JP2004359577A - ゲル化用添加物及びそのゲル化用添加物を用いた薬物保持担体並びにその薬物保持担体の製造方法。 - Google Patents
ゲル化用添加物及びそのゲル化用添加物を用いた薬物保持担体並びにその薬物保持担体の製造方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】カルシウム水溶液のみで薬物等の物質を固定化でき、更にその放出速度をカルシウム等の濃度によって簡単に制御し得る薬物保持担体を見い出さんとする。
【解決手段】ゲル化用添加物はペクチンを酸加水分解処理し、分子量を低下させて得られたものである。又本発明のゲル加用添加物とペクチンを含む溶液に薬物を加えて均一に撹拌し、この均一に撹拌した溶液をカルシウム水溶液に滴下して球状のゲルビーズを得ることができる。
【選択図】なし
【解決手段】ゲル化用添加物はペクチンを酸加水分解処理し、分子量を低下させて得られたものである。又本発明のゲル加用添加物とペクチンを含む溶液に薬物を加えて均一に撹拌し、この均一に撹拌した溶液をカルシウム水溶液に滴下して球状のゲルビーズを得ることができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品として日常的に経口で摂取され、又増粘剤やゲル化剤等の食品添加物として汎用されているペクチンを利用した新規のゲル化用添加物、及びそのゲル化用添加物を用いた薬物保持担体、並びにその薬物保持担体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペクチンは植物細胞を構成する天然多糖類の一種であるため、食品として日常的に経口で摂取され、又増粘剤、ゲル化剤等の食品添加物としても汎用されている。
ペクチンの基本骨格はポリガラクツロン酸とそのメチルエステル体であるが、メトキシル基含量の程度により、高メトキシルペクチン(天然の果実、果皮に含有)と低メトキシルペクチン(加工によって人工的に作られる)に分けられる。
ペクチンゲル調製の一つとして、カルシウムイオン(例えば牛乳中に含有)によるゲル化が用いられている。
【0003】
ペクチンは食品添加物として主にハイドロゲルにおける性質が研究されており、原料由来の分子量、メトキシル基含有量等の違いにより、異なったゲルマトリクス構造をとると考えられるため、各種ペクチンの配合によって、そのゲル特性を制御する試みがなされてきた。
近年、薬物保持担体としてのペクチンが注目され、ゲル調製条件と薬物放出制御能が検討された。
しかしながら、製剤素材としての応用のためには乾燥時のゲル特性も重要であり、グルタールアルデヒド等のゲル強化剤が用いられた。
【0004】
そして、上記研究に関しての最近の論文には、C.Lofgren,P.Walkenstrom,A.M.Hermansson,Microstructure and rheological behavior of pureand mixed pectin gels,Biomacromolecules 3(2002)1144−1153.
T.W.Wong,H.Y.Lee,L.W.Chan,P.W.S.Heng,Drug release properties of pectinate microspheres prepard by emulsification method,Int.J.Pharm.242(2002)233−237.等がある。
【0005】
他方、特開平10−155432にはペクチンの溶解性を改善し、高濃度に溶解しても増粘が少なく、添加した際の乳化破壊を起こさない乳化安定性、分散性及び溶解性が高く、飲用時になめらかな食感を得られる新規ペクチンが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ペクチンの経口投与製剤素材としての利用について、その安全性を考慮する時、調製後、除去する必要のない成分のみでゲルマトリクスを作製する必要があり、しかも含水時、乾燥時ともに操作性に優れた性状が要求される。
そこで、発明者らはペクチンを酸加水分解した後、その加水分解物をゲル化用添加物として用いて、カルシウム水溶液のみで薬物等の物質を固定化でき、更にその放出速度をカルシウム等の濃度によって簡単に制御し得る薬物保持担体を見い出さんとするものである。
又、調製した薬物保持担体の各種水溶液中での崩壊挙動並びに薬物放出挙動について検討を加えたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のゲル化用添加物は、ペクチンを酸加水分解処理し、分子量を低下させたものである。
又、本発明のゲル化用添加物とペクチンを含む溶液に薬物を加えて均一に撹拌し、この均一に撹拌した溶液をカルシウム水溶液に滴下して球状のゲルビーズを得ることができるものである。
【0008】
ゲル化用添加物は3%乃至5%、ペクチンは2%含む溶液とすることが最適であり、塩化カルシウムの濃度を変えることによって薬物の放出速度を調製することができる。
【0009】
ペクチンの低分子化した酸加水分解物をゲル化用添加物として利用することにより、グルタールアルデヒド等のゲル強化剤を用いることなく、塩化カルシウム水溶液中で瞬時に高効率で薬物等の物質を固定化可能なハイドロゲルビーズ並びに乾燥ゲルビーズの調製が可能である。
【0010】
更に、摂取後に消化管内で含有物を放出する時、その放出速度はカルシウム濃度により任意に制御し得るのであり、経口摂取で安全性が高く、小児用や高齢者用の薬剤の形態として優れている。
【0011】
【発明の実施の形態】
ペクチン(PT)を酸加水分解処理し、分子量を低下させたゲル化用添加物を調製するための一実施の形態を説明する。
ペクチン3gを蒸留水70mLに加えて十分撹拌した後、リービッヒ冷却塔を装着した丸底フラスコに入れ、沸騰水浴中で加温する。
その後、濃塩酸を添加、系中約0.2M HCI溶液として、更に沸騰水浴中で2時間加温する。
室温に冷却後、水酸化ナトリウム溶液を加えて中和し、その溶液にエタノールを添加して白色の沈殿物を得る。
遠心分離機(3000rpm、5分)により得られた白色〜灰白色の沈殿物を更にエタノールにて洗浄後、ドラフト内にて風乾し、五酸化りん(乾燥剤)の存在下、デシケータ内で減圧下乾燥する。
乾燥後、メノウ乳棒・乳鉢にて粉砕し、ふるい(80メッシュ、約200μm)を通して粉末とした本発明のゲル化用添加物を得た。
【0012】
この処理によって、PT−FC(フルカ、かんきつ類の皮由来:脱メトキシル度DE 60%以下)、PT−FA(フルカ、りんご由来:DE 70〜75%)及びPT−SC(シグマ、かんきつ類由来)を用いて酸加水分解物であるゲル化用添加物を得て、溶液粘度と分子量を測定した結果は、図1及び図2の表の通りであった。
【0013】
図1の表は、十分に撹拌した試料溶液をブルックフイールド粘度計を用いて室温(25℃)にて粘度を測定したものである。
この結果からは、PT−FC、PT−FAのいずれのペクチンにおいても、酸加水分解後のゲル化用添加物の粘度は原料の4分の1或いは6分の1となり、この多糖類の低分子化が起きていると考えられる。
尚、原料であるペクチンPT−FCの2%溶液、4%溶液の粘度は、それぞれ135cp、1630cpであり、4%以上の濃度においては非常に粘度が高くなり、水溶液としての操作性に問題があった。
【0014】
図2の表は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量の測定を以下の装置により行った結果である。
カラム:Shodex SB−806M(300 x 8mm i.d.)
ポンプ:Shimadzu LC−10AS
検出器:示差屈折率計Shimadzu RID−10A
溶離液:50mM 燐酸緩衝液(pH7.0)、温度:室温、流速:0.5mL/min
標準品:プルラン(分子量5.900−790,000)
【0015】
そこで、原料ペクチンの平均分子量と比較すると、ペクチンの酸加水分解物であるゲル化用添加物は原料の平均分子量の4分の1〜6分の1であり、先の粘度測定結果もふまえて考察すれば、これは酸加水分解によってグリコシド結合が解裂し、低分子化が起こったものと思われる。
なぜならば、ペクチンに存在しているメトキシル基の加水分解だけでは、このような分子量低下は起こらないと考えられるためである。
【0016】
次に、前記ゲル化用添加物を用いた薬物保持担体の調製についての一実施の形態を説明する。
ペクチン(PT−FC)2%並びにゲル化用添加物(PT−FC由来)4%を含む溶液にモデル薬物(ジクロフェナクナトリウム:和光純薬)を加えて均一に撹拌し、駒込ピペットを用いてこの溶液2gを0.1〜0.6M塩化カルシウム水溶液10mLに滴下する。滴下と同時に球状のゲルビーズが形成された。
室温にて3時間放置後、球状のゲルビーズをふるいにて取り出し、約50mLの蒸留水で洗浄する(ハイドロゲルビーズ)。
その後、シャーレ上に移し、30℃にて8時間以上乾燥し、デシケータ中に減圧下で保存した。
【0017】
このように、CaCl2溶液中での球状ゲル形成能については、2%ペクチン(PT−FC)と4%ゲル化用添加物(PT−FC由来)の混合溶液では、0.1M CaCl2溶液への滴下直後にしつかりとしたゲルビーズが形成され、撹拌しても形状が維持された。
3時間後、取り出したハイドロゲルビーズの径は4.1±0.3mm(n=43)であり、その後、乾燥ゲルビーズとすることも可能であった。
更に、PT−FC以外のペクチンから得られたゲル化用添加物についても、同様の効果が認められ、原料であるペクチンの種類によらず利用できるものであった。
又、このゲルビーズにモデル薬物(ジクロフェナクナトリウム:和光純薬)を含有させた時、その固定化率は90%以上であり、ヒドロコルチゾン(和光純薬)等の他の薬物も同様に固定化可能であった。
【0018】
一方、2%ペクチン溶液(例えばPT−FC)では0.1M CaCl2溶液への滴下すると、すぐにゲルの凝集が起こった。4%PT−FCはCaCl2溶液への滴下直後にゲルビーズが形成されるが、時間と共に凝集した。
これらはCaCl2濃度を上げても同様であった。6%では溶液の粘性が高く、滴下の操作が非常に困難であった。
更に、2%ペクチンにキトサン(君津化学)、キチン、カードラン(和光純薬)を添加しても、ゲルビーズの形成は認められなかった。
尚、ゲル化用添加物(PT−FC由来)10%溶液をCaCl2溶液へ滴下した時、ゲルビーズ形成はみられたが、非常にやわらかく、次第に凝集した。
【0019】
したがって、ペクチンの酸加水分解物であるゲル化用添加物は低分子量のペクチンとして機能し、そのゲルマトリクス形成に関わることが示され、2%ペクチンと3乃至5%ゲル化用添加物により、薬物固定化可能なゲルビーズの作製が可能であった。又その粘性が許すならば、5%以上のゲル化用添加物の添加も可能である。
【0020】
又、形成されたゲルビーズの崩壊試験を以下の通り行い、その結果を図3及び図4に表した。
あらかじめ、37℃に加温した生理食塩水或いは日局崩壊試験法第2液(人工腸液、pH6.8)20mLに対し、ゲルビーズ(ハイドロゲルビーズ調製時2g)を加えて振とうする。
経時的に試料溶液1mLを採取し、液量を一定に保つために、試験溶液1mLを補充した。
試料溶液は遠心分離(10000rpm、5分)後、上清0.5mLを取り出し、新たに用意した試験溶液0.5mLに加えて総量1mLとした(試験溶液)。
この試験溶液中に含まれるペクチン並びにゲル化用添加物の量を比色定量により測定し、崩壊率は溶出液中のペクチン量をゲルビーズに理論上含まれるペクチン量で除して算出した。
【0021】
2%PT−FCと4%ゲル化用添加物(PT−FC由来)の混合溶液により調製したゲルビーズは、生理食塩水中で膨潤するが、その崩壊は肉眼的に観察されなかった。
実際、図3に示すように、調製時のCaCl2濃度にかかわらず、ゲルビーズからのペクチン或いはそのゲル化用添加物の漏出は殆ど認められなかった。
一方、第2液(pH6.8)中においてゲルビーズは徐々に崩壊したが、図4に示すように、調製時のCaCl2濃度の上昇と共に、ゲルビーズから漏出するペクチン並びにゲル化用添加物は減少し、ゲルビーズの崩壊が抑制された。
【0022】
更に、形成されたゲルビーズの薬物溶出試験を行った。
日本薬局方第14改正「溶出試験法第2法パドル法」に従い、溶出試験液として、生理食塩水、日局崩壊試験法第1液(人工胃液、pH1.2)並びに第2液(人工腸液、pH6.8)500mLを用いた。
モデル薬物(ジクロフェナクナトリウム:和光純薬)を含有したゲルビーズ(ハイドロゲルビーズ調製時2g)をサンプルとし、37℃、150rpmにより行った。
経時的に試料溶液4mLを採取し、液量を一定に保つために試験溶液4mLを補充した。試料溶液は遠心分離(3000rpm、10分)後、その上清を取り出し、分光光度計により275nmの吸光度を測定した。全ての溶出試験は3回行い、検量線は各試験溶液について予め作製した。
【0023】
その結果、PT−FCとそのゲル化用添加物で調製されたゲルビーズについて
(1)崩壊試験法第1液(Ph1.2)中では薬物放出速度は小さく、2時間後、ゲルビーズに固定化された薬物のうち、約10%が放出されたが、これはモデル薬物ジクロフェナクナトリウムの試験液に対する溶解度の低さに起因すると考えられる。
(2)生理食塩水中では、図5に示したように、ゲルビーズより薬物は徐々に放出され、調製時の塩化カルシウム濃度0.05M〜0.2Mにおいて、その濃度の増加に伴う放出速度の抑制が見られた。
(3)図6に示すように、第2液中ではゲル自体の崩壊に伴う薬物放出が観察され(ゲル崩壊試験結果参照)、その崩壊がゲルビーズからの薬物放出速度に反映した。
(4)ゲルビーズへのゲル化用添加物の含有量を3〜5%に変化させた場合、図7に示すように、3%含有ではその放出速度は若干速くなったが、4%と5%では略同様の薬物放出挙動となった。
【0024】
第2液中に見られたゲルビーズ崩壊性と含有薬物放出速度の関連性は、他のペクチンとそれから得られたゲル化用添加物によって調製されたゲルビーズにおいても、同様に観察された(図8、図9)。
【0025】
したがって、ペクチンとそのゲル化用添加物から調製されたゲルビーズは、薬物保持担体として優れた薬物固定化、放出制御機能を持つことが確認された。
【0026】
【発明の効果】
ペクチンの酸加水分解物をゲル化用添加物として利用することにより、グルタールアルデヒド等のゲル強化剤を用いることなく、塩化カルシウム水溶液中で瞬時に薬物固定化可能なハイドロゲルビーズ並びに乾燥ゲルビーズの調製が可能となる効果を有する。これは経口摂取の安全性にとって大きなメリットである。
【0027】
又、ゲルビーズは高効率で薬物等の物質を固定化することが可能であり、更にゲルビーズが摂取された後に消化管内で含有物を放出する時、その放出速度はカルシウム濃度等により、任意に制御し得る効果も発揮する。
【0028】
今回、開発したゲルビーズは経口摂取で非常に安全性が高く、例えば小児用或いは高齢者用の製剤の形態としても優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】粘度の比較表である。
【図2】平均分子量の比較表である。
【図3】生理食塩水中でのゲルビーズの崩壊挙動を表すグラフである。
【図4】第2液中(pH6.8)でのゲルビーズの崩壊挙動を表すグラフである。
【図5】生理食塩水中でのゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
【図6】第2液中(pH6.8)でのゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
【図7】ゲル化用添加物の薬物放出挙動に及ぼす影響を表すグラフである。
【図8】2%PT−FCと4%ゲル化用添加物(PT−SC由来)により、0.1M CaCl2溶液で調製したゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
【図9】2%PT−FCと4%ゲル化用添加物(PT−SC由来)により、0.1M CaCl2溶液にて調製したゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品として日常的に経口で摂取され、又増粘剤やゲル化剤等の食品添加物として汎用されているペクチンを利用した新規のゲル化用添加物、及びそのゲル化用添加物を用いた薬物保持担体、並びにその薬物保持担体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペクチンは植物細胞を構成する天然多糖類の一種であるため、食品として日常的に経口で摂取され、又増粘剤、ゲル化剤等の食品添加物としても汎用されている。
ペクチンの基本骨格はポリガラクツロン酸とそのメチルエステル体であるが、メトキシル基含量の程度により、高メトキシルペクチン(天然の果実、果皮に含有)と低メトキシルペクチン(加工によって人工的に作られる)に分けられる。
ペクチンゲル調製の一つとして、カルシウムイオン(例えば牛乳中に含有)によるゲル化が用いられている。
【0003】
ペクチンは食品添加物として主にハイドロゲルにおける性質が研究されており、原料由来の分子量、メトキシル基含有量等の違いにより、異なったゲルマトリクス構造をとると考えられるため、各種ペクチンの配合によって、そのゲル特性を制御する試みがなされてきた。
近年、薬物保持担体としてのペクチンが注目され、ゲル調製条件と薬物放出制御能が検討された。
しかしながら、製剤素材としての応用のためには乾燥時のゲル特性も重要であり、グルタールアルデヒド等のゲル強化剤が用いられた。
【0004】
そして、上記研究に関しての最近の論文には、C.Lofgren,P.Walkenstrom,A.M.Hermansson,Microstructure and rheological behavior of pureand mixed pectin gels,Biomacromolecules 3(2002)1144−1153.
T.W.Wong,H.Y.Lee,L.W.Chan,P.W.S.Heng,Drug release properties of pectinate microspheres prepard by emulsification method,Int.J.Pharm.242(2002)233−237.等がある。
【0005】
他方、特開平10−155432にはペクチンの溶解性を改善し、高濃度に溶解しても増粘が少なく、添加した際の乳化破壊を起こさない乳化安定性、分散性及び溶解性が高く、飲用時になめらかな食感を得られる新規ペクチンが開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ペクチンの経口投与製剤素材としての利用について、その安全性を考慮する時、調製後、除去する必要のない成分のみでゲルマトリクスを作製する必要があり、しかも含水時、乾燥時ともに操作性に優れた性状が要求される。
そこで、発明者らはペクチンを酸加水分解した後、その加水分解物をゲル化用添加物として用いて、カルシウム水溶液のみで薬物等の物質を固定化でき、更にその放出速度をカルシウム等の濃度によって簡単に制御し得る薬物保持担体を見い出さんとするものである。
又、調製した薬物保持担体の各種水溶液中での崩壊挙動並びに薬物放出挙動について検討を加えたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のゲル化用添加物は、ペクチンを酸加水分解処理し、分子量を低下させたものである。
又、本発明のゲル化用添加物とペクチンを含む溶液に薬物を加えて均一に撹拌し、この均一に撹拌した溶液をカルシウム水溶液に滴下して球状のゲルビーズを得ることができるものである。
【0008】
ゲル化用添加物は3%乃至5%、ペクチンは2%含む溶液とすることが最適であり、塩化カルシウムの濃度を変えることによって薬物の放出速度を調製することができる。
【0009】
ペクチンの低分子化した酸加水分解物をゲル化用添加物として利用することにより、グルタールアルデヒド等のゲル強化剤を用いることなく、塩化カルシウム水溶液中で瞬時に高効率で薬物等の物質を固定化可能なハイドロゲルビーズ並びに乾燥ゲルビーズの調製が可能である。
【0010】
更に、摂取後に消化管内で含有物を放出する時、その放出速度はカルシウム濃度により任意に制御し得るのであり、経口摂取で安全性が高く、小児用や高齢者用の薬剤の形態として優れている。
【0011】
【発明の実施の形態】
ペクチン(PT)を酸加水分解処理し、分子量を低下させたゲル化用添加物を調製するための一実施の形態を説明する。
ペクチン3gを蒸留水70mLに加えて十分撹拌した後、リービッヒ冷却塔を装着した丸底フラスコに入れ、沸騰水浴中で加温する。
その後、濃塩酸を添加、系中約0.2M HCI溶液として、更に沸騰水浴中で2時間加温する。
室温に冷却後、水酸化ナトリウム溶液を加えて中和し、その溶液にエタノールを添加して白色の沈殿物を得る。
遠心分離機(3000rpm、5分)により得られた白色〜灰白色の沈殿物を更にエタノールにて洗浄後、ドラフト内にて風乾し、五酸化りん(乾燥剤)の存在下、デシケータ内で減圧下乾燥する。
乾燥後、メノウ乳棒・乳鉢にて粉砕し、ふるい(80メッシュ、約200μm)を通して粉末とした本発明のゲル化用添加物を得た。
【0012】
この処理によって、PT−FC(フルカ、かんきつ類の皮由来:脱メトキシル度DE 60%以下)、PT−FA(フルカ、りんご由来:DE 70〜75%)及びPT−SC(シグマ、かんきつ類由来)を用いて酸加水分解物であるゲル化用添加物を得て、溶液粘度と分子量を測定した結果は、図1及び図2の表の通りであった。
【0013】
図1の表は、十分に撹拌した試料溶液をブルックフイールド粘度計を用いて室温(25℃)にて粘度を測定したものである。
この結果からは、PT−FC、PT−FAのいずれのペクチンにおいても、酸加水分解後のゲル化用添加物の粘度は原料の4分の1或いは6分の1となり、この多糖類の低分子化が起きていると考えられる。
尚、原料であるペクチンPT−FCの2%溶液、4%溶液の粘度は、それぞれ135cp、1630cpであり、4%以上の濃度においては非常に粘度が高くなり、水溶液としての操作性に問題があった。
【0014】
図2の表は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量の測定を以下の装置により行った結果である。
カラム:Shodex SB−806M(300 x 8mm i.d.)
ポンプ:Shimadzu LC−10AS
検出器:示差屈折率計Shimadzu RID−10A
溶離液:50mM 燐酸緩衝液(pH7.0)、温度:室温、流速:0.5mL/min
標準品:プルラン(分子量5.900−790,000)
【0015】
そこで、原料ペクチンの平均分子量と比較すると、ペクチンの酸加水分解物であるゲル化用添加物は原料の平均分子量の4分の1〜6分の1であり、先の粘度測定結果もふまえて考察すれば、これは酸加水分解によってグリコシド結合が解裂し、低分子化が起こったものと思われる。
なぜならば、ペクチンに存在しているメトキシル基の加水分解だけでは、このような分子量低下は起こらないと考えられるためである。
【0016】
次に、前記ゲル化用添加物を用いた薬物保持担体の調製についての一実施の形態を説明する。
ペクチン(PT−FC)2%並びにゲル化用添加物(PT−FC由来)4%を含む溶液にモデル薬物(ジクロフェナクナトリウム:和光純薬)を加えて均一に撹拌し、駒込ピペットを用いてこの溶液2gを0.1〜0.6M塩化カルシウム水溶液10mLに滴下する。滴下と同時に球状のゲルビーズが形成された。
室温にて3時間放置後、球状のゲルビーズをふるいにて取り出し、約50mLの蒸留水で洗浄する(ハイドロゲルビーズ)。
その後、シャーレ上に移し、30℃にて8時間以上乾燥し、デシケータ中に減圧下で保存した。
【0017】
このように、CaCl2溶液中での球状ゲル形成能については、2%ペクチン(PT−FC)と4%ゲル化用添加物(PT−FC由来)の混合溶液では、0.1M CaCl2溶液への滴下直後にしつかりとしたゲルビーズが形成され、撹拌しても形状が維持された。
3時間後、取り出したハイドロゲルビーズの径は4.1±0.3mm(n=43)であり、その後、乾燥ゲルビーズとすることも可能であった。
更に、PT−FC以外のペクチンから得られたゲル化用添加物についても、同様の効果が認められ、原料であるペクチンの種類によらず利用できるものであった。
又、このゲルビーズにモデル薬物(ジクロフェナクナトリウム:和光純薬)を含有させた時、その固定化率は90%以上であり、ヒドロコルチゾン(和光純薬)等の他の薬物も同様に固定化可能であった。
【0018】
一方、2%ペクチン溶液(例えばPT−FC)では0.1M CaCl2溶液への滴下すると、すぐにゲルの凝集が起こった。4%PT−FCはCaCl2溶液への滴下直後にゲルビーズが形成されるが、時間と共に凝集した。
これらはCaCl2濃度を上げても同様であった。6%では溶液の粘性が高く、滴下の操作が非常に困難であった。
更に、2%ペクチンにキトサン(君津化学)、キチン、カードラン(和光純薬)を添加しても、ゲルビーズの形成は認められなかった。
尚、ゲル化用添加物(PT−FC由来)10%溶液をCaCl2溶液へ滴下した時、ゲルビーズ形成はみられたが、非常にやわらかく、次第に凝集した。
【0019】
したがって、ペクチンの酸加水分解物であるゲル化用添加物は低分子量のペクチンとして機能し、そのゲルマトリクス形成に関わることが示され、2%ペクチンと3乃至5%ゲル化用添加物により、薬物固定化可能なゲルビーズの作製が可能であった。又その粘性が許すならば、5%以上のゲル化用添加物の添加も可能である。
【0020】
又、形成されたゲルビーズの崩壊試験を以下の通り行い、その結果を図3及び図4に表した。
あらかじめ、37℃に加温した生理食塩水或いは日局崩壊試験法第2液(人工腸液、pH6.8)20mLに対し、ゲルビーズ(ハイドロゲルビーズ調製時2g)を加えて振とうする。
経時的に試料溶液1mLを採取し、液量を一定に保つために、試験溶液1mLを補充した。
試料溶液は遠心分離(10000rpm、5分)後、上清0.5mLを取り出し、新たに用意した試験溶液0.5mLに加えて総量1mLとした(試験溶液)。
この試験溶液中に含まれるペクチン並びにゲル化用添加物の量を比色定量により測定し、崩壊率は溶出液中のペクチン量をゲルビーズに理論上含まれるペクチン量で除して算出した。
【0021】
2%PT−FCと4%ゲル化用添加物(PT−FC由来)の混合溶液により調製したゲルビーズは、生理食塩水中で膨潤するが、その崩壊は肉眼的に観察されなかった。
実際、図3に示すように、調製時のCaCl2濃度にかかわらず、ゲルビーズからのペクチン或いはそのゲル化用添加物の漏出は殆ど認められなかった。
一方、第2液(pH6.8)中においてゲルビーズは徐々に崩壊したが、図4に示すように、調製時のCaCl2濃度の上昇と共に、ゲルビーズから漏出するペクチン並びにゲル化用添加物は減少し、ゲルビーズの崩壊が抑制された。
【0022】
更に、形成されたゲルビーズの薬物溶出試験を行った。
日本薬局方第14改正「溶出試験法第2法パドル法」に従い、溶出試験液として、生理食塩水、日局崩壊試験法第1液(人工胃液、pH1.2)並びに第2液(人工腸液、pH6.8)500mLを用いた。
モデル薬物(ジクロフェナクナトリウム:和光純薬)を含有したゲルビーズ(ハイドロゲルビーズ調製時2g)をサンプルとし、37℃、150rpmにより行った。
経時的に試料溶液4mLを採取し、液量を一定に保つために試験溶液4mLを補充した。試料溶液は遠心分離(3000rpm、10分)後、その上清を取り出し、分光光度計により275nmの吸光度を測定した。全ての溶出試験は3回行い、検量線は各試験溶液について予め作製した。
【0023】
その結果、PT−FCとそのゲル化用添加物で調製されたゲルビーズについて
(1)崩壊試験法第1液(Ph1.2)中では薬物放出速度は小さく、2時間後、ゲルビーズに固定化された薬物のうち、約10%が放出されたが、これはモデル薬物ジクロフェナクナトリウムの試験液に対する溶解度の低さに起因すると考えられる。
(2)生理食塩水中では、図5に示したように、ゲルビーズより薬物は徐々に放出され、調製時の塩化カルシウム濃度0.05M〜0.2Mにおいて、その濃度の増加に伴う放出速度の抑制が見られた。
(3)図6に示すように、第2液中ではゲル自体の崩壊に伴う薬物放出が観察され(ゲル崩壊試験結果参照)、その崩壊がゲルビーズからの薬物放出速度に反映した。
(4)ゲルビーズへのゲル化用添加物の含有量を3〜5%に変化させた場合、図7に示すように、3%含有ではその放出速度は若干速くなったが、4%と5%では略同様の薬物放出挙動となった。
【0024】
第2液中に見られたゲルビーズ崩壊性と含有薬物放出速度の関連性は、他のペクチンとそれから得られたゲル化用添加物によって調製されたゲルビーズにおいても、同様に観察された(図8、図9)。
【0025】
したがって、ペクチンとそのゲル化用添加物から調製されたゲルビーズは、薬物保持担体として優れた薬物固定化、放出制御機能を持つことが確認された。
【0026】
【発明の効果】
ペクチンの酸加水分解物をゲル化用添加物として利用することにより、グルタールアルデヒド等のゲル強化剤を用いることなく、塩化カルシウム水溶液中で瞬時に薬物固定化可能なハイドロゲルビーズ並びに乾燥ゲルビーズの調製が可能となる効果を有する。これは経口摂取の安全性にとって大きなメリットである。
【0027】
又、ゲルビーズは高効率で薬物等の物質を固定化することが可能であり、更にゲルビーズが摂取された後に消化管内で含有物を放出する時、その放出速度はカルシウム濃度等により、任意に制御し得る効果も発揮する。
【0028】
今回、開発したゲルビーズは経口摂取で非常に安全性が高く、例えば小児用或いは高齢者用の製剤の形態としても優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】粘度の比較表である。
【図2】平均分子量の比較表である。
【図3】生理食塩水中でのゲルビーズの崩壊挙動を表すグラフである。
【図4】第2液中(pH6.8)でのゲルビーズの崩壊挙動を表すグラフである。
【図5】生理食塩水中でのゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
【図6】第2液中(pH6.8)でのゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
【図7】ゲル化用添加物の薬物放出挙動に及ぼす影響を表すグラフである。
【図8】2%PT−FCと4%ゲル化用添加物(PT−SC由来)により、0.1M CaCl2溶液で調製したゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
【図9】2%PT−FCと4%ゲル化用添加物(PT−SC由来)により、0.1M CaCl2溶液にて調製したゲルビーズからの薬物放出挙動を表すグラフである。
Claims (7)
- ペクチンを酸加水分解処理し、分子量を低下させて得られたゲル化用添加物。
- 粉末状とした請求項1記載のゲル化用添加物。
- 請求項1又は2記載のゲル化用添加物とペクチンを含む溶液に薬物を加えると共に、塩化カルシウム水溶液に添加して球状ゲルを形成して成る薬物保持担体。
- 請求項1又は2記載のゲル化用添加物が3%乃至5%、及びペクチンを2%含む溶液である請求項3記載の薬物保持担体。
- 請求項1又は2記載のゲル化用添加物とペクチンを含む溶液に薬物を加えて均一に撹拌し、この均一に撹拌した溶液をカルシウム水溶液に滴下して球状のゲルビーズを得ることを特徴とする薬物保持担体の製造方法。
- 請求項1又は2記載のゲル化用添加物が3%乃至5%、及びペクチンを2%含む溶液である請求項5記載の薬物保持担体の製造方法。
- 塩化カルシウムの濃度を変えることによって薬物の放出速度を調製する請求項5又は6記載の薬物保持担体の製造方法。
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JP2003158094A JP2004359577A (ja) | 2003-06-03 | 2003-06-03 | ゲル化用添加物及びそのゲル化用添加物を用いた薬物保持担体並びにその薬物保持担体の製造方法。 |
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KR100882873B1 (ko) | 2007-05-30 | 2009-02-10 | 한양대학교 산학협력단 | 카테킨 함유 리포솜을 포집하는 펙틴 전달체 |
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- 2003-06-03 JP JP2003158094A patent/JP2004359577A/ja active Pending
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