JP2004059697A - コーティング用樹脂組成物及び金属箔積層体回路基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)と、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(1−2a)とアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱アルコール反応によって得られるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)とを、開環エステル反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)、並びに有機溶剤(2)を含有することを特徴とするコーティング用樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱硬化による収縮率が極めて小さい硬化膜を提供できるコーティング用樹脂組成物及び当該樹脂組成物を用いて得られる金属箔積層体に関する。本発明のコーティング組成物は、特に電線被覆剤、半導体層間絶縁材料、ビルドアップ基板用コーティング剤、レジストインキ、導電ペースト等の電気絶縁材料として有用であり、また本発明の金属箔積層体は、フレキシブルプリント基板用銅張り板、TABテープ、COFテープとして好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年、電化製品や電子機器の軽薄短小化に伴う内部部品の小型化により、電化製品・電子機器に用いられる回路基板の小型化・高密度化が求められている。回路の小型化や高密度化を実現するために、電気的性質等の各種物性、例えば耐熱性、絶縁性、銅箔への接着性などに優れた材料が求められている。
【0003】
耐熱性、柔軟性、電気絶縁性などに優れた材料として、ポリイミド樹脂が知られているが、ポリイミド樹脂の多くは溶剤に溶解しない。またポリイミド樹脂から得られるポリイミドフィルムは、銅箔などの金属導体との接着性が劣るため、通常はエポキシ系接着剤などの接着剤層を介して金属導体と接着させる手法が採用されている。しかしながら、当該接着剤はポリイミド樹脂に比べ、諸物性が劣るため、ポリイミド樹脂を金属導体に直接に接着させうる手法が求められている。当該直接接着方法として、銅箔を粗化し、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸を塗布、硬化する手法もあるが、かかる手法による場合には銅箔に対する密着力が不十分であったり、ポリアミック酸が硬化してポリイミド樹脂となる際に水が発生するため硬化収縮が生じて金属箔積層体がカールする、などの不利がある。また、ポリアミック酸をイミド閉環させないタイプの有機溶剤可溶型ポリイミド樹脂も知られており、当該有機溶剤可溶型ポリイミド樹脂は硬化収縮の問題に関しては前記ポリイミド樹脂より軽減されている。しかしながら、有機溶剤可溶型ポリイミド樹脂は、電子材料分野において近時に要求されるような高度の耐熱性や低熱膨張性を満足できなかったり、電子回路基板の構成成分である銅箔に対する接着性の点で不十分であるため、高性能で微細な印刷回路を満足に形成できない。
【0004】
また、これらの問題点を解決するために、(1)ポリイミド樹脂やポリアミック酸に対しフィラーを添加する方法や、(2)ポリイミド樹脂やポリアミック酸と、有機シラン化合物とを複合化させた有機無機ハイブリッド材料が提案されている(特許掲載公報第2760520号)。本願人も、ポリイミド樹脂やポリアミック酸と特定のアルコキシシラン部分縮合物とを開環エステル化反応させることにより、耐熱性、絶縁性、銅箔接着性などに優れた有機無機ハイブリッド材料を既に開発している(WO 01/05862号)。しかし、ポリアミック酸から得られる従来のポリイミド系有機無機ハイブリッド材料は、銅箔との密着性は満足し得るものの、加熱硬化時にイミド閉環反応により水が生成するため硬化収縮が大きくなり、当該被膜がカールしやすくなるため、回路基板用の材料としては必ずしも好適ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ポリイミド樹脂の本来の性能である耐熱性や機械的強度を一層向上させ、しかも金属箔に対する接着性を改善し、硬化収縮が極めて少なくカールがない硬化被膜を提供しうるシラン変性ポリイミド樹脂を含有するコーティング剤組成物及び当該樹脂組成物を用いて得られる金属箔積層体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定のポリイミド樹脂と特定のアルコキシシラン部分縮合物とを反応させて得られるアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂を用いることにより、目的とするコーティング剤組成物及び当該樹脂組成物を用いて得られる金属箔積層体を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)と、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(1−2a)とアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱アルコール反応によって得られるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)とを、開環エステル反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)、並びに有機溶剤(2)を含有することを特徴とするコーティング用樹脂組成物;当該コーティング用樹脂組成物を金属箔上に塗布し、次いで硬化させることを特徴とする金属箔積層体に係る。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるカルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)(以下、単にポリイミド樹脂(1−1)という)は、分子中に特定割合でイミド結合を有する樹脂であって、その分子末端にカルボキシル基及び/又は酸無水物基が存在するように調製されたものであり、しかも後述する各種の有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂である。本発明のコーティング用樹脂組成物においては、その構成成分として、イミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)を必須使用するものである。従って有機溶剤可溶型のポリイミド樹脂であってもイミド閉環率が90%未満である場合には、硬化収縮が大きくなるため、これを用いて得られる金属箔積層体では硬化収縮に基づくカールが発生するため好ましくない。
【0009】
ポリイミド樹脂(1−1)は、それ自体公知のものであり、後述するように特定のテトラカルボン酸類とジアミン類とから公知の方法に従って製造できる。当該製造方法として、例えば特公昭47−25476号公報、特公昭52−30319号公報、特公平5−62893号などに記載の方法を採用できる。
【0010】
ポリイミド樹脂(1−1)の構成原料はテトラカルボン酸類(1−1a)とジアミン類(1−1b)である。当該テトラカルボン酸類(1−1a)としては、例えば、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、などを例示でき、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0011】
また、本発明の効果を失わない範囲で、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸など脂肪族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸など芳香族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物を併用できる。但し、テトラカルボン酸類に対するこれらの割合が多すぎると、得られる硬化物の絶縁性や耐熱性が落ちる傾向があるため、通常、その使用量はテトラカルボン酸に対し、30モル%以下であることが好ましい。
【0012】
上記ジアミン類(1−1b)としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどを例示でき、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0013】
上記ジアミン類の他にも、3,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル、2,3,6−トリアミノピリジン等のトリアミン類、テトラアミン類を、本発明の効果を失わない範囲で使用できる。当該トリアミン類やテトラアミン類を用いることにより、生成するポリイミド樹脂(1−1)に分岐構造を付与したり、当該樹脂分子末端のカルボキシル基及び/又は酸無水物基を増加させることによりエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)との反応点を増加させることができる。
【0014】
また、上記テトラカルボン酸類(1−1a)とジアミン類(1−1b)との反応物である、分子末端が無水カルボン酸基又はアミノ基であるポリイミドアダクト体を、テトラカルボン酸類又はジアミン類の1種として使用することもできる。
【0015】
ポリイミド樹脂(1−1)は、前記のテトラカルボン酸類(1−1a)とジアミン類(1−1b)とを適宜組み合わせ、極性溶剤中で反応させることにより容易に直接的に製造できる。当該極性溶剤としては、生成するポリイミド樹脂(1−1)を溶解するものであればよく、種類および使用量は特に限定されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、クレゾール、ジメチルスルホキシド、N−メチルカプロラクタム、メチルトリグライム、メチルジグライム、ベンジルアルコールなどが好ましい。また、これら極性溶剤のうち、N−メチル−2−ピロリドンやジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドは、ポリイミド樹脂(1−1)およびエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)を相溶させやすいため、後述するシラン変性反応用の溶剤としてそのまま用いることができるため、特に好ましい。当該反応においては、反応温度は、80〜250℃程度、好ましくは100〜200℃、反応時間は0.5〜50時間程度、好ましくは1〜12時間である。また、触媒としてトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などを添加してもよい。
【0016】ポリイミド樹脂(1−1)の他の製造方法として、上記の構成原料から得られるポリアミック酸を脱水閉環させる方法がある。ポリアミック酸は前記のテトラカルボン酸類とジアミン類とを適宜に組み合わせ、極性溶剤中0〜80℃で反応させることによって得られる。脱水閉環反応は80〜250℃程度、好ましくは100〜200℃、反応時間は0.5〜50時間程度、好ましくは1〜12時間で行えばよい。またこの脱水閉環反応では、脱水剤と触媒量の第3級アミンやピリジンなどの複素環アミンを使用しても構わない。当該脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
【0017】
本発明で使用されるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)は、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(1−2a)(以下、単にエポキシ化合物(1−2a)という)とアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱アルコール反応によって得られるものであり、特開2001−114894号公報記載の方法で合成できる。
【0018】
エポキシ化合物(1−2a)としては、1分子中に水酸基を1つ有するエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、エポキシ化合物としては、分子量が小さいもの程、アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)との相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。エポキシ化合物(1−2a)の具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコールまたは2つの水酸基を有するフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。これらのエポキシ化合物の中でも、グリシドールが耐熱性付与効果の点で最も優れており、またアルコキシシラン部分縮合物との反応性も高いため、最適である。
【0019】
アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)としては、
一般式(1):R1 mSi(OR2)( 4− m)
(式中、mは0または1の整数示し、R1は炭素数8以下のアルキル基またはアリール基、R2は炭素数4以下の低級アルキル基を示す。)
で表される加水分解性アルコキシシランモノマーを、酸または塩基触媒、および水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
【0020】
アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)の構成原料である加水分解性アルコキシシランモノマーの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類などがあげられる。アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)としては、エポキシ化合物(1−2a)との反応性が高いことから、テトラメトキシシランまたはメチルトリメトキシシランを70モル%以上用いて合成されたものが好ましい。
【0021】
アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)の数平均分子量は230〜2000程度、1分子中のSiの平均個数は2〜11程度であることが好ましい。
【0022】
エポキシ化合物(1−2a)とアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)との使用割合は、アルコキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限されないが、得られるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)中のエポキシ基の割合が、通常は、エポキシ化合物(1−2a)の水酸基の当量/アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)のアルコキシル基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率で、アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)とエポキシ化合物(1−2a)とを脱アルコール反応させることが好ましい。
【0023】
アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)とエポキシ化合物(1−2a)の反応は、例えば、当該各成分を仕込み、加熱し、生成するアルコールを留去しながら、脱アルコール反応を行なう。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。
【0024】
かかるアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド(1)の製造は、例えば、前記各成分を仕込み、実質的に無水状態で加熱して反応を行なう。本反応はポリイミド樹脂(1−1)の分子末端のカルボキシル基及び/又は酸無水物基と、前記エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基の反応を主目的にしており、本反応中にエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のアルコキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成を抑える必要がある。そのため、反応温度は50〜120℃程度、好ましくは60〜100℃であり、全反応時間は1〜30時間程度で行うのが好ましい。
【0025】
ポリイミド樹脂(1−1)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)との反応割合は、得られるアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の性能に影響するため、慎重に決定されなければならない。当該反応割合としては、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=0.7〜1.8とするのが好ましい。当該反応割合が0.7に満たない場合は、生成するアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の金属箔に対する密着性が劣る傾向があり、また1.8を超える場合には、当該反応時間が長くなりすぎる傾向がある。
【0026】
また、上記の脱アルコール反応に際しては、反応促進のために従来公知のエポキシ基とカルボン酸とを反応させる際に使用する触媒を使用することができる。1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。反応触媒は生成するアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の硬化残分100重量部に対し、0.01〜5重量部の割合で使用するのが好ましい。
【0027】
なお、上記反応は、極性溶剤中で行うことが好ましい。極性溶剤としては、ポリイミド樹脂(1−1)及びエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)を溶解する溶剤であればよく、格別限定はない。当該溶剤としては、例えば、ポリイミド樹脂(1−1)の製造時に使用したものが例示できる。
【0028】
こうして得られたアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)は、その分子中にアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)に由来するアルコキシ基を有している。当該アルコキシ基の含有量は、特に限定はされないが、このアルコキシ基は極性溶剤の蒸発や加熱処理により、または水分(湿気)との反応によりゾル−ゲル反応や脱アルコール縮合して、相互に結合した硬化物を形成するために必要となる。そのため、アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)は通常、アルコキシシラン部分縮合物(1−2b)のアルコキシ基の50〜95モル%、好ましくは60〜90モル%を未反応のままで保持しておくのが良い。かかるアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)から得られる硬化物は、
一般式(2):R1 mSiO( 4− m)/ 2
(式中、mは0または1の整数示し、R1は炭素数8以下のアルキル基またはアリール基を示す。)
で示されるゲル化した微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)を有するポリイミド−シリカハイブリッドである。またアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)は、ポリイミド樹脂(1−1)がシラン変性されたものを主成分とするが、当該アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の中には未反応のポリイミド樹脂(1−1)やアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)、反応に使用した溶剤や触媒が含有されていてもよい。なお、未反応のアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)は硬化時に、加水分解、重縮合によりシリカ硬化し、アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)と一体化し、ポリイミド−シリカハイブリッドとなる。
【0029】
本発明のコーティング用樹脂組成物は、アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)と有機溶剤(2)から構成される。有機溶剤(2)としてはポリイミド樹脂(1−1)の製造やエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)の製造に用いたのと同様のものを使用できる。また、本発明のコーティング用樹脂組成物には、金属箔積層体のカールを抑制する目的で、従来公知の無機フィラーを添加しても構わない。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化マグネシウムなどの酸化物、カオリン、タルク、モンモリロナイトなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リン酸第3カルシウム、リン酸第2カルシウム、リン酸第1カルシウムなどのリン酸塩などを用いることができるが、これらに限定されるわけではない。これら無機フィラーの中でもコーティング用樹脂組成物の安定性、無機フィラーの分散性、カール抑制の効果を考慮すると、シリカを用いるのが最も好ましい。
【0030】
通常、無機フィラーは、平均粒子径としては0.01μm以上5μm以下の範囲が好ましい。また配合量としては、コーティング用樹脂組成物の硬化残分(溶剤(2)を揮発させ、アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)のアルコキシシリル部位をゾル−ゲル反応させた状態での固形分重量)に対し、50重量%以下の範囲が好ましい。なお、当該無機フィラー粒子の添加方法は、コーティング用樹脂組成物を使用して製膜する迄の段階であれば特に制限はなく、例えば、ポリアミド樹脂(1−1)の重合段階や、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)との反応時に添加してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
【0031】
また、本発明のコーティング用樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種用途に応じて、有機溶剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、カップリング剤等を配合してもよい。
【0032】
金属箔積層体に用いる金属箔としては、電解銅箔、圧延銅箔、アルミニウム箔、ステンレス箔等を例示できる。これらの中でも電解銅箔や圧延銅箔が導電性、耐熱性、力学強度が優れており好ましい。一般にFPCやTAB用には接着剤との密着性を得る目的で、銅箔の接着面の表面粗度を上げた表面処理銅箔が使用されているが、前記コーティング用樹脂組成物から得られるキャスト膜は、接着剤を使用しなくても金属箔との密着性が極めて優れているため、必ずしも表面処理銅箔を使用する必要はなく、未処理銅箔やファインピッチ、高周波対応の粗度の低い銅箔でも充分な密着性が得られる。金属箔として、表面粗度の余り大きくないもの、すなわちRzが7μm以下、特にRzが3μm以下の銅箔を用いるのが好ましい。金属箔の厚さは特に制限はないが、70μm以下、特に3〜35μmであることが好ましい。
【0033】
本発明の金属箔積層体は、前記コーティング用樹脂組成物を金属箔上に、公知の方法によりキャストすることにより得られる。キャスト膜の乾燥、硬化は1段階でまたは2段階で行うことができる。硬化膜厚が10μmを超える場合には、硬化物の発泡を抑える目的で、2段階で行うのが好ましい。硬化温度及び硬化時間は用いるポリイミド樹脂(1−1)の種類、溶剤の種類、膜厚などに応じて適宜に決定する。2段階で硬化する場合には、1段階目は主に乾燥を目的として80〜200℃で3分〜1時間の条件下で加熱し、第2段階目は150℃〜250℃で、10分〜2時間の条件下で溶剤の完全除去及びアルコキシシリル基のゾル−ゲル硬化を行うのが好ましい。
【0034】
上記金属箔積層体は金属箔/硬化フィルムの密着強度が高く、信頼性がある。硬化フィルム自体は、前記のように硬化収縮がないため、当該硬化反応に伴うカールは起こらない。しかし、金属箔積層体においては、アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)を構成するテトラカルボン酸類、ジアミン類の種類によっては、アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)から得られる硬化フィルムの線膨張率と銅箔の線膨張率とが相違する場合もあり、金属箔積層体がカールしうる。このような場合には、以下の手法によって解決することができる。
【0035】
本発明のコーティング用樹脂組成物をキャストして得られる硬化フィルムの線膨張率は、30ppm/℃以下、好ましくは5〜25ppm/℃に調整するのがよく、かかる線膨張率であれば金属箔積層体にカールは生じず、そのため硬化膜厚は格別に制限されるものではない。
【0036】
また本発明のコーティング用樹脂組成物をキャストした面に、更に従来公知の線膨張率が25ppm以下のポリイミド樹脂をコーティングして、金属箔/ポリイミド−シリカハイブリッド/ポリイミドの3層構造とすることにより、カール問題を解決することもできる。当該硬化方法は特に限定されず、例えば、シラン変性ポリイミド樹脂組成物(1)を金属箔にキャストした後、前記2段階目の硬化条件で製膜し、更に低線膨張のポリイミドをキャストし、硬化しても構わない。
【0037】
またこれらの硬化フィルムの膜厚は用途によって適宜決定すればよいが、FPC及びTABに用いる場合には、銅箔を除くポリイミド−シリカハイブリッド部分として3〜100μm、特に5〜50μmが好ましい。
【0038】
片面に金属箔が接着した金属箔積層体のポリイミド側にメッキを施すことにより、両面金属箔積層体とすることもできる。当該金属メッキ方法としては、無電解メッキ法、無電解メッキ法と電解メッキ法との併用法、パルスメッキ法、熱溶解法、プラズマ法、スパッタ法等の公知の方法を採用し得るが、量産性の点で、無電解メッキ法、無電解メッキと電解メッキとの併用が特に好ましい。因に、無電解メッキ法は、触媒となる金属を基材の表面及び内壁に析出させ、次いで銅等を無電解メッキ法で析出させてメッキさせるものである。また、無電解メッキと電解メッキの併用法は、無電解メッキを薄く析出させ、次いで金属を電解メッキにて厚付けしてメッキさせるものである。本発明では、メッキ金属としては、特に限定されず、例えば銅、ニッケル、金、銀、白金、錫、鉛、コバルト、タングステン、モリブテン、パラジウム及びこれらの合金が挙げられる。これらのうちでは特に銅が好ましい。前記のようにして得られる本発明の金属積層体にレジストを塗布し、感光させた後、エッチング加工することによって、各種の回路基板を製造することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明のコーティング用樹脂組成物を使用すると、ポリイミド樹脂の本来の性能である耐熱性や機械的強度を一層向上させ、しかも金属箔に対する接着性を改善し、硬化収縮が極めて少なくカールがない硬化被膜を提供できる。そのため、本発明によれば、かかる諸特性を有する金属箔積層体を提供できるという特有の効果を奏する。
【0040】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。
【0041】
合成例1(エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)の製造) 攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)1400gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)8957.9gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約630gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約80gを減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)を得た。
なお、仕込み時のエポキシ化合物の水酸基の当量/アルコキシシラン縮合物(B)のアルコキシル基の当量(当量比)=0.10、エポキシ当量は512g/eqである。
【0042】
合成例2(アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の製造)
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物(新日本理化(株)製、商品名「リカシッドDSDA」)36.66g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン(和歌山精化(株)製、商品名「BAPP」)40.00g、N−メチルピロリドン255.83g、キシレン63.96gを仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−1という)。PIR−1の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.05である。またNMRおよびIR分析によるPIR−1のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−1を90℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)3.20gを加え、90℃で8時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分23%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、SMPI−1という)。なお、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.3である。
【0043】
合成例3
合成例2と同様の反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物43.20g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン45.00g、N−メチルピロリドン248.82g、キシレン62.20gを仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−2という)。PIR−2の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.10である。またNMRおよびIR分析によるPIR−2のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−2を90℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)7.21gを加え、90℃で8時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分26%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、SMPI−2という)。なお、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.3である。
【0044】
合成例4
合成例2と同様の反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物36.66g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン40.00g、ジメチルアセトアミド255.83g、トルエン63.96gを仕込み、140℃で5時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−3という)。PIR−3の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.05である。またNMRおよびIR分析によるPIR−3のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−3を90℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)3.20gを加え、90℃で8時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分23%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、SMPI−3という)。なお、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.3である。
【0045】
合成例5
合成例2と同様の反応装置に、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物(ダイセル化学工業(株)製)40.98g、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(和歌山精化(株)製、商品名「BAPS−M」)50.00g、N−メチルピロリドン198.41g、キシレン49.60gを仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−4という)。PIR−4の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.10である。またNMRおよびIR分析によるPIR−4のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−4を90℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)7.60gを加え、90℃で10時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分31%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、SMPI−4という)。なお、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.3である。
【0046】
合成例6
合成例2と同様の反応装置に、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物44.70g、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン40.00g、N−メチルピロリドン234.87g、キシレン58.72gを仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−5という)。PIR−5の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.50である。またNMRおよびIR分析によるPIR−5のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−5を90℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)37.85gを加え、90℃で8時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分29%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、SMPI−5という)。なお、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.6である。
【0047】
合成例7
合成例2と同様の反応装置に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物24.88g、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン35.00g、N−メチルピロリドン180.43g、キシレン45.11gを仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−6という)。PIR−6の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.04である。またNMRおよびIR分析によるPIR−6のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−6を90℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)2.44gを加え、90℃で8時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分25%のアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、SMPI−6という)。なお、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.35である。
【0048】
比較合成例1(シラン変性ポリアミック酸の製造)
合成例1と同様の反応装置に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物24.88g、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン35.00g、N−メチルピロリドン180.43gを仕込み、30℃で4時間反応させ、ポリアミック酸溶液を得た(以下、PAA−C1という)。PAA−C1の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.04である。またNMRおよびIR分析によるPAA−C1のイミド閉環率は15%であった。
得られたPAA−C1を80℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)3.20gを加え、80℃で8時間反応させた。室温まで冷却し、硬化残分25%のシラン変性ポリアミック酸溶液を得た(以下、SMPI−C1という)。
【0049】
比較合成例2(アミノ基を分子末端に有する有機溶剤可溶ポリイミド)
合成例2と同様の反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物33.16g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン40.00g、N−メチルピロリドン243.46g、キシレン60.87gを仕込み、170℃で4時間、分水器で生成する水を回収しながら脱水閉環反応させ、アミノ基を分子末端に有する有機溶剤可溶ポリイミド溶液を得た(以下、PIR−C2という)。PIR−C2の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=0.95である。またNMRおよびIR分析によるPIR−C2のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−C2を90℃に加熱し、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)3.20gを加え、90℃で8時間反応させたが、反応は全く進行せず、シラン変性ポリイミド(1)溶液を得ることはできなかった。
【0050】
合成例2〜7で得られた有機溶剤可溶ポリイミド樹脂(1−1)の各溶液(PIR−1〜PIR−6)を順にコーティング用樹脂組成物(1)〜(6)と称し、合成例2〜7で得られたアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の各溶液(SMPI−1〜SMPI−6)を順にコーティング用樹脂組成物(H1)〜(H6)と称し、比較合成例1のシラン変性ポリアミック酸溶液(SMPI−C1)をコーティング用樹脂組成物(H7)と称する。
【0051】
製造例1(コーティング用樹脂組成物の製造)
合成例7で得たSMPI−6にシリカフィラー((株)トクヤマ製、商品名ファインシールT−32:平均粒子径 1.5μm)をSMPI−6の硬化残分あたり30重量%混合し、ミキサーで充分に攪拌して、コーティング用樹脂組成物(7)を得た。
【0052】
(コーティング密着性)
コーティング用樹脂組成物(1)〜(7)およびコーティング用樹脂組成物(H1)〜(H7)を、ガラス板、銅板に硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、コーティング用樹脂組成物(1)〜(7)およびコーティング用樹脂組成物(H1)〜(H6)は120℃で30分、250℃で1時間、コーティング用樹脂組成物(H1)は120℃で30分、250℃で30分、350℃で10分硬化させた。JIS K−5400の一般試験法によるゴバン目セロハンテープ剥離試験を行ない、以下の基準で判定した。評価結果を表1に示す。
◎:100/100
〇:99〜90/100
△:89〜50/100
×:49〜0/100
【0053】
【表1】
【0054】
アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)を含有する各種コーティング用樹脂組成物から得られるポリイミド−シリカハイブリッド硬化物は、無機基材に対する密着性が良好なため、プリント基板用銅張り板やビルドアッププリント基板用層間絶縁材料、半導体の層間絶縁膜、レジストインキ、導電ペースト等の電子材料として好適である。
【0055】
(機械的強度)
コーティング用樹脂組成物(2)およびコーティング用樹脂組成物(H2)を、PETフィルム上に膜厚300μmで塗布し、120℃で10分間乾燥させた。得られた半硬化フィルムをPETフィルムからはがした後ステンレス枠に固定し、250℃で1時間硬化させた。得られたフィルムを切り抜き、テンシロン試験機(オリエンテック社製,商品名「UCT−500」)を用いて、50mm/分の引っ張り速度で、フィルムを引き伸ばし、破断するまでのフィルム伸びおよび破断時の強度、弾性率を測定した。25℃で3回、同じ方法で引っ張り試験を行い、その平均値を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】
アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)を含有する各種コーティング用樹脂組成物から得られるポリイミド−シリカハイブリッド硬化物は、比較例のポリイミドに比べ弾性率、破断強度が高いため、特にプリント基板用銅張り板、電線被覆剤、半導体層間絶縁材料、半導体の層間絶縁膜、レジストインキ、導電ペースト、TABテープ等の電気絶縁材料に最適である。
【0058】
(熱的特性)
コーティング用樹脂組成物(2)およびコーティング用樹脂組成物(H2)を、PETフィルム上に膜厚300μmで塗布し、120℃で10分間乾燥させた。得られた半硬化フィルムをPETフィルムからはがした後ステンレス枠に固定し、250℃で1時間硬化させた。得られたフィルムを切り抜き、熱応力歪測定装置(セイコー電子工業製、商品名「TMA120C」)で、100〜200℃の線膨張率およびガラス転移点を測定した。結果を表3に示す。
【0059】
【表3】
【0060】
アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)を含有する各種コーティング用樹脂組成物から得られるポリイミド−シリカハイブリッド硬化物は、比較例のポリイミドに比べ線膨張率が低く、ガラス転移点が高いため、電気絶縁用材料に有用である。
【0061】
実施例1(金属箔積層体の製造)
コーティング用樹脂組成物(7)を電解銅箔(古河電気工業(株)製 F0−WS 膜厚18μm、表面粗度 Rz=1.5)に対してバーコーターで塗布し、120℃で30分、250℃で1時間硬化させ、ポリイミド膜厚25μmの金属箔積層体を得た。
【0062】
比較例1(金属箔積層体の製造)
コーティング用樹脂組成物(H7)を電解銅箔(古河電気工業(株)製 F0−WS 膜厚18μm、表面粗度 Rz=1.5)に対してバーコーターで塗布し、120℃で30分、250℃で30分、350℃で10分間硬化させ、ポリイミド膜厚25μmの金属箔積層体を得た。
【0063】
比較例2(金属箔積層体の製造)
コーティング用樹脂組成物(7)のかわりにコーティング用樹脂組成物(H−6)を用いた以外は同様の方法で、ポリイミド膜厚25μmの金属箔積層体を得た。
【0064】
(密着性)
実施例1の金属箔積層体及び比較例1、2の金属箔積層体をJIS K−5400の一般試験法によるゴバン目セロハンテープ剥離試験を行い、以下の基準で判定した。評価結果を表4に示す。
◎:100/100
〇:99〜90/100
△:89〜50/100
×:49〜0/100
【0065】
(平滑性)
実施例1の金属箔積層体及び比較例1、2の金属箔積層体の平滑性を目視により評価した。評価結果を表4に示す。
〇:反りが無い。
△:反りが見られる。
×:カールしている。
【0066】
(半田耐熱性)
実施例1の金属箔積層体及び比較例1、2の金属箔積層体を260℃の半田浴に30秒間浸漬し、発泡の有無を評価した。評価結果を表4に示す。
〇:発泡無しで良好。
△:一部に発泡有り
×:全面に発泡が発生
【0067】
(耐熱密着性)
実施例1の金属箔積層体及び比較例1、2の金属箔積層体を235℃の半田浴で10分間浸漬した後、10分間放冷する。この操作を10回繰り返し、密着性を評価した。評価結果を表4に示す。
◎:外観に変化なく、半田浴浸漬前後で密着性に変化がない
〇:膨れが生じ、密着性が落ちる。
×:半田浴浸漬中に積層体が剥離した。
【0068】
【表4】
【0069】
(メッキ密着性)
実施例1の金属箔積層体及び比較例1、2の金属箔積層体に、アルカリ性過マンガン酸処理、中和処理、コンディショナー処理、触媒化、触媒活性化処理を順次行い、無電解銅メッキを行い、0.3μm厚の薄い銅メッキを表面に施した。このようにして得られた金属箔積層体に更に電解メッキを行って導体厚みを25μmとした後、ピール強度をJIS C 6481に準じて測定した。評価結果を表5に示す。
【0070】
【表5】
Claims (10)
- カルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)と、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(1−2a)とアルコキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱アルコール反応によって得られるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)とを、開環エステル反応させてなるアルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)、並びに有機溶剤(2)を含有することを特徴とするコーティング用樹脂組成物。
- エポキシ化合物(1−2a)がグリシドールである請求項1に記載のコーティング用樹脂組成物。
- ポリイミド樹脂(1−1)が、テトラカルボン酸及び/又はその無水物(1−1a)とジアミン類(1−1b)とを反応モル比〔(1−1a)/(1−1b)〕が1.03〜1.70の範囲で反応させて得られるものである請求項1又は2に記載のコーティング用樹脂組成物。
- エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)が、エポキシ化合物(1−2a)の水酸基の当量/アルコキシシラン縮合物(1−2b)のアルコキシシリル基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率で脱アルコール反応してなるものである請求項1〜3の何れかに記載のコーティング用樹脂組成物。
- ポリイミド樹脂(1−1)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)との反応割合が、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=0.7〜1.8である請求項1〜4の何れかに記載のコーティング用樹脂組成物。
- 有機溶剤(2)が2−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5の何れかに記載のコーティング用樹脂組成物。
- アルコキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)、有機溶剤(2)及び無機フィラーからなる組成物であって、線膨張率が30ppm/℃以下である当該硬化膜を付与しうるものである請求項1〜6の何れかに記載のコーティング用樹脂組成物。
- 請求項1〜7の何れかに記載のコーティング用樹脂組成物を金属箔上に塗布し、次いで硬化させて得られることを特徴とする金属箔積層体。
- 硬化温度が80℃以上250℃以下である請求項8に記載の金属箔積層体。
- 金属箔が銅箔である請求項8又は9に記載の金属箔積層体。
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