JP2004061589A - 液浸系顕微鏡対物レンズ - Google Patents
液浸系顕微鏡対物レンズ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004061589A JP2004061589A JP2002216245A JP2002216245A JP2004061589A JP 2004061589 A JP2004061589 A JP 2004061589A JP 2002216245 A JP2002216245 A JP 2002216245A JP 2002216245 A JP2002216245 A JP 2002216245A JP 2004061589 A JP2004061589 A JP 2004061589A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lens
- lens group
- cemented
- object side
- meniscus
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Microscoopes, Condenser (AREA)
- Lenses (AREA)
Abstract
【課題】高倍率、高開口数で全視野に亘り諸収差が良好に補正された優れた結像性能を有する液浸系対物レンズを提供する。
【解決手段】第1レンズ群G1のメニスカスレンズのd線(587,6nm)の屈折率をn2、第4レンズ群G4の接合面の屈折力をφ4、第5レンズ群G5の接合面の屈折力をφ5、第7レンズ群G7の接合中心厚をt7、第8レンズ群G8の接合中心厚をt8、全系の焦点距離をFとしたとき、以下の条件式(1)〜(4)を満たすように所定形状の第1レンズ群G1〜第8レンズ群G8を物体側から順に配置した。
n2 > 1.9 (1)
−0.044 < φ4+φ5 < −0.034 (2)
5 < t7/F < 8 (3)
t8 > 0.4・t7 (4)
【選択図】 図1
【解決手段】第1レンズ群G1のメニスカスレンズのd線(587,6nm)の屈折率をn2、第4レンズ群G4の接合面の屈折力をφ4、第5レンズ群G5の接合面の屈折力をφ5、第7レンズ群G7の接合中心厚をt7、第8レンズ群G8の接合中心厚をt8、全系の焦点距離をFとしたとき、以下の条件式(1)〜(4)を満たすように所定形状の第1レンズ群G1〜第8レンズ群G8を物体側から順に配置した。
n2 > 1.9 (1)
−0.044 < φ4+φ5 < −0.034 (2)
5 < t7/F < 8 (3)
t8 > 0.4・t7 (4)
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は高開口数で像面の平坦なアポクロマート液浸系顕微鏡対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CCD等の撮像素子ならびにその周辺技術が進歩し、顕微鏡においても従来の接眼レンズによる検鏡目的から、画像の入力装置としての意味合いが強くなっている。その場合、取り込んだ画像についてはその全視野にわたって平坦で均質であることが望まれる。
【0003】
液浸系の対物レンズにおいて、像の平坦性を向上させるため、従来から様々な方法が試みられている。その典型的な例としては、最も物体側のレンズに平凸レンズとメニスカスレンズとの接合レンズを用い、その接合面の負の屈折力を持たせ、更にレンズの後半付近ではいわゆるガウスタイプの構成としてペッツバール和を減少させるという方法がある。
【0004】
倍率が100倍程度の高倍率で、上記の構成の液浸対物レンズが、特開平5−142477号公報、特開平6−160721号公報等に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−142477号公報には最大開口数が1.35のセミアポクロマート対物レンズが記載されているが、蛍光用であり透過率の関係からG2の屈折率を高めることができず、十分にペッツバール和を補正させることができない。
【0006】
また、特開平6−160721号公報にはガウスタイプの間にもう1枚レンズが入り、負の屈折力を3枚の凹レンズに分散させている対物レンズが記載されている。このレンズでは開口数が1.4と非常に大きく、色収差も良く補正されているが、サジタル方向のコマ収差は開示されておらず、非点隔差の残存もわずかに見られ、必ずしも全視野に亘り優れた結像性能であるとはいえない。
【0007】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高倍率、高開口数で全視野に亘り諸収差が良好に補正された優れた結像性能を有する液浸系対物レンズを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとの接合レンズからなる第1レンズ群と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズからなる第2レンズ群と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズ又は接合メニスカスレンズからなる第3レンズ群と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第4レンズ群と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第5レンズ群と、負、正、負、の順に接合された3枚の接合レンズからなる第6レンズ群と、像側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第7レンズ群と、物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第8レンズ群とを物体側から順に配置し、前記第1レンズ群の前記メニスカスレンズのd線(587,6nm)の屈折率をn2、前記第4レンズ群の接合面の屈折力をφ4、前記第5レンズ群の接合面の屈折力をφ5、前記第7レンズ群の接合中心厚をt7、前記第8レンズ群の接合中心厚をt8、対物レンズ全系の焦点距離をFとしたとき、以下の条件式を満たすことを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。
【0009】
n2 > 1.9 (1)
−0.044 < φ4+φ5 < −0.034 (2)
5 < t7/F < 8 (3)
t8 > 0.4・t7 (4)
【0010】
このような液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、像の周辺部に至るまで中心と同等の結像性能を得るためには像面湾曲の補正が重要になる。そのため、理想的にはペッツバール和を0にすることが必要となるが、非常に高開口数の液浸対物レンズでは、例えペッツバール和が0であったとしても、サジタルコマ収差の影響で最良像面が物体面の方向(マイナス)に湾曲してしまうことが多い。
【0011】
この問題を解決するためには、サジタルコマ収差を発生させないことが最も望ましいことであるが、サジタルコマ収差を発生させずにペッツバール和を0にするということが極めて困難である。そこで、ペッツバール和を補正過剰にすることにより、メリジオナル像面に対してサジタル像面をプラス方向に倒すことで見かけの最良像面を平坦に近付けるようにした。
【0012】
第1レンズ群はそのための最も大きな役割を担っており、この接合面における強力な負の屈折力によりペッツバール和を大幅に減少させている。条件式(1)の下限を外れると屈折率差が小さくなり、十分な負の屈折力を得ることができない。
【0013】
第2レンズ群、第3レンズ群は第1レンズ群より出た発散光束を正の屈折力により徐々に収斂に向かわせるためのもので、双方とも単レンズであっても良いが第3レンズ群を接合レンズにすることにより、色の球面収差等の補正がより容易になる。
【0014】
第4レンズ群、第5レンズ群は、第1〜第3レンズ群により発生した球面収差や色収差等をその接合面により補正しつつ、発散光束から収斂光束に変換させている。ここでの接合面の適切な屈折力を規定したのが条件式(2)であり、この上限値を超えるとそれ以前に発生した正レンズ成分の諸収差の補正不足を補うことができず、以降の負レンズ群をもってしても補正不可能となってしまう。また、下限値を下回ると負の屈折力が強くなりすぎ、最も光束の広がるこれらの第4、第5レンズ群においては、高次収差を大量に発生させ好ましくない。
【0015】
第6レンズ群は、屈折力が比較的小さく、主に収差補正を目的にしている。光線の高さが低くなっているため、接合面の屈折力を上げることが可能となり、同時に3枚接合とすることにより2次スペクトルを抑え、良好な色収差を実現している。
【0016】
第7レンズ群、8レンズ群は、いわゆるガウスタイプを構成する群で、第6レンズ群から出た光束を更に細くして、第7レンズ群の最終面の強い凹面と、この凹面と向き合う第8レンズ群の凹面とともにペッツバール和の減少に寄与している。条件式(3)、(4)はこれらの第7、第8レンズ群の中心厚に関するものであり、条件式(3)の下限を下回ると光束を無理なく十分に絞ることができなくなり、ペッツバール和を下げる効果も不十分になる。逆に上限を上回るとレンズが厚くなり過ぎて加工困難となるばかりか全長の制約から他のレンズの自由度を減少させることになり、効果的ではない。また、条件式(4)の条件を外れるとコマ収差や倍率色収差の補正が困難となり、それを避けようとするとペッツバール和を下げる効果に影響が出てしまう。
【0017】
【実施例】
図1はこの発明の第1実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図、図2はこの発明の第2実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図、図3はこの発明の第3実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【0018】
液浸系顕微鏡対物レンズは、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとの接合レンズからなる第1レンズ群G1と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズからなる第2レンズ群G2と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズまたは接合メニスカスレンズからなる第3レンズ群G3と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第4レンズ群G4と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第5レンズ群G5と、負、正、負、の順に接合された3枚接合レンズからなる第6レンズ群G6と、像側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第7レンズG7群と、物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第8レンズ群G8とを備えている。第1レンズ群G1〜第8レンズ群G8は図示したように物体側より順に配置されている。
【0019】
以下、各実施例のレンズデータを記載するが、rは各レンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、 nd 、νdは各レンズに使用された硝材のd線に対する屈折率、及びアッベ数である。また、fは対物レンズの焦点距離、N.A.は開口数、βは倍率、d0は物体面から第1面までの光軸上の距離である。
【0020】
また、使用する浸液(オイル)の屈折率は、nd=1.5154、νd=41.36、カバーガラスはnd=1.52216、νd=58.8、厚さt=0.17mmである。
【0021】
〔実施例1〕
【0022】
図4は実施例1の諸収差を示す図である。
【0023】
なお、同図中の球面収差図、倍率色収差図、コマ収差図において、実線はd線(587.6nm)を、点線はC線(656.3nm)を、一点差線はF線(486.1nm)を、二点差線はg線(435.8nm)をそれぞれ示す。また、同図中の非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線はメリジオナル像面をそれぞれ示す。
【0024】
各収差図から明らかなようにこの第1実施例によれば、倍率が100倍、開口数が1.4で全視野に亘り諸収差が良好に補正される。
【0025】
〔実施例2〕
【0026】
図5は実施例2の諸収差を示す図である。
【0027】
なお、同図中の球面収差図、倍率色収差図、コマ収差図において、実線はd線(587.6nm)を、点線はC線(656.3nm)を、一点差線はF線(486.1nm)を、二点差線はg線(435.8nm)をそれぞれ示す。また、同図中の非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線はメリジオナル像面をそれぞれ示す。
【0028】
各収差図から明らかなようにこの第2実施例によれば、倍率が100倍、開口数が1.4で全視野に亘り諸収差が良好に補正される。
【0029】
〔実施例3〕
【0030】
図6は実施例3の諸収差を示す図である。
【0031】
なお、同図中の球面収差図、倍率色収差図、コマ収差図において、実線はd線(587.6nm)を、点線はC線(656.3nm)を、一点差線はF線(486.1nm)を、二点差線はg線(435.8nm)をそれぞれ示す。また、同図中の非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線はメリジオナル像面をそれぞれ示す。
【0032】
各収差図から明らかなようにこの第3実施例によれば、倍率が100倍程度、開口数が1.4で全視野に亘り諸収差が良好に補正される。
【0033】
図7は液浸系顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズの構成を示す図である。
【0034】
上記各実施例における顕微鏡対物レンズは、無限遠系補正型であり、例えば図7に示された結像レンズ10と組み合わせて使用される。以下に結像レンズ10の諸元を示す。上記図4〜6の諸収差図はこの結像レンズと組み合わせて使用したものである。結像レンズと対物レンズとの間隔は約150mmとしたが、これに限るものでなく50〜180mm程度であればよい。
【0035】
【0036】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、高倍率、高開口数で全視野に亘り諸収差が良好に補正された優れた結像性能を有する液浸系対物レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【図2】図2はこの発明の第2実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【図3】図3はこの発明の第3実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【図4】図4は実施例1の諸収差を示す図である。
【図5】図5は実施例2の諸収差を示す図である。
【図6】図6は実施例3の諸収差を示す図である。
【図7】図7は液浸系顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズの構成を示す図である。
【符号の説明】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群
G7 第7レンズ群
G8 第8レンズ群
【発明の属する技術分野】
この発明は高開口数で像面の平坦なアポクロマート液浸系顕微鏡対物レンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CCD等の撮像素子ならびにその周辺技術が進歩し、顕微鏡においても従来の接眼レンズによる検鏡目的から、画像の入力装置としての意味合いが強くなっている。その場合、取り込んだ画像についてはその全視野にわたって平坦で均質であることが望まれる。
【0003】
液浸系の対物レンズにおいて、像の平坦性を向上させるため、従来から様々な方法が試みられている。その典型的な例としては、最も物体側のレンズに平凸レンズとメニスカスレンズとの接合レンズを用い、その接合面の負の屈折力を持たせ、更にレンズの後半付近ではいわゆるガウスタイプの構成としてペッツバール和を減少させるという方法がある。
【0004】
倍率が100倍程度の高倍率で、上記の構成の液浸対物レンズが、特開平5−142477号公報、特開平6−160721号公報等に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平5−142477号公報には最大開口数が1.35のセミアポクロマート対物レンズが記載されているが、蛍光用であり透過率の関係からG2の屈折率を高めることができず、十分にペッツバール和を補正させることができない。
【0006】
また、特開平6−160721号公報にはガウスタイプの間にもう1枚レンズが入り、負の屈折力を3枚の凹レンズに分散させている対物レンズが記載されている。このレンズでは開口数が1.4と非常に大きく、色収差も良く補正されているが、サジタル方向のコマ収差は開示されておらず、非点隔差の残存もわずかに見られ、必ずしも全視野に亘り優れた結像性能であるとはいえない。
【0007】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高倍率、高開口数で全視野に亘り諸収差が良好に補正された優れた結像性能を有する液浸系対物レンズを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとの接合レンズからなる第1レンズ群と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズからなる第2レンズ群と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズ又は接合メニスカスレンズからなる第3レンズ群と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第4レンズ群と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第5レンズ群と、負、正、負、の順に接合された3枚の接合レンズからなる第6レンズ群と、像側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第7レンズ群と、物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第8レンズ群とを物体側から順に配置し、前記第1レンズ群の前記メニスカスレンズのd線(587,6nm)の屈折率をn2、前記第4レンズ群の接合面の屈折力をφ4、前記第5レンズ群の接合面の屈折力をφ5、前記第7レンズ群の接合中心厚をt7、前記第8レンズ群の接合中心厚をt8、対物レンズ全系の焦点距離をFとしたとき、以下の条件式を満たすことを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。
【0009】
n2 > 1.9 (1)
−0.044 < φ4+φ5 < −0.034 (2)
5 < t7/F < 8 (3)
t8 > 0.4・t7 (4)
【0010】
このような液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、像の周辺部に至るまで中心と同等の結像性能を得るためには像面湾曲の補正が重要になる。そのため、理想的にはペッツバール和を0にすることが必要となるが、非常に高開口数の液浸対物レンズでは、例えペッツバール和が0であったとしても、サジタルコマ収差の影響で最良像面が物体面の方向(マイナス)に湾曲してしまうことが多い。
【0011】
この問題を解決するためには、サジタルコマ収差を発生させないことが最も望ましいことであるが、サジタルコマ収差を発生させずにペッツバール和を0にするということが極めて困難である。そこで、ペッツバール和を補正過剰にすることにより、メリジオナル像面に対してサジタル像面をプラス方向に倒すことで見かけの最良像面を平坦に近付けるようにした。
【0012】
第1レンズ群はそのための最も大きな役割を担っており、この接合面における強力な負の屈折力によりペッツバール和を大幅に減少させている。条件式(1)の下限を外れると屈折率差が小さくなり、十分な負の屈折力を得ることができない。
【0013】
第2レンズ群、第3レンズ群は第1レンズ群より出た発散光束を正の屈折力により徐々に収斂に向かわせるためのもので、双方とも単レンズであっても良いが第3レンズ群を接合レンズにすることにより、色の球面収差等の補正がより容易になる。
【0014】
第4レンズ群、第5レンズ群は、第1〜第3レンズ群により発生した球面収差や色収差等をその接合面により補正しつつ、発散光束から収斂光束に変換させている。ここでの接合面の適切な屈折力を規定したのが条件式(2)であり、この上限値を超えるとそれ以前に発生した正レンズ成分の諸収差の補正不足を補うことができず、以降の負レンズ群をもってしても補正不可能となってしまう。また、下限値を下回ると負の屈折力が強くなりすぎ、最も光束の広がるこれらの第4、第5レンズ群においては、高次収差を大量に発生させ好ましくない。
【0015】
第6レンズ群は、屈折力が比較的小さく、主に収差補正を目的にしている。光線の高さが低くなっているため、接合面の屈折力を上げることが可能となり、同時に3枚接合とすることにより2次スペクトルを抑え、良好な色収差を実現している。
【0016】
第7レンズ群、8レンズ群は、いわゆるガウスタイプを構成する群で、第6レンズ群から出た光束を更に細くして、第7レンズ群の最終面の強い凹面と、この凹面と向き合う第8レンズ群の凹面とともにペッツバール和の減少に寄与している。条件式(3)、(4)はこれらの第7、第8レンズ群の中心厚に関するものであり、条件式(3)の下限を下回ると光束を無理なく十分に絞ることができなくなり、ペッツバール和を下げる効果も不十分になる。逆に上限を上回るとレンズが厚くなり過ぎて加工困難となるばかりか全長の制約から他のレンズの自由度を減少させることになり、効果的ではない。また、条件式(4)の条件を外れるとコマ収差や倍率色収差の補正が困難となり、それを避けようとするとペッツバール和を下げる効果に影響が出てしまう。
【0017】
【実施例】
図1はこの発明の第1実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図、図2はこの発明の第2実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図、図3はこの発明の第3実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【0018】
液浸系顕微鏡対物レンズは、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとの接合レンズからなる第1レンズ群G1と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズからなる第2レンズ群G2と、物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズまたは接合メニスカスレンズからなる第3レンズ群G3と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第4レンズ群G4と、負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第5レンズ群G5と、負、正、負、の順に接合された3枚接合レンズからなる第6レンズ群G6と、像側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第7レンズG7群と、物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第8レンズ群G8とを備えている。第1レンズ群G1〜第8レンズ群G8は図示したように物体側より順に配置されている。
【0019】
以下、各実施例のレンズデータを記載するが、rは各レンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、 nd 、νdは各レンズに使用された硝材のd線に対する屈折率、及びアッベ数である。また、fは対物レンズの焦点距離、N.A.は開口数、βは倍率、d0は物体面から第1面までの光軸上の距離である。
【0020】
また、使用する浸液(オイル)の屈折率は、nd=1.5154、νd=41.36、カバーガラスはnd=1.52216、νd=58.8、厚さt=0.17mmである。
【0021】
〔実施例1〕
【0022】
図4は実施例1の諸収差を示す図である。
【0023】
なお、同図中の球面収差図、倍率色収差図、コマ収差図において、実線はd線(587.6nm)を、点線はC線(656.3nm)を、一点差線はF線(486.1nm)を、二点差線はg線(435.8nm)をそれぞれ示す。また、同図中の非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線はメリジオナル像面をそれぞれ示す。
【0024】
各収差図から明らかなようにこの第1実施例によれば、倍率が100倍、開口数が1.4で全視野に亘り諸収差が良好に補正される。
【0025】
〔実施例2〕
【0026】
図5は実施例2の諸収差を示す図である。
【0027】
なお、同図中の球面収差図、倍率色収差図、コマ収差図において、実線はd線(587.6nm)を、点線はC線(656.3nm)を、一点差線はF線(486.1nm)を、二点差線はg線(435.8nm)をそれぞれ示す。また、同図中の非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線はメリジオナル像面をそれぞれ示す。
【0028】
各収差図から明らかなようにこの第2実施例によれば、倍率が100倍、開口数が1.4で全視野に亘り諸収差が良好に補正される。
【0029】
〔実施例3〕
【0030】
図6は実施例3の諸収差を示す図である。
【0031】
なお、同図中の球面収差図、倍率色収差図、コマ収差図において、実線はd線(587.6nm)を、点線はC線(656.3nm)を、一点差線はF線(486.1nm)を、二点差線はg線(435.8nm)をそれぞれ示す。また、同図中の非点収差図において、実線はサジタル像面を、破線はメリジオナル像面をそれぞれ示す。
【0032】
各収差図から明らかなようにこの第3実施例によれば、倍率が100倍程度、開口数が1.4で全視野に亘り諸収差が良好に補正される。
【0033】
図7は液浸系顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズの構成を示す図である。
【0034】
上記各実施例における顕微鏡対物レンズは、無限遠系補正型であり、例えば図7に示された結像レンズ10と組み合わせて使用される。以下に結像レンズ10の諸元を示す。上記図4〜6の諸収差図はこの結像レンズと組み合わせて使用したものである。結像レンズと対物レンズとの間隔は約150mmとしたが、これに限るものでなく50〜180mm程度であればよい。
【0035】
【0036】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、高倍率、高開口数で全視野に亘り諸収差が良好に補正された優れた結像性能を有する液浸系対物レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はこの発明の第1実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【図2】図2はこの発明の第2実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【図3】図3はこの発明の第3実施例に係る液浸系顕微鏡対物レンズのレンズ構成を示す図である。
【図4】図4は実施例1の諸収差を示す図である。
【図5】図5は実施例2の諸収差を示す図である。
【図6】図6は実施例3の諸収差を示す図である。
【図7】図7は液浸系顕微鏡対物レンズと組み合わせて使用される結像レンズの構成を示す図である。
【符号の説明】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G3 第3レンズ群
G4 第4レンズ群
G5 第5レンズ群
G6 第6レンズ群
G7 第7レンズ群
G8 第8レンズ群
Claims (1)
- 平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカスレンズとの接合レンズからなる第1レンズ群と、
物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズからなる第2レンズ群と、
物体側に凹面を向けたメニスカス単レンズ又は接合メニスカスレンズからなる第3レンズ群と、
負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第4レンズ群と、
負レンズと正レンズとの接合レンズからなる第5レンズ群と、
負、正、負、の順に接合された3枚の接合レンズからなる第6レンズ群と、
像側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第7レンズ群と、
物体側に凹面を向けた接合メニスカスレンズからなる第8レンズ群と
を物体側から順に配置し、
前記第1レンズ群の前記メニスカスレンズのd線(587,6nm)の屈折率をn2、
前記第4レンズ群の接合面の屈折力をφ4、
前記第5レンズ群の接合面の屈折力をφ5、
前記第7レンズ群の接合中心厚をt7、
前記第8レンズ群の接合中心厚をt8、
対物レンズ全系の焦点距離をFとしたとき、以下の条件式を満たすことを特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。
n2 > 1.9
−0.044 < φ4+φ5 < −0.034
5 < t7/F < 8
t8 > 0.4・t7
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002216245A JP2004061589A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 液浸系顕微鏡対物レンズ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002216245A JP2004061589A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 液浸系顕微鏡対物レンズ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004061589A true JP2004061589A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31938053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002216245A Withdrawn JP2004061589A (ja) | 2002-07-25 | 2002-07-25 | 液浸系顕微鏡対物レンズ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004061589A (ja) |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006023389A (ja) * | 2004-07-06 | 2006-01-26 | Olympus Corp | 液浸対物光学系 |
JP2006065030A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-03-09 | Olympus Corp | 顕微鏡対物レンズ |
US7046451B2 (en) * | 2004-10-18 | 2006-05-16 | Nikon Corporation | Immersion microscope objective lens |
US7486445B2 (en) | 2006-12-11 | 2009-02-03 | Olympus Corporation | Immersion type microscope objective |
JP2014048342A (ja) * | 2012-08-29 | 2014-03-17 | Olympus Corp | 液浸顕微鏡対物レンズ及びそれを用いた顕微鏡 |
JP2017207772A (ja) * | 2017-07-26 | 2017-11-24 | オリンパス株式会社 | 液浸顕微鏡対物レンズ及びそれを用いた顕微鏡 |
US10042152B2 (en) | 2013-11-26 | 2018-08-07 | Olympus Corporation | Immersion microscope objective and microscope using the same |
JP2019191271A (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-31 | オリンパス株式会社 | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
JP2019191272A (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-31 | オリンパス株式会社 | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
JP2020030374A (ja) * | 2018-08-24 | 2020-02-27 | オリンパス株式会社 | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
-
2002
- 2002-07-25 JP JP2002216245A patent/JP2004061589A/ja not_active Withdrawn
Cited By (16)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4608253B2 (ja) * | 2004-07-06 | 2011-01-12 | オリンパス株式会社 | 液浸対物光学系 |
JP2006023389A (ja) * | 2004-07-06 | 2006-01-26 | Olympus Corp | 液浸対物光学系 |
JP2006065030A (ja) * | 2004-08-27 | 2006-03-09 | Olympus Corp | 顕微鏡対物レンズ |
JP4633406B2 (ja) * | 2004-08-27 | 2011-02-16 | オリンパス株式会社 | 顕微鏡対物レンズ |
US7046451B2 (en) * | 2004-10-18 | 2006-05-16 | Nikon Corporation | Immersion microscope objective lens |
US7486445B2 (en) | 2006-12-11 | 2009-02-03 | Olympus Corporation | Immersion type microscope objective |
US7642525B2 (en) | 2006-12-11 | 2010-01-05 | Olympus Corporation | Microscope objective and fluorescent observation apparatus therewith |
JP2014048342A (ja) * | 2012-08-29 | 2014-03-17 | Olympus Corp | 液浸顕微鏡対物レンズ及びそれを用いた顕微鏡 |
US10042152B2 (en) | 2013-11-26 | 2018-08-07 | Olympus Corporation | Immersion microscope objective and microscope using the same |
JP2017207772A (ja) * | 2017-07-26 | 2017-11-24 | オリンパス株式会社 | 液浸顕微鏡対物レンズ及びそれを用いた顕微鏡 |
JP2019191271A (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-31 | オリンパス株式会社 | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
JP2019191272A (ja) * | 2018-04-19 | 2019-10-31 | オリンパス株式会社 | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
US11402619B2 (en) | 2018-04-19 | 2022-08-02 | Olympus Corporation | Immersion microscope objective |
JP7163055B2 (ja) | 2018-04-19 | 2022-10-31 | 株式会社エビデント | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
JP2020030374A (ja) * | 2018-08-24 | 2020-02-27 | オリンパス株式会社 | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
JP7107525B2 (ja) | 2018-08-24 | 2022-07-27 | 株式会社エビデント | 液浸系の顕微鏡対物レンズ |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4692698B2 (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
JP3559623B2 (ja) | 結像レンズ | |
JP4754675B2 (ja) | 顕微鏡対物レンズ | |
JP2006330194A (ja) | 内視鏡用対物レンズ | |
JP2008116915A (ja) | ズームレンズ | |
JPH10274742A (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
JP2006113486A (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
EP2192434A1 (en) | Immersion microscope objective lens | |
JP4496524B2 (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
WO2015194311A1 (ja) | 内視鏡用対物光学系 | |
JP4496568B2 (ja) | 顕微鏡対物レンズ | |
JP2004061589A (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
JPH10268188A (ja) | 低照度撮影用大口径レンズ | |
JPWO2009044836A1 (ja) | ズーム接眼レンズ系 | |
JP2000035541A (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
JPH09138352A (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
JP3540349B2 (ja) | バックフォーカスの長い広角レンズ | |
JP2005189732A (ja) | 顕微鏡対物レンズ | |
JPH11119094A (ja) | レトロフォーカス型大口径比広角レンズ | |
JP4517422B2 (ja) | アフォーカルズームレンズ及び該レンズを備える顕微鏡 | |
JPH1048514A (ja) | 内視鏡対物レンズ | |
JP3335391B2 (ja) | 高倍率顕微鏡対物レンズ | |
JPH1184254A (ja) | 液浸系顕微鏡対物レンズ | |
JPH10133120A (ja) | 顕微鏡対物レンズ | |
JPH10111452A (ja) | 内視鏡対物レンズ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |