JP2002334482A - 光学記録媒体 - Google Patents

光学記録媒体

Info

Publication number
JP2002334482A
JP2002334482A JP2001139917A JP2001139917A JP2002334482A JP 2002334482 A JP2002334482 A JP 2002334482A JP 2001139917 A JP2001139917 A JP 2001139917A JP 2001139917 A JP2001139917 A JP 2001139917A JP 2002334482 A JP2002334482 A JP 2002334482A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
recording medium
optical recording
thermoplastic resin
transparent protective
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001139917A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiko Furuya
和彦 古屋
Hironobu Kato
広信 加藤
Yukinori Ikeda
幸紀 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2001139917A priority Critical patent/JP2002334482A/ja
Priority to TW091115423A priority patent/TWI229332B/zh
Publication of JP2002334482A publication Critical patent/JP2002334482A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な構成であって、表面記録再生用の光学
記録媒体を提供する。特に記録密度が高密度化された光
学記録媒体を提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる、エンボスピット
または案内溝が設けられた0.3〜1.2mm厚さの基板
と、該基板上に設けられた反射層と、その上に設けられ
た厚さ3〜200μmの透明保護層とを具備し、当該透
明保護層側から光ビームを照射してその反射光の光強度
変化に基づいて記録情報を再生する光学記録媒体におい
て、当該基板が曲げ弾性率22,000kgf/cm2
上、ISO6721−4に準じて40℃、18Hzにて
測定したtanδが0.003以上、飽和吸水率0.40
%以下およびASTM D−648に従って荷重1.8
2MPaにて測定した荷重たわみ温度が90℃以上であ
る熱可塑性樹脂からなることを特徴とする光学記録媒
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録媒体、特
に表面記録再生用情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】通常のCD、CD−ROMなどの光ディ
スク(これらを“CDディスク”と略称する)において
は、1.2mm厚の透明基板の一方の面上に記録データ
に応じたエンボスピットが形成され、さらにその上にA
lなどからなる反射膜が形成されている。こうしたCD
光ディスクに記録された情報は、反射膜が設けられた面
とは反対側の透明基板側から集光ビームを照射すること
により再生される。これに対して、より記録密度が高密
度化されたDVDやDVD−ROMディスク(これらを
“DVDディスク”と略称する)においては、0.6m
m厚の透明基板の一方の面上にCDディスクの場合より
も微細なエンボスピットが形成され、さらにその上にA
lなどからなる反射膜が形成されている。こうしたDV
Dディスクの記録面に記録された情報の再生は、CDデ
ィスクの場合と同様に反射膜が形成されている面とは反
対側の透明基板側から集光ビームを照射することにより
行われる。
【0003】0.6mm厚の基板の材料としては、透明
な樹脂材料であるPC(ポリカーボネート)が一般的に
使用されている。0.6mm厚のPC基板では、機械的
特性が十分ではなく、そのままでは基板が反ってしまう
ため、記録面が内側となるよう2枚の0.6mmPC基
板を貼り合わせて、合計厚さ1.2mmのディスクとし
て機械的特性を確保している。なお、DVDディスクの
基板厚が0.6mmとなったのは、チルトマージンを確
保するためである。トラックピッチ、ピット密度がより
詰まるとディスクの傾き、いわゆるチルトのマージンが
減少してしまう。1.2mmから0.6mmへと基板厚を
小さくすることによって、チルトマージンは確保するこ
とができるが、機械的強度の低下は避けられない。
【0004】そこで、基板を薄くして機械的強度を確保
するため、ディスクの中央部を厚くすることにより機械
的強度を確保することが提案されている(特開平9−2
04686号公報)。しかしながら機械的強度を確保す
るためには、信号記録領域の基板厚さは0.6mmが限
界であった。また、透明基板の厚さを0.1mm〜0.6
mmとすることが報告されている(特開平9−2046
88号公報)が、記録膜を保持する保護基板の厚さ、反
射膜の膜厚等については言及されておらず、実施するう
えでは問題であった。
【0005】ところが近年になって、新しい方式の光学
記録媒体が種々提案されている。例えば、特開平11−
7658号公報には、“熱可塑性樹脂からなり、0.3
〜1.2mmの厚さの支持体と、上記支持体上に案内溝
と、該案内溝上に、順に、少なくとも反射膜と、相変化
型記録膜とからなる記録領域を有し、少なくとも上記記
録領域において、3〜177μmの厚さの透明保護層が
形成されて成り、上記透明保護層の、厚さムラをΔtと
したときに、再生、もしくは記録再生する光学系のN.
A.および波長λとの間に、 Δt≦5.26(λ/N.A.4)(μm)(N.A.は開口
数) の関係を満たすことを特徴とする光学記録媒体”が提案
され、透明保護層の厚さと、その厚さむらの関係を規定
することにより、大容量化が可能な光記録媒体が提供さ
れるとしている。
【0006】そして一つの例として、記憶容量8GBの
高密度を達成するための光学記録媒体に必要な条件をま
とめ、次のように示されている。すなわち、記録再生光
学系がλ≦0.68μmかつN.A./λ≦1.20をみた
し、かつ、記録領域内で透明保護層の厚さt=3〜17
7μm、透明保護層の厚さむらは、 △t≦±5.26(λ/N.A.4)(μm) トラックピッチP≦0.64(μm) 公差△P≦±0.04P(μm) 線密度d≦0.1161/P(μm/bit) ディスクスキュー Θ≦84.115×(λ/N.A.3
t) 偏心E≦67.57P(μm) 表面粗さRa≦±3λ/100(スポット照射領域内) というものである。
【0007】また特開平11−296904号公報に
は、片面記録方式として、“エンボスピットまたは案内
溝が設けられた記録面を有する基板と、この基板の前記
記録面の上に形成された反射膜と、この反射膜の上に形
成された保護膜とを具備し、前期保護膜が形成された側
である第1の表面と、この第1の表面に対向する第2の
表面との2つの面により表面が構成され、前記第1の表
面側から光ビームを照射してその反射光の光強度変化に
基づいて記録情報を再生する情報記録媒体であって、前
記基板の記録面から前記第1の表面までの距離は、前記
基板の厚さより小さく前記第1の表面は平滑であること
を特徴とする情報記録媒体”が提案され、また両面記録
方式として“エンボスピットまたは案内溝が設けられ、
対向する第1および第2の記録面を有する基板と、この
基板の前記第1および第2の記録面にそれぞれ形成され
た第1および第2の反射膜と、この第1および第2の反
射膜の上にそれぞれ形成された第1および第2の保護膜
とを具備し、前記第1の保護膜が形成された側である第
1の表面と、前記第2の保護膜が形成された側である第
2の表面との2つの面により表面が構成され、前記第1
の表面側および第2の表面側から、それぞれ光ビームを
照射してその反射光の光強度変化に基づいて記録情報を
再生する情報記録媒体であって、前記基板の第1の記録
面から前記第1の表面までの距離、および前記基板の第
2の記録面から前記第2の表面までの距離は、5λ/
(4n)以上0.6mm以下(λは光ビームの波長であ
り、nは前記波長λの光の前記第1または第2の保護膜
の光屈折率である)であり、前記基板の厚さは0.6m
m以上1.2mm以下であり、前記第1の表面から第2
の表面までの距離は1.2mm以下であることを特徴と
する情報記録媒体”が提案されている。
【0008】これらは記録密度を高めても十分なチルト
マージンと機械的強度とを確保しうる情報記録媒体を提
供することを目的としている。ところでこれらの提案の
記録媒体においては基板を構成する材料については特別
な考慮は払われておらず、例えば特開平11−2969
04号公報には、基板材料として、例えばポリメチルメ
タクリレート(PMMA)のようなアクリル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ガラ
ス、Alなどの金属、合金、およびセラミック等が挙げ
られる。
【0009】しかし、前述した記録媒体の構成では、下
記〜の理由により、スキュー(SKEW)の発生を
回避することは困難である。 射出時:キャビティー内を樹脂が流動する際にせん断
応力による応力の発生(分子配向歪)。 充填完了:樹脂がキャビティーに充填されたときスク
リューの運動の急激な停止と共に樹脂の流動が急激に停
止し樹脂とスクリューの慣性力がすべて基板にかかる。 保圧:射出時の樹脂がゲートシールされるまで樹脂の
逆流防止と体積収縮によるヒケ等の防止のために樹脂に
圧力をかけているため基板全体に圧力分布が発生する。 冷却:熱収縮により温度分布にしたがった応力が発生
する。そのため、特開平11−242829号公報で
は、その改良として、“基板上に少なくとも記録層と透
明保護層とが順次形成されており、当該透明保護層側か
ら光が入射されて情報信号の記録および/または再生が
行われる光記録媒体であって、上記基板は、上記記録層
が形成される側の面を形成する第1の樹脂層と、上記第
1の樹脂層に積層され、上記第1の樹脂層を形成する樹
脂材料よりも曲げ弾性率の大きい樹脂材料からなる第2
の樹脂層とを備えることを特徴とする光記録媒体”が提
案されている。
【0010】一方、上記改良により機械特性の課題を解
決しても片面信号の光記録媒体では温度湿度の環境変化
における吸湿によりディスクに変形が生じる。DVDデ
ィスクの場合は通常の吸水率0.3%以上のポリカーボ
ネート基板を使用しているが0.6mmディスクを信号
側を内側に背中合わせに貼り合せているため、吸水率が
大きくても吸水バランスが取れ変形を起こしにくく、問
題になることはなかった。しかし、高N.A.(開口率)
の高密度ディスクでは表層の片側に信号があるために吸
水バランスが異なり、吸水変形を起こす問題が生じてい
る。特にドライブ運転中は機内温度が高く湿度も低いと
ころから急激な変化がおこり易くディスクの変形により
信号が読み出せない等のフォーカスエラーを起こし易
い。
【0011】このような吸水変形を抑えるために、特開
2000−11449号公報では、“基板と、この基板
に配置されて情報信号を記録するための記録層とその記
録層に積層される透明保護層を有し、透明保護層側から
光を入射することで情報信号の記録/再生を行うディス
ク状の情報記録媒体であり、この基板は、樹脂製のコア
層と、コア層に一体になっており、一方の面に記録層側
の情報信号の凸凹が存在し、コア層に比べて流動性を有
する樹脂製の表層とから構成されていることを特徴とす
る情報記録媒体。”であって基板表層の吸水率を0.3
%以下の樹脂を用いる基板が提案されており、2色成
形、サンドイッチ成形による複雑な基板構成で問題を解
決する方向が示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記の
如き従来技術の動向に鑑み、複雑な構成にすることな
く、単純な構成の上記形式の光学記録媒体の基板を提供
することを目的とし、鋭意研究し、本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、熱可
塑性樹脂からなる、エンボスピットまたは案内溝が設け
られた0.3〜1.2mm厚さの基板と、該基板上に設け
られた反射層と、その上に設けられた厚さ3〜200μ
mの透明保護層とを具備し、当該透明保護層側から光ビ
ームを照射してその反射光の光強度変化に基づいて記録
情報を再生する光学記録媒体において、当該基板が曲げ
弾性率22000kgf/cm2以上、制振性がtan
δで0.003以上、吸水率0.40%以下およびAST
M D−648に従って荷重1.82MPaにて測定し
た荷重たわみ温度が90℃以上の熱可塑性樹脂からなる
ことを特徴とする光学記録媒体である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1
〜3は、本発明を適用した光記録媒体として、光ディス
クの一例を示すディスク面における垂直の断面の部分的
模式図である。なお、本発明で提案する光ディスクの構
成はここに挙げた例に限定するものではない。本発明を
適用した光ディスク1は、図1に示すように、案内溝を
有する基板2上に光反射層3、記録層4および透明保護
層5が順次積層形成されてなるものである。基板2に
は、その上部表面にデータ情報やトラッキングサーボ信
号等の記録がなされる位相ピットや、プリグルーブ等の
微細な凸凹等の所定の凸凹パターンからなる案内溝が形
成されている。
【0015】また、光ディスク2は、図2に示すよう
に、案内溝を有する基板2上に記録膜あるいは反射層
と、透明保護層が複数積層された多層構造であることを
特徴としており、さらに、光ディスク3では、図3に示
すようにエンボスピットまたは案内溝が基板2の両面に
設けられ、該反射層および透明保護層も共に両面に順次
積層形成することを特徴としている。なお、これら光デ
ィスクを構成する基板、光反射層、記録層、透明保護層
には同一もしくは類似の特性を持つ材料が使用可能であ
る。以下に好適な材料ならびに基板の特性を示す。
【0016】基板2に用いられる熱可塑成樹脂の曲げ弾
性率は22,000kgf/cm2以上であることが好ま
しく、より好ましくは24,000kgf/cm2以上で
あり、27,000kgf/cm2以上であることが最も
好ましい。曲げ弾性率が22,000kgf/cm2より
小さいと、成形された光ディスクが高速回転する際に起
こる面振れが大きくなり、高密度の記憶容量を要する光
ディスクとして好ましくない。曲げ弾性率は、成形性を
保持する観点から通常37,000kgf/cm2以下、
好ましくは35,000kgf/cm2以下である。
【0017】また、本発明における熱可塑性樹脂は、A
STM D−648に従って、1.82MPaにて測定
した荷重たわみ温度が、90℃以上であることが好まし
く、100℃以上であることがより好ましく、105℃
以上がさらに好ましい。荷重たわみ温度が低くなると、
ディスクとしての耐熱性が不足する。荷重たわみ温度
は、通常の射出成形に適用する場合、一般的には150
℃以下、好ましくは140℃以下である。
【0018】さらに、該熱可塑性樹脂は、ISO 67
21−4に準じて40℃、18Hzにて測定したtan
δが0.003以上であることが好ましく、より好まし
くは0.009以上であり、0.013以上であることが
最も好ましい。tanδが0.003より小さいと該樹
脂の制振性が小さくなり、成形された光ディスクが高速
回転する際に起こる面振れが大きくなるため好ましくな
い。tanδは一般的には0.08以下、通常0.07以
下である。
【0019】本発明における熱可塑性樹脂は、さらに2
3℃の純水に浸漬した場合の飽和吸水率が0.40重量
%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.3
3重量%以下である。殊に飽和吸水率が0.25重量%
以下であることが最も好ましい。飽和吸水率が0.40
重量%を超えると、吸湿および脱湿過程における光ディ
スクの反り変形が生じ易くなり、フォーカスエラーやト
ラッキングエラーを起こし易くなるので好ましくない。
【0020】光ディスクの吸湿および脱湿過程における
反り変形に関しては以下の測定法を用いた。すなわち、
ディスクを温度30℃、湿度90%RHの環境下(A環
境)に飽和吸水率に達するまで暴露した後、温度23
℃、湿度50%RH環境(B環境)に移した時に生じる
中心から58mm部のチルト(Tilt)変化を経時的
に測定し、チルト(Tilt)変化の最大値と定常に達
したときの値の差(△Tilt)を比較したものであ
る。このときのディスクの△Tiltは0.9度以内、
好ましくは0.75度以内、さらに好ましくは0.5度以
内である。
【0021】また、本発明の光ディスクは、透明保護層
5側から光を入射させて情報信号の記録および/再生が
行われるため、基板2は光学的な記録および/再生特性
に影響を与えることがなく、透明性を必要としない。大
きく屈折率が異なった2種以上の樹脂のブレンド材料は
光散乱によりヘイズ(Haze)が生じるため、従来の
光学特性を必要とするCD、DVD等の基板材料として
使用することは容易ではなかったが、上述したように本
発明の基板2には、大きく屈折率が異なった2種以上の
樹脂のブレンド材料でも用いることが可能である。
【0022】次にかかる熱可塑性樹脂の例を挙げる。し
かし、本発明における基板を形成する熱可塑性樹脂は以
下の例に限定するものではない。本発明における熱可塑
性樹脂としては、吸水率が低く、且つ制振性および曲げ
弾性率が良好で、ディスク材料として良好な耐熱性を有
する樹脂を主成分とする前記特性を満たす樹脂であれば
良い。このような熱可塑性樹脂の例としてはポリカーボ
ネート樹脂、非晶性ポリオレフィン類および水添ポリス
チレンなどから選ぶことが出来るが、特にポリカーボネ
ート樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂から選ぶのが好ま
しい。
【0023】上記ポリカーボネート樹脂は、通常芳香族
ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合前駆体とを例え
ば溶液法または溶融法等で重合させて得られるものであ
る。ここで使用される芳香族ジヒドロキシ化合物は、上
記の条件を満たすことができるならば、どのような化合
物でも差し支えないが、例えば、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノ−ルA
と略記する場合がある)、2,2−ビス(3−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシ
クロヘキサン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロ
キシフェニル)フルオレンまたはα,α’−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)m−ジイソプロピルベンゼンが好
ましい。なお、前記α,α’−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)m−ジイソプロピルベンゼンは、下記化学構造
式により表される化合物である。
【0024】
【化1】
【0025】また、該ポリカーボネート樹脂は、単独の
芳香族ジヒドロキシ化合物からなるものはもちろん、2
種類以上の芳香族ジヒドロキシ化合物の共重合でも何ら
差し支えない。さらにこれらのポリカーボネート樹脂を
2種以上混合して用いても何ら問題はない。
【0026】本発明の熱可塑性樹脂は上記のごとくポリ
カーボネート樹脂単独からなることができるが、吸水率
をさらに低減する目的、ならびに転写性を向上させる目
的でそれ以外の樹脂を混合することも可能である。この
ような樹脂としては、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチ
レン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS)、
メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体
(MBS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン
共重合体(ABS)などのスチレン系共重合体や、非晶
性ポリオレフィン類、水添ポリスチレン、ポリアミドな
どが好ましい。特にポリスチレン、非晶性ポリオレフィ
ンまたは水添ポリスチレンが好適である。
【0027】好ましい熱可塑性樹脂の具体例を挙げれ
ば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサンおよび/または9,9−
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレ
ンとα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)m−ジ
イソプロピルベンゼンとを20:80〜70:30、好
ましくは40:60〜70:30のモル比で含むビスフ
ェノール成分をカーボネート前駆体と反応させて得られ
る共重合ポリカーボネートそのもの、またはそれらをベ
ースとする組成物、あるいは2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパンから得られるポリカーボネート
とポリオレフィンとを99:1〜40:60、好ましく
は95:5〜80:20の重量比で含む組成物が挙げら
れる。
【0028】前記ポリカーボネート樹脂は、そのポリマ
ー0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、20
℃で測定した比粘度が0.2〜0.5のものが好ましく、
0.25〜0.4の範囲のものがより好ましい。比粘度が
0.2未満では成形品が脆くなり、0.5より高くなると
溶融流動性が悪く、成形不良を生じ、光学的に良好な成
形品が得難くなる。本発明の熱可塑性樹脂には、熱安定
剤としてリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸
およびこれらのエステルよりなる群から選択された少な
くとも1種のリン化合物を配合することができる。この
リン化合物を配合することにより、かかる光ディスク用
樹脂の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下
や色相の悪化が防止される。
【0029】かかる熱安定剤の配合量は、該熱可塑性樹
脂に対して0.0001〜0.05重量%であり、0.0
005〜0.02重量%が好ましく、0.001〜0.0
1重量%が特に好ましい。配合量が0.0001重量%
未満では上記効果が得られ難く、0.05重量%を超え
ると、逆に該熱可塑性樹脂の熱安定性に悪影響を与える
ことがあり、また樹脂によっては耐加水分解性も低下す
るので好ましくない。本発明の熱可塑性樹脂には、酸化
防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することが
できる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示す
ことができる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範
囲は該熱可塑性樹脂に対して、0.0001〜0.05重
量%である。
【0030】さらに本発明の熱可塑性樹脂には、必要に
応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル
を加えることもできる。この一価または多価アルコール
の高級脂肪酸エステルを配合することにより、前記熱可
塑性樹脂の成形時の金型からの離型性が改良され、ディ
スク基板の成形においては、離型荷重が少なく離型不良
によるディスク基板の変形、ピットずれを防止できる。
また、該熱可塑性樹脂の溶融流動性が改善される利点も
ある。
【0031】かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステ
ルの配合量は、該熱可塑性樹脂に対して0.01〜2重
量%であり、0.015〜0.5重量%が好ましく、0.
02〜0.2重量%がより好ましい。配合量が0.01重
量%未満では上記効果が得られず、2重量%を越えると
成形の際に金型表面の汚れの原因ともなる。本発明の光
ディスク基板用樹脂には、さらに他の熱可塑性樹脂、光
安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤などの添加剤を、転
写性、ならびに成形したディスクの吸湿および脱湿過程
における反りの低減効果を損なわない範囲で加えること
ができる。
【0032】本発明の樹脂組成物の調整において、ポリ
カーボネート樹脂同士の混合および/または他の樹脂と
の混合は、ポリマー溶液、粉粒体またはペレット等の成
形品の各段階での実施が考えられるが、特に制限するも
のではない。また混合の方法については、ポリマー溶液
の段階では、例えば、攪拌機付き容器が主として考えら
れ、また、粉粒体、ペレット等の成形品の段階では、例
えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、
バンバリーミキサー、混練ロールまたは押出機などで混
合する方法が用いられる。いずれの場合も任意の方法が
採用でき、特に制限はないが、混合操作中の異物混入に
対する除去方法の簡便さからポリマー溶液状態での混合
後、適切な目開きのフィルターを通過させる方法が好ま
しい。
【0033】ポリカーボネート樹脂およびポリスチレン
を溶液にて混合する場合は、ポリカーボネート樹脂なら
びにポリスチレンが共に可溶な溶媒を用いることが好ま
しい。この場合、溶液状態において濾過処理を行い未反
応成分等の不純物や異物を除去することが好ましい。さ
らに射出成形に供するためのペレット状樹脂組成物を得
る押出工程(ペレット化工程)では溶融状態のときに濾
過精度50μm以下の焼結金属フィルター等を通すなど
して異物を除去することが好ましい。必要により、例え
ばリン系等の酸化防止剤などの添加剤を加えることも好
ましい。いずれにしても射出成形前の原料樹脂は異物、
不純物、溶媒などの含有量を極力低くしておくことが必
要である。
【0034】次に光ディスクの製造方法を示す。上記光
ディスク基板用樹脂より光ディスク基板を製造する場合
には光記録媒体に必要なスペックを満たすピッチおよび
グルーブ、並びに表面むらを実現したスタンパが装着さ
れた射出成形機(射出圧縮成形機を含む)を用い、射出
成形法にて作成する。この時ディスク基板の厚さは0.
3〜1.2mmとする。この射出成形機としては一般的
に使用されているもので良いが、炭化物の発生を抑制し
ディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやス
クリューと樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗
性を有する材料を使用してなるものを用いるのが好まし
い。成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可
能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に
供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融
樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮す
ることも重要となる。
【0035】本発明における光ディスク基板用樹脂は、
射出成形または射出圧縮成形の際に、転写性の良好とな
る十分な流動性を有していることが好ましい。つづいて
本発明の光ディスク基板は、その片面に少なくとも反射
膜を形成させることにより光ディスクとなる。この材料
としては、金属元素を単独で、あるいは複合させて用い
ることができる。そのうちAlおよびAuを単独で使用
するか、もしくは0.5重量%以上10重量%以下、特
に好ましくは3.0重量%以上10重量%以下のTiを
含有するAl合金、0.5重量%以上10重量%以下の
Crを含有するAl合金を使用するのが好ましい。また
該反射膜は、イオンビームスパッタ法、DCスパッタ法
またはRFスパッタ法などの手段で形成させることがで
きる。
【0036】通常この金属薄膜(反射層)の他に、基本
的には記録層4(DVD−RAM、DVD−Rの場合は
相変化膜、染料が挙げられ、光磁気ディスクの場合は光
磁気記録膜が挙げられる)および透明保護層5が形成さ
れて本発明の光ディスクとなる。かかる相変化膜記録材
料層としては、例えば単体のカルコゲンやカルコゲン化
合物が用いられる。具体的には、Te、Seの各単体、
Ge−Sb−Te,Ge−Te,In−Sb−Te,In
−Se−Te−Ag,In−Se,In−Se−Tl−C
o,In−Sb−Se,Bi2Te3,BiSe,Sb2
3,Sb2Te3等のカルコゲナイト系材料が使用され
る。また、光磁気記録膜層には、Tb−Fe−Co等の
非晶質合金薄膜等の、カー効果やファラデー効果等の磁
気光学特性を有する垂直磁化膜等が用いられる。
【0037】続いて、透明保護層5は記録層4上に形成
される。この透明保護層5は、レーザー光を透過する材
料よりなり、かかる材料としては、例えば、ポリカーボ
ネートや非晶性ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹
脂や、各種熱硬化性樹脂等が挙げられる。透明保護層を
形成する手段は、例えば、記録層4上にポリカーボネー
トや非晶性ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂か
らなるシートやガラス板等の透明版を貼り合わせる方
法、また紫外線硬化樹脂をスピンコート等の手法によっ
て塗布し、紫外線照射することによって形成する方法が
挙げられる。さらにこの透明保護層はコマ収差をかなり
小さく抑えるために、3〜200μmの厚さに制限され
る。
【0038】以上が本発明の光ディスクの基本的構成で
あるが、この構成に加えて誘電体層を設けて、光学的特
性や熱的特性を制御しても良い。この場合、基板2上に
光反射層3、第一の誘電体層、記録層4、第2の誘電体
層、透明保護層5を順次、形成する。
【0039】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお実施例中の部は重量部である。なお、評価は下
記の方法に従った。 (1)荷重たわみ温度 ASTM D−648に従って、荷重1.82MPaに
て測定した。 (2)飽和吸水率 23℃の純水に浸漬し、20日後における変化量を測定
した。 (3)曲げ弾性率 ペレットを120℃で5時間乾燥した後、射出成形機
[住友重機(株)製SG−150]により、シリンダー
温度340℃で射出成形した試験片を用い、ASTM
D−0790に従って測定した。 (4)初期機械特性 名機製作所(株)製M35B−D−DMを用いて各ペレ
ットから120mmφ、1.2mm厚みのディスク基板
を射出成形した。表1に各基板の成形条件を示した。そ
の後、射出成形により得られたディスク基板に順に反射
膜、誘電体層1、相変化記録膜、誘電体層2をスパッタ
蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を
貼り合わせることで目的の光ディスク基板を得た。続い
て、ディスクが互いに接触しないようスペーサーを挟
み、温度23℃、湿度50%RH環境に2日間以上放置
した。熱収縮および環境変化に対するTiltの変化が
安定した時点でジャパン・イー・エム(株)製3次元形
状測定器DLD−3000UによりTilt(初期基板
形状)の評価を行い、初期機械特性とした。 (5)△Tilt 初期機械特性を評価したディスク基板を温度30℃、湿
度90%RHの環境下(A環境)に飽和吸水率に達する
まで暴露した後、温度23℃、湿度50%RH環境(B
環境)に移した。移動後、環境変化によって生じる中心
から58mm部のTilt変化をジャパン・イー・エム
(株)製3次元形状測定器DLD−3000Uにより経
時的に測定し、Tilt変化が最大に達した値および定
常に達した値の差を△Tiltとした。 (6)制振性(tanδ) ISO 6721−4に準じ、レオメトリックス社製R
DAIIを用いて40℃、18Hzにて測定した。
【0040】[実施例1]温度計、攪拌機、還流冷却器
付き反応器にイオン交換水929.2部、48%水酸化
ナトリウム水溶液61.3部を入れ、1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘ
キサン(成分a−1)43.9部、α,α’−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)m−ジイソプロピルベンゼン(成
分a−2)43.6部およびハイドロサルファイト0.1
7部を溶解した後、p−tert−ブチルフェノール
1.51部と塩化メチレン637.9部を加えトリエチル
アミン0.09部を添加した後攪拌下15〜25℃でホ
スゲン32.4部を40分を要して吹き込んだ。ホスゲ
ン吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液1
5.6部を加え、28〜33℃で1時間攪拌して反応を
終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈し
て水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率が
イオン交換水と殆ど同じになったところで、軸受け部に
異物取り出し口を有する隔離室を設けたニーダーにて塩
化メチレンを蒸発して、成分a−1と成分a−2の比が
モル比で53:47の比粘度が0.27である無色のポ
リマー86.4部を得た(収率97%)。
【0041】このポリカーボネート樹脂粉粒体にトリス
ノニルフェニルフォスフェートを0.005%、トリメ
チルフォスフェートを0.003%、ステアリン酸モノ
グリセリドを0.030%加えて、ベント付きφ30m
m二軸押出機を用いて、ペレット化した後、名機製作所
(株)製M35−D−DMを用いて120mmφ、0.
6mm厚みのディスク基板に射出成形した。このディス
ク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、
第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカー
ボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光
ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性およ
び△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果およ
び環境変化によって生じる中心から58mm部のTil
t変化(安定時を基準として図示した)をそれぞれ表
1、図4に示す。
【0042】[実施例2]温度計、撹拌機、還流冷却器
およびホスゲン吹き込み管を備えた反応器にイオン交換
水32165部、水酸化ナトリウム1757部を入れ、
9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)
フルオレン(成分a−3)2213部およびα,α’−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)m−ジイソプロピルベ
ンゼン(成分a−4)3039部およびハイドロサルフ
ァイト11部を溶解した後、塩化メチレン10950部
を加え、撹拌下16〜18℃でホスゲン1667部を6
0分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p
−tert−ブチルフェノール92部と水酸化ナトリウ
ム293部を加え、さらにトリエチルアミン4部を加え
て30℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了
後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸
酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど
同じになったところで、ニーダーにて塩化メチレンを蒸
発して、成分a−3と成分a−4の比がモル比で40:
60である白色粉粒体5550部を得た(収率96
%)。この粉粒体の比粘度は0.245、Tgは143
℃であった。
【0043】この樹脂粉粒体にトリスノニルフェニルフ
ォスフェートを0.005%、トリメチルフォスフェー
トを0.003%、ステアリン酸モノグリセリドを0.0
30%加えて、ベント付きφ30mm二軸押出機を用い
て、ペレット化した後、名機製作所(株)製M35B−
D−DMを用いて120mmφ、1.2mm厚みのディ
スク基板を射出成形した。このディスク基板に順に反射
膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層を
スパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カ
バー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。
このディスク基板の初期機械特性および△Tiltなら
びに制振性を評価した。評価結果および環境変化によっ
て生じる中心から58mm部のTilt変化(安定時を
基準として図示した)をそれぞれ表1、図4に示す。
【0044】[実施例3] [A] ビスフェノールAからのポリカーボネート単独
重合体(ポリマーA)の合成;温度計、攪拌機および還
流冷却器付き反応器にイオン交換水11057部、48
%水酸化ナトリウム水溶液1560部を仕込み、これに
ビスフェノールA2134部およびハイドロサルファイ
ト2.1部を溶解した後、塩化メチレン6445部を加
え、攪拌下15〜20℃でホスゲン1005部を60分
要して吹込んだ。ホスゲン吹込み終了後p−tert−
ブチルフェノール92部および48%水酸化ナトリウム
水溶液830部を加え、撹拌して乳化させた後トリエチ
ルアミン0.09部を加え、28〜33℃で1時間攪拌
して反応を終了した。反応終了後生成物溶液を多孔板付
遠心抽出機[(株)日立製作所製ウルトレックスEP−
02]にてイオン交換水流量1,000ml/分、反応
生成物溶液流量1,500ml/分、回転数3,500r
pmの条件で遠心分離した後、塩化メチレン相を塩酸酸
性にし、さらに同様の条件で遠心分離操作を繰返し、水
相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところ
で、軸受部に異物取出口を有する隔離室を設けたニーダ
ーにより塩化メチレンを蒸発して、粉粒状の無色のポリ
カーボネート樹脂2,400部(収率92%)を得た。
【0045】[B] ポリマーBの共重合体の合成;温
度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水9
29.2部、48%水酸化ナトリウム水溶液61.3部を
入れ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分a−1)43.
9部、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)m−
ジイソプロピルベンゼン(成分a−2)43.6部およ
びハイドロサルファイト0.17部を溶解した後、p−
tert−ブチルフェノール1.51部と塩化メチレン
637.9部を加えトリエチルアミン0.09部を添加し
た後攪拌下15〜25℃でホスゲン32.4部を40分
を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%
水酸化ナトリウム水溶液15.6部を加え、28〜33
℃で1時間攪拌して反応を終了した。反応終了後、生成
物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にし
て水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じにな
ったところで、軸受け部に異物取り出し口を有する隔離
室を設けたニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、成分
a−1と成分a−2の比がモル比で53:47の比粘度
が0.27である無色のポリマー86.4部を得た(収率
97%)
【0046】[C] 樹脂組成物の調整 [A]で合成したビスフェノールAの単独重合体(ポリ
マーA)の塩化メチレン溶液と[B]で合成したポリマ
ーBの共重合体の塩化メチレン溶液とを溶液中のポリマ
ー重量比(ポリマーA:ポリマーB)が80:20とな
るようにそれぞれ攪拌機付容器に投入した後、攪拌して
混合した。混合後、目開き0.3μmのフィルターを通
過させた後、軸受部に異物取出口を有する隔離室を設け
たニーダーにこの混合溶液を投入して塩化メチレンを蒸
発することにより該ポリカーボネート樹脂粉粒体を得
た。
【0047】この樹脂粉粒体にトリスノニルフェニルフ
ォスフェートを0.005%、トリメチルフォスフェー
トを0.003%、ステアリン酸モノグリセリドを0.0
30%加えて、ベント付きφ30mm二軸押出機を用い
て、ペレット化した後、名機製作所(株)製M35B−
D−DMを用いて120mmφ、1.2mm厚みのディ
スク基板を射出成形した。このディスク基板に順に反射
膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層を
スパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カ
バー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。
このディスク基板の初期機械特性および△Tiltなら
びに制振性を評価した。評価結果および環境変化によっ
て生じる中心から58mm部のTilt変化(安定時を
基準として図示した)をそれぞれ表1、図4に示す。
【0048】[実施例4]実施例3の[A]で合成した
ビスフェノールAの単独重合体(ポリマーA)の塩化メ
チレン溶液と[B]で合成したポリマーBの共重合体の
塩化メチレン溶液とを溶液中のポリマー重量比(ポリマ
ーA:ポリマーB)が60:40となるようにそれぞれ
攪拌機付容器に投入した後、攪拌して混合した。混合
後、目開き0.3μmのフィルターを通過させた後、軸
受部に異物取出口を有する隔離室を設けたニーダーにこ
の混合溶液を投入して塩化メチレンを蒸発することによ
り該ポリカーボネート樹脂粉粒体を得た。
【0049】この樹脂粉粒体にトリスノニルフェニルフ
ォスフェートを0.005%、トリメチルフォスフェー
トを0.003%、ステアリン酸モノグリセリドを0.0
30%加えて、ベント付きφ30mm二軸押出機を用い
て、ペレット化した後、名機製作所(株)製M35B−
D−DMを用いて120mmφ、1.2mm厚みのディ
スク基板を射出成形した。このディスク基板に順に反射
膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘電体層を
スパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート製薄膜カ
バー層を貼り合わせることで目的の光ディスクを得た。
このディスク基板の初期機械特性および△Tiltなら
びに制振性を評価した。評価結果および環境変化によっ
て生じる中心から58mm部のTilt変化(安定時を
基準として図示した)をそれぞれ表1、図4に示す。
【0050】[実施例5]ポリマー成分Aとして帝人化
成(株)製のポリカーボネート(パンライトAD−50
00W)の粉粒体100部と、ポリマー成分Bとしてエ
ー・アンド・エムスチレン(株)製のポリスチレン(H
F77)のペレット11.1部を塩化メチレンに溶解
し、均一に混合した。この後、目開き0.3μmのフィ
ルターを通過させ、軸受部に異物取出口を有する隔離室
を設けたニーダーにこの混合溶液を投入して塩化メチレ
ンを蒸発することにより該樹脂組成物の粉粒体を得た。
【0051】この樹脂組成物粉粒体にトリスノニルフェ
ニルフォスフェートを0.005%、トリメチルフォス
フェートを0.003%、ステアリン酸モノグリセリド
を0.030%加えて、ベント付きφ30mm二軸押出
機を用いて、ペレット化した後、名機製作所(株)製M
35B−D−DMを用いて120mmφ、1.2mm厚
みのディスク基板を射出成形した。このディスク基板に
順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘
電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート
製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスク
を得た。このディスク基板の初期機械特性および△Ti
ltならびに制振性を評価した。評価結果および環境変
化によって生じる中心から58mm部のTilt変化
(安定時を基準として図示した)をそれぞれ表1、図4
に示す。
【0052】[実施例6]ポリマー成分Aとして帝人化
成(株)製のポリカーボネート(パンライトAD−50
00W)の粉粒体100部と、ポリマー成分Bとしてエ
ー・アンド・エムスチレン(株)製のポリスチレン(H
F77)のペレット25.0部を塩化メチレンに溶解
し、均一に混合した。この後、目開き0.3μmのフィ
ルターを通過させ、軸受部に異物取出口を有する隔離室
を設けたニーダーにこの混合溶液を投入して塩化メチレ
ンを蒸発することにより該樹脂組成物の粉粒体を得た。
【0053】この樹脂組成物粉粒体にトリスノニルフェ
ニルフォスフェートを0.005%、トリメチルフォス
フェートを0.003%、ステアリン酸モノグリセリド
を0.030%加えて、ベント付きφ30mm二軸押出
機を用いて、ペレット化した後、名機製作所(株)製M
35B−D−DMを用いて120mmφ、1.2mm厚
みのディスク基板を射出成形した。このディスク基板に
順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録膜、第二の誘
電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリカーボネート
製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的の光ディスク
を得た。このディスク基板の初期機械特性および△Ti
ltならびに制振性を評価した。評価結果および環境変
化によって生じる中心から58mm部のTilt変化
(安定時を基準として図示した)をそれぞれ表1、図4
に示す。
【0054】[比較例1]ローム アンド ハース ジ
ャパン製のポリメチルメタクリレート(VLD−10
0)を名機製作所(株)製M35B−D−DMを用いて
120mmφ、1.2mm厚みのディスク基板を射出成
形した。このディスク基板に順に反射膜、第一の誘電体
層、相変化記録膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着さ
せ、その上にポリカーボネート製薄膜カバー層を貼り合
わせることで目的の光ディスクを得た。このディスク基
板の初期機械特性および△Tiltならびに制振性を評
価した。評価結果および環境変化によって生じる中心か
ら58mm部のTilt変化(安定時を基準として図示
した)をそれぞれ表1、図4に示す。
【0055】[比較例2]エー・アンド・エム スチレ
ン(株)製のポリスチレン(HF77)を名機製作所
(株)製M35B−D−DMを用いて120mmφ、
1.2mm厚みのディスク基板を射出成形した。このデ
ィスク基板に順に反射膜、第一の誘電体層、相変化記録
膜、第二の誘電体層をスパッタ蒸着させ、その上にポリ
カーボネート製薄膜カバー層を貼り合わせることで目的
の光ディスクを得た。このディスク基板の初期機械特性
および△Tiltならびに制振性を評価した。評価結果
および環境変化によって生じる中心から58mm部のT
ilt変化(安定時を基準として図示した)をそれぞれ
表1、図4に示す。
【0056】
【表1】
【0057】表1に示すように、実施例1〜6に示した
樹脂は飽和吸水率を0.4%以下に抑えることができ、
△Tiltを1.0以下に抑えることが可能となった。
また、曲げ弾性率およびtanδも充分に大きいため、
成形された光ディスクが高速回転する際に起こる面振れ
は小さく抑えることが可能であった。比較例1のPMM
Aは飽和吸水率が2.0%と高いため、△Tiltは5.
0以上と非常に大きくなり、実用上、適さないことがわ
かった。また、比較例2のポリスチレンは吸水率が低い
ため、△Tiltは非常に小さく抑えることができた
が、ガラス転移点(Tg)が低いため、ディスク基板と
しての耐熱性が不足する結果となった。
【0058】
【発明の効果】本発明の光ディスクとしては、基板上
に、順に、少なくとも反射膜、記録層および透明保護層
とが形成され、透明保護層側から光が照射されて情報記
号の記録および/または再生が行われる光ディスクを対
象としている。この光ディスクにおいて、直径12cm
のディスク片面で15GBを越える記録容量を持つもの
も開発されているが、本発明の光ディスク基板は複雑な
構成にすることなく、これらのものにも十分に適応する
ことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用する光ディスクの一例におけるデ
ィスク面の垂直断面の部分的模式図を示す。
【図2】本発明に適用する光ディスクの他の一例におけ
るディスク面の垂直断面の部分的模式図を示す。
【図3】本発明に適用する光ディスクの他の一例におけ
るディスク面の垂直断面の部分的模式図を示す。
【図4】環境変化によって生じる光ディスクの中心から
58mm部におけるTilt経時変化を安定時を基準と
して示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 7/02 101 B32B 7/02 101 103 103 C08L 101/00 C08L 101/00 (72)発明者 池田 幸紀 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AB10D AB25D AB31D AK01A AK45A AL05A AR00B AR00C AR00D BA03 BA04 BA07 BA10A BA10C DD05A EH66 GB41 JB16A JD15A JG05D JK07A JN01C JN06B YY00A 4J002 BB00X BC02X BC03X BC05X BC06X CG01W CL00X 5D029 JB01 JB32 KA25 KB03 KC10 KC11 KC20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる、エンボスピット
    または案内溝が設けられた0.3〜1.2mm厚さの基板
    と、該基板上に設けられた反射層と、その上に設けられ
    た厚さ3〜200μmの透明保護層とを具備し、当該透
    明保護層側から光ビームを照射してその反射光の光強度
    変化に基づいて記録情報を再生する光学記録媒体におい
    て、当該基板が曲げ弾性率22,000kgf/cm2
    上、ISO 6721−4に準じて40℃、18Hzに
    て測定したtanδが0.003以上、飽和吸水率0.4
    0%以下およびASTM D−648に従って荷重1.
    82MPaにて測定した荷重たわみ温度が90℃以上で
    ある熱可塑性樹脂からなることを特徴とする光学記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 該反射層と透明保護層との間に記録膜を
    有する請求項1記載の光学記録媒体。
  3. 【請求項3】 記録膜あるいは反射層が複数積層され
    る、多層構造であることを特徴とする請求項1〜2記載
    の光学記録媒体。
  4. 【請求項4】 該基板が曲げ弾性率が24,000kg
    f/cm2以上、ISO 6721−4に準じて40
    ℃、18Hzにて測定したtanδが0.009以上、
    飽和吸水率0.33%以下およびASTM D−648
    に従って荷重1.82MPaにて測定した荷重たわみ温
    度が100℃以上である熱可塑性樹脂からなる請求項1
    〜3記載のいずれかの光学記録媒体。
  5. 【請求項5】 該基板が、曲げ弾性率が27,000k
    gf/cm2以上、ISO 6721−4に準じて40
    ℃、18Hzにて測定したtanδが0.013以上、
    飽和吸水率0.25%以下およびASTM D−648
    に従って荷重1.82MPaにて測定した荷重たわみ温
    度が105℃以上である熱可塑性樹脂からなる請求項1
    〜4記載のいずれかの光学記録媒体。
  6. 【請求項6】 該エンボスピットまたは案内溝が基板の
    両面に設けられ、該反射層、記録膜および/または透明
    保護層も共に両面に設けられている請求項1〜5記載の
    光学記録媒体。
  7. 【請求項7】 該熱可塑性樹脂が2種以上のポリマーの
    組成物からなることを特徴とする請求項1〜6記載の光
    学記録媒体。
JP2001139917A 2001-05-10 2001-05-10 光学記録媒体 Pending JP2002334482A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001139917A JP2002334482A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 光学記録媒体
TW091115423A TWI229332B (en) 2001-05-10 2002-07-11 Optically recordable medium

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001139917A JP2002334482A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 光学記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002334482A true JP2002334482A (ja) 2002-11-22

Family

ID=18986614

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001139917A Pending JP2002334482A (ja) 2001-05-10 2001-05-10 光学記録媒体

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2002334482A (ja)
TW (1) TWI229332B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004005371A1 (ja) * 2002-07-09 2005-11-04 帝人化成株式会社 光学記録媒体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2004005371A1 (ja) * 2002-07-09 2005-11-04 帝人化成株式会社 光学記録媒体

Also Published As

Publication number Publication date
TWI229332B (en) 2005-03-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001250267A (ja) 光記録媒体
US6875489B2 (en) Optical recording medium
JP4323458B2 (ja) 光ディスク
JP4644392B2 (ja) 光学記録媒体
JP2002334482A (ja) 光学記録媒体
KR100914421B1 (ko) 광학 기록 매체
JP4435753B2 (ja) 光ディスク基板
JP4332306B2 (ja) 光学記録媒体
JP2006328106A (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体および該共重合体からなる光学用成形材料
JP4435752B2 (ja) 光ディスク基板
JP4376104B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体、およびそれより形成された光ディスク基板
JP4759173B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物、光ディスク基板および光ディスク
JP3727875B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂および該樹脂よりなる光ディスク基板
JP3790181B2 (ja) 光ディスク基板
JP2002241623A (ja) 光ディスク基板用樹脂組成物
JP2002352471A (ja) 光学的記録媒体用基板およびそれを用いた光学的記録媒体
JP2006018956A (ja) 光学記録媒体
JP4344636B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体、およびそれより形成された光ディスク基板
JP2004062965A (ja) 光学記録媒体
TWI231499B (en) Optical disk substrate
JP4332454B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体、及びそれより形成された光ディスク基板
JP2001342337A (ja) 光学用成形材料
JP2002245668A (ja) 光ディスク基板用樹脂組成物、光ディスク基板及光ディスク
JP2002121375A (ja) 光学用ポリカーボネート樹脂成形材料および該材料よりなる光ディスク基板
JP2003238675A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂および該樹脂よりなる光ディスク基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080229

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090128

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090701