JP2015158605A - ホログラムシート及びホログラム付きカード - Google Patents

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Abstract

【課題】ホログラムを用いたホログラムシートにおいて、その真正性を高めるために、照明光と同一の波長のホログラム再生像を再生するホログラムとは異なり、照明光とは異なる波長のホログラム再生をする新規なホログラムシートを提供するとともに、そのホログラムシートをカード基材に埋め込んだホログラム付きカードを提供する。
【解決手段】ホログラム形成層2上に蛍光層3を設け、蛍光体を励起する光で照明して、可視光領域にある、その蛍光発光の色調によるホログラム再生像を目視にて判定可能とし、偽造防止性を高めた、ホログラムシートA及びホログラム付きカードとした。
【選択図】図2

Description

本発明は、新規なホログラムシート、特に、位相ホログラムを呈するレリーフホログラムのレリーフ位置に、蛍光発光体を配した蛍光発光型のホログラムシート、及び、そのホログラムシートをIDカード等のカード類(「ID」とは「Identification:身分証明」を意味する。)や、ICカード(「IC」とは、「Integrated circuit:集積回路」を意味し、この「IC」を埋め込んだカードを「ICカード」という。この「ICカード」には、ICタグも含まれる。)の「カード基材」に埋め込んだ「ホログラム付きカード」に関するものである。
本発明において、「鏡面反射層」とは、ある「層」の少なくとも一方の面が、「光学的鏡面性」と「反射性」を併せ持っている「層」であって、しかも、その「面」が「『反射性』を持つ」とは、その「面」が「全反射性(可視光の全ての波長の光を100%反射することを意味する性質。)」を示すものでなく、「可視光の波長の光を『所定の割合』で『反射』する性質、すなわち、その『(「0%」でない)残りの割合』を透過(さらにその一部を吸収することもある。)する性質」を有していることを意味する。
そして、その「面」が、「『光学的鏡面性』を持つ」とは、ある「層」の所定の面(その「層」の一方の面、すなわち、その「層」の一方の「表面」を意味する。)の平滑性が、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであることを意味する。
より詳しくは、三次元空間内に「ある有限な領域を持つ三次元曲面」が浮かんでいる状態を想定したとき、「この三次元曲面の『面』が『光学的鏡面性』を持つ」ということは、「この三次元曲面の『面』、すなわち、この三次元曲面の『形状』そのものが『光学的鏡面』形状となっている」ことを意味する。
これは、その三次元空間内に「有限な領域を持つ、一つの『二次元平面』が浮かんでいる」ような状態であって、その「三次元曲面」が、その「『一つの二次元平面』とほぼ一致する形状」を持っていることを意味する。
さらに言い換えると、その「『光学的鏡面性』を持つ三次元曲面」は、「その『一つの二次元平面』」から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」をなし、且つ、「その三次元曲面における、極く小さな面領域(照明光の波長の数十倍の長さに相当する、直径数十μm程度の微小な領域。)における平均表面粗さRaの値が、どの小さな面領域においても0.01μm〜0.1μmであること」と定義される。
そして、この「光学的鏡面」をその表面に有する「ある層」の上に、その表面の「表面平滑性」を維持した状態(その表面形状に何らの変化も及ぼさないことを意味する。)で、「別の層」を重ねることとなるが、その際に、この「ある層」と「別の層」との「界面」も、いわば「光学的鏡面」となり、この「界面」を所定の光で照明すると、その照明光が、この「界面」を通過する際、この「界面」、において、「所定の割合」だけ「反射」されると同時に、その「残りの割合(一部吸収される場合は、さらにその吸収割合を差し引いた残りの割合。)」だけ「透過」されることとなる。
このように、結果として、「ある層」と「別の層」の「界面」を「光学的鏡面」とすることは、すなわち、「ある層」の「一方の面」に「光学的鏡面性」を付与することと同義であり、また、「鏡面反射層」の「反射性」及び「光学的鏡面性」のいずれの特性も、その「『鏡面反射層』のその『面』」の上に設ける「別の層」の性質や、「別の層」を設ける手段などによって影響を受けるという特徴を有している。
そして、その「面」や、「界面」が、「光学的鏡面」となっていることは、その「面」や、「界面」での「反射光」や、「透過光」が、その「照明光」の性質である「位相分布」や「強度分布」に対して、「正規の反射や透過によって受ける変化(理論的に想定される変化)」を除き、その「変化」以外の変化、すなわち、「不要なムラ(上記した『微小領域』の、さらに、1/10以下、乃至は、1/100以下という『さらに小さい領域』において、光の進む方向や位相成分が部分的に不規則に変化したり、光の強度に部分的な強弱が付与されることを意味する。)」を発生することなく、そういう意味において「『乱れる』ことなく、『反射』したり、『透過』したりする」ことを実現可能とする。
このことにより、本発明における蛍光層で発光した「光」は、その近傍にある「鏡面反射層」で「乱れる」ことなく正反射し(もちろん、一部透過し、一部吸収されるが、ここでは、その正反射光に注目する。)、その反射光が蛍光層のレリーフ面(ホログラムレリーフ形状となっている。)をいわば「照明」し、その「照明光」によって、このレリーフ面によるレリーフホログラム再生像が再生されることとなる。
特に、蛍光層内にある非常に多数の蛍光発光点(一種の点光源となっている。)の中の、「ある一つの発光点」から、ある瞬間に発光した「光」が、広がりつつ進み、上記した「光学的鏡面」で正反射され、さらに広がりつつ逆方向に進んで、蛍光層の「最表面」、または、蛍光層の裏面(背面)を、「照明」し、これらの「面」で、反射されるときに(各「面」の間で、反射を繰り返す、「多重反射現象」を含む。各「面」の間隔調整により、この「現象」を利用した反射率向上が可能となる。蛍光層の「最表面」、及び「裏面」の少なくともいずれか、もしくは、すべての「面」が、ホログラムレリーフ形状を成している。)、もしくは、透過されるときに(「多重反射現象」を含む。各「面」の別の間隔調整により、この「現象」を利用した透過率向上が可能となる。)、これらの「面」のなす「ホログラムレリーフ」形状に基づく「ホログラムレリーフの位相成分」を受け取って進み、その広がった「光」の「干渉現象」により「そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像」を結像(再生)するものである。
従って、この「レリーフホログラム再生像」を結像する光は、再び、その「鏡面反射層」を透過することとなる。(もちろん、一部は、反射されている。)
このとき、その「ある瞬間に、ある一点で発光し、その一点から広がった、『光』」が、その「光波面(例えば、点光源から発せられた『光』の『光波面』は、『球面波』として進む。)」に対して、「ホログラムレリーフの位相成分」を十分に受け取って進むためには(上記した、いわば『球面波』に『ホログラムレリーフの位相成分』を付与することを意味する。この『付与』を十分に達成し、『レリーフホログラム再生像の鮮明性を確保するため』という意味である。)、「一点から広がった『光』」が、所定の角度範囲内で、十分な強度を持って照明する、「蛍光層の『最表面』や『裏面』等の照明領域」の「大きさ」は、少なくとも、平均周期1μm程度のレリーフの起伏形状に対して、「その起伏数が『数十個以上に及ぶ』大きさ」とすることが必要となる。
このことは、「光学的鏡面」と「蛍光層の最表面」との距離が、小さ過ぎると、その照明領域が小さくなり過ぎ、その距離が大きすぎると、その照明する強度(照度)が不十分となることを意味する。
本発明において、「カード基材に、ホログラムシートが埋め込まれ、そのホログラムシートの露出面が、そのカード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にある」とは、本発明の「ホログラムシートそのもの」、すなわち、本発明のホログラムシートを構成する「全ての層」が、「カード基材に埋め込まれて」いて、偽造や変造を意図して、そのホログラムシート全体、もしくは、その一部の層を剥がそうとしても、その断面に爪を入れることができず、結局、それらの層を削り出す他に手段は無く、一旦、削り出してしまうと、もはや、その凹部に、それらの層を復元することが非常に困難であって、それらの貼り替えなどの変造や、偽造を物理的に不可能とするホログラム付きカードを示し、そこで、「本発明のホログラムシートを構成する『全ての層』が、『カード基材に埋め込まれて』いるとは、最終的に、「本発明のホログラムシートの最表面、すなわち、透明基材の「最表面(露出面)」、または、「鏡面反射層」の「最表面(露出面)」が、「カード基材表面と面一、または、カード基材の表面より凹んだ位置になっている」ことをいう。
本発明において、「そのカード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、そのIC駆動用電池が、本発明のホログラムシートを発光する発光用電源をも兼ねている、本発明のホログラム付きカード」(以下、「本発明のホログラム付きICカード」、もしくは、単に「ホログラム付きICカード」ともいう。)とは、少なくとも、いわゆる「ICカード用セキュアマイクロコンピュータ(略して、セキュアマイコンと称す。)」(このセキュアマイコンを内蔵するカードが、「接触式ICカード」と呼ばれる。)、もしくは、「非接触式ICチップ(TypeB、もしくは、FeliCa〈フェリカ:ソニー(株)の登録商標〉タイプ素子)」(このICチップを内蔵するカードが、「非接触式ICカード」と呼ばれる。以下の説明においては、このICチップを内蔵する「ICタグ」もこの「非接触式ICカード」便宜的に含めることとする。)、及び、それら「セキュアマイコン」や「非接触式ICチップ」を駆動するための電源(すなわち、IC駆動用電池。)として、且つ、本発明のホログラムシートを発光させるための電源として、一次電池、または、二次電池を、そのカード基材の中に「内蔵」することをいう。
ここで、「本発明のホログラムシートを発光させるための電源」とは、この「電源」が、ICカード基材に搭載、もしくは、内蔵されている「所定の紫外線を含む『光』を発光する『発光部』」をも「発光」させ、その「発光した光」に含まれる「所定の波長の紫外線」が、そのすぐ近傍(積層されていてもよい。)にある「ホログラムシートの『蛍光層』」をその背面から蛍光発光させることを意味する。
これらの「電池」は、「セキュアマイコンまたは非接触式ICチップ等を制御する『制御部』」や、「液晶ディスプレイなどの『表示部』」をさらに含む場合には、それらの「『制御部』」や『表示部』」を駆動するための電源として用いられることは言うまでもない。
さらに、これら「内蔵」する「電池」に加えて、「太陽電池と、その太陽電池で生成された電気エネルギーを蓄電するコンデンサとにより構成される補助電源」を、そのカード基材に含めることも「IC駆動用電池を内臓する」ということの意味に含める。
このことにより、本発明のホログラム付きICカードを使用する者が、このホログラム付きICカードを「外部」に取り出すだけで、太陽電池に光が照射して生成された電気エネルギーがコンデンサに蓄電され、これを安定した補助電源として用いることが可能になる。
本明細書において、配合を示す「部」は質量基準である。また、「ホログラム」はホログラムと、回折格子などの光回折性機能を有するものも含む。
(主なる用途)
本発明のホログラムシート及びホログラム付きカードの主なる用途としては、ホログラムそのものを装飾用として用いる美術・工芸品分野や商業用分野があるが、それにとどまらず、偽造防止分野に使用されるホログラムシート及びホログラム付きカードであって、具体的には、クレジットカード等の偽造されて使用されると、カード保持者やカード会社等に損害を与え得るもの、運転免許証、社員証、会員証等の身分証明書、入学試験用の受験票、パスポート等、紙幣、商品券、ポイントカード、株券、証券、抽選券、馬券、預金通帳、乗車券、通行券、航空券、種々の催事の入場券、遊戯券、交通機関や公衆電話用のプリペイドカード等がある。
これらはいずれも、経済的、もしくは社会的な価値を有する情報を保持した情報記録体であり、偽造による損害を防止する目的で、記録体そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
また、これら情報記録体以外であっても、高額商品、例えば、高級腕時計、高級皮革製品、貴金属製品、もしくは宝飾品等の、しばしば、高級ブランド品と言われるもの、または、それら高額商品の収納箱やケース等も偽造され得るものである。また、量産品でも有名ブランドのもの、例えば、オーディオ製品、電化製品等、または、それらに吊り下げられるタグも、偽造の対象となりやすい。
さらに、著作物である音楽ソフト、映像ソフト、コンピュータソフト、もしくはゲームソフト等が記録された記憶体、またはそれらのケース等も、やはり偽造の対象となり得る。また、プリンター用のトナー、用紙など、交換する備品を純正材料に限定している製品などにも、偽造による損害を防止する目的で、そのものの真正性を識別できる機能を有することが望まれる。
(背景技術)
従来、情報記録体や上記した種々の物品(総称して、真正性識別対象物と言う。)の偽造を防止する目的で、その構造の精密さから、製造上の困難性を有すると言われるホログラムを真正性の識別可能なものとして適用することが多く行なわれている。しかしながら、ホログラムの製造方法自体は知られており、その方法により精密な加工を施すことができることから、ホログラムが単に目視による判定だけのものであるときは、真正なホログラムと偽造されたホログラムとの区別は困難である。
これらの真正性識別対象物、特にラベル形態や転写形態にてホログラム画像を施された物品、特に、IDカード類や、ICカード等は、ホログラム画像の目視確認という真正性識別のみでなく、新たな真正性識別方法を用いてその対象物の真正性を識別する必要が生じている。
(先行技術)
これらの要求に応えるため、ホログラムに積層して、入射した光の内、左回り偏光もしくは、右回り偏光のいずれか一方の光のみを反射する光選択反射層を有するホログラムシートが提案された。(例えば、特許文献1参照。)
この光選択反射層として、コレステリック液晶を使用し、偏光版等を用いて確認する方法で偽造防止性を高めている。
しかしながら、特許文献1の記載にあるように、ホログラム形成層上の反射性薄膜層の反射率が高いため、コレステリック液晶層で反射されず透過した光(選択的反射光の補色光)が、この反射性薄膜層で反射し、再びコレステリック液晶層へ戻る(以下戻り光とする)ことにより、この戻り光が、コレステリック液晶を観察する際のノイズ成分となって、選択的反射光に付加・混在し、液晶本来の色調とならず、視認・識別することすら難しくなっていた。
また、コレステリック液晶材料そのものが高価であり、その液晶性能を引き出すためには液晶層に接して、配向膜の形成が不可欠であって煩雑であり、さらには、コレステリック液晶の光散乱性により、ホログラム画像を再生する光がその液晶層を通過するときに画像にボケ・歪みを生じる等の問題があった。
このため、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えたり、コレステリック液晶層そのものを薄くする等の工夫が考えられたが、コレステリック液晶層の光散乱性を抑えるために屈折率差を小さくしたり、コレステリック液晶層を薄くしたりすると、上記した光選択反射層としての機能が低下してしまい、ホログラム画像の鮮明性と偽造防止性能を確保する最適な条件を得ることが難しいという欠点を有していた。
特開2007−90538号公報
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、位相ホログラムのホログラム形成層、すなわちホログラムレリーフに接するように蛍光層を設け、もしくは、ホログラムレリーフに同調して蛍光層を部分形成して、定められた所定の波長を有する光源の照明下でのみ、ホログラムを視認することができ、しかも、その照明光源と再生されるホログラムとが異なる色調を呈する新規なホログラムシート及びこのホログラムシートをカード基材に埋め込んだホログラム付きカードを提供することである。
特に、カード基材として、電池内臓型ICカード基材を用い、しかも、そのIC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねることで、その意匠性や偽造防止性を一層高めたホログラム付きカードを提供する。
上記の課題を解決するために、
本発明のホログラムシートの第1の態様は、
透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように蛍光層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明樹脂層と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするものである。
上記第1の態様のホログラムシートによれば、
透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように蛍光層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明樹脂層と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシートを提供することができ、その意匠性や偽造防止性の高いホログラムシートを提供することができる。
上記の課題を解決するために、
本発明のホログラムシートの第2の態様は、
透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、前記透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように蛍光層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明基材と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするものである。
上記第2の態様のホログラムシートによれば、
透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、前記透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように蛍光層が設けられているホログラムシートであって、前記鏡面反射層の前記透明基材と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシートを提供することができ、その意匠性や偽造防止性の高いホログラムシートを提供することができる。
本発明のホログラムシートの第3の態様は、
第1または第2の態様において、前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されていることを特徴とするものである。
上記第3の態様のホログラムシートによれば、
第1または第2の態様において、前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されているホログラムシートを提供することができ、より鮮明性に優れるホログラムシートを提供することができる。
本発明のホログラムシートの第4の態様は、
第1から第3の態様の何れかの態様において、前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成されていることを特徴とするものである。
上記第4の態様のホログラムシートによれば、
第1から第3の態様の何れかの態様において、前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成されていることを特徴とするホログラムシートを提供することができ、さらに鮮明性に優れるホログラムシートを提供することができる。
本発明のホログラムシートの第5の態様は、
第1から第4の態様の何れかの態様において、前記蛍光層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とするものである。
上記第5の態様のホログラムシートによれば、
第1から第4の態様の何れかの態様において、前記蛍光層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とするホログラムシートを提供することができ、著しく鮮明性に優れるホログラムシートを提供することができる。
本発明の第6の態様のホログラム付きカードは、
カード基材に、第1から第5の態様の何れかの態様のホログラムシートが埋め込まれ、前記ホログラムシートの露出面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあることを特徴とするものである。
上記第6の態様のホログラム付きカードによれば、
カード基材に、第1から第5の態様の何れかの態様のホログラムシートが埋め込まれ、前記ホログラムシートの露出面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあることを特徴とするホログラム付きカードを提供することができ、その意匠性と偽造防止性に優れるホログラム付きカードを提供することを可能とする。
本発明の第7の態様のホログラム付きカードは、
第6の態様の前記カード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、前記IC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねていることを特徴とするものである。
上記第7の態様のホログラム付きカードによれば、
第6の態様の前記カード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、前記IC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねていることを特徴とするホログラム付きカードを提供することができ、その意匠性と偽造防止性に著しく優れるホログラム付きカードを提供することを可能とする。
本発明において、「鏡面反射層」は、その少なくとも「一方の面」、さらには、その「一方の面」と接して設けられている「透明基材」、または、「透明樹脂層」との「界面」が、「光学的鏡面性」と「反射性」を併せ持っている「層」である。この「鏡面反射層」は、単層構成としてもよいし、多層構成としてもよい。
そして、その「一方の面」の平滑性は、実質的に、平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.1μmであって、特に、本発明の「蛍光層」を発光させた際の「その発光した光」に対して「光学的鏡面性」を持つ。
すなわち、この「一方の面」、すなわち、その「界面」を、一つの三次元曲面と見做したとき、その三次元曲面の『形状』そのものが『光学的鏡面』形状、すなわち、「一つの理想的な『二次元平面』とほぼ一致する形状」となっていることを意味する。
言い換えると、本発明の「鏡面反射層」は、「その一つの理想的な『二次元平面』」から逸脱するような不規則な凹凸の無い「滑らかな面」をなし、且つ、その「鏡面反射層」における、極く小さな面領域(照明光の波長の数十倍の長さに相当する、直径数十μm程度の微小な領域。)における平均表面粗さRaの値が、どの小さな面領域においても0.01μm〜0.1μmとなっている。
そして、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」をなす「面」の上に、その表面の「表面平滑性」を維持した状態(その表面形状に何らの変化も及ぼさないことを意味する。)で、「透明基材」、または、「透明樹脂層」を重ねることとなるが(もちろん、「透明基材」の表面をあらかじめ「光学的鏡面」として、その上に、「鏡面平滑層」を、その表面の「表面平滑性」を維持した状態で、「鏡面反射層」を重ねてもよい。)、その際に、この「鏡面反射層」と、「『透明基材』もしくは『透明樹脂層』」との「界面」も、いわば「光学的鏡面」となる。
このことによって、その「鏡面反射層」の「光学的鏡面」をなす「面」や、上記した「界面」が、「光学的鏡面」となり、その「面」や「界面」での「反射光」や、「透過光」が、その「照明光」の性質である「位相分布」や「強度分布」に対して、「正規の反射や透過によって受ける変化(理論的に想定される変化)」を除き、その「変化」以外の変化、すなわち、「不要なムラ(上記した『微小領域』の、さらに、1/10以下、乃至は、1/100以下という『さらに小さい領域』において、光の進む方向や位相成分が部分的に不規則に変化したり、光の強度に部分的な強弱が付与されることを意味する。)」を発生することなく、すなわち、「『乱れる』ことなく、『反射』したり、『透過』したりする」こととなる。
従って、本発明における蛍光層で発光した「光」は、その近傍にある「鏡面反射層」で「乱れる」ことなく正反射し(もちろん、一部透過し、一部吸収される。)、その「反射光」が蛍光層のホログラムレリーフ面(ホログラムレリーフ形状となっている。)を「照明」し、その「反射光」が、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層のそのホログラムレリーフ」に対する「照明光」となり、この「照明」によって、このホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像が、所定の結像(再生)方向に結像(再生)されることとなる。
特に、本発明のホログラムシートの中の蛍光層内にある非常に多数の蛍光発光点(蛍光層の中の一つ一つの蛍光体や、蛍光分子等、さらには、その蛍光分子等の中の「発光位置」そのものをさす。一種の「点光源」となっている。)の中の、ある一つの「発光点」から、ある「瞬間」に発光した「光」が、球面波として、広がりつつ進み、上記した「光学的鏡面」に向かう成分が、その「光学的鏡面」で正反射され、さらにその広がりを維持しつつ(その「光」の「波面」が「球面波」となっているままという意味。)、逆方向に進んで、蛍光層の「最表面」、または、蛍光層の裏面(背面)を照明する「照明光」となって「照明」し、これらの「最表面」及び、「裏面」(以下、総称して「これらの『面』」とも略す。)で、反射されるときに(「これらの『面』」の間で、反射を繰り返す、「多重反射現象」を含む。「これらの『面』」の間隔調整により、この「多重反射現象」を利用した反射率の著しい向上が可能となる。蛍光層の「最表面」及び「裏面」の少なくともいずれか、もしくは、すべての「これらの『面』」が、ホログラムレリーフ形状を成している。)、もしくは、透過されるときに(「多重反射現象」を含む。「これらの『面』」の上記間隔調整とは異なる間隔調整により、この「多重反射現象」を利用した透過率の著しい向上が可能となる。)、「これらの『面』」のなす「ホログラムレリーフ」形状に基づく「ホログラムレリーフの位相成分」を受け取って進み、その広がった「光」の「干渉現象」により「そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像」を結像(再生)するものである。
従って、この「レリーフホログラム再生像」を結像(再生)する光は、進む途中で、その「鏡面反射層」を再び透過しているが、この「透過する」ときも、上記した「反射する」ときと同様に、不要なムラを付加することなく「透過する」こととなる。(もちろん、一部は、反射されている。)
このとき、その「ある瞬間に、ある一点で発光し、その一点から広がった、『光』」が、その「光波面(『球面波』として進む波面。)」に対して、「ホログラムレリーフの位相成分」を十分に受け取って進むためには(上記した、いわば『球面波』に『ホログラムレリーフの位相成分』を付与することを意味する。この『付与』を十分に達成し、『レリーフホログラム再生像の鮮明性を確保するため』という意味である。)、「一点から広がった『光』」が、所定の角度範囲内(観測位置から考慮して、±数十度の角度範囲以内。)で、十分な強度を持って、ホログラムレリーフを成している「これらの『面』」を照明することが必須であって、この「照明光」としての「一点から広がった『光』」が、「蛍光層の『最表面』、『界面』や『背面』を照明する、その『照明領域』」の「大きさ」は、少なくとも、平均周期1μm程度のホログラムレリーフの起伏形状(凹凸形状。)に対して、「その起伏数(凹凸数)が『数十個以上に及ぶ』大きさ」とすることが必要となる。
このことは、「光学的鏡面」と「蛍光層の最表面」との距離が、小さ過ぎると、その照明領域が小さくなり過ぎ、その距離が大きすぎると、その照明する強度が不十分となることを意味する。
すなわち、「光学的鏡面」と「蛍光層の最表面」との距離は、25μm〜300μm、特には、50μm〜100μmとする。
この距離が、25μm未満では、上記した「『照明領域』の大きさ」が不十分となり、300μmを超えると、「照明する強度」が不十分となり、レリーフホログラム再生像を目視判定する際に、そのレリーフホログラム再生像の鮮明性(「シャープさ」や「明るさ」)が不足し、その判定の確実性に劣るものとなる。
また、上記した「位相成分の付与」の際に、レリーフホログラム再生像の再生に無関係な「位相の乱れ」等の「不要な『ムラ』」が加えられると、レリーフホログラム再生像の歪みの発生や、ノイズ光の発生を招き、レリーフホログラム再生像の鮮明性を大幅に低下させることとなる。
特に、本発明のホログラムシートに内包する「蛍光層」を発光させると、まず、巨視的な視点では「シート状光源」と見做すことができる「蛍光層」の垂直上方(垂直下方にも同様の発光起こるが説明の簡略化のため、「上方」成分のみにつき言及する。)に向けた発光が起こり、その光の指向特性、すなわち、その配光曲線は、例えるならば、垂直方向に主軸を持つ回転楕円体を、そのシートで主軸に垂直に切り取ったような形となる。
すなわち、本発明のホログラムシートを発光させて、垂直上方から観察すると、その「蛍光層」の特有の発光波長(λ0)の光が、そのホログラムシートの中央領域の輝度が大きく、そのホログラムシートの周辺部分の輝度がなだらかに小さくなっている発光分布で放出(発光)している状態を視認することとなる。
しかも、この光は拡散性であって、その配光曲線は、いわゆる「『拡散性を持つ平板状光源』からの配光曲線」となり、図示しないが、その「平板」に垂直な方向への光度が「I0(カンデラ)」とすると、その垂直方向から斜めに「θ度」だけ傾いた方向での光度は、「I0×COSθ(カンデラ)」となっているというものであって、このような『拡散性を持つ平板状光源』によって照明される対象物上の点(目視観察の場合にはこの位置に観察者の「目」が配置することから「観察位置」ともいう。)における「照度」は、「光の逆二乗の法則」及び「光の入射角余弦の法則(コサイン1剰則)」に従うこととなる。
さらに、この指向特性をより高くした「蛍光層」(構成する各層の厚さ設定や、材料構成、さらには、印加電圧等により、その指向特性を制御できる。)を用いた場合には、いわゆる「コサイン3剰則」や、「コサイン4剰則」に従って、その「照度」が急激に減衰することとなる。
これらのことは、「平板状光源」を用いた際に、その平板に垂直な方向の光度や、その方向の先にある「観察位置」における「照度」は、比較的“大きい”ものであるものの、その垂直な方向から「傾いた方向(斜め方向)」の光度や、その方向の先にある「観察位置」における照度は、いわゆる「光の入射角余弦の法則」、「コサイン3剰則」、または、「コサイン4剰則」に則って、著しく小さくなっていることを示している。
本発明のホログラムシートは、このような「平板状光源」の、その平板に垂直な方向から「傾いた方向(斜め方向)」の先にある「観察位置」において、そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像を結像させるものであって、この状況を例えるならば、著しく光度や照度が小さくなった「光の背景」の中に、その光度や照度を比較的維持している「光の像」が浮かんでいるように観察される。
そのホログラムレリーフに基づくレリーフホログラム再生像が結像する状況を、さらに詳述すると、本発明のホログラムシートにおいて、その発光した「光」の一部が、上記した「鏡面反射層」で、その強度や位相成分について不要な歪み(不要な「ムラ」)を、一切、付加することのない「鏡面反射」を生じ、その反射光が、「蛍光層」の「これらの『面』」を「照明」して、その「これらの『面』」で「ホログラムレリーフの位相成分(位相分布成分ともいう。位相ホログラムであるため、原則として『強度分布を変化させる成分』は持たない。)」を含んで反射され(説明の簡略化のため、「これらの『面』」で主として「反射」される「光」についてのみ言及する。)、所定のレリーフホログラム再生方向(例えば、上記した傾きθとして、θ=45度や60度など、すなわち、ホログラムシート垂直方向に対して45度や60度の角度方向など。)に、レリーフホログラム再生像を再生する。
このときのレリーフホログラム再生像は、上記した拡散光と同一波長(λ0)の「光の像」として視認される。但し、この「光の像」は、上記した拡散光とは異なり、「結像系の『光の像』」であるため(もしくは、減衰し難い「単なる光束(『ビーム』状の『光』という意味。)」とすることも可能。)、所定の観察位置において、十分な輝度、もしくは、十分な照度、すなわち、十分な「明るさ」を持って観察されることから、この観察位置から、「発光した本発明のホログラムシート」を観察すると、上記したような急激に減衰する拡散光としての波長(λ0)で光る「シート状発光面」の中に、比較的「輝度」(「明るさ」)の大きい波長(λ0)の「光の像」を“併せて(もしくは、重ねて)”視認することとなる。
従って、このホログラムシート面から「所定の観察位置」までの「距離」を、大きくすればするほど、その位置における拡散光の「輝度」(もしくは「照度」、または、「明るさ」)と、「光の像」の「輝度」(もしくは「照度」、または、「明るさ」)の「差(『比率』で表してもよい。)」が大きくなる。
また、本発明のホログラムシートは、その最表面がホログラムレリーフ形状となっている「蛍光層」を、「鏡面反射層」で覆い隠す構成としたことで、その「ホログラムレリーフ形状」の存在、すなわち、この「ホログラムレリーフ形状」が自然光や、商業施設における一般的照明光源である「蛍光灯」などによる「照明」によって、レリーフホログラム再生像が出現してしまうことを阻止することを可能としている。
さらには、所定の電源を用いて「蛍光層」を発光させて(直流電源や交流電源を外部端子でつないだり、あらかじめカード基材に内蔵する電池の、やはり内蔵するスイッチを「ON」にしたりして、やはり内蔵する「発光パネル」や「発光シート」等の「発光部」を発光させ、その発光した「光」に含まれる「蛍光層に含まれる蛍光体を励起する『紫外線』」によって、「蛍光層」を発光させることなどを意味する。)、「初めて」レリーフホログラム再生像が出現するという、著しく高い偽造防止性を有するホログラムシートとしている。
この「鏡面反射層」が設けられていない構成の「『蛍光層』を内包する『レリーフホログラム媒体』」に言及すると、このような「レリーフホログラム媒体」では、わざわざ、「蛍光層」を発光させずとも、上記した自然光や「蛍光灯」などによる「照明」によって、レリーフホログラム再生像が出現してしまっており(秘匿されていないという意味。)、この状態で「蛍光層」を発光させたとしても、その再生像自体は、「発光」前に見えていた「光の像」と同一の「光の像」であって、何らの意外性もなく、しかも、その再生像の背景までもが明るくなって、かえって、その再生像が判別し難くなるのみである。(但し、この『判別の難しさ』を敢えて偽造防止効果とすることは可能である。)
さらに、本発明のホログラムシートにおいて、その「覆い隠す」効果を高めるため、そのレリーフホログラムの「反射回折効率」(レリーフホログラムが「反射型」として形成され、且つ、そのホログラムレリーフ面における「反射光」によって再生されるレリーフホログラム再生像の再生効率を意味する。この「反射回折効率」の「大きさ、すなわち、『値』」は、「照明光が反射される界面の『界面反射率』」と「レリーフホログラム自体の『回折効率』」との「積」で表される。)を、敢えて小さく抑え、0.1%〜5.0%とする。
レリーフホログラムの「反射回折効率」を、このような小さな値に抑えることで、上記した自然光や「蛍光灯」などによる「照明」によるレリーフホログラム再生像が幽かなものとなり、「鏡面反射層」で覆い隠すことをさらに確実なものとできる。
しかも、商業施設内などでのホログラムシート面の「照度」が、100〜500ルクス程度であって、ホログラムレリーフ面に対する「照度」が、「鏡面反射層」を通過することでさらに小さくなることに対して、「蛍光層」を「一種の発光光源」とする波長λ0の照明光による「照度」は、その発光面の近傍にある「鏡面反射層」で鏡面反射されてホログラムレリーフ面に届くため、光源としての発光光度が「蛍光灯」と同レベルであっても、いわゆる「光の入射角余弦の法則」により、上記した「蛍光灯」(距離にして少なくも数m程度、離れていると推察される。)によるホログラムレリーフ面に対する「照度」に比べ、その数百倍となる。
しかも、「レリーフホログラム再生像の再生効率」にはその照明光光源の発光波長に対して、いわゆる「波長依存性が存在する」という原理を利用して、「レリーフホログラム再生像」の「鮮明性(再生像の「シャープさ」及び「明るさ」をさす。)」に対して、「『自然光』照明もしくは『蛍光灯』照明」と、「『蛍光層』の発光による照明」との間で、さらなる有意差を与えることも可能である。
すなわち、その「『蛍光層』の発光波長λ0」において最も反射型レリーフホログラム再生像の再生効率が高くなるようにホログラムレリーフを形成しておくことで(ホログラムレリーフのレリーフ深さの調整となる。)、その「波長λ0」そのもので照明したときの、その「レリーフホログラム再生像」の「鮮明性」と、あらゆる可視光波長を比較的均等に含む「自然光」や、「主に3つの波長にピークを有する蛍光灯(3波長管を意味する。商業施設等ではこのタイプの蛍光灯が一般的である。)」などで照明したときの、その「レリーフホログラム再生像」の「鮮明性」との間で、さらなる有意差を与えることができる。
本発明の「鏡面反射層」の一方の面を「光学的鏡面」とするためには、適宜な剥離性フィルム(厚さ50〜250μm、且つ、その表面に剥離性処理を施したもの。)上に、以下に詳述する材料を用いて「鏡面反射層」を形成した後、上記した「光学的鏡面」と同等もしくはそれ以上の「平滑な表面」を有する、「表面平滑化処理を施した厚さ0.1〜5.0mmの金属板、または、ガラス板」を用いて、その「平滑な表面」を「鏡面反射層」のその「一方の面」と接するように重ね、100〜200℃の加熱、及び、1.0〜103MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)での加圧をする平板プレス処理(プレス状態で、「常温→設定温度までの加熱→設定温度保持→水冷式等による強制冷却→常温」の加熱冷却サイクル<1サイクル30分〜90分>を施す処理。)、もしくは、「同様の表面平滑化処理を施した直径100〜300mmの金属製ロール、または、ガラス製ロール」を用いて、100〜200℃に加熱した各ロール間を、そのロール幅1cmに対して1.0〜100kgの線圧を掛けつつ、1.0〜10m/分の速度でシート搬送させるロールプレス処理により、「鏡面反射層」の露出面を「光学的鏡面」とする。
そして、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層」を形成する。このとき、その「透明樹脂層」形成に用いられるインキ組成中には、「鏡面反射層」に用いられる樹脂との相溶性が低い樹脂系、及び、「鏡面反射層」の表面を溶解し難い溶剤系を用いるとともに、形成手段も、カーテンコート方式、ロールコート方式、フィルムラミネート方式、フィルム転写方式や、ステンレススクリーン印刷方式を用いる。
さらには、相対する2つの層の表面張力の差を10〜20mN/mとし、且つ、表面張力の小さい層の上に、表面張力の大きい層を形成する手順として、形成時の「濡れ性」を抑制し、形成前の層の「面」、及び、2層間の「界面」の「光学的鏡面」性の維持を促進することも好適である。
その後、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」とした「面」とは、反対の「面」を、その「適宜な剥離性フィルム」を剥離することで、露出させ、透明基材の一方の面に接するようにして、ラミネート、または、転写等の方式をもちいて積層することで、「鏡面反射層」の一方の面の「光学的鏡面」性を維持しつつ、この「鏡面反射層」とその「透明樹脂層」との「界面」をも、「光学的鏡面」とする。
または、この「鏡面反射層」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「透明基材」をラミネート等の方式を用いて形成し(この場合は、「透明基材」の表面に予め「光学的鏡面」性を付与しておくことが好ましく、「鏡面反射層」とその「透明基材」との「界面」が、「光学的鏡面」となる。)、その「透明基材」の露出面に、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層」を形成する。
もちろん、適宜な剥離性フィルムの代わりに、本発明の透明基材を用い、その透明基材上に「鏡面反射層」を形成後、上記と同様にして、「鏡面反射層」の露出面を「光学的鏡面」とすることで、「透明基材」、「鏡面反射層」、及び、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層」の3層積層体としてもよい。(この場合は、「鏡面反射層」の「透明樹脂層」側の「面」、及び、「鏡面反射層」と「透明樹脂層」の「界面」が、「光学的鏡面」となる。)
また、本発明の「鏡面反射層」の一方の面を「反射性」とするためには、言い換えれば、「鏡面反射層」と、その「鏡面反射層」の「光学的鏡面」性を持つ「面」と接している「『透明樹脂層』、もしくは、『透明基材』」の「界面」における「反射率」を所望の大きさ(「値」:可視光波長範囲の光に対して、反射率を5〜90%、特には、5〜20%とする。)とするためには、「鏡面反射層」の屈折率n1と、「『透明樹脂層』、もしくは、『透明基材』」のn2を所定の大きさ(「値」)とする必要がある。
このときの「界面」の反射率、すなわち、「『鏡面反射層』の一方の面の『反射性』」は、いわゆる「フレネルの公式」に従い、それぞれの屈折率n1及びn2の値によって定まる。
さらには、「鏡面反射層」を、「透明層」と「透明反射性薄膜層」の2層とし、「透明反射性薄膜層」の最表面(露出面)を「光学的鏡面」とすると、「光学的鏡面」の反射率、そして、上記したようなこの「光学的鏡面」に接して設ける「層」との「界面」の反射率を「樹脂2層間の界面」の反射率より容易に高く設定でき、好適である。
また、「鏡面反射層」の中に、可視光の光を吸収する染料(使用する樹脂に溶解して透明性を維持できる。)や微粒子顔料(使用する樹脂に高度に分散させることで透明性を維持できる。)を5%〜30%添加して、上記した「自然光」や「蛍光灯」の照明下でのレリーフホログラム再生像の再生を抑制することも好適である。
この「透明反射性薄膜層」は、その厚さを、その層を透過する光の波長の1/4、もしくは、それ以下とすると、この光が「透明反射性薄膜層」内で「多重反射現象」を生じる。そして、その多重反射現象を利用して、その「透明反射性薄膜層」を垂直方向に進む光の透過率を抑制し、その垂直方向から傾いた方向へ進む光の透過率を高めたり、または、その逆に、垂直方向に進む光の透過率を高め、その垂直方向から傾いた方向へ進む光の透過率を抑制することもできる。
本発明のホログラムシートに用いる「透明反射性薄膜層」においては、この後者、すなわち、「透明反射性薄膜層」の厚さを、「蛍光層で発光した『光』」の波長の1/4、もしくは、それ以下として、その「透明反射性薄膜層」を垂直方向に進む光の透過率を高め、その垂直方向から傾いた方向(特に、レリーフホログラム再生像の再生方向)へ進む光の透過率を抑制することで、レリーフホログラム再生像の再生方向に進む「背景」の明るさを抑制し、レリーフホログラム再生像そのもの(この再生像は、「透明反射性薄膜層」を垂直方向に進む光の干渉によって再生される。)の鮮明性を高めることが好適である。
この「鏡面反射層」の厚さ(多層とした場合には、その総厚さ。)は、0.01〜10.0μmとする。
本発明のホログラム付きカードは、「カード基材」に、本発明のホログラムシートが埋め込まれ、そのホログラムシートの露出面が、その「カード基材」の表面と面一、または、その「カード基材」の表面から凹んだ位置にある。
一例としては、「厚さ12μmの『透明基材』、厚さ5.0μmの『鏡面反射層』、厚さ10μmの『ホログラムレリーフを有する透明樹脂層』、及び、厚さ5μmの『蛍光層』からなる、総厚さ32μmのホログラムシート(積層体)」(少なくとも、この「鏡面反射層」の「透明樹脂層」と接している「面」、従って、「鏡面反射層」と「透明樹脂層」との「界面」が「光学的鏡面性及び反射性」を有している。また、この「透明樹脂層」と「蛍光層」の「界面」が、ホログラムレリーフとなっている。)であって、総厚さ32μm、幅10mm、長さ30mmのストリップ(「小片」という意味。幅10mm×長さ30mm×高さ32μmの非常に薄い直方体状。または、この積層順序を、「鏡面反射層、透明基材、ホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、蛍光層とした、総厚さ32μmのホログラムシート(積層順序が異なる積層体)からなる、同一形状のストリップ」としても良い。この場合、「鏡面反射層」の「透明基材」に接している「面」、及び、「鏡面反射層」と「透明基材」との「界面」が、「光学的鏡面性及び反射性」を有している。)を、クレジットカードサイズで、厚さ760μmの軟質塩化ビニルシートからなる「カード基材」の表面の中央部に置き、この「カード基材」を、常温→150度→常温の加熱サイクル(1サイクル30分〜90分。)により、且つ、「表面鏡面仕上げステンレス板」に挟んだ平板加圧状態で、1.0MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)の圧力を掛けつづけて、そのストリップの全厚さを、その760μmの軟質塩化ビニルシート内に埋め込むことをいう。(この際、「蛍光層」の陽極及び陰極のそれぞれに電圧を付加するための陽極端子〈リード部分をいう。以下同様。〉及び陰極端子を、カード基材表面に露出するように配置しておくことは言うまでもない。また、このホログラムシートの裏面、すなわち、「蛍光層」の陰極の露出面に、厚さ1μmの接着層を設けておいてもよい。)
ここで、カード基材表面を、触針式表面粗さ計を用いて、埋め込んだ部分の境界領域を測定し、その境界における段差が、1.0μm以下である状態が「面一」となっている状態である。
また、上記のストリップに、さらに、一方の面を剥離性とした10μm厚さのポリエチレンテレフタレートを積層した5層積層体とし、上記と同様にして、カード基材内に埋め込んだ後、そのポリエチレンテレフタレートを剥離することで、そのストリップの最表面が、カード基材表面より、10μmの深さだけ、「凹んだ」状態とすることができる。すなわち、上記した触針式表面粗さ計を用いて、凹んだ部分の段差を測定し、その段差が、10μmである状態が、「カード基材表面から10μm凹んだ」状態である。
この「凹み」は、クレジットカード形状の「カード基材」においては、1.0μm〜30μmとすることが望ましい。この凹みが1.0μm未満であると、凹ませた効果が無くなり、30μmを超えると、この段差の引っ掛かりがスクラッチカードのハンドリングに支障をきたす。
この凹みは、カード基材厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。また、凹みのサイズよりもストリップのサイズが小さい場合には、凹みとストリップの間に「隙間」が生じるが、この「隙間の幅」は、その偽造防止性を考慮して、爪先や金属へらを挿入し難い大きさ、すなわち、5.0mm幅以下、望ましくは、1.0mm以下とする。
さらに、上記のストリップをそのカード基材内に埋め込むために、予め、カード基材表面に、深さ35μm、幅11mm、長さ31mmの凹みを設けておき(プラスチック等であれは、その成形加工時に「凹み」を設けても良いし、カード基材表面を切削加工などにより削り込んで、凹みを設けてもよい。)、その凹みに、上記したストリップを入れて固定することも、その製造安定性から好適である。この場合には、上記したような、高温加熱や、高圧プレスの必要がないため、上記のストリップ内の「鏡面反射層」、「透明基材」、「ホログラムレリーフを有する透明樹脂層」、や「蛍光層」に対する変形や歪みが発生し難く、陽極端子や陰極端子としてのリード部分の破断(断線を意味する。)等を発生させることなく、確実に設けることができるという利点がある。
但し、偽造や変造を防止する観点からは、加熱及び加圧により「カード基材」に埋め込む方式が望ましい。
また、カード基材の形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード状、タグ状(ラベル形状も含む。)、はがき状、伝票状、封筒状、円盤状、楕円体状、球体状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。
その厚さも、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、3.0μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
これらカード基材の代表例としては、いわゆる「プリペイドカード」として用いられているカード基材及び形状や、「プラスチックカード」として用いられているカード基材及び形状、特に、JIS規格やISO規格で定められているものがある。すなわち、その「埋め込み適正」及び「汎用性」(加工汎用性を含む。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、そのハンドリングや、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器や、関連グッズ等も既に普及しているため、これらのものへの適用もスムースであって好適である。
そして、本発明のホログラム付きICカードは、「IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材」を用い、且つ、そのIC駆動用電池が、本発明のホログラムシートを発光する発光用電源をも兼ねている。
すなわち、その「カード基材」には、少なくとも「セキュアマイコン」を内蔵する「接触式ICカード」、もしくは、少なくとも「非接触式ICチップ」を内蔵する「非接触式ICカード」を用いる。
それらの「カード基材」には、接触式ICカードについては、ISO/IEC 7816や、JIS X 6300に準拠したものを用いることができ、また、非接触式ICカードについては、ISO/IEC 14443(通信距離に応じて「密着型」、「近接型」、「近傍型」、または、「遠隔型」の4種類に区別され、さらに近接型は「Type A」、または、「Type B」に分類される。)やJIS X 6321〜6323に準拠したものを用いることができる。これらの「カード基材」は、上記したと同様の理由により好適である。
そして、本発明のホログラム付きICカードは、これらの「カード基材」を用いた上で、さらに、それらの「セキュアマイコン」や「非接触式ICチップ」を駆動する、一次電池、または、二次電池からなる「IC駆動用電池」をも内蔵していて、さらに、その「IC駆動用電池」が、そのICカード基材に埋め込まれたホログラムシートを発光させる発光用電源を兼ねるものである。
また、本発明のホログラム付きICカードは、「セキュアマイコンまたは非接触式ICチップ等を制御する『制御部』」や、「液晶ディスプレイなどの『表示部』」をさらに含むことができ、その場合には、これらの「電池」は、その「『制御部』」や『表示部』」を駆動するための電源として用いられることとなる。
さらに、本発明のホログラム付きICカードは、これら「内蔵」する「電池」に加えて、「太陽電池と、その太陽電池で生成された電気エネルギーを蓄電するコンデンサとにより構成される補助電源」を、その「カード基材」に含めることもできる。
また、「ON/OFF切り替えスイッチ」をも内蔵することができ、この場合には、この「スイッチ」により、本発明のホログラムシートを発光させたり、消光させたりすることが可能となる。
ところで、本発明のホログラムシートは、ホログラム画像を再生する干渉縞や回折格子群が、ホログラムレリーフとして、透明樹脂層面上に略一平面として形成されたものであり、このレリーフに上に、且つ、このレリーフに追従して均一な厚さで蛍光層が設けられている。
ここで、蛍光層は、そのレリーフ全面を覆うように設けてもよいし、部分的に覆うように設けてもよい。
ホログラムレリーフは、位相ホログラムとしての位相差を、レリーフ形状に現しているが、この位相差を有するレリーフ形状に追従して(沿って)、薄膜である蛍光層が設けられることにより、蛍光層そのものが、ホログラムレリーフ形状を形作っている(特に、その素子の中で光を発する発光層がそのレリーフ形状を形作っている)。
そして、蛍光層が発する光が、そのすぐ近傍にある「鏡面反射層」でムラなく反射され、この反射された光(反射光)が、この蛍光層そのものが形作る、ホログラムレリーフ形状を照明することとなる。
これは、レリーフホログラムを再生する場合に、そのレリーフホログラムを所定の照明光で照明した際に、そのレリーフホログラム面上のあらゆる点(場所)で生じるホイヘンスの2次波に対し、本発明のホログラムシートの場合においては、この2次波に相当するものが、ホログラムレリーフ面に配された蛍光層の「最表面」、「界面」及び「背面」での「反射光」であり、この光がその役目を担い、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフが有する位相差を含んで発光した光を観察者側に届けるものである。
すなわち、この発光した光が、最終的には(一度、ホログラムレリーフ面での「発光」によって進み、「鏡面反射層」で反射され、そして、ホログラムレリーフ面で、今度は、「反射」された「後」という意味。)、ホログラムレリーフ面上に広がる「空間(その面から垂直方向に、数十波長以上離れた空間。)」において干渉現象を起こし、その結果、所定の方向に所定のホログラム再生像を発現する。
蛍光体は、紫外線、電子線、X線などのエネルギーを吸収して可視光線として放出する物質であり、例えば、母体となるセラミックス結晶にEu やCe などの発光を担う金属イオンが微量添加した材料等がある。この場合、発光に寄与するは金属イオンであり、外から加えられたエネルギー(紫外線、電子線、X線などや、もちろん可視光線、赤外線等のエネルギー。)を吸収して励起され、その後基底状態に戻る時に発光する。ホスト結晶の格子は金属イオンを取り囲むことによりイオンを化学的に安定化させたり、結晶場や配位環境を整えることにより発光色や発光強度を制御する働きをする。
本発明は、これらの蛍光発光の内、ストークスシフト(Stokes shift)によって可視光領域の発光を起こす蛍光体材料を用いる。もちろん、赤外線の励起による可視光領域の発光を起こすものも用いることができる。
本発明は、従来のホログラムの再生方法、すなわち、ホログラムに、遠く離れた照明光源からの照明光を当て、ホログラムレリーフ面での反射光の干渉現象によって、その照明光の波長のホログラムを再生するもの、とは異なり、所定の紫外線を照射することによって、蛍光体が発光し、その発光した光そのものが、最終的に、上記の干渉現象を生じて、その発光した光の波長におけるホログラムを再生するものである。従って、回折角度も、その発光した光の波長に依存する。
例えば、透明でほとんど何も見えない空間(レーザー再生ホログラム等のようにその再生に単波長光を必要とするものは、白色光光源では視認できない。また、白色光再生に適するレインボーホログラムであっても、ホログラフレリーフ面の界面反射強度が小さい場合にも、やはり視認しにくくなる。)に、所定の紫外線の照射によって初めて、例えば「緑色」のホログラムを視認することもできるため、観察者の目には、あたかも、再生に用いられる「緑色の照明光源」の無いところに、ホログラムだけが光輝き、空中に浮いているように見え、意匠性にも優れるものとなる。
特に、ホログラムレリーフ面を「鏡面反射層」が覆っていることからこの効果がさらに強調されている。
また、上記したストークスシフトの値を知りうる者のみがホログラム再生像の色調を予測でき、その再生波長に調整したバンドパスフィルターを通して覗いて、そのバンドパスフィルターを通過できるホログラムのみが、真正であると判定することもできる。
また、このバンドパスフィルターを通過する角度(回折角度)も、そのストークスシフト量に依存し、やはり、その値を知りうる者のみがその所定の角度で判定を行うことができる。
さらに、蛍光体を複数含めることにより、この再生像は複数の角度に異なる色調で現れることになり、意匠性の面でも、真正性判定の面でもより優れたものとなる。
蛍光発光の原理は、図1に示すジャブロンスキー図にあるように、蛍光体(蛍光色素、蛍光顔料、蛍光染料等を含む。)の基底状態(S0:一重項状態)から光吸収によって第一(S1)、第二(S2)、第三励起状態(S3)・・・のどれかの振動状態に励起された発光体が、無放射過程で非常に速やかに緩和してS1の電子励起状態に移るか、あるいは項間交差によって三重項状態(T1、T2)へ移る。S1の最低振動状態になった蛍光体は、無放射過程によるか蛍光を発して基底状態に戻る。三重項状態になった分子は、無放射過程によるか、リン光を発して基底状態に戻る。
一重項同士の遷移は瞬間的に起こるため、蛍光の半減期は10-4sec以下と短いものである。遷移に要する時間は、10-15secで励起が起こり、その後10-9〜10-7secで蛍光発光が起こるとされている。
一方、三重項から一重項への遷移はスピン変化禁止により禁制遷移となり自発的放出が起こりにくいので、リン光の半減期は大きく、秒単位のものもある。
基底状態に戻る際に光を発するか否か、光の強度が強いか弱いか、蛍光寿命が長いか短いかは、その蛍光体物質の分子構造や分子の置かれた環境に大きく依存する。
蛍光体材料の放出光の波長分布を蛍光スペクトルといい、蛍光スペクトルは蛍光の波長に対し相対的な蛍光強度をプロットして作成される。(実際の蛍光スペクトル測定では、波長と 強度が一定に維持された励起光を光源として用い、 蛍光体を取り扱う場合は、放出スペクトルのことを蛍光スペクトルと呼ぶ。)蛍光スペクトルに示される波長(エネルギー)は一次励起状態の最低振動エネルギー準位から基底状態の優先的な振動エネルギー準位までのエネルギー差と等しくなる。
蛍光の振幅が励起状態と基底状態の振幅構造と類似しているなら、最も長波長側の励起の振幅と鏡像関係となり、理論上、蛍光色素が吸収した光エネルギーの波長と蛍光として放出する波長は同じになる。しかし実際にはほとんどの蛍光色素の蛍光スペクトルは長波長(低エネルギー)側にシフトする。励起スペクトルと蛍光スペクトルのピーク波長間の差はストークスシフトと呼ばれ、この波長差は、蛍光放出以前の励起状態の際に放出されたエネルギーが熱エネルギーに変換されたために生じる。
ストークスシフトは蛍光の感度おいて非常に重要であり、蛍光を検出する際、励起光の影響を受けないためバックグラウンドを低くすることができる。
入射光の波長と強度を一定にした場合(例えば、光源として制御されたレーザー光を使用した場合)、放出される蛍光は蛍光物質の量と正比例する。従って、蛍光の強度を一定とするためには、ホログラムレリーフ面に形成する蛍光層の中の蛍光体の量を一定とする必要がある。もちろん、蛍光体の濃度が高い場合には、サチレーションをおこし直線性が失われて一定の強度となったり、蛍光体間の距離が極めて接近し、表面付近だけが励起され、放出蛍光が吸収されてしまうため、本発明の目的である蛍光光の干渉性を十分得るためには、蛍光層の厚さ方向に蛍光体が分散して多く存在するよりも、ホログラムレリーフ面近傍にのみ均一に存在する方が、より高い干渉現象を生じるため、蛍光体の粒径の1〜10倍、さらには1〜3倍とすることが望ましい。蛍光体が染料であり、蛍光層を形成する樹脂に溶解している場合には、その樹脂層を薄く抑える必要がある。また、蛍光染料によって、染着する場合には、ホログラムレリーフを形成している透明樹脂層そのもののレリーフ面のみを染着することにより、上記した目的を達成することもできる。
また、蛍光体によっては、放出される蛍光強度(輝度)が異なり、蛍光強度はそのまま感度に影響を与えるため蛍光体の蛍光強度は非常に重要な要素となる。蛍光強度は蛍光体の以下の2つの特性に依存し、
・光の吸収効率(吸光係数)
・励起光と蛍光の変換効率(量子収率)
蛍光強度は蛍光体の吸光係数(ε)と量子収率(φ)に比例するため、以下の式で表される。
・蛍光強度(輝度) ∝ 吸光係数(ε)×量子収率(φ)
ここで、蛍光体の吸光係数とは蛍光体に吸収される特定波長の光量を意味し、モル吸光係数は光路1 cmあたりの1M(1モル)蛍光色素溶液の光学濃度として定義される。有用な蛍光体では、このモル吸光係数が10,000以上を示す。励起光と蛍光の変換効率(量子収率)は以下の式から得ることができる。
・φ = 放出された光子数 / 吸収された光子数
ここで、量子収率(φ)は “0” (非蛍光性物質)から “1” (効率100%)までの値をとる。蛍光体の量子収率を示す例として、フルオレセイン(φ=0.9)およびCy5(φ=0.3)がある。通常の量子収率(φ)の測定には、吸収スペクトルのピーク波長が用いられる。
フルオレセイン(ε=70,000、φ=0.9) とCy5(ε=200,000、φ=0.3)は極めて高い輝度を持っており、これらの蛍光体は量子収率と吸光係数は非常に異なっているが、蛍光強度は同等となる。
したがって、蛍光体を評価する場合は、吸光係数と量子収率をあわせて考慮する必要がある。蛍光強度は入射光の強さにも影響を受け、理論上、入射光量を上げていくと励起さ
れる蛍光体が増加し、同時に放出される光量(光子数、あるいは基底状態まで落ちていく 電子数)が増加し、蛍光強度の上昇として観察される。しかし 実際には、入射光量を上げすぎてしまうと全ての蛍光体が常時励起状態となり、蛍光破壊が起こり蛍光強度が減衰あるいは消失して蛍光強度との相関性が失われる等の現象が発生するため、入射光量を適切に定める必要がある。
さらに、蛍光体の量子収率や励起スペクトルおよび蛍光スペクトルは 環境条件、すなわち、環境温度、イオン濃度、PH、励起光の強度、樹脂等との共有結合、非共有結合性の相互作用(インターカレーション効果等。)などから影響を受けるため、これら環境条件を考慮して励起光波長や、蛍光光を認識しやすくするための光学フィルター(ロウパスフィルター、ハイパスフィルターや、バンドパスフィルター等。)を必要に応じ、設定する必要がある場合もある。
また、もう1つの環境効果として光によるフォトブリーチングがある。励起状態にある蛍光体は基底状態に比べて化学的に活性化されているため、破壊されやすくなり、低頻度ではあるが、例えば、「励起蛍光色素分子」が化学反応を進行し、最終的に低蛍光性の構造になりことがある。この化学反応の進行は個々の蛍光体のフォトブリーチングに対する感受性や化学的な環境、励起光の強度、励起光の照射時間、観察や認証のための光学スキャンの繰り返し数等に依存するため、目的に応じた設定が必要となる。
光源として制御可能なレーザー光を使用するなど、入射光の波長と強度を一定にした場合、放出される蛍光(光子数)は蛍光体の量と正比例する。蛍光体が極めて高濃度である場合は、シグナル応答が非線形になる。
一定量の蛍光体から放出される光子数は、励起/放出サイク ルを繰り返せば増幅できる。励起光強度と蛍光体濃度が一定の場合は、放出光の総量は照射時間(蛍光色素等に励起光を照射している期間)に比例する。励起/放出サイクルの時間よりも照射時間が長ければ、蛍光体は励起/放出サイクルを何回も繰り返す。蛍光強度(放出光子数)の測定は、どのような受光素子でも測定可能である。
低強度光を測定する場合は、 増幅機構を持つ光電子増幅管(Photo multiplier tube:PMT) が有効である。PMTに十分なエネルギーを持つ光が入射すると、 陰極から電子が放出され、電子は電流として増幅される。これら受光素子の電流は、入射光の強度に比例し、蛍光強度は通常、任意単位で表示される(例rfu:rela−tive fluorescence unites:相対蛍光単位)。
蛍光体は、一般的に、蛍光体原料を焼成する固相反応法により、製造される。この固相反応法では原料混合物を高い温度で焼成するため、得られる焼成ケーキは、蛍光体粒子が硬く凝集したものとなることが多い。そのため、通常は、蛍光体の製造の際には例えばボールミル、乳鉢等による粉砕工程を行うが、このときの蛍光体粒子の表面の損傷を抑制する方法として、流動式反応器装置を用いて、実質的に単分散の蛍光体−前駆体粒子を、流動する気体中に浮遊させて焼成することにより、凝集していない実質的に単分散の蛍光性粒子を製造する。この方法によれば、1μm未満の大きさの蛍光性粒子を製造することができる。
また、例えば、ZnGa2O4:Mn蛍光体を製造するに際し、焼成を行なう前の蛍光体原料を湿式沈殿法により調製することにより、低温での焼成が可能となり、蛍光体粒子の凝集を抑制することができる。
また、例えば、アルカリ土類アルミン酸塩系、またはアルカリ土類珪酸塩系の母体結晶を有する蛍光体の製造方法に関し、Srを含む蛍光体原料として硝酸ストロンチウムを用い、原料混合液又は懸濁液を所望の粒径となるよう液滴化し、これを焼成する方法がある。これにより、極めて脆い性質を有する蛍光体が得られ、容易に微小なサイズへ粉砕することができる。
蛍光体原料としては、製造しようとする蛍光体を構成する元素(以下、「蛍光体構
成元素」ともいう。)を含有する化合物を用いることができる。その例を挙げると、蛍光体構成元素を含有する、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩、ハロゲン化物、窒化物等が挙げられる。蛍光体原料の選択に際しては、得られる蛍光体への反応性等を考慮して選択することが好ましい。さらに、蛍光体を構成する各蛍光体構成元素に対応し、蛍光体原料は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、蛍光体の各蛍光体原料中に含まれる不純物としては、蛍光体の特性に悪影響を与えない限りにおいて、特に限定されない。
各蛍光体原料の重量メジアン径としては、通常0.01μm以上、0.5μm以下である。このために、蛍光体原料の種類によっては予めジェットミル等の乾式粉砕機で粉砕を行っても良い。これにより、各蛍光体原料の原料混合物中での均一分散化を図り、かつ、蛍光体原料の表面積増大による原料混合物の固相反応性を高めることができ、不純物相の生成を抑えることが可能となる。
例えば、Baを含む蛍光体原料の具体例としては、BaO、Ba(OH)2・8H2O、BaCO3、Ba(NO3)2、BaSO4、Ba(C2O4)・2H2O、Ba(OCOCH3)2、BaCl2等が挙げられる。
Caを含む蛍光体原料の具体例としては、CaO、Ca(OH)2、CaCO3、Ca(NO3)2・4H2O、CaSO4・2H2O、Ca(C2O4)・H2O、Ca(OCOCH3)2・H2O、無水CaCl2(但し、水和物であってもよい。)等が挙げられる。
Srを含む蛍光体原料の具体例としては、SrO、Sr(OH)2・8H2O、SrCO3、Sr(NO3)2、SrSO4、Sr(C2O4)・H2O、Sr(OCOCH3)2・0.5H2O、SrCl2等が挙げられる。
Znを含む蛍光体原料の具体例としては、ZnO、Zn(C2O4)・2H2O、ZnSO4・7H2O等が挙げられる。
Mgを含む蛍光体原料の具体例としては、MgCO3、MgO、MgSO4、Mg(C2O4)・2H2O等が挙げられる。
Siを含む蛍光体原料の具体例としては、SiO2、H4SiO4、Si(OCOCH3)4等が挙げられる。
Euを含む蛍光体原料の具体例としては、Eu2O3、Eu2(SO4)3、Eu2(C2O4)3、EuCl2、EuCl3、Eu(NO3)3・6H2O等が挙げられる。
Sm、Tm及びYbを含む各蛍光体原料の具体例としては、Eu源の具体例として挙げた各化合物において、EuをそれぞれSm、Tm及びYbに置き換えた化合物が挙げられる。
Mnを含む蛍光体原料の具体例としては、MnO、MnO2、Mn2O3、MnF2、MnCl2、MnBr2、Mn(NO3)2・6H2O、MnCO3、MnCr2O4等が挙げられる。
Crを含む蛍光体原料の具体例としては、Cr2O3、CrF3(水和物であってもよい)、CrCl3、CrBr3・6H2O、Cr(NO3)2・9H2O、(NH4)2CrO4等が挙げられる。
Tbを含む蛍光体原料の具体例としては、Tb4O7、TbCl3(水和物を含む。)、TbF3、Tb(NO3)3・nH2O、Tb2(SiO4)3、Tb2(C2O4)3・10H2O等が挙げられる。また、他の蛍光体原料(例えば、Eu源)とTb源とを共沈させてから用いることもできる。
Prを含む蛍光体原料の具体例としては、Pr2O3、PrCl3、PrF3、Pr(NO3)3・6H2O、Pr2(SiO4)3、Pr2(C2O4)3・10H2O等が挙げられる。
Ceを含む蛍光体原料の具体例としては、CeO2、CeCl3、Ce2(CO3)3・5H2O、CeF3、Ce(NO3)3・6H2O等が挙げられる。
Luを含む蛍光体原料の具体例としては、Lu2O3、LuCl3、LuF3(水和物であってもよい)、Lu(NO3)3(水和物であってもよい)等が挙げられる。
Laを含む蛍光体原料の具体例としては、La2O3、LaCl3・7H2O、La2(CO3)3・H2O、LaF3、La(NO3)3・6H2O、La2(SO4)3等が挙げられる。
Gdを含む蛍光体原料の具体例としては、Gd2O3、GdCl3・6H2O、Gd(NO3)3・5H2O、Gd2(SO4)3・8H2O、GdF3等が挙げられる。
Geを含む蛍光体原料の具体例としては、GeO2、Ge(OH)4、Ge(OCOCH3)4、GeCl4等が挙げられる。
Gaを含む蛍光体原料の具体例としては、Ga2O3、Ga(OH)3、Ga(NO3)3・nH2O、Ga2(SO4)3、GaCl3等が挙げられる。
Alを含む蛍光体原料の具体例としてはα−Al2O3、γ−Al2O3等のAl2O3、Al(OH)3、AlOOH、Al(NO3)3・9H2O、Al2(SO4)3、AlCl3等が挙げられる。
Pを含む蛍光体原料の具体例としては、P2O5、Ba3(PO4)2、Sr3(PO4)2、(NH4)3PO4等が挙げられる。
Bを含む蛍光体原料の具体例としては、B2O3、H3BO3等が挙げられる。
なお、上記に例示した原料は、必要に応じて共沈させてから用いてもよい。
さらに、N元素、O元素及びハロゲン元素等に対応する蛍光体原料は、通常、上記各蛍光体構成元素の蛍光体原料のアニオン成分として、又は焼成雰囲気中に含有される成分として、蛍光体製造時に供給される。
蛍光体原料を混合して原料混合物を調製してから、原料混合物を所定温度、雰囲気下で焼成する。この際、混合は十分に行うことが好ましい。
上記混合手法としては、特に限定はされないが、具体的には、下記(A)及び(B)として挙げた手法を用いることができる。また、これらの各種条件については、例えば、ボールミルにおいて2種の粒径の異なるボールを混合して用いる等の条件を選択可能である
(A)例えばハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル等の乾式粉砕機、又は、乳鉢と乳棒等を用いる粉砕と、例えばリボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、又は、乳鉢と乳棒を用いる混合とを組み合わせ、前述の蛍光体原料を粉砕混合する乾式混合法。
(B)前述の蛍光体原料に例えばメタノール、エタノール等のアルコール系溶媒又は水などの溶媒又は分散媒を加え、例えば粉砕機、乳鉢と乳棒、又は蒸発皿と撹拌棒等を用いて混合し、溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる湿式混合法。
蛍光体原料の混合は、蛍光体原料の物性に応じて、湿式又は乾式のいずれかを選択することができる。
また、ハロゲン化物、窒化物等の酸化・吸湿し易い原料を用いる場合には、例えばアルゴンガス、窒素ガス等の不活性気体を充填し、水分管理されたグローブボックス内でミキサー混合する。
また、混合・粉砕時に、粒径を揃える等の目的で、蛍光体原料を篩いにかけても良い。この場合、各種市販の篩いを用いることが可能であるが、金属メッシュのものよりもナイロンメッシュ等の樹脂製のものを用いる方が、不純物混入防止の点で好ましい。
焼成工程では、得られた原料混合物を焼成することにより焼成物を得る。得られた焼成物は、通常、その組成は目的とする蛍光体のものとなっているが、その粒子は焼結して焼成ケーキとなっている。
さらに、焼成において、焼成炉中の耐熱容器の数が多い場合には、例えば、上記の昇温速度を遅めにする等、各耐熱容器への熱の伝わり具合を均等にすることが、ムラなく焼成するためには好ましい。
焼成工程における焼成温度、圧力、雰囲気等の焼成条件は、製造しようとする蛍光体そ
れぞれに応じて適切な条件を設定することが好ましい。
さらに、耐湿性等の耐候性を一層向上させるために、又は、発光装置の蛍光体含有部における樹脂に対する分散性を向上させるために、必要に応じて、蛍光体の表面を異なる物質で被覆する等の表面処理を行なってもよい。
蛍光体の表面に存在させることのできる物質(以下「表面処理物質」とも称する。)の例としては、例えば、有機化合物、無機化合物、ガラス材料等を挙げることができる。 有機化合物の例としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレン等の熱溶融性ポリマー、ラテックス、ポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
無機化合物の例としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化ゲルマニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化硼素、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化イットリウム、酸化ランタン、酸化ビスマス等の金属酸化物、窒化珪素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、燐酸カルシウム、燐酸バリウム、燐酸ストロンチウム等のオルト燐酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。なお、燐酸リチウム、燐酸ナトリウム、及び燐酸カリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種と、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、塩酸バリウム、塩酸カルシウム、及び塩酸ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせて用いることもできる。中でも、燐酸ナトリウムと硝酸カルシウムとを組み合わせて用いることが好ましい。また、蛍光体表面にバリウム、カルシウム、ストロンチウムが存在する場合には燐酸ナトリウム等の燐酸塩のみを用いても表面処理を行なうことができる。
ガラス材料の例としてはホウ珪酸塩、ホスホ珪酸塩、アルカリ珪酸塩等が挙げられる。
これらの表面処理物質は、何れか1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
表面処理を施した蛍光体は、これらの表面処理物質を有することになるが、その表面処理物質の存在態様としては、例えば下記のものが挙げられる。
(i)表面処理物質が連続膜を構成して、蛍光体の表面を被覆する態様。
(ii)表面処理物質が多数の微粒子となって、蛍光体の表面に付着することにより、蛍光体の表面を被覆する態様。
蛍光体の表面への表面処理物質の付着量、若しくは被覆量は、蛍光体の重量に対して、0.1重量%以上、また、30重量%以下、好ましくは15重量%以下であることが望ましい。蛍光体に対する表面処理物質量の量が多過ぎると、蛍光体の発光特性が損なわれる場合があり、少な過ぎると表面被覆が不完全となって、耐湿性、分散性の改善が見られない場合がある。
表面処理の方法には特に限定は無いが、例えば、以下に説明するような、金属酸化物(
酸化珪素)による被覆処理法を挙げることができる。
蛍光体をエタノール等のアルコール中に混合して、攪拌し、更にアンモニア水等のアルカリ水溶液を混合して、攪拌する。次に、加水分解可能なアルキル珪酸エステル、例えばテトラエチルオルト珪酸を混合して、攪拌する。得られた溶液を30分間静置した後、蛍光体表面に付着しなかった酸化珪素粒子を含む上澄みを除去する。次いで、アルコール混合、攪拌、静置、上澄み除去を数回繰り返した後、150℃で2時間の減圧乾燥工程を経て、表面処理蛍光体を得る。
蛍光体の表面処理方法としては、この他、例えば球形の酸化珪素微粉を蛍光体に付着さ
せる方法、蛍光体に珪素系化合物の皮膜を付着させる方法、蛍光体微粒子の表面をポリマー微粒子で被覆する方法、蛍光体を有機材料、無機材料及びガラス材料等でコーティングする方法、蛍光体の表面を化学気相反応法によって被覆する方法、金属化合物の粒子を付着させる方法等を用いることができる。
蛍光体の結晶構造の例を挙げると、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu等のオルソシリケート系結晶構造、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si3O12:Ce等のガーネット系結晶構造、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu等のアパタイト系結晶構造、M3Si6O12N2:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表わす。)等の窒化物系結晶構造などが挙げられる。中でも、オルソシリケート系結晶構造又はガーネット系結晶構造が好ましい。
(緑色蛍光体)
緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nm以上、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも542nm以下、さらには535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長λpが短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。
また、緑色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常10nm以上、通常130nm以下であり、用途に応じて適宜調整することが好ましい。この半値幅FWHMが狭過ぎると発光強度が低下する場合があり、広過ぎると色純度が低下する場合がある。
また、緑色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、メジアン径D50は、通常1μm程度である。
緑色蛍光体の具体例を挙げると、破断面を有する破断粒子から構成され、緑色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)Si2O2N2:Euで表わされるユウロピウム付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体等が挙げられる。
また、その他の緑色蛍光体としては、Sr4Al14O25:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al2O4:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)Al2Si2O8:Eu、(Ba,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu、(Ba,Sr,Ca)2(Mg,Zn)Si2O7:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)9(Sc,Y,Lu,Gd)2(Si,Ge)6O24:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Y2SiO5:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr2P2O7−Sr2B2O5:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si3O8−2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、Zn2SiO4:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl11O19:Tb、Y3Al5O12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca2Y8(SiO4)6O2:Tb、La3Ga5SiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga2S4:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、Ca3Sc2Si3O12:Ce、Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si3O12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc2O4:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、Eu付活βサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、BaMgAl10O17:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、SrAl2O4:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)2O2S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO4:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO3:Ce,Tb、Na2Gd2B2O7:Ce,Tb、(Ba,Sr)2(Ca,Mg,Zn)B2O6:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、Ca8Mg(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In)2S4:Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)8(Mg,Zn)(SiO4)4Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、M3Si6O9N4:Eu、M3Si6O12N2:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表わす。)等のEu付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、緑色蛍光体としては、ピリジン−フタルイミド縮合誘導体、ベンゾオキサジノン系、キナゾリノン系、クマリン系、キノフタロン系、ナルタル酸イミド系等の蛍光色素、テルビウム錯体等の有機蛍光体を用いることも可能である。
以上例示した緑色蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(橙色ないし赤色蛍光体)
該橙色ないし赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは585nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
このような橙色ないし赤色蛍光体としては、例えば、赤色破断面を有する破断粒子から構成され、赤色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Euで表わされるユーロピウム賦活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、赤色領域の発光を行う(Y,La,Gd,Lu)2O2S:Euで表わされるユーロピウム賦活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体等が挙げられる。
また、赤色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常1nm〜50nmの範囲である
また、赤色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のもの
であり、メジアン径D50は通常1μm程度である。
更に、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、W、及びMoよりなる群から選ばれる少なくも1種類の元素を含有する酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体であって、Al元素の一部又は全てがGa元素で置換されたアルファサイアロン構造をもつ酸窒化物を含有する蛍光体も用いることができる。なお、これらは酸窒化物及び/又は酸硫化物を含有する蛍光体である。
また、そのほか、赤色蛍光体としては、(La,Y)2O2S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、Y(V,P)O4:Eu、Y2O3:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Mg)2SiO4:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、LiW2O8:Eu、LiW2O8:Eu,Sm、Eu2W2O9、Eu2W2O9:Nb、Eu2W2O9:Sm等のEu付活タングステン酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO3:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、Ca2Y8(SiO4)6O2:Eu、LiY9(SiO4)6O2:Eu、(Sr,Ba,Ca)3SiO5:Eu、Sr2BaSiO5:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Tb,Gd)3Al5O12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、Ba3MgSi2O8:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)3(Zn,Mg)Si2O8:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のMn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)2O3:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)2O2S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO4:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY2S4:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa2S4:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP2O7:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn)2P2O7:Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)2WO6:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)xSiyNz:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数を表わす。)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO4)6(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1-x-yScxCey)2(Ca,Mg)1-r(Mg,Zn)2+rSiz-qGeqO12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
赤色蛍光体としては、β−ジケトネート、β−ジケトン、芳香族カルボン酸、又は、ブレンステッド酸等のアニオンを配位子とする希土類元素イオン錯体からなる赤色有機蛍光体、ペリレン系顔料(例えば、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン)、アントラキノン系顔料、レーキ系顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、インダンスロン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料を用いることも可能である。
以上の中でも、赤色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Ce、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu、(La,Y)2O2S:Eu又はEu錯体を含むことが好ましく、より好ましくは(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)Si(N,O)2:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Ce、(Sr,Ba)3SiO5:Eu、(Ca,Sr)S:Eu又は(La,Y)2O2S:Eu、もしくはEu(ジベンゾイルメタン)3・1,10−フェナントロリン錯体等のβ−ジケトン系Eu錯体又はカルボン酸系Eu錯体を含むことが好ましく、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Sr,Ca)AlSi(N,O):Eu又は(La,Y)2O2S:Euが特に好ましい。
また、以上例示の中でも、橙色蛍光体としては(Sr,Ba)3SiO5:Euが好ましい。
なお、橙色ないし赤色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(青色蛍光体)
青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、更に好ましくは460nm以下の波長範囲にあることが好適である。
また、青色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常20nm〜80nmの範囲である。
また、青色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、メジアン径D50は通常1μm程度である。
このような青色蛍光体としては、規則的な結晶成長形状としてほぼ六角形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Euで表わされるユーロピウム賦活バリウムマグネシウムアルミネート系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ球形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Mg,Ca,Sr,Ba)5(PO4)3(Cl,F):Euで表わされるユウロピウム賦活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、規則的な結晶成長形状としてほぼ立方体形状を有する成長粒子から構成され、青色領域の発光を行う(Ca,Sr,Ba)2B5O9Cl:Euで表わされるユウロピウム賦活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、破断面を有する破断粒子から構成され、青緑色領域の発光を行う(Sr,Ca,Ba)Al2O4:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al14O25:Euで表わされるユウロピウム賦活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr2P2O7:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al2O4:Eu又は(Sr,Ca,Ba)4Al14O25:Eu、BaMgAl10O17:Eu、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu、BaMgAl10O17:Eu,Tb,Sm、BaAl8O13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa2S4:Ce、CaGa2S4:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、(Ba,Sr,Ca)5(PO4)3(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAl2Si2O8:Eu、(Sr,Ba)3MgSi2O8:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr2P2O7:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、Y2SiO5:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO4等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO5:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO4)6・nB2O3:Eu、2SrO・0.84P2O5・0.16B2O3:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、Sr2Si3O8・2SrCl2:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、SrSi9Al19ON31:Eu、EuSi9Al19ON31等のEu付活酸窒化物蛍光体、La1-xCexAl(Si6-zAlz)(N10-zOz)(ここで、x、及びyは、それぞれ0≦x≦1、0≦z≦6を満たす数である。)、La1-x-yCexCayAl(Si6-zAlz)(N10-zOz)(ここで、x、y、及びzは、それぞれ、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦6を満たす数である。)等のCe付活酸窒化物蛍光体等を用いることも可能である。
また、青色蛍光体としては、例えば、ナフタル酸イミド系、ベンゾオキサゾール系、スチリル系、クマリン系、ピラリゾン系、トリアゾール系化合物の蛍光色素、ツリウム錯体等の有機蛍光体等を用いることも可能である。
以上の例示の中でも、青色蛍光体としては、(Ca,Sr,Ba)MgAl10O17:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu又は(Ba,Ca,Mg,Sr)2SiO 14:Euを含むことが好ましく、(Ca,Sr,Ba)MgAl10O17:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu又は(Ba,Ca,Sr)3MgSi2O8:Euを含むことがより好ましく、BaMgAl10O17:Eu、Sr10(PO4)6(Cl,F)2:Eu又はBa3MgSi2O8:Euを含むことがより好ましい。また、このうち照明用途及びディスプレイ用途としては(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu又は(Ca,Sr,Ba)MgAl10O17:Euが特に好ましい。
なお、青色蛍光体は、1種のみを用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(黄色蛍光体)
黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上、また、通常620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲にあることが好適である。
また、黄色蛍光体の発光ピークの半値幅としては、通常60nm〜200nmの範囲である。
また、黄色蛍光体は、外部量子効率が、通常60%以上、好ましくは70%以上のものであり、メジアン径D50は通常1μm程度である。
このような黄色蛍光体としては、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。
特に、RE3M5O12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)やMa3Mb2Mc3O12:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表わす。)等で表わされるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AE2MdO4:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わし、Mdは、Si、及び/又はGeを表わす。)等で表わされるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSi(N,O)3:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表わす。)等のCaAlSiN3構造を有する窒化物系蛍光体等のCeで付活した蛍光体が挙げられる。
また、その他、黄色蛍光体としては、CaGa2S4:Eu、(Ca,Sr)Ga2S4:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al)2S4:Eu等の硫化物系蛍光体、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のsialon構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体、(M1-a-bEuaMnb)2(BO3)1-p(PO4)pX(但し、Mは、Ca、Sr、及びBaからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、Xは、F、Cl、及びBrからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わす。a、b、及びpは、各々、0.001≦a≦0.3、0≦b≦0.3、0≦p≦0.2を満たす数を表わす。)等のEu付活又はEu,Mn共付活ハロゲン化ホウ酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
また、黄色蛍光体としては、例えば、brilliant sulfoflavine FF (Colour Index Number 56205)、basic yellow HG (Colour Index Number 46040)、eosine (Colour Index Number 45380)、rhodamine 6G (Colour Index Number 45160)等の蛍光染料等を用いることも可能である。
さらには、ビス(トリアジニルアミノ)スチルベンジスルホン酸誘導体やビススチリルビフェニル誘導体(紫外線励起400〜450nm蛍光発光)等を用いることもできる。
特に、ナノ蛍光体:Siナノ蛍光体、ZnSナノ蛍光体、YAG:Ceナノ蛍光体、LaPO4:Lnナノ蛍光体、色素ドープシリカナノ蛍光体、半導体ナノ粒子、CdSe−ZnS量子ドット等は、その粒径がホログラムレリーフのレリーフ周期よりはるかに小さいため、そのレリーフ面上へ均一に形成でき、かつ、形成厚さも制御しやすいため特に好適である。半導体薄膜の極微細加工により形成する場合は、高精度且つ、極薄膜で形成可能であり、発光した光の波形や、強度を制御して、その干渉性を向上させることができる。
蛍光性半導体量子ドットにおいては、中心核(コア)は、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)でできており、その外側を硫化亜鉛(ZnS)の被覆層(シェル)が覆っている構造をしている。この金属化合物の直径を変えることで、発する蛍光波長が変わる特徴を持つ。この量子ドットの周囲に生体高分子を配置したものは、生体高分子特有の反応基を有するため、この反応基を利用して蛍光体を特異的に配置させることが可能である。
紫外線発光蛍光体としては、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻る時に発する蛍光スペクトルのピークが、青、緑、赤等の波長域にあるものである。そして、このような紫外線発光蛍光体としては、例えばCa2 B5 O9 Cl:Eu2+,CaWO4 ,ZnO:Zn,Zn2 SiO4 :Mn、Y2 O2 S:Eu,ZnS:Ag,YVO4 :Eu、Y2 O3 :Eu,Gd2 O2 S:Tb,La2 O2S:Tb,Y3 Al5 O12:Ce等があり、これらを単体として使用するか、またはこれらを数種、適当な割合で混合して使用する。
これらは、蛍光スペクトルのピークを、青、赤、緑の波長領域以外に有するものである。また、インキ中の紫外線蛍光発光体の重量率は、読み取りヘッドの受光素子による蛍光の検知が可能であればよい。
一方、赤外線発光蛍光体としては、波長λ1の励起光を受けて、波長λ2の可視光を発光する特性を有し、λ1=λ2かつλ1>λ2なる性質を有するものがある。そして、このような赤外線発光蛍光体としては、例えば組成が YF3 :Yb,Er,ZnS:CuCO等がある。
具体的例として、BASF社製ルモゲンFVヴァイオレット570(ナフタルイミド:374nm→413nm)、ルモゲンFイエロー083(ペリレン:励起波長476nm→発光波長490nm:以下同じ。)、ルモゲンFオレンジ(ペリレン:525nm→539nm)、ルモゲンFレッド305(ペリレン:578nm→613nm)等、
デイグロ社製蛍光顔料:グロプリルT/GTシリーズ、ACTシリーズ、Z/ZQシリーズ、GPLシリーズ、LHYシリーズ、蛍光染料:ダイブライトD−818ロアノークイエロー、D−784アルパータイエロー、D−208アパツチイエロー、D−288チェロキーレツド、D−688コロラドレツド、D−298コロンビアブルー等、
シンロイヒ社製蛍光顔料:シンロイヒカラーFZ−2000シリーズ(FZ−2001RED等)、FZ-2800シリーズ(FZ−2808Blue等)、SX−100シリーズ(SX−104Orange等)、SX−1000シリーズ(SX−1004Orange、SX−1005Lemon Yellow、SX−1007Pink、SX−1037Magenta:平均粒径1.0μm以下)、SW−10シリーズ(SW−11Red Orange、SW−12NGreen、SW−13Red、SW−14N Orange、SW−15N Lemon Yellow、SW−16N Orange Yellow、SW−07Cerise、SW−17Pink、SW−27Rose、SW−37Rubine、SW−47Violet、SW−28Blue:平均粒径1.0μm以下)、SPシリーズ、SF−3000シリーズ(超微粒子タイプ)、SF−5000シリーズ(超微粒子タイプ)、SF−8000シリーズ(超微粒子タイプ)、ルミライトナノRY202(粒径30nm、365〜370nm→619nm)等、
モリテッククス社製:蛍光粒子(グリーン:468nm→508nm)G25(粒径0.03μm)、G40(粒径0.04μm)、G50(粒径0.05μm)、G75(粒径0.07μm)、G85(粒径0.09μm)、G100(粒径0.10μm)、G140(粒径0.14μm)、G200(粒径0.20μm)、G250(粒径0.25μm)、G300(粒径0.30μm)、G400(粒径0.40μm)、G450(粒径0.45μm)、G500(粒径0.50μm)、
蛍光粒子(グリーン:360nm→530nm)34−1(平均粒径3.0μm)、
蛍光粒子(ブルー:365nm→447nm)B50(粒径0.05μm)、B100(粒径0.10μm)、B150(粒径0.14μm)、B200(粒径0.20μm)、B300(粒径0.30μm)、B400(粒径0.40μm)、B500(粒径0.50μm)、
蛍光粒子(レッド:542nm→612nm)B50(粒径0.05μm)、B60(粒径0.05μm)、B100(粒径0.10μm)、B160(粒径0.16μm)、B200(粒径0.20μm)、B300(粒径0.30μm)、B400(粒径0.40μm)、B500(粒径0.50μm)等。
テールナビ社製 紫外線励起蛍光顔料UVP−1(発光波長421nm)、UVB−1(発光波長453nm)、UVG−2(発光波長517nm)、UVR−2(発光波長626nm)、可視光励起蛍光顔料LMS−570(450〜520nm→570nm)、LMS−560(450〜467nm→560nm)、LMS−550(450〜465nm→550nm)、LMS−540(450〜465nm→540nm)等、
イントロジェン社製Qdot525ナノクリスタル(350〜488nm→525nm)、Qdot565ナノクリスタル(350〜488nm→565nm)、Qdot585ナノクリスタル(350〜488nm→585nm)、Qdot605ナノクリスタル(350〜488nm→605nm)、Qdot625ナノクリスタル(350〜488nm→625nm)、Qdot655ナノクリスタル(350〜488nm→655nm)、Qdot705ナノクリスタル(350〜488nm→705nm)、Qdot800ナノクリスタル(350〜488nm→800nm)等、
エヴィデントテクノロジーズ社製エヴィドット:CdSe/ZnSコアシェルエヴィドット(平均粒径7.2〜9.6nmで発光波長490nm〜620nm)等、
日本カンタムデザイン社製量子ドット:カルボキシル基タイプ、アミノ基タイプ:直径3.0nm〜直径8.3nmで発光波長530nm〜620nm等を好適に用いることができる。
次に、ホログラフィの原理について説明する。
物体がコヒーレント光で照明され,物体から回折された光が記録媒体(フォトレジスト等。)を照明しているとした場合、物体から回折されて記録面に到達した波面を物体波は、
F(x,y)=A(x,y)EXP[φ(x,y)]
であらわされる。ここで、
A(x,y) は物体波の振幅分布とし、
φ(x,y) は位相分布とする。
このとき、記録媒体には、記録媒体に到達する光波の強度分布が記録される。その強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)|2=A2(x,y) (1)
となり、位相分布は記録されない。
ここで,物体波にこれと干渉性のある光波(参照波という)を重ね合わせると,記録される光波の強度分布は、
I(x,y)=|F(x,y)+R(x,y)|2
=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+F(x,y)R*(x,y)+F*(x,y)R(x,y) (2)
となる.(*は複素共役項を表す。)
ただし,参照光が記録面に角度θで入射する平面波であるとすれば、
R(x,y)=r(x,y)EXP(2πiαx) (3)
と書け、
α = SIN(θ)/λ (4)
である。(2)の第1項と第2項はそれぞれ、物体波の強度と参照波の強度でいずれも位相情報は欠落している。第3項と第4項は干渉の項でそれぞれ
F(x,y)R*(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[i [φ(x,y)−2παx] ] (5)
F*(x,y)R(x,y)=
A(x,y)r(x,y)EXP[−i [φ(x,y)−2παx]] (6)
とあらわされ、物体の位相項 φ(x,y) が残っている。(5)、(6)は互いに複素共役であり、(4.2)の第3項は物体の複素振幅分布を含んでいる。(5)、(6)を(2)に代入すると、
I(x,y)=|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+2A(x,y)r(x,y)COS [2παx−φ(x,y)] (7)
となる.物体波と参照波が干渉して干渉縞を形成していることがわかる。
このように、物体波に参照波を重ね合わせて干渉記録し、 物体の位相情報を欠落させずに記録する方法がホログラフィである。(7)を記録したものが「ホログラム」と呼ばれる。ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布 I(x,y)
比例し、
T(x,y)=τI(x,y) (8)
とかけるとする。このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてると、ホログラムを透過もしくは反射してきた波面は、
T(x,y)R(x,y)=τ(|F(x,y)|2+|R(x,y)|2
+τF(x,y)|R(x,y)|2
+τF*(x,y)R2(x,y) (9)
とあらわすことが出来る.この第2項は
τF(x,y)|R(x,y)|2
τA(x,y)r2(x,y)EXP[iφ(x,y)]] (10)
第3項は、
τF*(x,y)R2(x,y)=
τA(x,y)r2(x,y)EXP[−iφ(x,y)+2πiα] (11)
とかける。
このことから、(9)の第1項は、照明光と同じ方向にホログラムを突き抜ける光束もしくは正反射する光束であり、第2項は、(10)より、物体光に比例した振幅を持つ光波であることがわかり、第3項は、(11)より、物体波と共役な位相分布を持ち、2θの方向に伝播する光波であることがわかる。
このようにして,ホログラフィの技術を使うと複素振幅分布を記録して再生することが出来る。
本発明の場合は、ホログラムの振幅透過率もしくは振幅反射率が、記録した強度分布に比例し、(8)の式で表されてはいるものの、このホログラムに、記録したときに用いた参照波を所定の角度であてるのではなく、(8)の振幅透過率もしくは振幅反射率と同様の空間的な分布を持つ発光波(一種の球面波である)が近傍の鏡面反射面(ミラー面)で反射され、参照波となって、このホログラムにあてられることになる。
従って、参照光にホログラムに記録された位相項を付与するという従来のホログラム再生の原理によらず、ホログラムそのものが、散乱型発光光源となり、ホログラムから発光した光が、再度、自分自身を照明することにより、その反射光が、既にホログラムに記録されている位相項を保持して放射するものである。
時間的且つ空間的コヒーレンス性を持たない放射光同士の干渉効果は、レーザー光のような十分な干渉を生じないが、低コヒーレント光で ホログラムを照明した際と同様のレベルでホログラム再生が行われる。
以上のような原理による再生であるため、ホログラム撮影時の参照光は平行光であることが好ましく(複雑な参照光を再現できないため。)、もしくは、「回折格子により表現されたホログラム」(回折格子は、物体光、参照光とも平行光である。)であることが好ましく、回折格子は計算機ホログラム等、電子線描画により形成したものが精密であり、好適である。
さらに、上記の理由から、ホログラム再生像をより鮮明にするためには、放射光に対して、時間的若しくは空間的なコヒーレンス性に類する特性を付与することも好適であり、例えば、発光体の発光する部分の厚さ(放射方向の距離)を薄いものとして、発光点の厚さ方向におけるばらつきを小さいものとしたり、発光層その他の層を均一(層厚さを均一にしたり、均一分散や、均一組成とするなど、層内のムラをなくすこと。)にして、発光スペクトルのばらつきや、発光スペクトルの幅を小さいものとすることが望ましい。
また、発光体を励起する励起光と、発光波長との波長差は大きい方が望ましく、さらに、観察時、その励起光をフィルタリングして発光した光のみを増幅することも有効である。
励起光源として、紫外線、可視光線、電子線、X線等のエネルギー及び場合に応じて、赤外線エネルギーを放射可能な光源を用いて、蛍光発光等をさせることができるが、ホログラム観察用さらには、ホログラム認証用に用いるためには、蛍光体に応じた光源を用いる必要があり、所定の強度、波長、さらには照明スポットのサイズを有する紫外線光源、可視光光源、場合により赤外光光源を用いる。
これらの光源による照明により、ホログラムレリーフ面に接するように設けられた蛍光層から、さらに言及すれば、その蛍光層に含まれる蛍光体から個々に、照明光源の波長とは異なる波長の蛍光等が発現する。その蛍光発光等が、ホログラムレリーフと同一の空間的位相を含み、且つ、照明光源とは異なる波長(蛍光波長。)を有することから、ホログラムレリーフによる正反射光(0次回折光)方向や、照明光波長(励起光波長)による回折方向とは異なる方向、すなわち、蛍光波長による回折方向へホログラム像の再生が行われる。
但し、この蛍光層の厚さが、ホログラムレリーフとは無関係にそのホログラム面上に分布している場合には、その厚さ分布に起因する蛍光発光強度分布が、場合によっては、ホログラムを再生する光と不要な干渉を生じ、ホログラム再生像を不鮮明にする要因となり得る。
この要因を排除するため、蛍光層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成して、ホログラムレリーフ面のどの位置からも、同一の強度の発光が生じるようにし、ホログラム再生像の鮮明化を図ることができる。
本発明のホログラムシートの照明光(励起光)として、可視光以外の紫外光や赤外光を使用した場合は、その光は観察者には見えず、しかも、室内照明光や、自然光照明下では、ホログラム再生像が十分には認識できず、あたかも照明光のないところからホログラム再生像が浮き上がっているように観察されるが、このホログラム再生像は、例え、照明光が、時間的、且つ、空間的なコヒーレント性を有していても、結果として、励起及び蛍光発光というプロセスを経て発光するものであるため、その発光時の空間的なホログラムの位相を含んではいるとはいえ、その発光した光同士の時間的及び空間的なコヒーレント性は小さく、ホログラム再生像は通常のレーザー再生レリーフホログラムの再生像より比較的微弱であって、且つ、比較的不鮮明となっている。
もちろん、ビーム形状の回折光を観察するのみであれば、その色調と回折方向を確認することは容易であり、そのままでも真正性の判定に差し支えないが、このため、この比較的微弱、且つ、比較的不鮮明なホログラム再生像を観察者が認識しその存在を正確に判定可能とするために、蛍光体の発光性能を向上させ、且つ、回折角度を大きくとって波長―回折角依存性を強め、照明光回折角度と蛍光光回折角度の差を大きくし、さらには、蛍光層を薄くして、蛍光層の厚さ方向のばらつきを抑えて、均一なものとすることが必要となる。
さらには、時間的なコヒーレント性を発現するため、光源として10-15sec以下のパルスレーザーで励起して、パルスとパルスの時間的間隔を蛍光発光時間である10-7sec以上あけて照明することも好適である。これにより、一つの励起パルスによって生じた一つの蛍光発光の発光面が、次の励起パルスによって生じた蛍光発光面とは、互いに撹乱現象を起こさず、一つのパルスによって発現した一つの蛍光発光面によって生じるホログラフィックな干渉現象により、鮮明なホログラム再生像を観察することができるようになる。もちろん、単純に秒単位でON−OFFするストロボ状の光源を使用した場合でも、観察者には、連続して発光しているようにも見えるため、このような簡易な手段であっても目視で確認する場合には、上記した効果を十分得ることができる。
蛍光層は、蛍光体を樹脂に混入させたり、溶剤(若しくは水)に分散させたりした蛍光体インキを、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、ノズルコート方式さらにはインクジェット方式等でホログラムレリーフ上に形成することができる。
このとき、蛍光インキ中の蛍光体の含有割合を調整する等により、形成した蛍光層を、ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成することができる。
ホログラムレリーフの凹凸は例えれば、1μmレベルの周期で、深さ0.01μmレベルの凹凸を持つ、ゆるやかな曲線であって略平面と見做せるため、この略平面上に適宜な粘度(0.1〜10パスカル・秒)に調整し、インキの自重によるレベリング効果を発揮させることと、インキ中の固形分を20%以下、さらには10%以下とすることで、例えば、厚さ1μmに対して、そのばらつきを1/10以下に、さらには1/20以下に抑えることができる。
ここで、蛍光層を1μmオーダーとしたが、ホログラム再生像の鮮明度を向上させるためには、蛍光層を薄くすることが好ましく、このためには、蛍光体のサイズを1.0μm程度もしくはそれ以下、例えば0.1μm〜0.5μm、さらには、0.5μm〜0.1μm、より好適には、3〜10nmとし、ホログラムレリーフ面内に均一に点在させ、且つ、蛍光層厚さ方向には、蛍光体1粒子を単位として1〜10粒子、もしくは1〜3粒子以内で並んでいる状態とすることが好ましい。
中でも、ノズルコート方式やインクジェット方式は樹脂を使用せず溶剤等と蛍光体のみで形成可能であり、蛍光層として非常に薄く形成(蛍光体1個分〜3個分等。)することができるため好適である。その上にそれらの蛍光体を固定するために樹脂を形成してもよい。
ホログラムレリーフは、周期1μm程度で、深さは、0.01μm、最大でも0.5μmの凹凸形状をしており、この凹部にのみ蛍光層を設けることで、ホログラムレリーフの周期に同調するかたちで、蛍光層の有無、すなわち、蛍光発光の有無を設けることができる。
ホログラムレリーフの凹部とは、ホログラムレリーフ上に蛍光層を形成する際の凹部であって、通常の観察の仕方、すなわち、ホログラム形成層側から観察する場合には、凸部側となる。蛍光層の有無を利用して発光強度分布を形成するためには、凹凸どちらかに部分的に形成すればよく、さらには、凹部全体を蛍光層で埋めてもよく、もしくは、凹部の最低部のほんの一部のみに形成してもよい。但し、その位相分布と形成する分布が同調する必要があるため、一部に形成する場合は、常に同一の位置に同一の蛍光体量を持って形成しなければならない。
凹部に選択的に蛍光層を形成する方法としては、溶剤等に分散した粒径の非常に小さい蛍光体(粒径が10nm等。樹脂を含まない。)インキを使用して、ホログラムレリーフの上に蛍光インキ層を形成し、溶剤が揮発する間に、蛍光体粒子が自重で凸部から凹部へと移動するようにしても良い。
また、規則的な回折格子を設け、その上に均一に設けた蛍光層をフォトリソグラフィーを用いて、その規則的な回折格子に同調させて露光現像、エッチングすることにより、凹凸と蛍光層を同調して設けることもできる。この方法によると、各凹部に点在する蛍光層の厚さや大きさを制御可能であり、レリーフ面全体に、いわば”均一に”形成することができる。
以上の手法により形成したものは、上記のホログラムの原理において説明した、蛍光発光(放射光)にホログラムレリーフの位相情報を含ませること、に加え、その位相情報に同調した振幅情報をさらに含ませるものである。
従って、発光放射光に位相ホログラムと振幅ホログラムの両方のホログラム情報を含ませることができ、より鮮明なホログラムを得ることが可能となる。
これにより、その意匠性及び真正性判定性を向上することができる。
上記したホログラムの原理より、ホログラム再生像の鮮明性を高めるためには、蛍光層の厚さは薄いことが望ましいが、薄くすればするほど、ホログラム再生時の蛍光発光強度が弱くなるため、蛍光層厚さは、0.003μm以上1.0μm以下である必要があり、さらには、0.01μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
0.003μm未満(最小粒径の蛍光体1個分)では、蛍光発光強度が弱すぎて、光電子倍増管を用いて増幅したとしても、迷光等のノイズとの区別がつきにくく、1.0μmを超えると、発光強度は本発明の目的には十分な強度を得ることが可能であるが、厚さ方向に複数存在する蛍光体の発光により、ホログラムレリーフの位相情報を担う曲面の位置がその厚み方向に複数存在することになり、結果としてホログラム再生像が不鮮明となる。
これに対して、0.01μm以上(最小粒径の蛍光体3個分)として蛍光発光強度を確保し、0.5μm以下として、位相情報を担う曲面の位置を明確にして、ホログラム再生像を鮮明なものとする。
本発明のホログラムシートによれば、透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように蛍光層が設けられていることを特徴とするホログラムシート、または、透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、その透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、そのホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように蛍光層が設けられていることを特徴とするホログラムシートが提供され、照明光の波長と異なる波長によるホログラム再生像を持つ、意匠性及び真正性判定性に優れるホログラムシート、及び、これらのホログラムシートをカード基材に埋め込んだ、偽造防止性に優れるホログラム付きカードが提供される。
また、本発明の他のホログラムシートによれば、
位相情報に加えて振幅情報も有する、もしくは、蛍光発光層が薄く、より鮮明なホログラム再生が可能なホログラムシート、及び、このホログラムシートをカード基材に埋め込んだ、偽造防止性に優れるホログラム付きカードが提供される。
さらに、カード基材として、電池内臓型ICカード基材を用い、しかも、そのIC駆動用電池が、そのホログラムシートを発光させることとなる電源をも兼ねることで、その意匠性や偽造防止性を一層高めたホログラム付きカードが提供される。
は、ジャブロンスキー図である。 は、本発明の一実施例を示すホログラムシートAの断面図である。
(蛍光層が、「ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な 厚さで形成されている」例であり、接するように且つ追従して蛍光 層が設けられている場合の図は省略している。)
は、本発明の他の実施例を示すホログラムシートA´の断面図である。 は、本発明のさらに他の実施例を示すホログラムシートA´´の断面図である。
(蛍光層が、「ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成 されている」例。)
は、本発明の一実施例を判定するプロセスである。 は、本発明のホログラムシートAをカード基材C0に埋め込み、ホログ ラムシートAの露出面が、カード基材C0の表面と面一とした、ホロ グラム付きカードC1の図である。ここで、ホログラムシートA(「 ホログラムシートA」そのものの表示はせず、「ホログラムシートA 」を構成する層を個々に表示してある。)を、カード基材C0の所定 の位置に、カード基材C0の表面とホログラムシートAの最表面(透 明基材1の露出面)が「面一」となるように埋め込んでいる。 は、本発明のホログラムシートAをカード基材IC0(電池内臓型I Cカード基材。)に埋め込んである、ホログラム付きカードC2の図 である。ここで、カード基材IC0は、接触式ICカードであって、 その構成を詳細に図示している。また、ホログラムシートAは、その カード基材IC0に埋め込まれると同時に、セキュアマイコンIC1 駆動用の内蔵電池IC2(IC駆動用電池。)から、発光用の電力を 供給されている表示パネルIC5の発光した「光」を受けて、ホログ ラムシートA自体が蛍光発光する。(この意味において、「内蔵電池 IC2」は、「ホログラムシートAの発光用電源」をも兼ねていると 表現している。また、このために、図に示したように、ホログラムシ ートAは、「表示パネルIC5に重なるように設けてある。) また、ホログラムシートAの露出面は、カード基材IC0の表面と 面一となっているが、この「面一」の状態は図示していない。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(透明基材)本発明で使用される透明基材1は、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や、ホログラムシートA〜A´´を製造する際の加工に耐える耐溶剤性および耐熱性を有するものが好ましい。使用目的にもよるので、限定されるものではないが、フィルム状もしくはシート状のプラスチックが好ましい。(図2〜図4参照。)
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール等の各種のプラスチックフィルムを例示することができる。
その中でも、紫外線等の励起光に対する耐性を有するもの、例えば、紫外線吸収剤を含むものであってもよい。紫外線吸収剤を含むものは、自然光等の中に含まれる紫外線により微かではあるが、予定外のホログラム再生を防ぐ効果も有する。
透明基材1の厚さは、通常5〜200μmであるが、ホログラム再生像の視認性を配慮する場合には、5〜50μm(ホログラムシートAの構成の場合。)、または、150〜200μm(ホログラムシートA´の構成の場合。)とすることが望ましい。
(ホログラムレリーフを有する透明樹脂層:ホログラム形成層ともいう。)
本発明の「ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層2」、すなわち、ホログラム形成層2を構成するための透明な樹脂材料としては、各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、もしくは電離放射線硬化性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、すなわち、ポリメチルメタクリレート(屈折率n=1.49)、ポリメチルアクリレート(n=1.47)、ポリベンジルメタクリレート(n=1.57)、ポリブチルアクリレート(n=1.44)、ポリイソブチルアクリレート(n=1.48)等、セルロース系樹脂、すなわち、硝酸セルロース(n=1.54)、メチルセルロース(n=1.50)、セルロース・アセテートプロピオネート(n=1.47)等、ビニル系樹脂、すなわち、ポリ酢酸ビニル(n=1.47)、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル(n=1.54)等、アクリルアミド樹脂(n=1.50)、もしくはポリスチレン樹脂(n=1.60)等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アクリルウレタン樹脂(n=1.60)、エポキシ変性アクリル樹脂(n=1.55)、メラミン樹脂(n=1.56)、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂(n=1.64)、アルキッド樹脂(n=1.54)、フェノール樹脂(n=1.60)、シリコン樹脂(n=1.41〜1.60)、もしくは、フッ素化樹脂(n=1.35〜1.38)等が挙げられる。(図2及び図3参照。)
これらの熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂は、1種もしくは2種以上を使用することができる。これらの樹脂の1種もしくは2種以上は、各種イソシアネート樹脂を用いて架橋させてもよいし、あるいは、各種の硬化触媒、例えば、ナフテン酸コバルト、もしくはナフテン酸亜鉛等の金属石鹸を配合するか、または、熱もしくは紫外線で重合を開始させるためのベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アントラキノン、ナフトキノン、アゾビスイソブチロニトリル、もしくはジフェニルスルフィド等を配合しても良い。
また、電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル変性ポリエステル等を挙げることができ、このような電離放射線硬化性樹脂に架橋構造を導入するか、もしくは粘度を調整する目的で、単官能モノマーもしくは多官能モノマー、またはオリゴマー等を配合して用いてもよい。
上記の樹脂材料を用いてホログラム形成層2を形成するには、感光性樹脂材料にホログラムの干渉露光を行なって現像することによって直接的に形成することもできるが、予め作成したレリーフホログラムもしくはその複製物、またはそれらのメッキ型等を複製用型として用い、その型面を、透明基材1上に、コーティング方式、グラビア印刷方式、カーテンコート方式、インクジェット方式等種々の形成方式を用いて、上記の樹脂を、25〜100μm厚さに形成したホログラム形成層2に押し付けることにより、賦型を行なうのがよい。ホログラム形成層2には、蛍光層3による発光波長に対する高い透明性を有することが要求される
熱硬化性樹脂や電離放射線硬化性樹脂を用いる場合には、型面に未硬化の樹脂を密着させたまま、加熱もしくは電離放射線照射により、硬化を行わせ、硬化後に剥離することによって、硬化した透明な樹脂材料からなる層の片面にレリーフホログラムの微細凹凸を形成することができる。なお、同様な方法によりパターン状に形成して模様状とした回折格子を有する回折格子形成層も光回折構造として使用できる。
ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラムなどのレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラムなどの白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。また、マシンリーダブルホログラムのように、その再生光を受光部でデータに変換し所定の情報として伝達したり、真偽判定を行うものであってもよい。
微細な凹凸を精密に作成するため、光学的な方法だけでなく、電子線描画装置を用いて、精密に設計されたレリーフ構造を作り出し、より精密で複雑な再生光を作り出すものであってもよい。このレリーフ形状は、ホログラムを再現もしくは再生する光もしくは光源の波長(域)と、再現もしくは再生する方向、及び強度によってその凹凸のピッチや、深さ、もしくは特定の周期的形状が設計される。
また、カラーホログラム画像を、回折格子線からなる回折格子画素(同一の回折格子線からなる単一回折格子エリアの最小単位。これら画素から回折光としてでてくる光の集合が一つのカラーホログラム画像を形成する。)に要素分解し、所定の画素のサイズ、格子線ピッチ、格子線角度をその各要素に割り当てて再現するという画像処理方法を用いて形成することも可能である。
凹凸のピッチ(周期)は再現もしくは再生角度に依存するが、通常0.01μm〜数μmであり、凹凸の深さは、再現もしくは再生強度に大きな影響を与える要素であるが、通常0.01μm〜数μmである。(図2及び図3参照において、ホログラム形成層2に設けたホログラムレリーフの「形状」を「波線」で表している。)
単一回折格子のように、全く同一形状の凹凸の繰り返しであるものは、隣り合う凹凸が同じ形状であればある程、反射する光の干渉度合いが増しその強度が強くなり、最大値へと収束する。回折方向のぶれも最小となる。立体像のように、画像の個々の点が焦点に収束するものは、その焦点への収束精度が向上し、再現もしくは再生画像が鮮明となる。
ホログラムレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する方法は、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記透明基材1上に、前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。形成するホログラムパターンは単独でも、複数でもよい。
上記の極微細な形状を精密に再現するため、また、複製後の熱収縮などの歪みや変形を最小とするため、原版は金属を使用し、低温・高圧下で複製を行う。
原版は、Niなどの硬度の高い金属を用いる。光学的撮影もしくは、電子線描画などにより形成したガラスマスターなどの表面にCr、Ni薄膜層を真空蒸着法、スパッタリングなどにより5〜50nm形成後、Niなどを電着法(電気めっき、無電解めっき、さらには複合めっきなど)により50〜1000μm形成した後、金属を剥離することで作ることができる。
複製方式は、平板式もしくは、回転式を用い、線圧0.1トン/m〜10トン/m、複製温度は、通常60℃〜200℃とする。
(鏡面反射層)
本発明の鏡面反射層K1は、上記したホログラム形成層2に用いられる樹脂を使用し、同様の方法を用いて形成することができる。(図2〜図4参照。)
ここで、ホログラム形成層2におけるホログラムレリーフ面が、鏡面反射層K1においては、「光学的鏡面性と反射性」を併せ持つ「面」となると考えることもできる。
この「鏡面反射層K1」の「反射性」は、「鏡面反射層K1」の屈折率n1と、その「鏡面反射層K1」に接して設けられる「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」の屈折率n2との「差」を、少なくとも0.1以上、好ましくは、0.3〜1.0とすることで設定できる。(もちろん、この「差」を大きくすればするほど、その「反射性」、すなわち、可視光波長の「光」に対する「反射率」は高くなる。この「反射率」の大きさは、いわゆる「フレネルの公式」に従う。)
また、本発明の鏡面反射層K1の「反射性」をさらに高めるため、すなわち、鏡面反射層K1の「光学的鏡面性と反射性」を併せ持つ「面」の「反射率」をさらに高めるため、鏡面反射層K1を少なくとも2層構成とし(それ以上の多層構成としてもよい。)、その一方を透明性を有する樹脂からなる「透明層」、そして、他方を「透明反射性薄膜層」とすることができる。(鏡面反射層K1を少なくとも2層構成とすること、及び、「透明層」や「透明反射性薄膜層」は図示せず。)
この「透明層」には、やはり、上記したホログラム形成層2に用いられる樹脂を使用することができる。(図示せず。)
また、「透明反射性薄膜層」としては、真空薄膜法などにより形成される「透明な反射層」、すなわち、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率が、「透明な反射層」である「透明反射性薄膜層」に接して設けられる、「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」の屈折率とは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、その「透明反射性薄膜層」の「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」側の面、すなわち、「透明な反射層」と「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」との「界面」における「反射率」を高くすることができるものを用いることができる。
例えば、「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」よりも光屈折率の高い「透明反射性薄膜層」には、例として、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITOなどがある。
好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Ti、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Auなどの酸化物または窒化物他はそれらを2種以上を混合したものなど(透明金属化合物)が例示できる。
またアルミニウムなどの一般的な光反射性(可視光波長のほぼ全域にわたる反射、すなわち、「全反射」に近い性質を有する。)の金属薄膜も、厚みが20nm以下になると、透明性が出て使用できる。
「透明反射性薄膜層」の形成は、10〜2000nmの厚さ、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD(化学蒸着法)などの真空薄膜法などにより設ければよい。特にCVD法は「透明層」への熱的ダメージが少なく、予め、その「透明層」の「光学的鏡面性」を付与した「面」に対して、その「光学的鏡面性」を維持し易く、好適である。そして、この「面」上に形成した「透明反射性薄膜層」の露出面が、新たに、「透明層」と「透明反射性薄膜層」の2層構成からなる「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面性と反射性」を有する「面」となる。
また、他の薄膜形成法を用いても、形成する薄膜層を薄くしておくと、その熱的ダメージを少なくすることができる。例えば、アルミニウム蒸着層であれば、形成条件によるが、厚さにして、ほぼ20nmのものあたりが、透明性が無くなり全反射性を出現する臨界点である。この厚さは薄膜材料、形成方法、金属加熱温度・真空度等の形成条件により異なる。
本発明の「鏡面反射層K1」の一方の面を「光学的鏡面」とするためには、適宜な剥離性フィルム(厚さ50〜250μm、且つ、その表面に剥離性処理を施したもの。)上に、上記した「鏡面反射層K1」を形成した後、上記した「光学的鏡面」と同等もしくはそれ以上、特には、その平均表面粗さRaで、0.01μm〜0.03μm、の「平滑な表面」を有する、「表面平滑化処理を施した厚さ0.1〜5.0mm、特には、0.1〜0.3mmの金属板、または、ガラス板」を用いて、その「平滑な表面」を「鏡面反射層K1」のその「一方の面」と接するように重ね、100〜200℃の加熱(特には、「鏡面反射層K1」に用いる樹脂のガラス転移点〈Tg〉より、50℃以上高い温度で、且つ、その樹脂の融点〈Tm〉より、10℃以上低い温度とする。)、及び、1.0〜103MPa(メガパスカル。N/平方ミリメートル)での加圧をする平板プレス処理(プレス状態で、「常温→設定温度までの加熱→設定温度保持→水冷式等による強制冷却→常温」の加熱冷却サイクル<1サイクル30分〜90分>を施す処理。この処理を2回から10回程度繰返し実施してもよい。)、もしくは、「同様の表面平滑化処理を施した直径100〜300mmの金属製ロール、または、ガラス製ロール」を用いて、100〜200℃に加熱した各ロール間を、そのロール幅1cmに対して1.0〜100kgの線圧を掛けつつ、1.0〜10m/分の速度でシート搬送させるロールプレス処理(この処理を2回から10回程度繰返し実施してもよい。)により、「鏡面反射層K1」の露出面を「光学的鏡面」とする。
そして、この「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2(ホログラム形成層2)」を形成する。このとき、その「透明樹脂層2」形成に用いられるインキ組成中には、「鏡面反射層K1」に用いられる樹脂との相溶性が低い樹脂系、及び、「鏡面反射層K1」の表面を溶解し難い溶剤系を用いるとともに、形成手段も、カーテンコート方式、ロールコート方式、フィルムラミネート方式、フィルム転写方式や、ステンレススクリーン印刷方式を用いる。
さらには、相対する2つの層の表面張力の差、すなわち、「鏡面反射層K1」の表面張力と、「『ホログラム形成層2』や『透明基材1』」の表面張力との「差」を、10〜20mN/mとし、且つ、表面張力の小さい層の上に、表面張力の大きい層を形成する手順として、形成時の「濡れ性」を抑制し、形成前の「層」の「面」、及び、「2層」間の「界面」の「光学的鏡面」性の維持を確実なものとする。
その後、この「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」とした「面」とは、反対の「面」を、その「適宜な剥離性フィルム」を剥離することで、露出させ、透明基材1の一方の面に接するようにして、ラミネート、または、転写等の方式をもちいて積層することで、「鏡面反射層K1」の一方の面の「光学的鏡面」性を維持しつつ、この「鏡面反射層K1」とその「透明樹脂層2」との「界面」をも、「光学的鏡面」とする。
または、この「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」上に、この「光学的鏡面」を乱さないように、「透明基材1」をラミネート等の方式を用いて形成し(この場合は、「透明基材1」の表面に予め「光学的鏡面」性を付与しておくことが好ましく、「鏡面反射層K1」とその「透明基材1」との「界面」が、「光学的鏡面」となる。)、その「透明基材1」の露出面に、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2」を形成する。
もちろん、適宜な剥離性フィルムの代わりに、本発明の透明基材1を用い、その透明基材1上に「鏡面反射層K1」を形成後、上記と同様にして、「鏡面反射層K1」の露出面を「光学的鏡面」とすることで、「透明基材1」、「鏡面反射層K1」、及び、「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2」の3層積層体としてもよい。(この場合は、「鏡面反射層K1」の「透明樹脂層2」側の「面」、及び、「鏡面反射層K1」と「透明樹脂層2」の「界面」が、「光学的鏡面」となる。)
また、上記したように、本発明の「鏡面反射層K1」の一方の面を「反射性」とするためには、言い換えれば、「鏡面反射層K1」と、その「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面」性を持つ「面」と接している「『透明樹脂層2』、もしくは、『透明基材1』」の「界面」における「反射率」を所望の大きさ(「値」:可視光波長範囲の光に対して、反射率を5〜90%、特には、5〜20%とする。)とするために、「鏡面反射層K1」の屈折率n1と、「『透明樹脂層2』、もしくは、『透明基材1』」のn2を所定の大きさ(「値」)とする。
また、「鏡面反射層K1」の中に、可視光の光を吸収する染料(可視光波長範囲400〜800nmの中の、所定の波長範囲において、所定の割合だけ吸収するという意味。これらの染料を使用する樹脂に溶解して透明性を維持する。)や、微粒子顔料(同様。使用する樹脂に高度に分散させることで透明性を維持する。)を5%〜30%添加して、上記した「自然光」や「蛍光灯」の照明下でのレリーフホログラム再生像の再生を抑制することも好適である。
この「鏡面反射層K1」の厚さは、多層構成の場合も含めて、0.01〜10.0μmとする。この厚さが0.01μm未満であると、上記した「光学的鏡面性」を付与し難くなり、また、10.0μmを超えると、「光学的鏡面性」を付与した後の変形(熱膨張や熱収縮などの熱変形や、圧力のよる変形等の力学的変形などを意味する。)を受けやすくなり、不適当である。
(蛍光層)
本発明では、ホログラム形成層2のホログラムレリーフ面に、蛍光層3を形成する。
この蛍光層は、蛍光体を透明な樹脂に均一に分散した樹脂分散型の蛍光インキや、水又は溶剤に蛍光体を分散した溶媒分散型の蛍光インキを作製し、それらを用いて、印刷方式や、コーティング方式さらには、インクジェット方式等の種々の形成方法を用いて、ホログラム形成層2に、そのホログラムレリーフに接するように、また、追従するよう均一に、若しくは凹部に部分的に形成することができる。(図2〜図4参照。)
また、ホログラム形成層2上に蛍光層を形成した後、フォトレジストを用いたフォトリソ法により、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去によりフォトレジストのパターンを回折格子パターンの凹部に同調させ、エッチングにより蛍光層を除去して、凹部のみに蛍光層を残すことができる。
逆に、ホログラム形成層2上にフォトレジスト層を形成し、回折格子パターンに位置合わせして露光、現像、不要部除去により、凸部にフォトレジストを残し、凹部を露出させて、この上に蛍光層を形成後、凸部上のフォトレジストを除去すると同時に、その真上にある蛍光層を部分的に除去することにより、凹部のみに蛍光層を残すことができる。
樹脂分散型の蛍光インキは、上記した蛍光体を、透明樹脂、例えば、熱可塑性樹脂としてはアクリル酸エステル樹脂、アクリルアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、もしくはポリスチレン樹脂等が、また、熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、エポキシ変性不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、もしくはフェノール樹脂等に2次凝集を少なくするように、ガラスビーズやスチールビーズを用いたボールミル、ニーダー、ロールミル等による混練りを十分行い、溶剤等で粘度調整をして、グラビア方式、オフセット方式、シルクスクリーン方式、カーテンコート方式、ノズルコート方式、さらには、インクジェット方式を適宜用いて均一な厚さに形成することができる。
蛍光層の厚さを、0.003μm以上1.0μm以下、さらには、0.01μm以上0.5μm以下とするためには、樹脂分散型インキの固形分を1〜10%とし、溶剤若しくは水を溶媒とした塗布膜が、例えば、10μmであったときに、溶媒を蒸発させた後の厚さ(蛍光層の厚さ)がその1/10乃至は1/100となるようにし、1μm〜0.1μmとする。
溶媒分散型の蛍光インキは、樹脂成分を含まず、蛍光体と溶媒のみであるため、樹脂分散型より蛍光層厚さを薄くすることができる。
溶媒としては、水やアルコール系溶剤、若しくは、セルソルブ系、パラフィン系溶剤を用いて、粒子系の小さい蛍光体を分散保持させ、攪拌しながらカーテンコート、ノズルコート等によりホログラム形成層2上に設けることができる。
この場合には、溶媒の蒸発速度を調整することで、溶媒の揮発する間に、蛍光体が自重で凹部へと移動させることも可能となる。
さらには、ホログラムレリーフ面を形成している樹脂に対して、溶解性を有する遅い揮発性の溶剤を数μm塗布し(アクリル・塩ビ・酢ビ樹脂や、ポリエステル樹脂等に対するケトン系溶剤、例えばシクロヘキサノン等。この溶剤を非溶解性の溶剤で希釈して使用し、残留する成分を0.1μm以下にすることも可能である。)、そのホログラムレリーフ面の最表面のみを溶解して、その最表面に粘着性を付与し、その上に、蛍光体を粉体のまま吹きかけて、その粘着性の面に接する蛍光体粒子のみがホログラムレリーフ面上に残るようにする蛍光層形成方法も好適である。
この方法によると、蛍光層がほぼ1粒子膜となり、ホログラムレリーフ面上に均一に形成され、ホログラム形成層側から励起光を当てた場合の蛍光発光面が、ホログラムレリーフ面と同一となる。
いずれにしても、ホログラムレリーフの凹凸が非常に小さい為、蛍光層を均一厚さで、且つその中の蛍光体が均一な密度となるように、もしくは、ホログラムレリーフ面上に均一に(部分形成の場合には形成してある部分同士が均一に)形成するためには、蛍光体の粒径は小さい方が好ましく、ナノ蛍光体は特に好適である。
(カード基材)
本発明のホログラム付きカードC1に用いられるカード基材C0としては、もしくは、カード基材IC0に採用可能な材料としては、少なくとも本発明のホログラムシートA〜A´´を、そのカード基材C0や、IC0(カード基材IC0については、さらに、以下に詳述するセキュアマイコン等の電子部品を内蔵可能であることが要求される。)内に埋め込むことができるものであれば、あらゆる材料、すなわち、プラスチック材料、金属材料、セラミック材料、生体材料、それらの複合材料、さらには、それらを多層構造としたり、さらに複雑に組み合わせたりしたものなどを用いることができる。且つ、その表面や裏面に、本発明のホログラム付きカードC1の用途に応じた印刷等の手段による適宜な表示を設けたものであってもよい。(図6参照。図6には、カード基材C0の表面と、ホログラムシートAの最表面が「面一」となっている場合を例示している。その他の場合は図示していない。)
その形状も、あらゆる形状、すなわち、シート状、フィルム状、板状、立方体状、直方体状、カード形状(磁気カード、ICカード、非接触ICカード、ポストカード、グリーティングカード、名刺、ポイントカード、ライセンスカード、遊戯用カード等の形形状)、はがき形状、リーフ形状、帳票形状、伝票形状、Sメール形状、ラベル形状、シール形状、証券類形状、通帳形状、パスポート形状、郵便物形状、配送物形状、封筒状、袋状、箱状、ケース状、円盤状、ディスク状、楕円体状、球体状、曲面形状、棒状、及びこれらの組み合わせや、これらに変形、切断、穴あけ、接着等の加工処理を施したものなどを採用することができる。さらには、電子端末や、携帯用端末等、あらゆる工業製品やあらゆる商品をもカード基材C0や、IC0として採用することができる。
その厚さも、ハンドリング可能であればよく、特に制限はないが、通常、30μm〜3.0mmの厚さとする。もちろん、封筒状や、箱状のものであれば、その立体形状の寸法は、それぞれの用途に適したものとするため、この範囲内とする必要はない。
また、これらカード基材C0や、IC0の代表例として、いわゆる「プラスチックカード」として用いられている材料及び形状や、「プリペイドカード」として用いられている材料及び形状、特に、ISO規格(ISO/IEC7810シリーズ、ISO/IEC7816シリーズ、ISO/IEC14443シリーズ、ISO/IEC15457シリーズ等。)やJIS規格(「プリペイドカード JIS X 6310シリーズ」や、JIS X 6301、JIS X 6300シリーズ、JIS X 6320シリーズ、JIS X 6330シリーズ等。)で定められているものがある。(図示せず。)
その中でも、その「埋め込み適正」(ホログラムシートA、またはA´をそのカード基材C0や、IC0内に安定して埋め込むことができると共に、そのホログラムシートA、またはA´の最表面とカード基材C0、または、IC0の表面とを再現性良く「面一」とすることができる性質をいう。)及び「汎用性」(加工汎用性を含む。この「加工汎用性」とは、「保護層/磁気層/接着層」からなる磁気ストライプをカード基材に埋め込んだり、必要な電子部品等を内蔵させたりする、製造ラインや製造条件が確立していることを意味する。)から、「JIS規格やISO規格で定められている『プラスチックカード』や、『ICカード』として用いられているカード基材及び形状」が望ましい。
これらは、既に、全世界に大量に頒布され、普及しているため、それらをハンドリングしたり、保持することに抵抗感がなく、また、それらを携帯したり、使用したりする場合の周辺機器(入退室用ゲート端末、駅務ゲート端末、クレジットカード端末、ICカード端末、その他のカード利用機器を意味する。)や、関連グッズ(カードを携帯するためのカード入れや、カード用装飾品等を意味する。)等も既に普及しているため、これらのものに対する適用もスムースであって好適である。
特に、不透明性を有するフィルム状もしくはシート状のプラスチックがその加工適正やコスト面で好ましく、厚みを薄くすることが可能であって、機械的強度や耐溶剤性および耐熱性をも有するものが用いられる。例えば、その材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアリレート、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、ポリエチレン/ビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種のプラスチックフィルム材料があげられる。そして、これらのプラスチックそのものが透明性を有する場合には、不透明化処理のために、二酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明性付与のための顔料等を適宜練り込むなど、不透明性付与材料を混在させた、フィルム状もしくはシート状のプラスチックを例示することができる。
さらに、これらの材料に、フッ素系樹脂パウダーや、シリコン系樹脂パウダー等を混入したプラスチックフィルムは、耐擦傷性が著しく高く好適である。
以下、ホログラムシートAとカード基材C0をその代表例として説明する。(ホログラムシートA´、もしくは、A´´や、カード基材IC0を用いる場合も、以下の説明とほぼ同様の説明となる。)
ホログラムシートAをそのカード基材C0内に、加熱温度60℃〜200℃、好適には、80℃〜150℃、且つ、プレス圧力104Pa〜1010Pa(N/平方メートル)、好適には、106Pa〜108Paの条件下で、「面一」に埋め込むことが可能なものが用いられる。
これらのフィルム状もしくはシート状のプラスチック材料からなるカード基材C0の厚さは、通常、30μm〜1.0mmであるが、「種々の目的のカード」としての加工適正や取り扱い適正から200〜840μmとすることが望ましい。
この厚さが、30μm未満であると、このカード基材C0上にホログラムシートAを設けたり、埋め込んだりする際の加工適正に劣るものとなり、この厚さが1.0mmを超えると、シート処理や巻き取り処理における取扱いに困難を生じるため好ましくない。(図6及び図7参照。)
具体的には、50μm〜1000μmの厚さの軟質塩化ビニルシートや硬質塩化ビニルシート、もしくは、その組み合わせ(積層体という意味。)が好適である。
カード基材C0として、100μmの軟質塩化ビニルシートを用いて、総厚さ32μmのホログラムシートA(積層体)(幅10mmの帯状。カード基材C0の厚さの約1/3の厚さを有する。)を、150℃の加温、及び106Paの加圧にて、1mm厚さの表面鏡面仕上げのステンレス板で挟み込み、「常温→加温→150℃→冷却→常温」の加熱&冷却サイクル(1サイクル30分〜90分。)を通した場合には、その積層体が全て、カード基材C0内に埋め込まれ、ホログラムシートAの最表面とカード基材C0の表面が面一となった。
同様の条件下においては、カード基材C0の厚さ100μmに対して、5μm〜50μmまでの積層体を「面一」とすることができるが、50μmを超える厚さの積層体に対しては、その境界における段差が、1.0μmを超えるものとなり、「面一」とするためには、より高温、且つ、高圧の条件とする必要が生じる。
しかしながら、上記の条件をより過酷な条件に設定することは、カード基材C0の大きな変形や、変質を招き、本発明のホログラム付きカードC1としての用途には不向きであり、カード基材C0の厚さに対する埋め込み深さは、「カード基材C0の厚さの1/20〜1/2」とする。
また、「面一」の状態とは、上記したように、その境界における段差が、1.0μm以下となった状態を意味するが、「埋め込む小片(上記したストライプ等を意味する。)」のサイズによって、「小片」全体が均一に埋め込まれる場合(「小片」を含むカード基材C0の厚さが、「小片」のある個所や、その他の箇所で同一となっている状態。)や、「小片」の埋め込み量に偏りがある場合(「小片」の端部(境界に近い部分)に対して「小片」の中央部の埋め込み量が少なくなっている状態。)、さらには、カード基材C0の材料が「小片」の断面を覆い隠すように流動した場合等を含むものとし、結果として「小片」が面一に埋め込まれた状態となることを指す。
さらには、「面一」の状態から「凹んだ状態」とするためには、上記した総厚さ32μm積層体の代わりに「耐熱性を有する剥離性フィルム(10μm)を加え、他の層の合計を10μmだけ薄くした、結果として、同一の総厚さを有する「積層体」を、同一条件下でカード基材C0に埋め込み、その剥離性フィルムを剥離することで、ホログラムシートAの最表面が、カード基材C0の表面より、10μm凹んだ状態とすることができる。
すなわち、この積層体における「剥離性フィルム」の厚さだけ、カード基材C0の表面より凹ませることができることとなる。
この「凹み」は、カード基材C0の厚さに対して、1/10以下とし、望ましくは、1/20以下とする。
また、このような「剥離性フィルム」は、ホログラムシートAの保護層の代用となるため、製造工程中や、流通過程においては残しておき、ホログラム付きカードC1の正規購入者がホログラム付きカードC1を使用する直前に剥離するものとすることで、ホログラムシートAの最表面(露出面)の汚れや傷の発生を防止できる。さらに、「剥離性フィルム」は、一旦、剥離すると、もはや、元に戻すことが困難であるため、不正者が接着剤等を塗布して元の状態に戻そうとすると、「剥離性フィルム」の剥離性が損なわれるだけでなく、「段差」が1.0μmを超えてしまい、不正が行われたことを示唆する機能を持つため、「剥離性フィルム」を付加したホログラム付きカードC1とすることも好適である。(凹んだ状態や、「剥離性フィルム」を付加した状態は、図示せず。)
ここで、本発明のホログラム付きカードC2について説明を加える。
本発明のホログラム付きカードC2は、いわゆる「ホログラム付きICカード」であって、そのカード基材IC0として、「IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材」を用いており、「接触式ICカード(セキュアマイコンIC1を搭載している。)」を、その基本構成とし、IC駆動用電池IC2(薄型3V系フィルム電池等。)、 ON/OFFスイッチIC3(表示切替用スイッチ等。)、表示パネル制御部IC4(液晶ディスプレー用ドライバ等。)、表示パネルIC5(フィルム液晶等。)、 補助電池IC6(3V出力太陽電池フィルム等。)などを搭載、もしくは、内蔵したものである。(図7参照。図7のホログラム付きカードC2は、カード基材IC0に、もしくは、カード基材IC0として、これらの電子部品を全て搭載した例を示している。)
また、本発明のホログラム付きカードC2は、「非接触式ICカード(非接触式ICチップを内蔵している。)」を、その基本構成とし、「インターフェイス用IC(電波→デジタル変換機能を持つ。)」駆動用電池(これも、一種のIC駆動用電池であって、薄型3V系フィルム電池等。)を内蔵しており、さらに、ON/OFFスイッチIC3(表示切替用スイッチ等。)、表示パネル制御部IC4(液晶ディスプレー用ドライバ等。)、表示パネルIC5(フィルム液晶等。)、補助電池IC6(3V出力太陽電池フィルム等。)などを搭載、もしくは、内蔵したものを用いることができる。(図示していない。)
そして、これらのIC用駆動電池IC2が、ホログラムシートAからA´´の「蛍光層を発光させるための『励起光』」を発光する「表示部」を、発光(「励起光」そのものの発光、もしくは、「励起光を含む光」の発光)させるための「電源」を兼ねている。
このセキュアマイコンIC1や、「非接触式ICチップ」を駆動するための「電源」(IC駆動用電池IC2)として、且つ、上記した意味において、本発明のホログラムシートA〜A´´を発光させるための「電源」として、一次電池、または、二次電池を、そのカード基材IC0の中に「内蔵」している。
これらの「電池」は、「セキュアマイコンIC1または非接触式ICチップ等を制御する『制御部』(表示パネル制御部IC4等。)」や、「液晶ディスプレイなどの『表示部』(表示パネルIC5等。」をさらに含む場合には、それらの「『制御部』」や『表示部』」を駆動するための電源としても用いられ得る。
さらに、これら「内蔵」する「電池」に加えて、「太陽電池と、その太陽電池で生成された電気エネルギーを蓄電するコンデンサとにより構成される補助電源(補助電池IC6等)」を、そのカード基材IC0に含めることも「IC駆動用電池を内臓する」ということの意味に含める。
このことにより、本発明のホログラム付きICカードC2を使用する者が、このホログラム付きICカードC2を、「外部」に取り出すだけで(屋外で自然光にかざしたり、室内において、室内蛍光灯の照明下にさらすことを意味する。)、太陽電池に光が照射して生成された電気エネルギーがコンデンサに蓄電され、これを安定した補助電源として用いることが可能になる。
また、本発明のホログラムシートA〜A´´を発光させたり、消光させるためのON/OFF切り替えスイッチ(すなわち、「励起光」発光用の「表示部」のための切り替えスイッチということ。図示していない。)をも、搭載すると、その利便性を大幅に向上させたり、真偽判定性を著しく容易なものとすることができる。
(実施例1)
透明基材1として、12μmのPETフィルムの表面に、下記組成の鏡面反射層K1用インキ組成物を、カーテンコート方式にて、乾燥後の厚さとして、鏡面反射層K1を5.0μmの厚さで形成し、表面を鏡面仕上げした、厚さ1.0mmのステンレス板に挟みこみ、150℃、1.0MPa、及び、60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、鏡面反射層K1の露出面を「光学的鏡面」(上記したRaで、Ra=0.05μmとした。)とした。(図2参照。)
<鏡面反射層K1用インキ組成物>
メラミン樹脂(屈折率n1=1.56) 30部
トルエン 20部
メチルエチルケトン 20部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 20部
この鏡面反射層K1の「光学的鏡面」とした「面」の上に、下記組成のホログラム形成層2用インキ組成物を塗布し、溶剤を十分に揮発させた後、ホログラム画像位置検知パターン付きのレリーフホログラム(30mm×40mmサイズ:「発光」の文字画像:図3参照)の複製用型の型面を、接触させたまま加熱することにより、レリーフホログラムの形成を行ない、厚さ30μmの「ホログラム画像に対応したホログラムレリーフを有する透明樹脂層2」(ホログラム形成層2)を得た。(図2参照。)
このことにより、鏡面反射層K1のホログラム形成層2(すなわち、「透明樹脂層」)と接している「面」、さらには、鏡面反射層K1とホログラム形成層2の「界面」は、「光学的鏡面性と反射性」を有していることとなった。
<ホログラム形成層2用インキ組成物>
ポリブチルアクリレート(屈折率n2=1.44) 30部
メチルアルコール 10部
イソプロピルアルコール 40部
エチルセルソルブ 20部
ブチルセルソルブ 10部
このホログラム形成層2上に、下記組成の樹脂分散型蛍光インキ組成物をグラビアコーティング方式により、コーティングし乾燥して、蛍光層3を、5μmの厚さで、ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように形成し、本発明の実施例1のホログラムシートAを作製した。(図2参照。)
・<蛍光インキ組成物>
テールナビ社製 紫外線励起蛍光顔料UVR−2 5質量部
アクリル樹脂 10質量部
メチルエチルケトン 40質量部
酢酸エチル 45質量部
このホログラムシートAを、室内蛍光灯4の下で観察5すると、その条件下ではホログラム再生像を明確には視認できなかった。(図5参照。)
そして、このホログラムシートAを、365nm波長の光源(浜松ホトニクス製UV−LEDモジュール LC―L2)を用いて照明6したところ、図5に示すように、この紫外線は目視では見えず、赤色のホログラム再生像7「蛍光」を確認することができ、赤色の再生像のみが空間に浮いているように見え、意匠性に優れるものであった。
このホログラムシートを3cm角に切り出し、パスポートに貼付して、ブラックライト蛍光管40W照明(照明形状を小さくするため、3mmφ穴を持つカバー装着。)したところ、赤色のホログラム再生像を認識することができた(図示せず。)。
以上のことから、このホログラムシートAは、真正品であることが判明した。
(実施例2)
実施例1と同様に形成したホログラム形成層2上に、下記組成の樹脂分散型蛍光インキをグラビアコーティング方式により、コーティングし乾燥して、蛍光層3を0.1μm厚さで形成し、
・<蛍光インキ組成物>
ルミライトナノRY202(粒径30nm) 5質量部
ポリビニルアルコール樹脂 10質量部
イソプロピルアルコール 40質量部
水 45質量部
本発明の実施例2のホログラムシートAを作製した。(図2参照。)
このホログラムシートAを、実施例1と同様に観察したところ、より鮮明に赤色のホログラム再生像7「蛍光」を確認することができ、赤色の再生像のみが空間に浮いているように見え、意匠性に優れるものであった。(図5参照。)
このホログラムシートを3cm角に切り出し、パスポートに貼付して、ブラックライト蛍光管40W照明(照明形状を小さくするため、3mmφ穴を持つカバー装着。)したところ、赤色のホログラム再生像を認識することができた。(図示せず。)
以上のことから、このホログラムシートAは、真正品であることが判明した。
(実施例3)
厚さ50μmの適宜な剥離性フィルム上に、実施例1と同様の組成の鏡面反射層K1用インキ組成物を、カーテンコート方式にて、乾燥後の厚さとして、鏡面反射層K1を5.0μmの厚さで形成し、「表面を鏡面仕上げした厚さ1.0mmのステンレス板」に挟みこみ、150℃、1.0MPa、及び、60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、鏡面反射層K1の露出面を「光学的鏡面」(上記したRaで、Ra=0.05μmとした。)とした。
この鏡面反射層K1の「光学的鏡面」とした「面」を、一方の面を「光学的鏡面」とした150μmのPET(屈折率n2=1.45)からなる透明基材1のその一方の面上にラミネート処理により積層した後、その剥離性フィルムを剥離し、さらに、その透明基材1の他方の面に、実施例1と同様にして、ホログラム形成層2、蛍光層3を形成して、実施例3の本発明のホログラムシートA´を得た。(図3参照。)
このホログラムシートA´を、実施例1と同様にして評価したところ、蛍光層3と、鏡面反射層K1との距離を比較的大きくとることができ、実施例1より鮮明なホログラム再生画像7を視認でき、真正品であるとの判定が容易であったこと(図5参照。)以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例4)
蛍光インキを下記組成の溶媒分散型とし、カーテンコート方式を用い、乾燥速度を遅くした(乾燥エネルギー量として1/5とした。)こと以外は、実施例1と同様にして、
・<蛍光インキ組成物>
ルミライトナノRY202(粒径30nm) 5質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
水 45質量部
本発明の実施例4のホログラムシートA´´を作製した。(図4参照。)
ホログラムレリーフの凸部より、凹部に蛍光体の偏って形成されていた。
実施例1と同様にして観察したところ、さらに鮮明なホログラム再生像を確認することができたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例5)
ホログラム形成層2を形成後、下記組成の溶剤をグラビアコーティング方式で3μmの塗膜(乾燥前)を形成し、速乾性成分のみを揮発させた後、
・<溶剤組成物>
シクロヘキサノン 1質量部
メチルエチルケトン 40質量部
シクロへキサン 59質量部
実施例1の蛍光体を粉体のままふりかけて(ホログラム形成面2を下に向け、粉体をしたから吹き付けた。)蛍光層3を形成し、さらに乾燥させ、残留している溶剤を揮発させた以外は、実施例1と同様にして、本発明の実施例5のホログラムシートAを作製した。(図2参照。)
実施例1と同様にして観察したところ、著しく鮮明なホログラム再生像を確認することができたこと以外は、実施例1と同様の良好な結果を得た。
(実施例6)
実施例1において用いた鏡面反射層K1用インキ組成物と同様組成の「透明層」を同様方式、同様厚さで設け、その露出面を同様に「光学的鏡面」とした後、その「面」の上に、「透明反射性薄膜層」として、厚さ50nmのZnS薄膜層を、真空蒸着法を用いて形成した(このときの最表面は、「光学的鏡面」性を維持していた。本実施例6においては、この「透明層」と「透明反射性薄膜層」の2層積層体が、「鏡面反射層K1」となっている。図示せず。)こと以外は、実施例1と同様にして、実施例6のホログラムシートAを得た。(図2参照。本実施例7の「鏡面反射層K1」の詳細構成〈2層構造〉は図示せず。)
この実施例6のホログラムシートAを、実施例1と同様に評価したところ、室内蛍光灯4下での透明基材1側からの目視観察5において、「鏡面反射層K1」の「光学的鏡面性と反射性」を有する「面」からの反射光の強度が大きくなっており、「鏡面反射層K1」の背後にあるホログラムレリーフからのレリーフホログラム再生像を目視にて視認することは困難であったこと、また、同様の紫外線6を照射して蛍光層3を発光させたとき、ホログラム再生像7がより明るくなっていたため、その判定がより容易、且つ、確実に実施できると思われたこと以外は、実施例1と同様に良好な結果を得た。
(実施例7)
本発明のホログラム付きカードC1用のカード基材C0として、厚さ560μmの硬質塩化ビニルシートを、厚さ100μmの軟質塩化ビニルシート2枚で挟み込み、総厚さ760μmの3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)を用いる。
所定のデザイン印刷は、その硬質塩化ビニルシート上にオフセット印刷にて施した後、所定のラミネート条件にて、3層積層体とした。(図6参照。カード基材C0の積層状況は図示せず。図6は、既に本発明のホログラムシートAを埋め込んだ図となっている。)
このカード基材C0の表面の中央部分に、実施例1のホログラムシートA(幅10mm×長さ30mmのストリップ状に切り取ったもの。)をそのカード基材C0の表面と、ホログラムシートAの蛍光層3が接するようにして配置したものを、表面を鏡面仕上げしたステンレス板に挟みこみ、120℃、106Pa、及び60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、ホログラムシートAの透明基材1の最表面とカード基材C0の表面を「面一」として埋め込み、実施例7のホログラム付きカードC1を得た。(図6参照。)
この実施例7のホログラム付きカードC1を、通常の蛍光灯下4で観察したところ、ホログラム付きカードC1上にて、「埋め込まれたストリップ」を観察できるのみであり、そのストリップから再生されるホログラム再生像5の存在を、明確には窺い知ることはできなかった。(ホログラム付きカードC1上に埋め込まれている「ストリップ」の見え方は、図5参照。本実施例7の「ストリップ」は、「長方形」であるが、図5では、楕円形の例示となっている。)
次いで、この実施例7のホログラム付きカードC1に埋め込まれたホログラムシートAに実施例1と同様にして「紫外線」6を照射したところ、実施例1と同様のホログラム再生像7を視認することができた。(図5参照。)
また、このホログラム付きカードC1から、ホログラムシートAのみを剥がして取り出そうとしたが、ホログラムシートAの断面を捉えることができず、このホログラム付きカードC1の偽造や変造は不可能と思われた。(図示せず。)
(実施例8)
本発明のホログラム付きカードC2用のカード基材IC0として、厚さ600μmの硬質塩化ビニルシートを、厚さ100μmの軟質塩化ビニルシート2枚で挟み込み、総厚さ800μmの3層積層塩化ビニルシート(クレジットカードサイズ)のICカード基材であり、且つ、「IC駆動用電池IC2を内臓している電池内臓型ICカード基材IC0」である、図7の構成の「接触式ICカード(セキュアマイコンIC1を搭載している。)」を用いた。
このカード基材IC0は、図7のごとく、「接触式ICカード」を、その基本構成とし、薄型3V系フィルム電池(IC駆動用電池IC2)、表示切替用スイッチ(ON/OFFスイッチIC3)、液晶ディスプレー用ドライバ(表示パネル制御部IC4:バックライトの一部に、所定の紫外線波長を有する紫外線発光用光源を含む。)、フィルム液晶(表示パネルIC5)、3V出力太陽電池フィルム(補助電池IC6)を搭載、もしくは、内蔵している。(図7は、既に、本発明のホログラムシートAを、カード基材IC0内に埋め込んだ図となっている。)
このカード基材IC0に内蔵するフィルム液晶(表示パネルIC5)の上に、その一部を覆うように(重なるように)に、実施例1のホログラムシートA(但し、幅10mm×長さ30mmのストリップ状に切り取ったもの。)を、表面を鏡面仕上げしたステンレス板に挟みこみ、120℃、106Pa、及び60分の加熱、加圧、及び冷却処理を施して、ホログラムシートAの透明基材1の最表面とカード基材IC0の表面を「面一」として、実施例8のホログラム付きカードC2を得た。(図7参照。)
この実施例8のホログラム付きカードC2を、通常の蛍光灯4下で観察5したところ、ホログラム付きカードC2上にて、「埋め込まれたストリップ」を観察できるのみであり、そのストリップから再生されるホログラム再生像の存在を、明確には窺い知ることはできなかった。
次いで、この実施例8のホログラム付きカードC2に埋め込まれた、表示切替用スイッチ(ON/OFFスイッチIC3)を「ON」にして、フィルム液晶(表示パネルIC5:バックライトの一部に「365nm波長の光源」を含めたもの。)に、薄型3V系フィルム電池(IC駆動用電池IC2)からの電圧を供給したところ、「365nm波長の光源」の発光6(ホログラムシートAの背面からの照明となる。)により、その上にあるホログラムシートAの蛍光層3が励起され、蛍光層3の蛍光発光が生じて、非常に鮮明なホログラム再生像7を視認することができた。(ホログラム付きカードC2上に埋め込まれている「ストリップ」の観察状態は、図5参照。ここで、本実施例8の「ストリップ」は、「長方形」であるが、図5では、楕円形の例示となっている。また、照明光6は、ホログラムシートAの左上方からの照明ではなく、下方からの照明となっている。)
また、このホログラム付きカードC2から、ホログラムシートAのみを剥がして取り出そうとしたが、ホログラムシートAの断面を捉えることができず、このホログラム付きカードC2の偽造や変造は非常に困難と思われたこと以外については、実施例1と同様の良好な結果を得た。(図示せず。)
(比較例)
「鏡面反射層K1」を形成せず、実施例1と同様にホログラムシートを形成し、比較例とした。
実施例1と同様に観察したところ、蛍光層3を発光させていないにも拘らず、室内照明下で目視にて、蛍光層3の表面からの反射光によるホログラム再生像を視認できてしまい、さらに、蛍光層3を発光させると、蛍光層3の全体が「赤色」に発色した「背景」の中に、既に視認したものとほぼ同一の形を持つ「赤色の『光の像』」が視認されるのみであってその判別性は、かえって低下したように感じた。
このことより、このホログラムシートが真正なものでなく、このパスポートが偽物であると判断できた。
A、A´、A´´ ホログラムシート
1 透明基材
K1 鏡面反射層
2 ホログラムレリーフを有する透明樹脂層(ホログラム形成層)
3 蛍光層
4 観察状態の例示:可視光線(室内照明光)
5 同上 :反射光による再生像(視認できる場合と 、出来ない場合がある。)
6 同上 :電圧を印加した状態
7 同上 :緑色の再生像(発光による再生像)
C0、IC0 カード基材
C1、C2 ホログラム付きカード
IC1 セキュアマイコン
IC2 IC駆動用電池
IC3 ON/OFFスイッチ
IC4 表示パネル制御部
IC5 表示パネル
IC6 補助電池

Claims (7)

  1. 透明基材の一方の面に、鏡面反射層、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように蛍光層が設けられているホログラムシートであって、
    前記鏡面反射層の前記透明樹脂層と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシート。
  2. 透明基材の一方の面に鏡面反射層が設けられ、前記透明基材の他方の面に、ホログラム画像に対応した回折格子群を含むホログラムレリーフを有する透明樹脂層、及び、前記ホログラムレリーフに接するように、且つ追従するように蛍光層が設けられているホログラムシートであって、
    前記鏡面反射層の前記透明基材と接している面が、光学的鏡面性及び反射性を有していることを特徴とするホログラムシート。
  3. 請求項1または2に記載の前記蛍光層は、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸に追従して均一な厚さで形成されていることを特徴とするホログラムシート。
  4. 請求項1から3の何れかに記載の前記蛍光層が、前記ホログラムレリーフを形成する凹凸の凹部にのみ形成されていることを特徴とするホログラムシート。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の前記蛍光層の厚さが、0.01μm以上0.5μm以下であることを特徴とするホログラムシート。
  6. カード基材に、請求項1から5の何れかに記載のホログラムシートが埋め込まれ、前記ホログラムシートの露出面が、前記カード基材の表面と面一、または、前記カード基材の表面から凹んだ位置にあることを特徴とするホログラム付きカード。
  7. 前記カード基材が、IC駆動用電池を内臓している電池内臓型ICカード基材であり、且つ、前記IC駆動用電池が、前記ホログラムシートの発光用電源をも兼ねていることを特徴とする請求項6に記載のホログラム付きカード。
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JP2017102343A (ja) * 2015-12-03 2017-06-08 株式会社リコー トナー、トナー収容ユニット、及び画像形成装置
JP2021144625A (ja) * 2020-03-13 2021-09-24 大日本印刷株式会社 Icカード

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