JP2006018956A - 光学記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱可塑性樹脂からなる基板上に、順に少なくとも反射膜と透明保護層とが形成され、透明保護層側から光が照射されて情報信号の記録および/または再生が行われるタイプの光学記録媒体の基板を成形するのに適した、基板の昇温または降温過程における反り変形の小さな光ディスクを提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂からなるエンボスピット又は案内溝が設けられた厚さ0.3〜1.2mmの基板と、該基板上に設けられた反射層と、その上に設けられた厚さ3〜200μmの透明保護層とを具備し、当該透明保護層側から光ビームを照射してその反射光の光強度変化に基づいて記録情報を再生する光学記録媒体において、基板と透明保護層に使用する熱可塑性樹脂樹脂が異なり、かつ基板と透明保護層の線膨張係数の差をα×10−5(cm/cm/℃)とする時、その値が|α|≦1.0の範囲にあることを特徴とする光学記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学記録媒体用基板に用いるのに適した熱可塑性樹脂組成物、および透明保護層に用いるのに適した材料、並びにそれから得られた光ディスクに関する。さらに詳しくは環境変化による基板の反りが少ない光ディスクに関する。
通常のCD、CD−ROMなどの光学記録媒体においては、厚さ1.2mmの透明基板の一方の面上に記録データに応じたエンボスピットが形成され、さらにその上にAlなどからなる反射膜が形成されている。こうしたCDに記録された情報は、反射膜が設けられた面とは反対側の透明基板側から集光ビームを照射することにより再生される。
より記録密度が高密度化されたDVDやDVD−ROMにおいては、厚さ0.6mmの透明基板の一方の面上にCDの場合よりも微細なエンボスピットが形成され、さらにその上にAlなどからなる反射膜が形成されている。こうした光ディスクに記録された情報の再生は、CDの場合と同様に反射膜が形成されている面とは反対側の透明基板側から集光ビームを照射することにより行われる。
厚さ0.6mmの基板の材料としては、透明な樹脂材料であるPC(ポリカーボネート)が一般的に使用されている。しかし、厚さ0.6mmのPC基板では、機械的特性が十分ではなく、そのままでは基板が反ってしまうため、記録面が内側となるように2枚の厚さ0.6mmの基板を貼り合わせて、合計厚さ1.2mmの光ディスクとして機械的特性を確保している。
なお、DVDの基板厚さが0.6mmとなったのは、チルトマージンを確保するためである。トラックピッチ、ピット密度がより詰まると光ディスクの傾き、いわゆるチルトのマージンが減少してしまう。1.2mmから0.6mmへと基板厚さを薄くすることによって、チルトマージンを確保することができるが、機械的強度の低下は避けられない。
この問題を解決するために、新しい方式の光学記録媒体が提案されている。例えば、「熱可塑性樹脂からなり、0.3〜1.2mmの厚さの支持体と、上記支持体上に案内溝と、該案内溝上に、順に、少なくとも反射膜と、相変化型記録膜とからなる記録領域を有し、少なくとも上記記録領域において、3〜177μmの厚さの透明保護層が形成されて成り、上記透明保護層の、厚さムラをΔtとしたときに、再生、もしくは記録再生する光学系のNAおよび波長λとの間に、
Δt≦5.26(λ/NA)(μm)(NAは開口数)
の関係を満たすことを特徴とする光学記録媒体」が提案され、透明保護層の厚さと、その厚さむらの関係を規定することにより、大容量化が可能な光学記録媒体が提供されるとしている。(例えば特許文献1参照)
そして一つの例として、記憶容量8GBの高密度を達成するための光学記録媒体に必要な条件をまとめ、次のように示されている。即ち、記録再生光学系がλ≦0.68μmかつNA/λ≦1.20をみたし、かつ、記録領域内で透明保護層の厚さt=3〜177μm、透明保護層の厚さむらは、
△t≦±5.26(λ/NA)(μm)
トラックピッチP≦0.64(μm)
公差△P≦±0.04P(μm)
線密度d≦0.1161/P(μm/bit)
ディスクスキュー Θ≦84.115×(λNA/t)
偏心E≦67.57P(μm)
表面粗さRa≦±3λ/100(スポット照射領域内)
というものである。
この方式を具現化した光学記録媒体として、ブルー・レイ・ディスク(Blu−ray Disc)が開発され、既に上市されている。これは、DVDの4〜5倍の23〜27GBの記録容量を有する光ディスクである。上記の方式の高密度光学記録媒体の基板材料には、透明保護層側より光を照射するため、その基板(支持体)にはCD、DVD基板などのような透明性は必要なくなるが、従来の光学記録媒体に比べ基板の反りや環境変化に対する反り変化の小さいことが以下の理由により要求される。すなわち、高密度化に伴い、レーザの短波長化およびピックアップレンズが高NA化されるため、微小な基板の反りでもコマ収差が大きくなり、フォーカスエラーやトラッキングエラーを引き起こすからである。また、高NA化によってピックアップレンズと基板との距離が接近するため、レンズと基板の接触を回避するためにも、基板の反りおよび反り変化は小さいことが望まれる。
上記高密度光学記録媒体の反りは、基板が射出成形または射出圧縮成形で作成される過程において、成形条件を詳細に調整することによって基板の反りを小さく抑え込むことができるが、環境変化による反り変化については、温度湿度の環境変化により基板の反り変化が生じてしまう。上記高密度光学記録媒体の基板に一般に用いられている芳香族ポリカーボネート樹脂を基板材料に用いた場合、吸水率が高い為、基板の吸湿膨張または脱湿収縮による光学記録媒体の反り変形が大きく、読取り時にフォーカスエラーやトラッキングエラーを生じ易いという欠点を有している。
この問題に関しては、いくつかの提案がなされている。例えば、「ポリカーボネート樹脂と飽和吸水率が0.05重量%以下の熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーを特定の割合で混合して得られた樹脂組成物が、基板の成形性を損なうことなく、吸湿または脱湿過程のディスクの反り変形が低減された、表読み光ディスクの基板材料として好適な組成物であるということを見出し、本発明に到達した。」が提案されている。(例えば特許文献2参照)
また、例えば、「ポリカーボネート樹脂が一般式(I)で表される繰り返し単位の主鎖を有すると共に、末端基の少なくとも20mol%が一般式(II)で表されるものであって、
Figure 2006018956
Figure 2006018956
(式中、Rは炭素数6〜20のアリール基、5〜20のアルキル基、全炭素数が8〜20のアリールアルキル基を示し、rは1〜5の整数を示す。)
その粘度平均分子量が10000〜17000であり、且つASTM D−0570で定義する吸水率が0.21重量%以下、ガラス転移温度が130℃以上であることを特徴とした基板材料。」を用いることにより基板の吸湿膨張または脱湿収縮による光学記録媒体の反り変形を改善する方法が提案されている。(例えば特許文献3参照)
このような方法を実施することにより、環境変化、中でも湿度の変化による基板の反り変化を抑制することが出来る。
しかしながら、使用中のドライブ装置内は湿度だけでなく温度も標準的な保管環境(温度25℃、湿度50%RHを想定)と比較して異なっており、その装置内に光学記録媒体を挿入した場合、急激な温度、湿度変化にさらされることになるため反りが発生するという問題があった。
特開平11−7658号公報 特開2003−20392号公報 特開2003−41011号公報
本発明の目的は、熱可塑性樹脂からなる基板上に、順に少なくとも反射膜と透明保護層とが形成され、透明保護層側から光が照射されて情報信号の記録および/または再生が行われるタイプの光学記録媒体の基板を成形するのに適した、基板の昇温または降温過程における反り変形の小さな光ディスクを提供することにある。
本発明者らは、この目的を達成する為に鋭意研究を重ねた結果、熱可塑性樹脂からなる、エンボスピット又は案内溝が設けられた厚さ0.3〜1.2mmの基板と、該基板上に設けられた反射層と、その上に設けられた厚さ3〜200μmの透明保護層とを具備し、当該透明保護層側から光ビームを照射してその反射光の光強度変化に基づいて記録情報を再生する光学記録媒体において、基板を構成する熱可塑性樹脂と透明保護層を構成する熱可塑性樹脂とが異なり、基板と透明保護層の線膨張係数の差をα×10−5(cm/cm/℃)とする時、|α|≦1.0の範囲にあることが好適であるということを見出し本発明に到達した。
ここで、基板と透明保護層に同じ樹脂を使用すれば|α|=0となる。しかし、透明保護層に要求される特性、例えば透明性(全光線透過率(ASTM D−1003準拠)が90%以上)、低複屈折性(光弾性定数が100×10−12/N以下)、フィルムとした時の剛性等と基板に要求される特性、例えば、低吸水性(吸水率(ASTM D−0570準拠)が0.3%以下)、剛性、転写性、金属膜との密着性等が異なるため、同じ樹脂でそれらの特性を同時に満足させることは難しい。従って、基板と透明保護層に異なる熱可塑性樹脂を使用する場合が多く、その場合|α|≦1.0であることが重要となる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜2は、本発明を適用した光学記録媒体として、光ディスクの一例を示す断面図である。なお、本発明で提案する光ディスクの構成はここに挙げた例に限定するものではない。
本発明を適用した光ディスク1は、図1示すように、案内溝を有する基板(1a)上に光反射層(1b)、記録層(1c)、透明保護層(1d)が順次積層形成されてなるものである。基板(1a)には、表面にデータ情報やトラッキングサーボ信号等の記録がなされるピットや、プリグルーブ等の微細な凸凹等の所定の凸凹パターンからなる案内溝が形成されている。
また、光ディスク2は、図2に示すように、案内溝を有する基板(2a)上に光反射層(2b、2e)、記録層(2c、2f)が中間層(2d)を挟み込み複数積層された多層構造であることを特徴としており、表面には透明保護層(2g)が形成される。なお、これら光ディスクを構成する基板、光反射層、記録層、透明保護層には同一もしくは類似の特性を持つ材料が使用可能である。
以下に好適な材料ならびに基板の特性を示す。
本発明における熱可塑性樹脂は、基板を構成する熱可塑性樹脂と透明保護層を構成する熱可塑性樹脂とが異なり、かつ基板と透明保護層の線膨張係数の差をα×10−5(cm/cm/℃)とする時、|α|≦1.0を満たせば、どのような樹脂でもよく、|α|≦0.5であれば、一層望ましい。
|α|が1.0を上回る場合、基板の熱による膨張と透明保護層の熱による膨張度合の差から光ディスクが片側に大きく反ってしまい、フォーカスエラーやトラッキングエラーを起こし易くなるので好ましくない。また反り変形が大きくなることで、ディスクと光ピックアップの衝突を回避するのは難しくなる。
なお、線膨張係数の測定にはティー・エイ・インスツルメント社のTMA2940を用いて測定した。試料の形状は3mm×16mmの短冊状(厚み:光ディスク基板は1.2mm、透明保護層は100μm)であり、0.001Nの力で長辺方向に引っ張りながら30〜200℃の温度範囲で線膨張係数を測定した。なお、その時の昇温速度は5℃/minである。
光ディスクを構成している部材の熱膨張による反り変形に関しては以下の測定法を用いた。即ち、温度60℃、露点−50℃の環境下(A環境)に72時間暴露後のディスクと、温度25℃、真空度1.0×10−5Torrの環境下(B環境)に72時間暴露後のディスクのそれぞれの中心から58mm部分の反り量を測定し、二つの環境における反り量の差(△Tilt)を比較したものである。このときのディスクの△Tiltは好ましくは0.15deg.以内、更に好ましくは0.7deg.以内である。
次にかかる熱可塑性樹脂の例を挙げる。なお、本発明で提案する熱可塑性樹脂は以下の例に限定するものではない。
本発明における基板及び透明保護層に使用される熱可塑性樹脂としては、吸水速度が遅く、ディスク材料として良好な耐熱性を有する樹脂を主成分としたものであれば良く、このような熱可塑性樹脂の例としてはポリカーボネート樹脂、非晶性ポリオレフィン類、水添ポリスチレンなどが挙げられるが、特にポリカーボネート樹脂を主成分とするのが好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂は、通常芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート結合前駆体とを溶液法または溶融法等で反応させて得られるものである。
好ましいポリマーの具体例を挙げれば、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンとα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)m−ジイソプロピルベンゼンとを20:80〜70:30、好ましくは40:60〜70:30のモル比で含むビスフェノール成分をカーボネート前駆体と反応させて得られる共重合ポリカーボネート、又はそれを含む組成物、或いは2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパンとカーボネート前駆体とを反応させて得られるポリカーボネート又はそれを含む組成物等が挙げられる。
また、該ポリカーボネート樹脂は、単独の芳香族ジヒドロキシ化合物からなるものはもちろん、2種類以上の芳香族ジヒドロキシ化合物の共重合でも何ら差し支えない。さらにこれらのポリカーボネート樹脂を2種以上混合して用いても何ら問題はない。
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、そのポリマー0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、20℃で測定した比粘度が0.2〜0.5のものが好ましく、0.25〜0.4の範囲のものがより好ましい。比粘度が0.2未満では成形品が脆くなり、0.5より高くなると溶融流動性が悪く、成形不良を生じ、光学的に良好な成形品が得難くなる。
本発明の熱可塑性樹脂には、前記ポリカーボネート樹脂および/またはそれ以外の樹脂の他に、熱安定剤としてリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物を、その共重合体に対して特定の割合で配合することができる。このリン化合物を配合することにより、かかる光ディスク用樹脂の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
かかる熱安定剤の配合量は、該熱可塑性樹脂に対して0.0001〜0.05重量%であり、0.0005〜0.02重量%が好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好ましい。配合量が0.0001重量%未満では上記効果が得られ難く、0.05重量%を超えると、逆に該熱可塑性樹脂の熱安定性に悪影響を与えることがあり、また樹脂によっては耐加水分解性も低下するので好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は該熱可塑性樹脂に対して、0.0001〜0.05重量%である。
さらに本発明の熱可塑性樹脂には、必要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。この一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを配合することにより、前記熱可塑性樹脂の成形時の金型からの離型性が改良され、ディスク基板の成形においては、離型荷重が少なく離型不良によるディスク基板の変形、ピットずれを防止できる。また、該熱可塑性樹脂の溶融流動性が改善される利点もある。
かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステルの配合量は、該熱可塑性樹脂に対して0.01〜2重量%であり、0.015〜0.5重量%が好ましく、0.02〜0.2重量%がより好ましい。配合量が0.01重量%未満では上記効果が得られず、2重量%を越えると成形の際に金型表面の汚れの原因ともなる。
本発明の熱可塑性樹脂には、さらに他の熱可塑性樹脂、光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤などの添加剤を、転写性、ならびに成形したディスクの吸湿および脱湿過程における反りの低減効果を損なわない範囲で加えることができる。
本発明の組成物の調製において、ポリカーボネート樹脂どうしの混合および/またはその他の樹脂との混合は、ポリマー溶液、粉粒体、ペレット等の成形品の段階が考えられるが、特に制限するものではない。また混合の方法については、ポリマー溶液の段階では、例えば、攪拌機付き容器が主として考えられ、また、粉粒体、ペレット等の成形品の段階では、例えばタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機などで混合する方法が用いられる。いずれの場合も任意の方法で使用され、特に制限はないが、混合操作中の異物混入に対する除去方法の簡便さからポリマー溶液状態での混合後、任意の目開きのフィルターを通過させるという方法が好ましい。
また、本発明を適用した光ディスクは、透明保護層側から光を入射させて情報信号の記録及び/再生が行われるため、基板は光学的な記録及び/再生特性に影響を与えることがなく、透明性を必要としない。大きく屈折率が異なった2種以上の樹脂のブレンド材料は光散乱によりヘイズ(Haze)が生じるため、従来の光学特性を必要とするCD、DVD等の基板材料には用いづらかったが、上述したように本発明の基板には、大きく屈折率が異なった2種以上の樹脂のブレンドも用いることが可能である。
次にかかる記録層、光反射層の例を挙げる。なお、本発明で提案する光ディスク媒体は以下の例に限定するものではない。
本発明で用いる記録層は記録膜と記録膜保護膜からなり、記録膜としては、レーザ光の照射によって生じた物質の非晶質状態と結晶状態の間の可逆的な相構造変化が起こる材料(相変化記録型)、もしくは膜面に垂直な方向に磁化容易方向を有し、任意の反転磁区を作ることにより情報の記録、再生、消去が可能な磁気光学効果を有する磁性薄膜(光磁気記録型)であればよい。相変化記録型の記録膜としては、例えば、カルコゲナイド系材料であるGeSbTe系、InSbTe系、InSe系、InTe系、AsTeGe系、TeOx−GeSn系、TeSeSn系、FeTe系、SbSeBi系、BiSeGe系等が用いられているが、GeSbTe系よりなる膜は繰り返し記録・消去時における安定動作が良好で好ましい。
更に、こうした構成の記録膜中には、可逆的な相構造変化が失われないかぎり、他の元素が最大10原子%まで添加されても問題はない。例えばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Ir、Si、Pd、Au、Ag、Cu、Pt等の元素が1種類もしくはそれ以上含まれていても良い。特に記録膜自身の酸化による腐食を防止するためには、Ti、Zr、Hf、Ta、Cr、Reを添加することが好ましい。
光磁気記録型の記録膜としては、例えば、TbFe、TbFeCo、GdTbFe、NdDyFeCo、NdDyTbFeCo、NdFe、PrFe、CeFe等の希土類元素と遷移金属元素との非晶質合金薄膜、交換結合を利用したそれらの二層膜、Co/Pt、Co/Pd等の人工格子多層膜、CoPt系合金等を用いることができる。さらに、こうした構成の記録膜中には、その垂直磁気異方性が失われないかぎり、他の元素が最大10原子%まで添加されても問題はない。例えばTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Ir、Si、Ge、Bi、Pd、Au、Ag、Cu、Pt等の、希土類、Fe、Co以外の元素が1種類もしくはそれ以上含まれていても良い。特に記録膜自身の酸化による腐食を防止するためには、Ti、Zr、Hf、Ta、Cr、Reを添加することが好ましい。
また本発明においては、記録膜を狭持する記録膜保護膜としては誘電体材料を用いることが好ましい。これにより、媒体としての結晶相と非晶質相の反射率差、および磁気光学効果を高めることができる。さらにこの場合には、誘電体材料は屈折率nが高い材料、すなわちn≧1.6である材料、さらに好ましくはn≧1.8である材料であることが好ましい。例えば、SiO系、SiON系、Ta、TiO、Al、Y、CeO、La、In、GeO、GeO、PbO、SnO、SnO、Bi、TeOWO、WO、Sc、ZrO等の酸化物、TaN、AlN、SiN系、AlSiN系等の窒化物、ZnS、Sb、CdS、In、Ga、GeS、SnS、PbS、Bi等の硫化物、またはこれらの混合材料やこれらの積層体などを保護膜として用いることが好ましい。
光反射層としては、評価に用いるドライブヘッドのレーザ光に対し、記録層よりも反射率の高い材料であることが特性向上のために好ましい。具体的には、使用レーザ光波長における光学定数である屈折率nと消衰係数kが、n≦3.5、かつk≧3.5であるような材料を選択することが好ましい。さらに好ましくはn≦2.5かつ4.5≦k≦8.5であり、この条件で作製した媒体では、再生信号特性のより一層の向上が実現できる。
一方レーザ光による加熱で信号を記録する際、光反射層の熱伝導率が高すぎると、熱拡散が大きく、強いレーザパワーを必要とする。このため現在多用されているパワーが15mW以下の半導体レーザで信号の記録を可能とするためには、光反射層に用いる材料の熱伝導率は100[W/(m・K)]以下であることが好ましく、さらには80[W/(m・K)]以下であることがより好ましい。
このような条件を満足する材料として、AlもしくはAgにAu、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Tc、Re、Ru、Os、Ir等の1種類以上の元素を添加した合金が挙げられる。なお、これら合金において添加元素の添加量が、0.5原子%より少ないと前述の熱伝導低下の効果は小さく、逆に20原子%より多いと前述の光反射率の低下が大きく再生信号特性の面で不利である。従って添加元素の含有量は0.5〜20原子%の範囲におさめることが好ましい。また、特に金属反射膜自身の耐久性を高めるという点で、上記特定元素群の中ではTi、Zr、Hf、Ta、Cr、Reが好ましい。これらの反射層の膜厚範囲は10〜500nmであるが、反射率の低下による再生信号特性の低下を抑え、かつレーザパワーが15mWで記録可能とするためには、好ましくは30〜200nm、特に好ましくは40〜100nmである。
なお、再生専用光ディスク媒体の場合は、上述した光反射層のみを基板上に形成する事になるが、材料としては同じものを使用することが出来る。
次に光ディスクの製造方法を示す。上記光ディスク用樹脂より光ディスク基板を製造する場合には光記録媒体に必要なスペックを満たすピッチおよびグルーブ、並びに表面むらを実現したスタンパが装着された射出成形機(射出圧縮成形機を含む)を用い、射出成形法または射出圧縮成形法にて作成する。この時ディスク基板の厚さは0.3〜1.2mmとする。この射出成形機としては一般的に使用されているもので良いが、炭化物の発生を抑制しディスク基板の信頼性を高める観点からシリンダーやスクリューと樹脂との付着性が低く、かつ耐食性、耐摩耗性を示す材料を使用してなるものを用いるのが好ましい。成形工程での環境は、本発明の目的から考えて、可能な限りクリーンであることが好ましい。また、成形に供する材料を十分乾燥して水分を除去することや、溶融樹脂の分解を招くような滞留を起こさないように配慮することも重要となる。
本発明における光ディスク基板用樹脂は、射出成形または射出圧縮成形の際に、転写性の良好となる十分な流動性を有していることが好ましい。
本発明の光ディスク基板は、その片面に少なくとも反射膜を形成させることにより光ディスクとなる。上記の記録層、光反射層の無機薄膜の製造法としては、公知の真空蒸着法、スパッタリング法等のPVD法、あるいはCVD法等、種々の薄膜形成法が適用できる。しかし、光ディスク媒体としては、高温高湿の耐環境試験で生じる剥離を生じさせないために、特に高分子基板との密着性が大きい条件で作製することが好ましい。このためにはスパッタリング法が好ましい。
また、透明保護層は記録層上に形成される。この透明保護層は、レーザ光を通過する材料よりなり、かかる材料としては、例えば、ポリカーボネートや非晶性ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂や、各種熱硬化性樹脂等が挙げられる。
透明保護層を形成する手段は、例えば、記録層上にポリカーボネートや非晶性ポリオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂からなるシートやガラス板等の透明板を貼り合わせる方法、また紫外線硬化樹脂をスピンコート等の手法によって塗布し、紫外線照射することによって形成する方法が挙げられる。さらにこの透明保護層はコマ収差をかなり小さく抑えるために、3〜200μmの厚さに制限される。
環境変化によって光ディスク媒体の温度が急激に変化すると光ディスク基板と透明保護層の熱膨張率の差が原因となり媒体の反り形状も急激に変化する。このような状況が発生すると、サーボ機構の追従が難しくなりトラックエラーやフォーカスエラー等の原因となる。また、エラーの原因となるばかりでなく、時にはピックアップ部とディスクが衝突を起こし、ディスク表面を傷つけてしまうことさえある。
本発明の光ディスク基板は複雑な構成にすることなく、反り変化を抑えることが可能なため、これらの問題にも十分に対処することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。なお、評価は下記の方法に従った。
(1)線膨張係数
光ディスク基板と透明保護層の線膨張係数の測定にはティー・エイ・インスツルメント社のTMA2940を用いて測定した。試料の形状は3mm×16mmの短冊状(厚み:光ディスク基板は1.2mm、透明保護層は100μm)であり、0.001Nの力で長辺方向に引っ張りながら30〜200℃の温度範囲で線膨張係数を測定した。なお、その時の昇温速度は5℃/minである。
(2)反り量、および△Tilt
図1に示す構成の相変化型光ディスク媒体を作製し、その光ディスクについて温度60℃、露点−50℃の環境下(A環境)に72時間暴露後のディスクと、温度25℃、真空度1.0×10−5Torrの環境下(B環境)に72時間暴露後のディスクのそれぞれの中心から58mm部の反り量をジャパン・イー・エム(株)製3次元形状測定器DLD−3000Uにより測定し、二つの環境における反り量の差(△Tilt)を比較した。
[実施例1〜2、比較例1〜3]
名機製作所(株)製M35B−D−DMを用いて各ペレットから120mmφ、1.2mm厚みの0.32μmピッチのグルーブに記録可能なディスク基板を射出成形した。その後、以下のようにして図1に示す構成の相変化型光ディスク媒体を作製した。
まず光ディスク基板を、高周波マグネトロンスパッタ装置(アネルバ製ILC3102型)の真空槽内に固定し、5.3×10−5Paになるまで排気した。なお、膜形成において基板は60rpmで公転させた。
次に光反射層としてAlCr膜を形成した。すなわち、ターゲットとしては直径203mm、厚さ6mmの円盤状のAl97Cr(添字は原子%)を用い、真空槽内にArガスを導入し、圧力0.067Paになるようにガス流量を調節した。放電電力500WでAlCr合金からなる光反射層をDCスパッタリングによって100nm堆積した。
次に記録膜保護膜としてZnS−SiO膜を形成した。ターゲットをZnS−SiO(80:20)の燒結体の円盤に変え、真空槽内にArガスを導入し、圧力0.1Paになるようにガス流量を調節した。放電電力1600W、放電周波数13.56MHzで高周波スパッタリングを行ない、記録膜保護膜としてZnS−SiO膜を10nm堆積した。
次に記録膜を形成した。ターゲットをGe22Sb22Te56合金の円盤に変えスパッタリングガスを純Ar (純度99.999%)とし、ガス圧0.067Pa、放電電力400WでGeSbTe膜からなる記録膜をDCスパッタリングによって10nm堆積した。
続いて、記録膜上に記録膜保護膜としてターゲットを前述のZnS−SiOの燒結体ターゲットに戻し、誘電体層2と同様の放電条件で、ZnS−SiO膜を100nm堆積した。
こうして得られた試料をスパッタリング装置から取り出し、スピンコーターに取付けた。そしてディスクを回転させながら、紫外線硬化性のフェノールノボラックエポキシアクリレート樹脂を塗布した後、内径15mmφ、外径120mmφに切り出した厚さ100μmの透明保護層を貼り合せ、紫外線照射装置を通過させて樹脂を硬化させ光ディスク媒体を作製した。
最後に、媒体を全面消去状態にするために初期化を行った。初期化にはレーザスポット幅が99μmの日立コンピュータ機器製の相変化型光ディスク初期化装置(POP120−3TJ)を用い、レーザパワー950mW、線速度8.0m/sで初期化を行った。
以上の手順を用い、表1に示す光ディスク基板、透明保護層の組合せで実施例1〜2、比較例1〜3の光ディスク媒体を得た。
なお、PC樹脂Aペレットは以下の方法で作成した。
[PC樹脂Aの作成]
温度計、攪拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水929.2部、48%水酸化ナトリウム水溶液61.3部を入れ、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(成分a−1)43.9部、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)m−ジイソプロピルベンゼン(成分a−2)43.6部およびハイドロサルファイト0.17部を溶解した後、p−tert−ブチルフェノール1.51部と塩化メチレン637.9部を加えトリエチルアミン0.09部を添加した後攪拌下15〜25℃でホスゲン32.4部を40分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、48%水酸化ナトリウム水溶液15.6部を加え、28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、軸受け部に異物取り出し口を有する隔離室を設けたニーダーにて塩化メチレンを蒸発して、成分a−1と成分a−2の比がモル比で53:47の比粘度が0.27である無色のポリマー86.4部を得た(収率97%)。
このポリカーボネート樹脂粉粒体にトリスノニルフェニルフォスフェートを0.005%、トリメチルフォスフェートを0.003%、ステアリン酸モノグリセリドを0.030%加えて、ベント付きφ30mm二軸押出機を用いて、ペレット化した。
これらの光ディスク媒体について前記の方法で測定した△Tiltの値を基板、透明保護層の線膨張率及びその差|α|と共に表1に示す。
Figure 2006018956
本発明に適用する光ディスクの一例。 本発明に適用する光ディスクの一例。
符号の説明
1 光ディスク
1a 基板
1b 光反射層
1c 記録層
1d 透明保護層
2 光ディスク
2a 基板
2b 光反射層
2c 記録層
2d 中間層
2e 光反射層
2f 記録層
2g 透明保護層

Claims (7)

  1. エンボスピット又は案内溝が設けられた、厚さ0.3〜1.2mmの熱可塑性樹脂からなる基板と、該基板上に設けられた反射層と、その上に設けられた厚さ3〜200μmの透明保護層とを具備し、当該透明保護層側から光ビームを照射してその反射光の光強度変化に基づいて記録情報を再生する光学記録媒体において、基板を構成する熱可塑性樹脂と透明保護層を構成する熱可塑性樹脂とが異なり、かつ基板と透明保護層の線膨張係数の差をα×10−5(cm/cm/℃)とする時、その値が|α|≦1.0の範囲にあることを特徴とする光学記録媒体。
  2. 該反射層と透明保護層との間に記録膜を有する請求項1記載の光学記録媒体。
  3. αが|α|≦0.5の範囲にあることを特徴とする請求項1または2記載の光学記録媒体。
  4. 基板を構成する熱可塑性樹脂が芳香族ポリカーボネートを主成分とする樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の光学記録媒体。
  5. 透明保護層が溶液流延法により製膜されたフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学記録媒体。
  6. 透明保護層が押し出し法により製膜されたフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学記録媒体。
  7. 透明保護層が芳香族ポリカーボネートを主成分とする樹脂からなる請求項1〜6のいずれかに記載の光学記録媒体。
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