JP2004050812A - スプールもしくはカセットおよびそれを用いた識別方法、プリンター - Google Patents

スプールもしくはカセットおよびそれを用いた識別方法、プリンター Download PDF

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成田 聡
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衛藤 浩司
Kazutoshi Awano
粟野 和利
Daisuke Matsuura
松浦 大輔
Shuji Hattori
服部 秀志
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Abstract

【課題】コスト増や外観悪化を伴わず熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種を適性に識別し得る熱転写シートもしくは熱転写受像シートのスプールもしくはカセットを提供し、また贋物を識別し得る、さらには、使用量を検出できるスプールもしくはカセットを提供するものである。
【解決手段】熱転写シートもしくは熱転写受像シートを巻きつけて担持するスプール1、もしくはそのスプール1を保持するカセット2において、その表面の一部もしくは全体に、波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材を用いてマーク3を設けたことで、スプール1もしくはカセット2自体の種類を増やしたり外観を損ねたりすることなく、適正に品種識別、贋物識別、使用量算出を行うことが出来る。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写シートもしくは熱転写受像シートを巻きつけて担持するスプール、もしくはそのスプールを保持するカセットに関し、品種識別、贋物識別、使用量検出などの有効な手段を提供し得るスプールもしくはカセットに関する。さらに、上記スプールもしくはカセットを用いて熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種識別、贋物識別、使用量検出を行う方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱転写シートは、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックフィルムの一方の面に耐熱滑性層を設け、他方の面に顔料や染料とバインダー樹脂などからなる熱溶融性の色材転写層もしくは熱拡散性の色材転写層を設けたものである。これは通常、円筒状のスプールに所望の長さあるいは所定の画面数分が巻かれて担持されており、所定のプリンターに装着して使用されるものである。上記のスプールは紙製もしくは樹脂製の場合が多く、駆動上の必要やプリンターやカセットへの装填の都合からギヤや切り欠き、ツバが装着されていることもある。また、プリンターによっては熱転写シートを巻きつけて担持したスプールを、印画済みの熱転写シートを巻き取るスプールとともにカセットに収納したものを用いる場合もある。
【0003】
熱転写記録技術の進歩の結果、熱転写シートはその種類が多岐にわたるようになっている。すなわち、熱溶融転写シートにおいては、ファクシミリやバーコードプリンターなどに主に用いられる黒色顔料を使用したタイプが主流であるが、用途に応じて赤色や青色、緑色のカラータイプもあるし、金色や銀色または蛍光色などの所謂特色タイプも存在する。熱拡散転写シートにおいては、カラープリンター用の黄、紅、藍の3原色の色材転写層をそれぞれ面順次に設けたタイプが基本であるが、これにさらに黒色の色材転写層を加えたタイプ、転写性保護層を加えたタイプ、黒色熱溶融性転写層を加えて設けたタイプなど多種類がある。さらには、それぞれの色材転写層を単独で有する単色の熱転写シートも存在し、これらの多種類の熱転写シートが同時に一機種のプリンター用に用途に応じて品揃えされている場合も多い。
【0004】
前述のように、熱転写シートの種類が多岐にわたる場合、品種の識別は重要な問題となる。例えば熱転写記録の場合、熱転写シートと熱転写受像シートを組み合わせて用いるが、その組み合わせは個別に固定されている場合が多い。すなわち保護層を設けないタイプの熱転写受像シートには保護層を有しない熱転写シートを組み合わせ、保護層を設けるタイプには保護層を有する熱転写シートを組み合わせる。この組み合わせを誤ると所定の印画性能や耐久性が得られないばかりか、プリンターの誤動作、故障を惹起する可能性もある。その他にも、前記したようなそれぞれの色材転写層を単独で有する単色の熱転写シートを用いるプリンターの場合は、異なる複数の熱転写シートを所定の装着箇所に正しく装着することが大前提となる。
【0005】
従来熱転写シートの品種識別は、熱転写シートを担持するスプールやカセットに品種毎に異なる色彩を付与したり、品種コードや略称を記入したり、バーコード等の機械認識コードを設けるなどの手法によって行われていた。また他にもスプールやカセットの機能を阻害しない範囲で品種毎に形状を変える、すなわち切り欠きの有無や数を変化させる等の手法も知られている。ところがこれらの手法にはそれぞれ改善の余地があった。スプールやカセットの色彩を変化させることは、実用上使用し得る色彩の種類には限界があるし、また異なる色彩のスプールを多種類用意することで、結果的にスプールやカセットのコスト増を招いてしまう。またスプールやカセットの意匠の点で、好ましくない場合もある。品種コードや略称を記入する場合は、その手法としてラベルの貼付が一般的だが、ラベルは本来スプールやカセットの機能には関わりない余分な部材であり、さらに貼付工程が追加されることで、工程全体を複雑化させコスト増の要因となる。
【0006】
また近年プリンターの小型化が進み、これに伴いスプールやカセットなどの部材も小型化が加速しているため、ラベルを貼付し得る領域が存在しない場合もある。バーコードの付設も同様である。さらに外観上も好ましくない場合がある。スプールやカセットの形状を変化させることは、色彩を変化させるのと同様の難点がある。
なお、熱転写受像シートは従来A4サイズやA6サイズ等の所定の寸法に裁断されたものが主流であったが、業務用途向けに長尺のロール状に形成してスプールに巻きつけて担持させたものが上市されている。このロール状熱転写受像シートも用途に応じて種類が複数存在し、品種識別に関する問題は熱転写シートの場合と同様である。
【0007】
また近年、熱転写記録技術の浸透に伴い熱転写記録材料の贋物が見られるようになってきている。従来贋物を識別する手法についてはあまり事例がないのが実際である。
他に、前記のようなロール形状の熱転写シートや熱転写受像シートの場合は、所望の寸法にあらかじめ裁断された種類のものと異なり、その使用量を検出することが困難な場合があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題に鑑み、コスト増や外観悪化を伴わず熱転写シートの品種を適性に識別し得る熱転写シートもしくは熱転写受像シートのスプールもしくはカセットを提供するものである。また贋物を識別し得る熱転写シートもしくは熱転写受像シートのスプールを提供するものである。さらには、使用量を検出できる熱転写シートもしくは熱転写受像シートのスプールもしくはカセットを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1として、熱転写シートもしくは熱転写受像シートを巻きつけて担持するスプール、もしくはそのスプールを保持するカセットであって、その表面の一部もしくは全体に、波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材を用いてマークを設けたことを特徴とする。
請求項2として、請求項1に記載のマークは、マーク以外の部分と色調が同様であるかもしくは無色あるいは白色であり、実質的に不可視であることを特徴とする。
請求項3として、請求項1もしくは2に記載の色材が吸収する波長λ1の電磁波が紫外線であり、発する波長λ2の電磁波が可視光線であることを特徴とする。
【0010】
請求項4として、請求項1もしくは2に記載の色材が吸収する波長λ1の電磁波が赤外線であり、発する波長λ2の電磁波が赤外線であることを特徴とする。請求項5として、請求項1もしくは2に記載の色材が吸収する波長λ1の電磁波が赤外線であり、発する波長λ2の電磁波が可視光線であることを特徴とする。
請求項6として、請求項5に記載の色材として、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光する希土類元素含有微粒子を用いてマークを設けたことを特徴とする。
請求項7として、請求項7に記載の希土類元素含有微粒子が平均粒子径1nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする。
請求項8として、請求項6または7に記載の希土類元素含有微粒子が、ハロゲン化物または酸化物を母体とし、前記アップコンバージョン発光可能な希土類元素が含有されてなるものであることを特徴とする。
請求項9として、請求項6〜8のいずれか一つに記載の希土類元素含有微粒子の希土類元素が、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも1つ以上の希土類元素であることを特徴とする。
請求項10として、請求項6〜9のいずれか一つに記載の希土類元素含有微粒子の希土類元素組成の変更により得られる特異的なアップコンバージョン発光を利用してマークに特異性を持たせることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の識別方法は、請求項11として、請求項1〜10に記載されたスプールもしくはカセットに設けられたマークをセンサで検出して、そのスプールに巻き付けられた、あるいはそのカセットに保持された熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種識別、贋物識別、使用量算出の少なくとも1つの処理を行なうことを特徴とする。
本発明のプリンターは、請求項12として、請求項1〜10に記載されたスプールもしくはカセットが装着された時に、そのスプールもしくはカセットに設けられたマークを検出するためのセンサと、その検知された信号から、そのスプールに巻き付けられた、あるいはそのカセットに保持された熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種識別、贋物識別、使用量算出の少なくとも1つの判別処理を行う判別部と、その判別結果に基いてプリント動作を決定する制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
【作用】
本発明は、熱転写シートもしくは熱転写受像シートを巻きつけて担持するスプール、もしくはそのスプールを保持するカセットにおいて、その表面の一部もしくは全体に、波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材を用いてマークを設けたことで、スプールもしくはカセット自体の種類を増やしたり外観を損ねたりすることなく、適正に品種識別、贋物識別、使用量算出を行うことが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
図1は本発明のスプールである一つの実施形態を示す概略斜視図である。
図1のスプール1、1′はカセット2に保持されたもので、熱転写シート4を巻きつけた状態で供給するスプール1とその巻上げられた熱転写シート4の巻き終わりと接着させて、巻き上げるスプール1′がカセット2に収納されている。そのスプール1の表面の一部に、マーク3が設けられ、そのマーク3には波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材が含有されている。また、図1にはセンサ6が示されていて、カセット2に収納されたスプール1のカセット2から露出された部分に有するマーク3をそのセンサ6で検出し、そのスプールに巻き付けられた熱転写シート4の品種識別または贋物識別の処理を行うことができる。尚、センサ6はプリンター側に設置している。
【0014】
図1において、センサ6によるマーク3の検出は、熱転写シート4を巻き付けたスプール1と、その巻き取られた熱転写シート4の巻き終わりと接着したスプール1′を収納したカセット2をプリンターに、図示した矢印の方向に移動して装着される際に、スプール1の表面に設けたマーク3をセンサ6が検出し、その検出信号をプリンター内に有する判別部において、所定のデータと比較することにより、装着された熱転写シート4の品種を識別したり、贋物可否を識別したりする。この場合、センサ6はフォトセンサで発光部と、その発した光がマーク3に照射され、その照射光がマーク部分で反射し、その反射光を受光する受光部とで構成される。但し、その発光部では波長λ1の電磁波を発生させ、その受光部では、λ1とは異なる波長のλ2の電磁波を検知するようにしておく。
また、センサによるマーク検出として、CCDセンサを用いて、バーコード等の熱転写シートの品種情報、贋物でない純正品としての情報等のパターン情報を検出し、プリンターの判別部で所定のデータと比較することにより、装着された熱転写シートの品種や、贋物可否の識別を行うことも可能である。
【0015】
また、図2は本発明のカセットである一つの実施形態を示す概略斜視図であり、熱転写シート4を巻きつけた状態で供給するスプール1とその巻上げられた熱転写シート4の巻き終わりと接着させて、熱転写シート4を巻き上げるスプール1′がカセット2に収納されている。そのカセット2の表面の一部に、マーク3が設けられ、そのマーク3には波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材が含有されている。カセット2に設けられたマーク3は、図示していないが、プリンターにカセットが装着されると、プリンター側に設置しているセンサで検出されて、そのカセット2に保持された熱転写シート4の品種識別または贋物識別の処理を行うことができる。
【0016】
図3は、本発明のスプールである他の実施形態を示す概略斜視図であり、熱転写受像シートを巻きつけた状態で供給するスプール1とその巻上げられた熱転写受像シート5の巻き終わりと接着させて、熱転写受像シート5を巻き上げるスプール1′からなり、スプール1とスプール1′とが熱転写受像シートにより連結されている。そのスプール1の表面の一部に、マーク3が設けられ、そのマーク3には波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材が含有されている。また、図3にはセンサ6が示されていて、スプール1に有するマーク3をそのセンサ6で検出し、そのスプールに巻き付けられた熱転写受像シート5の品種識別または贋物識別の処理を行うことができる。
【0017】
また、印画時に回転するスプールにマークが設けられているため、スプールの回転に伴なって、マークの検出回数をカウントし、プリンターに有する判別部にて、そのマーク検出回数と、スプールに巻き付けられている熱転写シートまたは熱転写受像シートの使用量を所定の算出式により、計算する、使用量算出の処理を行うことも可能である。但し、熱転写シートの使用量は、その熱転写シートを巻き付けているスプールの回転が一定方向の回転であるため、比較的単純に算出できる。しかし、熱転写受像シートを巻き付けているスプールの回転では、受像シートに複数色の画像を形成する場合、1色毎の画像形成で、1色の画像が終了後、次の色の画像形成開始時にスプールを逆回転させて戻す作業が入るため、スプールに設けてあるマークの一つの特有のものだけを判別してカウントして、また回転センサを用いて、一方向の回転のみを検出させるようにすることが好ましい。
尚、センサ6はプリンター側に設置している。この熱転写受像シートにおける品種識別または贋物識別は、上記熱転写シートの品種識別または贋物識別で説明したようなセンサとマークの関係を同様に適用することができる。
【0018】
また、図4は本発明のスプールである他の実施形態を示す概略斜視図であり、熱転写シート4を巻きつけた状態で供給するスプール1である。そのスプール1の表面の一部に、マーク3が設けられ、スプールの1円周分単位でマーク3が1個有する形態であり、熱転写プリンターにおいて、印画動作に伴なって、スプール1が回転し、スプール1が1回転につき、マーク3が1回検出される。そのマーク3検出は、波長λ1の電磁波を発生する発光部61から発した光が、マーク3に照射され、その照射光がマーク部分で反射し、その反射光を受光部62で検出される。但し、その受光部は、λ1とは異なる波長のλ2の電磁波を検知するものである。
上記のスプールの回転に伴なうマークの検出回数をカウントし、プリンターに有する判別部にて、そのマーク検出回数と、スプールに巻き付けられている熱転写シートまたは熱転写受像シートの使用量を所定の算出式により、計算して、プリンターで表示したり、あるいは指定された残量に到達すると、警告ブザーの発生や警告ランプの点灯を起こさせることができる。
【0019】
次に、図5における熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種と贋物の識別処理とそのシートの使用量算出の処理における方法の例を示すフローチャートに基いて、本発明の識別方法について説明する。
熱転写シートもしくは熱転写受像シートを巻きつけて担持するスプールを、もしくはそのスプールを保持するカセットを熱転写プリンターに装着して、熱転写シートもしくは熱転写受像シートをプリンターに供給できるようにする。(ステップS01)
次に、上記のスプールもしくはカセットの表面の一部もしくは全体に設けられたマークを検出するように、センサから、波長λ1の電磁波が発光され、その照射された光が反射して、λ1とは異なる波長のλ2の電磁波を検知する受光部において、波長λ2の電磁波の検出可否が決められる。(ステップS02)
【0020】
上記ステップS02での検出判定の結果、波長λ2の電磁波の検出が認められた場合(S02:YES)、マークの検出信号をプリンター内に有する判別部において、所定のデータと比較して、熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種を識別し(ステップS03)、また熱転写シートもしくは熱転写受像シートの贋物可否を識別する(ステップS04)。
また、上記ステップS02での検出判定の結果、波長λ2の電磁波の検出が認められない場合(S02:NO)、その検出結果をプリンター内に有する判別部から、制御部に伝えて、プリンターの表示部にエラーの表示をしたり(ステップS05)、プリンターの動作が停止されたりする。
【0021】
上記のステップS03とS04の結果が両方とも、判別部の所定のデータと比較して、適合(良好と)したものであると、次の熱転写プリンターにおける印画動作が開始される。(ステップS08)
上記のステップS03で、マークの検出信号から熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種を特定できない場合、プリンターの表示部にエラーの表示をしたり(ステップS06)、プリンターの動作が停止されたりする。
また、上記のステップS04で、マークの検出信号から熱転写シートもしくは熱転写受像シートの贋物可否を識別し、正規品でないという、贋物であると識別されると、プリンターの表示部にエラーの表示をしたり(ステップS07)、プリンターの動作が停止されたりする。
上記のフローチャートではマーク検出により、品種識別と贋物識別を併行して行っているが、まず贋物識別行い、その結果良好な時に、品種識別を後で行う処理であってもよい。
【0022】
上記のステップS03とS04で、品種が特定され、正規品と認められた後に、熱転写プリンターで熱転写受像シートに、熱転写シートが加熱されて転写される色材により画像が形成されていく。つまり、印画動作が開始する。(ステップS08)
そして、印画中にはスプールが熱転写プリンター内で、回転し、その回転時にスプールに設けたマークをセンサで検出するかどうか、を調べる。(ステップS09)
この例では、品種識別、贋物識別、使用量算出の判別処理を全て行う場合であり、品種識別と贋物識別は共通のマークで検出することができるが、使用量算出のためのマークは、品種識別のためのマークとは別個のものを用いることが好ましい。品種識別は2種の選択ではなく、3種類以上の選択肢から選定することが多いため、そのマークはパターン形成している場合が多く、使用量算出はスプールの表面に1個所、1種類で設けることが多いからである。
【0023】
上記のステップS09での検出判定の結果、検出が認められた場合(S09:YES)、マークの検出回数をプリンター内に有する判別部において、所定のデータと比較して、熱転写シートもしくは熱転写受像シートの使用量を算出する。(ステップS10)。
また、上記ステップS09での検出判定の結果、検出が認められない場合(S09:NO)、その検出結果をプリンター内に有する判別部から、制御部に伝え、プリンターの表示部にエラーの表示をする(ステップS11)。
上記のステップS10の使用量算出が行なわれた後に、その使用量が所定の数量に到達したかの可否を調べる(ステップS12)。
上記の所定カウント到達が認められた場合(S12:YES)、プリンター内に有する制御部に伝え、プリンターの表示部に残量警告の警告ランプの点灯や、プリンターから警告ブザーで音声警告を発生させたり(ステップS13)、あるいはプリンターの動作を停止させる。
【0024】
図6は、本発明のプリンターである一つの実施形態を示すブロック構成図である。プリンターは、熱転写受像シート5がスプール11に巻かれた状態で給紙部から供給される。供給スプール12に熱転写シート4を巻き上げた状態で、その巻上げられた熱転写シート4の巻き終わりと接着させて、熱転写シート4を巻き上げるスプール13があり、それらがカセット2に収納されている。カセット2の開口部において、その熱転写シートと供給される熱転写受像シートとを接するように、サーマルヘッドとプラテンロールで加圧し、画像情報に応じて、加熱する。(記録部)
記録部にて画像形成した熱転写受像シート5は、移動して、シートカットされ、排紙部に排出され、積み重ねられる。
【0025】
給紙部において、熱転写受像シート5を巻き付けたスプール11にマークが設けられ、そのマークを検知し、その検知された信号から、そのスプールに巻き付けられた熱転写受像シート5の品種識別、贋物識別、使用量算出の少なくとも1つの判別処理を行うために、判別部とセンサ7とが連結されている。またその判別部とプリント動作を決定する制御部とが連結されている。
【0026】
記録部では、スプール12に巻き取った熱転写シート4の巻き終わりをスプール13と接着させた一対の熱転写シート4をカセット2に収納された状態で、給紙部から供給された熱転写受像シート5とカセット内の熱転写シート4とがカセット2の開口部において、サーマルヘッドとプラテンロールに挟まれた状態で、画像情報に応じて、イエロー、マゼンタ、シアン等の各色毎にサーマルヘッドで加熱して、熱転写受像シート上に熱転写シートの色材を熱転写する。その際に、熱転写シート4を巻きつけて担持するスプール12にはマークが設けられていて、そのマークをセンサ8により検出して、その検出された信号から、そのスプールに巻き付けられた熱転写シートの品種識別、贋識別、使用量算出の少なくとも1つの判別処理を判別部にて行う。
【0027】
またその判別部とプリント動作を決定する制御部とが連結され、さらにその判別部と制御部には、プリンターにおける警告やシートの残量等の表示部が連結されている。
記録部にて、画像形成された熱転写受像シート5は、移動して、連続体からシートカットされて、枚葉状になり、排紙部にて積み重ねられていく。
以上のプリンターにおいて、熱転写受像シート及び/または熱転写シートを巻き付けているスプールに有するマークは、波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材を含有するものである。
【0028】
本発明で使用するマークは、波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材を含有するもので、以下のような色材が挙げられる。
色材1:色材が吸収する波長λ1の電磁波が紫外線であり、発する波長λ2の電磁波が可視光線である。
色材2:色材が吸収する波長λ1の電磁波が赤外線であり、発する波長λ2の電磁波が赤外線である。
色材3:色材が吸収する波長λ1の電磁波が赤外線であり、発する波長λ2の電磁波が可視光線である。
【0029】
以上のような大別すると、3種の色材があり、それらのマークは、マークが設けられるスプール、もしくはそのスプールを保持するカセットの表面と、つまりマーク以外の部分と色調が同様であるか、もしくは無色あるいは白色であり、実質的に不可視である、つまり可視光において肉眼でマークを認識することが困難であることが特に望ましい。それは、マークが可視光におて認識され、目立つと、そのマークが設けられるスプールやカセットの外観上、好ましくなく、また簡単に贋物が作られる恐れがあり、偽造防止としての効果が低下するからである。
【0030】
上記の3種の色材において、色材1は紫外線による励起で可視光を発するものであり、例えば、1又はそれ以上の遷移金属元素又はランタノイド元素で全てドープされた亜鉛の硫化物、酸化物、オキシ硫化物、ケイ酸塩、又はアルミン酸塩の顔料が挙げられる。具体的には、銅でドープされた硫化亜鉛類は緑の蛍光を生じ、銀でドープされた硫化亜鉛類は青の蛍光を生じ、遷移金属又はランタノイドでドープされた亜鉛の酸化物、オキシ硫化物、ケイ酸塩又はアルミン酸塩は、緑、青又は赤の蛍光を生ずる。
【0031】
また、上記の色材2は、波長λ1の赤外線による励起で異なる波長λ2の赤外線を発するものであり、例えば、組成がLiNd0.9Yb0.112、LiBi0.2Nd0.7Yb0.112、NaNd0.9Yb0.112、Nd0.8Yb0.2Na(WO、Nd0.8Yb0.2Na(Mo0.50.5、Ce0.05Gd0.05Nd0.75Yb0.15Na(Mo0.7Wo0.3、Nd0.9Yb0.113(BO、Nd0.9Yb0.112.7Cr0.3(BO、Nd0.5Yb0.414、Nd0.8Yb0.2(PO等を挙げることができる。
【0032】
上記の色材3は、赤外線による励起で可視光を発するものであり、例えば、1又はそれ以上の遷移金属元素又はランタノイド元素で全てドープされた硫化亜鉛類、硫化亜鉛カドミウム類、アルカリ土類金属アルミン酸塩、アルカリ土類金属硫化物、又はアルカリ土類金属ケイ酸塩を使用することは特に有利である。具体的には、銅でドープされた硫化亜鉛類は緑のリン光を生じ、ランタノイド元素でドープされたアルカリ土類金属アルミン酸塩、アルカリ土類金属硫化物、又はアルカリ土類金属ケイ酸塩は緑、青、又は赤のリン光を生じ、そして銅でドープされた硫化亜鉛カドミウム類はカドミウム含量に依存して、黄、オレンジ、又は赤のリン光を生ずる。
【0033】
また、上記の色材3として、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光する希土類元素含有微粒子を用いることができる。
まず、本発明に用いられるアップコンバージョン発光について、図7を用いて説明する。図7においては、希土類元素として、イッテルビウム(Yb)とエルビウム(Er)の2種類を用いた系であり、励起光として1000nmの赤外光を照射した例が示されている。まず、図7(a)に示すように、1000nmの励起光によりイッテルビウムが励起されて7/2からよりエネルギー準位の高い5/2に移動する。そして、このエネルギーが、エネルギー移動1により、エルビウムのエネルギー準位を15/2から11/2に押し上げる。そして、図7(b)に示すように、同時に1000nmの励起光によりイッテルビウムが励起され、このエネルギーがエネルギー移動2により、さらにエルビウムのエネルギー準位を11/2から11/2に押し上げる。そして、図7(c)に示すように、上記励起されたエルビウムが基底状態に戻る際に、550nmの光を発光する。
【0034】
このように、1000nmの光で励起された色材が、よりエネルギーの高い550nmの光を発するような場合、すなわち励起光より高いエネルギーを発光するような場合をアップコンバージョン発光というのである。
なお、二光子励起を起こすSiナノ粒子は、図8に示すように、二つの光子が同時に吸収された際にはじめて励起するものであり、上記アップコンバージョン発光とは原理的に異なるものである。また、この二光子励起は二つの光子が同時に存在する必要があることから発光効率が悪いのに対し、上記アップコンバージョン発光はそのような必要性がなく、二光子励起を起こすSiナノ粒子と比較すると極めて高い発光効率を有するものである。
【0035】
このようなアップコンバージョン発光を生じる希土類元素を用いるものであるので、エネルギーの高い光、例えば紫外光等で励起する必要がない。すなわち、発光の際の光の波長は、検出の容易さから通常は可視光であることが好ましい。したがって、アップコンバージョン発光の場合はこれより波長の長い光が励起光として用いられる。励起光波長と発光波長が重なることがほとんど無いため、検出を著しく容易にさせるのである。
このように、希土類元素含有微粒子は、アップコンバージョン発光が可能な希土類を用いたものであるので、正確な検出が可能となる。また二光子励起と比較すると極めて発光効率が良好であり、かつ有機蛍光体を用いた場合と比較すると保存安定性等が良好なものであるため、安定でかつ精度の高い検出を可能とするものである。
【0036】
本発明に用いられる希土類元素は、上述したように所定の範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光することが可能な希土類元素であれば特に限定されるものでない。
このような励起光の波長の範囲として、少なくとも500nm〜2000nmの範囲内の波長である必要があり、中でも700nm〜2000nmの範囲内、特に800nm〜1600nmの範囲内の波長であることが好ましい。
【0037】
このような希土類元素としては、一般的には3価のイオンとなる希土類元素を挙げることができ、中でもエルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)等の希土類元素が好適に用いられる。
【0038】
本発明においては、上述したようなアップコンバージョン発光が可能な希土類元素を、1種類で用いても、2種類以上を同時に用いてもよい。なお、希土類元素を1種類で用いる場合のアップコンバージョン発光のメカニズムとして、Er3+ドープの材料として挙げて説明すると、励起光としては970nmまたは1500nmの光を照射した場合、アップコンバージョン過程を経て、Er3+イオンのエネルギー準位において、410nm(9/215/2)、550nm(3/215/2)、660nm(9/215/2)等の可視光発光を示すといった例を挙げることができる。
【0039】
希土類元素を含有する微粒子は、上記希土類元素をアップコンバージョン発光可能な状態で含有するものであれば、有機物、例えば錯体やデンドリマー等に希土類元素を含んだ状態で形成されたもの等であってもよく、特に限定されるものではない。しかしながら、通常、無機物の母体中に上記希土類元素が混入されて形成されたものであることが好ましい。上記希土類元素を発光可能な状態で含有させることが容易だからである。
【0040】
このような無機物の母体としては、励起光に対して透明性を有する材料が、発光効率の観点から好ましく、具体的にはフッ化物、塩化物等のハロゲン化物、酸化物、硫化物等が好適に用いられる。
発光効率の観点からは、ハロゲン化物が好適に用いられる。このようなハロゲン化物としては、具体的には塩化バリウム(BaCl)、塩化鉛(PbCl)、フッ化鉛(PbF)フッ化カドミウム(CdF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化イットリウム(YF)等を挙げることができ、中でも塩化バリウム(BaCl)、塩化鉛(PbCl)及びフッ化イットリウム(YF)が好ましい。
【0041】
一方、水分等に安定な耐環境性の高い母体としては、酸化物を挙げることができる。このような酸化物としては、具体的には、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、酸化シリコン(SiO)、酸化タンタル(Ta)等を挙げることができ、中でも酸化イットリウム(Y)が好ましい。
【0042】
なお、ハロゲン化物を微粒子の母体として用いた場合は、周囲に保護層を形成することが好ましい。すなわち、ハロゲン化物は一般的には水等に対して不安定であり、そのまま微粒子として用いると正確に検出ができない場合があり、このような場合は、ハロゲン化物を母体とする微粒子の周囲に耐水性等を有する被覆材が形成された複合微粒子にするとよい。この場合の被覆材としては、上述したような酸化物を好適に用いることができる。
【0043】
母体への希土類の導入方法としては、ハロゲン化物の場合、例えば塩化バリウム(BaCl)については、特開平9−208947号公報もしくは文献(″Efficient 1.5mm to Visible Upconversion in Er3+ Doped Halide Phoshors″Junichi Ohwaki,et al.,p.1334−1337,JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,Vol.31 part 2 No.3A,1 March 1994)に記載の方法を挙げることができる。また、酸化物については、特開平7−3261号公報もしくは文献(″Green Upconversion Fluorescencein Er3+ Doped Ta Heated Gel″Kazuo Kojima et al.,Vol.67(23),4 December 1995;″Relationship Between Optical Properties and Crystallinity of Nanometer Y:Eu Phoshor″APPLIED PHYSICS LETTERS,Vol.76,No.12,p.1549−1551,20 March 2000)に記載の方法を挙げることができる。
【0044】
上記の母体中における希土類元素の導入量としては、希土類元素の種類や母体の種類、および必要とされる発光の程度によって大幅に異なるものではあり、種々の条件に応じて適宜決定されるものである。
また、希土類元素含有微粒子の大きさは、平均粒子径1nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
さらに、アップコンバージョン発光する希土類元素はその組成により、発光色が異なる点を利用して、複数のスプールもしくはカセットの品種にそれぞれ発光色の異なる希土類微粒子を使用したマークを形成することにより、複数品種における特異的な品種識別、贋物識別を行なうことができる。上記の希土類元素の組成変更は、具体的にはスプールもしくはカセットに設けるマークに対し、希土類元素の1種類を使用したものでも、また異なる希土類元素を2種類以上組み合わせたものでも、いずれでもよい。
【0045】
上記希土類元素含有微粒子の製造方法としては、高周波プラズマ法を含むガス中蒸発法、スパッタリング法、ガラス結晶化法、化学析出法、逆ミセル法、ゾル−ゲル法およびそれに類する方法、水熱合成法や共沈法を含む沈殿法またはスプレー法等を挙げることができる。
【0046】
このような色材を含有するマークを、スプール、もしくはそのスプールを保持するカセットの表面の一部もしくは全体に設ける方法としては、オフセット印刷、グラビア印刷、活版印刷等の各種印刷方式を用いたり、インクジェット記録方式や、マークを形成した転写箔の転写方式等が挙げられる。
【0047】
【実施例】
以下に実施例をあげて、本発明をさらに具体的に説明する。尚、文中部または%とあるのは重量基準である。
<不可視マーク作成用塗工液>
(1)「紫外‐可視タイプ(色材1タイプ)」
色材(Sr(POCl:Eu)              20部
ポリエステル樹脂(東洋紡績製 バイロン200)       150部
メチルエチルケトン                     250部
トルエン                          250部
【0048】
(2)「赤外‐赤外タイプ(色材2タイプ)」
色材(LiNdP12)                   20部
ポリエステル樹脂(東洋紡績製 バイロン200)       150部
メチルエチルケトン                     250部
トルエン                          250部
【0049】
(3)「赤外‐可視タイプ(色材3タイプ)」
色材(YF:Yb+Tm)                  20部
ポリエステル樹脂(東洋紡績製 バイロン200)       150部
メチルエチルケトン                     250部
トルエン                          250部
【0050】
<不可視マーク付きスプールの作成>
樹脂(ポリスチレン)100部と白色顔料(酸化チタン)10部の割合のスプール形成材料を溶融混錬し、押し出し成形機を用いて内径25.4mm、外形31.4mm、長さ200mmの円筒状のスプールを作成した。次にこのスプールの一方の端面に、フレキソ印刷手法によって上記マーク作成用塗工液(1)を用いて直径2mmの円形状のマークを設けた。設けたマークは、完全に無色透明とは言えないが、マーク以外の部分と同様の概略白色の色調を有しておりほぼ不可視と言えた。
【0051】
<マークの検出>
市販のブラックライト(発光波長366nm)を用いて、上記スプールに紫外線を照射したところ、青色の発光を視認できた。
上記のマーク付きスプールの作成において、マーク作成用塗工液(1)の替わりに、塗工液(2)、(3)を用いて、その他は上記と同様にしてマーク付きスプールを作成した。下表の通り、得られたマークに、それぞれに適した光源で電磁波を照射したところ、それらマークに含まれる色材固有の波長の電磁波を発することが確認できた。
【0052】
【表1】
Figure 2004050812
【0053】
また、下記に示すマーク作成用塗工液を用意した。
<不可視マーク作成用塗工液>
(4)「赤外‐可視タイプ(色材3タイプ)」
希土類元素含有微粒子
(Y:Yb,Er微粒子:平均粒子径 約30nm)    20部
ポリエステル樹脂(東洋紡績製 バイロン200)       150部
メチルエチルケトン                     250部
トルエン                          250部
上記希土類元素含有微粒子は半導体レーザー励起(980nm)にて、660nm付近にEr3+の赤色発光するものである。
【0054】
(5)「赤外‐可視タイプ(色材3タイプ)」
希土類元素含有微粒子
(Y:Er微粒子:平均粒子径 約30nm)       20部
ポリエステル樹脂(東洋紡績製 バイロン200)       150部
メチルエチルケトン                     250部
トルエン                          250部
上記希土類元素含有微粒子は半導体レーザー励起(980nm)にて、550nm付近にEr3+の緑色発光するものである。
【0055】
(6)「赤外‐可視タイプ(色材3タイプ)」
希土類元素含有微粒子
(Y:Yb,Tm微粒子:平均粒子径 約30nm)    20部
ポリエステル樹脂(東洋紡績製 バイロン200)       150部
メチルエチルケトン                     250部
トルエン                          250部
上記希土類元素含有微粒子は半導体レーザー励起(980nm)にて、480nm付近にTm3+の青色発光するものである。
【0056】
<不可視マークつきスプールの作成>
上記のマーク作成用塗工液(1)〜(3)で作成した不可視マークつきスプールと同様に、塗工液を上記の(4)に変更して作成した。設けたマークは、完全に無色透明とは言えないが、マーク以外の部分と同様の概略白色の色調を有しておりほぼ不可視と言えた。
【0057】
<マークの検出>
半導体レーザー(発光波長980nm)を用いて上記スプールに赤外線を照射したところ、赤色の発光を視認できた。
以下同様にして、塗工液(5)、(6)を用いて作成したマークに、半導体レーザー(発光波長980nm)を用いて赤外線を照射したところ、それらマークに含まれる色材固有の波長の電磁波を発することが確認できた。
【0058】
<使用量の検出>
使用量の検出は例えば、図4に示す位置、形状に、上記塗工液(1)を用いてマークを形成したスプールに担持された熱転写シートと、前記熱転写シートをプリンターに装着した際に、スプールのマーク部に紫外光を照射できる位置に設置された光源と、該紫外光の照射によって生じるマークからの発光を検出できる位置に設置された、可視光領域に感度を有するフォトセンサーを用いて、図5に示した検出フローに従って行うことが出来る。
【0059】
【発明の効果】
以上の通り、本発明は、熱転写シートもしくは熱転写受像シートを巻きつけて担持するスプール、もしくはそのスプールを保持するカセットにおいて、その表面の一部もしくは全体に、波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材を用いてマークを設けたことで、スプールもしくはカセット自体の種類を増やしたり外観を損ねたりすることなく、適正に品種識別、贋物識別、使用量算出を行うことが出来る。
また、本発明で得られるスプールもしくはカセットは、製造上のコスト増や外観の悪化も生じないものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスプールである一つの実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明のカセットである一つの実施形態を示す概略斜視図である。
【図3】本発明のスプールである他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図4】本発明のスプールである他の実施形態を示す概略斜視図である。
【図5】熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種と贋物の識別処理とそのシートの使用量算出の処理における方法の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明のプリンターである一つの実施形態を示すブロック構成図である。
【図7】アップコンバジョン発光を説明するための説明図である。
【図8】2光子発光を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1、1′、   スプール
2   カセット
3   マーク
4   熱転写シート
5   熱転写受像シート
6、61、62   センサ
7   センサ(熱転写受像シート用)
8   センサ(熱転写シート用)
11   スプール
12   供給スプール
13   巻上げスプール
61   発光部
62   受光部

Claims (12)

  1. 熱転写シートもしくは熱転写受像シートを巻きつけて担持するスプール、もしくはそのスプールを保持するカセットであって、その表面の一部もしくは全体に、波長λ1の電磁波を吸収して異なる波長λ2の電磁波を発する色材を用いてマークを設けたことを特徴とするスプールもしくはカセット。
  2. 前記マークは、マーク以外の部分と色調が同様であるかもしくは無色あるいは白色であり、実質的に不可視であることを特徴とする請求項1に記載のスプールもしくはカセット。
  3. 前記色材が吸収する波長λ1の電磁波が紫外線であり、発する波長λ2の電磁波が可視光線であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のスプールもしくはカセット。
  4. 前記色材が吸収する波長λ1の電磁波が赤外線であり、発する波長λ2の電磁波が赤外線であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のスプールもしくはカセット。
  5. 前記色材が吸収する波長λ1の電磁波が赤外線であり、発する波長λ2の電磁波が可視光線であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のスプールもしくはカセット。
  6. 請求項5に記載の色材として、500nm〜2000nmの範囲内の波長の光により励起されてアップコンバージョン発光する希土類元素含有微粒子を用いてマークを設けたことを特徴とするスプールもしくはカセット。
  7. 前記希土類元素含有微粒子が平均粒子径1nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項7に記載のスプールもしくはカセット。
  8. 前記希土類元素含有微粒子が、ハロゲン化物または酸化物を母体とし、前記アップコンバージョン発光可能な希土類元素が含有されてなるものであることを特徴とする請求項6または7に記載のスプールもしくはカセット。
  9. 前記希土類元素含有微粒子の希土類元素が、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)からなる群から選択される少なくとも1つ以上の希土類元素であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一つに記載のスプールもしくはカセット。
  10. 前記希土類元素含有微粒子の希土類元素組成の変更により得られる特異的なアップコンバージョン発光を利用してマークに特異性を持たせることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一つに記載のスプールもしくはカセット。
  11. 請求項1〜10に記載されたスプールもしくはカセットに設けられたマークをセンサで検出して、そのスプールに巻き付けられた、あるいはそのカセットに保持された熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種識別、贋物識別、使用量算出の少なくとも1つの処理を行なうことを特徴とする識別方法。
  12. 請求項1〜10に記載されたスプールもしくはカセットが装着された時に、そのスプールもしくはカセットに設けられたマークを検出するためのセンサと、その検知された信号から、そのスプールに巻き付けられた、あるいはそのカセットに保持された熱転写シートもしくは熱転写受像シートの品種識別、贋物識別、使用量算出の少なくとも1つの判別処理を行う判別部と、その判別結果に基いてプリント動作を決定する制御部とを備えることを特徴とするプリンター。
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