JP4487507B2 - 複合フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミド−シリカハイブリッド層とポリエステル基材からなる複合フィルムに関する。
一般に、ポリエステル樹脂(特にポリエチレンナフタレート樹脂)を素材としたフィルムは、優れた機械的特性、化学的特性を有するうえ、成型も容易であるため、各種の産業分野において広く利用されている。しかしながら、ポリエチレンナフタレート樹脂を素材としたフィルムは、樹脂のガラス転移点が低いため、耐熱性に劣るという問題点があり、高温にさらされる部分には使用できないものであった。また、当該フィルムは難燃性が十分ではなく、一般に電子基材等で要求される難燃性UL−94、V−0を達成できるものではない。
そこで、従来から樹脂を素材とするフィルムの表面に、樹脂の欠点を補う性質を有する素材の膜を形成させた各種の複合フィルムが提案されている。例えば、ポリイミド樹脂をN−メチル−2−ピロリドン溶媒で調整した溶液にフッ素樹脂フィルムを浸漬して、フィルム表面にポリアミック酸樹脂を塗布し、加熱乾燥して耐熱性の樹脂フィルムを得ることが提案されている(特許文献1参照)が、このポリアミック酸をポリイミド樹脂に変換するためには、脱水、イミド化反応を必要とし、このためには300℃による高温度の熱処理を必要とする。
また、このポリアミック酸溶液を、融点の低いポリエチレンナフタレートフィルムに塗布した場合、ポリアミック酸を閉環しポリイミドとするには高温が必要となるため、その温度では基材フィルム自身が溶解してしまうという問題があった。一方、通常のポリイミドは、溶剤に対して難溶であるためフィルムの表面に薄い膜を形成させることができなかった。
そこで、これらの問題点を改善した、溶剤可溶型ポリイミド溶液をプラスチック基材に塗布、乾燥して得られる複合フィルムが提案されている(特許文献2参照)が、耐熱性、難燃性等の性能は充分なものとはいえなかった。
特開昭57−167256号公報 特開2000−202970号公報
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、耐熱性、耐傷つき性、難燃性、表面抵抗、密着性、耐折り曲げ性などの諸特性を有するポリイミド−シリカハイブリッド層とポリエステル基材からなる複合フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく検討を行ったところ、特定のコーティング用樹脂組成物を用いることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
すなわち、本発明は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)と、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(1−2a)とメトキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱メタノール反応によって得られるエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)とを、開環エステル反応させてなるメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)並びに沸点が210℃以下の有機溶剤(2)を含有することを特徴とするコーティング用樹脂組成物(3)をポリエステルフィルム(4)の片面又は両面に塗布し、乾燥、硬化させることにより得られる複合フィルムに関する。
本発明によれば、耐熱性、耐傷つき性、難燃性、表面抵抗、密着性などの諸特性を改良したポリイミド−シリカハイブリッド層とポリエステル基材からなる複合フィルムを提供することができる。
本発明の複合フィルムは、ポリエステルフィルム(4)の片面又は両面に、メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)並びに沸点が210℃以下の有機溶剤(2)を含有することを特徴とするコーティング用樹脂組成物(3)を塗布し、乾燥・硬化させることにより得られる。
本発明の複合フィルムを製造する際に用いるメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)と、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(1−2a)とメトキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱メタノール反応させることによって得られる。
本発明において使用されるカルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)(以下、単にポリイミド樹脂(1−1)という)は、分子中に特定割合でイミド結合を有する樹脂であって、その分子末端にカルボキシル基及び/又は酸無水物基が存在するように調製されたものであり、しかも後述する各種の有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂である。本発明のコーティング用樹脂組成物(3)においては、その構成成分として、イミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)を必須使用するものである。従って有機溶剤可溶型のポリイミド樹脂であってもイミド閉環率が90%未満である場合には、メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)中のイミド閉環率が高くなり、複合フィルムの耐熱性、耐傷つき性、難燃性、耐折り曲げ性が悪化するため好ましくない。なお、高温にすることで、当該メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)のイミド閉環反応を進行させることができるが、ポリエステルフィルム(4)のガラス転移点が低いため、ポリエステルフィルムに塗布した後に硬化することは困難である。
ポリイミド樹脂(1−1)は、それ自体公知のものであり、後述するように特定のテトラカルボン酸類とジアミン類とから公知の方法に従って製造できる。当該製造方法として、例えば特公昭47−25476号公報、特公昭52−30319号公報、特公平5−62893号などに記載の方法を採用できる。
ポリイミド樹脂(1−1)の構成原料はテトラカルボン酸類(1−1a)とジアミン類(1−1b)である。当該テトラカルボン酸類(1−1a)としては、例えば、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、などを例示でき、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
また、本発明の効果を失わない範囲で、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などのトリカルボン酸類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸など脂肪族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸など芳香族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物を併用できる。但し、テトラカルボン酸類に対するこれらの割合が多すぎると、得られる硬化物の絶縁性や耐熱性が落ちる傾向があるため、通常、その使用量はテトラカルボン酸に対し、30モル%以下であることが好ましい。
上記ジアミン類(1−1b)としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタンなどを例示でき、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記ジアミン類の他にも、3,4,4’−トリアミノジフェニルエーテル、2,3,6−トリアミノピリジン等のトリアミン類、テトラアミン類を、本発明の効果を失わない範囲で使用できる。当該トリアミン類やテトラアミン類を用いることにより、生成するポリイミド樹脂(1−1)に分岐構造を付与したり、当該樹脂分子末端のカルボキシル基及び/又は酸無水物基を増加させることによりエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)との反応点を増加させることができる。
また、上記テトラカルボン酸類(1−1a)とジアミン類(1−1b)との反応物である、分子末端が無水カルボン酸基又はアミノ基であるポリイミドアダクト体を、テトラカルボン酸類又はジアミン類の1種として使用することもできる。
ポリイミド樹脂(1−1)は、前記のテトラカルボン酸類(1−1a)とジアミン類(1−1b)とを適宜組み合わせ、沸点が210℃以下の有機溶剤(2)中で反応させることにより容易に直接的に製造できる。当該有機溶剤(2)としては、沸点が210℃以下の有機溶剤であり、かつ生成するポリイミド樹脂(1−1)を溶解するものであればよく、種類及び使用量は特に限定されない。沸点が210℃を超える場合には、硬化膜中に溶剤が残存し、巻き取りや積層時のブロッキングの原因となるため好ましくない。このような沸点が210℃以下の有機溶剤(2)としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンなど、テトラカルボン酸類(1−1a)や生成するポリイミド樹脂(1−1)の溶解性が優れている為、好ましいが、上記例示の溶剤は、乾燥性が低く、ポリイミド−シリカハイブリッド層が膜厚10μmを超える場合には、乾燥時間が長くなり過ぎる為、これらの溶剤に加えて揮発性の高い有機溶剤を併用することがより好ましい。揮発性の高い有機溶剤としては、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族溶剤やメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、ジメチルジグリコールなどのエーテル系溶剤を挙げることができる。これらの有機溶剤を併用する場合には、ポリイミド樹脂(1−1)やテトラカルボン酸類(1−1a)の溶解性を考慮し、ポリイミド樹脂(1−1)製造時に用いる沸点が210℃以下の有機溶剤(2)として、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトンから選ばれる少なくとも一種の有機溶剤を20重量%以上用いることが好ましい。当該反応においては、反応温度は、80〜250℃程度、好ましくは100〜200℃、反応時間は0.5〜50時間程度、好ましくは1〜12時間である。また、触媒としてトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などを添加してもよい。
ポリイミド樹脂(1−1)の他の製造方法として、上記の構成原料から得られるポリアミック酸を脱水閉環させる方法がある。ポリアミック酸は前記のテトラカルボン酸類とジアミン類とを適宜に組み合わせ、上記記載の沸点が210℃以下の有機溶剤(2)中、0〜80℃で反応させることによって得られる。脱水閉環反応は80〜250℃程度、好ましくは100〜200℃、反応時間は0.5〜50時間程度、好ましくは1〜12時間で行えばよい。またこのイミド閉環反応では、脱水剤と触媒量の第3級アミンやピリジンなどの複素環アミンを使用してもよい。当該脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。
本発明で使用されるエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)は、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(1−2a)(以下、単にエポキシ化合物(1−2a)という)とメトキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱メタノール反応によって得られるものであり、特開2001−114894号公報記載の方法で合成できる。
エポキシ化合物(1−2a)としては、1分子中に水酸基を1つ有するエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、エポキシ化合物としては、分子量が小さいもの程、メトキシシラン部分縮合物(1−2b)との相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。エポキシ化合物(1−2a)の具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、ジオール又は2つの水酸基を有するフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。これらのエポキシ化合物の中でも、グリシドールが耐熱性付与効果の点で最も優れており、またメトキシシラン部分縮合物との反応性も高いため、最適である。
メトキシシラン部分縮合物(1−2b)としては、
一般式(1):R1 Si(OR2(4-m)
(式中、mは0又は1の整数示し、R1は炭素数8以下のアルキル基又はアリール基、R2はメチル基を示す。)
で表される加水分解性メトキシシランモノマーを、酸又は塩基触媒、及び水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
メトキシシラン部分縮合物(1−2b)の構成原料である加水分解性メトキシシランモノマーの具体例としては、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどがあげられる。メトキシシラン部分縮合物(1−2b)としては、エポキシ化合物(1−2a)との反応性が高いことから、テトラメトキシシラン又はメチルトリメトキシシランを70モル%以上用いて合成されたものが好ましい。
メトキシシラン部分縮合物(1−2b)の数平均分子量は230〜2000程度、1分子中のSiの平均個数は2〜11程度であることが好ましい。
エポキシ化合物(1−2a)とメトキシシラン部分縮合物(1−2b)との使用割合は、メトキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限されないが、得られるエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)中のエポキシ基の割合が、通常は、エポキシ化合物(1−2a)の水酸基の当量/メトキシシラン部分縮合物(1−2b)のメトキシル基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率で、メトキシシラン部分縮合物(1−2b)とエポキシ化合物(1−2a)とを脱メタノール反応させることが好ましい。
メトキシシラン部分縮合物(1−2b)とエポキシ化合物(1−2a)の反応は、例えば、当該各成分を仕込み、加熱し、生成するメタノールを留去しながら、脱メタノール反応を行う。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。
かかるメトキシ基含有シラン変性ポリイミド(1)の製造は、例えば、前記各成分を仕込み、実質的に無水状態で加熱して反応を行う。本反応はポリイミド樹脂(1−1)の分子末端のカルボキシル基及び/又は酸無水物基と、前記エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基の反応を主目的にしており、本反応中にエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)のメトキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成を抑える必要がある。そのため、反応温度は50〜120℃程度、好ましくは60〜100℃であり、全反応時間は1〜50時間程度で行うのが好ましい。
ポリイミド樹脂(1−1)とエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)との反応割合は、得られるメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の性能に影響するため、慎重に決定されなければならない。当該反応割合としては、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=0.7〜1.8とするのが好ましい。当該反応割合が0.7に満たない場合は、生成するメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の金属箔に対する密着性が劣る傾向があり、また1.8を超える場合には、当該反応時間が長くなりすぎる傾向がある。
また、上記の脱メタノール反応に際しては、反応促進のために従来公知のエポキシ基とカルボン酸とを反応させる際に使用する触媒を使用することができる。1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。反応触媒は生成するメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の硬化残分100重量部に対し、0.01〜5重量部の割合で使用するのが好ましい。
なお、上記反応は、上記記載の沸点が210℃以下の有機溶剤(2)中で行うことが好ましい。このような有機溶剤(2)としては、ポリイミド樹脂(1−1)製造時に例示したものが挙げられる。
こうして得られたメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)は、その分子中にメトキシシラン部分縮合物(1−2b)に由来するメトキシ基を有している。当該メトキシ基の含有量は、特に限定はされないが、このメトキシ基は極性溶剤の蒸発や加熱処理により、又は水分(湿気)との反応によりゾル−ゲル反応や脱メタノール縮合して、相互に結合した硬化物を形成するために必要となる。そのため、メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)は通常、メトキシシラン部分縮合物(1−2b)のメトキシ基の50〜95モル%、好ましくは60〜90モル%を未反応のままで保持しておくのが良い。かかるメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)から得られる硬化物は、
一般式(2):R1 SiO(4-m)/2
(式中、mは0又は1の整数示し、Rは炭素数8以下のアルキル基又はアリール基を示す。)
で示されるゲル化した微細なシリカ部位(シロキサン結合の高次網目構造)を有するポリイミド−シリカハイブリッドである。またメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)は、ポリイミド樹脂(1−1)がシラン変性されたものを主成分とするが、当該メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)の中には未反応のポリイミド樹脂(1−1)やメトキシシラン部分縮合物(1−2b)、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)、反応に使用した溶剤や触媒が含有されていてもよい。なお、未反応のメトキシシラン部分縮合物(1−2b)、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)は硬化時に、加水分解、重縮合によりシリカ硬化し、メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)と一体化し、ポリイミド−シリカハイブリッドとなる。
本発明のコーティング用樹脂組成物(3)は、メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)と沸点が210℃以下の有機溶剤(2)から構成される。有機溶剤(2)としてはポリイミド樹脂(1−1)の製造やエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)の製造に用いたのと同様のものを使用できる。また、本発明のコーティング用樹脂組成物(3)には、複合フィルムのカールの抑制や熱膨張率の制御、硬度を向上する目的で、従来公知の無機フィラーを添加してもよい。無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化マグネシウムなどの酸化物、カオリン、タルク、モンモリロナイトなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リン酸第3カルシウム、リン酸第2カルシウム、リン酸第1カルシウムなどのリン酸塩などを用いることができるが、これらに限定されない。これら無機フィラーの中でもコーティング用樹脂組成物(3)の安定性、無機フィラーの分散性、カール抑制等の効果を考慮すると、シリカを用いるのが最も好ましい。
通常、無機フィラーは、平均粒子径としては0.01μm以上5μm以下の範囲が好ましい。また配合量としては、コーティング用樹脂組成物(3)の硬化残分(溶剤(2)を揮発させ、メトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)のメトキシシリル部位をゾル−ゲル反応させた状態での固形分重量)に対し、50重量%以下の範囲が好ましい。なお、当該無機フィラー粒子の添加方法は、コーティング用樹脂組成物(3)を使用して製膜する迄の段階であれば特に制限はなく、例えば、ポリイミド樹脂(1−1)の重合段階や、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)との反応時に添加してもよく、また製膜の際に添加してもよい。
また、本発明のコーティング用樹脂組成物(3)には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種用途に応じて、有機溶剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、カップリング剤等を配合してもよい。
本発明の複合フィルムは、前記方法により得られた、コーティング用樹脂組成物(3)を、ポリエステルフィルム(4)の片面又は両面に塗布し、乾燥、硬化させることにより得られる。
ポリエステルフィルム(4)としては各種公知のポリエステル樹脂をフィルムとしたものを使用することができる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCDT)、ポリエチレンナフタレートビベンゾエート(PENBB)等が挙げられる。これらの中では、入手が容易で安価であるため、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。また、密着力を向上させるため表面処理をすることが好ましい。表面処理 としては、紫外線処理、コロナ放電処理、グロー放電処理、火焔処理、高周波処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、機械的処理、混酸処理、オゾン酸化処理などの表面活性化処理があり、これらの表面処理 の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、コロナ処理、グロー処理である。ポリエステルフィルム(4)の膜厚は特に限定されないが、機械的強度を考慮して、10〜200μm程度が好ましい。
ポリエステルフィルム(4)に、コーティング用樹脂組成物(3)を塗布する方法としては、特に制限されず公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、ポリエステルフィルム(4)表面に、コーティング用樹脂組成物(3)をアプリケーター、バーコーター等の器具によって塗布し、フィルム表面のコーティング用樹脂組成物(3)の厚さを均一化する。なお、当該コーティング用樹脂組成物(3)のフィルム表面への塗布方法については、上記の様なアプリケーターを使用する他に、連続的に複合フィルムを形成する方法として、一般的に知られているスクリーン印刷による塗布法や、グラビア塗布機(実公平2−7663号公報)、コンマコーター、スクリーン印刷機、ディップコーターを使用する方法、スプレー塗布する方法を採用しても良い。
このようにして得られたコーティング用樹脂組成物(3)を表面上に均一に塗布されたポリエステルフィルム(4)は、例えば、乾燥機により、乾燥及びゾル−ゲル硬化を行い、ポリイミド−シリカハイブリッド層とする。なお、乾燥温度は特に制限されないが、ポリエステルフィルム(4)が変形を起こさない温度で行うことが好ましく、通常、80〜150℃程度、好ましくは90〜150℃である。乾燥、及び硬化の時間は特に限定されないが、経済的利点から30分以内であることが好ましい。なお、ポリイミド−シリカハイブリッド層の膜厚としては、特に制限されないが、0.5〜20μmの範囲が好ましい。0.5μm未満では、難燃性や耐傷つき性が悪化する傾向があり、20μmを超えると乾燥・硬化に時間が掛かり好ましくない。また、乾燥・硬化温度が低い、乾燥・硬化温度時間が短い、ポリイミド−シリカハイブリッド層が厚いなどの理由により、沸点が210℃以下の有機溶剤(2)がポリイミド−シリカハイブリッド層中に残存する場合があるが、難燃性を考慮すると、ポリイミド−シリカハイブリッド層に対し残存する有機溶剤(2)の含有率は3重量%以下になる様、調整することが好ましい。
また、必要に応じて、上記コーティング用樹脂組成物(3)の塗布工程、乾燥工程を、フィルム表面の表裏でそれぞれ繰り返すことによって、ポリエステルフィルム(4)の両面にメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂硬化膜を形成することができる。
なお、本発明の複合フィルムを各用途で使用するに際しては、HB以上の鉛筆硬度、UL94、V-0の難燃性と180度の折り曲げ耐性を有することが好ましい。
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明する。
合成例1(エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)の製造) 攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)1400gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)8957.9gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約630gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約80gを減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)を得た。
なお、仕込み時のエポキシ化合物の水酸基の当量/メトキシシラン縮合物(B)のメトキシル基の当量(当量比)=0.10、エポキシ当量は512g/eqである。
合成例2
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物43.20g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン45.00g、N−メチルピロリドン248.82g、キシレン62.20gを仕込み、170℃で4時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−1という)。PIR−1の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.10である。またNMRおよびIR分析によるPIR−1のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−1を90℃に加熱し、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)7.21gを加え、90℃で8時間反応させた。エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.3である。室温まで冷却し、硬化残分26%のメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、コーティング用樹脂組成物(H1)という)。
合成例3
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸無水物48.88g、ピロメリット酸無水物5.25g、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン44.18g、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル8.77g、N−メチルピロリドン197.15g、キシレン49.29gを仕込み、170℃で3時間、生成する水を分水器より回収しながら脱水閉環反応させ、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(1−1)溶液を得た(以下、PIR−2という)。PIR−2の(テトラカルボン酸および/またはその無水物(1−1a)のモル数)/(ジアミン(1−1b)のモル数)=1.06である。またNMRおよびIR分析によるPIR−2のイミド閉環率は100%であった。
得られたPIR−2を90℃に加熱し、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)8.90gを加え、90℃で15時間反応させた。エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)のエポキシ基のモル数/ポリイミド樹脂(1−1)のモル数=1.6である。室温まで冷却し、硬化残分28%のメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)溶液を得た(以下、コーティング用樹脂組成物(H2)という)。
得られたコーティング用樹脂組成物を用い、下記の方法により、複合フィルムを製造した。なお、合成例2および3で得られた有機溶剤可溶ポリイミド樹脂(1−1)の各溶液(PIR−1、PIR−2)を、以下それぞれコーティング用樹脂組成物(1)、(2)という。
実施例1(複合フィルムの製造)
コーティング用樹脂組成物(H1)を、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックス」:膜厚50μm)に硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、120℃で10分、200℃で15分硬化させることによって、ポリイミド−シリカハイブリッド層を持つ複合フィルムを得た。
比較例1(複合フィルムの製造)
コーティング用樹脂組成物(1)を、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックス」:膜厚50μm)に硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、120℃で10分、200℃で15分硬化させることによって複合フィルムを得た。
実施例2(複合フィルムの製造)
コーティング用樹脂組成物(H1)のかわりにコーティング用樹脂組成物(H2)を用いた以外は同様の方法で、ポリイミド−シリカハイブリッド層を持つ複合フィルムを得た。
比較例2(複合フィルムの製造)
コーティング用樹脂組成物(1)のかわりにコーティング用樹脂組成物(2)を用いた以外は同様の方法で複合フィルムを得た。
(耐折り曲げ性)
実施例1、2および比較例1、2で得られた複合フィルムを180°折り曲げ、クラックが生じるか試験を行った。評価結果を表1に示す。
〇:クラックを生じない
×:クラックが発生した
Figure 0004487507
いずれもクラックを生じることはなく、実施例1、2のポリイミド−シリカハイブリッド層を持つ複合フィルムは、比較例1、2の複合フィルム同様の耐折り曲げ性を持つことが示された。また折り曲げ時に剥離する現象もなく、高い密着性を有する。
(耐傷つき性)
実施例1、2および比較例1、2で得られた複合フィルムを用い、JIS K−5400の塗料一般試験方法による鉛筆引っかき試験を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0004487507
以上に示す通り、実施例1、2のポリイミド−シリカハイブリッド層を持つ複合フィルムは、比較例1、2の複合フィルムに比べて表面硬度が高く、耐傷つき性が高いことが示された。
(電気的特性)
実施例1、2および比較例1、2で得られた複合フィルムを用い、JIS K−6911に準拠して表面抵抗、体積抵抗の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0004487507
以上に示す通り、実施例1、2のポリイミド−シリカハイブリッド層を持つ複合フィルムは、比較例1、2の複合フィルムと同等の体積抵抗を持ち、絶縁性に優れていることが示される。また、実施例1、2のポリイミド−シリカハイブリッド層を持つ複合フィルムは、比較例1、2の複合フィルムに比べて表面抵抗が低くなることより、複合フィルムが静電気に帯電しにくく、フィルム同士がくっついたり、埃を吸着することが抑えられることが示された。
(耐熱性)
実施例1および比較例1で得られた複合フィルムを用い、JIS C−2318に準拠して200℃、2時間で熱収縮率の測定を行った。結果を表4に示す。
Figure 0004487507
*ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックス」:膜厚50μm)
(難燃性)
UL規格に準拠して測定した。結果を表5に示す。
Figure 0004487507
*ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「テオネックス」:膜厚50μm)
実施例1、2のポリイミド−シリカハイブリッド層を持つ複合フィルムは、比較例1、2の複合フィルム以上に、難燃性が高いことが示された。
複合フィルムとしては、難燃性を要求される種々の用途、例えば、壁紙、物品の表面保護膜等に用いることができる。耐熱性を利用した用途としては、回路構成用の基板、電極(透明電極を含む)、固定抵抗、可変抵抗、耐熱性面
状発熱体、自己制御可能発熱体、放熱回路板面状発熱体、低誘電性絶縁材、高誘電性絶縁材として使用できる。特に本発明の複合フィルムは、フレキシブルプリント基板、TABテープとして好適である。

Claims (7)

  1. カルボキシル基及び/又は酸無水物基を分子末端に有し有機溶剤に可溶でありイミド閉環率が90%以上であるポリイミド樹脂(1−1)と、1分子中に1つの水酸基を有するエポキシ化合物(1−2a)とメトキシシラン部分縮合物(1−2b)との脱メタノール反応によって得られるエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(1−2)とを、開環エステル反応させてなるメトキシ基含有シラン変性ポリイミド樹脂(1)並びに沸点が210℃以下の有機溶剤(2)を含有することを特徴とするコーティング用樹脂組成物(3)を、ポリエステルフィルム(4)の片面又は両面に塗布し、乾燥、硬化させることを特徴とする複合フィルム。
  2. エポキシ化合物(1−2a)がグリシドールである請求項1に記載の複合フィルム。
  3. ポリイミド樹脂(1−1)が、テトラカルボン酸及び/又はその無水物(1−1a)とジアミン類(1−1b)とを反応モル比〔(1−1a)/(1−1b)〕が1.03〜1.70の範囲で反応させて得られるものである請求項1又は2に記載の複合フィルム。
  4. 沸点が210℃以下の有機溶剤(2)がN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン及びγ−ブチロラクトンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れか記載の複合フィルム。
  5. コーティング用樹脂組成物を80〜150℃で乾燥、硬化して得られる請求項1〜4の何れか記載の複合フィルム。
  6. コーティング用樹脂組成物から得られるコーティング層が0.1〜40μmである請求項1〜5の何れか記載の複合フィルム。
  7. ポリエステルフィルムがポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムである請求項1〜6の何れか記載の複合フィルム。
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