JP2004047540A - 熱処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】均熱領域を拡大し被処理体の処理数を増加するために、伝熱量を低減できる保温体を有する熱処理装置を提供すること。
【解決手段】その一端側に炉口12を有する炉本体11と、炉本体11内の他端側に配置され、ウエハWを保持するボート30と、ボート30の少なくとも一端部を保持すると共に熱処理時に炉本体11内を保温する保温体20とを備え、保温体20は、境界位置Pに対しボート30側に配置された1枚の厚肉断熱板23と、境界位置Pに対し炉口12側に配置され、複数枚の薄肉断熱板22と、厚肉断熱板23及び薄肉断熱板22を水平に支持する支持体21とを備えていることを特徴とする。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体デバイス等の製造の際に用いられる被処理体に熱処理を加える縦型の熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造においては、半導体ウエハ(被処理体)に酸化、拡散、CVD、アニール等の処理を施すために、各種の熱処理装置が使用されている。このような熱処理装置の一つとして縦型の熱処理装置が知られている。縦型の熱処理装置は、複数枚のウエハを上下方向に所定間隔で支持したボートを縦型熱処理炉の上部に保温体である断熱構造体を介して載置することで、ウエハを炉内の均熱領域で熱処理するようにしたものである。この縦型の熱処理装置においては、炉内における均一な熱処理を達成するために、炉口及びその周囲からの熱の逃げを如何に防止するかが重要な課題となっている。
【0003】
そこで、炉口の断熱効果を向上させるために、断熱構造体の材質として熱通過を防止する不透明石英製の断熱板により構成した縦型の熱処理装置が提案されている(特開平6−208954号公報参照)。具体的には、断熱構造体は、複数本の支柱と、これら支柱に上下方向に所定の間隔で設けられた複数枚の不透明石英製断熱板とから構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した熱処理装置にあっては次のような問題があった。すなわち、熱処理装置の保温体においては、等しい厚さの断熱板を等間隔で配置することで伝熱量(熱通過量)を制御している。しかしながら、伝熱量を所定値よりは低減できず、ウエハを熱処理する均熱領域の拡大、すなわちウエハ処理枚数増加には限界があった。
【0005】
そこで、本発明は、均熱領域を拡大し被処理体の処理数を増加するために、伝熱量を低減できる保温体を有する熱処理装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し目的を達成するために、本発明の熱処理装置は次のように構成されている。
【0007】
(1)複数の被処理体に熱処理を施す熱処理装置において、その一端側に開口部を有する熱処理容器と、この熱処理容器内の他端側に配置され、上記被処理体を保持する被処理体保持部と、上記被処理体保持部の少なくとも一端部を保持すると共に熱処理時に上記熱処理容器内を保温する保温体とを備え、上記保温体は、所定の境界位置に対し上記被処理体保持部側に配置された1枚の厚肉断熱板と、上記境界位置に対し上記開口部側に配置され、所定の間隔をもって積層配置された複数枚の薄肉断熱板と、これら厚肉断熱板及び薄肉断熱板を水平に支持する支持体とを備えていることを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)に記載された熱処理装置であって、上記境界位置は、上記厚肉断熱板及び上記薄肉断熱板の熱伝導率をλ、境界部の温度をT、微小距離の温度差をΔT、設置可能な上記薄肉断熱板の最小間隔をΔZ、ステファンボルツマン係数をσ、形態係数をF、黒度関係をFとしたときに、
λΔT/ΔZ=σF(T−(T−ΔT)
が成立する位置であることを特徴とする。
【0009】
(3)上記(1)に記載された熱処理装置であって、上記薄肉断熱板を薄肉化し、かつ、上記所定の間隔を狭くすることで、薄肉断熱板相互間輻射回数を増加させ、断熱効果を増加させるものであることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る縦型の熱処理装置10を示す縦断面図である。熱処理装置10は、中空部11aを有するとともに断熱材で形成された炉本体11を備えている。炉本体11の下部には炉口12が設けられている。
【0011】
炉本体11の中空部11aの壁面にはヒータ13が設けられ、さらに炉芯管14が設けられている。また、炉本体11の中空部11aの底部から保温体20が設けられ、さらに保温体20の上部にはウエハWを載置するボート30が設けられている。
【0012】
保温体20は、円筒状に形成された支持材21が設けられている。支持材21の境界位置Pの下方には、炉口側薄肉断熱板22が複数枚配置され、境界位置Pの上方にはボート側厚肉断熱板23が配置されている。なお、保温体20は熱を吸収するための気泡を内部に分散させた不透明石英で形成されている。
【0013】
ここで、熱伝導による伝熱量と輻射による伝熱量との違いについて説明する。すなわち、図2に示すように、熱伝導による伝熱量は、温度差が等しい場合は温度によらず一定となる。一方、輻射による伝熱量は、温度差が等しくとも高温となるほど大きくなる。したがって、熱伝導の方が熱が伝わりにくくなる高温側の領域では、一枚の厚肉断熱板を用い熱伝導による伝熱を行わせることで伝熱量を低減できる。また、輻射の方が熱が伝わりにくくなる低温側の領域では、加工可能な限り多くの薄肉断熱板を配置し、輻射の回数を多くすることで、伝熱量を低減できる。なお、薄肉断熱板の枚数は、薄肉断熱板自体の加工性と、薄肉断熱板相互間の間隙をどの程度まで近付けて配置できるかという支持材21の加工性によって定まる。
【0014】
次に、熱伝導による熱通過量と輻射による熱通過量とが均衡する位置である炉口側薄肉断熱板22及びボート側厚肉断熱板23との境界位置Pの設定方法について説明する。
【0015】
炉口側薄肉断熱板22及びボート側厚肉断熱板23を構成する材料の熱伝導率をλ、温度をT、温度差をΔT、加工可能な最小間隔をΔZ、ステファンボルツマン係数をσ、形態係数をF、黒度関係をFとし、熱伝導による伝熱量を左辺に、輻射による伝熱量を右辺におくと、式(1)に示すようになる。すなわち、
λΔT/ΔZ=σF(T−(T−ΔT))     …(1)
となる。この式(1)に基づいて保温体20における境界位置Pを設定することにより、式(1)が成立するよりも高温領域(ボート30側)では1枚のボート側厚肉断熱板23を、低温領域(炉口12側)では加工可能な限り薄肉とし狭い間隔で配置した炉口側薄肉断熱板22から構成する。
【0016】
ここで実施例として次のような条件を設定する。すなわち、保温体20を全高500mm、径300mmとする。また、保温体20の温度が上部が1200℃、下部が500℃、加工可能な炉口側薄肉断熱板22の最小厚と加工可能な炉口側薄肉断熱板22の最小間隔ΔZを10mmとする。また、炉口側薄肉断熱板22の形状と間隔から計算される形態係数をF、炉口側薄肉断熱板22及びボート側厚肉断熱板23の熱伝導率λを1.6×10−3W/mm℃、黒度関係Fを0.5、ステファンボルツマン係数σを5.6687×10−14W/mmとする。
【0017】
式(1)に基づいて境界位置Pを算出すると、ボート側厚肉断熱板23の厚さを280mmとし、厚さ10mmの炉口側薄肉断熱板22を10mmの間隔で11枚配置した場合が、保温体20を通過する伝熱量が最も少なくなる。なお、図3は、本実施例において式(1)に基づいてボート側厚肉断熱板23の厚さと保温体20を通過する熱流束との関係を示す図である。
【0018】
上述したように、保温体20において伝熱量を最小限に抑えることにより、ウエハWを熱処理する均熱領域の拡大を図ることができ、ウエハ処理枚数を増加させることができる。
【0019】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、均熱領域を拡大し被処理体の処理数を増加するために、伝熱量を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施の形態に係る縦型の熱処理装置の構成を示す図。
【図2】
同熱処理装置におけるボート側厚肉断熱板の厚さと保温体を通過する熱流速と
の関係を示す図。
【図3】
境界位置の温度と輻射による伝熱量と熱伝導による伝熱量との関係を示す図。
【符号の説明】
10…熱処理装置
11…炉本体
12…炉口
20…保温体
21…支持材
22…炉口側薄肉断熱板
23…ボート側厚肉断熱板
30…ボート

Claims (3)

  1. 複数の被処理体に熱処理を施す熱処理装置において、
    その一端側に開口部を有する熱処理容器と、
    この熱処理容器内の他端側に配置され、上記被処理体を保持する被処理体保持部と、
    上記被処理体保持部の少なくとも一端部を保持すると共に熱処理時に上記熱処理容器内を保温する保温体とを備え、
    上記保温体は、所定の境界位置に対し上記被処理体保持部側に配置された1枚の厚肉断熱板と、上記境界位置に対し上記開口部側に配置され、所定の間隔をもって積層配置された複数枚の薄肉断熱板と、これら厚肉断熱板及び薄肉断熱板を水平に支持する支持体とを備えていることを特徴とする熱処理装置。
  2. 上記境界位置は、上記厚肉断熱板及び上記薄肉断熱板の熱伝導率をλ、境界部の温度をT、微小距離の温度差をΔT、設置可能な上記薄肉断熱板の最小間隔をΔZ、ステファンボルツマン係数をσ、形態係数をF、黒度関係をFとしたときに、
    λΔT/ΔZ=σF(T−(T−ΔT)
    が成立する位置であることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
  3. 上記薄肉断熱板を薄肉化し、かつ、上記所定の間隔を狭くすることで、薄肉断熱板相互間輻射回数を増加させ、断熱効果を増加させるものであることを特徴とする請求項1に記載の熱処理装置。
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