JP2012208366A - ホログラムラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】
ホログラムを用いたホログラムラベルにおいて、その真正性を高めるために、照明光と同一の波長のホログラム再生像を再生するホログラムとは異なり、照明光とは異なる波長のホログラム再生をする新規なホログラムラベルを提供する。
【解決手段】
ホログラム形成層上に蛍光層を設け、蛍光体を励起する光で照明して、可視光領域にある、その蛍光発光の色調によるホログラム再生像を目視にて判定可能とし、偽造防止性を高めた。
【選択図】 図1

Description

本発明は、新規なホログラムラベル、特に、位相ホログラムを呈するレリーフホログラムのレリーフ位置に、蛍光発光体を配した蛍光発光型のホログラムラベルに関するものである。
本明細書において、配合を示す「部」は質量基準である。また、「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。「回折格子」には、光干渉縞などの光学的に形成したものや、電子線描画方法などの直接描画方法によって形成したものを含む。
本発明において、「不活性化処理」とは、「ある樹脂層」の表面の表面張力を低下させるなどして、その樹脂層のその表面の上に積層する、「別の樹脂層」との接着性を低下させ、「ある樹脂層」と「別の樹脂層」との積層における、その両層の界面の接着強度(JIS Z0237で規定する180°剥離試験による、「剥離強度」を意味する。以下、剥離強度ともいう。)に関し、「不活性化処理」している領域の「接着強度の大きさ」を、「不活性化処理」していない領域における本来の「接着強度の大きさ」より低下させる処理を施すことを意味する。
この処理により、「ある樹脂層」の最表面に、表面張力の大きい領域と、小さい領域が現れることとなる。
この「不活性化処理」には、「ある樹脂層」の表面全面を「活性化処理」した後、その一部を不活性化処理することも含み、結果として、「積層」された両層の界面の一部領域に、他の領域よりも接着強度の低い部分を形成することを含む。
もちろん、「ある樹脂層」と「別の樹脂層」との接着強度が小さい場合(すなわち、「別の樹脂層」の表面張力が小さいことを意味する。)にも、「ある樹脂層」の最表面の一部を「不活性化処理」することによって、結果として、「積層」された両層の界面の一部領域に、他の領域よりも接着強度の低い部分を形成することを含む。
(主なる用途)
本発明のホログラムラベルの主なる用途としては、偽造防止分野に使用されるホログラムラベルであって、具体的には、クレジットカード等の偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
また、これら情報記録体以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も偽造され得るものである。また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体、またはそれらのケース等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
(背景技術)
従来、情報記録体や上記した種々の物品(総称して、真正性識別対象物と言う。)の偽造を防止する目的で、その構造の精密さから、製造上の困難性を有すると言われるホログラムを真正性の識別可能なものとして適用することが多く行なわれている。しかしながら、ホログラムの製造方法自体は知られており、その方法により精密な加工を施すことができることから、ホログラムが単に目視による判定だけのものであるときは、真正なホログラムと偽造されたホログラムとの区別は困難である。
これらの真正性識別対象物、特にラベル形態や転写形態にてホログラム画像を施された物品は、ホログラム画像の目視確認という真正性識別のみでなく、新たな真正性識別方法を用いてその対象物の真正性を識別する必要が生じている。
(先行技術)
これらの要求に応えるため、ホログラムに積層して、入射した光の内、左回り偏光もしくは、右回り偏光のいずれか一方の光のみを反射する光選択反射層を有するホログラムシートが提案された。(例えば、特許文献1参照。)
この光選択反射層として、コレステリック液晶を使用し、偏光版等を用いて確認する方法で偽造防止性を高めている。
しかしながら、特許文献1の記載にあるように、ホログラム形成層上の反射性薄膜層の反射率が高いため、コレステリック液晶層で反射されず透過した光(選択的反射光の補色光)が、この反射性薄膜層で反射し、再びコレステリック液晶層へ戻る(以下戻り光とする)ことにより、この戻り光が、コレステリック液晶を観察する際のノイズ成分となって、選択的反射光に付加・混在し、液晶本来の色調とならず、視認・識別することすら難しくなっていた。
また、コレステリック液晶材料そのものが高価であり、その液晶性能を引き出すためには液晶層に接して、配向膜の形成が不可欠であって煩雑であり、さらには、コレステリック液晶の光散乱性により、ホログラム画像を再生する光がその液晶層を通過するときに画像にボケ・歪みを生じる等の問題があった。
このため、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えたり、コレステリック液晶層そのものを薄くする等の工夫が考えられたが、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えるために屈折率差を小さくしたり、コレステリック液晶層を薄くしたりすると、上記した光選択反射層としての機能が低下してしまい、ホログラム画像の鮮明性と偽造防止性能を確保する最適な条件を得ることが難しいという欠点を有していた。
特開2007−90538号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、位相ホログラムのホログラム形成層、すなわちホログラムレリーフに接するように蛍光層を設け、もしくは、ホログラムレリーフに同調して蛍光層を部分形成して、定められた所定の波長を有する光源の照明下でのみ、ホログラムを視認することができ、しかも、その照明光源と再生されるホログラムとが異なる色調を呈する新規なホログラムラベルを提供することである。さらに、このホログラムラベルを不正に剥がした際には蛍光層に変形が生じ、不正を行った者には気づかれないうちに、再生されるホログラムが不鮮明化されているという高い偽造防止性を有するホログラムラベルを提供することである。
上記の課題を解決するために、
本発明のホログラムラベルの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、前記ホログラムレリーフに接するように設けられた蛍光層、及び、接着剤層が設けられているホログラムラベルであって、前記透明樹脂層の前記ホログラムレリーフ面の一部が不活性化処理されていることを特徴とするものである。
上記第1の態様のホログラムラベルによれば、
透明基材の一方の面に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、前記ホログラムレリーフに接するように設けられた蛍光層、及び、接着剤層が設けられているホログラムラベルであって、前記透明樹脂層の前記ホログラムレリーフ面の一部が不活性化処理されていることを特徴とするホログラムラベルを提供することができ、不正にホログラムラベルを剥がした者には気づかれずに、その不正の痕跡を残すことができる高い偽造防止性を有するホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルの第2の態様は、
前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されていることを特徴とするものである。
上記第2の態様のホログラムラベルによれば、
前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されている第1の態様に記載のホログラムラベルを提供することができ、第1の態様の特徴に加えて、蛍光層を発光させたときに、より鮮明なホログラム再生像を視認可能な、ホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルの第3の態様は、
前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成されていることを特徴とするものである。
上記第3の態様のホログラムラベルによれば、
前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成されている第1の態様に記載のホログラムラベルを提供することができ、第1の態様の特徴に加えて、蛍光層を発光させたときに、より鮮明なホログラム再生像を視認可能な、ホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルの第4の態様は、
前記蛍光層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とするものである。
上記第4の態様のホログラムラベルによれば、
前記蛍光層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下である第2の態様または第3の態様に記載のホログラムラベルを提供することができ、第2または第3の態様の特徴に加えて、蛍光層を発光させたときに、著しく鮮明なホログラム再生像を視認可能な、ホログラムラベルを提供することができる。
本発明の第5の態様であるホログラムラベルは、
第1〜第4の何れか一つの態様のホログラムラベルの前記ホログラムレリーフ面の前記不活性化処理されている前記一部の領域が、微細なパターン形状の集まりであることを特徴とするものである。
上記の態様のホログラムラベルによれば、
第1〜第4の何れか一つの態様のホログラムラベルの前記ホログラムレリーフ面の前記不活性化処理されている前記一部の領域が、微細なパターン形状の集まりであることを特徴とするホログラムラベルを提供することができ、不正にホログラムラベルを剥がした際のホログラム再生像の不鮮明化をさらに著しくすることが可能な、ホログラムラベルを提供することができる。
本発明のホログラムラベルにおいては、ホログラム画像を再生する回折格子群が、ホログラムレリーフとして、透明基材の一方の面に形成された透明樹脂層面上に、略一平面として形成されており、このホログラムレリーフに上に、もしくは、このホログラムレリーフに追従して均一な厚さで、蛍光層が設けられている。
すなわち、ホログラムレリーフは、位相ホログラムとしての位相差を「レリーフ形状(凹凸形状を意味する。)」に現しているが、この位相差を有する「レリーフ形状」に追従して(沿って)蛍光層が設けられることにより、蛍光層が発する蛍光が、上記位相差を有して(含んで)発することになる。
蛍光層は、透明性を有しているか、もしくは、「白色」(蛍光体表面の光散乱性により、「白色」と視認されることを意味する。)であるため、蛍光層を発光させる照明光以外の照明光の下では、単なる透明なラベル、もしくは、白色ラベルとして視認される。
そのため、上記した種々のホログラムラベルの用途においては、その用途に適合する文字や絵柄等の印刷層を、ホログラムラベルを構成する各層の上下、特には、透明基材と透明樹脂層との間に設けることが好適である。
このような「通常のデザインを有する通常のラベル」としか視認されない「ラベル」が、所定の照明光により発光して、その発光波長によるホログラム再生像を出現する。
その上、ホログラムラベルを不正に剥がそうとすると、その剥がす力により、ホログラムラベルに変形応力や張力が負荷としてかかり、その力により、透明樹脂層のホログラムレリーフ面の一部の「不活性化処理されている領域」において優先的に界面剥離が発生し、その部分において、ホログラムラベルの蛍光層が一部変形を起こすこととなる。
すなわち、ホログラム再生像を再生する発光面である蛍光層のホログラムレリーフ形状が部分的に歪み、蛍光層の形状が保持する「位相情報」が乱れることにより、その「領域」においてホログラムレリーフの干渉効果(ホログラムレリーフの一つ一つの凹凸から発する光が互いに干渉し、強め合ったり、弱めあったりして、ホログラム再生像を結像する、その効果を意味する。)を低減させて、ホログラム再生像の輝度、さらには、そのコントラストが低下し、不鮮明なものとなる。
そして、その変形が蛍光層の比較的大きな領域(ホログラムレリーフ形成面の大半を意味する。)に及ぶと、再生されるホログラム再生像そのものに歪みを生じることとなる(互いに干渉し、強め合って進む、「ホログラム再生像を結像する光」の進行方向が乱れることを意味する。)。
そして、このような「蛍光層の変形」は、ホログラムラベルの外観上において、何らの変化も示さないため、不正行為を行った者には、このような「不正の痕跡」が残されたことを知るすべもなく、且つ、不正行為を確認する者にとっては、容易にその「不正の痕跡」の有無を判定せしめるものである。
本発明で使用される透明基材には、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムラベルを製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、5〜250μm厚さのフィルム状もしくはシート状のプラスチックを用いる。
透明基材の上に形成される、ホログラムレリーフを有する透明樹脂層(以下、ホログラム形成層ともいう。)を構成する、透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができ、グラビアコーティング方式等の各種コーティング方式や、オフセット印刷方式、スクリーン印刷方式等の各種印刷方式を用いて、5μm〜50μm厚さの透明樹脂層を形成する。
上記の透明な樹脂材料を用いてホログラムレリーフを有する透明樹脂層を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
レリーフホログラムは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.1μm〜1μmである。
そして、このホログラムレリーフを有する透明樹脂層の表面の一部に、「不活性化処理」を施す。ここで、「一部」とは、ホログラムレリーフ面全体に対して、「一部」の面積、すなわち、「領域」を意味する。この「領域」は、連続する領域であっても、離散的な領域の集まりであってもよい。
この「領域」への不活性化処理においては、ホログラムレリーフ面の最表面のみ、すなわち、その表面から透明樹脂層の内側(厚さ方向)に対して、僅かな距離のみ(例えば、0.001μm〜0.01μm程度。)の部分の樹脂の性質を、変性乃至は改質する。もしくは、これ以上の距離を変性乃至改質する場合においても、その透明樹脂層のホログラムレリーフ形状に実質的な変化を起こさない方法を用いる。
「不活性化処理」は、透明樹脂層上に直接「不活性化処理」を行う方法、例えば、熱硬化性樹脂や、硬化剤を添加した樹脂を用いて、その最表面の一部を赤外線加熱等により完全硬化させて、未反応成分を解消したり、離型成分を含む樹脂の部分加熱や部分硬化により、その離形成分を最表面にブリードする方法等と、まず、「活性化処理」、例えば、炭酸ガスレーザー照射、遠赤外線炭酸ガスレーザー照射、172nm真空紫外線(VUV、エキシマ光)照射、酸素増感エキシマ光照射、プラズマ処理等の透明樹脂層最表面の化学結合エネルギーよりも大きいエネルギー(7.2eV)により、透明樹脂層最表面の化学結合を切断し、または、172nmの真空紫外線等のように、大気中の酸素に吸収されてオゾンまたは直接励起酸素を発生し、この接触により官能基を生成する等の物理的処理等を用いて、透明樹脂層の最表面のみを「活性化(表面張力が大きくなることを意味する。)」し、その後、活性化した透明樹脂層の最表面の一部(領域)に、その最表面のみを部分的に溶解する、もしくは、その最表面の活性化した官能基と反応して官能基の活性を解消する、溶剤類等を、活版印刷方式やインクジェット方式を用いて、活性化処理面への接触を避けてパターン形成し、透明樹脂層の活性化された最表面の部分のみと反応して、その部分のみを不活性化させる方法とがある。
これらの方法によれば、透明樹脂層上のホログラムレリーフの形状には、精密な意味において、「何らの変化」も生じないため、この上に形成する蛍光層の形状は、精密に「ホログラムレリーフ」の形状となる。
例えば、後者の不活性化処理によれば、ポリエチレンテレフタレート樹脂で、60mN/mに増大した表面張力が、36mN/mとなり、透明樹脂層としてのメラミン樹脂との剥離強度が0.8kg/25mm幅から0.1kg/25mm幅へと小さくなり、「不活性化処理」領域と、他の領域のとの剥離強度の差を大きくすることができる。
また、「不活性化処理」としては、透明樹脂層とはそもそも接着し難い、表面張力の小さい樹脂、例えば、シリコーン樹脂やパラフィン系樹脂等を透明樹脂層上に形成して、その上に形成する蛍光層と透明樹脂層との剥離強度を低下させる方法もあるが、この場合には、このシリコーン樹脂等が、透明樹脂層のホログラムレリーフ上に「厚さ」を有して残り、この上に形成する蛍光層の「レリーフ形状」を本来のホログラムレリーフ形状からかけ離れたものとしてしまうため、その方法を用いることができない。(もちろん、透明樹脂層内に「浸み込むタイプ」のものであって、ホログラムレリーフ上に実質的に何らの「厚さ」を付加しないものであれば、使用可能である。)
これは、ホログラムレリーフの凹凸形状の深さが0.1μm程度であるため、その1/10の深さである「0.01μm」程度の厚さの樹脂残りがあっても、ホログラム再生像の鮮明さに大きな影響を及ぼすためである。
そこで、このようなシリコーン樹脂等による「不活性化処理」は、透明樹脂層上に蛍光層を形成して、その蛍光層を「精密なホログラムレリーフ形状」とした、その蛍光層上にそのシリコーン樹脂等を設けて、蛍光層と、接着剤層との界面において、容易に剥離する部分を設ける方法が好適である。
もちろん、蛍光層上に、透明樹脂層と同様な不活性化処理を施すことも好適であり、その際には、透明樹脂層上の不活性化処理の位置と、蛍光層の不活性化処理の位置とを同調させることも、蛍光層の変形効果が大きくなり、好適である(同調とは、ホログラムラベルの観察側から、ホログラムラベルに対して垂直方向に見て、全く重なる位置としてもよく、また、敢えて、互い違いに位置するようにしてもよい。いずれにしても、蛍光層の厚さや材質に合わせ、蛍光層の変形がし易い組み合わせとする。)。
そして、この不活性化処理する領域を、「微細なパターン形状の集まり」とすることで、蛍光層の変形をより効率的に発生させることができる。
例えば、網点形状、市松模様状、ランダムパターン等の「微細なパターン」の集合体とし、その「微細なパターン」の部分のみ不活性化処理することで、すなわち、「微細なパターン」と「微細なパターン」の間の領域は不活性化処理しないことで、
網点形状の場合には、その網点の中を不活性化処理し、網点と網点の間の領域は不活性化処理せず、市松模様状の場合には、升目で一様に区切り、その一つ飛ばしの升目の部分のみ、不活性化処理し、それ以外の升目は、不活性化処理しないことにより、ホログラムレリーフを有する透明樹脂層と蛍光層との界面の剥離強度に微細な網点状や微細な市松模様状の強弱を付与することで、蛍光層に与える変形を、ホログラムレリーフの凹凸のピッチ(周期)である、0.1μm〜数μmに近い周期で与え、効果的に蛍光層を変形させることを可能とする。
このため、「微細なパターン」の個々の大きさ(市松模様であれば、その一つのマスの大きさを意味する。)は、3μm〜50μmとする。好適には、10μm〜30μmである。
「微細なパターン」の個々の大きさが、50μmより大きいと、蛍光層のホログラムレリーフ形状に対する変形の周期が大きすぎ、この部分の凹凸の干渉効果を低減するような変形となり難く、また、3μm未満とするには、不活性化処理の個々の領域が小さくなりすぎて、上記した方法による、十分な不活性化処理ができなくなる。
この不活性化処理を施す範囲は、ホログラムレリーフを有する透明樹脂層全体に渡って施すこともできるが、この不活性化処理の目的が「不正行為の判定」であるため、ホログラムラベルの所定の一部範囲(1/10〜1/25の範囲。)に限定して施すことも、そのような処理が存在することをさらに秘匿する意味で好適である。
ここで、蛍光層により、ホログラム再生像が出現する原理について以下に説明する。
蛍光層が発する蛍光は、レリーフホログラムを再生する場合に生じるホイヘンスの2次波に対し、本発明のホログラムラベルの場合において、この2次波に相当するものが、ホログラムレリーフ面に配された蛍光体(もしくは、蛍光物質とも呼ぶ。蛍光層の中に含まれている。)の蛍光発光であり、この発光がその役目を担い、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフが有する位相差を含んで発光する光を観察者側に発するものである。
この発光する光が、ホログラムレリーフ面上の空間において干渉現象を起こし、その結果、所定の方向に所定のホログラム再生像を発現する。
蛍光体は、紫外線、電子線、X線などのエネルギーを吸収して可視光線として放出する物質であり、例えば、母体となるセラミックス結晶にEu やCe などの発光を担う金属イオンが微量添加した材料等がある。この場合、発光に寄与するは金属イオンであり、外から加えられたエネルギー(紫外線、電子線、X線などや、もちろん可視光線、赤外線等のエネルギー。)を吸収して励起され、その後基底状態に戻る時に発光する。ホスト結晶の格子は金属イオンを取り囲むことによりイオンを化学的に安定化させたり、結晶場や配位環境を整えることにより発光色や発光強度を制御する働きをする。
本発明は、これらの蛍光発光の内、ストークスシフト(Stokes shift)によって可視光領域の発光を起こす蛍光体材料を用いる。もちろん、赤外線の励起による可視光領域の発光を起こすものも用いることができる。
本発明は、ホログラムの照明光源の波長とは異なる波長でホログラムを再生するものであり、例えば、紫外線で照明し、緑色のホログラムを視認することもできるため、観察者の目には、あたかも、通常用いられる緑色の照明光源の無いところに、ホログラムだけが光輝き、空中に浮いているように見え、意匠性にも優れるものとなる。
もちろん、ホログラムを再生可能な光源の波長域が非常に狭いことに起因して、その特定の波長域を知りうる者のみがホログラム再生を果たすことができ、真正性判定用に有用なものとなる。また、上記したストークスシフトの値を知りうる者のみがホログラム再生像の色調を予測でき、その再生波長に調整したバンドパスフィルターを通して覗いて、そのバンドパスフィルターを通過できるホログラムのみが、真正であると判定することもできる。
また、このバンドパスフィルターを通過する角度(回折角度)も、そのストークスシフト量に依存し、やはり、その値を知りうる者のみがその所定の角度で判定を行うことができる。
さらに、蛍光体を複数含めることにより、この再生像は複数の角度に異なる色調で現れることになり、意匠性の面でも、真正性判定の面でもより優れたものとなる。
蛍光発光の原理は、図1に示すジャブロンスキー図にあるように、蛍光体(蛍光色素、蛍光顔料、蛍光染料等を含む。)の基底状態(S0:一重項状態)から光吸収によって第一(S1)、第二(S2)、第三励起状態(S3)・・・のどれかの振動状態に励起された発光体が、無放射過程で非常に速やかに緩和してS1の電子励起状態に移るか、あるいは項間交差によって三重項状態(T1、T2)へ移る。S1の最低振動状態になった蛍光体は、無放射過程によるか蛍光を発して基底状態に戻る。三重項状態になった分子は、無放射過程によるか、リン光を発して基底状態に戻る。
一重項同士の遷移は瞬間的に起こるため、蛍光の半減期は10-4sec以下と短いものである。遷移に要する時間は、10-15secで励起が起こり、その後10-9〜10-7secで蛍光発光が起こるとされている。
一方、三重項から一重項への遷移はスピン変化禁止により禁制遷移となり自発的放出が起こりにくいので、リン光の半減期は大きく、秒単位のものもある。
基底状態に戻る際に光を発するか否か、光の強度が強いか弱いか、蛍光寿命が長いか短いかは、その蛍光体物質の分子構造や分子の置かれた環境に大きく依存する。
蛍光体材料の放出光の波長分布を蛍光スペクトルといい、蛍光スペクトルは蛍光の波長に対し相対的な蛍光強度をプロットして作成される。(実際の蛍光スペクトル測定では、波長と 強度が一定に維持された励起光を光源として用い、 蛍光体を取り扱う場合は、放出スペクトルのことを蛍光スペクトルと呼ぶ。)蛍光スペクトルに示される波長(エネルギー)は一次励起状態の最低振動エネルギー準位から基底状態の優先的な振動エネルギー準位までのエネルギー差と等しくなる。
蛍光の振幅が励起状態と基底状態の振幅構造と類似しているなら、最も長波長側の励起の振幅と鏡像関係となり、理論上、蛍光色素が吸収した光エネルギーの波長と蛍光として放出する波長は同じになる。しかし実際にはほとんどの蛍光色素の蛍光スペクトルは長波長(低エネルギー)側にシフトする。励起スペクトルと蛍光スペクトルのピーク波長間の差はストークスシフトと呼ばれ、この波長差は、蛍光放出以前の励起状態の際に放出されたエネルギーが熱エネルギーに変換されたために生じる。
ストークスシフトは蛍光の感度おいて非常に重要であり、蛍光を検出する際、励起光の影響を受けないためバックグラウンドを低くすることができる。
入射光の波長と強度を一定にした場合(例えば、光源として制御されたレーザー光を使用した場合)、放出される蛍光は蛍光物質の量と正比例する。従って、蛍光の強度を一定とするためには、ホログラムレリーフ面に形成する蛍光層の中の蛍光体の量を一定とする必要がある。もちろん、蛍光体の濃度が高い場合には、サチレーションをおこし直線性が失われて一定の強度となったり、蛍光体間の距離が極めて接近し、表面付近だけが励起され、放出蛍光が吸収されてしまうため、本発明の目的である蛍光光の干渉性を十分得るためには、蛍光層の厚さ方向に蛍光体が分散して多く存在するよりも、ホログラムレリーフ面近傍にのみ均一に存在する方が、より高い干渉現象を生じるため、蛍光体の粒径の1〜10倍、さらには1〜3倍とすることが望ましい。蛍光体が染料であり、蛍光層を形成する樹脂に溶解している場合には、その樹脂層を薄く抑える必要がある。また、蛍光染料によって、染着する場合には、ホログラムレリーフを形成している透明樹脂層そのもののレリーフ面のみを染着することにより、上記した目的を達成することもできる。
また、蛍光体によっては、放出される蛍光強度(輝度)が異なり、蛍光強度はそのまま感度に影響を与えるため蛍光体の蛍光強度は非常に重要な要素となる。蛍光強度は蛍光体の以下の2つの特性に依存し、
・光の吸収効率(吸光係数)
・励起光と蛍光の変換効率(量子収率)
蛍光強度は蛍光体の吸光係数(ε)と量子収率(φ)に比例するため、以下の式で表される。
・蛍光強度(輝度) ∝ 吸光係数(ε)×量子収率(φ)
ここで、蛍光体の吸光係数とは蛍光体に吸収される特定波長の光量を意味し、モル吸光係数は光路1 cmあたりの1M(1モル)蛍光色素溶液の光学濃度として定義される。有用な蛍光体では、このモル吸光係数が10,000以上を示す。励起光と蛍光の変換効率(量子収率)は以下の式から得ることができる。
・φ = 放出された光子数 / 吸収された光子数
ここで、量子収率(φ)は “0” (非蛍光性物質)から “1” (効率100%)までの値をとる。蛍光体の量子収率を示す例として、フルオレセイン(φ=0.9)およびCy5(φ=0.3)がある。通常の量子収率(φ)の測定には、吸収スペクトルのピーク波長が用いられる。
フルオレセイン(ε=70,000、φ=0.9) とCy5(ε=200,000、φ=0.3)は極めて高い輝度を持っており、これらの蛍光体は量子収率と吸光係数は非常に異なっているが、蛍光強度は同等となる。
したがって、蛍光体を評価する場合は、吸光係数と量子収率をあわせて考慮する必要がある。蛍光強度は入射光の強さにも影響を受け、理論上、入射光量を上げていくと励起さ
れる蛍光体が増加し、同時に放出される光量(光子数、あるいは基底状態まで落ちていく 電子数)が増加し、蛍光強度の上昇として観察される。しかし 実際には、入射光量を上げすぎてしまうと全ての蛍光体が常時励起状態となり、蛍光破壊が起こり蛍光強度が減衰あるいは消失して蛍光強度との相関性が失われる等の現象が発生するため、入射光量を適切に定める必要がある。
さらに、蛍光体の量子収率や励起スペクトルおよび蛍光スペクトルは 環境条件、すなわち、環境温度、イオン濃度、PH、励起光の強度、樹脂等との共有結合、非共有結合性の相互作用(インターカレーション効果等。)などから影響を受けるため、これら環境条件を考慮して励起光波長や、蛍光光を認識しやすくするための光学フィルター(ロウパスフィルター、ハイパスフィルターや、バンドパスフィルター等。)を必要に応じ、設定する必要がある場合もある。
また、もう1つの環境効果として光によるフォトブリーチングがある。励起状態にある蛍光体は基底状態に比べて化学的に活性化されているため、破壊されやすくなり、低頻度ではあるが、例えば、「励起蛍光色素分子」が化学反応を進行し、最終的に低蛍光性の構造になりことがある。この化学反応の進行は個々の蛍光体のフォトブリーチングに対する感受性や化学的な環境、励起光の強度、励起光の照射時間、観察や認証のための光学スキャンの繰り返し数等に依存するため、目的に応じた設定が必要となる。
光源として制御可能なレーザー光を使用するなど、入射光の波長と強度を一定にした場合、放出される蛍光(光子数)は蛍光体の量と正比例する。蛍光体が極めて高濃度である場合は、シグナル応答が非線形になる。
一定量の蛍光体から放出される光子数は、励起/放出サイク ルを繰り返せば増幅できる。励起光強度と蛍光体濃度が一定の場合は、放出光の総量は照射時間(蛍光色素等に励起光を照射している期間)に比例する。励起/放出サイクルの時間よりも照射時間が長ければ、蛍光体は励起/放出サイクルを何回も繰り返す。蛍光強度(放出光子数)の測定は、どのような受光素子でも測定可能である。
低強度光を測定する場合は、 増幅機構を持つ光電子増倍管(Photo multiplier tube:PMT) が有効である。PMTに十分なエネルギーを持つ光が入射すると、 陰極から電子が放出され、電子は電流として増幅される。これら受光素子の電流は、入射光の強度に比例し、蛍光強度は通常、任意単位で表示される(例rfu:rela−tive fluorescence unites:相対蛍光単位)。
蛍光体は、一般的に、蛍光体原料を焼成する固相反応法により、製造される。この固相反応法では原料混合物を高い温度で焼成するため、得られる焼成ケーキは、蛍光体粒子が硬く凝集したものとなることが多い。そのため、通常は、蛍光体の製造の際には例えばボールミル、乳鉢等による粉砕工程を行うが、このときの蛍光体粒子の表面の損傷を抑制する方法として、流動式反応器装置を用いて、実質的に単分散の蛍光体−前駆体粒子を、流動する気体中に浮遊させて焼成することにより、凝集していない実質的に単分散の蛍光性粒子を製造する。この方法によれば、1μm未満の大きさの蛍光性粒子を製造することができる。
また、例えば、ZnGa2O4:Mn蛍光体を製造するに際し、焼成を行なう前の蛍光体原料を湿式沈殿法により調製することにより、低温での焼成が可能となり、蛍光体粒子の凝集を抑制することができる。
また、例えば、アルカリ土類アルミン酸塩系、またはアルカリ土類珪酸塩系の母体結晶を有する蛍光体の製造方法に関し、Srを含む蛍光体原料として硝酸ストロンチウムを用い、原料混合液又は懸濁液を所望の粒径となるよう液滴化し、これを焼成する方法がある。これにより、極めて脆い性質を有する蛍光体が得られ、容易に微小なサイズへ粉砕することができる。
蛍光体原料としては、製造しようとする蛍光体を構成する元素(以下、「蛍光体構
成元素」ともいう。)を含有する化合物を用いることができる。その例を挙げると、蛍光体構成元素を含有する、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、窒化物等が挙げられる。蛍光体原料の選択に際しては、得られる蛍光体への反応性等を考慮して選択することが好ましい。さらに、蛍光体を構成する各蛍光体構成元素に対応し、蛍光体原料は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、蛍光体の各蛍光体原料中に含まれる不純物としては、蛍光体の特性に悪影響を与えない限りにおいて、特に限定されない。
各蛍光体原料の重量メジアン径としては、通常0.01μm以上、0.5μm以下である。このために、蛍光体原料の種類によっては予めジェットミル等の乾式粉砕機で粉砕を行っても良い。これにより、各蛍光体原料の原料混合物中での均一分散化を図り、かつ、蛍光体原料の表面積増大による原料混合物の固相反応性を高めることができ、不純物相の生成を抑えることが可能となる。
例えば、Baを含む蛍光体原料の具体例としては、BaO、Ba(OH)2・8H2O、BaCO3、Ba(NO32、BaSO4、Ba(C24)・22O、Ba(OCOCH32、BaCl2等が挙げられる。
Caを含む蛍光体原料の具体例としては、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、Ca(NO32・4H2O、CaSO4・2H2O、Ca(C24)・H2O、Ca(OCOCH32・H2O、無水CaCl2(但し、水和物であってもよい。)等が挙げられる。
Srを含む蛍光体原料の具体例としては、SrO、Sr(OH)2・8H2O、SrCO3、Sr(NO32、SrSO4、Sr(C24)・H2O、Sr(OCOCH32・0.5H2O、SrCl2等が挙げられる。
Znを含む蛍光体原料の具体例としては、ZnO、Zn(C24)・2H2O、ZnSO4・7H2O等が挙げられる。
Mgを含む蛍光体原料の具体例としては、MgCO3、MgO、MgSO4、Mg(C24)・2H2O等が挙げられる。
Siを含む蛍光体原料の具体例としては、SiO2、H4SiO4、Si(OCOCH34等が挙げられる。
Euを含む蛍光体原料の具体例としては、Eu23、Eu2(SO43、Eu2(C243、EuCl2、EuCl3、Eu(NO33・6H2O等が挙げられる。
Sm、Tm及びYbを含む各蛍光体原料の具体例としては、Eu源の具体例として挙げた各化合物において、EuをそれぞれSm、Tm及びYbに置き換えた化合物が挙げられる。
Mnを含む蛍光体原料の具体例としては、MnO、MnO2、Mn23、MnF2、MnCl2、MnBr2、Mn(NO32・6H2O、MnCO3、MnCr24等が挙げられる。
Crを含む蛍光体原料の具体例としては、Cr23、CrF3(水和物であってもよい)、CrCl3、CrBr3・6H2O、Cr(NO32・9H2O、(NH42CrO4等が挙げられる。
Tbを含む蛍光体原料の具体例としては、Tb47、TbCl3(水和物を含む。)、TbF3、Tb(NO33・nH2O、Tb2(SiO43、Tb2(C243・10H2O等が挙げられる。また、他の蛍光体原料(例えば、Eu源)とTb源とを共沈させてから用いることもできる。
Prを含む蛍光体原料の具体例としては、Pr23、PrCl3、PrF3、Pr(NO3362O、Pr2(SiO43、Pr2(C243・10H2O等が挙げられる。
Ceを含む蛍光体原料の具体例としては、CeO2、CeCl3、Ce2(CO33・5H2O、CeF3、Ce(NO33・6H2O等が挙げられる。
Luを含む蛍光体原料の具体例としては、Lu23、LuCl3、LuF3(水和物であってもよい)、Lu(NO33(水和物であってもよい)等が挙げられる。
Laを含む蛍光体原料の具体例としては、La23、LaCl372O、La2(CO33・H2O、LaF3、La(NO33・6H2O、La2(SO43等が挙げられる。
Gdを含む蛍光体原料の具体例としては、Gd23、GdCl3・6H2O、Gd(NO33・5H2O、Gd2(SO43・8H2O、GdF3等が挙げられる。
Geを含む蛍光体原料の具体例としては、GeO2、Ge(OH)4、Ge(OCOCH34、GeCl4等が挙げられる。
Gaを含む蛍光体原料の具体例としては、Ga23、Ga(OH)3、Ga(NO33・nH2O、Ga2(SO43、GaCl3等が挙げられる。
Alを含む蛍光体原料の具体例としてはα−Al23、γ−Al23等のAl23、Al(OH)3、AlOOH、Al(NO33・9H2O、Al2(SO43、AlCl3等が挙げられる。
Pを含む蛍光体原料の具体例としては、P25、Ba3(PO42、Sr3(PO42、(NH43PO4等が挙げられる。
Bを含む蛍光体原料の具体例としては、B23、H3BO3等が挙げられる。
なお、上記に例示した原料は、必要に応じて共沈させてから用いてもよい。
さらに、N元素、O元素及びハロゲン元素等に対応する蛍光体原料は、通常、上記各蛍光体構成元素の蛍光体原料のアニオン成分として、又は焼成雰囲気中に含有される成分として、蛍光体製造時に供給される。
蛍光体原料を混合して原料混合物を調製してから、原料混合物を所定温度、雰囲気下で焼成する。この際、混合は十分に行うことが好ましい。
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)として挙げた手法を用いることができる。また、これらの各種条件については、例えば、ボールミルにおいて2種の粒径の異なるボールを混合して用いる等の条件を選択可能である

(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の蛍光体原料に例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒又は水などの溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
蛍光体原料の混合は、蛍光体原料の物性に応じて、湿式又は乾式のいずれかを選択することができる。
また、ハロゲン化物、窒化物等の酸化・吸湿し易い原料を用いる場合には、例えばアルゴンガス、窒素ガス等の不活性気体を充填し、水分管理されたグローブボックス内でミキサー混合する。
また、混合・粉砕時に、粒径を揃える等の目的で、蛍光体原料を篩いにかけても良い。この場合、各種市販の篩いを用いることが可能であるが、金属メッシュのものよりもナイロンメッシュ等の樹脂製のものを用いる方が、不純物混入防止の点で好ましい。
焼成工程では、得られた原料混合物を焼成することにより焼成物を得る。得られた焼成物は、通常、その組成は目的とする蛍光体のものとなっているが、その粒子は焼結して焼成ケーキとなっている。
さらに、焼成において、焼成炉中の耐熱容器の数が多い場合には、例えば、上記の昇温速度を遅めにする等、各耐熱容器への熱の伝わり具合を均等にすることが、ムラなく焼成するためには好ましい。
焼成工程における焼成温度、圧力、雰囲気等の焼成条件は、製造しようとする蛍光体そ
れぞれに応じて適切な条件を設定することが好ましい。
さらに、耐湿性等の耐候性を一層向上させるために、又は、発光装置の蛍光体含有部における樹脂に対する分散性を向上させるために、必要に応じて、蛍光体の表面を異なる物質で被覆する等の表面処理を行なってもよい。
蛍光体の表面に存在させることのできる物質(以下「表面処理物質」とも称する。)の例としては、例えば、有機化合物、無機化合物、ガラス材料等を挙げることができる。 有機化合物の例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレン等の熱溶融性ポリマー、ラテックス、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
無機化合物の例としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化硼素、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ビスマス等の金属酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸ストロンチウム等のオルト燐酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。なお、燐酸リチウム、燐酸ナトリウム、及び燐酸カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種と、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、塩酸バリウム、塩酸カルシウム、及び塩酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせて用いることもできる。中でも、燐酸ナトリウムと硝酸カルシウムとを組み合わせて用いることが好ましい。また、蛍光体表面にバリウム、カルシウム、ストロンチウムが存在する場合には燐酸ナトリウム等の燐酸塩のみを用いても表面処理を行なうことができる。
ガラス材料の例としてはホウ珪酸塩、ホスホ珪酸塩、アルカリ珪酸塩等が挙げられる。 これらの表面処理物質は、何れか1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
表面処理を施した蛍光体は、これらの表面処理物質を有することになるが、その表面処理物質の存在態様としては、例えば下記のものが挙げられる。
(i)表面処理物質が連続膜を構成して、蛍光体の表面を被覆する態様。
(ii)表面処理物質が多数の微粒子となって、蛍光体の表面に付着することにより、蛍光体の表面を被覆する態様。
蛍光体の表面への表面処理物質の付着量、若しくは被覆量は、蛍光体の重量に対して、0.1重量%以上、また、30重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。蛍光体に対する表面処理物質量の量が多過ぎると、蛍光体の発光特性が損なわれる場合があり、少な過ぎると表面被覆が不完全となって、耐湿性、分散性の改善が見られない場合がある。
表面処理の方法には特に限定は無いが、例えば、以下に説明するような、金属酸化物(
酸化珪素)による被覆処理法を挙げることができる。
蛍光体をエタノール等のアルコール中に混合して、攪拌し、更にアンモニア水等のアルカリ水溶液を混合して、攪拌する。次に、加水分解可能なアルキル珪酸エステル、例えばテトラエチルオルト珪酸を混合して、攪拌する。得られた溶液を30分間静置した後、蛍光体表面に付着しなかった酸化珪素粒子を含む上澄みを除去する。次いで、アルコール混合、攪拌、静置、上澄み除去を数回繰り返した後、150℃で2時間の減圧乾燥工程を経て、表面処理蛍光体を得る。
蛍光体の表面処理方法としては、この他、例えば球形の酸化珪素微粉を蛍光体に付着さ
せる方法、蛍光体に珪素系化合物の皮膜を付着させる方法、蛍光体微粒子の表面をポリマー微粒子で被覆する方法、蛍光体を有機材料、無機材料及びガラス材料等でコーティングする方法、蛍光体の表面を化学気相反応法によって被覆する方法、金属化合物の粒子を付着させる方法等を用いることができる。
蛍光体の結晶構造の例を挙げると、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu等のオルソシリケート系結晶構造、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si312:Ce等のガーネット系結晶構造、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu等のアパタイト系結晶構造、M3Si6122:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表わす。)等の窒化物系結晶構造などが挙げられる。中でも、オルソシリケート系結晶構造又はガーネット系結晶構造が好ましい。
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nm以上、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、さらには535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。
また、緑色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常10nm以上、通常130nm以下であり、用途に応じて適宜調整することが好ましい。この半値幅FWHMが狭過ぎると発光強度が低下する場合があり、広過ぎると色純度が低下する場合がある。
また、緑色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、メジアン径D50は、通常1μm程度である。
緑色蛍光体の具体例を挙げると、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)Si222:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体等が挙げられる。
また、その他の緑色蛍光体としては、Sr4Al1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)Al2Si28:Eu、(Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si27:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)9(Sc,Y,Lu,Gd)2(Si,Ge)624:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Y2SiO5:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr227−Sr225:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si38−2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、Zn2SiO4:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、Y3Al512:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca28(SiO462:Tb、La3Ga5SiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga24:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y3(Al,Ga)512:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Al,Ga)512:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、Ca3Sc2Si312:Ce、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si312:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc24:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)22S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO4:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO3:Ce,Tb、Na2Gd227:Ce,Tb、(Ba,Sr)2(Ca,Mg,Zn)B26:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、Ca8Mg(SiO44Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)24:Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO44Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、M3Si694:Eu、M3Si6122:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表わす。)等のEu付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
以上例示した緑色蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(橙色ないし赤色蛍光体)
該橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si58:Euで表わされるユーロピウム賦活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行う(Y,La,Gd,Lu)22S:Euで表わされるユーロピウム賦活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
また、赤色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常1nm〜50nmの範囲である

また、赤色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のもの
であり、メジアン径D50は通常1μm程度である。
更に、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種類の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)22S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O4:Eu、Y23:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Mg)2SiO4:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、LiW28:Eu、LiW28:Eu,Sm、Eu229、Eu229:Nb、Eu229:Sm等のEu付活タングステン酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO3:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、Ca28(SiO462:Eu、LiY9(SiO462:Eu、(Sr,Ba,Ca)3SiO5:Eu、Sr2BaSiO5:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)3Al512:Ce、(Tb,Gd)3Al512:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、Ba3MgSi28:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)3(Zn,Mg)Si28:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)23:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)22S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY24:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa24:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP27:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)227:Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)2WO6:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)xSiyNz:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数を表わす。)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO46(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1-x-yScxCey)2(Ca,Mg)1-r(Mg,Zn)2+rSiz-qGeqO12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、又は、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
以上の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Ce、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)22S:Eu又はEu錯体を含むことが好ましく、より好ましくは(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Ce、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu又は(La,Y)22S:Eu、もしくはEu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体又はカルボン酸系Eu錯体を含むことが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu又は(La,Y)22S:Euが特に好ましい。
また、以上例示の中でも、橙色蛍光体としては(Sr,Ba)3SiO5:Euが好ましい。
なお、橙色ないし赤色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(青色蛍光体)
青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
また、青色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常20nm〜80nmの範囲である。
また、青色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、メジアン径D50は通常1μm程度である。
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Euで表わされるユーロピウム賦活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)5(PO43(Cl,F):Euで表わされるユウロピウム賦活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Ca,Sr,Ba)259Cl:Euで表わされるユウロピウム賦活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行う(Sr,Ca,Ba)Al24:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al1425:Euで表わされるユウロピウム賦活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr227:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al24:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm、BaAl813:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa24:Ce、CaGa24:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu、(Ba,Sr,Ca)5(PO43(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAl2Si28:Eu、(Sr,Ba)3MgSi28:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr227:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、Y2SiO5:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO4等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO46・nB23:Eu、2SrO・0.84P25・0.16B23:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si382SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、SrSi9Al19ON31:Eu、EuSi9Al19ON31等のEu付活酸窒化物蛍光体、La1-xCexAl(Si6-zAlz)(N10-zOz)(ここで、x、及びyは、それぞれ0≦x≦1、0≦z≦6を満たす数である。)、La1-x-yCexCayAl(Si6-zAlz)(N10-zOz)(ここで、x、y、及びzは、それぞれ、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦6を満たす数である。)等のCe付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
以上の例示の中でも、青色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu又は(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO \f14:Euを含むことが好ましく、(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46(Cl,F)2:Eu又は(Ba,Ca,Sr)3MgSi28:Euを含むことがより好ましく、BaMgAl1017:Eu、Sr10(PO46(Cl,F)2:Eu又はBa3MgSi28:Euを含むことがより好ましい。また、このうち照明用途及びディスプレイ用途としては(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO46Cl2:Eu又は(Ca,Sr,Ba)MgAl1017:Euが特に好ましい。
なお、青色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
また、黄色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常60nm〜200nmの範囲である。
また、黄色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、メジアン径D50は通常1μm程度である。
このような黄色蛍光体としては、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE3M512:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)やMa3Mb2Mc312:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表わす。)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2MdO4:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mdは、Si、及び/又はGeを表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSi(N,O)3:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体が挙げられる。
また、その他、黄色蛍光体としては、CaGa24:Eu、(Ca,Sr)Ga24:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al)24:Eu等の硫化物系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のsialon構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体、(M1-a-bEuaMnb)2(BO31-p(PO4)pX(但し、Mは、Ca、Sr、及びBaからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、Xは、F、Cl、及びBrからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わす。a、b、及びpは、各々、0.001≦a≦0.3、0≦b≦0.3、0≦p≦0.2を満たす数を表わす。)等のEu付活又はEu,Mn共付活ハロゲン化ホウ酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、黄色蛍光体としては、例えば、brilliant sulfoflavine FF (Colour Index Number 56205)、basic yellow HG (Colour Index Number 46040)、eosine (Colour Index Number 45380)、rhodamine 6G (Colour Index Number 45160)等の蛍光染料等を用いることも可能である。
さらには、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体やビススチリルビフェニル誘導体(紫外線励起400〜450nm蛍光発光)等を用いることもできる。
特に、ナノ蛍光体:Siナノ蛍光体、ZnSナノ蛍光体、YAG:Ceナノ蛍光体、LaPO4:Lnナノ蛍光体、色素ドープシリカナノ蛍光体、半導体ナノ粒子、CdSe−ZnS量子ドット等は、その粒径がホログラムレリーフのレリーフ周期よりはるかに小さいため、そのレリーフ面上へ均一に形成でき、かつ、形成厚さも制御しやすいため特に好適である。半導体薄膜の極微細加工により形成する場合は、高精度且つ、極薄膜で形成可能であり、発光光の波形や、強度を制御して、その干渉性を向上させることができる。
蛍光性半導体量子ドットにおいては、中心核(コア)は、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)でできており、その外側を硫化亜鉛(ZnS)の被覆層(シェル)が覆っている構造をしている。この金属化合物の直径を変えることで、発する蛍光波長が変わる特徴を持つ。この量子ドットの周囲に生体高分子を配置したものは、生体高分子特有の反応基を有するため、この反応基を利用して蛍光体を特異的に配置させることが可能である。
紫外線発光蛍光体としては、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻る時に発する蛍光スペクトルのピークが、青、緑、赤等の波長域にあるものである。そして、このような紫外線発光蛍光体としては、例えばCa259 Cl:Eu2+,CaWO4 ,ZnO:Zn,Zn2 SiO4 :Mn、Y22 S:Eu,ZnS:Ag,YVO4 :Eu、Y23 :Eu,Gd22 S:Tb,La22S:Tb,Y3 Al512:Ce等があり、これらを単体として使用するか、またはこれらを数種、適当な割合で混合して使用する。
これらは、蛍光スペクトルのピークを、青、赤、緑の波長領域以外に有するものである。また、インキ中の紫外線蛍光発光体の重量率は、読み取りヘッドの受光素子による蛍光の検知が可能であればよい。
一方、赤外線発光蛍光体としては、波長λ1の励起光を受けて、波長λ2の可視光を発光する特性を有し、λ1=λ2かつλ1>λ2なる性質を有するものがある。そして、このような赤外線発光蛍光体としては、例えば組成が YF3 :Yb,Er,ZnS:CuCO等がある。
具体的例として、BASF社製ルモゲンFVヴァイオレット570(ナフタルイミド:374nm→413nm)、ルモゲンFイエロー083(ペリレン:励起波長476nm→発光波長490nm:以下同じ。)、ルモゲンFオレンジ(ペリレン:525nm→539nm)、ルモゲンFレッド305(ペリレン:578nm→613nm)等、
デイグロ社製蛍光顔料:グロプリルT/GTシリーズ、ACTシリーズ、Z/ZQシリーズ、GPLシリーズ、LHYシリーズ、蛍光染料:ダイブライトD−818ロアノークイエロー、D−784アルパータイエロー、D−208アパツチイエロー、D−288チェロキーレツド、D−688コロラドレツド、D−298コロンビアブルー等、
シンロイヒ社製蛍光顔料:シンロイヒカラーFZ−2000シリーズ(FZ−2001RED等)、FZ-2800シリーズ(FZ−2808Blue等)、SX−100シリーズ(SX−104Orange等)、SX−1000シリーズ(SX−1004Orange、SX−1005Lemon Yellow、SX−1007Pink、SX−1037Magenta:平均粒径1.0μm以下)、SW−10シリーズ(SW−11Red Orange、SW−12NGreen、SW−13Red、SW−14NOrange、SW−15N Lemon Yellow、SW−16N Orange Yellow、SW−07Cerise、SW−17Pink、SW−27Rose、SW−37Rubine、SW−47Violet、SW−28Blue:平均粒径1.0μm以下)、SPシリーズ、SF−3000シリーズ(超微粒子タイプ)、SF−5000シリーズ(超微粒子タイプ)、SF−8000シリーズ(超微粒子タイプ)、ルミライトナノRY202(粒径30nm、365〜370nm→619nm)等、
モリテッククス社製:蛍光粒子(グリーン:468nm→508nm)G25(粒径0.03μm)、G40(粒径0.04μm)、G50(粒径0.05μm)、G75(粒径0.07μm)、G85(粒径0.09μm)、G100(粒径0.10μm)、G140(粒径0.14μm)、G200(粒径0.20μm)、G250(粒径0.25μm)、G300(粒径0.30μm)、G400(粒径0.40μm)、G450(粒径0.45μm)、G500(粒径0.50μm)、
蛍光粒子(グリーン:360nm→530nm)34−1(平均粒径3.0μm)、
蛍光粒子(ブルー:365nm→447nm)B50(粒径0.05μm)、B100(粒径0.10μm)、B150(粒径0.14μm)、B200(粒径0.20μm)、B300(粒径0.30μm)、B400(粒径0.40μm)、B500(粒径0.50μm)、
蛍光粒子(レッド:542nm→612nm)B50(粒径0.05μm)、B60(粒径0.05μm)、B100(粒径0.10μm)、B160(粒径0.16μm)、B200(粒径0.20μm)、B300(粒径0.30μm)、B400(粒径0.40μm)、B500(粒径0.50μm)等、
テールナビ社製 紫外線励起蛍光顔料UVP−1(発光波長421nm)、UVB−1(発光波長453nm)、UVG−2(発光波長517nm)、UVR−2(発光波長626nm)、可視光励起蛍光顔料LMS−570(450〜520nm→570nm)、LMS−560(450〜467nm→560nm)、LMS−550(450〜465nm→550nm)、LMS−540(450〜465nm→540nm)等、
イントロジェン社製Qdot525ナノクリスタル(350〜488nm→525nm)、Qdot565ナノクリスタル(350〜488nm→565nm)、Qdot585ナノクリスタル(350〜488nm→585nm)、Qdot605ナノクリスタル(350〜488nm→605nm)、Qdot625ナノクリスタル(350〜488nm→625nm)、Qdot655ナノクリスタル(350〜488nm→655nm)、Qdot705ナノクリスタル(350〜488nm→705nm)、Qdot800ナノクリスタル(350〜488nm→800nm)等、
エヴィデントテクノロジーズ社製エヴィドット:CdSe/ZnSコアシェルエヴィドット(平均粒径7.2〜9.6nmで発光波長490nm〜620nm)等、
日本カンタムデザイン社製量子ドット:カルボキシル基タイプ、アミノ基タイプ:直径3.0nm〜直径8.3nmで発光波長530nm〜620nm等を好適にもちいることができる。
次に、ホログラフィの原理について説明する。
物体がコヒーレント光で照明され,物体から回折された光が記録媒体(フォトレジスト等。)を照明しているとした場合、物体から回折されて記録面に到達した波面を物体波は、
F(x,y)=A(x,y)EXP[φ(x,y)]
であらわされる。ここで、
A(x,y) は物体波の振幅分布とし、
φ(x,y) は位相分布とする。
このとき、記録媒体には、記録媒体に到達する光波の強度分布が記録される。その強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)|2=A2(x,y) (1)
となり、位相分布は記録されない。
ここで,物体波にこれと干渉性のある光波(参照波という)を重ね合わせると,記録される光波の強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)+R(x,y)|2
=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+F(x,y)R*(x,y)+F*(x,y)R(x,y) (2)
となる.(*は複素共役項を表す。)
ただし,参照光が記録面に角度θで入射する平面波であるとすれば、
R(x,y)=r(x,y)EXP(2πiαx) (3)
と書け、
α = SIN(θ)/λ (4)
である。(2)の第1項と第2項はそれぞれ、物体波の強度と参照波の強度でいずれも位相情報は欠落している。第3項と第4項は干渉の項でそれぞれ
F(x,y)R*(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[i [φ(x,y)−2παx] ] (5)
F*(x,y)R(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[−i [φ(x,y)−2παx]] (6)
とあらわされ、物体の位相項 φ(x,y) が残っている。(5)、(6)は互いに複素共役であり、(4.2)の第3項は物体の複素振幅分布を含んでいる。(5)、(6)を(2)に代入すると、
I(x,y)=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+2A(x,y)r(x,y)COS [2παx−φ(x,y)] (7)
となる.物体波と参照波が干渉して干渉縞を形成していることがわかる。
このように、物体波に参照波を重ね合わせて干渉記録し、 物体の位相情報を欠落させずに記録する方法がホログラフィである。(7)を記録したものが「ホログラム」と呼ばれる。ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布 I(x,y)
比例し、
T(x,y)=τI(x,y) (8)
とかけるとする。このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてると、ホログラムを透過もしくは反射してきた波面は、
T(x,y)R(x,y)=τ(|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+τF(x,y)|R(x,y)|2
+τF*(x,y)R2(x,y) (9)
とあらわすことが出来る.この第2項は
τF(x,y)|R(x,y)|2
τA(x,y)r2(x,y)EXP[iφ(x,y)]] (10)
第3項は、
τF*(x,y)R2(x,y)=
τA(x,y)r2(x,y)EXP[−iφ(x,y)+2πiα] (11)
とかける。
このことから、(9)の第1項は、照明光と同じ方向にホログラムを突き抜ける光束もしくは正反射する光束であり、第2項は、(10)より、物体光に比例した振幅を持つ光波であることがわかり、第3項は、(11)より、物体波と共役な位相分布を持ち、2θの方向に伝播する光波であることがわかる。
このようにして,ホログラフィの技術を使うと複素振幅分布を記録して再生することが出来る。
本発明の場合は、ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布に比例し、(8)の式で表されてはいるものの、このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてるのではなく、(8)の振幅透過率もしくは振幅反射率と同様の空間的な分布を持つ発光波がこのホログラムから発せられることになる。
従って、参照光にホログラムに記録された位相項を付与するという従来のホログラム再生の原理によらず、既にホログラムに記録されている位相項を保持して発光波を放射するものである。従って、理論上は、物体の位相差を含む空間関数を持つ3次元の連続曲面状の発光面を有し、その1曲面から光が放射されることになる。
従来のホログラム再生原理を透過タイプについて、単純化して説明すると、参照光としての平行光をホログラムにあてた際、遮蔽部分では、平行光が遮蔽され、透過部分からのみその平行光を透過し、透過部分と遮蔽部分との境界において回折が起こり、物体の持つ位相項を受け取り、ホログラムを透過した成分全体が重ね合わさり、それがホログラム再生光となって観察者の目に届くものである。
本発明の場合は、上記した参照光としての平行光が存在せず、ホログラムレリーフに接するように設けられた発光面での発光時、その放射光が物体の位相項を保持しており、その放射光同士の干渉現象により、ホログラム再生がなされるものである。
時間的且つ空間的コヒーレンス性を持たない放射光同士の干渉効果は、レーザー光のような十分な干渉を生じないが、低コヒーレント光で ホログラムを照明した際と同様のレベルでホログラム再生が行われる。以上のような原理による再生であるため、ホログラム撮影時の参照光は平行光であることが好ましく(複雑な参照光を再現できないため。)、もしくは、「回折格子により表現されたホログラム」(回折格子は、物体光、参照光とも平行光である。)であることが好ましく、回折格子は計算機ホログラム等、電子線描画により形成したものが精密であり、好適である。
さらに、上記の理由から、ホログラム再生像をより鮮明にするためには、放射光に、時間的若しくは空間的なコヒーレンス性に類する特性を付与することが必要であり、例えば、発光体の発光面の厚さを薄いものとしたり、発光波長の幅を狭くすることが望ましい。さらに、励起光源も小さい形状であることが好ましく、スポット形状等が特に好適である。
また、発光体を励起する励起光と、発光波長との波長差は大きい方が望ましく、さらに、観察時、その励起光をフィルタリングして発光光のみを増幅することも有効である。
励起光源として、紫外線、可視光線、電子線、X線等のエネルギー及び場合に応じて、赤外線エネルギーを放射可能な光源を用いて、蛍光発光等をさせることができるが、ホログラム観察用さらには、ホログラム認証用に用いるためには、蛍光体に応じた光源を用いる必要があり、所定の強度、波長、さらには照明スポットのサイズを有する紫外線光源、可視光光源、場合により赤外光光源を用いる。
これらの光源による照明により、ホログラムレリーフ面に接するように設けられた蛍光層から、さらに言及すれば、その蛍光層に含まれる蛍光体から個々に、照明光源の波長とは異なる波長の蛍光等が発現する。その蛍光発光等が、ホログラムレリーフと同一の空間的位相を含み、且つ、照明光源とは異なる波長(蛍光波長。)を有することから、ホログラムレリーフによる正反射光(0次回折光)方向や、照明光波長(励起光波長)による回折方向とは異なる方向、すなわち、蛍光波長による回折方向へホログラム像の再生が行われる。
但し、この蛍光層の厚さが、ホログラムレリーフとは無関係にそのホログラム面上に分布している場合には、その厚さ分布に起因する蛍光発光強度分布が、場合によっては、ホログラムを再生する光と不要な干渉を生じ、ホログラム再生像を不鮮明にする要因となり得る。
この要因を排除するため、蛍光層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成して、ホログラムレリーフ面のどの位置からも、同一の強度の発光が生じるようにし、ホログラム再生像の鮮明化を図ることができる。
本発明のホログラムラベルの照明光(励起光)として、可視光以外の紫外光や赤外光を使用した場合は、その光は観察者には見えず、あたかも照明光のないところからホログラム再生像が浮き上がっているように観察されるが、このホログラム再生像は、例え、照明光が、時間的・空間的なコヒーレント性を有していても、結果として、励起・蛍光というプロセスを経て発光するものであるため、その発光時の空間的なホログラムの位相を含んではいるとはいえ、その発光光同士の時間的及び空間的なコヒーレント性は小さく、ホログラム再生像は通常のレーザー再生レリーフホログラムの再生像より微弱であって且つ不鮮明となっている。
もちろん、ビーム形状の回折光を観察するのみであれば、その色調と回折方向を確認することは容易であり、そのままでも真正性の判定に差し支えないが、このため、この微弱且つ不鮮明なホログラム再生像を観察者が認識しその存在を正確に判定可能とするために、蛍光体の発光性能を向上させ、且つ、回折角度を大きくとって波長―回折角依存性を強め、照明光回折角度と蛍光光回折角度の差を大きくし、さらには、蛍光層を薄くして、蛍光層厚さ方向のばらつきを抑え且つ均一なものとすることが必要となる。(発光面が位相情報を含んでいるため、その空間的な形状を正確に再現するものとする。)
さらには、時間的なコヒーレント性を発現するため、光源として10-15sec以下のパルスレーザーで励起して、パルスとパルスの時間的間隔を蛍光発光時間である10-7sec以上あけて照明することも好適である。これにより、一つの励起パルスによって生じた一つの蛍光発光の発光面が、次の励起パルスによって生じた蛍光発光面とは、互いに撹乱現象を起こさず、一つのパルスによって発現した一つの蛍光発光面によって生じるホログラフィックな干渉現象により、鮮明なホログラム再生像を観察することができるようになる。もちろん、単純に秒単位でON−OFFするストロボ状の光源を使用した場合でも、観察者には、連続して発光しているようにも見えるため、このような簡易な手段であっても目視で確認する場合には、上記した効果を十分得ることができる。
蛍光層は、蛍光体を樹脂に混入させたり、溶剤(若しくは水)に分散させたりした蛍光体インキを、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、ノズルコート方式さらにはインクジェット方式等でホログラムレリーフ上に形成することができる。
このとき、蛍光インキ中の蛍光体の含有割合を調整する等により、形成した蛍光層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成することができる。
ホログラムレリーフの凹凸は例えれば、1μmレベルの周期で、深さ0.01μmレベルの凹凸を持つ、ゆるやかな曲線であって略平面と見做せるため、この略平面上に適宜な粘度(0.1〜10パスカル・秒)に調整し、インキの自重によるレベリング効果を発揮させることと、インキ中の固形分を20%以下、さらには10%以下とすることで、例えば、厚さ1μmに対して、そのばらつきを1/10以下に、さらには1/20以下に抑えることができる。
ここで、蛍光層を1μmオーダーとしたが、ホログラム再生像の鮮明度を向上させるためには、蛍光層を薄くすることが好ましく、このためには、蛍光体のサイズを1.0μm程度もしくはそれ以下、例えば0.1μm〜0.5μm、さらには、0.5μm〜0.1μm、より好適には、3〜10nmとし、ホログラムレリーフ面内に均一に存在させ、且つ、蛍光層厚さ方向には、蛍光体1粒子を単位として1〜10粒子、もしくは1〜3粒子以内で並んでいる状態とすることが好ましい。
中でも、ノズルコート方式やインクジェット方式は樹脂を使用せず溶剤等と蛍光体のみで形成可能であり、蛍光層として非常に薄く形成(蛍光体1個分〜3個分等。)することができるため好適である。その上にそれらの蛍光体を固定するために樹脂を形成してもよい。
ホログラムレリーフは、周期1μm程度で、深さは、0.01μm、最大でも0.5μmの凹凸形状をしており、この凹部にのみ蛍光層を設けることで、ホログラムレリーフの周期に同調するかたちで、蛍光層の有無、すなわち、蛍光発光の有無を設けることができる。
ホログラムレリーフの凹部とは、ホログラムレリーフ上に蛍光層を形成する際の凹部であって、通常の観察の仕方、すなわち、ホログラム形成層側から観察する場合には、凸部側となる。蛍光層の有無を利用して発光強度分布を形成するためには、凹凸どちらかに部分的に形成すればよく、さらには、凹部全体を蛍光層で埋めてもよく、もしくは、凹部の最低部のほんの一部のみに形成してもよい。但し、その位相分布と形成する分布が同調する必要があるため、一部に形成する場合は、常に同一の位置に同一の蛍光体量を持って形成しなければならない。
凹部に選択的に蛍光層を形成する方法としては、溶剤等に分散した粒径の非常に小さい蛍光体(粒径が10nm等。樹脂を含まない。)インキを使用して、ホログラムレリーフの上に蛍光インキ層を形成し、溶剤が揮発する間に、蛍光体粒子が自重で凸部から凹部へと移動するようにしても良い。
また、規則的な回折格子を設け、その上に均一に設けた蛍光層をフォトリソグラフィーを用いて、その規則的な回折格子に同調させて露光現像、エッチングすることにより、凹凸と蛍光層を同調して設けることもできる。この方法によると、各凹部に点在する蛍光層の厚さや大きさを制御可能であり、レリーフ面全体に、いわば”均一に”形成することができる。
以上の手法により形成したものは、上記のホログラムの原理において説明した、蛍光発光(放射光)にホログラムレリーフの位相情報を含ませること、に加え、その位相情報に同調した振幅情報をさらに含ませるものである。
従って、発光放射光に位相ホログラムと振幅ホログラムの両方のホログラム情報を含ませることができ、より鮮明なホログラムを得ることが可能となる。また、蛍光層が不連続的に形成されていることから、蛍光層の個々の部分は、ホログラムラベルを不正に剥がした際に非常に動きやすく、「蛍光層の変形」は、非常に大きいものとなることから、その意匠性及び真正性判定性を向上することができる。
上記したホログラムの原理より、ホログラム再生像の鮮明度を高めるためには、蛍光層の厚さは薄いことが望ましいが、薄くすればするほど、ホログラム再生時の蛍光発光強度が弱くなるため、蛍光層厚さは、0.003μm以上1.0μm以下である必要があり、さらには、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
0.003μm未満(最小粒径の蛍光体1個分)では、蛍光発光強度が弱すぎて、光電子倍増管を用いて増幅したとしても、迷光等のノイズとの区別がつきにくく、1.0μmを超えると、発光強度は本発明の目的には十分な強度を得ることが可能であるが、厚さ方向に複数存在する蛍光体の発光により、ホログラムレリーフの位相情報を担う曲面の位置がその厚み方向に複数存在することになり、結果としてホログラム再生像が不鮮明となる。
これに対して、0.01μm以上(最小粒径の蛍光体3個分)として蛍光発光強度を確保し、0.5μm以下として、位相情報を担う曲面の位置を明確にして、ホログラム再生像を鮮明なものとする。
このような蛍光層は、ホログラムラベルを不正に剥がした際に非常に変形しやすいことから、真正性判定性をさらに向上することができる。
この蛍光層上、もしくは、蛍光層が無い領域においては、透明樹脂層上に直接、接着剤層を設け、本発明のホログラムラベルを形成することができる。
接着剤層に用い得る透明な樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリビニリデン、メチルセルロース、フッ素樹脂、メラミン樹脂、もしくは、この混合体等を適宜用いることができ、更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる(接着剤を意味する。)。
これらの接着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、グラビア印刷等のコーティング方式や、シルク印刷、さらには、無溶剤のホットメルト方式等を用いて、上記のレリーフホログラムのホログラムレリーフ上に、乾燥後の形成厚さ、5μm〜50μmで、設けることができる。
5μm未満では、ホログラムラベルを貼着する被貼着体との接着力(接着強度、もしくは、剥離強度を意味する。)が不十分であり、また、50μmを超えると、ホログラムラベルの取扱い適性に欠けるものとなる。
この際、接着剤層の厚さと[透明基材+透明樹脂層]の厚さをほぼ等しくすると、透明樹脂層と接着剤層との界面が、ホログラムラベルのほぼ中央に位置し、ホログラムラベルを不正に剥がそうとしたときの、変形応力や引っ張り力が、この界面のずれ応力、乃至は剥離力となり易く、好適である。
上記した接着剤層に用いる透明な樹脂は、蛍光層や透明樹脂層との接着性の強いものを適宜選択する。
また、接着剤層には、光散乱性を有するもの、例えば、高屈折率である透明無機顔料微粒子(二酸化チタン顔料:屈折率2.70、酸化鉄パール顔料:屈折率3.0など。)を比較的多く混入させることが可能であって(接着剤層を通過する光は、「ホログラム再生」には寄与しないため。)、これにより、蛍光層を発光させた際の、観察側とは反対の方向に進む光を乱反射させて減衰させることができるとともに、接着剤層の粘性を抑制してホログラムラベルのブロッキングを防止でき、好適である。
接着剤層と、蛍光層や透明樹脂層との180度剥離強度(剥離強度測定は、JIS Z−0237に準じ、剥離速度500mm/分とする。)は、100g/25mm〜3kg/25mm、特に、300g/25mm以上とすることが望ましい。100mm/25mm未満では、ホログラムラベルを被貼着体に貼着した後、ホログラムラベルを不正に剥がそうとした際に、被貼着体と接着剤層との界面においての剥離が起こり易くなり、ホログラムラベルに対して、曲げや、引っ張り等の力がほとんど働かず、蛍光層の変形が小さいものとなる。
また、不正防止という意味では、剥離強度は、大きいことが望ましいが、3kg/25mmを超えると、ラベル加工適性や、ラベル貼付適性に劣るものとなる。
本発明のホログラムラベルによれば、
透明基材の一方の面に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、前記ホログラムレリーフに接するように蛍光層、及び、接着剤層が設けられていることを特徴とするホログラムラベルが提供され、照明光の波長と異なる波長によるホログラム再生像を持ち、且つ、ホログラムラベルを不正に剥がした際には蛍光層に変形が生じ、不正を行った者には気づかれないうちに、再生されるホログラムが不鮮明化されているという偽造防止性に優れるホログラムラベルが提供される。
は、ジャブロンスキー図である。 は、本発明の一実施例を示すホログラムラベルAの断面図である。 (蛍光層が、「ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な 厚さで形成されている」例であり、接するように蛍光層が設けられ ている場合の図は省略している。) は、本発明の他の実施例を示すホログラムラベルA´の断面図である。 (蛍光層が、「ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成 されている」例。) は、本発明の一実施例を判定するプロセスである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(透明基材)本発明で使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムラベルAを製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
その中でも、紫外線等の励起光に対する耐性を有するもの、例えば、紫外線吸収剤を含むものであってもよい。紫外線吸収剤を含むものは、自然光等の中に含まれる紫外線により微かではあるが、予定外のホログラム再生を防ぐ効果も有する。
透明基材1の厚さは、5〜250μmであるが、ホログラム再生像の視認性を配慮する場合には、5〜100μm、特に5〜25μmとすることが望ましい。(図2または図3参照。)
(ホログラムレリーフを有する透明樹脂層:ホログラム形成層ともいう。)
本発明のホログラムレリーフを有する透明樹脂層2(ホログラム形成層2)を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステル樹脂(屈折率n=1.47)、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、ニトロセルロース樹脂(n=1.54)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、もしくは、ポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、ウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、もしくはフェノール樹脂(n=1.60)等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層2を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を上記の樹脂材料の層に押し付けることにより、賦型を行なうことが好適である。(図2または図3参照。)
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフは、物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
また、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフである、微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。
さらに、カラーホログラム画像を、回折格子線からなる回折格子画素(同一の回折格子線からなる単一回折格子エリアの最小単位。これら画素から回折光としてでてくる光の集合が一つのカラーホログラム画像を形成する。)に要素分解し、所定の画素のサイズ、格子線ピッチ、格子線角度をその各要素に割り当てて再現するという画像処理方法を用いて形成することも可能である。(図示せず。)
凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.1μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.01μm〜0.5μmである。
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記ホログラム形成層2上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版には、Niなどの硬度の高い金属を用いる。この原版は、光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面に、Cr、Ni薄膜層を真空蒸着法、スパッタリングなどにより、5〜50nmの厚さで形成し、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど。)により、50〜1000μmの厚さにて形成した後、金属を剥離することで、作ることができる。
複製方式は、平板式もしくは、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、複製温度は、通常60℃〜200℃とする。(複製プロセスは図示せず。)
(不活性化処理、及び、不活性化処理した領域)
このホログラムレリーフを有する透明樹脂層2の表面の一部に、「不活性化処理」を施して、[不活性化処理した領域]3を形成する。(図2または図3参照。)
「不活性化処理」は、まず、「活性化処理」として、炭酸ガスレーザー照射、遠赤外線炭酸ガスレーザー照射、172nm真空紫外線(VUV、エキシマ光)照射、酸素増感エキシマ光照射、プラズマ処理、オープンプラズマ処理、コロナ処理、電子線照射処理等の透明基材最表面の化学結合エネルギーよりも大きいフォトンエネルギー(7.2eV)、放電エネルギー、電子線エネルギー等により、透明樹脂層2の最表面の化学結合を切断し、または、172nmの真空紫外線等のように、大気中の酸素に吸収されてオゾンまたは直接励起酸素を発生し、この接触により官能基を生成する等の物理的処理等を用いて、透明樹脂層2の最表面のみを「活性化(表面張力が大きくなることを意味する。)」し、その後、活性化した透明樹脂層2の最表面の一部に、その最表面のみを部分的に溶解する、もしくは、その最表面の活性化した官能基と反応して官能基の活性を解消する、溶剤類等を、活版印刷方式やインクジェット方式を用いて、活性化処理面への接触を避けてパターン形成し、透明樹脂層2の活性化された最表面の部分のみと反応して、その部分のみを不活性化させ、不活性化した領域3を得る。(活性化領域、及び、プロセスは図示せず。)
このうちの「活性化」の方法として、さらに、過マンガン酸塩、過酸化物等の酸化剤を塗布することによる酸化処理後、酸化剤を洗浄除去する化学的な処理や、ビニル、エポキシ、メタクリキシ、アミノ、メルカプト、アクリロキシ、イソシアネート、またはスチリル、アルコキシオリゴマータイプシランカップリング剤を用いた化学的な処理、さらには、真空処理であるアルゴンビームエッチング処理、もしくは、透明樹脂層2を部分的に溶解するエッチング液処理を、その透明樹脂層2の最表面の改質にのみ用いる等の物理的な処理も用いることができる。
さらに、使用する溶剤類として、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、イソホロン、ジイソブチルケトン、等。)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等、さらにはその水溶液。)、芳香族類(ベンゼン、トルエン、キシレン、ソルベッソNo.100、ソルベッソNo.150、カクタスP−180等。)、環状炭化水素類(シクロヘキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸セルソルブ、エチルー3−エトキシプロピオネート等。)、エーテル類(テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ等。)等を、「不活性化処理した領域3」を形成する領域に対して、活版印刷方式やインクジェット方式を用いて、活性化処理面への接触を避けてパターン形成し、その領域における「透明樹脂層2の活性化された最表面の部分のみ」と反応して、その部分のみを不活性化させる。
このとき、溶剤が瞬時に揮発せず、所定時間、透明樹脂層2の表面に留まる必要があるため、その沸点は、60度以上200度以下、好適には、100度以上160度に調整する。 この方法は、透明樹脂層2のホログラムレリーフ(特に、「レリーフ」曲線の精度。)に悪影響をほとんど与えず、その最表面の性質のみを変化させる。
この不活性化処理により、ホログラムレリーフを有する透明樹脂層2のホログラムレリーフ面の不活性化処理した領域3の表面張力を、22mN/m〜40mN/m(ぬれ張力試験用混合液[濡れ試薬]による値。)とし、それ以外の領域を41mN/m〜73mN/mとする。
そして、不活性化処理した領域2とそれ以外の領域の表面張力の大きさの比を、1/1.5〜1/3とする。
この比が、1/1.5より大きいと、二つの領域の剥離強度の差が小さくなって、蛍光層4の変形が生じ難くなり、1/3より小さいと、蛍光層4の変形は非常に生じやすくなるものの、そのような大きな差を発現する、透明樹脂層2とその表面処理方法の組み合わせを得ることが物理的に難しくなる。
シリコーン樹脂等による「不活性化処理」は、透明樹脂層2上に蛍光層4を形成して、その蛍光層4を「精密なホログラムレリーフ形状」とした後、その蛍光層4上にそのシリコーン樹脂等を設けて、蛍光層4と、接着剤層5との界面において、容易に剥離する部分を設ける。(図示せず。)
もちろん、蛍光層4上に、透明樹脂層2と同様な不活性化処理を施すことも可能である。
さらには、この「不活性化処理」の目的は、透明樹脂層2と蛍光層4との界面において、一部とその他の部分とで、接着強度(剥離強度)の差を発現させることが目的であるため、表面張力の大きい透明樹脂層2上に、その透明樹脂層2との接着強度の小さい蛍光層4を積層した場合においても、その透明樹脂層2上の一部を不活性化処理することで、その不活性化処理後の表面張力そのものの値が上記したものより大きいものであったとしても、結果として、両層の界面において、その部分の接着強度は非常に小さいものとなり、本発明の目的を達するものである。
そして、この不活性化処理する領域3、すなわち、「ホログラムレリーフ面の不活性化処理されている一部の領域」を、「微細なパターン形状の集まり」とすることで、蛍光層4の変形をより効率的に発生させる。(図示せず。)
「微細なパターン形状」の「形状」としては、網点形状、市松模様状、ランダムパターン等の「形状」を用いることができるが、これらの集合体である「微細なパターン形状の集まり」(図示せず。)を、「不活性化処理する領域3」とするためには、その「微細なパターン形状」の個々の「形状」の内側部分のみを不活性化処理する必要がある。
このためには、透明樹脂層2の最表面全体を上記の方法により、一様に「活性化」処理した後、この個々の「微細なパターン形状」の内側の領域のみに対して「不活性化処理」を施して、「不活性化処理した領域3」とすることが好適である。(図示せず。)
特に、この「微細なパターン形状」の「形状」は、精密に形成する必要がないため(個々の大きさや形を高い精度で同一とする必要はないということを意味する。)、上記した溶剤類を用い、インクジェット方式により「不活性化処理」をする方法、もしくは、炭酸ガスレーザー照射等の光学的手法により、レーザー照射のシャッターの開閉とその走査速度を制御することにより、「微細なパターン」状の活性化処理を行い、その未処理領域(不活性化処理した領域3に対応する。)を「微細なパターン形状」の集まり(集合体)とすることができる。
このため、「微細なパターン形状」の個々の大きさは、すなわち、不活性化処理した領域3の個々の大きさは、3μm〜50μmとする。好適には、10μm〜30μmである。
この不活性化処理により、その不活性化処した領域3は、透明樹脂層2と蛍光層3との剥離強度を、0.01kg/25mm幅以上0.1kg/25mm幅以下とすることができ、ホログラムラベルAもしくは、ホログラムラベルA´を一旦、被貼着体に貼着した後(図示せず。例えば、接着剤層5と被貼着体との剥離強度を、1kg/25mmとすると、不活性化処した領域3における、透明樹脂層2と蛍光層3との剥離強度は、この1/10〜1/100ということになる。)、これを剥そうとすると、どのように工夫しても、必ず、不活性化処した領域3において、透明樹脂層2と蛍光層3との間に剥離が生じ、空隙が発生するとともに、蛍光層3の変形が発生する。
この変形は、蛍光層3が透明、もしくは、白色であるため、視認することはできず、蛍光層3に用いる蛍光体に適合する波長の照明光を照射して初めて、本来のホログラム再生像より不鮮明なホログラム再生像、または、歪みを生じたホログラム再生像を確認することができる。
このホログラム再生像の鮮明度の低下は、ホログラムレリーフを有する透明樹脂層2、蛍光層3、及び接着剤層5に使用する材料、形成方法、層としての物理的特性や光学的特性、さらには、このホログラムラベルA、またはA´を剥がす方向や剥がそうとする力の大きさや速度に依存するが、JIS Z−0237に準じた剥離方法により(剥離速度500mm/分)、回折格子の回折効率に換算して、10%〜50%の低下に相当するようにする。
この低下が、10%未満では、剥がし行為の痕跡を確認する際の「判定精度」が不確かなものとなり。また、50%を超える低下とすると、その実現が物理的に困難である上、不正者にも何らかの異常が起こっていると察知される可能性がでてくる。
(蛍光層)
本発明では、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面上(不活性化処理した領域3を含む。)に、蛍光層4を形成する。
この蛍光層4は、蛍光体を透明な樹脂に均一に分散した樹脂分散型の蛍光インキや、水または溶剤に蛍光体を分散した溶媒分散型の蛍光インキを作製し、それらを用いて、印刷方式や、コーティング方式さらには、インクジェット方式等の種々の形成方法を用いて、ホログラム形成層2に、そのホログラムレリーフに接するように、また、追従するよう均一に、もしくは、凹部に部分的に、形成することができる。(図2または図3参照。)
また、ホログラム形成層2上に蛍光層4を形成した後、フォトレジストを用いたフォトリソ法により、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去によりフォトレジストのパターンを回折格子パターンの凹部に同調させ、このフォトレジストのパターンをエッチング保護層として、蛍光層を溶解するエッチング液により、露出している蛍光層の部分を部分的に除去して、凹部のみに蛍光層4を残すことができる。
逆に、ホログラム形成層2上にフォトレジスト層を形成し、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去により、凸部にフォトレジストを残し、凹部を露出させて、この上に蛍光層4を形成後、凸部上のフォトレジストを除去すると同時に、その真上にある蛍光層を部分的に除去することにより、凹部のみに蛍光層4を残すことができる。
蛍光層4の形成に用いる蛍光層4用インキは、上記した蛍光体を、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をしたもの(「樹脂分散型」の蛍光インキ。)とし、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、さらには、インクジェット方式を適宜用いて、ホログラム形成層2上に、均一な厚さで形成することができる。
蛍光層4の厚さを、0.003μm以上1.0μm以下、さらには、0.01μm以上0.5μm以下とするためには、樹脂分散型インキの固形分を1〜10%とし、溶剤若しくは水を溶媒とした塗布膜が、例えば、10μmであったときに、溶媒を蒸発させた後の厚さ(蛍光層4の厚さ)がその1/10乃至は1/100となるようにし、1μm〜0.1μmとする。
これに対して、「溶媒分散型」の蛍光インキは、樹脂成分を含まず、蛍光体と溶媒のみであるため、樹脂分散型より蛍光層4の厚さを薄くすることができる。
溶媒としては、水やアルコール系溶剤、若しくは、セルソルブ系、パラフィン系溶剤を用いて、粒子系の小さい蛍光体を分散保持させ、攪拌しながらカーテンコート、ノズルコート等によりホログラム形成層2上に設けることができる。
この場合には、溶媒の蒸発速度を調整することで、溶媒の揮発する間に、蛍光体が自重で凹部へと移動させることも可能となる。
さらには、ホログラムレリーフ面を形成している透明樹脂層2に対して、溶解性を有する遅い揮発性の溶剤を数μm塗布し(アクリル・塩ビ・酢ビ樹脂や、ポリエステル樹脂等に対するケトン系溶剤、例えばシクロヘキサノン等。この溶剤を非溶解性の溶剤で希釈して使用し、残留する成分を0.1μm以下にすることも好適である。)、そのホログラムレリーフ面の最表面のみを溶解して、その最表面に粘着性を付与し、その上に、蛍光体を粉体のまま吹きかけて、その粘着性の面に接する蛍光体粒子のみがホログラムレリーフ面上に残るようにする蛍光層4の形成方法も好適である。
この方法によると、蛍光層4がほぼ1粒子膜となり、ホログラムレリーフ面上に均一に形成され、透明樹脂層2側から励起光を当てた場合の蛍光発光面が、ホログラムレリーフ面と同一となる。
いずれにしても、ホログラムレリーフの凹凸が非常に小さい為、蛍光層4を均一厚さで、且つ、その中の蛍光体が均一な密度となるように、もしくは、ホログラムレリーフ面上に均一に(部分形成の場合には形成してある部分同士が均一に)形成するためには、蛍光体の粒径は小さい方が好ましく、ナノ蛍光体は特に好適である。
(接着剤層)
この蛍光層4の上に、または、透明樹脂層2のホログラムレリーフ上に、接着剤層5を設ける。
後者の場合には、透明樹脂層2のレリーフホログラムと接着剤層5との界面が、ホログラムレリーフの凹凸形状となるため、不要なホログラム再生像を出現を抑える目的で、接着剤層5の屈折率を、透明樹脂層2の屈折率に対して、同一、もしくは、その屈折率差を0.1以下とする。
接着剤層5に用い得る透明な樹脂(すなわち、接着剤。)としては、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリビニリデン(n=1.42)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)、ポリスチレン(n=1.60)、ポリエチレンテレフタレート(n=1.64)、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)、フッ素樹脂(n=1.32)、メラミン樹脂(n=1.56)、ポリカーボネート(n=1.59)、エポキシ樹脂(n=1.60〜1.65)、フェノール樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)、酢酸ビニル樹脂(n=1.47)、アクリル樹脂(n=1.45)、酢酸ビニル−アクリル共重合体(n=1.48)、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体(n=1.54)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂(n=1.60)、チオウレタン樹脂(n=1.55〜1.75)等や、天然ゴム(n=1.52)、クロロプレンゴム(n=1.35〜1.56)などのゴム系樹脂等もしくは、この混合体等を適宜用いることができる。
また、溶剤系及び水系のいずれの接着剤も用いることができ、特に、透明樹脂層2や、蛍光層4を構成する材料に対して、溶解したり、膨潤させたりすること(わずかな溶解、膨潤でもホログラム再生像への影響は大きい。)の少ない、水系のものがより好適である。
自然にやさしい材料構成とするために、特に、天然ゴムを主成分とするラテックス、それを変性したもの、特に天然ゴムにスチレン特にメタクリルさんメチルとをグラフト重合させて得た天然ゴムラテックス等の天然素材から作製されたものを用いても良く、また、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂(n=1.60)、ポリアミド系樹脂(n=1.53)、または、これらのゴム変性物などの比較的内部凝集力の大きいものも適宜選択して使用でき、単体、もしくは2種以上の混合系で、更に必要に応じて可塑剤、その他の添加剤を加えて使用することができる。
これらの接着剤は、適宜、溶剤や、水に溶解させ、各種コーティング方式や、シルクスクリーン印刷方式、ホットメルト方式等を用いて、蛍光層4の上に、または、透明樹脂層2のホログラムレリーフ上に、接着剤層5として、乾燥後の形成厚さ、5μm〜50μmで設け、ホログラムラベルA、または、A´を得る。
このホログラムラベルA、または、A´を、室内照明等の照明光[可視光線(照明光)6]下において観察した場合には、ホログラム再生像(再生しない。)7は観察されず、使用する蛍光体に適合する所定の紫外線(照明光)8を照射すると、「赤色」等の使用する蛍光体の所定の波長のホログラム再生像9を確認するできる。
そして、このホログラムラベルA、または、A´をステンレス上に貼着し、剥離強度を測定する方法に準拠して、のホログラムラベルA、または、A´を剥離し、再び、ステンレス上に貼着して、上記と同様に観察すると、室内照明等の照明光6下においては、ホログラム再生像(再生しない。)7も、ホログラムラベルA、または、A´の中の蛍光層4における「剥離の痕跡」も観察されず、所定の紫外線(照明光)8を照射すると、非常に不鮮明なホログラム再生像(図示せず。)が再生され、本来のホログラム再生像9の鮮明度を知っている確認者には容易に、「ホログラムラベルA、または、A´を剥離する行為が行われた」ことを確認できるものである。
(実施例1)
透明基材1として、12μmのPETフィルムの表面に、ホログラム画像位置検知パターン及びタテ・ヨコ20mm×20mmサイズの「封」と「緘」の黒色文字をオフセット印刷方式にて印刷し、その上を覆うように、メラミン樹脂組成物をグラビアコーティング方式にて塗布し、レリーフホログラム(「蛍光」の文字画像:図4参照)の複製用型の型面を、接触させたまま加熱硬化させることにより、レリーフホログラムの形成を行ない、厚さ3μmのホログラムレリーフを有する透明樹脂層2(ホログラム形成層2)を得た。
そのホログラムレリーフ面を、タテ・ヨコ5mm×5mmサイズの「開」と「封」の文字(画線の幅は、0.5mm。タテ・ヨコ方向の文字間隔1mm。)を縦横繰り返す白抜き文字パターン状に、エキシマ社製エキシマUV03改質装置を用いて、波長172nmのエキシマ光を走査しながら照射して活性化処理した。この活性化処理をしていない領域が、不活性化処理した領域3となる。(図2参照。)
このホログラム形成層2上に、下記組成の樹脂分散型蛍光インキをグラビアコーティング方式により、コーティングし、乾燥して、蛍光層4を5μm厚さで、ホログラムレリーフに接するように形成した。
このときの蛍光層4と、ホログラム形成層2との間の剥離強度は、「不活性化処理した領域3」においては、0.09kg/25mm幅であり、その他の領域においては、0.5kg/25mm幅であった。
・<蛍光インキ組成物>
テールナビ社製 紫外線励起蛍光顔料UVR−2 5質量部
セルロース樹脂 10質量部
イソプロピルアルコール 40質量部
酢酸エチル 45質量部
その蛍光層4上に、下記組成の接着剤層5用接着剤組成物をグラビアコーティング方式により、コーティングし乾燥して、接着剤層5を20μmの厚さで形成し、実施例1のホログラムラベルAを作製した。(図2参照。)
・<接着剤層5用接着剤組成物>
酢酸ビニル−アクリル共重合体 30質量部
イソホロンジイソシアネート 1質量部
トルエン 20質量部
酢酸エチル 30質量部
メチルイソブチルケトン 19質量部
このホログラムラベルAを、封筒の封緘用に使用し、その封緘部分に貼着して、(2kg荷重のローラーにて圧着。)室内照明光(照明光6)の下で観察したところ、ホログラム再生像は観察されず(図4の7の状態。)、365nm波長の光源(浜松ホトニクス製UVU−LEDモジュール LC―L2)を用いて照明(照明光8)したところ、図4に示すように、この紫外線は目視では見えず、赤色のホログラム再生像9「蛍光」を確認することができ、意匠性、且つ、偽造防止性に優れるものであった。(図4参照。)
さらに、このホログラムラベルAをその粘着剤層5と封筒との界面において一旦剥がし、その後、再び、封筒の同一位置に貼着して、同様に、室内照明光6の下で観察したところ、ホログラム再生像は観察されず(図4の7の状態。)、そして、365nm波長の光源(浜松ホトニクス製UV-LEDモジュール LC―L2)を用いて照明8したところ、この紫外線は目視では見えず、ホログラム再生像の輝度が低下しており、不鮮明な赤色のホログラム再生像(不鮮明な「蛍光」。)を確認することができ、偽造防止性に優れるものであった。(図示せず。)
(実施例2)
実施例1と同様に形成したホログラム形成層2上に、下記組成の樹脂分散型蛍光インキをグラビアコーティング方式により、コーティングし乾燥して、蛍光層4を0.1μm厚さで形成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2のホログラムラベルAを作製した。(図2参照。)
・<蛍光インキ組成物>
ルミライトナノRY202(粒径30nm) 5質量部
ポリビニルアルコール樹脂 10質量部
イソプロピルアルコール 40質量部
水 45質量部
このホログラムラベルAを実施例1と同様に観察したところ、より鮮明に赤色のホログラム再生像「蛍光」を確認することができ、意匠性に優れるものであり、(図4参照。)また、ホログラムラベルAを一旦剥がした後のホログラム再生像が、より不鮮明となったこと(輝度の低下が大きいことを意味する。)以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例3)
蛍光インキを下記組成の溶媒分散型とし、カーテンコート方式を用い、乾燥速度を遅くした(乾燥エネルギー量として1/5とした。)こと以外は、実施例1と同様にして、
・<蛍光インキ組成物>
ルミライトナノRY202(粒径30nm) 5質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
水 45質量部
実施例3のホログラムラベルA´を作製した。(図3参照。)
ホログラムレリーフの凸部より、凹部に蛍光体が偏って形成されていた。
実施例1と同様にして観察したところ、実施例1より著しく鮮明なホログラム再生像を確認でき(図4参照。)、さらに、ホログラムラベルA´を一旦剥がした後のホログラム再生像が、著しく不鮮明となったこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例4)
ホログラム形成層2を形成後、下記組成の溶剤をグラビアコーティング方式で3μmの塗膜(乾燥前)を形成し、速乾性成分のみを揮発させた後、
・<溶剤組成物>
シクロヘキサノン 1質量部
メチルエチルケトン 40質量部
シクロへキサン 59質量部
蛍光体を粉体のままふりかけて(ホログラム形成面2を下に向け、粉体をしたから吹き付けた。)蛍光層4を形成し、さらに乾燥させ、残留している溶剤を揮発させた以外は、実施例1と同様にして、実施例4のホログラムラベルAを作製した。(図2参照。)
実施例1と同様にして観察したところ、実施例1より、鮮明で且つ蛍光強度の強いホログラム再生像を確認することができ(図4参照。)、さらに、ホログラムラベルAを一旦剥がした後のホログラム再生像が、非常に不鮮明となったこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(実施例5)
ホログラム形成層2のホログラムレリーフ上をエキシマ社製エキシマUV03改質装置を用いて、波長172nmのエキシマ光を走査しながら照射してその全面を活性化処理した後、この上に、不活性化処理用溶剤組成物を用いたインクジェット方式を用いて、プリントし、ホログラムレリーフ面の不活性化処理されている一部の領域として、不活性化処理した領域3の「微細なパターン形状」を、直径20μm程度、網点率約50%の網点形状として全面に渡って形成し、「微細なパターン形状の集まり」としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5のホログラムラベルAを得た。(図2参照。)
このときの蛍光層4と、ホログラム形成層2との間の剥離強度は、「不活性化処理した領域3」においては、0.05kg/25mm幅であり、その他の領域においては、0.5kg/25mm幅であった。
〈不活性化処理用溶剤組成物〉
イソプロピルアルコール(沸点83度) 20部
トルエン(沸点100度) 20部
ブチルアルコール(沸点117度) 30部
メチルイソブチルケトン(沸点115度) 30部
実施例1と同様にして観察したところ、実施例1より、ホログラムラベルAを一旦剥がした後のホログラム再生像が、著しく不鮮明であったこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
蛍光層を形成せず、蛍光層の代わりに、TiOxの透明反射性薄膜層を形成して透明ホログラムラベルを形成し、比較例とした。
実施例1と同様に観察したところ、室内照明光(照明光6)の下で、「蛍光」の文字画像のホログラム再生像が観察されるのみであって、365nm波長の光源(浜松ホトニクス製UVU−LEDモジュール LC―L2)を用いて照明(照明光8)しても、その照明光によるホログラム再生像は現れず、また、このホログラムラベルを一旦剥がして再び貼着した後も、その状況は変わらなかった。
このことより、このホログラムラベルによって、ホログラムラベルが存在していること以上の高度な真贋判定をすることは困難と思われた。
A、A´ ホログラムラベル
1 透明基材
2 ホログラムレリーフを有する透明樹脂層(ホログラム形成層)
3 不活性化処理した領域(ホログラムレリーフを有する透明樹脂層 の最表面のみを不活性化処理している一部領域。模式的に波線で 図示している。)
4 蛍光層(連続的な形成若しくは部分形成)
5 接着剤層
6 観察状態の例示:可視光線(照明光)
7 同上 :再生像なし
8 同上 :紫外線(照明光)
9 同上 :緑色の再生像

Claims (5)

  1. 透明基材の一方の面に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、前記ホログラムレリーフに接するように設けられた蛍光層、及び、接着剤層が設けられているホログラムラベルであって、
    前記透明樹脂層の前記ホログラムレリーフ面の一部が不活性化処理されていることを特徴とするホログラムラベル。
  2. 前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホログラムラベル。

  3. 前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホログラムラベル。
  4. 前記蛍光層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のホログラムラベル。

  5. 前記ホログラムレリーフ面の前記不活性化処理されている前記一部の領域が、微細なパターン形状の集まりであることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のホログラムラベル。
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