JP2004049225A - 食品テクスチャー改良用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】キサンタンガムなどのゾル化剤およびデキストリンなどの水溶性分散剤を造粒することにより、液状食品に対して分散性、溶解性がよく、ゲル化またはゾル化後の食品の低付着性、高凝集性を実現できることを見出した。すなわち、本発明の食品テクスチャー改良用組成物は、液状食品に添加することによりゾル化等を誘導するための組成物であって、少なくともゾル化剤と、水溶性分散剤とを含み、前記ゾル化剤および前記水溶性分散剤とが造粒されている。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状食品のレオロジーを変化させる食品テクスチャー改良用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
嚥下運動は種々の神経系や筋系が協調して行われるが、高齢者や種々の疾患などにより嚥下運動に障害が生じることがある。このように嚥下障害を有する人は正常人に比べ食品を摂取する際に食道ではなく、誤って気道などに嚥下してしまうことがある。このような誤嚥の問題は固体食品よりも粘性の低い液状食品、例えば、水、汁物、水分を含む食品などで多く生じる。こうした誤嚥を防止するために液状食品のテクスチャーをゾルまたはゲル状に変える増粘剤などの食品テクスチャー改良剤が用いられている。食品テクスチャー改良剤としては、従来より寒天、ゼラチン、澱粉、グアガム、キサンタンガム、ローカストビーンガムなどの増粘多糖類およびそれらの混合物などが多用されている。
【0003】
こうした食品テクスチャー改良剤に求められる性質として、これら改良剤による改良後の食品を低付着性、高凝集性とし、または食品の温度変化による変性を少なくすること等が挙げられる。すなわち、食品を低付着性とすることにより、口腔・咽頭などに張り付くことを防止することができ、また、食品を高凝集性にすることにより、食品が舌圧で一度押しつぶされた後にバラバラとならずに再度結着して食塊を形成することで食品を正しく食道へ送り込むことが可能となる。さらに、食品の温度変性を低くすることにより、ゼラチンなどで起こり易い口腔内の温度による溶解で誤嚥を生じ易い低粘性の液体に変化させることを防止することができる。
【0004】
上述した種々の改良剤の中で上記性質を満足するものとして、キサンタンガムを主剤とする改良剤を挙げることができる。また、キサンタンガムは、上記特性の他、液状食品の塩分濃度、ph、カリウム濃度等に影響され難いなどの優れた点も有している。しかし、このキサンタンガムは、分散性、溶解性が極めて低く、液状食品に添加しても塊を形成し、攪拌しても完全に溶かすことは極めて困難であった。そのため、キサンタンガムを主剤とする改良剤は、その分散性・溶解性の低さを攪拌機のような機械的な力などで補助し得る工業的な目的や用途で主に使用されていた。このようなキサンタンガムを主剤とする低付着性、高凝集性などの優れた性質を発揮し得る改良剤を工業的目的以外に、病院内、家庭内でも気軽に利用することが可能になれば、嚥下障害者などに対する病院内、在宅での医療を安全かつ効率的に援助することが可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、分散性、溶解性を向上させたキサンタンガムを含む食品テクスチャー改良剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、キサンタンガムを造粒し、これとは別に造粒された水溶性分散剤を添加することにより、キサンタンガムの分散性、溶解性を向上させ、手作業による簡易な攪拌で改良剤を分散・溶解させることを見出した。すなわち、上記課題を解決するための手段は、上記知見に基づくものであり、具体的には次の通りである。
(1)液状食品のレオロジーを変化させる食品テクスチャー改良用組成物であって、キサンタンガムと、水溶性分散剤とを含み、前記キサンタンガムおよび前記水溶性分散剤がそれぞれ造粒されている、食品テクスチャー改良用組成物である。
(2)水溶性分散剤がデキストリン、乳糖、澱粉のいずれかまたはその組合せからなる、上記(1)記載の食品テクスチャー改良用組成物である。
(3)キサンタンガムと水溶性分散剤との重量比が1:9から7:3の範囲である、上記(1)または(2)記載の食品テクスチャー改良用組成物である。
(4)さらにゲル化剤を含む、上記(1)または(2)記載の食品テクスチャー改良用組成物である。
(5)ゲル化剤として、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、寒天、ゼラチンのいずれかまたはその組合せからなる、上記(4)記載の食品テクスチャー改良用組成物である。
(6)キサンタンガムとゲル化剤との重量比が1:9から9:1の範囲である、上記(4)または(5)に記載の食品テクスチャー改良用組成物である。
(7)水溶性分散剤の粒子表面に突起が形成されている上記(1)から(6)のいずれかに記載の食品テクスチャー改良用組成物である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0008】
本発明は、少なくともキサンタンガムと、水溶性分散剤とを含み、これらキサンタンガムおよび水溶性分散剤とがそれぞれ別に造粒されている食品テクスチャー改良用組成物に関する。
【0009】
ここで、「食品テクスチャー改良」とは、医療・介護の目的で、あるいは一般の食品加工の目的で食品テクスチャーを改良することを意味し、特に、本発明の組成物にあっては、液状食品をゾル状またはゲル状に改良することを意味する。例えば、医療介護の目的での食品テクスチャー改良としては、嚥下障害や高齢者などにおいて誤嚥の原因となる液状食品、例えば、飲料用液体、汁物、固体食品中に含まれる液体などのテクスチャーをゾル状またはゲル状に改良することなどが挙げられる。
【0010】
ゾル化を誘導するゾル化剤としては、主剤であるキサンタンガムを好適に用いることができる。なお、ここで主剤とは、食品テクスチャーを改良するための主な成分との意味であり、その量が主要な量を占めるという意味で用いるものではない。そのため、キサンタンガムが水溶性分散剤などの他の成分よりも少ない量であってもよい。このキサンタンガムは、上述した通り、微粉末状態では水溶液中で団塊を形成し易く、分散性、溶解性に欠ける。こうしたキサンタンガムの分散性、溶解性を向上させるため、本組成物ではキサンタンガムを造粒体として用いることが好ましい。またさらに単に造粒するだけではなく、溶解性を向上し得る多孔性粒子とすることが好ましい。このキサンタンガムの造粒方法は、特に限定はないが、溶解性を高め得る多孔性粒子を形成するために用いられる方法、例えばフローコーターなどを用いたフローコーティング造粒法などを好適に用いることができる。造粒体の粒子サイズは、液状食品への溶解性、分散性などを指標として任意に定めることができ、例えば、直径250μm〜1000μmとすることができる。
【0011】
また、キサンタンガム粒子の分散性、溶解性を補助するために、本食品テクスチャー改良用組成物には、水溶性分散剤が混合されている。この水溶性分散剤の添加により、液状食品中においてキサンタンガム粒子同士が接着し団塊を形成することを抑制して、キサンタンガム粒子の液状食品への分散性を向上させ、この分散性向上により溶解性を高めることができる。したがって、この目的を達成し得る食用可能な水溶性分散剤であれ、本組成物に好適に用いることができる。このような水溶性分散剤としては、例えば、デキストリン、乳糖、澱粉などを挙げることができる。
【0012】
これら水溶性分散剤を上記キサンタンガム粒子と均質に混合するためには、キサンタンガム粒子と同様に造粒体とすることが好ましい。また、溶解性を高めるために多孔性粒子とすることが好ましい。この多孔性粒子を形成し得る方法としては、例えば、フローコーティング法、ドラムドライヤー法などを用いることができるが、好ましくはドラムドライヤー法を用いる。ドラムドライヤー法によって造粒された粒子では、表面が金平糖のような角状またはいぼ状の突起が形成され、水に溶解する際の粒子表面の濡れを遅らせることができる。そのため、キサンタンガム粒子が分散する前の団塊の形成をより防止することができる。なお、この水溶性分散剤の粒子サイズは、上記キサンタンガム粒子と同様、例えば、直径250μm〜1000μmとすることができる。また、キサンタンガム粒子と水溶性分散剤の粒子とを混合した後の分離を防止する観点からは、水溶性分散剤の粒子サイズはキサンタンガム粒子と同一粒子サイズとすることが好ましい。
【0013】
キサンタンガム粒子と水溶性分散剤との混合は混合機などを用いて行うことができ、その際の混合比は、キサンタンガム粒子の分散性を補助し得る範囲で任意に定め得ることができる。例えば、液状食品への分散性および溶解後の良好な粘度形成の観点から、その混合比は、キサンタンガム粒子と水溶性分散剤との重量比として、1:9〜7:3、好ましくは、2:8〜5:5、より好ましくは、7:13(35:65)とすることができる。
【0014】
上記の通り調製された食品テクスチャー改良用組成物は、低温の液状食品であっても液状食品に対し1〜3%程度添加することによって速やかに分散し、また機械を用いずに数分程度攪拌子などで混合するだけで塊などを残さずに容易に溶解して、液状食品の均質なゾル化を誘導することができる。そして、ゾル化された食品は、キサンタンガムの特性を有効に発揮し、摂食温度範囲内で安定な粘度が保持され、また、低付着性であるため嚥下適性に一層優れた食品となる。さらには、ゾル化された食品は、従来の増粘剤を用いた場合の曳糸性も極めて低く、食事介助などの作業性、衛生性も向上し得る。
【0015】
このように本発明によれば、優れた性質も有しながらもその溶解性の低さから使用が困難であったキサンタンガムを主剤とする増粘剤を家庭的、病院内でも簡易に用いることが可能となる。また、食品加工工場などでも、本発明の組成物を用いることにより、キサンタンガムが食品へ容易に分散、溶解するため、攪拌機などの設備の簡易化・小型化や作業の効率化等を図ることも可能となる。さらに、本改良剤は医療・介護目的、工業的目的以外にも、片栗粉やくず粉の代用品として一般の調理材料として用いることもできる。本改良剤は片栗粉やくず粉に比べ、安定したとろみを保持することができるため、例えば、菓子や料理などにおいて、調理後の温度変化によるレオロジー変性を防止し、安定した食感等を提供することが可能となる。
【0016】
また、本組成物はゾル化を誘導するだけではなく、ゲル化を誘導するために用いることができる。ゲル化を誘導するための食品テクスチャー改良用組成物では、上記キサンタンガム粒子、水溶性分散剤粒子に加えて、ゲル化剤を添加する必要がある。このゲル化剤は、食品のゲル化を誘導し得る食用可能なものであればよく、例えば、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、寒天、ゼラチンなどを単独であるいは組合せて用いることができる。これらゲル化剤は、粉末状であっても、上記ゾル化剤などと同様に粒子状としてもよい。
【0017】
このゲル化剤は、キサンタンガム粒子および水溶性分散剤粒子に添加・混合される。このゲル化剤の添加量は、キサンタンガム:ゲル化剤の重量比として、1:9〜9:1の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲とすることができる。ゲル化剤としてローカストビーンガムおよび寒天を組み合わせて用いた一例を挙げれば、ローカストビーンガム、寒天、キサンタンガム、水溶性分散剤のぞれぞれの割合は、およそ2:3:6:10とすることが好適であるが、この割合に限定されるものではなく、ゲル化を誘導し得る範囲内で変更可能である。
【0018】
上記のとおり構成されたゲル化用の食品テクスチャー改良用組成物では、加温した液状食品に0.5%〜1.5%添加することにより速やかに分散し、機械を用いることなく簡単に攪拌することにより溶解する。そして、溶解後に液状食品の温度を下げることにより、ゼラチンゼリー様のゲルを形成することができる。そして、ゲル化された食品は、寒天に近い付着性と、ゼラチンと同様の高い凝集性を有する嚥下特性の優れた食品に改良される。また、冷却後のゲル化食品をさらに昇温させた場合でも、ゲルの溶解はきわめて緩やかで、60度程度でも安定性を保持し得るため、従来、ゼラチンでは困難であった温かい液状食品を温かいゲル化食品に改良することも可能となる。
【0019】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0020】
[実施例1] ゾル化用食品テクスチャー改良用組成物の分散性、改良後のゾルの粘度
種々の粒子サイズからなるゾル化用食品テクスチャー改良用組成物を次の通り調製した。
原料のキサンタンガムをフローコーター(フロイント産業製)で造粒し、この造粒体を網の目の大きさ710、600、500、355、250μmのフィルターを備えた篩い機に順じ通し、一定サイズ毎の粒子をそれぞれ回収した。
一方、水溶性分散剤としてデキストリンを準備し、これをフローコーター(フロイント産業製)で造粒体とし、上記キサンタンガム粒子と同様に一定サイズ毎の粒子を回収した。
それぞれサイズ毎に回収されたキサンタンガム粒子と水溶性分散剤粒子とを重量比で35:65(後述する実施例3において良好であった混合比率)となるように混合機に添加し、混合して、テクスチャー改良剤を調製した。
上記において調製された各改良剤の分散性および改良後のゾルの粘度を次の通り測定した。60℃の蒸留水300mlに各粒子サイズからなる改良剤6g(2%となるように)を添加して、スパーテルを用いて1分間攪拌後の分散性を測定した。また、B型粘度計(12回転/分、プランジャーNo.3)を用い、測定温度25℃にて、上記1分間の攪拌後、2分、5分または10分経過時点の試料の粘度を測定した。分散性、粘度の測定結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
なお、表1における分散性の結果は分散性が良好なものより◎、○、△、×で表し、各記号の基準は次の通りである。◎:分散性が極めて良好で塊状の解け残りを全く生じさせない、○:ほぼ均一に分散し肉眼で確認できる塊状の解け残りは確認できない、△:分散するが極細かな塊状の解け残りが確認される、×:1cm以上の塊状の解け残りが確認される。
表1に示すように、分散性は粒子径が大きくなるに従って、向上することが示された。一方、粘度は若干測定時間によりピーク値は異なるが、粒子径の小さいものから710μmで比較的高い粘度を示し、粒子直径が710μmを越えると粘度が低下する傾向があることが示された。これら結果を考慮して、粒子サイズとしては、250〜710μm、より好ましくは、355〜600μmであることが示された。
【0023】
[実施例2] 溶解性の比較
上記実施例1で調製した粒子サイズ355〜600μmからなるテクスチャー改良用組成物(以下「実施品」という)と、キサンタンガム等の原料が造粒されていない改良剤(以下「参照品」という)とで溶解性の比較を行った。
60℃蒸留水300mlに実施品または参照品を6g(2%となるように)投入した。投入後、スパーテルを用いて1分間攪拌した。試料投入直後、攪拌後、さらに試料投入5分経過時点における実施品または参照品の溶解状態を観察した。これら各段階における観察結果を図1に示す。
図1に示すように、参照品では試料投入時、水面に浮いたまま変化はないが(A−1)、実施品では投入直後からかなりの割合の試料が水面から水中に自然に分散を開始している状態が観察されている(B−1)。また、攪拌直後、参照品では大きな塊が多数溶けずに残ってしまったが(A−2)、実施品では参照品のような塊状はなく一様に溶解している状態が観察された(B−2)。さらに、試料投入5分経過後、参照品では多数の溶け残った塊が存在したまま不均質なゾルが形成されたが(A−3)、実施品では試料の塊など無い均質なゾルが形成された(B−3)。以上の通り、参照品に比べ実施品は分散性、溶解性が著しく高く、簡便に均質なゾル化を誘導し得ることが示された。
【0024】
[実施例3] 混合比率の検討
テクスチャー改良用組成物中のキサンタンガムと水溶性分散剤との混合比率を検討した。キサンタンガム造粒品と水溶性分散剤の造粒品とを表2に示す割合(%)で混合した試料を調製し、各試料の液体への分散性等を測定した。
【0025】
【表2】
【0026】
分散性の測定は次の通り行った。300ml蒸留水(25または90℃)を含む500mlビーカーに各割合で調製した試料を3g(1%)投入し、2秒後にスパーテルを用いて攪拌を開始し、1分間攪拌(180回/分程度の速さで攪拌)を行った。この攪拌後の溶液を観察し、分散性を評価した。評価は分散性の高い順に◎、○、△、▲、×の5段階で行った。(◎:分散性が極めて良好で塊状の解け残りを全く生じさせない。○:ほぼ均一に分散し肉眼で確認できる塊状の解け残りは確認できない。△:分散するが極細かな塊状の解け残りが確認される。▲:1cm程度の塊状の解け残りが確認される。×:1cm以上の塊状の解け残りが確認される。)なお、サンプルの投入量は同様の粘度を発現させるために必要な混合粉体の量として換算し、キサンタンガム濃度として蒸留水に対し0.7w/v%となるように調整した。
また、攪拌後の溶液の粘度をB型粘度計を用いて測定した。溶液を300mlトールビーカーに移し、B型粘度計を用いて測定を開始し、試料投入5分経過後の粘度を読み取った。なお、B型粘度計の測定条件はプランジャーN0.3を用い、12回転/分とした。
これら分散性および溶液の粘度の測定結果のまとめを表3および図2に示す。また、分散性の観察結果について図3および図4に示す。
【0027】
【表3】
【0028】
表3および図2、3、4に示されているように、キサンタンガム:水溶性分散剤の割合が35:65〜20:80において、良好な分散性が示された。この分散性は、低温の水に対してはキサンタンガムの割合が上昇するにつれて大きく低下する傾向が示された。また、高温の水に対して、低温の水ほど大きくはないがキサンタンガムの割合が上昇するにつれて緩やかに分散性が低下することが示された。また一方で、高温の水ではキサンタンガムの割合が少なくなると低温よりも分散性に与える影響があることも示された。これは水溶性分散剤が多孔性で、非常に嵩比重が小さく、大きな浮力が働くためと考えられる。
水溶液の粘度の点からは、また、キサンタンガム:水溶性分散剤の割合が35:65付近でピークが観察され、この良好な粘度はキサンタンガムの割合が低い範囲では比較的維持される傾向にあるが、キタンサンガムの割合が上昇するにつれて、粘度の低下が大きいことが示された。
上記結果より、分散性の観点からはキサンタンガム:水溶性分散剤の割合が7:3あるいはそれよりもキサンタンガムの割合が少なければ然程大きな塊を残すことなく分散し・溶解し、好ましくはキサンタンガム:水溶性分散剤の割合が5:5またはそれよりもキサンタンガムの割合が少なければよく、さらにある程度粘度がある液状食品に対して溶解させることを考慮すると、より好ましくはキサンタンガム:水溶性分散剤の割合が5:5よりもキサンタンガムの割合が少ないことが望ましい。また、取り扱い、コストなどの面を考慮すると、水溶性分散剤の割合が上昇すると用量が増し取り扱いが煩雑になり、コスト高となる。そのため、この点を加味すると、良好な分散性を発揮し得る2:8〜35:65(キサンタンガム:水溶性分散剤)の混合比が好ましく、さらに粘度の観点からは35:65(キサンタンガム:水溶性分散剤)の混合比がより一層好ましいと考えられる。
【0029】
[実施例4] ドラムドライヤーによるデキストリン造粒体の使用
ドラムドライヤーによるデキストリンの造粒体を使用し組成物を調製し、その分散性を検討した。なお、ドラムドライヤーは溶液または固形物の懸濁液から直接乾燥物を連続的に得る方法である。この乾燥方法は化成品、薬品、食品などの分野に幅広く応用されている。基本的な操作は、蒸気の吸込みにより加熱された回転ドラムに原料となる液状(もしくはペースト状)物を供給し、ドラム表面に付着させ、ドラムが一回転する間に物質を速やかに蒸発乾燥させる。乾燥物は固定したナイフにより連続的にドラム表面より掻き落され造粒体が得られる。このドラムドライヤーによる造粒物は、フローコーティング法で得られる滑らかな表面を有する造粒体とは異なり、表面が金平糖のような角状あるいはいぼ状の突起が形成される。
このドラムドライヤーによるデキストリン造粒体を使用した組成物では、キサンタンガム粒子の分散性、溶解性がより向上した。おそらくデキストリン粒子表面に形成された突起により、水溶液に添加した際のデキストリン粒子表面の濡れが遅延され、キサンタンガム粒子間の付着がより抑制されたことによるためと考えられる。
【0030】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によれば、キサンタンガムを主剤とする食品テクスチャー改良用組成物の溶解性、分散性を向上させて、簡便な攪拌などで液状食品への溶解を促すことが可能となる。そして、改良剤が溶解した後の液状食品では、キサンタンガムの特性が有効に発揮され、低付着性および高凝集性等が均質かつ安定的に保持される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2において、(A)キサンタンガムなどの原料が造粒されていない改良剤を参照品として、(B)本発明の実施品の蒸留水(60℃)に対する溶解性、分散性を解析した結果を示す写真である。なお、解析は(1)試料投入直後、(2)攪拌直後、(3)試料投入5分経過後の時点における試料の溶解性、分散性を観察することにより行った。
【図2】実施例3においてキサンタンガムと水溶性分散剤とを種々の混合比で調製した改良剤を蒸留水に溶解させた後の溶液の粘度を示すグラフである。
【図3】実施例3において、キサンタンガムと水溶性分散剤とを種々の混合比で調製した改良剤を蒸留水(25℃)へ分散させ、攪拌溶解させた後の溶液の状態をビーカー上部から観察した写真である。
【図4】実施例3において、キサンタンガムと水溶性分散剤とを種々の混合比で調製した改良剤を蒸留水(90℃)へ分散させ、攪拌溶解させた後の溶液の状態をビーカー上部から観察した写真である。
Claims (7)
- 液状食品のレオロジーを変化させる食品テクスチャー改良用組成物であって、
キサンタンガムと、水溶性分散剤とを含み、
前記キサンタンガムおよび前記水溶性分散剤がそれぞれ造粒されている、食品テクスチャー改良用組成物。 - 水溶性分散剤がデキストリン、乳糖、澱粉のいずれかまたはその組合せからなる、請求項1記載の食品テクスチャー改良用組成物。
- キサンタンガムと水溶性分散剤との重量比が1:9から7:3の範囲である、請求項1または2記載の食品テクスチャー改良用組成物。
- さらにゲル化剤を含む、請求項1または2記載の食品テクスチャー改良用組成物。
- ゲル化剤として、ローカストビーンガム、カラギーナン、ジェランガム、寒天、ゼラチンのいずれかまたはその組合せからなる、請求項4記載の食品テクスチャー改良用組成物。
- キサンタンガムとゲル化剤との重量比が1:9から9:1の範囲である、請求項4または5に記載の食品テクスチャー改良用組成物。
- 水溶性分散剤の粒子表面に突起が形成されている請求項1から6のいずれかに記載の食品テクスチャー改良用組成物。
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