JP2003252978A - 光ディスク基板および光ディスク - Google Patents

光ディスク基板および光ディスク

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JP2003252978A JP2002058820A JP2002058820A JP2003252978A JP 2003252978 A JP2003252978 A JP 2003252978A JP 2002058820 A JP2002058820 A JP 2002058820A JP 2002058820 A JP2002058820 A JP 2002058820A JP 2003252978 A JP2003252978 A JP 2003252978A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐吸水性、曲げ弾性率、流動性、耐熱性に優
れ、光弾性定数が小さい特定のポリカーボネート樹脂に
より形成される反りおよび面振れの小さい光ディスク基
板を提供する。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ成分全量の少なくと
も20モル%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレンである芳香族ポリカーボネー
ト樹脂であり、芳香族ジヒドロキシ成分全量に対して、
さらに三官能以上のフェノール性化合物0.01〜0.
2モル%を共重合成分として含む芳香族ポリカーボネー
ト樹脂であって、(A)そのガラス転移温度が120℃
〜180℃であり、(B)23℃、24時間水浸漬後の
吸水率が0.1重量%以下であり、かつ(C)曲げ弾性
率が2,800MPa〜4,000MPaであることを満
足する樹脂により形成されていることを特徴とする光デ
ィスク基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク基板お
よびこれからなる光ディスクに関する。さらに詳しく
は、耐吸水性、曲げ弾性率、流動性、耐熱性に優れ、光
弾性定数が小さい特定の芳香族ポリカーボネート樹脂よ
り形成された反りが少なく、面振れの小さい光ディスク
基板および光ディスクに関する。特に本発明は、記憶容
量が極めて多い高密度の光ディスクに適した光ディスク
基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)に
カーボネート前駆物質を反応させて得られるポリカーボ
ネート樹脂は透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性
が優れているがゆえにエンジニアリングプラスチックと
して多くの分野に広く使用されている。さらに近年その
透明性を生かして光ディスク、光ファイバー、レンズ等
の分野への光学用材料としての利用が展開されており、
特に光ディスクの分野で情報記録媒体用基板の素材とし
て広く使用されている。
【0003】しかしながら、記録情報の大容量化に伴
い、光ディスクを記録再生する際の光ディスクの回転速
度は増大する傾向にあり、ディスク基板の剛性すなわち
曲げ弾性率が低いと高速回転時のディスクの面振れが大
きくなり、この事が高密度の情報記録媒体にとっては大
きな問題になってくる。
【0004】一方、光ディスクの吸水による寸法安定性
に関する要求はますます厳しくなってきており、特に吸
水により生じる光ディスクの反りによってエラーが起こ
り易く、この改善もあわせて求められている。
【0005】また、ビスフェノールAから得られるポリ
カーボネート樹脂は、ベンゼン環の光学異方性から光弾
性定数が大きく、成形品の複屈折が大きい欠点があり、
この改善も当然あわせて求められている。
【0006】そこで、ポリカーボネート樹脂の構造を変
化させ光弾性定数を小さくして、光ディスクの複屈折を
小さくするという提案が多数開示されており、その中で
例えば、特開平2−304741号公報には、ビス(ヒ
ドロキシフェニル)フルオレン化合物から得られるポリ
カーボネート共重合体を基材とした光ディスクが開示さ
れ、このものはビスフェノールAより得られるポリカー
ボネート樹脂より複屈折が小さくなることが具体的に示
されている。また、特開平8−34845号公報および
特開平8−34846号公報には、ビス(ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン化合物から得られるポリカーボネー
ト共重合体は光ディスクとして優れたものであることが
示されている。しかしながら、いずれも具体的に示され
ている共重合体は、記録密度の高い光ディスク基板用材
料として良好な特性を有するものの、近年のより高密度
の記憶容量を要する光ディスク基板用材料としては、必
ずしも十分とはいえず、より吸水率の低い、より剛性が
高く、より光弾性定数の小さい光ディスク基板用材料が
求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐吸
水性、曲げ弾性率、流動性、耐熱性に優れ、光弾性定数
が小さい特定のポリカーボネート樹脂により形成される
反りおよび面振れの小さい光ディスク基板を提供する事
にある。
【0008】本発明者は、上記目的を達成せんとして、
鋭意研究を重ねた結果、芳香族ジヒドロキシ成分全量の
少なくとも20モル%が9,9−ビス(3−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)フルオレン(下記式[I])で
ある芳香族ポリカーボネート樹脂であり、さらに特定の
添加量の範囲で三官能以上のフェノール性化合物を共重
合成分として含むことにより、分岐構造を施したポリカ
ーボネート樹脂が、流動性、耐熱性、熱安定性は維持し
たまま、曲げ弾性率に代表される剛性をさらに向上する
ことを見出した。
【0009】
【化1】
【0010】この改善されたポリカーボネート樹脂は特
定のガラス転移温度を有し、吸水率が低い特性を有し、
さらに特定の曲げ弾性率を有していることによって、反
りが少なく、高剛性で面振れの小さい光ディスク基板が
得られることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、芳香族ジヒドロキシ成分全量の少なくとも20モル
%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレンである芳香族ポリカーボネート樹脂であ
り、かつ芳香族ジヒドロキシ成分全量に対して、さらに
三官能以上のフェノール性化合物0.01〜0.2モル
%を共重合成分として含む芳香族ポリカーボネート樹脂
であって、(A)そのガラス転移温度が120℃〜18
0℃であり、(B)23℃、24時間水浸漬後の吸水率
が0.1重量%以下であり、かつ(C)曲げ弾性率が
2,800MPa〜4,000MPaであることを満足す
る芳香族ポリカーボネート樹脂により形成されているこ
とを特徴とする光ディスク基板が提供される。
【0012】以下本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂
について説明する。
【0013】本発明の光ディスク基板の素材として使用
される芳香族ポリカーボネート樹脂は、前記式[I]で
表される9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)フルオレン(以下、ビスクレゾールFと略称す
ることがある)が芳香族ジヒドロキシ成分全量当り、少
なくとも20モル%の割合で構成されたポリカーボネー
ト樹脂である。
【0014】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
前記ビスクレゾールFを芳香族ジヒドロキシ成分全量の
少なくとも20モル%、好ましくは少なくとも30モル
%使用している。このビスクレゾールFの割合が20モ
ル%未満の場合、得られた光ディスク基板または光ディ
スクは、透明性、耐熱性、機械的物性、斜め入射複屈
折、吸水率、剛性、転写性あるいは反りのいずれかの性
質が不満足となり、これら特性を全て満足する光ディス
ク基板または光ディスクは得られない。ビスクレゾール
Fは、100モル%でもよいが流動性が悪くなる傾向に
なるので、ビスクレゾールFの割合がこのように高い場
合には、後述するように特定の末端基改質剤で末端基を
変性することが望ましい。
【0015】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
芳香族ジヒドロキシ成分として前記ビスクレゾールFを
一定割合使用することが必要であり、流動性、剛性、耐
吸水性等を所望の特性とするために、前記ビスクレゾー
ルFに対して特定のジヒドロキシ成分を組合わせて共重
合ポリカーボネート樹脂とすることがその手段として採
用される。
【0016】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分全量中のビスク
レゾールFの割合が25〜70モル%の範囲であるのが
好ましく、30〜60モル%の範囲であるのが特に好ま
しい。
【0017】本発明者の研究によれば、前記ビスクレゾ
ールFに対して、或る特定のジヒドロキシ成分を組合わ
せて得られた共重合ポリカーボネート樹脂は、光ディス
ク基板として特に適していることが見出された。すなわ
ち、共重合ポリカーボネート樹脂は、(a)ビスクレゾ
ールF(これを成分aという)および(b)4,4’−
(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール
(以下“ビスフェノールM”と略称することがある)
(下記式[II])および/または2,2−ビス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“ビスフ
ェノールC”と略称することがある)(下記式[III])
[これらを成分bという]を芳香族ジヒドロキシ成分全
量の少なくとも80モル%とし、且つ成分aと成分bと
の割合がモル比で、20:80〜70:30であるポリ
カーボネート樹脂は光ディスク基板として特に好まし
い。
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】これらのビスフェノールはその合成時に副
生する不純物を極力除去した99.0%以上の高純度の
ものが好ましい。
【0021】前記共重合ポリカーボネート樹脂の好まし
い態様の1つは、成分aがビスクレゾールFであり、且
つ成分bがビスフェノールMである組合せであり、その
場合成分a:成分bの割合がモル比で、20:80〜7
0:30の範囲、特に30:70〜60:40の範囲で
あるのが一層好ましい。
【0022】また好ましい他の態様は、成分aがビスク
レゾールFであり、且つ成分bがビスフェノールCの組
合せであり、その場合成分a:成分bの割合がモル比
で、20:80〜70:30の範囲、特に30:70〜
60:40の範囲であるのがより好ましい。これら好ま
しい態様において、成分aと成分bの合計は、芳香族ジ
ヒドロキシ成分全量中、少なくとも80モル%、好まし
くは少なくとも90モル%であるのが有利であり、典型
的には、成分aおよび成分bによって実質的に形成され
た共重合ポリカーボネート樹脂であるのが望ましい。
【0023】前記好ましい態様において、ビスクレゾー
ルFの割合が20モル%より少なくなると、樹脂のガラ
ス転移温度が低下する傾向になるので好ましくない。
【0024】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂にお
いて、成分aおよび成分bが芳香族ジヒドロキシ成分全
量の少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90
モル%を占めることが望ましいが、他のジヒドロキシ成
分(成分C)を芳香族ジヒドロキシ成分全量当り20モ
ル%以下、好ましくは10モル%以下含有していても特
に差支えない。
【0025】かかる成分Cとしては、通常芳香族ポリカ
ーボネートのジヒドロキシ成分として使用されている、
成分aおよび成分b以外の成分であればよく、例えばハ
イドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノー
ル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペン
タン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデ
ン)ジフェノール、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)フルオレン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンが挙げられ
る。
【0026】また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂は、三官能以上のフェノール性化合物(成分d)を共
重合した分岐ポリカーボネート樹脂である。
【0027】かかる三官能以上のフェノール性化合物と
しては、例えばフロログルシン、フロログルシド、4,
6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6
−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,
3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、
1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、2,2−ビス(4,4−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2−
ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノ
ール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−イソプロピ
ルベンジル)−4−イソプロピルフェノール、ビス(2
−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベン
ジル)−5−メチルフェニル)メタン、テトラキス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)フェニルメタン、トリスフェノール、2,
2−ビス(2,4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビ
ス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4−
ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベン
ゼン等が挙げられ、なかでも1,1,1−トリス(4−
ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。これらは単独
で用いても、二種以上併用してもよい。かかる三官能以
上のフェノール性化合物は、芳香族ジヒドロキシ成分全
量に対して、好ましくは0.01〜0.2モル%、より
好ましくは0.1〜0.2モル%使用される。0.2モ
ル%を超えると高温での成形が一般的であるディスク成
形における熱安定性が不足する。得られる分岐ポリカー
ボネート樹脂は、光学的特性や剛性に優れ、光ディスク
基板として好適となる。
【0028】本発明の光ディスク基板として用いられる
芳香族ポリカーボネート樹脂は、通常の芳香族ポリカー
ボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例え
ば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステル
等のカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造
される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を
簡単に説明する。
【0029】カーボネート前駆物質として例えばホスゲ
ンを使用する界面重合反応では、通常酸結合剤および溶
媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては例えば水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化
物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。溶媒
としては例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロ
ゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例
えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩等の触媒
を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜4
0℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0030】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所
定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加
熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生
成するアルコールまたはフェノール類の沸点等により異
なるが、通常120〜350℃の範囲である。反応はそ
の初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させながら反応を完結させる。また反応を
促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒
を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用
される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカー
ボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネート等が挙げられる。こ
れらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0031】重合速度を速めるために重合触媒を使用す
ることもでき、重合触媒としては水酸化ナトリウムや水
酸化カリウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属
の水酸化物類、ホウ素やアルミニウムの水酸化物のアル
カリ金属塩、アルカリ土類金属塩、四級アンモニウム塩
類、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコキシ
ド類、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の有機酸塩
類、亜鉛化合物類、ホウ素化合物類、ケイ素化合物類、
ゲルマニウム化合物類、有機スズ化合物類、鉛化合物
類、アンチモン化合物類、マンガン化合物類、チタン化
合物類、ジルコニウム化合物類等の通常エステル化反応
やエステル交換反応に使用される触媒を使用することが
できる。触媒は一種だけ用いても、二種以上を組合わせ
て用いてもよい。これら触媒の使用量は原料のジヒドロ
キシ成分1モルに対して好ましくは1×10-9〜1×1
-3当量、より好ましくは1×10-8〜1×10-4当量
の範囲で選ばれる。
【0032】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
前記したように芳香族ジヒドロキシ成分として、ビスク
レゾールFあるいはビスクレゾールFと他の芳香族ジヒ
ドロキシ成分との混合物を使用し、それ自体公知のポリ
カーボネート形成の反応に従って製造することができ
る。
【0033】その重合反応において、末端停止剤として
通常使用される単官能フェノール類を使用することがで
きる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用
する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤とし
て分子量調節のために一般的に使用され、また得られた
芳香族ポリカーボネート樹脂は、末端が単官能フェノー
ル類に基づく基によって封鎖されているので、そうでな
いものと比べて熱安定性に優れている。
【0034】かかる単官能フェノール類としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用される
ものであればよく、一般にはフェノールあるいは低級ア
ルキル置換フェノールであって、下記一般式[IV]で表
される単官能フェノール類を示すことができる。
【0035】
【化4】
【0036】[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直
鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基
であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数であ
る。]
【0037】前記単官能フェノール類の具体例として
は、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ルが挙げられる。
【0038】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基あるいは脂肪族ポリエステル基を置換
基として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を
使用することができ、これらを用いてポリカーボネート
の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量
調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が
改良され、成形加工が容易になるばかりでなく、殊に光
学ディスク基板としての物性、特に樹脂の吸水率を低く
する効果があり、また、基板の複屈折が低減される効果
もあり好ましく使用される。なかでも、下記式[V]お
よび[VI]で表される長鎖のアルキル基を置換基として
有するフェノール類が好ましく使用される。
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】[式中、Xは−R−O−、−R−CO−O
−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合ま
たは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族
炭化水素基を示し、nは10〜50の整数を示す。]
【0042】かかる式[V]の置換フェノール類として
はnが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、
その具体例としては例えばデシルフェノール、ドデシル
フェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフ
ェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノ
ール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノ
ール等を挙げることができる。
【0043】また、式[VI]の置換フェノール類として
はXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合
物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のも
のが好適であって、その具体例としては例えばヒドロキ
シ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒド
ロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキ
サデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ
安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコン
チルが挙げられる。
【0044】これらの末端停止剤は、得られたポリカー
ボネート樹脂の全末端に対して少くとも5モル%、好ま
しくは少くとも10モル%末端に導入されることが望ま
しく、また、末端停止剤は単独でまたは2種以上混合し
て使用してもよい。
【0045】芳香族ポリカーボネート樹脂はその樹脂の
0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、20℃
で測定した比粘度が0.1〜0.5の範囲のものが好まし
く、0.15〜0.4の範囲のものがより好ましい。かか
る範囲の比粘度を有する芳香族ポリカーボネート樹脂
は、溶融流動性が良好で成形性に優れ、光学的に良好な
強度も十分な成形品が得られ好ましい。
【0046】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
そのガラス転移温度が120〜180℃、好ましくは1
25〜165℃、より好ましくは130〜160℃であ
る。ガラス転移温度が120℃より低くなると、光ディ
スク基板としての耐熱性が不足し好ましくなく、180
℃より高くなると、溶融流動性が悪く成形不良を生じ、
光学的に良好な成形品が得られなくなり好ましくない。
また、芳香族ポリカーボネート樹脂の流動性はMFRの
値で20g/10分以上が好ましく、25g/10分以
上がより好ましい。
【0047】本発明のポリカーボネート樹脂は、AST
M D−0570によって、23℃、24時間水に浸漬
した後に測定した吸水率が0.10重量%以下、好まし
くは0.09重量%以下であることが必要である。吸水
率が0.10重量%を超えると、光ディスク基板表面上
に金属膜を形成させた光ディスクが吸水によって反りを
生じ易くなり、トラッキングエラーを起こし易くなるの
で好ましくない。特に好ましい吸水率は0.085重量
%以下である。
【0048】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、
ASTM D−0790に従って測定した曲げ弾性率
が、2,800MPa〜4,000MPaであり、より好
ましくは3,000MPa〜3,900MPa、さらに好
ましくは3,100MPa〜3,800MPaである。曲
げ弾性率が2,800MPaより小さいと、成形された
光ディスクが高速回転する際に起こる面振れが大きくな
り、高密度の記憶容量を要する光ディスクとして好まし
くない。また、曲げ弾性率が4,000MPaより大き
いと、成形された光ディスクが脆くなり、成形が困難で
ある。
【0049】また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂は、その光弾性定数の値が、好ましくは45×10
-122/N以下、より好ましくは43×10-122/N
以下であることが望ましい。かかる範囲内の光弾性定数
の値を有すると、複屈折が小さくなり、殊に高密度の光
ディスクにおいて有利に利用される。
【0050】本発明の光ディスク基板は、前記芳香族ポ
リカ−ボネ−ト樹脂を、例えば射出成形法、圧縮成形
法、押出成形法等任意の方法で成形することにより得る
ことができるが、本発明の光ディスク基板は、射出成形
法により得られたものが好適である。
【0051】本発明の光ディスク基板は、一般的にはポ
リカーボネート樹脂を樹脂温度330〜380℃、金型
温度60〜130℃にて射出成形して得られ、またはそ
れらを貼りあわせて得られる。
【0052】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に
は、必要に応じて燐系熱安定剤を加えることができる。
燐系熱安定剤としては、亜燐酸エステルおよび燐酸エス
テルが好ましく使用される。亜燐酸エステルとしては、
例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニ
ルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、
トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファ
イト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチル
モノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニ
ルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、
モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフ
ェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブ
チル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホ
スファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−ter
t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノ
ニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレ
ンホスホナイト等の亜燐酸のトリエステル、ジエステ
ル、モノエステルが挙げられる。これらのうち、トリス
ノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリ
スリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
【0053】一方、熱安定剤として使用される燐酸エス
テルとしては、例えばトリブチルホスフェート、トリメ
チルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフ
ェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホス
フェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェー
ト、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフ
ェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホス
フェート等が挙げられ、なかでもトリフェニルホスフェ
ート、トリメチルホスフェートが好ましい。
【0054】前記燐系熱安定剤は、単独で使用してもよ
く、また二種以上を組合せて使用してもよい。燐系熱安
定剤は、芳香族ポリカーボネート樹脂に基づいて0.0
001〜0.05重量%の範囲で使用するのが適当であ
る。
【0055】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に
は、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加す
ることができる。その例としてはフェノール系酸化防止
剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレング
リコール−ビス(3−(3−tert−ブチル−5−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、
1,6−ヘキサンジオール−ビス(3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート)、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリ
ス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジ
メチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エ
チル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)
ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好まし
い添加量の範囲は芳香族ポリカーボネート樹脂に対し
て、0.0001〜0.05重量%である。
【0056】さらに本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂には、必要に応じて多価アルコールの高級脂肪酸エス
テルを加えることもできる。この高級脂肪酸エステルを
加えることによって、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱
安定性が向上し、成形時の樹脂の流動性が良くなり、さ
らに成形後の金型からの基板の離型性が改良されて離型
不良によるディスク基板の変形が防止できる。かかる高
級脂肪酸エステルとしては、炭素数2〜5の多価アルコ
ールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステ
ル、または全エステルであるのが好ましい。この多価ア
ルコールとしては、グリコール類、グリセロールまたは
ペンタエリスリトールが挙げられる。
【0057】前記高級脂肪族酸エステルは、芳香族ポリ
カーボネート樹脂に対して、0.005〜2重量%の範
囲、好ましくは0.02〜0.1重量%の範囲で添加され
るのが適当である。かかる範囲の添加量であると、上記
効果が得られ、また金型表面の汚れの原因となり難く好
ましい。
【0058】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂に
は、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤等の添
加剤を透明性を損なわない範囲で加えることができる。
また、他のポリカーボネート樹脂、熱可塑性樹脂を本発
明の目的を損なわない範囲で少割合添加することもでき
る。また、さらに曲げ弾性率を上げる目的で、ガラス繊
維、カーボン繊維、タルク、マイカ、クレー、チタン酸
カリウムウィスカー、酸化亜鉛カリウムウィスカー等の
強化材料を加える事もできる。
【0059】本発明の光ディスクとしては、オーディオ
用のコンパクトディスク(直径12cmのディスク当り
約650MBの記録密度)から高密度のディスクまでを
対象とする。例えば、最近再生専用では容量4.7GB
のDVD−ROM、記録再生可能なDVD−R、DVD
−RW、DVD−RAMにおいても容量4.7GBが実
現されつつある。また、MOディスクでは5.25”サ
イズでは両面で5.2GB、3.5”では片面で1.3G
Bの光学情報記録媒体が上市されているが、デジタル高
画質放送などに対応する直径12cmのディスクに換算
して片面約6.5GB以上、殊に10GB以上の高密度
光学記録媒体が要望され、本発明の光ディスク基板はこ
れらのものにも十分に適応できる特性を有する。また、
最近これら射出成形によって得られたディスク基板と溶
液キャスティング法または押出法により得られたフィル
ム状基板とを貼りあわせ、この透明カバー層を介して記
録再生を行う光ディスクが高密度光ディスクとして提案
されており、本発明のポリカーボネート樹脂はこのよう
な新しい構造の高密度情報記録媒体の材料としても好適
に用いることができる。
【0060】本発明の光ディスク基板は、その片面に金
属薄膜を形成させることにより光ディスクが得られる。
この金属としては、アルミニウム、Tb、Fe、Co、
Gd、SiN、ZnS−SiO2、GeSbTe、Zn
Sおよびアルミニウム合金等があり、アルミニウムが適
している。また薄膜は、スパッタリング、蒸着等の手段
で形成させることができる。これらの金属薄膜の形成手
段は、それ自体知られた方法で行うことができる。
【0061】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお実施例中の部は重量部であり、%は重量%であ
る。なお、各項目の測定は下記の方法で行なった。 (1)比粘度:ポリマー0.7gを100mlの塩化メ
チレンに溶解し20℃の温度で測定した。 (2)ガラス転移点(Tg):ティー・エイ・インスツ
ルメント・ジャパン(株)社製2910型DSCにより
昇温速度10℃/分で測定した。 (3)流動性(MFR):ペレットを用いて、JIS
K−7210に従って、東洋精機製セミオートメルトイ
ンデクサーにより温度280℃、荷重2.16kgで1
0分間に流出したポリマー量(g)で示した。 (4)吸水率:ASTM D−0570に従い23℃、
24時間水浸漬後の吸水率を測定した。 (5)曲げ弾性率:ペレットを120℃で5時間乾燥し
た後、射出成形機[住友重機(株)製SG−150]に
より、シリンダー温度340℃で射出成形した試験片を
用い、ASTM D−0790に従って測定した。 (6)光弾性定数:ディスク基板を用いて、理研計器
(株)製の光弾性測定装置PA−150により測定し
た。 (7)斜め入射複屈折位相差:ディスク基板を用いてオ
ーク製エリプソメータADR−200B自動複屈折測定
装置により、入射角30度で測定した。 (8)吸水によるディスク反り量:片側にアルミ膜を蒸
着した0.6mm厚みのディスクを23℃、50%の湿
度の条件下で放置し、吸水による反り量の経時変化を求
めた。反り量の測定はジャパン・イーエム(株)製DL
D−3000を用いて、ディスク半径55mmのところ
での反射光の最大の角度ずれ(オプティカルチルト)を
測定した。
【0062】実施例1 温度計、撹拌機、還流冷却器およびホスゲン吹き込み管
を備えた反応器にイオン交換水31,500部、水酸化
ナトリウム1,730部を入れ、9,9−ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下“B
CF”と略すことがある)2,040部および4,4’
−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール
(以下“BPM”と略すことがある)2,802部およ
びハイドロサルファイト10部を溶解した後、塩化メチ
レン13,770部を加え、撹拌下16〜18℃でホス
ゲン1,670部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲ
ン吹き込み終了後、1,1,1−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン(以下“THPE”と略すことがあ
る)6部とp−tert−ブチルフェノール81部と水
酸化ナトリウム270部を加え、さらにトリエチルアミ
ン4部を加えて30℃で1時間撹拌して反応を終了し
た。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗
したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン
交換水と殆ど同じになったところで、ニーダーにて塩化
メチレンを蒸発して、BCFとBPMとTHPEの比が
モル比で40:60:0.15である白色のパウダーを
得た。このパウダーの比粘度は0.283、Tgは14
4℃であった。
【0063】このパウダーに、該パウダー100部に対
して、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ホスファイトを0.003部、トリメチルホスフェ
ートを0.005部、およびステアリン酸モノグリセリ
ドを0.045部加えた。次に、かかるパウダーをベン
ト式二軸押出機[神戸製鋼(株)製KTX−46]によ
りシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混錬し、
ペレット化した。そして、このペレットを住友重機
(株)製DISK5M111を用いて樹脂温度380
℃、金型温度115℃、冷却時間7秒、射出速度200
mm/秒で120mmφ、0.6mm厚みのディスク基
板を射出成形した。さらに、このディスク基板にアルミ
ニウムを蒸着し、ディスクを得た。このディスクの吸水
による最大反り量は0.4degであった。また、MF
Rは36g/10分、吸水率は0.083重量%、曲げ
弾性率は3,120MPa、光弾性定数は38×10-12
2/N、斜め入射複屈折位相差は17nmであった。
【0064】実施例2 実施例1のBCFを1,814部、BPMを3,084部
使用してホスゲン吹き込みを行ない、さらにTHPE6
部をホスゲン吹込み後に加え、p−tert−ブチルフ
ェノール86部とした以外は、実施例1と同様の方法
で、BCFとBPMとTHPEの比がモル比で35:6
5:0.15である白色パウダーを得た。このパウダー
の比粘度は0.283、Tgは137℃であった。
【0065】このパウダーに実施例1と同様の添加剤を
同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化し
た。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形
しディスク基板を得た。このディスク基板にアルミニウ
ムを蒸着したディスクの吸水による最大反り量は0.4
degであった。また、MFRは51g/10分、吸水
率は0.083重量%、曲げ弾性率は3,070MP
a、光弾性定数は40×10-122/N、斜め入射複屈
折位相差は17nmであった。
【0066】実施例3 実施例1のBCFを2,277部、BPMを2,084部
使用してホスゲン吹き込みを行ない、さらにTHPE6
部をホスゲン吹込み後に加え、p−tert−ブチルフ
ェノール72部とした以外は実施例1と同様の方法で、
BCFとBPMとTHPEの比がモル比で50:50:
0.15である白色パウダーを得た。このパウダーの比
粘度は0.262、Tgは157℃であった。
【0067】このパウダーに実施例1と同様の添加剤を
同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化し
た。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形
しディスク基板を得た。このディスク基板にアルミニウ
ムを蒸着したディスクの吸水による最大反り量は0.4
degであった。また、MFRは26g/10分、吸水
率は0.080重量%、曲げ弾性率は3,200MP
a、光弾性定数は37×10-122/N、斜め入射複屈
折位相差は16nmであった。
【0068】実施例4 実施例1のBCFを2,277部、BPMの代わりに
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン(以下“BPC”と略すことがある)を2,3
13部使用してホスゲン吹き込みを行ない、さらにTH
PE7部をホスゲン吹込み後に加え、p−tert−ブ
チルフェノール72部とした以外は実施例1と同様の方
法で、BCFとBPCとTHPEの比がモル比で40:
60:0.15である白色パウダーを得た。このパウダ
ーの比粘度は0.275、Tgは155℃であった。
【0069】このパウダーに実施例1と同様の添加剤を
同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化し
た。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形
しディスク基板を得た。このディスク基板にアルミニウ
ムを蒸着したディスクの吸水による最大反り量は0.4
degであった。また、MFRは31g/10分、吸水
率は0.079重量%、曲げ弾性率は2,910MP
a、光弾性定数は43×10-122/N、斜め入射複屈
折位相差は19nmであった。
【0070】比較例1 実施例1において、ジヒドロキシ成分として、ビスフェ
ノールAのみを4,320部使用した以外は実施例1と
同様の方法で白色ポリマーを得た。このパウダーの比粘
度は0.289、Tgは142℃であった。
【0071】このパウダーに実施例1と同様の添加剤を
同量加え、実施例1と同様に溶融混錬しペレット化し
た。そして、このペレットを実施例1と同様に射出成形
しディスク基板を得た。このディスク基板にアルミニウ
ムを蒸着したディスクの吸水による最大反り量は1.4
degと大きかった。また、MFRは69g/10分、
吸水率は0.21重量%と高く、曲げ弾性率は2,35
0MPaと低く、光弾性定数は82×10-122/Nと
高かった。斜め入射複屈折位相差も68nmと大きかっ
た。
【0072】これらの実施例および比較例の結果を表1
にまとめて示した。
【0073】
【表1】
【0074】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂
は、吸水性や曲げ弾性率に優れ、光弾性定数が小さいこ
とから、光学的特性、面振れ、反り等に優れた光ディス
ク基板、殊に高密度光ディスク基板用の材料として好適
に用いられ、その奏する工業的効果は格別である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA09 AD07 AD10 AE05 BB12C BB16A BD09C FC33 5D029 KA07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジヒドロキシ成分全量の少なくと
    も20モル%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
    キシフェニル)フルオレンである芳香族ポリカーボネー
    ト樹脂であり、かつ芳香族ジヒドロキシ成分全量に対し
    て、さらに三官能以上のフェノール性化合物0.01〜
    0.2モル%を共重合成分として含む芳香族ポリカーボ
    ネート樹脂であって、(A)そのガラス転移温度が12
    0℃〜180℃であり、(B)23℃、24時間水浸漬
    後の吸水率が0.1重量%以下であり、かつ(C)曲げ
    弾性率が2,800MPa〜4,000MPaであること
    を満足する芳香族ポリカーボネート樹脂により形成され
    ていることを特徴とする光ディスク基板。
  2. 【請求項2】 該三官能以上のフェノール性化合物は、
    1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン
    である請求項1記載の光ディスク基板。
  3. 【請求項3】 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香
    族ジヒドロキシ成分全量の25〜70モル%が9,9−
    ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
    ンである請求項1記載の光ディスク基板。
  4. 【請求項4】 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香
    族ジヒドロキシ成分全量の30〜60モル%が9,9−
    ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
    ンである請求項1記載の光ディスク基板。
  5. 【請求項5】 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、
    (a)9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
    ニル)フルオレン(成分a)および(b)4,4′−
    (m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールお
    よび/または2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキ
    シフェニル)プロパン(成分b)を芳香族ジヒドロキシ
    成分全量の少なくとも80モル%とし、且つ成分aと成
    分bの割合がモル比で20:80〜70:30である請
    求項1記載の光ディスク基板。
  6. 【請求項6】 該成分bが、4,4′−(m−フェニレ
    ンジイソプロピリデン)ジフェノールである請求項5記
    載の光ディスク基板。
  7. 【請求項7】該成分bが、2,2−ビス(3−メチル−
    4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請求項5記載
    の光ディスク基板
  8. 【請求項8】 成分a:成分bの割合がモル比で30:
    70〜60:40である請求項6,7記載の光ディスク
    基板。
  9. 【請求項9】 該芳香族ポリカーボネート樹脂は、その
    0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解した溶液の
    20℃において測定された比粘度が0.1〜0.5であ
    る請求項1記載の光ディスク基板。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の光ディスク基板の片面
    に金属薄膜を形成させた光ディスク。
  11. 【請求項11】 芳香族ジヒドロキシ成分全量の少なく
    とも20モル%が9,9−ビス(3−メチル−4−ヒド
    ロキシフェニル)フルオレンである芳香族ポリカーボネ
    ート樹脂でありかつ芳香族ジヒドロキシ成分全量に対し
    て、さらに三官能以上のフェノール性化合物0.01〜
    0.2モル%を共重合成分として含む芳香族ポリカーボ
    ネート樹脂であって、(A)そのガラス転移温度が12
    0℃〜180℃であり、(B)23℃、24時間水浸漬
    後の吸水率が0.1重量%以下であり、かつ(C)曲げ
    弾性率が2,800MPa〜4,000MPaである光デ
    ィスク基板用ポリカーボネート樹脂成形材料。
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