JP2004061938A - 撮像レンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】諸収差が良好に補正されており、低コストで生産が可能であり、かつ光学長が10mm以下の撮像レンズを提供すること。
【解決手段】物体側から順に、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第1レンズL1と、開口絞りSと、両側に凸を向けた正の屈折力を有する第2レンズL2と、両側に凹を向けた負の屈折力を有する第3レンズL3と、両側に凸を向けた正の屈折力を有する第4レンズL4とが順に配列して構成される以下の条件を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
+5.0 <(r2+r1)/(r2−r1)<+7.0 (1)
0.15f <     d1  <  0.3f     (2)
ただし、
r1 : 第1レンズの物体側面の光軸近傍における曲率半径(軸上曲率半径)
r2 : 第1レンズの像側面の光軸近傍における曲率半径(軸上曲率半径)
d1 : 第1レンズの肉厚
f : 全系の焦点距離
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、CCDまたはCMOSを撮像素子として用いるカメラに搭載することに好適な、光学長が短く、これにより結像される像の歪みが視覚を通じて意識されず、かつ撮像素子の集積密度から要請される十分な程度に諸収差が小さく補正されている、撮像レンズに関する。以下「像の歪みが視覚を通じて意識されずかつ撮像素子の集積密度から要請される十分な程度に小さく諸収差が補正されている」ことを、簡単のために単に「諸収差が良好に補正されている」等と表現することもある。また諸収差が良好に補正された画像を「良好な画像」ということもある。
【0002】
【従来の技術】
CCDまたはCMOSを撮像素子として用いる小型カメラに搭載するレンズは、光学長が短く低コストで製造できる必要がある。この種のレンズとして、例えば、特開平11−38316号公報において開示されている撮像レンズがある。しかしながら、この開示された撮像レンズは、構成枚数が4群4枚と少ないものの、物体側から数えて最初のレンズである第1レンズが厚すぎるので加工がむずかしい。その結果として生産コストが高くなる等、生産性が悪い。また、光学長が10 mmを超えており、CCDまたはCMOSを撮像素子として用いる小型カメラに搭載するレンズとしては光学長が長すぎる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、諸収差が良好に補正されており、低コストで生産が可能であり、かつ光学長が10 mm以下である撮像レンズを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するこの発明による撮像レンズの構成は、物体側から順に、第1レンズL1、開口絞りS、第2レンズL2、第3レンズL3および第4レンズL4を配列した4枚4群構成である。第1レンズL1は物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有するレンズである。第2レンズL2は物体側および像側の両側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズである。第3レンズL3は物体側および像側の両側に凹面を向けた負の屈折力を有するレンズである。第4レンズL4は物体側および像側の両側に凸面を向けた正の屈折力を有するレンズである。
【0005】
これら第1〜第4レンズを形成するレンズ面全8面(1枚のレンズが物体側および像側に1面ずつ曲面を有するので、4枚のレンズでは合計8面となる。)のうち少なくとも3つのレンズ面が非球面であり、以下の条件を満たす。
【0006】
+5.0 <(r2+r1)/(r2−r1)<+7.0   (1)
0.15f <   d1  <  0.3f       (2)
ただし、
r1 : 第1レンズの物体側面の光軸近傍における曲率半径(軸上曲率半径)
r2 : 第1レンズの像側面の光軸近傍における曲率半径(軸上曲率半径)
d1 : 第1レンズの肉厚
f : 全系の焦点距離(第1、第2、第3および第4のレンズから成るレンズ系の合成焦点距離)。
【0007】
第1レンズの曲率半径r1およびr2を共に変えることにより、レンズの焦点距離を変えず収差だけを変化させる、いわゆるベンディングという操作ができる。そこでレンズの焦点距離が変わらないという条件下で、r1およびr2を変化させたとき、q = (r2+r1)/(r2−r1)で与えられるqは、いわゆるレンズの形状因子(shape factor)と呼ばれ、ベンディングの度合いを表すパラメータである。すなわちパラメータqは対称レンズ(r1 = −r2)に対しては0となり、非対称になるほど大きな値となるので、対称レンズからの偏差の度合い(非対称の度合い)を示すパラメータである。
【0008】
したがって、上記条件式(1)は、第1レンズのベンディングの度合いを表すパラメータq、を+5.0から+7.0の範囲に設定すべきことを意味する。
【0009】
構成要素であるレンズに、式(1)および式(2)で与えられる条件を満足させ、かつ前述の構成に配置することによって、諸収差が良好に補正され、しかも光学長が10 mm以下であって、低コストで製作できる撮像レンズを提供できる。
【0010】
合成焦点距離fが、3.3 mm 〜 4.0 mmと、短い撮像レンズの場合、数mm程度のバックフォーカスを確保する必要がある。このバックフォーカスは、第1レンズの負屈折力を大きくすることにより、十分確保することができる。
【0011】
第3レンズの負レンズ素子によって、軸上色収差及び倍率色収差を良好に補正できる。
【0012】
式(1)は良好な画像を保ちながら十分なバックフォーカスを得るための条件式である。上限を越えてr1およびr2の曲率半径を設定すると、非点収差の子午像面(メリディオナル面)が正の方向に大きく湾曲しすぎてしまう。また、下限を下回ってr1およびr2の曲率半径を設定すると、バックフォーカスが短くなりCCD像面に入射する光線角度が急角度となる為、マイクロレンズによる全反射で、シューディングを起こし周辺が暗くなってしまい、その上に非点収差の子午像面が負の方向に大きく湾曲しすぎてしまう。
【0013】
絞りを第1レンズと第2レンズの間に配置することにより、その後に配置されている第2レンズ及び第4レンズで負の歪曲収差(たる型の歪曲収差)を補正できる。
【0014】
式(2)は、像面湾曲の補正と、レンズ系の全長を短く保ち第1レンズ径を小さく保つための、条件を与える式である。第1レンズの肉厚d1が式(2)の上限を越えて厚くなると、レンズ全長と第1レンズ径が大きくなりすぎ、レンズ系のコンパクト性が失われる。また、負の歪曲収差も大きくなる。d1が式(2)の下限を下回って、レンズ厚が小さくなると、像面湾曲が大きくなり好ましくない。またd1が式(2)の下限を下回ると、プラスチックレンズの場合は、レンズを設計どおりに成形することが困難となる。
【0015】
後に説明する実施例1および実施例2において明らかなように、式(1)および(2)で与えられる二つの条件により、諸収差が良好に補正された、光学長が10 mm以下の、生産性に優れた撮像レンズが実現できた。
【0016】
また、この発明の撮像レンズは、好ましくは、その構成レンズのすべてをプラスチック素材(熱と圧力あるいはその両者によって塑性変形させて成型させて形成することができる高分子物質であって、可視光に対して透明である素材)で、形成するのがよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態例につき説明する。なお、これらの図は、この発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるにすぎず、また、以下に説明する数値的およびその他の条件は単なる好適例であり、この発明はこの発明の実施の形態にのみ何等限定されるものではない。
【0018】
【実施例】
図1は、この発明による撮像レンズの構成図である。
【0019】
物体側から数えて第1、第2、第3および第4のレンズをそれぞれ、L1、L2、L3およびL4で示す。撮像面(固体撮像素子の受光面)を10で表し、撮像面とレンズ系とを隔てるカバーガラスを12で表し、2枚の絞り面をそれぞれ像側から物体側の順にそれぞれ14と16で示す。
【0020】
この図に示すri(i=1, 2, 3, …,12)およびdi(i=1, 2, 3, …,12)等のパラメータは以下に示す表1から表4に具体的数値として与えてある。添え字i= 1, 2, ……12は、物体側から像側に向かって順に、各レンズの面番号あるいはレンズの厚みもしくはレンズ面間隔等に対応させて付したものである。
すなわち、
riはi番目の面の曲率半径(非球面においては軸上曲率半径)、
diはi番目の面からi+1番目の面までの距離、
Niはi番目の面とi+1番目の面から成るレンズの媒質の屈折率、
νiはi番目の面とi+1番目の面から成るレンズの媒質の分散、
をそれぞれに示す。
【0021】
非球面データは、各表1から表4のそれぞれの右欄に面番号とともに示した。開口絞りのr3とr4、またカバーガラスのr11とr12は平面であるので、曲率半径∞と表示している。
【0022】
この発明で使用される非球面は次の式で与えられる。
【0023】
Z = ch/[1+ [1−(1+k)c+1/2]+A+B+C+D10
ただし、
Z: 面頂点に対する接平面からの深さ
c: 面の近軸的曲率
h: 光軸からの高さ
k: 円錐定数
: 4次の非球面係数
: 6次の非球面係数
: 8次の非球面係数
: 10次の非球面係数
この明細書中の各表1から表4において、非球面係数を示す数値の表示において、表示「e−1」は「10の−1乗」を意味する。また焦点距離fとして示した値は、第1、第2、第3および第4のレンズから成るレンズ系の合成焦点距離である。
【0024】
図2〜図9を参照してそれぞれ第1および第2実施例を説明する。また、図10〜図17を参照して次式(1)式で与えられる条件を満たさない比較例を2例説明する(第1比較例および第2比較例)。
【0025】
+5.0 <(r2+r1)/(r2−r1)<+7.0  (1)
すなわち、第1比較例では、r1=−2.25、r2=−3.40(表3参照)であるから、
(r2+r1)/(r2−r1)= 4.913 と、下限値を下回り、
第2比較例では、r1=−2.55、r2=−3.30(表4参照)であるから、
(r2+r1)/(r2−r1)= 7.800 と、上限値を上回っている。
【0026】
図2、図6、図10および図14にレンズ構成の概略図とスポットダイアグラムとをそれぞれ示し、入射高に対する像面上での点像の広がりの度合いを表示した。また図3、図7、図11および図15において歪曲収差曲線、図4、図8、図12および図16において非点収差曲線、図5、図9、図13および図17において色・球面収差曲線を示している。
【0027】
歪曲収差曲線は、光軸からの距離(縦軸に像面内での光軸からの最大距離を100として百分率表示してある。)に対して、収差量(横軸に正接条件の不満足量を百分率表示してある。)を示した。非点収差曲線は、歪曲収差曲線同様に光軸からの距離に対して、収差量を横軸(mm単位)にとって示した。また、非点収差においては、子午像面(メリディオナル面)と球欠像面(サジッタル面)とにおける収差量(mm単位)を表示した。色・球面収差曲線は、入射高h(Fナンバー)に対して、収差量を横軸(mm単位)にとって示した。また、色・球面収差曲線においては、C線(水素原子が発する波長656.27 nmの光)、d線(ヘリウム原子が発する波長587.56 nmの光)およびg線(水銀原子が発する波長435.84 nmの光)に対する収差値を示した。屈折率はd線(587.6 nmの光)における屈折率を示す。
【0028】
以下に、第1実施例(表1)、第2実施例(表2)、第1比較例(表3)および第2比較例(表4)に関する構成レンズの曲率半径(mm単位)、レンズ面間隔(mm単位)、レンズ素材の屈折率、レンズ素材のアッベ数、焦点距離、開口数、非球面係数を一覧にして掲げる。
【0029】
【表1】
Figure 2004061938
【0030】
【表2】
Figure 2004061938
【0031】
【表3】
Figure 2004061938
【0032】
【表4】
Figure 2004061938
【0033】
以下に、各実施例の特徴を比較例とともに示す。
第1、第2実施例および第1、第2比較例ともに、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第1レンズ(L1)、物体側および像側の両側に凸面を向けた正の屈折力を有する第2レンズ(L2)、物体側および像側の両側に凸面を向けた正の屈折力を有する第4レンズ(L4)にはシクロオレフィン系プラスチックであるゼオネックスE48R(ゼオネックスは日本ゼオン株式会社の登録商標で、E48Rは商品番号である。)を採用した。
【0034】
物体側および像側の両側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3レンズ(L3)は、ポリカーボネートを採用した。また、第1レンズ(L1)の両面、第2レンズ(L2)の両面、第3レンズ(L3)の物体側面、及び第4レンズ(L4)の像側面は非球面とした。すなわち、非球面の数は、各実施例および比較例とともに6面である。
【0035】
第1レンズ(L1)、第2レンズ(L2)および第4レンズ(L4)の素材であるゼオネックスE48Rのアッベ数は56であるが、シミュレーションの結果、これらレンズの素材のアッベ数が45から65の範囲内であれば、収差等レンズ性能に実質的な差異は現れないことが分かった。また、第3レンズ(L3)の素材であるポリカーボネートのアッベ数は30であるが、このレンズの素材のアッベ数が25から35の範囲内であれば、上記同様に収差等レンズ性能に実質的な差異は現れないことが分かった。すなわち、アッベ数が上記の値の範囲内であれば、この発明の目的とする撮像レンズの諸収差が従来の撮像レンズの諸収差に比べて良好に補正され、かつ光学長が 10 mm 以下の撮像レンズが実現できることが分かった。
【0036】
レンズ系と撮像面との間に、第1実施例では、0.60 mm、第2実施例、第1比較例および第2比較例では、1.00 mmのカバーガラスを挿入してあり、このカバーガラスの存在も前提として、以下に説明する諸収差を計算してある。すなわち、このカバーガラスは、r11およびr12面から成り、この厚みを表すパラメータd11が、第1実施例では、d11=0.60 mmであり、第2実施例、第1比較例および第2比較例では、 d11=1.00 mmである。
【0037】
(第1実施例)
(A)全系の焦点距離は f  = 3.315 mm である。
(B)第1レンズの肉厚は d1 = 0.72 mm である。
(C)第1レンズの物体側面の曲率半径は r1 = −1.72 mm である。
(D)第1レンズの像側面の曲率半径は  r2 = −2.53 mm である。
(r2+r1)/(r2−r1)= +5.2469 であるから、このレンズ系は、
式(1)で表される条件を満たしている。
また、0.15f=0.497、d1=0.72、0.3f=0.9945 であるから、式(2)で表される条件も満たしている。
【0038】
図2に光線追跡をした結果と、撮像面上での点像の広がりを示すスポットダイアグラムを示す。これによると画角ぎりぎりの位置での点像が若干広がるのみで、撮像面上ほぼ全域にわたり良好な点像が得られていることがわかる。
【0039】
光学長は6.663 mmと10 mm以内に収まっており、バックフォーカスも2.357 mmと十分に確保できている。
【0040】
図3に示す歪曲収差曲線20、図4に示す非点収差曲線(メリディオナル面に対する収差曲線22およびサジッタル面に対する収差曲線24)、図5に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線26、d線に対する収差曲線28およびg線に対する収差曲線30。ただし収差曲線26と収差曲線28はほとんど差がなく重なっている。)については、それぞれグラフによって示してある。図3および図4の収差曲線の縦軸は像高を示しており、100%、85%、70%、50%、および30%はそれぞれ、2.187mm、1.859mm、 1.531mm、1.093mm、および 0.656mm に対応している。また横軸は収差の大きさを示している。図5の収差曲線の縦軸は入射高h(Fナンバー)を示しており、最大がF2.8である。
【0041】
歪曲収差は2%以内に収まっており、非点収差は0.1mm以内に収まっており、色・球面収差は0.02mm以下に収まっている。いずれについても、CCDまたはCMOSを撮像素子として用いる小型カメラに搭載するレンズに必要とされる性能が確保されている。
【0042】
(第2実施例)
(A)全系の焦点距離は f = 3.812 mm である。
(B)第1レンズの肉厚は d1= 0.9 mm である。
(C)第1レンズの物体側面の曲率半径は r1 = −2.45 mm である。
(D)第1レンズの像側面の曲率半径は  r2 = −3.35 mm である。
(r2+r1)/(r2−r1)= +6.444 であるから、このレンズ系は、
式(1)で表される条件を満たしている。
また、0.15f=0.572、d1=0.9、0.3f=1.144 であるから、式(2)で表される条件も満たしている。
【0043】
図6に光線追跡をした結果と、撮像面上での点像の広がりを示すスポットダイアグラムを示す。これによると画角ぎりぎりの位置での点像を含めて、撮像面上全域にわたり良好な点像が得られている。
【0044】
光学長は9.256 mmと10 mm以内に収まっており、バックフォーカスも3.396 mmと十分に確保できている。
【0045】
図7に示す歪曲収差曲線32、図8に示す非点収差曲線(メリディオナル面に対する収差曲線34およびサジッタル面に対する収差曲線36)、図9に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線38、d線に対する収差曲線40およびg線に対する収差曲線42)については、それぞれグラフによって示してある。図7および図8の収差曲線の縦軸は像高を示しており、100%、85%、70%、50%、および30%はそれぞれ、2.250mm、1.913mm、 1.575mm、1.125mm、および 0.675mm に対応している。図9の収差曲線の縦軸は入射高h(Fナンバー)を示しており、最大がF2.8である。また横軸は収差の大きさを示している。歪曲収差は2.6%以内に収まっており、非点収差は0.08mm以内に収まっており、色・球面収差は0.05mm以下に収まっている。いずれの収差についても、CCDまたはCMOSを撮像素子として用いる小型カメラに搭載するレンズに必要とされる性能が確保されている。
【0046】
(第1比較例)
(A)全系の焦点距離は f = 3.832 mm である。
(B)第1レンズの肉厚は d1= 0.9 mm である。
(C)第1レンズの物体側面の曲率半径は r1 = −2.25 mm である。
(D)第1レンズの像側面の曲率半径は  r2 = −3.40 mm である。
(r2+r1)/(r2−r1)= +4.913 であるから、このレンズ系は、
式(1)で表される条件の下限を下回っており、条件を満たしていない。
【0047】
図10に光線追跡をした結果と、撮像面上での点像の広がりを示すスポットダイアグラムを示す。これによると撮像面の周辺に行くに従って点像が広がっており、撮像面上の周辺部分において良好な点像が得られていない。
【0048】
図11および図12の収差曲線の縦軸は像高を示しており、100%、85%、70%、50%、および30%はそれぞれ、2.249mm、1.911mm、 1.574mm、1.124mm、および 0.675mm に対応している。図13の収差曲線の縦軸は入射高h(Fナンバー)を示しており、最大がF2.8である。また横軸は収差の大きさを示している。
【0049】
歪曲収差は0.7%以内に収まっており、色・球面収差は0.06mm以下に収まっている。しかし非点収差は像高2.249mmにおいてメリディオナル面において2.3mmとなっている。
【0050】
図11に示す歪曲収差曲線44および 図13に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線50、d線に対する収差曲線52およびg線に対する収差曲線54)からは良好な特性であるが、図12に示す非点収差曲線(メリディオナル面に対する収差曲線46およびサジッタル面に対する収差曲線48)については、メリディオナル面において大きくなっている(収差曲線46)。これらの点が実施例に比較して、良好な特性とはなっていない。
【0051】
(第2比較例)
(A)全系の焦点距離は f = 3.799 mm である。
(B)第1レンズの肉厚は d1= 0.9  mm である。
(C)第1レンズの物体側面の曲率半径は r1 = −2.55 mm である。
(D)第1レンズの像側面の曲率半径は  r2 = −3.30 mm である。
(r2+r1)/(r2−r1)= +7.800 であるから、このレンズ系は、
式(1)で表される条件の上限を超えており、条件を満たしていない。
【0052】
図14に光線追跡をした結果と、撮像面上での点像の広がりを示すスポットダイアグラムを示す。第1比較例と同様、撮像面の周辺に行くに従って点像が広がっており、撮像面上の周辺部分において良好な点像が得られていない。
【0053】
図15および図16の収差曲線の縦軸は像高を示しており、100%、85%、70%、50%、および30%はそれぞれ、2.252mm、1.914mm、 1.576mm、1.126mm、および 0.675mm に対応している。図17の収差曲線の縦軸は入射高h(Fナンバー)を示しており、最大がF2.8である。また横軸は収差の大きさを示している。
【0054】
色・球面収差は0.04mm以下に収まっている。しかし歪曲収差は4.2%であり、非点収差は像高2.252mmにおいてメリディオナル面において0.78mmとなっている。
【0055】
図17に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線62、d線に対する収差曲線64およびg線に対する収差曲線66)からは良好な特性であるが、図15に示す歪曲収差曲線56および図16に示す非点収差曲線(メリディオナル面に対する収差曲線58およびサジッタル面に対する収差曲線60)から理解できるように、歪曲収差およびメリディオナル面での非点収差が大きい(収差曲線56および収差曲線58)。これらの点が実施例に比較して、良好な特性とはなっていない。
【0056】
以上、実施例および比較例から、諸収差が良好に補正され、十分なバックフォーカスが得られかつ光学長が短く保たれる条件を与える式(1)および(2)を満たすように構成レンズを設計することで、この発明が解決しようとする課題が解決できることがわかる。
【0057】
実施例および比較例において第1レンズ、第2レンズ、第4レンズにはゼオネックスE48Rを、第3レンズにはポリカーボネートというプラスチック素材を用いたが、実施例に掲げた以外のプラスチック材料はもとより、プラスチック素材でなくとも、実施例等で説明した諸条件を満たす素材であれば、ガラス素材であっても用いることができることは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したようにこの発明は4群4枚と少ない構成ながら、プラスチックレンズの積極的な使用を可能にし、諸収差が良好に補正された、低コストで製造可能な、光学長が10 mm以下であって、小型CCDカメラに用いて好適な撮像レンズを実現することができる。d線に対する屈折率が1.583であって、アッベ数30程度の屈折率波長分散特性を有する素材を用いたレンズを構成要素とする撮像レンズは、その構成レンズの全てを光学ガラスを素材としたレンズで実現することは難しい。また見方を変えれば、本発明の実施例において、アッベ数30程度と大きな波長分散特性を有する素材であっても、そのレンズの構成方法によっては良好な画像を得ることができる組み合わせレンズを形成できる、という新しい実験結果を示すことができた。
【0059】
以上説明したことから、この発明の撮像レンズは、携帯電話器に内蔵するビデオカメラ用レンズとしての利用はもとより、PDA(personal digital assistant)に内蔵するビデオカメラ用レンズ、画像認識機能を具えた玩具に内蔵するビデオカメラ用レンズ、監視用ビデオカメラおよび防犯用ビデオカメラ用レンズとして適用しても好適であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による撮像レンズの断面図である。
【図2】第1実施例のレンズの断面図である。
【図3】第1実施例の歪曲収差図である。
【図4】第1実施例の非点収差図である。
【図5】第1実施例の色・球面収差図である。
【図6】第2実施例のレンズの断面図である。
【図7】第2実施例の歪曲収差図である。
【図8】第2実施例の非点収差図である。
【図9】第2実施例の色・球面収差図である。
【図10】第1比較例のレンズの断面図である。
【図11】第1比較例の歪曲収差図である。
【図12】第1比較例の非点収差図である。
【図13】第1比較例の色・球面収差図である。
【図14】第2比較例のレンズの断面図である。
【図15】第2比較例の歪曲収差図である。
【図16】第2比較例の非点収差図である。
【図17】第2比較例の色・球面収差図である。
【符号の説明】
L1 〜 L4 第1レンズ 〜 第4レンズ
ri:i番目の面の曲率半径(非球面においては軸上曲率半径)
di:i番目の面からi+1番目の面までの距離

Claims (5)

  1. 物体側に凹面を向けたメニスカス形状の負の屈折力を有する第1レンズL1と、開口絞りSと、物体側および像側の両側に凸面を向けた正の屈折力を有する第2レンズL2と、物体側および像側の両側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3レンズL3と、物体側および像側の両側に凸面を向けた正の屈折力を有する第4レンズL4とを有し、物体側から順に、該第1レンズL1、該開口絞りS、該第2レンズL2、該第3レンズL3、該第4レンズL4の順に配列されて構成され、
    前記第1〜第4レンズのうちの少なくとも3つのレンズ面が非球面であり、以下の条件を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
    +5.0 <(r2+r1)/(r2−r1)<+7.0  (1)
    0.15f <  d1  <  0.3f       (2)
    ただし、
    r1 : 第1レンズの物体側面の光軸近傍における曲率半径(軸上曲率半径)
    r2 : 第1レンズの像側面の光軸近傍における曲率半径(軸上曲率半径)
    d1 : 第1レンズの肉厚
    f : 全系の焦点距離(第1、第2、第3および第4のレンズから成るレンズ系の合成焦点距離)
  2. 請求項1記載の撮像レンズであって、該撮像レンズを構成するレンズがすべてプラスチック素材で形成されるレンズであることを特徴とする撮像レンズ。
  3. 請求項1記載の撮像レンズであって、該撮像レンズを構成する前記第1レンズL1、前記第2レンズL2、前記第4レンズL4をアッベ数が45から65の範囲にある素材で形成したレンズとし、前記第3レンズL3をアッベ数が25から35の範囲にある素材で形成したレンズとしたことを特徴とする撮像レンズ。
  4. 請求項2記載の撮像レンズであって、該撮像レンズを構成する前記第1レンズL1、前記第2レンズL2、前記第4レンズL4をシクロオレフィン系プラスチックを素材として形成したレンズとし、前記第3レンズL3をポリカーボネートを素材として形成したレンズとしたことを特徴とする撮像レンズ。
  5. 請求項3または請求項4記載の撮像レンズであって、前記第1レンズの物体側の面から像面までの距離を10 mm 以下としたことを特徴とする撮像レンズ。
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