前記積層基板から突出させることなく収納する収納凹部を設けるのが好ましい。そうすれば、通信回路モジュールの実装面に実装上問題になる突起部を無くすことができるので、携帯電話等の回路基板への実装を容易に実現することができる。
【0039】
以上説明した本発明では、電気特性を劣化することなく小型化と量産性を実現する非可逆回路素子を提供することができる。また、電気特性を劣化することなく実効的な占有スペースを小さくできるようにして非可逆回路素子を有する通信回路モジュールを提供することができる。また、積層基板の材料や構成に制約を受けることなく簡易な方法で実装部品の放熱対策が可能となる通信回路モジュールを提供することができる。
【0040】
なお、本発明における電気分離層は、電気絶縁層や誘電体層等といった層から構成できる。また、本発明においては、フェライト部材と中心電極との間の離間間隔を両者が近接する間隔とした。この間隔は、フェライト部材を含んで構成される磁気回路が発する磁気的影響を十分に中心電極が受ける程度の間隔をいう。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0042】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、中心電極部分のみを積層基板で形成した例について説明される。図1に第1の実施の形態におけるサーキュレータの積層基板10の構成が示される。サーキュレータ全体の構成は、従来の技術で説明された図29のサーキュレータの積層基板265を図1に示される積層基板10で置き換えた構造である。そのため、本実施の形態のサーキュレータの全体の構成についてはその詳細な説明が省略される。
【0043】
中心電極12a,12b,12cは平面視細長矩形の枠状に形成される。中心電極12a〜12cは、平面視その長手方向が互いに120度の角度で交差するように積層配置される。中心電極12a〜12cの間には、それぞれ接地電極13a,23bが配置される。接地電極13a,13bと中心電極12a〜12cとの間には電気分離層である絶縁層αが設けられている。この状態で中心電極12a〜12cと絶縁層αと接地電極23a,13bとが積層される。中心電極12aと中心電極12cとの積層方向外側位置にも絶縁層αが積層配置される。これにより積層基板10が構成される。
【0044】
積層基板10の下表面には、内部接続用端子電極11a,11b,11c,11d,11e,11fがそれぞれ配置される。中心電極12aの一端はビアホール導体γにより内部接続用端子電極11aに接続される。中心電極12bの一端はビアホール導体γにより内部接続用端子電極11bに接続される。中心電極12cの一端はビアホール導体γを介して内部接続用端子電極11cに接続される。
【0045】
中心電極12a〜12cの他端は、ビアホール導体γにより接地電極13a,13bに接続される。中心電極12a〜12cの他端は、内部接地端子電極11d〜11fにそれぞれ接続される。図中、ビアホール導体γによる接続個所は、細線の破線で概念的に示される。
【0046】
本実施の形態のサーキュレータでは、
・中心電極12a〜12cの間に接地電極13a,13bが配置される、
・中心電極12a〜12cの一端が接地電極13a,13bに接続される、
という構成を備えることで、各中心電極12a〜12cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善される。
【0047】
本実施の形態のサーキュレータと、図30に示される積層基板265を用いた従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表1に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0048】
【表1】
【0049】
本実施の形態のサーキュレータは、従来例に比べて各中心電極12a〜12cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善されている。
【0050】
なお、本実施の形態では中心電極12a〜12cの各層間に1層ずつ接地電極13a,13bが配置されたが、中心電極12a〜12cの各層間に接地電極が複数層配置されてもよい。
【0051】
また、本実施の形態で示した各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。例えば、図2に示されるようにビアホール導体γではなく積層基板20の外側面に形成された電極パターンεにより、各層の電極パターンが接続されてもよい。
【0052】
図2において、積層基板20の下表面には、内部接続用端子電極21a,21b,21c,21d,21e,21fがそれぞれ配置される。電極21a〜21fの一端は積層基板20の端縁まで延出する。中心電極22a〜22cの一端は、積層基板20の外側面に形成された接続用の電極パターンεにより電極21a〜21cに接続される。中心電極22a〜22cの他端は、積層基板20の外側面に形成された接続用の電極パターンεにより接地電極23a,23bに接続される。同時に中心電極22a〜22cの他端は、接続用の電極パターンεにより内部接続端子電極21d〜21fにそれぞれ接続される。図中、接続用の電極パターンεによる接続箇所は、破線で概念的に示される。
【0053】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、中心電極とコンデンサ部分とを積層基板で形成した構成である。図3には、第2の実施の形態の第1の構成であるサーキュレータの積層基板30が示される。図4には、第2の実施の形態の第2の構成であるサーキュレータの積層基板40の構成が示される。サーキュレータ全体の構成は、従来例で説明された図31のサーキュレータの積層基板285を図3の積層基板30、あるいは図4の積層基板40に置き換えた構造である。そのため、サーキュレータ全体の詳細な説明は省略される。
【0054】
本実施の形態の第1の構成である積層基板30は、中心電極32a,32b,32cと、接地電極33a,33bと、内部接続用端子電極31a,31b,31c,31d,31e,31fとを備えている。これら電極32a〜32c,33a,33b,31a〜31fの構造は、基本的には第1の実施の形態における中心電極12a〜12c,接地電極13a,13b, および内部接続用端子電極11a〜11fの構造と同様である。積層基板30では、接地電極33cと内部接続用端子電極31a〜31fとの間にコンデンサ形成用の対向電極36a,36b,36cが設けられる。対向電極36a〜36cは誘電体層βを間にして接地電極33cに対向して配置される。この場合、接地電極33cと対向電極36a〜36cとその間に配置される誘電体層βによりコンデンサが構成される。
【0055】
中心電極32aの一端は、ビアホール導体γにより電極36aと電極31aとに接続される。中心電極32bの一端は、ビアホール導体γにより電極36bと電極31bとに接続される。中心電極32cの一端は、ビアホール導体γにより電極36cと電極31cとに接続される。
【0056】
中心電極32a〜32cの他端はビアホール導体γにより接地電極33a〜33cに接続される。また、中心電極32aの他端は、ビアホール導体γにより電極31eに接続される。中心電極32bの他端は、ビアホール導体γにより電極31fに接続される。中心電極32cの他端は、ビアホール導体γにより電極31dに接続される。図中、ビアホール導体γによる接続箇所は、細線の破線で概念的に示される。
【0057】
本実施の形態の第2の構成である積層基板40は、図4に示されるように、基本的には、第1の構成である積層基板30と同様の構成を備えている。そこで、図4では、積層基板30で30番台の符号が付されている各部分の同様の部分に40番台の符号が付されており、積層基板40(図4)の各部分に付された符号の一桁目の数字およびその末尾に付されたアルファベットは積層基板30(図3)と共通化される。
【0058】
積層基板40は、もう一つの接地電極43dが設けられる。接地電極43dは最上層に設けられた中心電極43bのさらに上層に絶縁層αを間にして積層配置される。接地電極43dはビアホール導体γにより他の接地電極43a〜43cに接続される。接地電極43dはビアホール導体γにより中心電極42a〜42cの他端にそれぞれ接続される。図中、ビアホール導体γによる接続については、細線の破線で概念的に示される。
【0059】
本実施の形態のサーキュレータでは、
・中心電極32a〜32c,42a〜42cの間に接地電極33a,33b,43a,43bが配置される、
・中心電極32a〜32c,42a〜42cの一端が接地電極33a〜33c,43a〜43dに接続される、
という構成を有することで、各中心電極32a〜32c,43a〜43cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善する。
【0060】
本実施の形態のサーキュレータと、図31に示される従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表2に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、素子サイズ3mm角において実施された。
【0061】
【表2】
【0062】
本実施の形態のサーキュレータは、各中心電極32a〜32c,42a〜42cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善していることがわかる。また、積層基板40に示されるように、中心電極42a〜42cが形成される層間以外の層間に、コンデンサ形成用の対向電極とならない接地電極43dをさらに設けた場合には、さらに良好な効果が得られる。
【0063】
なお、本実施の形態では、中心電極32a〜32c,42a〜42cの各層間に1層ずつ接地電極33a〜33c,43a〜43cを配置したが、中心電極32a〜32c,42a〜42cの各層間に接地電極を複数層形成してもよい。
【0064】
また、中心電極が形成される層間以外に配置される接地電極やコンデンサが形成される誘電体層β以外に配置される接地電極を、複数層形成してもよい。
【0065】
本実施の形態で示した各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。
【0066】
例えば、図5の積層基板50に示されるように、コンデンサ形成用の対向電極56a,56b,56cが最上層の中心電極52cより上部に配置されてもよい。また、図6の積層基板60に示されるように、コンデンサ形成用の対向電極が複数組(図6では対向電極66a〜66c,67a〜67cの二組)設けられ、各コンデンサ形成用の対向電極が接地電極63c,63dに積層基板60の厚み方向に沿って誘電体層βを間にして対向配置されることでコンデンサが形成されてもよい。
【0067】
図6に示される積層基板60では、対向電極66a〜66cと、接地電極63cとにより第1のコンデンサが形成され、対向電極66a〜66cと、接地電極63dとにより第2のコンデンサが形成され、対向電極67a〜67cと、接地電極63dとにより第3のコンデンサが形成される。
【0068】
なお、図6に示される積層基板60では、大きな容量を形成するすることができるものの、コンデンサを積層構造にすることにより、コンデンサ部分に不要なインダクタンス成分が生じる可能性がある。そのため、不要なインダクタンスの抑制を優先する場合には、図3〜図5に示されるようにコンデンサを単層構造にするのがのが好ましい。その際、構成しようとする非可逆回路素子の中心周波数、素子サイズによっては、コンデンサ容量が不足する場合がある。そのような場合は、コンデンサが形成される層間に配置される誘電体層βを、その他の層間を構成する電気分離層(絶縁体層)より高誘電率の材料で形成すればよい。そうすれば、十分な容量値を得ることができる。
【0069】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、ヨーク材の低インピーダンスを利用して積層基板中のアースインピーダンスを低減した構成である。図7〜図9は、第3の実施の形態であるサーキュレータが示される。
【0070】
図7の基本的な構成は図27で説明されたサーキュレータと同じである。図7に示されるサーキュレータの縦断面図は図8に示される。
【0071】
ヨーク材78に、入出力端子部77が収納される。入出力端子部77の中央に円形状の孔Hが形成される。円形状のフェライト部材2が孔Hに収納される。入出力端子部77上に積層基板75が載置される。積層基板75上に磁石3が載置される。この状態でヨーク材78にヨーク材4が取り付けられる。入出力端子部77とフェライト部材2と積層基板75と磁石3とは、一体化されたヨーク材78,4の内部に収納される。
【0072】
積層基板75の構成が図9を参照して説明される。積層基板75は、図3を参照して説明された第2の実施の形態の積層基板30と同様の構成を備える。そこで、図9では、積層基板30において30番台の符号が付される各部分と同様の部分に90番台の符号が付され、積層基板75(図9)の各部分に付された符号の一桁目の数字およびその末尾に付されたアルファベットは積層基板30(図3)と共通化される。
【0073】
積層基板75が上述した第2の実施の形態の積層基板30と異なるのは、積層基板75の上表面にヨーク材接続用電極94が配置される点である。ヨーク材接続用電極94は、ビアホール導体γにより中心電極92a,92b,92cの他端に接続される。
【0074】
このように構成される積層基板75は、図7に示されるように入出力端子部77に接続される。入出力端子部77は、樹脂構造体に入出力端子77a,77b,77cを収納することで構成される。入出力端子部77は、図示しない外部回路に接続される入出力端子77a〜77cを有する。入出力端子77a〜77cは、例えばインサート成型によって樹脂構造体に収納される。図7において入出力端子77cは隠れた位置にあるため図示されていない。入出力端子部77の図中の上面には入出力電極76a,76b,76c,76d,76e,76fが設けられる。入出力電極76a〜76cは入出力端子部77内で延長されて入出力端子77a〜77cにそれぞれ接続される。入出力電極76d〜76fは入出力端子部77下面まで延長されてヨーク材78に接続される。
【0075】
積層基板75の図中下側の表面に配置される内部接続用端子電極91a〜91fは、入出力電極76a〜76fに接続される。ヨーク材78は、本体部78aと屈曲部78bとを備える。本体部78aは平板形状を有する。屈曲部78bは本体部78aの両端からほぼ直角に屈曲される。屈曲部78bの先端に突起78h,78iが設けられる。突起78h,78iは、図7,図8に図示されるように、入出力端子部77,フェライト部材2,積層基板75がヨーク材78の内に組み込まれた後に積層基板75上面で折り曲げられる。折り曲げられた突起78h,78iは積層基板75上に形成されたヨーク材接続用電極94に接続される。
【0076】
本実施の形態のサーキュレータでは、
・中心電極92a〜92cの間に接地電極93a,93bが配置される、
・中心電極92a〜92cの一端に接地電極93a,93bが接続される、
・積層基板75の表面に設けられたヨーク材接続用電極94(接地電極93a〜93cに接続されている)が直接ヨーク材78に接続される、
という構成を備えることで、各中心電極92a〜92cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善する。さらには、ヨーク材4,78の低インピーダンスを利用して積層基板75中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善される。
【0077】
本実施の形態のサーキュレータと、第2の実施の形態のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表3に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0078】
【表3】
【0079】
本実施の形態のサーキュレータでは、積層基板75の表面に設けたヨーク材接続用電極94(接地電極93a〜93cに接続されている)を直接ヨーク材78に接続することで、第2の実施の形態に比べて、積層基板75中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善されている。
【0080】
なお、ヨーク材4,78と積層基板75の接地電極との間の接続構造は、本実施の形態の構成に限定されるものではなく、上下いずれかのヨーク材4,78に直接積層基板75の接地電位電極93a〜93cが接続される構成であれば同様の効果が得られる。
【0081】
上述した第1〜第3の実施の形態は次のように構成されるのがさらに好ましい。第1〜第3の実施の形態では、ビアホール導体γとして次のものが設けられる。
・中心電極の接地電極接続端(他端)に接続されるビアホール導体γ(以下、第1のビアホール導体γという)。
・中心電極の接地電極接続端(他端)ではなく積層基板中のその他の電極パターンに接続されるビアホール導体γ(以下、第2のビアホール導体γという)。
・中心電極の接地電極接続端ではなく中心電極のコンデンサ接続端(一端)に接続されるビアホール導体γ(以下、第3のビアホール導体γという)。
【0082】
以上のビアホール導体γにおいて、第1のビアホール導体γは、第2,第3のビアホール導体γより電気抵抗を低くするのが好ましい。ビアホール導体γの電気抵抗は、例えば、ビアホール導体γの総断面積を大きくすることで低くすることができる。また、ビアホール導体γの導体材料を調整することで電気抵抗を低くすることができる。これにより、積層基板中のアースインピーダンスを低減することができる。
【0083】
図10Aは第1〜第3の実施の形態におけるビアホール導体γの形状および配置図が示される。図10Bは、ビアホール導体γの第1の改良例の形状および配置図が示される。図10Cは、ビアホール導体γの第2の改良例の形状および配置図が示される。これらの図は、積層基板の平面方向に沿った断面図である。これらのビアホール導体γで接続される積層基板中の電極パターンはすべて図3で示される電極パターンが採用される。サーキュレータ全体の構成は、従来例で説明された図31のサーキュレータの構造が採用される。図10A〜図10Cにおいて、符号(101a,101b,101c),(102a,102b,102c),(103a,103b,103c)は、図3中の内部接続用端子電極31a,31b,31cに接続されて、接地電極に接続されない第2,第3のビアホール導体γが示される。符号(101d,101e,101f),(102d,102e,102f),(103d,103e,103f)は、接地電極に接続される第1のビアホール導体γが示される。
【0084】
図10Aの構成においては、すべてのビアホール導体101a〜101fは同一径で各1個ずつ構成される。
【0085】
図10Bの第1の改良例においては、
・第2,第3のビアホール導体102a〜102cは図10Aにおける第2,第3のビアホール導体101a〜101cと同一径である、
・第1のビアホール導体102d〜102fは、図10Aにおける第1のビアホール導体101d〜101fより大径(この例では2倍径)で各1個ずつ構成される、
という構成を備える。
【0086】
図10Cの第2の改良例においては、
・すべてのビアホール導体103a〜103fは同一径である、
・第2,第3のビアホール導体103a〜103cは各1個ずつ形成される、
・第1のビアホール導体103d〜103fは各3個ずつ構成される、
という構成を備える。
【0087】
なお、図3に示される電極パターンは図10aのビアホール導体101a〜101fの形状および配置に対応したものである。図3の構成において、図10b,図10cに示される第1,第2の改良例のビアホール導体の構成を採用する場合には、ビアホール導体に接続される積層基板の電極パターンの形状をビアホール導体の形状変更に応じて変更する必要がある。
【0088】
ビアホール導体の第1,第2の改良例を用いたサーキュレータは、これら改良例を採用していないサーキュレータに比べて、接地電極に接続されるビアホール導体の総断面積が大きくてその電気抵抗が低いので、積層基板中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善される。
【0089】
上述したビアホール導体の第1,第2の改良例を第2の実施の形態の第1の構成に採用したサーキュレータの挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表4に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0090】
【表4】
【0091】
ビアホール導体の第1,第2の改良例を採用したサーキュレータは、これらの改良例を採用していないサーキュレータに比べて、積層基板中のアースインピーダンスが低減されて挿入損失特性が改善されている。
【0092】
なお、第1の改良例の構成において、すべてのビアホール導体101a〜101fの直径を同一径にした状態でその径を大径にしても同様の特性改善効果が得られると考えられるが、そうすると、次のような不都合が生じる。
・プロセス上の問題として、素子断面積中に占めるビアホール導体γの総断面積が大きくなって基板中にクラックが入りやすくなる。
・回路上の問題として、入出力端子に接続される側のビアホール導体γの断面積が増大して伝送線路上に不要容量が重畳しやすくなる。
【0093】
このような観点から、上述した第1改良例(接地電極が接続される側のビアホール導体γの総断面積を大きくする)を採用するのが好ましい。
【0094】
なお、ビアホール導体γの第1,第2の改良例は、上述した第1〜第3の実施の形態に記載されたサーキュレータにおいて実施できるだけではなく、従来例のように中心電極の各層間に接地電極がない構成において実施しても同様の効果が得られる。
【0095】
上述した第1,第2の改良例の構成はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲であれば同様の効果が得られる。また、各ビアホール導体γの総断面積を同じにしたうえで、第1のビアホール導体γを構成する導体材料を、第2,第3のビアホール導体γを構成する導体材料より導電率の大きい導体材料としてもよい。
【0096】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態は、中心電極の接地側端部(他端)が積層基板の端面まで延長され、積層基板端面に形成した接地電極に接続された非可逆回路素子である。図11に第4の実施の形態におけるサーキュレータの積層基板110の構成が示される
。サーキュレータ全体の構成は従来例で説明された図29のサーキュレータと同一であるので、その詳細な説明は省略される。
【0097】
積層基板110は、平面視細長矩形の枠状に形成される中心電極112a,112b,112cを備える。中心電極112a〜112cそれぞれは平面視その長手方向が120度の角度で交差するように積層配置される。中心電極112a〜112cは、絶縁層αを介してそれぞれ積層配置される。
【0098】
積層基板110の下表面に、内部接続用端子電極111a,111b,111c,111d,111e,111fが配置される。これら内部接続用端子電極のうち、電極111d〜111fの一端は積層基板110の端面まで延長される。
【0099】
中心電極112a〜112cの一端は、ビアホール導体γにより内部接続用端子電極111a〜111cに接続される。中心電極112a〜112cの他端は積層基板110の端面まで延長される。積層基板110の上下面を除く4端面の全面に接地電極113a,113b,113c,113dが形成される。中心電極112a〜112cの他端は接地電極113a〜113dに接続される。中心電極112a〜112cは接地電極113a〜113dを介して内部接地端子電極111d〜111fに接続される。図中、ビアホール導体γによる接続については、細線の破線で概念的に示される。
【0100】
本実施の形態のサーキュレータは、
・別々の層に形成された3組の中心電極112a〜112cの他端が、積層基板110の端面に形成される接地電極113a〜113dに接続される、
という構成を備えることで、各中心電極112a〜112cの接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善される。
【0101】
本実施の形態のサーキュレータと、図29に示される従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表5に示される。測定は、中心周波数は1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0102】
【表5】
【0103】
本実施の形態のサーキュレータは、各中心電極の接地側の等電位性が向上し、挿入損失特性が改善されている。
【0104】
なお、本実施の形態で示された各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。例えば、従来例として図31を参照して説明されたコンデンサを積層基板内に一体化した構成においても、本実施の形態を応用することができる。
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態は、
・中心電極とコンデンサ部分とが積層基板で形成される、
・コンデンサが誘電体層βを挟んで対向配置された一対の対向電極から構成される、
・対向電極のうち接地される側の対向電極が、積層基板の表層に露出する状態で構成される、
という構成を有する非可逆回路素子である。
【0105】
本実施の形態のサーキュレータの構成が、図12〜図14を参照して説明される。
【0106】
積層基板125は、中心電極とコンデンサ部分とが内部に積層形成される。積層基板125は外部接続端子と入出力端子部とを備える。図13の断面図に示されるように、積層基板125の図中下面にキャビティ129,130とが形成される。キャビティ129はフェライト部材122を収納する。キャビティ130はヨーク材128を収納する。フェライト部材122とヨーク材128とがキャビティ129,130とに収納されることにより、積層基板125の図中下面に設けられる外部接続端子は素子の実装面に当接する。
【0107】
積層基板125の構成が図14に示される。積層基板125は、中心電極142a,142b,142cを備える。中心電極142a〜142cは平面視その長手方向が120度の角度で交差するように絶縁層αを間にして積層される。コンデンサ形成用の電極146a,146b,146cが絶縁層αを間にして中心電極142aに対向配置される。接地電極143が誘電体層βを間にして対向電極146a〜146cに対向配置される。外部接続用端子電極141a,141b,141c,141d,141e,141fが、絶縁層αを間にして接地電極143の平面方向の両端にそれぞれ対向配置される。接地電極143の平面方向の中央は、積層基板125の図中下面に露出する。接地電極143の両端だけに絶縁層αと電極141a〜141fとが設けられることで、積層基板125の図中下面の中央(接地電極143の露出部位)にキャビティ130が形成される。キャビティ130にヨーク材128が収納される。収納されるヨーク材128は、接地電極143に当接して接続される。
【0108】
中心電極142a〜142cの一端は、積層基板125の側面に形成された接続用の電極パターンεにより、コンデンサ形成用の対向電極146a,146b,146cと外部接続用端子電極141a,141b,141cとに接続される。電極146a〜146cと電極141a〜141cとは、積層基板125の側面において横方向位置が同一となったものどうしが接続用電極パターンεにより接続される。図14において、接続される電極146a〜146cと電極141a〜141cとに付された符号の末尾には同一のアルファベットが配される。
【0109】
中心電極142a〜142cの他端は、積層基板125の側面に形成された接続用の電極パターンεにより接地電極143に接続される。同時に、中心電極142a〜142cの他端は接続用の電極パターンεにより外部接続用端子電極141d〜141fに接続される。
【0110】
中心電極142aより下の各層にはキャビティ129を形成する開口148が設けられる。図14において、接続用の電極パターンεは、破線で概念的に示される。
【0111】
本実施の形態のサーキュレータは、
・積層基板表面に露出させたコンデンサの接地側電極をヨーク材の低インピーダンスを利用して接地する、
という構成を備えることで、積層基板125中のアースインピーダンスが低減されて挿入損失特性が改善される。
【0112】
本実施の形態のサーキュレータと、図31に示される従来のサーキュレータとにおける挿入損失特性をそれぞれ測定した結果が表6に示される。測定は、中心周波数1.96GHz、サーキュレータの素子サイズ3mm角において実施された。
【0113】
【表6】
【0114】
本実施の形態のサーキュレータは、積層基板中のアースインピーダンスが低減され、挿入損失特性が改善されている。
【0115】
なお、本実施の形態で示された各電極の電極パターンおよび配置は、これに限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。
【0116】
第1〜第5の実施の形態においては、代表的な非可逆回路素子として、中心周波数1.96GHz,素子サイズ3mm角のサーキュレータを例に挙げて本発明が説明された。しかしながら、その他の中心周波数,素子サイズにおいても本発明は有効である。また、入出力端子の1つが抵抗器で終端されているアイソレータにおいて本発明は同様の効果を発揮する。さらに、積層基板以外の非可逆回路素子の構成要素についても、特に限定されることなく本発明は実施される。
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態は非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールである。一般に、通信回路モジュールは、移動体通信機器の無線部を構成するデバイスと回路素子とが積層基板等の中に少なくとも2つ以上一体化されて構成される。
【0117】
デバイスとしては、デュプレクサ,LPF(ロー・パス・フィルタ),BPF(バンド・パス・フィルタ),スイッチ,PA(パワー・アンプ)などが例として挙げられる。回路素子としては、コンデンサ,インダクタ,抵抗などが例として挙げられる。
【0118】
近年では回路部品のIC化が進んでいるため、通信回路モジュールとしては次の構成を有するものがある。この通信回路モジュールは、IC等を実装するためのランドパターンが実装基板表面に設けられる。設けられたランドパターンにICが実装されたうえで、IC実装面が樹脂モールドされてパッケージ化される。
【0119】
以下の説明において、非可逆回路素子が内蔵される部分以外の通信回路モジュールの構成については、本発明の効果に影響を与えるものではないので特別には言及しない。
【0120】
本実施の形態の第1の構成が、図15〜図17を参照して説明される。図15において、積層基板155には、サーキュレータの中心電極とコンデンサ部分とが形成される。積層基板155は通信回路モジュール全体の主構造材としても機能する。各種チップなどの実装部品が積層基板155の表面に実装され、さらには内部に回路素子が組み込まれる。サーキュレータが構成されている通信回路モジュールの要部の断面図が図16Aに、その裏面図が図16Bにそれぞれ示される。
【0121】
積層基板155には、円板状のフェライト部材152を収納するキャビティ156と、ヨーク材158を埋設するキャビティ157とが設けられる。キャビティ156は、フェライト部材152を収納する大きさを備えており、積層基板155の一方面に形成される。
【0122】
ヨーク材158は、平板状の本体158aと、屈曲部158bとを備える。屈曲部158bは本体158aの両端からほぼ直角に屈曲され、積層基板155がその厚み方向に挿通可能な長さ寸法を備える。
【0123】
キャビティ157は、積層基板155の一方面に設けられてキャビティ156を横切る溝部157aと、溝部157aの両端に設けられて積層基板155を貫通する貫通孔157bとを有する。溝部157aは、ヨーク材158の厚みと同等の深さと、ヨーク材158の本体158aを収納可能な縦×横寸法とを備える。
【0124】
貫通孔157bは、ヨーク材158の屈曲部158bを挿通可能な大きさを備える。両貫通孔157b,157bの離間間隔は、屈曲部158bの形成間隔と同等に設定される。
【0125】
キャビティ156にフェライト部材152が収納された状態でキャビティ157にヨーク材158が収納される。この状態でヨーク材158はキャビティ157に装着される。具体的には屈曲部158bを貫通孔157bに挿通させて本体158aが溝部157aに収納される。キャビティ156の深さ寸法と溝部157aの深さ寸法とを合計した深さ寸法は、フェライト部材152の厚み寸法とヨーク材158の厚み寸法とを加算した厚み寸法と同等かもしくは若干ながら大きな寸法に設定される。そのため、フェライト部材152とヨーク材158とを積層基板155に収納した状態において、ヨーク材158は積層基板155の表面から突出しない。
【0126】
一方、積層基板155の孔形成面の反対側に位置する表面に磁石153が配置される。磁石153は積層基板155を挟んでフェライト部材152と対向配置される。積層基板155上の磁石153を覆ってヨーク材154が配置される。貫通孔157bを挿通するヨーク材158の屈曲部158bの先端はヨーク材154に連結される。
【0127】
このように構成される通信回路モジュールは、モジュールを他の部材に実装する面(キャビティ形成面が相当する)が面一となる。これは、フェライト部材152とヨーク材158とが、キャビティ156とキャビティ157とに収納されて、ヨーク材158がモジュール実装面から突出しないためである。
【0128】
積層基板155の構成が図17に示される。中心電極172a,172b,172cはその長手方向が平面視互いに120度の角度で交差するように積層配置される。積層される中心電極172a〜172cの間にはそれぞれ接地電極173a,173bが一層ずつ配置される。積層配置される中心電極172a〜172c, 接地電極173a,173bの間に電気分離層である絶縁層αが配置される。
【0129】
端部に配置された中心電極172aのさらに外側にはコンデンサ形成用の対向電極176a,176b,176cが積層配置される。電極176a〜176cは同一平面上に配置される。対向電極176a〜176cは絶縁層αを介して中心電極172aに対向配置される。対向電極176a〜176cのさらに外側には接地電極173cが積層配置される。接地電極173cは誘電体層βを介して対向電極176a〜176cに対向配置される。
【0130】
対向電極176a〜176cと接地電極173cとの間に配置される誘電体層βと接地電極173cとには、キャビティ156を形成する開口178が設けられる。接地電極173cの積層基板外側には絶縁層αが設けられる。この絶縁層αに、キャビティ157の溝部157aとなる開口171が設けられる。接地電極173cは、開口171により形成された溝部157aにより、積層基板155の表面に露出する。積層基板155を構成する各絶縁層αには、キャビティ157の貫通孔157bとなる開口177が設けられる。
【0131】
中心電極172a〜172cの一端は、ビアホール導体γにより接地電極173〜173cに接続される。中心電極172a,172b,172cの他端は対向電極176a〜176cにビアホール導体γによりそれぞれ接続される。接続される中心電極172a〜172cと対向電極176a〜176cとに付された符号の末尾には同一のアルファベットが配される。また、中心電極172a〜172cの他端は通信回路モジュール内の所定の回路と結合するため、引き出し線路が接続される。
【0132】
本実施の形態の第2の構成が図18〜図20を参照して説明される。第2の構成は、基本的には上述した第1の構成と同一である。第2の構成を示す図18〜図20においては、180番台の符号と200番台の符号とが付される。180番台の符号が付される部品は、第1の構成における150番台の符号が付される部品に相当し、200番台の符号が付される部品は、第1の構成における170番台の符号が付される部品に相当する。ここで、対応する符号において1桁目の番号および末尾に付されるアルファベットは、第1の構成と第2の構成との間で共通化される。
【0133】
図18において、積層基板185には、サーキュレータの中心電極が形成される。積層基板185は通信回路モジュール全体の主構造材として機能する。各種チップなどの実装部品が積層基板185の表面に実装され、さらには内部に回路素子が組み込まれる。サーキュレータが構成されている通信回路モジュールの要部の断面図が図19Aに、その裏面図が図19Bにそれぞれ示される。
【0134】
積層基板185の一方面には、磁石183とヨーク材184とを収納するキャビティ187が設けられる。キャビティ187は、磁石183とヨーク材184とを収納する大きさを備える。キャビティ187の深さ寸法は、磁石183の厚み寸法とヨーク材184の厚み寸法とを加算した寸法と同等もしくはそれより若干大きい寸法を備える。
【0135】
ヨーク材184は、平板状の本体184aと、屈曲部184bとを備える。屈曲部184bは本体184aの両端からほぼ直角に屈曲され、積層基板185をその厚み方向に挿通可能な長さ寸法を備える。
【0136】
キャビティ187は、本体187aと本体187aの両端に設けられて積層基板185を貫通する貫通孔187bとを有する。
【0137】
貫通孔187bは、ヨーク材184の屈曲部184bを挿通可能な大きさを備える。両貫通孔187b,187bの離間間隔は、屈曲部184bの形成間隔と同等に設定される。
【0138】
キャビティ187の本体187aに磁石183が収納された状態でキャビティ187にヨーク材184が収納される。具体的には屈曲部184bを貫通孔187bに挿通させて本体184aが本体187aに収納される。キャビティ187の深さ寸法は、磁石183の厚み寸法とヨーク材184の厚み寸法とを加算した厚み寸法と同等かもしくは若干ながら大きな寸法に設定される。そのため、磁石183とヨーク材184とを積層基板185に収納した状態において、ヨーク材184は積層基板185の表面から突出しない。
【0139】
一方、積層基板185のキャビティ形成面の反対側面にフェライト部材182が配置される。フェライト部材182は積層基板185を挟んで磁石183と対向配置される。積層基板185上のフェライト部材182を覆ってヨーク材188が配置される。貫通孔187bを挿通するヨーク材184の屈曲部184bの先端はヨーク材188に連結される。
【0140】
このように構成される通信回路モジュールは、モジュールを他の部材に実装する面(キャビティ形成面が相当する)が面一となる。これは、磁石183とヨーク材184とが、キャビティ187とに収納されて、ヨーク材184がモジュール実装面から突出しないためである。
【0141】
積層基板185の構成が図20に示される。中心電極202a,202b,202cはその長手方向が平面視互いに120度の角度で交差するように積層配置される。積層される中心電極202a〜202cの間にはそれぞれ接地電極203a,203bが一層ずつ配置される。積層配置される中心電極202a〜202c, 接地電極203a,203bの間に絶縁層αが配置される。
【0142】
端部に配置される中心電極202cのさらに外側にはヨーク材接続用電極204が積層配置される。ヨーク材接続用電極204は絶縁層αを介して中心電極202cに対向配置される。
【0143】
中心電極202aの積層基板厚み外側には絶縁層αが設けられる。この絶縁層αに、キャビティ187の本体187aとなる開口201が設けられる。中心電極202aは、開口201により形成されるキャビティ187の本体187aにより、積層基板185の表面に露出する。なお、キャビティ187の本体187aと中心導体202aとの間にさらに絶縁層αを設けてもよい。積層基板185を構成する各絶縁層αには、キャビティ187の貫通孔187bとなる開口207が設けられる。
【0144】
中心電極202a〜202cの一端は、ビアホール導体γにより接地電極203a,203bとヨーク材接続用電極204とに接続される。中心電極202a,202bの一端は、引き出し線路により積層基板185内に構成されたコンデンサ(図示省略)に並列接続される。中心電極202a,202bの他端は通信回路モジュール内の所定の回路と結合するため、引き出し線路が接続される。
【0145】
積層基板185の表面に露出するヨーク材接続用電極204は、ヨーク材188に設けられた突起188h,188iに接続される。
【0146】
本実施の形態における第1の構成と第2の構成とは、フェライト部材と磁石との配置位置が逆になっており、それに伴って、積層基板の構成および積層基板に設けられたキャビティの構成が互いに若干ながら異なっている。
【0147】
本実施の形態の通信回路モジュールは、通信回路モジュールの実装面に実装上問題になる突起部が無い。具体的には、積層基板内に収納するヨーク材が積層基板と面一になる。このような構成の通信回路モジュールは携帯電話等の回路基板への実装が容易になる。
【0148】
本実施の形態の通信回路モジュールは、従来のように単品部品としてのサーキュレータ子を基板上に実装する場合と比べ、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減される。そのため、サーキュレータを実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能になる。
【0149】
本実施の形態の通信回路モジュールは、積層基板中でサーキュレータの中心電極が形成される層間に各中心電極の一端が接続される接地電極を設けているので、電気特性の優れた非可逆回路素子を内蔵することができる。
【0150】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態は積層基板の構成に特徴を有する。図21は本実施の形態の第1の構成である。図22は本実施の形態の第2の構成である。
【0151】
図21に示されるように、本実施の形態の第1の構成では、積層基板232において中心電極が形成される層におけるすべての電極パターン230の電極厚みが、その他の層の電極パターン231の電極厚みより厚く設定される。これにより、中心電極部分の導体損失が低減し、サーキュレータ部分の低損失化を図ることができる。
【0152】
このような構成を実現する具体的な方法としては、
・中心電極を含む同一平面位置の電極パターン230を選択的に複数回印刷形成する、
・中心電極を含む同一平面位置の電極パターン230を形成する際、電極パターン230が厚塗りされるように印刷スクリーンのメッシュや印刷条件を調節する、
といった方法がある。
【0153】
図21の構成を採用したことによる効果は、その形成方法によらず有効である。
【0154】
本実施の形態の第2の構成は、図22に示されるように、積層基板242において中心電極となる電極パターン240の電極厚みだけが、選択的にその他の電極パターン241の電極厚みより厚く設定される。この場合、その他の電極パターン241は、電極パターン240と同一層(同一平面位置)にある他の電極パターンが含まれる。
【0155】
これにより、中心電極部分の導体損失が低減し、サーキュレータ部分の低損失化を図ることができる。
【0156】
このような構成を実現する具体的な方法としては、中心電極の部分だけ複数回印刷形成するの方法がある。図22の構成を採用したみとによる効果は、その形成方法によらず有効である。
【0157】
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態は、非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールである。る。本実施の形態の通信回路モジュールが、図23,図24を参照して説明される。
【0158】
本実施の形態の積層基板215は、サーキュレータの中心電極とコンデンサ部分とがその内部に形成される。積層基板215は通信回路モジュール全体の主構造材を構成する。積層基板層基板215の表面には、各種チップなどの実装部品のほかパワーアンプ219が実装される。サーキュレータが構成される部分の電極構成や断面構成は他の実施の形態と同様であるので説明は省略される。
【0159】
積層基板215に、円板状のフェライト部材212を収納するキャビティ216と、ヨーク材218を埋設するキャビティ217とが設けられる。キャビティ216は、フェライト部材212を収納する大きさを備えており、積層基板215の一方面に形成される。
【0160】
ヨーク材218は、平板状の本体218aと、屈曲部218bとを備える。屈曲部218bは本体218aの両端からほぼ直角に屈曲され、積層基板215をその厚み方向に挿通可能な長さ寸法を備える。
【0161】
キャビティ217は、積層基板215の一方面に設けられてキャビティ216を横切る溝部217aと、溝部217aの両端に設けられて積層基板215を貫通する貫通孔217bとを有する。溝部217aは、ヨーク材218の厚みと同等の深さと、ヨーク材218の本体218aを収納可能な縦×横寸法とを備える。
【0162】
貫通孔217bは、ヨーク材218の屈曲部218bを挿通可能な大きさを備える。両貫通孔217b,217bの離間間隔は、屈曲部218bの形成間隔と同等に設定される。
【0163】
キャビティ216にフェライト部材212が収納された状態でキャビティ217にヨーク材218が収納される。この状態でヨーク材218はキャビティ217に装着される。具体的には屈曲部218bを貫通孔217bに挿通させて本体218aが溝部217aに収納される。キャビティ216の深さ寸法と溝部217aの深さ寸法とを合計した深さ寸法は、フェライト部材212の厚み寸法とヨーク材218の厚み寸法とを加算した厚み寸法と同等かもしくは若干ながら大きな寸法に設定される。そのため、フェライト部材212とヨーク材218とを積層基板215に収納した状態において、ヨーク材218は積層基板215の表面から突出しない。
【0164】
一方、積層基板215のキャビティ形成面の反対側の表面に磁石213が配置される。磁石213は積層基板215を挟んでフェライト部材212と対向配置される。積層基板215上の磁石213を覆ってヨーク材214が配置される。貫通孔217bを挿通するヨーク材218の屈曲部218bの先端はヨーク材214に連結される。
【0165】
以上の基本構成を備える通信回路モジュールにおいて、本実施の形態は、積層基板215のキャビティ形成面の反対側に位置する表面にキャビティ215Hが設けられる。キャビティ215Hは、一方の貫通孔217bの開口端に連通して形成される。キャビティ215Hは、他方の貫通孔217b側ではなくてその反対側に配置される。キャビティ215Hは、一方の貫通孔217bから突出する屈曲部218bの先端218hを収納する大きさを備える。キャビティ215Hの深さ寸法は、屈曲部218bの厚み寸法と同等に設定される。
【0166】
ヨーク材218は屈曲部218bを貫通孔217bに挿通させた状態で積層基板215に装着される。この状態で一方の屈曲部218bの先端218hがキャビティ215H側に屈曲されて、キャビティ215Hに収納される。このとき、先端218hの表面と積層基板215の表面とは面一となる。この状態で,キャビティ215H上にパワーアンプ219が実装される。実装されたパワーアンプ219とヨーク材218の先端218hとは当接する。
【0167】
本実施の形態の通信回路モジュールは、パワーアンプ219のように発熱する部品が含まれる場合でも、ヨーク材218の先端部218hを介して、パワーアンプ219の熱を効率よく実装基板側に放熱することができる。そのため、熱伝導率に優れた積層基板材料を採用したり、サーマルビアなどを用いることなく、良好な放熱構造を実現できる。そのため、回路構成の自由度が高くなり、集積度の高い通信回路モジュールが実現される。
【0168】
なお、ヨーク材218と発熱する実装部品(パワーアンプ219)との接触構造は、本実施の形態の構成に限定されるものではなく、本発明の構成内であれば変更可能であり同様の効果が得られる。
【0169】
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態は、非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールである。本実施の形態が、図25,図26を参照して説明される。
【0170】
本実施の形態の構成は、基本的には上述した第6,第8の実施の形態の構成と同一である。本実施の形態の構成を示す図25,図26においては、220番台の符号が付されている。220番台の符号が付された各部品は、第6の実施の形態における150番台,180番台、第8の実施の形態における210番台の符号が付された部品に相当する。ここで、対応する符号において1桁目の番号および末尾に付されるアルファベットは、第6,第8,第9の実施の形態の間で共通化される。
【0171】
第6,第8の実施の形態は、積層基板層155,185の内部に単一のサーキュレータを内蔵した通信回路モジュールである。本実施の形態は、積層基板225の内部に、複数のサーキュレータを内蔵する。具体的には、使用する周波数帯の異なる2つのサーキュレータの中心電極とコンデンサ部分とが積層基板層225に設けられる。積層基板225には、フェライト部材222A,222Bをそれぞれ収納する一対のキャビティ226A,226Bとヨーク材228を埋設するキャビティ227とが設けられる。磁気回路を構成するヨーク材224,228とフェライト部材222A,222Bを磁化する磁石223とは両フェライト部材222A,222Bで共用される。
【0172】
積層基板225は2つのサーキュレータを構成する電極構成が内蔵される。電極構成は、第6の実施の形態において図17を参照して説明した積層基板155の電極構成と同様である。ただし、本実施の形態では、サーキュレータ数(2)に合わせて複数の電極構成が積層基板225に内蔵される。
【0173】
本実施の形態の通信回路モジュールは、異なった周波数帯で動作する複数のサーキュレータを1つのモジュール中に一体化する。そのため、単品部品としてのサーキュレータを基板上に複数実装する場合と比べ、周りに配置される部品との位置関係を配慮する必要性が軽減される。したがって、複数のサーキュレータを実効的な占有スペースを下げて通信回路モジュールに取り込むことが可能となり、集積化された小型のデュアルバンド通信回路モジュールを実現することができる。各サーキュレータは1組のヨーク材224,228と1つの磁石223とを共有するので、これらを別々に用意する場合より部品点数を削減できる。これにより、量産性、コストの面で優れた複数のサーキュレータを内蔵したデュアルバンド通信回路モジュールを実現できる。
【0174】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、電気特性を劣化することなく小型化と量産性を実現する非可逆回路素子を得ることができる。電気特性を劣化することなく実効的な占有スペースを小さくできる非可逆回路素子を備えた通信回路モジュールを得ることができる。積層基板の材料や構成に制約を受けることなく簡易な方法で実装部品の放熱対策が可能となる通信回路モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図2】第1の実施の形態の変形例を示すサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図3】本発明の第2の実施の形態の第1の構成におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図4】第2の実施の形態の第2の構成におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図5】第2の実施の形態の第1の変形例におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図6】第2の実施の形態の第2の変形例におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるサーキュレータを構成する分解斜視図。
【図8】第3の実施の形態におけるサーキュレータの縦断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図10】(A)〜(C)は、第1〜第3の実施の形態の変形例である積層基板中のビアホール導体の形状および配置を示す平面図。
【図11】本発明の第4の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図12】本発明の第5の実施の形態におけるサーキュレータの分解斜視図。
【図13】第5の実施の形態のサーキュレータの縦断面図。
【図14】第5の実施の形態におけるサーキュレータを構成する積層基板の分解斜視図。
【図15】本発明の第6の実施の形態における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図16】(A)は、第6の実施の形態の第1の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の断面図、(B)は、第6の実施の形態の第1の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の平面図。
【図17】第6の実施の形態の第1の構成における通信回路モジュールの積層基板中の非可逆回路素子部の第1の構成の一部破断分解斜視図。
【図18】第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図19】(A)は、第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の断面図、(B)は、第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の平面図。
【図20】第6の実施の形態の第2の構成における通信回路モジュールの積層基板中の非可逆回路素子部の一部破断分解斜視図。
【図21】本発明の第7の実施の形態の第1の構成における接層基板の断面図。
【図22】本発明の第7の実施の形態の第2の構成における接層基板の断面図。
【図23】本発明の第8の実施の形態における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図24】第8の実施の形態における通信回路モジュールの断面図。
【図25】本発明の第9の実施の形態における通信回路モジュールの分解斜視図。
【図26】第9の実施の形態における通信回路モジュールの非可逆回路素子部の断面図。
【図27】サーキュレータの第1の従来例の分解斜視図。
【図28】第1の従来例のサーキュレータの中心電極部の分解斜視図。
【図29】第1の従来例におけるサーキュレータの分解斜視図。
【図30】第1の従来例のサーキュレータの積層基板の分解斜視図。
【図31】第2の従来例におけるサーキュレータの分解斜視図。
【図32】第2の従来例のサーキュレータの積層基板の分解斜視図。
【符号の説明】
1 サーキュレータ
2,122,152,182,212,221,222 フェライト部材
3,123,153,183,213,223 磁石
4,8,78,124,,128,154,158,184,188,214,218, 224,228 ヨーク材
5a〜5c 中心電極 5p 接地円板
6a〜6c 平行平板コンデンサ 7,267 入出力端子部
7a,7b,7c 入出力端子
8d〜8f 接地端子 9a,9b 絶縁層
10,20,30,40,50,60,75,110,125,155,185,215,225,265,285 積層基板
11a〜11f,21a〜21f,31a〜31f,41a〜41f,51a〜51f,61a〜61f,91a〜91f,111a〜111f,271a〜271f 291a〜291f 内部接続用端子電極
12a〜12c,22a〜22c,32a〜32c,42a〜42c,52a〜52c,62a〜62c,92a〜92,112a〜112cc,142a〜142c,172a〜172c,202a〜202c,275a〜275c,295a〜295c 中心電極
13a,13b,23a,23b,33a,33b,43a,43b,53a,53b,63a〜63d,93a〜93c,143,173a〜173c,203a,203b,292 接地電極
36a〜36c,46a〜46c,56a〜56c,66a〜66c,67a〜67c,96a〜96c,146a〜146c,176a〜176c,296a〜296c コンデンサ形成用電極
76a〜76f,266a〜266f,286a〜286f 電極
77,287 入出力端子部 77a〜77c 入出力端子
78d〜78f 接地端子
78h,78i,188h,188i,218h 突起
94,204 ヨーク材接続用電極
101a〜101f,102a〜102f ビアホール導体
141a〜141f 外部接続用端子電極
148,171,178,201,215H キャビティ
177,207 孔 216 パワー・アンプ
267a〜267c,287a〜287c 入出力端子
α 絶縁層
Claims (34)
- 互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、
前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、
前記中心電極の他端に接続されるとともに、前記中心電極の間に少なくとも1つずつ配置される接地電極と、
前記中心電極と前記接地電極との間に配置される電気分離層と、
前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、
前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、
前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、
を有する非可逆回路素子。 - 前記中心電極と前記接地電極と前記電気分離層とは積層基板を構成する、
請求項1に記載に記載の非可逆回路素子。 - 前記コンデンサを、前記積層基板内に積層形成する、
請求項2に記載の非可逆回路素子。 - 前記コンデンサは、対向配置された一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有し、このコンデンサを前記積層基板と一体に成形し、
前記誘電体層と前記電気分離層とを除く前記積層基板の他の層の間に、他の接地電極を設け、前記他の接地電極を前記中心電極の他端に接続する、
請求項3に記載の非可逆回路素子。 - 前記積層基板の表面に露出配置されて前記中心電極の他端に接続される表面電極をさらに有し、
前記ヨーク材を導電性材料から構成し、このヨーク材を前記表面電極に当接させることで接続する、
請求項2に記載の非可逆回路素子。 - 互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、
前記中心電極どうしの間に配置される電気分離層と、
前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、
前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、
前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、
前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、
前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、
前記積層基板内に設けられて、前記中心電極両端の接続箇所を含むこの積層基板内の接続箇所における層間接続を行うビアホール導体と、
を有し、
前記中心電極の他端に接続される前記ビアホール導体は、他の前記ビアホール導体よりも電気抵抗が低い、非可逆回路素子。 - 前記中心電極の他端に接続されるビアホール導体は、他の前記ビアホール導体よりビア総断面積が大きい、
請求項6に記載の非可逆回路素子。 - 前記コンデンサを前記積層基板内に積層形成する、
請求項6に記載の非可逆回路素子。 - 前記コンデンサは、対向配置される一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有し、このコンデンサを前記積層基板に一体に成形し、
前記積層基板の層間に接地電極を設け、この接地電極を前記中心電極の他端に接続する、
請求項8に記載の非可逆回路素子。 - 前記積層基板の表面に露出配置されて前記中心電極の他端に接続される表面電極をさらに有し、
前記ヨーク材を導電性材料から構成し、このヨーク材を前記表面電極に当接させることで接続する、
請求項6に記載の非可逆回路素子。 - 互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、
前記中心電極それぞれの一端に並列接続されるコンデンサと、
前記中心電極どうしの間それぞれに配置される電気分離層と、
前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、
前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、
前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、
前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、
前記積層基板の端面に設けられる接地電極と、
を有し、
前記中心電極それぞれの他端を前記積層基板の端面まで延出させて前記接地電極に接続する、非可逆回路素子。 - 前記コンデンサを、前記積層基板中に積層形成する、
請求項11に記載の非可逆回路素子。 - 前記コンデンサは、対向配置された一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有しており、このコンデンサを前記積層基板に一体に成形し、
前記誘電体層と前記電気分離層とを除く前記積層基板の他の層の間に、他の接地電極を設け、前記他の接地電極を前記中心電極の他端に接続する、
請求項12に記載の非可逆回路素子。 - 互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、
前記中心電極どうしの間に配置される電気分離層と、
前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、
前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、
前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、
前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、
前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、
を有し、
前記コンデンサは、対向配置される一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有し、このコンデンサを前記積層基板と一体に成形し、
一方の前記対向電極を前記中心電極の一端に接続し、他方の前記対向電極を前記積層基板の表面に露出させる、非可逆回路素子。 - 前記誘電体層を、前記電気分離層より誘電率の高い材料から構成する、
請求項14に記載の非可逆回路素子。 - 前記誘電体層を除く前記積層基板の他の層の間に接地電極を設け、この接地電極を前記中心電極の他端に接続する、
請求項14に記載の非可逆回路素子。 - 非可逆回路素子を備え、
前記非可逆回路素子は、
互いに交差するように重ね合わせ配置される少なくとも3つの中心電極と、
前記中心電極の一端に並列接続されるコンデンサと、
前記中心電極どうしの間に配置される電気分離層と、
前記中心電極に近接して配置されるフェライト部材と、
前記フェライト部材に直流磁界を印加する磁石と、
前記フェライト部材と前記磁石とに組み合わされて磁気回路を構成するヨーク材と、
前記中心電極と前記電気分離層とを含む積層基板と、
を有し、
前記積層基板がモジュール主構造材として機能する、通信回路モジュール。 - 前記中心電極の他端に接続されるとともに前記中心電極の間に少なくとも1つずつ配置される接地電極をさらに有し、
前記電気分離層を、前記中心電極と前記接地電極との間に配置し、
前記積層基板が前記中心電極と前記接地電極と前記電気分離層とを含む、
請求項17に記載の通信回路モジュール。 - 前記コンデンサを、前記積層基板内に積層形成する、
請求項17に記載の通信回路モジュール。 - 前記コンデンサは、対向配置される一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有しており、このコンデンサを前記積層基板に一体に成形し、
前記誘電体層と前記電気分離層とを除く前記積層基板の他の層の間に、他の接地電極を設け、前記他の接地電極を前記中心電極の他端に接続する、
請求項18に記載の通信回路モジュール。 - 前記積層基板の表面に露出配置されて前記中心電極の他端に接続される表面電極をさらに有し、
前記ヨーク材を導電性材料から構成し、このヨーク材を前記表面電極に当接させることで接続する、
請求項18に記載の通信回路モジュール。 - 前記積層基板内に設けられて、前記中心電極両端の接続箇所を含むこの積層基板内の接続箇所の層間接続を行うビアホール導体をさらに有し、前記中心電極の他端に接続される前記ビアホール導体は、他の前記ビアホール導体よりも電気抵抗が低い、
請求項17に記載の通信回路モジュール。 - 前記中心電極の他端に接続されるビアホール導体は、他の前記ビアホール導体よりビア総断面積が大きい、
請求項22に記載の通信回路モジュール。 - 前記コンデンサは、対向配置された一対の対向電極と、前記対向電極どうしの間に挟み込まれる誘電体層とを有しており、このコンデンサを前記積層基板と一体に成形し、
一方の前記対向電極を前記中心電極の一端に接続し、他方の前記対向電極を前記積層基板の表層に露出させる、
請求項19に記載の通信回路モジュール - 前記誘電体層を、前記電気分離層より誘電率の高い材料から構成する、
請求項24に記載の非可逆回路素子。 - 前記誘電体層と前記電気分離層とを除く前記積層基板の他の層の間に他の接地電極を設け、前記他の接地電極を前記中心電極の他端に接続する、
請求項24に記載の通信回路モジュール。 - 前記積層基板内に前記中心電極を含む電極パターンを設け、
前記中心電極の電極厚みを、積層基板内に設けられる他の前記電極パターンの電極厚みの平均値より厚くする、
請求項17に記載の通信回路モジュール。 - 前記積層基板上に実装部品を実装し、この実装部品の少なくとも1つを、前記ヨーク材に当接させる、
請求項17に記載の通信回路モジュール。 - 前記ヨーク材に当接させる実装部品をパワーアンプとする、
請求項28に記載の通信回路モジュール。 - 複数の前記非可逆回路素子を有する、
請求項17に記載の通信回路モジュール。 - 前記複数の非可逆回路素子に対して、前記ヨーク材を一つ設ける、
請求項30に記載の通信回路モジュール。 - 前記複数の非可逆回路素子に対して前記磁石を一つ設ける、
請求項30に記載の通信回路モジュール。 - 前記積層基板に、前記フェライト部材と前記ヨーク材との一部もしくは全部を、これら部材の表面を前記積層基板から突出させることなく収納する収納凹部を設ける、
請求項17に記載の通信回路モジュール。 - 前記積層基板に、前記磁石と前記ヨーク材との一部もしくは全部を、これら部材の表面を前記積層基板から突出させることなく収納する収納凹部を設ける、
請求項17に記載の通信回路モジュール。
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