JP2004061431A - 長期間保存可能なヒト・クロモグラニンa測定キット - Google Patents
長期間保存可能なヒト・クロモグラニンa測定キット Download PDFInfo
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Abstract
【課題】長期間保存可能なヒト・クロモグラニンAの測定キットを提供する。
【解決手段】a)抗IgG抗体を固定化した複数のウェルを有する測定プレート2と、b)ヒト・クロモグラニンAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列を有するペプチドを凍結乾燥して得られる標準抗原3と、c)ヒト・クロモグラニンAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列のN末端側にビオチニル基および二つのグリシン残基が結合したアミノ酸配列を有するペプチドを凍結乾燥して得られるビオチン標識抗原4、d)ヒト・クロモグラニンAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列を有するペプチドを免疫して得られる抗血清から得られるIgG抗体画分を凍結乾燥して得られる特異抗体5と、e)ペルオキシダーゼ共役安定保存液で希釈したストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液6と、f)発色剤7と、g)反応停止液8と、h)緩衝液9からなるヒト・クロモグラニンA測定キット1。
【選択図】 図1
【解決手段】a)抗IgG抗体を固定化した複数のウェルを有する測定プレート2と、b)ヒト・クロモグラニンAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列を有するペプチドを凍結乾燥して得られる標準抗原3と、c)ヒト・クロモグラニンAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列のN末端側にビオチニル基および二つのグリシン残基が結合したアミノ酸配列を有するペプチドを凍結乾燥して得られるビオチン標識抗原4、d)ヒト・クロモグラニンAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列を有するペプチドを免疫して得られる抗血清から得られるIgG抗体画分を凍結乾燥して得られる特異抗体5と、e)ペルオキシダーゼ共役安定保存液で希釈したストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液6と、f)発色剤7と、g)反応停止液8と、h)緩衝液9からなるヒト・クロモグラニンA測定キット1。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト・クロモグラニンA(以下、CgAと表記する。)の測定キットに関する。より詳しくは、ヒトCgAのアミノ酸配列の一部と同一のアミノ酸配列を有するペプチドを用いて、酵素イムノアッセイによりヒトCgAを定量するためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
CgAは、可溶性の酸性タンパク質であるクロモグラニン類の一種であり、クロム親和性細胞中に見出すことができる。またCgAはカテコールアミンおよびペプチドホルモンを分泌する様々なニューロンおよびパラニューロン中の分泌腺細胞中にも貯蔵されており、内臓への刺激に応答してアドレナリンおよびノルアドレナリンと共に放出される。さらに、激しい運動が血漿中のCgA濃度を増加させることも知られている。
【0003】
CgAが果たす生体中での機能の詳細については未だ不明な点もあるが、近年、唾液検体中のCgA濃度が生物のストレスを反映するという知見が得らた。この知見に基づくと、唾液検体中のCgA濃度を測定することができれば、該測定の結果から生物のストレスの状態を簡便に評価できると考えられ、産業の様々な分野での応用が注目されつつある。
【0004】
ヒトCgAの測定方法としては、例えば特開平11−153598号公報に記載のものが挙げられる。該方法は、ヒトCgAのアミノ酸配列のうちの一部、具体的には344〜374残基に相当する配列を有するペプチドを抗原としてヒトを除く温血動物に免疫し、産出したヒトCgAに特異的な反応を有する抗体を用いたイムノアッセイからなる。この方法により、ヒトの組織、血液、尿、骨髄液、唾液等の中に存在するCgAおよびその関連ペプチドを有効に測定および検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら該方法を採用した従来の測定系は、その感度、特異性等の面については満足すべきものであったが、抗体、酵素等について煩雑な測定前処理を必要とし、また使用する調製済試薬の安定性が低く、その保存寿命は凡そ2ヶ月程度と短かった。従って、該測定系に基づいて作製された測定キットの市販品は、保存等の面で十分なものとは言えず、ヒトCgA測定キットとしてなお一層の改良が求められていた。
【0006】
従って本発明の目的は、ヒトCgAに対する良好な感度、特異性等を維持しつつ、長期間保存が可能で、長い使用可能期間を有するヒトCgA測定キットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の要求に鑑み鋭意開発を行った結果、多岐にわたる調剤処理の中から最適なものを選択して、ヒトCgAの344〜374残基に相当する配列を有するペプチドを抗原としたヒトCgAの測定系を構築すると、1年またはそれ以上にわたる長期間保存が可能で、使用可能期間の長いヒトCgA測定キットとなり、また該測定キットは、従来の測定系と同等以上の優れた測定性能を有し、かつ使用時の操作も大変簡便であることを見出して本発明を完成させた。
【0008】
従って、本願請求項1に係る発明のヒト・クロモグラニンA測定キットは、
a)抗IgG抗体を固定化した複数のウェルを有する測定プレートと、
b)アミノ酸配列(I)
EEEED NRDSS MKLSF RARAY
GFRGP GPQLR R (I)
を有するペプチドを緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られる標準抗原と、
c)アミノ酸配列(II)
ビオチニル−GG EEEED NRDSS MKLSF
RARAY GFRGP GPQLR R (II)
を有するペプチドを緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られるビオチン標識抗原と、
d)前記アミノ酸配列(I)を有するペプチドを温血動物に免疫して得られる抗血清からIgG抗体を精製し、該IgG抗体画分を緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られる特異抗体と、
e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼを緩衝液に溶解し、そしてペルオキシダーゼ共役安定保存液で希釈して得られるストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液と、
f)発色剤と、
g)反応停止液と、
h)緩衝液
からなることを特徴とする。
【0009】
本願請求項2に係るヒト・クロモグラニン測定キットは、請求項1記載の測定キットにおいて、前記測定プレートa)は、抗体の固定化後に乾燥させられていることを特徴とする。
本発明では、測定プレートa)に乾燥操作を行うことにより、測定の感度が上昇した測定キットとすることができる。
【0010】
本願請求項3に係るヒト・クロモグラニンA測定キットは、請求項1記載の測定キットにおいて、前記特異抗体d)におけるIgG抗体の精製は、プロテインA結合多孔性セルロースゲルを充填したカラムで行うことを特徴とする。
本発明では、特異抗体d)の精製方法を最適なものに変更することにより、測定の感度が上昇した測定キットとすることができる。
【0011】
本願請求項4に係るヒト・クロモグラニンA測定キットは、請求項1記載の測定キットにおいて、前記ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液e)の希釈率は4,000〜6,000倍であることを特徴とする。
本発明では、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液e)をペルオキシダーゼ共役安定保存液で希釈する際の希釈率を上記の範囲内とすることにより、測定の感度が上昇した測定キットとすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1は、図1に図示するように、a)測定プレート2と、b)標準抗原3と、c)ビオチン標識抗原4と、d)特異抗体5と、e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液6と、f)発色剤7と、g)反応停止液8と、h)緩衝液9からなる。これらの各キット要素のうち、なかんずくキット要素a)〜e)の短い保存寿命が、従来の測定キットの保存寿命が2ヶ月程度と短い主な原因であったけれども、詳細には以下に記載する最適な調剤方法を採用することにより、測定キット全体として長期間保存が可能となり、保存寿命は1年またはそれ以上とすることができた。
【0013】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1における測定プレート2は、複数のウェル、例えば12×8の96ウェルを有する樹脂製で使い捨て可能な多穴プレートであり、予め抗IgG抗体が固定化されている。固定化処理は、先ず始めに緩衝液に溶解させた抗IgG抗体を各ウェルに分注し、そして静置してウェル内に抗IgG抗体の層を形成して行う。次いでウェル内の上清を捨て、ブロッキング剤を該抗IgG抗体層の上に分注し、例えば4℃の低温で静置して抗IgG抗体をブロッキングする。さらにウェル内の上清を捨て、スクロース含有緩衝液を各ウェルに分注し、ブロッキング剤の分注の際と同様の低温で静置する。そして好ましくは、最後に上清を捨て、測定プレート2の天地を逆転させて乾燥を行う。こうして抗IgG抗体を固定化した測定プレートを、例えばアルミ製の袋に密封して測定キット1に添付する。
【0014】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1における標準抗原3は、ヒトCgAの344〜374残基に相当する以下のアミノ酸配列(I)
EEEED NRDSS MKLSF RARAY
GFRGP GPQLR R (I)
を有するペプチドからなる。標準抗原3は緩衝液に溶解させ、小ビンに溶液を分注し、そして小ビン中で凍結乾燥して測定キット1に添付する。添付する標準抗原3の量は例えば、100pmol/ビンである。測定キット1の使用時には、小ビンに緩衝液を加えて溶解させ、溶液として用いる。
【0015】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1におけるビオチン標識抗原4は、ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列のN末端側にビオチニル基および二つのグリシン残基を結合してなる以下のアミノ酸配列(II)
ビオチニル−GG EEEED NRDSS MKLSF
RARAY GFRGP GPQLR R (II)
を有するペプチドからなる。ビオチン標識抗原4も標準抗原3と同様に緩衝液に溶解させ、小ビンに分注し、そして小ビン中で凍結乾燥して測定キット1に添付する。測定キット1の使用時には、小ビンに蒸留水を加えて溶解させ、溶液として用いる。
【0016】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける特異抗体5は、前記アミノ酸配列(I)を有するペプチドに対する抗血清のIgG抗体画分を精製して得られる。特異抗体5は、アミノ酸配列(I)を有するペプチドを温血動物に免疫して抗血清を入手して精製し、IgG抗体画分のみを分別することにより得ることができる。この際、該精製をプロテインA結合多孔性セルロースゲルを充填したカラムに抗血清を通すことにより行うと、測定キットの感度を上昇させることができる。こうして得られた該IgG画分を緩衝液に溶解させ、小ビンに分注し、小ビン中で凍結乾燥して特異抗体5とし、測定キット1に添付する。測定キット1の使用時には、小ビンに蒸留水を加えて溶解させ、溶液として用いる。
【0017】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおけるストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(SA−HRP)溶液6は、先ずストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼを緩衝液に溶解させ、そしてペルオキシダーゼ共役安定保存液により希釈して得られる。希釈率は4,000〜6,000倍、例えば5,000倍が好ましく、この程度に希釈することにより、測定キット1の感度を上昇させることができる。
【0018】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける発色剤7は例えば、o−フェニレンジアミンの錠剤と、その溶解液としての緩衝液からなる。また毒性を有するo−フェニレンジアミンに代えて、無毒な他の発色剤を用いることも可能である。
【0019】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける反応停止液8はイムノアッセイにおける呈色反応を停止させるための薬剤であり、例えば2Nの硫酸を用いることができ、小ビンに分注して測定キット1に添付する。
【0020】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける緩衝液9は、凍結乾燥されている標準抗原3、ビオチン標識抗原4および特異抗体5を使用時に溶解して溶液とするため、また該溶液を希釈するために用いられる緩衝液である。使用時には数倍に希釈して使用する濃縮緩衝液を用いることもできる。
【0021】
前記の要素a)〜h)からなる測定キット1は長期間保存が可能であるが、該保存は例えば冷蔵庫(約4℃)中等の低温環境下で行うことが好ましい。冷蔵庫中での保存は、従来品の2ヶ月程度の保存寿命と比較して、1年またはそれ以上にわたる長い保存寿命を可能にする。
【0022】
【実施例】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
【0023】
実施例1:ヒト・クロモグラニンA測定キットの作製
a)測定プレート、b)標準抗原、c)ビオチン標識抗原、d)特異抗体、e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液、f)発色剤、g)反応停止液、およびh)緩衝液を以下のように調製し、本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットを得た。
a)測定プレート
96ウェルプレート(MaxiSorp Nunc社製)の各ウェルに0.01Mリン酸緩衝液で200倍に希釈したヤギ抗ウサギIgG抗体(ICN/CAPPEL社製)を100μLずつ分注した。25℃で20時間静置した後、上清を捨て、蒸留水で4倍に希釈したブロッキング剤(商品名:ブロックエース、大日本製薬株式会社製)を各ウェルに350μLずつ分注した。4℃で2日間静置した後、上清を捨て、3%スクロース含有緩衝液を各ウェルに200μLずつ分注した。4℃で2日間静置した後、上清を捨て、プレートを転倒させて3日間乾燥させた。得られた抗体固定化プレートをアルミ製の袋に密封し、測定プレートとした。
b)標準抗原
ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列(前記アミノ酸配列(I))を有するペプチドを合成し、該合成ペプチドをリン酸緩衝液に溶解して4μmol/mLの溶液を調製した。該溶液を25μLずつ小ビンに分注して凍結乾燥し、100pmol/ビンの標準抗原とした。
c)ビオチン標識抗原
ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列のN末端側にビオチニル基および二つのグリシン残基が結合したアミノ酸配列(前記アミノ酸配列(II))を有するペプチドを合成し、該合成ペプチドをリン酸緩衝液に溶解して30ng/mLの溶液を調製した。該溶液を1mLずつ小ビンに分注して凍結乾燥しビオチン標識抗原とした。
d)特異抗体
ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列(前記アミノ酸配列(I))を有するペプチドを合成し、該合成ペプチドを抗原としてウサギに免疫して得られた血清(ウサギ抗ヒトCgA(344〜374)血清RY76、株式会社矢内原研究所製)を、staphylococcus aureus由来のプロテインAを結合させた多孔性セルロースゲル(商品名:プロテインA−セルロファイン、チッソ株式会社製)を充填したカラムに通して精製し、IgG抗体をセルロースゲルに吸着させた。次いで該カラムに0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.0)を通し、IgG抗体を溶離させ、得られたIgG抗体画分を限外濾過により濃縮して精製前と等量とし、その後リン酸緩衝液で4倍に希釈した。こうして得られたIgG抗体画分を3mLずつ小ビンに分注して凍結乾燥し特異抗体とした。
e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液
ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Oncogene社製)を1mLのリン酸緩衝液に溶解させ、さらにペルオキシダーゼ共役安定保存液(商品名:Guardian、Pierce社製)で5,000倍に希釈した。該溶液を12mLずつ小ビンに分注してストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液とした。
f)発色剤
10mgのo−フェニレンジアミン錠剤を用意し、該錠剤のための溶解液として0.015%の過酸化水素水を含む0.1Mリン酸ナトリウム−クエン酸緩衝液を13mLずつ小ビンに分注して発色剤とした。
g)反応停止液
2N硫酸を12mLずつ小ビンに分注して酵素の反応停止液とした。
h)緩衝液
4倍に希釈することにより、0.5%のウシ血清アルブミン、0.025MのEDTAおよび0.15MのNaClを含有する0.01Mリン酸緩衝液(pH7.4)を生成し得る濃縮緩衝液を小ビンに12mLずつ分注し緩衝液とした。
【0024】
実施例2:ヒト・クロモグラニンAの測定
実施例1で作製した測定キットを用いて、以下の手順に従いヒト・クロモグラニンAを定量した。
1)希釈標準抗原溶液の調製
標準抗原b)を4倍に希釈した緩衝液h)1mLに溶解させ、標準抗原溶液を作製した。この標準抗原溶液0.1mLと該希釈緩衝液0.2mLとを混合し、33.33pmol/mLの希釈標準抗原溶液を得た。さらにこの溶液について同様の3倍希釈の操作を6回行い、11.11、3.70、1.23、0.41、0.14、0.05pmol/mLの希釈標準抗原溶液を得た。また0pmol/mLの希釈標準抗原溶液として、希釈緩衝液をそのまま使用した。
2)測定プレートの前処理
測定プレートa)を0.05%のTween20および0.9%のNaClを含有する生理食塩水で3回洗浄した。
3)抗体反応
前処理した測定プレートの各ウェルに、4倍に希釈した緩衝液h)50μL、希釈標準抗原溶液または検体25μL、ビオチン標識抗原c)を蒸留水6mLに溶解させて得たビオチン標識抗原溶液50μL、および特異抗体d)を蒸留水12mLに溶解させて得た特異抗体溶液100μLを順に分注し、25℃で一晩(16〜20時間)静置した。
4)ヒト・クロモグラニンAの定量
抗体反応の完了後、測定プレートを前記生理食塩水で3回洗浄し、次いでストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液100μLを各ウェルに分注し、室温で2時間プレート振盪機を用いて混和した。その後、測定プレートを前記生理食塩水で4回洗浄し、溶解液12mLにo−フェニレンジアミン錠剤を溶解させて得た発色剤f)100μLを各ウェルに分注し、室温で30分間静置した。30分経過後、反応停止液g)100μLを各ウェルに分注した。こうして処理した測定プレートについてプレートリーダーにより波長492nmでの吸光度を測定した。希釈標準抗原溶液についての測定値より検量線を作成し、そして該検量線に基づいて検体中のヒト・クロモグラニンAの量を定量した。
【0025】
実施例3:測定キットの保存寿命の評価
A)冷蔵庫中で1年間保存した測定キット、B)冷蔵庫中で2ヶ月間保存した測定キット、および作製直後の測定キットC)についてそれぞれ、実施例2と同様にして、希釈標準抗原溶液中のヒト・クロモグラニンAの濃度を測定した。測定結果を図2に図示する。
図2から明らかなように、1年間保存した測定キット(上段)は、2ヶ月間保存した測定キット(中段)および作製直後の測定キット(下段)とほとんど変わらない検量線を示し、この結果は測定キットの長期間にわたる安定な保存が可能となったことを表す。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、標準抗原、ビオチン標識抗原および特異抗体の調剤方法並びにストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼの希釈液について、多岐にわたる選択肢の中から特定のものを選択・採用したことにより、長期間保存が可能で、使用可能期間の長いヒト・クロモグラニンA測定キットを提供できる。また、測定プレートの乾燥操作、特異抗体の精製操作、およびストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼの希釈率を最適化することにより、測定の感度を上昇させることもできる。従って、本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットは、組織、血液、尿、骨髄液、唾液等の生物検体中のCgAの簡便な定量により、生物の様々な状態を評価する手段として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットの斜視図である。
【図2】図2は、A)1年間保存した測定キット、B)2ヶ月間保存した測定キット、および作製直後の測定キットC)を用いたヒト・クロモグラニンAの測定結果を図示するグラフである。
【符号の説明】
1 測定キット
2 測定プレート
3 標準抗原
4 ビオチン標識抗原
5 特異抗体
6 ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液
7 発色剤
8 反応停止液
9 緩衝液
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト・クロモグラニンA(以下、CgAと表記する。)の測定キットに関する。より詳しくは、ヒトCgAのアミノ酸配列の一部と同一のアミノ酸配列を有するペプチドを用いて、酵素イムノアッセイによりヒトCgAを定量するためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
CgAは、可溶性の酸性タンパク質であるクロモグラニン類の一種であり、クロム親和性細胞中に見出すことができる。またCgAはカテコールアミンおよびペプチドホルモンを分泌する様々なニューロンおよびパラニューロン中の分泌腺細胞中にも貯蔵されており、内臓への刺激に応答してアドレナリンおよびノルアドレナリンと共に放出される。さらに、激しい運動が血漿中のCgA濃度を増加させることも知られている。
【0003】
CgAが果たす生体中での機能の詳細については未だ不明な点もあるが、近年、唾液検体中のCgA濃度が生物のストレスを反映するという知見が得らた。この知見に基づくと、唾液検体中のCgA濃度を測定することができれば、該測定の結果から生物のストレスの状態を簡便に評価できると考えられ、産業の様々な分野での応用が注目されつつある。
【0004】
ヒトCgAの測定方法としては、例えば特開平11−153598号公報に記載のものが挙げられる。該方法は、ヒトCgAのアミノ酸配列のうちの一部、具体的には344〜374残基に相当する配列を有するペプチドを抗原としてヒトを除く温血動物に免疫し、産出したヒトCgAに特異的な反応を有する抗体を用いたイムノアッセイからなる。この方法により、ヒトの組織、血液、尿、骨髄液、唾液等の中に存在するCgAおよびその関連ペプチドを有効に測定および検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら該方法を採用した従来の測定系は、その感度、特異性等の面については満足すべきものであったが、抗体、酵素等について煩雑な測定前処理を必要とし、また使用する調製済試薬の安定性が低く、その保存寿命は凡そ2ヶ月程度と短かった。従って、該測定系に基づいて作製された測定キットの市販品は、保存等の面で十分なものとは言えず、ヒトCgA測定キットとしてなお一層の改良が求められていた。
【0006】
従って本発明の目的は、ヒトCgAに対する良好な感度、特異性等を維持しつつ、長期間保存が可能で、長い使用可能期間を有するヒトCgA測定キットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の要求に鑑み鋭意開発を行った結果、多岐にわたる調剤処理の中から最適なものを選択して、ヒトCgAの344〜374残基に相当する配列を有するペプチドを抗原としたヒトCgAの測定系を構築すると、1年またはそれ以上にわたる長期間保存が可能で、使用可能期間の長いヒトCgA測定キットとなり、また該測定キットは、従来の測定系と同等以上の優れた測定性能を有し、かつ使用時の操作も大変簡便であることを見出して本発明を完成させた。
【0008】
従って、本願請求項1に係る発明のヒト・クロモグラニンA測定キットは、
a)抗IgG抗体を固定化した複数のウェルを有する測定プレートと、
b)アミノ酸配列(I)
EEEED NRDSS MKLSF RARAY
GFRGP GPQLR R (I)
を有するペプチドを緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られる標準抗原と、
c)アミノ酸配列(II)
ビオチニル−GG EEEED NRDSS MKLSF
RARAY GFRGP GPQLR R (II)
を有するペプチドを緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られるビオチン標識抗原と、
d)前記アミノ酸配列(I)を有するペプチドを温血動物に免疫して得られる抗血清からIgG抗体を精製し、該IgG抗体画分を緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られる特異抗体と、
e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼを緩衝液に溶解し、そしてペルオキシダーゼ共役安定保存液で希釈して得られるストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液と、
f)発色剤と、
g)反応停止液と、
h)緩衝液
からなることを特徴とする。
【0009】
本願請求項2に係るヒト・クロモグラニン測定キットは、請求項1記載の測定キットにおいて、前記測定プレートa)は、抗体の固定化後に乾燥させられていることを特徴とする。
本発明では、測定プレートa)に乾燥操作を行うことにより、測定の感度が上昇した測定キットとすることができる。
【0010】
本願請求項3に係るヒト・クロモグラニンA測定キットは、請求項1記載の測定キットにおいて、前記特異抗体d)におけるIgG抗体の精製は、プロテインA結合多孔性セルロースゲルを充填したカラムで行うことを特徴とする。
本発明では、特異抗体d)の精製方法を最適なものに変更することにより、測定の感度が上昇した測定キットとすることができる。
【0011】
本願請求項4に係るヒト・クロモグラニンA測定キットは、請求項1記載の測定キットにおいて、前記ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液e)の希釈率は4,000〜6,000倍であることを特徴とする。
本発明では、ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液e)をペルオキシダーゼ共役安定保存液で希釈する際の希釈率を上記の範囲内とすることにより、測定の感度が上昇した測定キットとすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1は、図1に図示するように、a)測定プレート2と、b)標準抗原3と、c)ビオチン標識抗原4と、d)特異抗体5と、e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液6と、f)発色剤7と、g)反応停止液8と、h)緩衝液9からなる。これらの各キット要素のうち、なかんずくキット要素a)〜e)の短い保存寿命が、従来の測定キットの保存寿命が2ヶ月程度と短い主な原因であったけれども、詳細には以下に記載する最適な調剤方法を採用することにより、測定キット全体として長期間保存が可能となり、保存寿命は1年またはそれ以上とすることができた。
【0013】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1における測定プレート2は、複数のウェル、例えば12×8の96ウェルを有する樹脂製で使い捨て可能な多穴プレートであり、予め抗IgG抗体が固定化されている。固定化処理は、先ず始めに緩衝液に溶解させた抗IgG抗体を各ウェルに分注し、そして静置してウェル内に抗IgG抗体の層を形成して行う。次いでウェル内の上清を捨て、ブロッキング剤を該抗IgG抗体層の上に分注し、例えば4℃の低温で静置して抗IgG抗体をブロッキングする。さらにウェル内の上清を捨て、スクロース含有緩衝液を各ウェルに分注し、ブロッキング剤の分注の際と同様の低温で静置する。そして好ましくは、最後に上清を捨て、測定プレート2の天地を逆転させて乾燥を行う。こうして抗IgG抗体を固定化した測定プレートを、例えばアルミ製の袋に密封して測定キット1に添付する。
【0014】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1における標準抗原3は、ヒトCgAの344〜374残基に相当する以下のアミノ酸配列(I)
EEEED NRDSS MKLSF RARAY
GFRGP GPQLR R (I)
を有するペプチドからなる。標準抗原3は緩衝液に溶解させ、小ビンに溶液を分注し、そして小ビン中で凍結乾燥して測定キット1に添付する。添付する標準抗原3の量は例えば、100pmol/ビンである。測定キット1の使用時には、小ビンに緩衝液を加えて溶解させ、溶液として用いる。
【0015】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キット1におけるビオチン標識抗原4は、ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列のN末端側にビオチニル基および二つのグリシン残基を結合してなる以下のアミノ酸配列(II)
ビオチニル−GG EEEED NRDSS MKLSF
RARAY GFRGP GPQLR R (II)
を有するペプチドからなる。ビオチン標識抗原4も標準抗原3と同様に緩衝液に溶解させ、小ビンに分注し、そして小ビン中で凍結乾燥して測定キット1に添付する。測定キット1の使用時には、小ビンに蒸留水を加えて溶解させ、溶液として用いる。
【0016】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける特異抗体5は、前記アミノ酸配列(I)を有するペプチドに対する抗血清のIgG抗体画分を精製して得られる。特異抗体5は、アミノ酸配列(I)を有するペプチドを温血動物に免疫して抗血清を入手して精製し、IgG抗体画分のみを分別することにより得ることができる。この際、該精製をプロテインA結合多孔性セルロースゲルを充填したカラムに抗血清を通すことにより行うと、測定キットの感度を上昇させることができる。こうして得られた該IgG画分を緩衝液に溶解させ、小ビンに分注し、小ビン中で凍結乾燥して特異抗体5とし、測定キット1に添付する。測定キット1の使用時には、小ビンに蒸留水を加えて溶解させ、溶液として用いる。
【0017】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおけるストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(SA−HRP)溶液6は、先ずストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼを緩衝液に溶解させ、そしてペルオキシダーゼ共役安定保存液により希釈して得られる。希釈率は4,000〜6,000倍、例えば5,000倍が好ましく、この程度に希釈することにより、測定キット1の感度を上昇させることができる。
【0018】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける発色剤7は例えば、o−フェニレンジアミンの錠剤と、その溶解液としての緩衝液からなる。また毒性を有するo−フェニレンジアミンに代えて、無毒な他の発色剤を用いることも可能である。
【0019】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける反応停止液8はイムノアッセイにおける呈色反応を停止させるための薬剤であり、例えば2Nの硫酸を用いることができ、小ビンに分注して測定キット1に添付する。
【0020】
本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットにおける緩衝液9は、凍結乾燥されている標準抗原3、ビオチン標識抗原4および特異抗体5を使用時に溶解して溶液とするため、また該溶液を希釈するために用いられる緩衝液である。使用時には数倍に希釈して使用する濃縮緩衝液を用いることもできる。
【0021】
前記の要素a)〜h)からなる測定キット1は長期間保存が可能であるが、該保存は例えば冷蔵庫(約4℃)中等の低温環境下で行うことが好ましい。冷蔵庫中での保存は、従来品の2ヶ月程度の保存寿命と比較して、1年またはそれ以上にわたる長い保存寿命を可能にする。
【0022】
【実施例】
以下の実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。
【0023】
実施例1:ヒト・クロモグラニンA測定キットの作製
a)測定プレート、b)標準抗原、c)ビオチン標識抗原、d)特異抗体、e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液、f)発色剤、g)反応停止液、およびh)緩衝液を以下のように調製し、本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットを得た。
a)測定プレート
96ウェルプレート(MaxiSorp Nunc社製)の各ウェルに0.01Mリン酸緩衝液で200倍に希釈したヤギ抗ウサギIgG抗体(ICN/CAPPEL社製)を100μLずつ分注した。25℃で20時間静置した後、上清を捨て、蒸留水で4倍に希釈したブロッキング剤(商品名:ブロックエース、大日本製薬株式会社製)を各ウェルに350μLずつ分注した。4℃で2日間静置した後、上清を捨て、3%スクロース含有緩衝液を各ウェルに200μLずつ分注した。4℃で2日間静置した後、上清を捨て、プレートを転倒させて3日間乾燥させた。得られた抗体固定化プレートをアルミ製の袋に密封し、測定プレートとした。
b)標準抗原
ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列(前記アミノ酸配列(I))を有するペプチドを合成し、該合成ペプチドをリン酸緩衝液に溶解して4μmol/mLの溶液を調製した。該溶液を25μLずつ小ビンに分注して凍結乾燥し、100pmol/ビンの標準抗原とした。
c)ビオチン標識抗原
ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列のN末端側にビオチニル基および二つのグリシン残基が結合したアミノ酸配列(前記アミノ酸配列(II))を有するペプチドを合成し、該合成ペプチドをリン酸緩衝液に溶解して30ng/mLの溶液を調製した。該溶液を1mLずつ小ビンに分注して凍結乾燥しビオチン標識抗原とした。
d)特異抗体
ヒトCgAの344〜374残基に相当するアミノ酸配列(前記アミノ酸配列(I))を有するペプチドを合成し、該合成ペプチドを抗原としてウサギに免疫して得られた血清(ウサギ抗ヒトCgA(344〜374)血清RY76、株式会社矢内原研究所製)を、staphylococcus aureus由来のプロテインAを結合させた多孔性セルロースゲル(商品名:プロテインA−セルロファイン、チッソ株式会社製)を充填したカラムに通して精製し、IgG抗体をセルロースゲルに吸着させた。次いで該カラムに0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.0)を通し、IgG抗体を溶離させ、得られたIgG抗体画分を限外濾過により濃縮して精製前と等量とし、その後リン酸緩衝液で4倍に希釈した。こうして得られたIgG抗体画分を3mLずつ小ビンに分注して凍結乾燥し特異抗体とした。
e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液
ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(Oncogene社製)を1mLのリン酸緩衝液に溶解させ、さらにペルオキシダーゼ共役安定保存液(商品名:Guardian、Pierce社製)で5,000倍に希釈した。該溶液を12mLずつ小ビンに分注してストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液とした。
f)発色剤
10mgのo−フェニレンジアミン錠剤を用意し、該錠剤のための溶解液として0.015%の過酸化水素水を含む0.1Mリン酸ナトリウム−クエン酸緩衝液を13mLずつ小ビンに分注して発色剤とした。
g)反応停止液
2N硫酸を12mLずつ小ビンに分注して酵素の反応停止液とした。
h)緩衝液
4倍に希釈することにより、0.5%のウシ血清アルブミン、0.025MのEDTAおよび0.15MのNaClを含有する0.01Mリン酸緩衝液(pH7.4)を生成し得る濃縮緩衝液を小ビンに12mLずつ分注し緩衝液とした。
【0024】
実施例2:ヒト・クロモグラニンAの測定
実施例1で作製した測定キットを用いて、以下の手順に従いヒト・クロモグラニンAを定量した。
1)希釈標準抗原溶液の調製
標準抗原b)を4倍に希釈した緩衝液h)1mLに溶解させ、標準抗原溶液を作製した。この標準抗原溶液0.1mLと該希釈緩衝液0.2mLとを混合し、33.33pmol/mLの希釈標準抗原溶液を得た。さらにこの溶液について同様の3倍希釈の操作を6回行い、11.11、3.70、1.23、0.41、0.14、0.05pmol/mLの希釈標準抗原溶液を得た。また0pmol/mLの希釈標準抗原溶液として、希釈緩衝液をそのまま使用した。
2)測定プレートの前処理
測定プレートa)を0.05%のTween20および0.9%のNaClを含有する生理食塩水で3回洗浄した。
3)抗体反応
前処理した測定プレートの各ウェルに、4倍に希釈した緩衝液h)50μL、希釈標準抗原溶液または検体25μL、ビオチン標識抗原c)を蒸留水6mLに溶解させて得たビオチン標識抗原溶液50μL、および特異抗体d)を蒸留水12mLに溶解させて得た特異抗体溶液100μLを順に分注し、25℃で一晩(16〜20時間)静置した。
4)ヒト・クロモグラニンAの定量
抗体反応の完了後、測定プレートを前記生理食塩水で3回洗浄し、次いでストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液100μLを各ウェルに分注し、室温で2時間プレート振盪機を用いて混和した。その後、測定プレートを前記生理食塩水で4回洗浄し、溶解液12mLにo−フェニレンジアミン錠剤を溶解させて得た発色剤f)100μLを各ウェルに分注し、室温で30分間静置した。30分経過後、反応停止液g)100μLを各ウェルに分注した。こうして処理した測定プレートについてプレートリーダーにより波長492nmでの吸光度を測定した。希釈標準抗原溶液についての測定値より検量線を作成し、そして該検量線に基づいて検体中のヒト・クロモグラニンAの量を定量した。
【0025】
実施例3:測定キットの保存寿命の評価
A)冷蔵庫中で1年間保存した測定キット、B)冷蔵庫中で2ヶ月間保存した測定キット、および作製直後の測定キットC)についてそれぞれ、実施例2と同様にして、希釈標準抗原溶液中のヒト・クロモグラニンAの濃度を測定した。測定結果を図2に図示する。
図2から明らかなように、1年間保存した測定キット(上段)は、2ヶ月間保存した測定キット(中段)および作製直後の測定キット(下段)とほとんど変わらない検量線を示し、この結果は測定キットの長期間にわたる安定な保存が可能となったことを表す。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、標準抗原、ビオチン標識抗原および特異抗体の調剤方法並びにストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼの希釈液について、多岐にわたる選択肢の中から特定のものを選択・採用したことにより、長期間保存が可能で、使用可能期間の長いヒト・クロモグラニンA測定キットを提供できる。また、測定プレートの乾燥操作、特異抗体の精製操作、およびストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼの希釈率を最適化することにより、測定の感度を上昇させることもできる。従って、本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットは、組織、血液、尿、骨髄液、唾液等の生物検体中のCgAの簡便な定量により、生物の様々な状態を評価する手段として有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のヒト・クロモグラニンA測定キットの斜視図である。
【図2】図2は、A)1年間保存した測定キット、B)2ヶ月間保存した測定キット、および作製直後の測定キットC)を用いたヒト・クロモグラニンAの測定結果を図示するグラフである。
【符号の説明】
1 測定キット
2 測定プレート
3 標準抗原
4 ビオチン標識抗原
5 特異抗体
6 ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液
7 発色剤
8 反応停止液
9 緩衝液
Claims (4)
- a)抗IgG抗体を固定化した複数のウェルを有する測定プレートと、
b)アミノ酸配列(I)
EEEED NRDSS MKLSF RARAY
GFRGP GPQLR R (I)
を有するペプチドを緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られる標準抗原と、
c)アミノ酸配列(II)
ビオチニル−GG EEEED NRDSS MKLSF
RARAY GFRGP GPQLR R (II)
を有するペプチドを緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られるビオチン標識抗原と、
d)前記アミノ酸配列(I)を有するペプチドを温血動物に免疫して得られる抗血清からIgG抗体を精製し、該IgG抗体画分を緩衝液に溶解し、そしてこれを凍結乾燥して得られる特異抗体と、
e)ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼを緩衝液に溶解し、そしてペルオキシダーゼ共役安定保存液で希釈して得られるストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液と、
f)発色剤と、
g)反応停止液と、
h)緩衝液
からなることを特徴とする、ヒト・クロモグラニンA測定キット。 - 前記測定プレートa)は、抗体の固定化後に乾燥させられていることを特徴とする、請求項1記載のヒト・クロモグラニンA測定キット。
- 前記特異抗体d)におけるIgG抗体の精製は、プロテインA結合多孔性セルロースゲルを充填したカラムで行うことを特徴とする、請求項1記載のヒト・クロモグラニンA測定キット。
- 前記ストレプトアビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ溶液e)の希釈率は4,000〜6,000倍であることを特徴とする、請求項1記載のヒト・クロモグラニンA測定キット。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2005090980A1 (ja) * | 2004-03-22 | 2005-09-29 | Olympus Corporation | 生体関連物質の高感度検出方法 |
JP2010528307A (ja) * | 2007-05-29 | 2010-08-19 | アンセルム(アンスチチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル) | 危篤状態の患者の転帰を予測する方法 |
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2002
- 2002-07-31 JP JP2002223588A patent/JP2004061431A/ja active Pending
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