JP2004051212A - 抜刃装置およびこれを用いた蓋部の打ち抜き方法 - Google Patents

抜刃装置およびこれを用いた蓋部の打ち抜き方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋸歯状の抜刃を用いずに済むとともにカップに対する蓋部の抜きずれを抑えて、見栄えおよび手触りの良い蓋部を成形可能な抜刃装置およびこれを用いた蓋部の打ち抜き方法を提供する。
【解決手段】口部101aより大きな面積のシート31aにて口部を閉口したカップ101を載置台13の貫通孔13aに嵌め込んで首受け状態で支持しつつ、前記口部外周に沿った所定形状に前記シートを打ち抜いてカップの蓋部を成形する抜刃装置である。前記貫通孔の周りに沿って、前記載置台から前記シートに向けて突出形成された筒状の抜刃53と、該抜刃の刃先53aと対向して配されて、該刃先とで前記シートを挟み込んで前記蓋部に打ち抜くための樹脂製の押圧部材56とを備える。
【選択図】   図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、口部よりも大きな面積のシートにて口部を閉口したカップを、載置台の貫通孔に嵌め込んで首受け状態で支持しつつ、前記口部外周に沿った所定形状に前記シートを打ち抜いてカップの蓋部を成形する抜刃装置およびこれを用いた蓋部の打ち抜き方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粒状や棒状のスナック菓子は、図7に示すような、カップ101の口部101aを、紙やビニール製のシート103で蓋してなるカップ状容器105に収容されて市場に提供されている。そして、このカップ101の口部101aを蓋するための口部密封装置としては、実開平6−8202号に示されたものが通常使用されている。
【0003】
この口部密封装置の側面視の概略図を図8に示すが、この装置201は、カップ101を載置する載置台としてのスラット(小割板)213を多数有するスラットコンベヤ211を備えている。そして、図9のスラットの側断面図に示すように、各スラット213に形成された貫通孔213aにカップ101を嵌め込んだ首受け状態で、図8に示す処理ポジションP2,P3,…P5へとスラット213を移動しながら、カップ101に内容物(不図示)を詰めて蓋をするようになっている。
【0004】
前記処理ポジションとしては、カップ101内に内容物を充填するための充填ポジションP2と、シートロール231から連続的にシート231aを巻き出してこのシート231aをカップ101の口部101a上面にあてがって供給するためのシート供給ポジションP3と、このあてがったシート231aをカップ101の口部101aに押し付けて貼着し口部101aを閉口するためのシールポジションP4と、この貼着したシート231aを、この閉口状態で蓋部形状に打ち抜いてカップ101毎に蓋部を成形するための打ち抜きポジションP5とが設定されている。
【0005】
この中で、打ち抜きポジションP5に配置される抜刃装置の側断面図を図10に示す。この抜刃装置251は、前記スラット213の上方に位置して上下に昇降動作する抜刃253を備えている。そして、この打ち抜きポジションP5に移動してきたスラット213が停留している間に、この抜刃253をスラット213へ向けて下降させ、カップ101の口部101aに貼り付けられたシート231aを、口部101aの外周に沿って打ち抜いてカップ101の蓋部231bを成形する。
【0006】
但し、図10(b)に示す打ち抜き時における抜刃253の刃先保護のために、スラット213には前記貫通孔213aの外周に沿って抜刃逃がし用溝213bが形成されており、打ち抜き時に刃先253aがスラット213と接触しないようになっている。このため、前記シート231aを蓋部形状に打ち抜く際には、逃がし用溝213bに入った刃先253aに単にシート231aが引っ張られて切断されるため、その切断性は悪かった。そこで、これを改善すべく、図11に示すように刃先253bを鋸歯状にすることが一般的になされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この鋸歯状刃先253bによる切断線はギザギサであり、見栄えや手触りが悪いものであった。
また、前記抜刃253は、カップ101を支持する載置台としてのスラット213とは独立に配置されており、スラット213が、打ち抜きポジションP5に固設された抜刃253に対して走行方向に移動するようになっている。このため、打ち抜きポジションP5へのスラット213の停留位置精度によっては、前記貫通孔213aに支持されたカップ101と抜刃253の平面位置がずれてしまうことが起こり得て、もって抜刃253によって打ち抜いた蓋部がカップ101の口部101aに対して位置ズレする、つまり抜きずれを生じることがあって、商品の見栄えが悪くなる虞があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、鋸歯状の抜刃を用いずに済むとともにカップに対する蓋部の抜きずれを抑えて、見栄えおよび手触りの良い蓋部を成形可能な抜刃装置およびこれを用いた蓋部の打ち抜き方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明の請求項1に係る発明は、口部より大きな面積のシートにて口部を閉口したカップを、載置台の貫通孔に嵌め込んで首受け状態で支持しつつ、前記口部外周に沿った所定形状に前記シートを打ち抜いてカップの蓋部を成形する抜刃装置において、前記貫通孔の周りに沿って、前記載置台から前記シートに向けて突出形成された筒状の抜刃と、該抜刃の刃先と対向して配されて、該刃先とで前記シートを挟み込んで前記蓋部に打ち抜くための樹脂製の押圧部材と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記発明によれば、抜刃の刃先と押圧部材とでシートを挟み込んで蓋部に打ち抜くため、切断性に優れる。よって、抜刃の刃先を鋸歯状にしなくて済み、もって刃先が直線状の直線刃を用いて滑らかな切断線に打ち抜くことができる。尚、前記押圧部材が樹脂製であるため、打ち抜き時に抜刃の刃先を痛めることも無い。
【0011】
また、抜刃は、カップを支持する貫通孔が形成された載置台に形成されている。このため、この載置台の製作時に、貫通孔に対して正確な位置に抜刃を据え付けさえすれば、シートの打ち抜き時にカップの口部から蓋部がずれて打ち抜かれてしまうことは絶対に無い。よって、前記シートにおける、カップの口部から所定量だけ離れた部分を確実に切断することができて、もって見栄えの良い蓋部を成形することができる。
【0012】
請求項2に示す発明は、請求項1に記載の抜刃装置において、前記カップは、前記押圧部材から付与される押し力に応じて前記貫通孔の嵌入方向に移動可能に支持されている一方、前記押し力が付与されない状態では前記口部は、前記刃先よりも前記押圧部材側に突出し、該押圧部材は、前記シートを前記カップと共に前記貫通孔の嵌入方向に移動させながら、該シートを前記刃先とで挟み込んで打ち抜くことを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、打ち抜き前には押し力は付与されないので、カップの口部は刃先よりも押圧部材側に突出しており、もって口部を閉口するシートが刃先に接触することはない。よって、打ち抜き前に、刃先によってシートが傷付けられたり、中途半端に切断されたりするのを確実に防ぐことができる。
【0014】
また、打ち抜き時には、押圧部材によってカップ全体を貫通孔の嵌入方向に押して、口部高さを刃先とほぼ面一に揃えた状態でシートを切断する。このため、この打ち抜き時に、蓋部における口部と抜刃との間に位置する部分が、口部を境に下向きに折れてしまうのを防ぐことができて、もって綺麗な蓋部を成形可能となる。
【0015】
請求項3に示す発明は、請求項1又は2のいずれかに記載の抜刃装置において、前記打ち抜き前のシートは、複数のカップの口部を同時に閉口していることを特徴とする。
上記発明によれば、一度に複数の蓋部を打ち抜くことができるので、生産性が向上する。
【0016】
請求項4に示す発明は、請求項3に記載の抜刃装置において、前記載置台には、複数のカップを支持するために前記貫通孔が複数形成されるとともに、これら貫通孔の抜刃と同じ刃先高さの分断刃が前記シートを横断して設けられ、前記押圧部材は、前記分断刃および複数の抜刃の全てに亘って対向して配され、前記打ち抜き時に前記分断刃は、前記押圧部材とで前記シートを挟み込んで分断することを特徴とする。
【0017】
上記発明によれば、押圧部材が前記抜刃とで前記シートを挟み込んで複数の蓋部に打ち抜く際に、これと同時に、該押圧部材は、前記抜刃と同高の分断刃とによって前記シートを挟み込んでこれを分断する。よって、蓋部を打ち抜かれたシート残部は、分断されて扱いやすい小片となるので前記シート残部を簡単に処分することができる。
【0018】
請求項5に示す発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の抜刃装置を用いて、前記カップの口部を閉口するシートから前記カップの蓋部を打ち抜くことを特徴とする蓋部の打ち抜き方法。
上記発明によれば、打ち抜き成形された蓋部の輪郭をギザギザの無い滑らかなものにすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1(a)は、本発明に係る抜刃装置を用いた口部密封装置を示す側面図であり、図1(b)は、図1(a)中のB−B線矢視の平断面図である。
この口部密封装置1は、自身が備えるコンベヤ11の前端から後端へとカップ101を水平に搬送する間に、コンベヤ11に沿って設定された複数の処理ポジションP1,P2,…P6において定められた各種処理を行うことによって、図8に示した、カップ101の口部101aに蓋をしたカップ状商品105を生産するものである。すなわち、このコンベヤ11には、前記処理ポジションとして、前工程にて成形されたカップ101を供給するためのカップ供給ポジションP1と、このカップ101内に内容物を充填するための充填ポジションP2と、シートロール31から連続的に巻き出したシート31aをカップ101の口部101a上面にあてがって供給するためのシート供給ポジションP3と、このあてがったシート31aを前記口部101aに貼着して口部101aを閉口するためのシールポジションP4と、この貼着したシート31aを閉口状態で蓋部形状に打ち抜いてカップ毎に蓋部を成形するための打ち抜きポジションP5と、この蓋されたカップ101を次工程へ搬出するための搬出ポジションP6とが設定されている。
【0020】
=== コンベヤ ===
前記コンベヤ11は、エンドレスチェーン12上に水平なスラット(小割板)13が多数配されてなるスラットコンベヤである。そして、このコンベヤ11は、スラット13を各処理ポジション毎に、各処理に必要な時間だけ停留するという間欠走行を行うようになっている。
【0021】
図2にこのスラットを前方から見た斜視図を示す。このスラット13は、カップ101を支持する前記載置台として機能するものであり、前記一連の処理時において曲がらない程度の剛性を有する矩形板である一方、各前記処理ポジションにおいては上下方向の移動は不可能に拘束されている。これは、前記各処理を安定して実行可能にするためである。
【0022】
このようなスラット13には、これを、厚み方向である上下方向に貫通する貫通孔13aが、走行方向およびこれと直行する幅方向のそれぞれに二箇所ずつの計4つ形成されている。図3(a)に、この貫通孔を拡大して示す平面図を、図3(b)に、この貫通孔中心における縦断面図を示す。また図4に、この貫通孔にてカップを支持した状態の縦断面図を示す。
【0023】
図4に示すように、この貫通孔13aは、前記カップ101を嵌め込んで支持するものであり、カップ101を抵抗無く抜き差し可能にすべく、カップ外径よりもわずかに大径の円形に形成されている。尚、この実施例のカップ101は、高さ方向に亘ってカップ外径が一定のストレート管であり、その口部101aは全周に亘って外側にカールしている。そして、このカールした口部101aが、貫通孔13aの周縁部に敷設された後記支持部材55に当接することによって下方へ抜け落ちること無く、その口部101aを上に向けた鉛直姿勢のままスラット13に首受け状態で支持されるようになっている。
【0024】
図3に示すように、この貫通孔13aの周囲には、打ち抜く予定の蓋部輪郭と同形状の筒状鋼製抜刃53が、その刃先を鉛直上方に向けて立設固定されている。この抜刃53の刃先53aは直線刃に形成されており、もって後記打ち抜きポジションP5で打ち抜かれた蓋部の輪郭は、ギザギザのない滑らかなものとなる。また、抜刃53の下端部53bは、スラット13内に埋没固定されているため、打ち抜き時に抜刃53に作用する下方向の押し力に対抗可能となっている。
【0025】
尚、図4に示すように、前記貫通孔13aにてカップ101を支持した状態における口部101a上面の高さを、前記抜刃53の刃先53aよりも高くする目的で、抜刃53の内周縁から前記貫通孔13aの周縁部に亘る領域には、平坦な支持部材55が敷設されている。そして、この支持部材55の上面に、前記カールした口部101aの下面が当接して、カップ101を支持するようになっている。この支持部材55を敷設している理由は、後記シールポジションP4にて口部101a上面に貼着されたシート31aが、打ち抜きポジションP5で打ち抜かれるよりも以前に刃先53aと接触して、シート31aが傷つけられたり中途半端に切断されてしまうのを防ぐためである。
【0026】
この支持部材55は、上層部55aおよび下層部55bの二層構造になっている。下層部55bは、付与される力に応じて柔軟に弾性変形する例えばウレタンゴム等の弾性材料からなり、上層部55aは、前記下層部55bよりも硬質な例えばナイロン樹脂等の硬質材料からなる。そして、後記打ち抜きポジションP5における押圧部材56が、シート31aを介して口部101aを下方へと押し込むと、その押し力に応じて下層部55bは圧縮変形して、もって口部101aを概ね水平に維持しつつカップ101全体が貫通孔13aの嵌入方向である下方向に移動するようになっている。尚、この押し力が無くなれなれば、前記圧縮変形は解消されて、再び口部101a上面が抜刃53より高い位置に復帰するのは言うまでもない。
【0027】
=== カップ供給ポジション ===
図1に示すカップ供給ポジションP1には、スラット13の貫通孔13aに上方からカップ101を投入するカップ供給装置19が配置されている。この投入時には、前記スラット13が有する4つの貫通孔13aにほぼ同時にカップ101が投じられ、図4に示すように、カップ101は各貫通孔13aに嵌入して、その口部101a下面が前記支持部材55と当接して前記貫通孔13aに支持される。
【0028】
=== 充填ポジション ===
図1に示す充填ポジションP2には、スラット13の貫通孔13aに支持された各カップ101内に、食品等の内容物を計量して充填する充填装置21が配置されている。
【0029】
=== シート供給ポジション ===
図1に示すシート供給ポジションP3には、シートロール31を、前記スラット13の間欠走行に同期させて巻き出すための巻き出し用リール33と、巻き出されたシート31aを、カップ101の口部101a上面に対して水平にあてがうべく案内する複数の案内ロール35とが配されている。そして、後記するシールポジションP4および打ち抜きポジションP5を通過して打ち抜かれた打ち抜きくずシート31aは、打ち抜きポジションP5の後に配された巻き取り用リール37によって連続的に巻き取られるようになっている。
【0030】
=== シールポジション ===
図1に示すシールポジションP4には、前記口部101a上面に水平にあてがった前記シート31aを口部101aに貼着するためのシール装置41が配置されている。図5に、このシール装置41の一部を拡大した縦断面図を示す。図5(a)に示すように、このシール装置41は、スラット13の上方に位置して上下に昇降可能な加熱板43と、この加熱板43を昇降駆動するためのクランク駆動機構とを備えている。この加熱板43は内部に不図示の発熱体を有し、加熱板43の水平な下面43aの表面温度を上昇できるようになっている。そして、図5(b)に示すように、この加熱板43が、停留中のスラット13に向けて下降して、このスラット13に支持された4つのカップ101の口部101aにシート31aを押圧しながら加熱することによって、前記口部101aに予め塗布されたホットメルト接着剤を溶融してシート31aを口部101aに貼り付け、もって口部101aを閉口する。
【0031】
但し、この押圧時においては、カップ101を支持する前記支持部材55が圧縮変形するため、カップ101全体が貫通孔13aの下方へと押し込まれる。しかしながら、このシールポジションP4には、この押し力に対抗する反力受けとしての受け梁45が、カップ101の底部101bの下方に配置されている。この受け梁45は、押し力が作用していない時には、前記底部101bとの間に隙間hを形成する位置に配置されている。そして、押し力が付与されてカップ101が押し込まれると、その口部101a上面高さが刃先53a高さと同じ高さになる前に、底部101bが受け梁45に当接して、それ以上の押し込みを規制し、もって口部101a上面の方が刃先53aよりも常に高く維持されるようになっている。よって、このシールポジションP4においてシート31aが打ち抜かれることは無い。
【0032】
また、前記受け梁45が前記反力受けとして機能するので、前記加熱板43の押し力を大きくすることができて、もって口部101aにシート31aをしっかりと貼り付けることが可能となる。
【0033】
尚、前記ホットメルト接着剤は、空冷でも短時間で固化するものではあるが、この冷却時間を更に短縮化するために、前記シール装置41の直後に、不図示の冷却装置を追設しても良い。この冷却装置は、シール装置41の発熱体に代えて冷却体としての冷却水通路を備える点でのみ異なり、その他の構成はシール装置41と同じであるため説明は省略する。
【0034】
=== 打ち抜きポジション ===
図1に示す打ち抜きポジションP5には、スラット13の抜刃53と組み合わされて本発明に係る抜刃装置を構成する押圧装置51が配置されている。
図6に、この押圧装置51の一部を拡大した縦断面図を示す。この押圧装置51は、スラット13の上方に位置して上下に昇降可能な押圧部材56と、この押圧部材56を昇降駆動するためのカム駆動機構とを備えている。この押圧部材56は、水平な下面を備える鋼製部材であり、この下面には塩化ビニル等の樹脂板57が水平に敷設され、当該樹脂板57の下面も水平になっている。
【0035】
そして、図6(b)に示すように、この押圧部材56が、停留中のスラット13に向けて下降して、この押圧部材56によってシート31aを介して4つのカップ101を下方へ均等に押し込んで、その口部101aの周りに立設する抜刃53の刃先53aとでシート31aを挟み込んでシート31aを打ち抜くようになっている。ここで、この打ち抜き時には、抜刃53の刃先53aと押圧部材56とでシート31aを挟み込んで蓋部形状に打ち抜くため、切断性に優れ、もって綺麗な切り口で打ち抜ける。また、この押圧部材56の下面には樹脂板57が配されており、打ち抜き時に刃先53aが当接するのは樹脂板57であるため、刃先53aを痛めることも無い。尚、この樹脂板57は、押圧部材56の下面に対して着脱可能に固定しておき、樹脂板57が傷んだら交換できるようにしておくのが望ましい。
【0036】
また、前述したように打ち抜き前には押圧部材56から押し力は付与されないので、図6(a)に示すように、カップ101の口部101aは刃先53aよりも高く突出しており、もって、打ち抜き前に、この口部101aを閉口するシート31aが刃先53aに接触することはない。よって、刃先53aによってシート31aが傷付けられたり、中途半端に切断されたりすることは確実に防がれる。一方、打ち抜き時には、図6(b)に示すように、押圧部材56による押し力によってカップ101を支持する前記支持部材55が圧縮変形するため、カップ101全体が貫通孔13aの下方へと押し込まれ、もって口部101a上面高さが刃先53aとほぼ面一に揃った状態でシート31aが切断される。このため、この打ち抜き時、シート31aにおける口部101aと抜刃53との間に位置する部分が、口部101aを境界に下向きに折れてしまうのを防ぐことができて、もって綺麗な蓋部を成形することができる。
【0037】
更には、前記抜刃53は、カップ101を支持する貫通孔13aと同様にスラット13側に形成されている。このため、このスラット13を製作する際に、貫通孔13aに対して正確な位置に抜刃53を据え付けさえすれば、打ち抜きポジションP5へのスラット13の停留位置精度がばらついても、カップ101の口部101aから蓋部がずれて打ち抜かれてしまうことは絶対に無い。よって、口部101aから所定量だけ離れたシート31aの部分を確実に切断することができて、もって見栄えの良い蓋部を確実に成形することができる。
【0038】
また、前記カップ101はスラット13の貫通孔13aに首受け状態で支持されているため、長尺のカップに対しても、抜刃53の刃高を高くせずに対応可能となる。すなわち、長尺のカップの場合には、カップの底部側の部分を貫通孔13aから大きく突出させることができるため、首受け状態において貫通孔13aから突出する口部側の部分の高さは一定に維持できる。よって、刃高の低い抜刃53で対応可能であり、この抜刃装置を廉価にできる。
【0039】
=== 搬出ポジション ===
図1に示す搬出ポジションP6には、蓋されたカップ101をスラット13から取り出して装置1外に搬出するための搬出装置61が配置されている。この搬出装置61は、上下昇降移動および水平移動可能に支持された取り出しヘッド63を有する。この取り出しヘッド63には、真空ポンプ等によってカップ101の蓋部を吸着する吸盤65を、スラット13一つ当たりの支持可能カップ101数に対応させて4つ備えている。そして、この取り出しヘッド63を、各カップ101の蓋部上に下降させてから蓋部を吸盤65で吸着し、この吸着状態で取り出しヘッド63を上昇させてスラット13の貫通孔13aからカップ101を上方へ引き出し、この上昇位置で水平方向へ移動してカップ101を装置1外に取り出すようになっている。
【0040】
=== 変形例 ===
ここで、図12〜図16を参照しつつ本発明に係る抜刃装置の変形例を説明する。尚、図12は本変形例に係るスラットを前方から見た斜視図である。図13(a)は、本変形例に係る抜刃装置を用いた口部密封装置を示す側面図であり、図13(b)は、図13(a)中のB−B線矢視の平断面図である。図14〜図16は、本変形例に係る押圧装置の一部を拡大して示す縦断面図であり、図14は打ち抜き前の状態を、図15は打ち抜き中の状態を、図16は打ち抜き後の状態をそれぞれ示す。
【0041】
図12に示すように、本変形例は、載置台としての各スラット13に、シート31aを幅方向に分断するための分断刃71を追設したものである。この分断刃71は、各スラット13の走行方向の中間位置に位置させつつ、つまり前後の貫通孔同士13a,13aの間に位置させつつ、幅方向に沿ってシート31aを横断して立設されている。そして、その分断刃71の高さは前記抜刃53と同高に設定されている一方、その幅はシート幅よりも長く設定されている。よって、前記打ち抜きポジションP5において、図14〜図16に示すように、前記抜刃53による打ち抜き動作と同時に、前記押圧装置51の押圧部材56とでシート31aを挟み込んで、前記連続するシート31aを走行方向の適宜間隔に分断するようになっている。
【0042】
そして、この構成によれば、図13に示すように、蓋部を打ち抜かれた打ち抜きくずシート31aは、前記分断によって扱い易いサイズの小片31bに小切りされるため、その後の処理が容易となる。特に、本実施形態にあっては、図1(a)に示す巻き取りリール37の省略が可能となる。この巻き取りリール37は、前述したように打ち抜きくずシート31aを巻き取るため、一般に綺麗に巻き取ることが難しく、巻き取る過程でシート31aが蛇行して破断する等のトラブルを生じ易い。しかし、図13に示す本変形例によれば、打ち抜き時に小片に分断された打ち抜きくずシート31bは、そのままスラット13に載った状態でコンベア11の後端まで搬送され、この後端でコンベア11の走行方向が反転する際にスラット13から落下して、この落下位置に配された回収箱73に回収される。従って、上記トラブルの元となる巻き取りリール37を省略できて、その省略メリットとしては、前記トラブル回避による機械稼働率の向上等、大きな効果を見込むことができる。
【0043】
尚、シールポジションP4において、シート31aはカップ101の口部101aに貼着されている。従って、シート31aを打ち抜きポジションP5まで走行方向に引き出すための引き出し力は、カップ101を介してスラット13から付与される。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で以下に示すような変形が可能である。
本実施形態においては、口部にカールを備えたストレート管状のカップを例示したが、貫通孔に嵌入し首受け状態で支持されるカップであればこれに限るものではない。例えば、口部にフランジを備え、このフランジによって支持されるカップであっても良い。
また、カップの平面形状は円形に限るものではなく、矩形、多角形状であっても良い。尚、この場合には、前記貫通孔は、このカップを嵌入可能にすべく、このカップの外形形状に対応した形状に貫通形成されるのは言うまでもない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、鋸歯状の抜刃を用いずに済むとともに、カップに対する蓋部の抜きずれを抑えて、見栄えおよび手触りの良い蓋部を成形可能な抜刃装置およびこれを用いた蓋部の打ち抜き方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明に係る抜刃装置を用いた口部密封装置を示す側面図であり、図1(b)は、図1(a)中のB−B線矢視の平断面図である。
【図2】本発明に係るスラットを前方から見た斜視図である。
【図3】図3(a)は、本発明に係るスラットの貫通孔を拡大して示す平面図であり、図3(b)は、前記貫通孔中心におけるスラットの縦断面図である。
【図4】前記貫通孔にてカップを支持した状態のスラットの縦断面図である。
【図5】本発明に係るシール装置の一部を拡大して示す縦断面図であって、図5(a)は閉口前の状態を示し、図5(b)は閉口中の状態を示す。
【図6】本発明に係る押圧装置の一部を拡大して示す縦断面図であって、図6(a)は打ち抜き前の状態を示し、図6(b)は打ち抜き時の状態を示す。
【図7】口部をシートで蓋してなるカップ状容器の斜視図である。
【図8】従来の口部密封装置の側面視の概略図である。
【図9】カップを首受け状態で支持する従来のスラットの側断面図である。
【図10】従来の抜刃装置の側断面図であって、図10(a)に打ち抜き前の状態を、図10(b)に打ち抜き時の状態を示す。
【図11】従来の抜刃装置の改良例の側断面図である。
【図12】本発明の変形例に係るスラットを前方から見た斜視図である。
【図13】図13(a)は、本発明の変形例に係る抜刃装置を用いた口部密封装置を示す側面図であり、図13(b)は、図13(a)中のB−B線矢視の平断面図である。
【図14】本発明の変形例に係る押圧装置の一部を拡大して示す縦断面図であり、打ち抜き前の状態を示す。
【図15】本発明の変形例に係る押圧装置の一部を拡大して示す縦断面図であり、打ち抜き中の状態を示す。
【図16】本発明の変形例に係る押圧装置の一部を拡大して示す縦断面図であり、打ち抜き後の状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
13   載置台、スラット
13a  貫通孔
31a  シート
53   抜刃
53a  刃先
56   押圧部材
101  カップ
101a 口部

Claims (5)

  1. 口部よりも大きな面積のシートにて口部を閉口したカップを、載置台の貫通孔に嵌め込んで首受け状態で支持しつつ、前記口部外周に沿った所定形状に前記シートを打ち抜いてカップの蓋部を成形する抜刃装置において、
    前記貫通孔の周りに沿って、前記載置台から前記シートに向けて突出形成された筒状の抜刃と、
    該抜刃の刃先と対向して配されて、該刃先とで前記シートを挟み込んで前記蓋部に打ち抜くための樹脂製の押圧部材と、を備えることを特徴とする抜刃装置。
  2. 前記カップは、前記押圧部材から付与される押し力に応じて前記貫通孔の嵌入方向に移動可能に支持されている一方、前記押し力が付与されない状態では前記口部は、前記刃先よりも前記押圧部材側に突出し、
    該押圧部材は、前記シートを前記カップと共に前記貫通孔の嵌入方向に移動させながら、該シートを前記刃先とで挟み込んで打ち抜くことを特徴とする請求項2に記載の抜刃装置。
  3. 前記打ち抜き前のシートは、複数のカップの口部を同時に閉口していることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の抜刃装置。
  4. 前記載置台には、複数のカップを支持するために前記貫通孔が複数形成されるとともに、これら貫通孔の抜刃と同じ刃先高さの分断刃が前記シートを横断して設けられ、
    前記押圧部材は、前記分断刃および複数の抜刃の全てに亘って対向して配され、
    前記打ち抜き時に前記分断刃は、前記押圧部材とで前記シートを挟み込んで分断することを特徴とする請求項3に記載の抜刃装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の抜刃装置を用いて、前記カップの口部を閉口するシートから前記カップの蓋部を打ち抜くことを特徴とする蓋部の打ち抜き方法。
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