JP2004051438A - 圧電磁器組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】PbOの蒸発を回避し得る低温、即ち、1050℃以下の温度で焼結可能なPZT系圧電セラミクスを提供すること。
【解決手段】主成分としての、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3からなる3成分のモル分率を適正な範囲に設定するとともに、Pb(Zn1/2W1/2)O3を0〜20重量%(0を含まない)、ZnOを0〜3重量%(0を含まない)添加することで、1000℃以下で焼結可能で、しかも必要な特性を発現し得るPZT系圧電セラミクスを得る。
【選択図】 図1
【解決手段】主成分としての、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3からなる3成分のモル分率を適正な範囲に設定するとともに、Pb(Zn1/2W1/2)O3を0〜20重量%(0を含まない)、ZnOを0〜3重量%(0を含まない)添加することで、1000℃以下で焼結可能で、しかも必要な特性を発現し得るPZT系圧電セラミクスを得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種超音波振動子、セラミックフィルタ、圧電発音体、圧電アクチュエータなどの圧電体に使用される圧電磁器組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、圧電磁器材料の汎用品として、PbTiO3、PbZrO3を主成分として含む圧電セラミクス(以下、PZT系圧電セラミクスと称する)が用いられている。一般に、この種の圧電セラミクスでは、その製造に要する焼結温度が2成分系では約1260℃であり、さらに特性改善のために複合ペロブスカイト類を第三成分、第四成分として固溶させた多成分PZT圧電セラミクスでは、焼結温度が多少低下して1200℃近辺となっている。
【0003】
ところで、PZT系圧電セラミクスの焼結過程において、主成分の一つであるPbOの蒸発が1000℃近辺から急激に増加することが知られている。従って、上記の温度領域では多量のPbOの蒸発が起こるという問題がある。PbOの蒸発は、焼結体の組成ずれを引き起こし、特性のばらつきや劣化を招き、さらには蒸発したPbOを含む物質が環境汚染の原因となる。
【0004】
そこで、PbOの蒸発を制御することは、PZT系圧電セラミクスの製造上、非常に重要となっており、このためには焼結温度を1000℃以下にすることが望ましい。焼結温度の低下は、省エネルギーの点でも有益である上に、例えば一体焼結で製造される積層型圧電素子の場合、焼結温度が低下できれば内部電極の構成において、パラジウムの比率を減少し、銀の比率を増大させることが可能でとなり、製造コスト面で有利となると期待される。このように、PZT系圧電セラミクスの焼結温度を低化させることは、製造コスト面での長所を有する他、省エネルギーを具現化する点でも有益である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のPZT系圧電セラミクスの場合、一般に焼結温度が1200℃以上に設定する必要があるため、PbOの蒸発を回避したり、製造コストを低減したりすることが困難となっている。従って、本発明の技術的な課題は、PbOの蒸発を回避できる1000℃以下の比較的低温で焼成可能であるとともに、製造コストを低減し得る圧電磁器組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の問題解決のため、PZT系圧電セラミクスに添加物を加えることで、焼結温度を低下させることを検討した結果なされたものである。
【0007】
即ち、本発明は、PbTi03、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3の3成分からなり、PbTiO3のモル分率をa、PbZrO3のモル分率をb、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のモル分率をcとしたとき、3成分のモル分率を示す三角座標において、a=0.60、b=0.40、c=0なる組成を示す点A、a=0.62、b=0.30、c=0.08なる組成を示す点B、a=0.45、b=0.30、c=0.25なる組成を示す点C、a=0.25、b=0.57、c=0.18なる組成を示す点D、a=0.21、b=0.70、c=0.09なる組成を示す点E、a=0.35、b=0.65、c=0なる組成を示す点Fを結ぶ線で囲まれる範囲(線上を含まない)の組成を有する主成分に対し、Pb(Zn1/2W1/2)O3で示される成分が0〜20重量%添加されてなることを特徴とする圧電磁器組成物である。
【0008】
また、本発明は、前記の圧電磁器組成物に、ZnOが1〜3重量%添加されてなることを特徴とする圧電磁器組成物である。
【0009】
【作用】
一般に、PbTiO3及びPbZrO3からなる固溶体のAサイトに、Pbを含む複合ペロブスカイトを第三成分として固溶させると、この比率が大きいほど焼結温度が低下する。これは、複合ペロブスカイトの融点が、1200℃以下と、低いことに起因している。
【0010】
多成分のPZT圧電セラミクスである、PbTiO3及びPbZrO3からなる固溶体は、1種もしくは複数種の複合ペロブスカイトを固溶させることで、2成分系では得られない優れた誘電特性や圧電特性が発現可能であり、実用に供されている。
【0011】
特に、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3を固溶させた場合は、数百〜数千の機械的品質係数と、高い誘電特性、圧電特性が得られる。また、第4の成分、具体的には、Pb(Zn1/2W1/2)O3やZnOなどを一定の範囲で添加することにより、前記3成分系の圧電特性を維持しつつ、低温での焼結を可能とし得る。
【0012】
また、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3、Pb(Zn1/2W1/2)O3、ZnOの配合比を前記のように限定したのは、PZT系圧電セラミクスとして必要な特性である、比誘電率:εrが350以上、電気機械結合係数:Kpが25以上、機械的品質係数:Qmが500以上を発現させるためである。
【0013】
また、前記のように、焼結工程におけるPbOの蒸発を抑制するには、焼結温度を1000℃以下に抑える必要がある。しかし、焼結温度を低下させることは、焼結体密度の低下に繋がり、ひいては特性が低下するという結果となる。
【0014】
PZT系圧電セラミクスとして必要な諸特性を確保するには、焼結体の密度を一定以上とする必要があるが、焼結温度が同じであっても、原料の組成によって焼結密度が変わるので、ここでは、焼結体の密度が7.7g/cm3以上となる温度を求めた。つまり、前記の各原料の配合比を限定したもう一つの理由は、焼結体密度が7.7g/cm3以上となる温度が、1000℃以下となることである。
【0015】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、具体的な例を挙げ、詳しく説明する。
【0016】
まず、主成分及び副成分の原料として、PbO、TiO2、ZrO2、MnCO3、SbO3、ZnO、WO3をそれぞれ秤量した。表1には、調製した各組成について、前記原料の秤量組成を示した。
【0017】
【表1】
【0018】
これらの原料をジルコニアボールとともに、アクリルポットに投入して、20時間湿式粉砕した。次いで、アクリルポットから取り出した混合粉末を、アルミナ製の匣鉢に挿入して、800℃の温度で2時間予焼を行ない、再びジルコニアボールとともにアクリルポットに投入して、15時間湿式粉砕した。
【0019】
次に、ポットから取り出した予焼粉末を、乾燥してバインダを混合し、金型を用いて圧縮成形し、直径が15mm、厚さが3mmの円盤状のグリーン体を得た。これらのグリーン体を焼結して厚さ1mmに加工した後、両面に銀ペーストの塗付、温度450℃での焼き付けを施すことで電極を形成し、評価用の試料とした。
【0020】
試料の評価は、100℃、4kV/mmの条件で15分間分極処理を施した後、比誘電率:εr、電気機械結合係数:Kp、機械的品質係数:Qmを測定した。表2は、これらの結果をまとめて示したものである。併せて、前記の焼結体密度が7.7g/cm3以上となる温度も、Tsとして記載した。
【0021】
【表2】
【0022】
表1に示したように、本発明の組成の範囲から外れるのは、No.1、No.3、No.10、No.11、No.13、No.14、No.18、No.20、No.24の試料であるが、これらの試料は、表2に示したように、εr、Kp、Qm、Tsのうちのいずれかが、前記の必要な特性値となっていないことが明らかである。
【0023】
つまり、No.1のように、PbTiO3のモル分率が0.62を超え、PbZrO3のモル分率が0.3以下では、εr、Kpが低い数値となり、好ましくない。また、No.3のように、第4の成分であるPb(Zn1/2W1/2)O3の添加量が0では、焼結温度が1170℃となり、焼結工程におけるPbOの蒸発が顕著となり好ましくない。
【0024】
No.10のように、ZnOの添加量が過剰である場合や、No.11のようにPb(Zn1/2W1/2)O3の添加量が過剰である場合は、εr、Qmが低い数値となり好ましくない。また、No.13のように、PbZrO3のモル分率が0.7を超える場合や、No.14のように、PbZrO3のモル分率が0.3以下では、Kpが低い数値となり、好ましくない。
【0025】
No.18のように、PbTiO3のモル分率が0.21以下では、εr、Kpが低い数値となり、好ましくない。また、No.20のように、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のモル分率が0.25を超える場合は、Kpが低い数値となり、好ましくない。また、No.24のように、ZnOの添加量が1重量%未満では、焼結温度が1000℃を超えてしまうので、好ましくない。
【0026】
図1は、適正なモル分率の範囲を三角座標で示した図である。つまり、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のモル分率が、図1に示した点ABCDEFで形成される六角形に含まれ、かつ、Pb(Zn1/2W1/2)O3の添加量が、0〜20重量%(0を含まない)、ZnOの添加量が、0〜3重量%(0を含まない)の組成であれば、焼結温度を1000℃以下に抑制でき、かつPZT系圧電セラミクスとして、必要な特性を発現できることが明らかである。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、主成分及び第4の成分として、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3、Pb(Zn1/2W1/2)O3を含むPZT系圧電セラミクスに、さらにZnOを加えて、各成分の配合比を調整することにより、比誘電率:εrが350以上、電気機械結合係数:Kpが25以上、機械的品質係数:Qmが500以上で、焼結温度を、PbOの蒸発を抑制可能な1000℃とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】適正なモル分率の範囲を三角座標で示す図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種超音波振動子、セラミックフィルタ、圧電発音体、圧電アクチュエータなどの圧電体に使用される圧電磁器組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、圧電磁器材料の汎用品として、PbTiO3、PbZrO3を主成分として含む圧電セラミクス(以下、PZT系圧電セラミクスと称する)が用いられている。一般に、この種の圧電セラミクスでは、その製造に要する焼結温度が2成分系では約1260℃であり、さらに特性改善のために複合ペロブスカイト類を第三成分、第四成分として固溶させた多成分PZT圧電セラミクスでは、焼結温度が多少低下して1200℃近辺となっている。
【0003】
ところで、PZT系圧電セラミクスの焼結過程において、主成分の一つであるPbOの蒸発が1000℃近辺から急激に増加することが知られている。従って、上記の温度領域では多量のPbOの蒸発が起こるという問題がある。PbOの蒸発は、焼結体の組成ずれを引き起こし、特性のばらつきや劣化を招き、さらには蒸発したPbOを含む物質が環境汚染の原因となる。
【0004】
そこで、PbOの蒸発を制御することは、PZT系圧電セラミクスの製造上、非常に重要となっており、このためには焼結温度を1000℃以下にすることが望ましい。焼結温度の低下は、省エネルギーの点でも有益である上に、例えば一体焼結で製造される積層型圧電素子の場合、焼結温度が低下できれば内部電極の構成において、パラジウムの比率を減少し、銀の比率を増大させることが可能でとなり、製造コスト面で有利となると期待される。このように、PZT系圧電セラミクスの焼結温度を低化させることは、製造コスト面での長所を有する他、省エネルギーを具現化する点でも有益である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のPZT系圧電セラミクスの場合、一般に焼結温度が1200℃以上に設定する必要があるため、PbOの蒸発を回避したり、製造コストを低減したりすることが困難となっている。従って、本発明の技術的な課題は、PbOの蒸発を回避できる1000℃以下の比較的低温で焼成可能であるとともに、製造コストを低減し得る圧電磁器組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の問題解決のため、PZT系圧電セラミクスに添加物を加えることで、焼結温度を低下させることを検討した結果なされたものである。
【0007】
即ち、本発明は、PbTi03、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3の3成分からなり、PbTiO3のモル分率をa、PbZrO3のモル分率をb、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のモル分率をcとしたとき、3成分のモル分率を示す三角座標において、a=0.60、b=0.40、c=0なる組成を示す点A、a=0.62、b=0.30、c=0.08なる組成を示す点B、a=0.45、b=0.30、c=0.25なる組成を示す点C、a=0.25、b=0.57、c=0.18なる組成を示す点D、a=0.21、b=0.70、c=0.09なる組成を示す点E、a=0.35、b=0.65、c=0なる組成を示す点Fを結ぶ線で囲まれる範囲(線上を含まない)の組成を有する主成分に対し、Pb(Zn1/2W1/2)O3で示される成分が0〜20重量%添加されてなることを特徴とする圧電磁器組成物である。
【0008】
また、本発明は、前記の圧電磁器組成物に、ZnOが1〜3重量%添加されてなることを特徴とする圧電磁器組成物である。
【0009】
【作用】
一般に、PbTiO3及びPbZrO3からなる固溶体のAサイトに、Pbを含む複合ペロブスカイトを第三成分として固溶させると、この比率が大きいほど焼結温度が低下する。これは、複合ペロブスカイトの融点が、1200℃以下と、低いことに起因している。
【0010】
多成分のPZT圧電セラミクスである、PbTiO3及びPbZrO3からなる固溶体は、1種もしくは複数種の複合ペロブスカイトを固溶させることで、2成分系では得られない優れた誘電特性や圧電特性が発現可能であり、実用に供されている。
【0011】
特に、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3を固溶させた場合は、数百〜数千の機械的品質係数と、高い誘電特性、圧電特性が得られる。また、第4の成分、具体的には、Pb(Zn1/2W1/2)O3やZnOなどを一定の範囲で添加することにより、前記3成分系の圧電特性を維持しつつ、低温での焼結を可能とし得る。
【0012】
また、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3、Pb(Zn1/2W1/2)O3、ZnOの配合比を前記のように限定したのは、PZT系圧電セラミクスとして必要な特性である、比誘電率:εrが350以上、電気機械結合係数:Kpが25以上、機械的品質係数:Qmが500以上を発現させるためである。
【0013】
また、前記のように、焼結工程におけるPbOの蒸発を抑制するには、焼結温度を1000℃以下に抑える必要がある。しかし、焼結温度を低下させることは、焼結体密度の低下に繋がり、ひいては特性が低下するという結果となる。
【0014】
PZT系圧電セラミクスとして必要な諸特性を確保するには、焼結体の密度を一定以上とする必要があるが、焼結温度が同じであっても、原料の組成によって焼結密度が変わるので、ここでは、焼結体の密度が7.7g/cm3以上となる温度を求めた。つまり、前記の各原料の配合比を限定したもう一つの理由は、焼結体密度が7.7g/cm3以上となる温度が、1000℃以下となることである。
【0015】
【実施例】
次に、本発明の実施例について、具体的な例を挙げ、詳しく説明する。
【0016】
まず、主成分及び副成分の原料として、PbO、TiO2、ZrO2、MnCO3、SbO3、ZnO、WO3をそれぞれ秤量した。表1には、調製した各組成について、前記原料の秤量組成を示した。
【0017】
【表1】
【0018】
これらの原料をジルコニアボールとともに、アクリルポットに投入して、20時間湿式粉砕した。次いで、アクリルポットから取り出した混合粉末を、アルミナ製の匣鉢に挿入して、800℃の温度で2時間予焼を行ない、再びジルコニアボールとともにアクリルポットに投入して、15時間湿式粉砕した。
【0019】
次に、ポットから取り出した予焼粉末を、乾燥してバインダを混合し、金型を用いて圧縮成形し、直径が15mm、厚さが3mmの円盤状のグリーン体を得た。これらのグリーン体を焼結して厚さ1mmに加工した後、両面に銀ペーストの塗付、温度450℃での焼き付けを施すことで電極を形成し、評価用の試料とした。
【0020】
試料の評価は、100℃、4kV/mmの条件で15分間分極処理を施した後、比誘電率:εr、電気機械結合係数:Kp、機械的品質係数:Qmを測定した。表2は、これらの結果をまとめて示したものである。併せて、前記の焼結体密度が7.7g/cm3以上となる温度も、Tsとして記載した。
【0021】
【表2】
【0022】
表1に示したように、本発明の組成の範囲から外れるのは、No.1、No.3、No.10、No.11、No.13、No.14、No.18、No.20、No.24の試料であるが、これらの試料は、表2に示したように、εr、Kp、Qm、Tsのうちのいずれかが、前記の必要な特性値となっていないことが明らかである。
【0023】
つまり、No.1のように、PbTiO3のモル分率が0.62を超え、PbZrO3のモル分率が0.3以下では、εr、Kpが低い数値となり、好ましくない。また、No.3のように、第4の成分であるPb(Zn1/2W1/2)O3の添加量が0では、焼結温度が1170℃となり、焼結工程におけるPbOの蒸発が顕著となり好ましくない。
【0024】
No.10のように、ZnOの添加量が過剰である場合や、No.11のようにPb(Zn1/2W1/2)O3の添加量が過剰である場合は、εr、Qmが低い数値となり好ましくない。また、No.13のように、PbZrO3のモル分率が0.7を超える場合や、No.14のように、PbZrO3のモル分率が0.3以下では、Kpが低い数値となり、好ましくない。
【0025】
No.18のように、PbTiO3のモル分率が0.21以下では、εr、Kpが低い数値となり、好ましくない。また、No.20のように、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のモル分率が0.25を超える場合は、Kpが低い数値となり、好ましくない。また、No.24のように、ZnOの添加量が1重量%未満では、焼結温度が1000℃を超えてしまうので、好ましくない。
【0026】
図1は、適正なモル分率の範囲を三角座標で示した図である。つまり、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のモル分率が、図1に示した点ABCDEFで形成される六角形に含まれ、かつ、Pb(Zn1/2W1/2)O3の添加量が、0〜20重量%(0を含まない)、ZnOの添加量が、0〜3重量%(0を含まない)の組成であれば、焼結温度を1000℃以下に抑制でき、かつPZT系圧電セラミクスとして、必要な特性を発現できることが明らかである。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、主成分及び第4の成分として、PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3、Pb(Zn1/2W1/2)O3を含むPZT系圧電セラミクスに、さらにZnOを加えて、各成分の配合比を調整することにより、比誘電率:εrが350以上、電気機械結合係数:Kpが25以上、機械的品質係数:Qmが500以上で、焼結温度を、PbOの蒸発を抑制可能な1000℃とすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】適正なモル分率の範囲を三角座標で示す図。
Claims (2)
- PbTiO3、PbZrO3、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のPbTiO3のモル分率をa、PbZrO3のモル分率をb、Pb(Mn1/3Sb2/3)O3のモル分率をcとしたとき、3成分のモル分率を示す三角座標において、a=0.60、b=0.40、c=0なる組成を示す点A、a=0.62、b=0.30、c=0.08なる組成を示す点B、a=0.45、b=0.30、c=0.25なる組成を示す点C、a=0.25、b=0.57、c=0.18なる組成を示す点D、a=0.21、b=0.70、c=0.09なる組成を示す点E、a=0.35、b=0.65、c=0なる組成を示す点Fを結ぶ線で囲まれる範囲(線上を含まない)の組成を有する主成分に対し、Pb(Zn1/2W1/2)O3で示される成分が0〜20重量%(0を含まない)添加されてなることを特徴とする圧電磁器組成物。
- 請求項1に記載の圧電磁器組成物に、ZnOが1〜3重量%(0を含まない)添加されてなることを特徴とする圧電磁器組成物。
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JP2002212208A JP2004051438A (ja) | 2002-07-22 | 2002-07-22 | 圧電磁器組成物 |
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JP (1) | JP2004051438A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7944127B2 (en) * | 2007-05-14 | 2011-05-17 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Piezoelectric ceramic composition and piezoelectric part |
JP2015010007A (ja) * | 2013-06-27 | 2015-01-19 | 太平洋セメント株式会社 | 圧電磁器およびこれを用いた圧電素子 |
CN112573916A (zh) * | 2020-12-21 | 2021-03-30 | 西安交通大学 | 一种PbHfO3基陶瓷材料及其制备方法 |
-
2002
- 2002-07-22 JP JP2002212208A patent/JP2004051438A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7944127B2 (en) * | 2007-05-14 | 2011-05-17 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Piezoelectric ceramic composition and piezoelectric part |
JP2015010007A (ja) * | 2013-06-27 | 2015-01-19 | 太平洋セメント株式会社 | 圧電磁器およびこれを用いた圧電素子 |
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