JP2004062965A - 光学記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成であって、表面記録再生用の光学記録媒体を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる、エンボスピットまたは案内溝が設けられた基板と、基板上に設けられた反射層と、透明保護層とを具備し、透明保護層側から光ビームを照射する光学記録媒体において、全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも20モル%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンである芳香族ポリカーボネート樹脂より実質的に形成され、該ポリカーボネート樹脂は、(A)曲げ弾性率が2800MPa〜4000MPaであり、(B)飽和に達した時の吸水率が0.3重量%以下であり、(C)ISO 6721−4に準じて40℃、18Hzにて測定したtanδが0.020以上、および(D)ISO75−1,−2に従って荷重1.81MPaにて測定した荷重たわみ温度が110℃以上である芳香族ポリカーボネート樹脂からなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記録媒体、特に表面記録再生用情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常のCD、CD−ROMなどの光ディスク(これらを“CDディスク”と略称する)においては、1.2mm厚の透明基板の一方の面上に記録データに応じたエンボスピットが形成され、さらにその上にAlなどからなる反射膜が形成されている。こうしたCD光ディスクに記録された情報は、反射膜が設けられた面とは反対側の透明基板側から集光ビームを照射することにより再生される。
【0003】
これに対して、より記録密度が高密度化されたDVDやDVD−ROMディスク(これらを“DVDディスク”と略称する)においては、0.6mm厚の透明基板の一方の面上にCDディスクの場合よりも微細なエンボスピットが形成され、さらにその上にAlなどからなる反射膜が形成されている。こうしたDVDディスクの記録面に記録された情報の再生は、CDディスクの場合と同様に反射膜が形成されている面とは反対側の透明基板側から集光ビームを照射することにより行われる。
【0004】
0.6mm厚の基板の材料としては、透明な樹脂材料であるPC(ポリカーボネート)が一般的に使用されている。0.6mm厚のPC基板では、機械的特性が十分ではなく、そのままでは基板が反ってしまうため、記録面が内側となるよう2枚の0.6mmPC基板を貼り合わせて、合計厚さ1.2mmのディスクとして機械的特性を確保している。
【0005】
なお、DVDディスクの基板厚が0.6mmとなったのは、チルトマージンを確保するためである。トラックピッチ、ピット密度がより高くなるとディスクの傾き、いわゆるチルトのマージンが減少してしまう。1.2mmから0.6mmへと基板厚を小さくすることによって、チルトマージンは確保することができるが、材料力学的には、基板の弾性率は板厚の3乗に比例することから、基板製造プロセスで発生するチルト特性の悪化は避けられない。
【0006】
一方、光ディスク記録媒体系において、上述の高密度化とともにデータの入力および読み取りなどの転送レートを上げるためにはディスク基板をより高速回転させることが避けられなくなっている。
【0007】
しかし、前述した記録媒体の構成では、下記▲1▼〜▲4▼の理由により、スキュー(SKEW)の発生を回避することは困難である。
▲1▼射出時:キャビティー内を樹脂が流動する際にせん断応力による応力の発生(分子配向歪)。
▲2▼充填完了:樹脂がキャビティーに充填されたときスクリューの運動の急激な停止と共に樹脂の流動が急激に停止し樹脂とスクリューの慣性力がすべて基板にかかる。
▲3▼保圧:射出時の樹脂がゲートシールされるまで樹脂の逆流防止と体積収縮によるヒケ等の防止のために樹脂に圧力をかけているため基板全体に圧力分布が発生する。
▲4▼冷却:熱収縮により温度分布にしたがった応力が発生する。
そのため、特開平11−242829号公報では、その改良として、“基板上に少なくとも記録層と透明保護層とが順次形成されており、当該透明保護層側から光が入射されて情報信号の記録および/または再生が行われる光記録媒体であって、上記基板は、上記記録層が形成される側の面を形成する第1の樹脂層と、上記第1の樹脂層に積層され、上記第1の樹脂層を形成する樹脂材料よりも曲げ弾性率の大きい樹脂材料からなる第2の樹脂層とを備えることを特徴とする光記録媒体”が提案されている。
【0008】
一方、上記改良により機械特性の課題を解決しても片面信号の光記録媒体では温度湿度の環境変化における吸湿によりディスクに変形が生じる。
【0009】
DVDディスクの場合は通常の吸水率0.3重量%以上のポリカーボネート基板を使用しているが0.6mmディスクを信号側を内側に背中合わせに貼り合せているため、吸水率が大きくても吸水バランスが取れ変形を起こしにくく、問題になることはなかった。しかし、高N.A.(開口率)の高密度ディスクでは表層の片側に信号があるために吸水バランスが異なり、吸水変形を起こす問題が生じている。特にドライブ運転中は機内温度が高く湿度も低いところから急激な変化がおこり易くディスクの変形により信号が読み出せない等のフォーカスエラーを起こし易い。
【0010】
このような吸水変形を抑えるために、特開2000−11449号公報では、“基板と、この基板に配置されて情報信号を記録するための記録層とその記録層に積層される透明保護層を有し、透明保護層側から光を入射することで情報信号の記録/再生を行うディスク状の情報記録媒体であり、この基板は、樹脂製のコア層と、コア層に一体になっており、一方の面に記録層側の情報信号の凸凹が存在し、コア層に比べて流動性を有する樹脂製の表層とから構成されていることを特徴とする情報記録媒体。”であって基板表層の吸水率を0.3%重量以下の樹脂を用いる基板が提案されており、2色成形、サンドイッチ成形による複雑な基板構成で問題を解決する方向が示されている。
【0011】
これまで述べてきたように記録密度を高めても十分なチルトマージンと機械的強度とを確保し、かつ温度湿度の環境変化における吸湿によりディスクに変形を防止する情報記録媒体を製造するために、その基板構成が非常に複雑化している。
【0012】
その潜在的な要因としては、当該記録媒体を開発するに当たり、基板材料樹脂として必要とされる特性、すなわち剛性、制振性、耐熱性あるいは吸水性について、いずれの要求も満足する樹脂を入手することができなかったことが容易に考えられる。とりわけ、光記録媒体として広範に使用されるポリカーボネート系樹脂の研究開発の場合、最も汎用となっている4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパンをカーボネート結合してなるポリカーボネート樹脂に対して、その光学特性を改良する目的で、極めて多様なポリカーボネート系樹脂が開発されてきた(例えば特開2000−327767号公報)。 しかし、上述のように剛性、吸水性、制振性、耐熱性について改良を施したポリカーボネート樹脂の開発は、依然、不十分なものであり、成形性まで含めて、当該記録基板の設計を容易にするような樹脂を使用して、より単純な構造で、高記録密度を実現した光記録媒体基板を提供することが切望されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、前記の如き従来技術の動向に鑑み、複雑な構成にすることなく、単純な構成の上記形式の光学記録媒体の基板を提供することを目的とし、鋭意研究し、本発明に到達した。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂からなる、エンボスピットまたは案内溝が設けられた0.3〜1.2mm厚さの基板と、該基板上に設けられた反射層と、その上に設けられた厚さ3〜200μmの透明保護層とを具備し、当該透明保護層側から光ビームを照射してその反射光の光強度変化に基づいて記録情報を再生する光学記録媒体における当該基板として、全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも20モル%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンである芳香族ポリカーボネート樹脂より実質的に形成され、該ポリカーボネート樹脂は、(A)曲げ弾性率が2800MPa〜4000MPaであり、(B)飽和に達した時の吸水率が0.3重量%以下であり、(C)ISO 6721−4に準じて40℃、18Hzにて測定したtanδが0.020以上、および(D)ISO75−1,−2に従って荷重1.81MPaにて測定した荷重たわみ温度が110℃以上であることを満足する樹脂により形成されていることを特徴とする光学記録媒体である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1〜2は、本発明を適用した光記録媒体として、光ディスクの一例を示すディスク面における垂直の断面の部分的模式図である。なお、本発明で提案する光ディスクの構成はここに挙げた例に限定するものではない。
【0016】
本発明を適用した光ディスク1は、図1に示すように、案内溝を有する基板2上に光反射層3、記録層4および透明保護層5が順次積層形成されてなるものである。基板2には、その上部表面にデータ情報やトラッキングサーボ信号等の記録がなされる位相ピットや、プリグルーブ等の微細な凸凹等の所定の凸凹パターンからなる案内溝が形成されている。
【0017】
また、光ディスク2は、図2に示すように、案内溝を有する基板2上に記録膜あるいは反射層と、透明保護層が複数積層された多層構造であることを特徴としている。なお、これら光ディスクを構成する基板、光反射層、記録層、透明保護層には同一もしくは類似の特性を持つ材料が使用可能である。
【0018】
以下に好適な材料ならびに基板の特性を示す。本発明の光ディスク基板の素材として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下、“ビスクレゾールF”“BCF”と略称することがある)が全芳香族ジヒドロキシ成分当り、少なくとも20モル%の割合で構成されたポリカーボネート樹脂である。
【0019】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記ビスクレゾールFを全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル%使用している。このビスクレゾールFの割合が20モル%未満の場合、得られた光ディスク基板または光ディスクは、透明性、耐熱性、機械的物性、斜め入射複屈折、吸水率、剛性、転写性あるいは反りのいずれかの性質が不満足となり、これら特性を全て満足する光ディスク基板または光ディスクは得られない。ビスクレゾールFは、100モル%でもよいが流動性が悪くなる傾向になるので、ビスクレゾールFの割合がこのように高い場合には、後述するように特定の末端基改質剤で末端を変性することが望ましい。
【0020】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ成分として前記ビスクレゾールFを一定割合使用することが必要であり、流動性、剛性、耐吸水性等を所望の特性とするために、前記ビスクレゾールFに対して特定のジヒドロキシ成分を組合わせて共重合ポリカーボネート樹脂とすることがその手段として採用される。
【0021】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、それを構成する全芳香族ジヒドロキシ成分中のビスクレゾールFの割合が25〜70モル%の範囲であるのが好ましく、30〜60モル%の範囲であるのが特に好ましい。
【0022】
本発明者の研究によれば、前記ビスクレゾールFに対して、或る特定のジヒドロキシ成分を組合わせて得られた共重合ポリカーボネート樹脂は、本発明の光ディスク基板として特に適していることが見出された。すなわち、共重合ポリカーボネート樹脂は、(a)ビスクレゾールF(これを成分aという)および(b)4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“ビスフェノールM”“BPM”と略称することがある)および/または2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“ビスフェノールC”“BPC”と略称することがある)[これらを成分bという]を全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも80モル%とし、且つ成分aと成分bとの割合がモル比で、20:80〜70:30であるポリカーボネート樹脂は光ディスク基板として特に好ましい。これらのビスフェノールはその合成時に副生する不純物を極力除去した99.0%以上の高純度のものが好ましい。
【0023】
前記共重合ポリカーボネート樹脂の好ましい態様の1つは、成分aがビスクレゾールFであり、且つ成分bがビスフェノールMである組合せであり、その場合成分a:成分bの割合がモル比で、20:80〜70:30の範囲、特に30:70〜60:40の範囲であるのが一層好ましい。
【0024】
また好ましい他の態様は、成分aがビスクレゾールFであり、且つ成分bがビスフェノールCの組合せであり、その場合成分a:成分bの割合がモル比で、20:80〜70:30の範囲、特に30:70〜60:40の範囲であるのがより好ましい。これら好ましい態様において、成分aと成分bの合計は、全芳香族ジヒドロキシ成分中、少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%であるのが有利であり、典型的には、成分aおよび成分bによって実質的に形成された共重合ポリカーボネート樹脂であるのが望ましい。
【0025】
前記好ましい態様において、ビスクレゾールFの割合が20モル%より少なくなると、樹脂のガラス転移温度が低下する傾向になるので好ましくない。
【0026】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、成分aおよび成分bが全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%を占めることが望ましいが、他のジヒドロキシ成分(成分C)を全芳香族ジヒドロキシ成分当り20モル%以下、好ましくは10モル%以下含有していても特に差支えない。
【0027】
かかる成分Cとしては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されている、成分aおよび成分b以外の成分であればよく、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPA”と省略することがある)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンが挙げられる。
【0028】
また、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、三官能以上のフェノール性化合物(成分d)を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。
【0029】
かかる三官能以上のフェノール性化合物としては、例えばフロログルシン、フロログルシド、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス(2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル)メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、トリスフェノール、2,2−ビス(2,4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン等が挙げられ、なかでも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。これらは単独で用いても、二種以上併用してもよい。かかる三官能以上のフェノール性化合物は、全芳香族ジヒドロキシ成分に対して、好ましくは0.01〜5モル%、より好ましくは0.1〜3モル%使用され、得られる分岐ポリカーボネート樹脂は、剛性に優れ、光ディスク基板として好適となる。
【0030】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステル等のカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0031】
カーボネート前駆物質として例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。溶媒としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0032】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0033】
重合速度を速めるために重合触媒を使用することもでき、重合触媒としては水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物類、ホウ素やアルミニウムの水酸化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、四級アンモニウム塩類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の有機酸塩類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、ケイ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物類、アンチモン化合物類、マンガン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類等の通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒を使用することができる。触媒は一種だけ用いても、二種以上を組合わせて用いてもよい。これら触媒の使用量は原料の二価フェノール1モルに対して好ましくは1×10−9〜1×10−3当量、より好ましくは1×10−8〜1×10−4当量の範囲で選ばれる。
【0034】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記したように芳香族ジヒドロキシ成分として、ビスクレゾールFあるいはビスクレゾールFと他の芳香族ジヒドロキシ成分との混合物を使用し、それ自体公知のポリカーボネート形成の反応に従って製造することができる。
【0035】
その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
【0036】
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノールあるいは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式(1)で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0037】
【化1】
Figure 2004062965
【0038】
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0039】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基あるいは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いてポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、殊に光学ディスク基板としての物性、特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、好ましく使用される。なかでも、下記式(2)および(3)で表される長鎖のアルキル基を置換基として有するフェノール類が好ましく使用される。
【0040】
【化2】
Figure 2004062965
【0041】
【化3】
Figure 2004062965
【0042】
[式中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
かかる式(2)の置換フェノール類としてはnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノール及びトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。
【0043】
また、式(3)の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシル及びヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0044】
これらの末端停止剤は、得られたポリカーボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ましくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合して使用してもよい。
【0045】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、その樹脂の0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、20℃で測定した比粘度が0.1〜0.5の範囲のものが好ましく、0.15〜0.4の範囲のものがより好ましい。かかる範囲の比粘度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、溶融流動性が良好で成形性に優れている。
【0046】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、ISO178に従って測定した曲げ弾性率が、2800MPa〜4000MPaであり、より好ましくは2900MPa〜3900MPa、さらに好ましくは3100MPa〜3900MPaである。曲げ弾性率が2800MPaより小さいと、成形された光ディスクが高速回転する際に起こる面振れが大きくなり、高密度の記憶容量を要する光ディスクとして好ましくない。また、曲げ弾性率が4000MPaより大きいと、成形された光ディスクが脆くなり、成形が困難である。
【0047】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、ISO75−1,−2に従って、1.81MPaにて測定した荷重たわみ温度が、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましく、120℃以上がさらに好ましい。荷重たわみ温度が低くなると、ディスクとしての耐熱性が不足する。荷重たわみ温度は、通常の射出成形に適用する場合、一般的には150℃以下、好ましくは140℃以下である。
【0048】
さらに、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、ISO 6721−4に準じて40℃、18Hzにて測定したtanδが0.020以上であることが好ましく、より好ましくは0.025以上であり、0.027以上であることが最も好ましい。tanδが0.020より小さいと該樹脂の制振性が小さくなり、成形された光ディスクが高速回転する際に起こる面振れが大きくなるため好ましくない。
【0049】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、ISO62に従って、23℃で飽和に達した時の吸水率が0.3重量%以下、好ましくは0.28重量%以下であることが必要である。吸水率が0.3重量%を超えると、光ディスク基板表面上に金属膜を形成させた光ディスクが吸水によって反りを生じ易くなり、トラッキングエラーを起こし易くなるので好ましくない。特に好ましい吸水率は0.27重量%以下である。
【0050】
光ディスクの吸湿および脱湿過程における反り変形に関しては以下の測定法を用いた。すなわち、ディスクを温度30℃、湿度90%RHの環境下(A環境)に飽和吸水率に達するまで暴露した後、温度23℃、湿度50%RH環境(B環境)に移した時に生じる中心から58mm部のチルト(Tilt)変化を経時的に測定し、チルト(Tilt)変化の最大値と定常に達したときの値の差(△Tilt)を比較したものである。このときのディスクの△Tiltは1.00度以内、好ましくは0.75度以内、より好ましくは0.60度以内である。
【0051】
また、本発明の光ディスクは、透明保護層5側から光を入射させて情報信号の記録および/再生が行われるため、基板2は光学的な記録および/再生特性に影響を与えることがなく、透明性を必要としない。大きく屈折率が異なった2種以上の樹脂のブレンド材料は光散乱によりヘイズ(Haze)が生じるため、従来の光学特性を必要とするCD、DVD等の基板材料として使用することは容易ではなかったが、上述したように本発明のに基板2は、大きく屈折率が異なった2種以上の樹脂のブレンド材料でも用いることが可能である。
【0052】
本発明の熱可塑性樹脂には、熱安定剤としてリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。このリン化合物を配合することにより、かかる光ディスク用樹脂の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
【0053】
かかる熱安定剤の配合量は、該熱可塑性樹脂に対して0.0001〜0.05重量%であり、0.0005〜0.02重量%が好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好ましい。配合量が0.0001重量%未満では上記効果が得られ難く、0.05重量%を超えると、逆に本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の熱安定性に悪影響を与えることがあり、また樹脂によっては耐加水分解性も低下するので好ましくない。
【0054】
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は該熱可塑性樹脂に対して、0.0001〜0.05重量%である。
【0055】
さらに本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、必要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。この一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを配合することにより、前記熱可塑性樹脂の成形時の金型からの離型性が改良され、ディスク基板の成形においては、離型荷重が少なく離型不良によるディスク基板の変形、ピットずれを防止できる。また、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融流動性が改善される利点もある。
【0056】
かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステルの配合量は、該熱可塑性樹脂に対して0.01〜2重量%であり、0.015〜0.5重量%が好ましく、0.02〜0.2重量%がより好ましい。配合量が0.01重量%未満では上記効果が得られず、2重量%を越えると成形の際に金型表面の汚れの原因ともなる。
【0057】
本発明の光ディスク基板用樹脂には、さらに他の熱可塑性樹脂、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤などの添加剤を、転写性、ならびに成形したディスクの吸湿および脱湿過程における反りの低減効果を損なわない範囲で加えることができる。
【0058】
混合の方法については、ポリマー溶液の段階では、例えば、攪拌機付き容器が主として考えられ、また、粉粒体、ペレット等の成形品の段階では、例えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロールまたは押出機などで混合する方法が用いられる。いずれの場合も任意の方法が採用でき、特に制限はないが、混合操作中の異物混入に対する除去方法の簡便さからポリマー溶液状態での混合後、適切な目開きのフィルターを通過させる方法が好ましい。
【0059】
さらに射出成形に供するためのペレット状樹脂組成物を得る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態のときに濾過精度50μm以下の焼結金属フィルター等を通すなどして異物を除去することが好ましい。必要により、例えばリン系等の酸化防止剤などの添加剤を加えることも好ましい。いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必要である。
【0060】
次に光ディスクの製造方法を示す。
上記光ディスク基板用樹脂より光ディスク基板を製造する場合には光記録媒体に必要なスペックを満たすピッチおよびグルーブ、並びに表面むらを実現したスタンパが装着された射出成形機(射出圧縮成形機を含む)を用い、射出成形法にて作成する。この時ディスク基板の厚さは0.3〜1.2mmとする。この射出成形機としては一般的に使用されているもので良いが、炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリューと樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を有する材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。
【0061】
つづいて本発明の光ディスク基板は、その片面に少なくとも反射膜を形成させることにより光ディスクとなる。この材料としては、金属元素を単独で、あるいは複合させて用いることができる。そのうちAlおよびAuを単独で使用するか、もしくは0.5重量%以上10重量%以下、特に好ましくは3.0重量%以上10重量%以下のTiを含有するAl合金、0.5重量%以上10重量%以下のCrを含有するAl合金を使用するのが好ましい。また該反射膜は、イオンビームスパッタ法、DCスパッタ法またはRFスパッタ法などの手段で形成させることができる。
【0062】
通常この金属薄膜(反射層)の他に、基本的には記録層4(DVD−RAM、DVD−Rの場合は相変化膜、染料が挙げられ、光磁気ディスクの場合は光磁気記録膜が挙げられる)および透明保護層5が形成されて本発明の光ディスクとなる。
【0063】
かかる相変化膜記録材料層としては、例えば単体のカルコゲンやカルコゲン化合物が用いられる。具体的には、Te、Seの各単体、Ge−Sb−Te,Ge−Te,In−Sb−Te,In−Se−Te−Ag,In−Se,In−Se−Tl−Co,In−Sb−Se,BiTe,BiSe,SbSe,SbTe等のカルコゲナイト系材料が使用される。
【0064】
また、光磁気記録膜層には、Tb−Fe−Co等の非晶質合金薄膜等の、カー効果やファラデー効果等の磁気光学特性を有する垂直磁化膜等が用いられる。
【0065】
続いて、透明保護層5は記録層4上に形成される。この透明保護層5は、レーザー光を透過する材料よりなり、かかる材料としては、例えば、ポリカーボネートや非晶性ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂や、各種熱硬化性樹脂等が挙げられるが、とりわけビスクレゾールFが全芳香族ジヒドロキシ成分当り、少なくとも20モル%の割合で構成されたポリカーボネート樹脂が好適に用いられる。
【0066】
透明保護層を形成する手段は、例えば、記録層4上にポリカーボネートや非晶性ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなるシートやガラス板等の透明版を貼り合わせる方法、また紫外線硬化樹脂をスピンコート等の手法によって塗布し、紫外線照射することによって形成する方法が挙げられる。さらにこの透明保護層はコマ収差をかなり小さく抑えるために、3〜200μmの厚さに制限される。
【0067】
以上が本発明の光ディスクの基本的構成であるが、この構成に加えて誘電体層を設けて、光学的特性や熱的特性を制御しても良い。この場合、基板2上に光反射層3、第一の誘電体層、記録層4、第2の誘電体層、透明保護層5を順次、形成する。
【0068】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法に従った。
【0069】
(1)荷重たわみ温度
ISO75−1,−2に従って、荷重1.81MPaにて測定した。
【0070】
(2)飽和吸水率
測定条件、方法はISO62に準じ、23℃の純水に浸漬し、1日間の変化量が0.01%以下になったところを飽和吸水率として測定した。
【0071】
(3)曲げ弾性率
ペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機[住友重機(株)製SG−150]により、シリンダー温度290℃で射出成形した試験片を用い、ISO178に従って測定した。
【0072】
(4)初期機械特性
名機製作所(株)製M35B−D−DMを用いて各ペレットから120mmφ、1.2mm厚みのディスク基板を射出成形した。表1に各基板の成形条件を示した。その後、射出成形により得られたディスク基板に順に反射膜、誘電体層1、相変化記録膜、誘電体層2をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスク基板を得た。
続いて、ディスクが互いに接触しないようスペーサーを挟み、温度23℃、湿度50%RH環境に2日間以上放置した。熱収縮および環境変化に対するTiltの変化が安定した時点でジャパン・イー・エム(株)製3次元形状測定器DLD−3000UによりTilt(初期基板形状)の評価を行い、初期機械特性とした。
【0073】
(5)△Tilt
初期機械特性を評価したディスク基板を温度30℃、湿度90%RHの環境下(A環境)に飽和吸水率に達するまで暴露した後、温度23℃、湿度50%RH環境(B環境)に移した。
移動後、環境変化によって生じる中心から58mm部のTilt変化をジャパン・イー・エム(株)製3次元形状測定器DLD−3000Uにより経時的に測定し、Tilt変化が最大に達した値および定常に達した値の差を△Tiltとした。
【0074】
(6)制振性(tanδ)
ISO 6721−4に準じ、レオメトリックス社製RDAIIを用いて40℃、18Hzにて測定した。
【0075】
[実施例1]
温度計、撹拌機、還流冷却器およびホスゲン吹き込み管を備えた反応器にイオン交換水31500部、水酸化ナトリウム1730部を入れ、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略すことがある)2040部および4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略すことがある)2802部およびハイドロサルファイト10部を溶解した後、塩化メチレン13770部を加え、撹拌下16〜18℃でホスゲン1670部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール81部と水酸化ナトリウム178部を加え、さらにトリエチルアミン4部を加えて30℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、BCFとBPMの比がモル比で40:60である白色パウダーを得た。このパウダーの比粘度は0.283であった。
【0076】
このパウダーに、該パウダー100部に対して、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.003部、トリメチルホスフェートを0.005部、およびステアリン酸モノグリセリドを0.045部加えた。次に、かかるパウダーをベント式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]によりシリンダー温度260℃で脱気しながら溶融混錬し、ペレット化した後、名機製作所(株)製M35−D−DMを用いて120mmφ、1.2mm厚みのディスク基板に射出成形した。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0077】
[実施例2]
実施例1のBCFを1814部、BPMを3084部を使用してホスゲン吹き込みを行ない、さらにp−tert−ブチルフェノール86部をホスゲン吹込み後に加えた以外は、実施例1と同様の方法で、BCFとBPMの比がモル比で35:65である白色パウダーを得た。このパウダーの比粘度は0.283であった。
【0078】
このパウダーに実施例1と同様の添加剤を同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化した。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形しディスク基板を得た。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0079】
[実施例3]
実施例1のBCFを2277部、BPMを2084部を使用してホスゲン吹き込みを行ない、さらにp−tert−ブチルフェノール74部をホスゲン吹込み後に加えた以外は、実施例1と同様の方法で、BCFとBPMの比がモル比で50:50である白色パウダーを得た。このパウダーの比粘度は0.263であった。
【0080】
このパウダーに実施例1と同様の添加剤を同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化した。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形しディスク基板を得た。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0081】
[実施例4]
実施例1において、THPE23部をホスゲン吹込み後に加え、p−tert−ブチルフェノール81部をホスゲン吹込み後に加えた以外は、実施例1と同様の方法で、BCFとBPMとTHPEの比がモル比で40:60:0.5である白色パウダーを得た。このパウダーの比粘度は0.283であった。
【0082】
このパウダーに実施例1と同様の添加剤を同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化した。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形しディスク基板を得た。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0083】
[実施例5]
実施例1のBCFを2277部、BPMの代わりに2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“BPC”と略すことがある)を2313部使用してホスゲン吹き込みを行ない、さらにp−tert−ブチルフェノール72部をホスゲン吹込み後に加えた以外は実施例1と同様の方法で、BCFとBPCの比がモル比で40:60である白色パウダーを得た。このパウダーの比粘度は0.279であった。
【0084】
このパウダーに実施例1と同様の添加剤を同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化した。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形しディスク基板を得た。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0085】
[比較例1]
実施例1において、ジヒドロキシ成分として、ビスフェノールA(BPA)のみを4320部使用した以外は実施例1と同様の方法で無色のポリマー4750部を得た。このパウダーの比粘度は0.289であった。
【0086】
このパウダーに実施例1と同様の添加剤を同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化した。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形しディスク基板を得た。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0087】
[比較例2]
ローム アンド ハース ジャパン製のポリメチルメタクリレート(VLD−100)を名機製作所(株)製M35B−D−DMを用いて120mmφ、1.2mm厚みのディスク基板を射出成形した。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 2004062965
【0089】
表1に示すように、実施例1〜5に示した樹脂は飽和吸水率を0.3%以下に抑えることができ、△Tiltを0.5以下に抑えることが可能となった。また、曲げ弾性率およびtanδも充分に大きいため、成形された光ディスクが高速回転する際に起こる面振れは小さく抑えることが可能であった。
【0090】
比較例1のPC−Aは剛性およびtanδが小さくいため光ディスクが高速回転する際に起こる面振れが大きい。また飽和吸水率も実施例と比較して高いため、△Tiltが大きなものとなった。
【0091】
比較例2のPMMAは、飽和吸水率が2.0%以上と高いため、△Tiltは5.0以上と非常に大きくなり、実用上、適さないことがわかった。
【0092】
【発明の効果】
本発明の光ディスクとしては、基板上に、順に、少なくとも反射膜、記録層および透明保護層とが形成され、透明保護層側から光が照射されて情報記号の記録および/または再生が行われる光ディスクを対象としている。この光ディスクにおいて、直径12cmのディスク片面で15GBを越える記録容量を持つものも開発されているが、本発明の光ディスク基板は複雑な構成にすることなく、これらのものにも十分に適応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用する光ディスクの一例におけるディスク面の垂直断面の部分的模式図を示す。
【図2】本発明に適用する光ディスクの他の一例におけるディスク面の垂直断面の部分的模式図を示す。

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂からなる、エンボスピットまたは案内溝が設けられた0.3〜1.2mm厚さの基板と、該基板上に設けられた反射層と、その上に設けられた厚さ3〜200μmの透明保護層とを具備し、当該透明保護層側から光ビームを照射してその反射光の光強度変化に基づいて記録情報を再生する光学記録媒体において、当該基板として、全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも20モル%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンである芳香族ポリカーボネート樹脂より実質的に形成され、該ポリカーボネート樹脂は、(A)曲げ弾性率が2800MPa〜4000MPaであり、(B)飽和に達した時の吸水率が0.3重量%以下であり、(C)ISO 6721−4に準じて40℃、18Hzにて測定したtanδが0.020以上、および(D)ISO75−1,−2に従って荷重1.81MPaにて測定した荷重たわみ温度が110℃以上であることを満足する樹脂により形成されていることを特徴とする光学記録媒体。
  2. 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、全芳香族ジヒドロキシ成分の25〜70モル%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンである請求項1記載の光学記録媒体。
  3. 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、(a)9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(成分a)および(b)4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールおよび/または2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(成分b)を全芳香族ジヒドロキシ成分の少なくとも80モル%とし、且つ成分aと成分bの割合がモル比で20:80〜70:30である請求項1記載の光学記録媒体。
  4. 該成分bが、4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールである請求項3記載の光学記録媒体。
  5. 該反射層と透明保護層との間に記録膜を有する請求項1〜4記載の光学記録媒体。
  6. 該エンボスピットまたは案内溝が基板の両面に設けられ、該反射層、記録膜および/または透明保護層も共に両面に設けられている請求項1〜5記載の光学記録媒体。
  7. 記録膜あるいは反射層が複数積層される、多層構造であることを特徴とする請求項1〜6記載の光学記録媒体。
  8. 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、全芳香族ジヒドロキシ成分に対して、さらに三官能以上のフェノール性化合物0.01〜5モル%を使用して得られる芳香族ポリカーボネート樹脂である請求項1記載の光学記録媒体。
  9. 該三官能以上のフェノール性化合物は、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンである請求項8記載の光学記録媒体。
  10. 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、その0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解した溶液の20℃において測定された比粘度が0.1〜0.5である請求項1記載の光学記録媒体。
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