JP2004044635A - センサ付軸受装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】静止輪として使用される軌道輪14にセンサ付軸受装置の内部の物理量を検出するセンサを取り付けるセンサ取付孔31が装備されるセンサ付軸受装置10において、前記センサの非装備時に前記センサの代わりに前記センサ取付孔31を密封する栓部材33を備えたことで、センサの非装備状態における取り扱い性を向上させることができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ付軸受装置及びその製造方法に関し、特に、組み立てた軸受装置の輸送時や組み立て時における取り扱い性等を向上させるための改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車輪支持装置や鉄道車両の車軸支持装置、又は鉄鋼圧延機におけるロール支持装置等に使用される転がり軸受装置は、水が直接且つ頻繁にかかる厳しい環境下にある。このような環境下で使用される転がり軸受装置は、通常、軸受装置両端の開口がシールによって密封された密封型の軸受装置が使用される。
【0003】
しかし、密封型の軸受装置を採用していても、シールの摩耗や劣化等でシール性能が低下して、外部から軸受装置内に水が侵入する可能性がある。そして、もしも軸受装置内に水が侵入すると、軸受装置内の潤滑性能が低下して軸受装置内での摩擦抵抗が増大し、異音や異常振動の発生を招くと共に、軸受装置の回転性能が低下する。そして、このような異常事態が続くと、転がり疲労が急速に増大したり、過度の温度上昇を招き、最終的には、軸受装置の損傷や短寿命化という重大な事故を招く可能性がある。
【0004】
そこで、シール性能の低下等によって、軸受装置内に水が侵入したり、または、軸受装置内の潤滑剤の漏出等が生じたときに、それを早期に発見して、重大な事故に至ることを未然に防ぐために、軸受装置の静止輪にセンサ取付孔を装備し、そのセンサ取付孔に軸受装置の駆動時の振動や温度や油膜切れを招く水分量等の物理量を検出するセンサを装備するセンサ付軸受装置が提案されている。
【0005】
このようなセンサ付軸受装置において、センサ取付孔に装備するセンサは、具体的には、回転側軌道輪の回転速度を検出する回転速度センサ、軸受内温度を検出する温度センサ、静止側軌道輪に伝達される振動を検出する振動センサ、軸受内の湿度や水分量を検出する水分検出センサ(湿度センサ)、内輪又は内輪と一体に設けられた部材と外輪又は外輪と一体に設けられた部材との相対変位を検出する変位センサ(荷重センサ)等が考えられており、異常検知の信頼性を向上させるために、上記の各センサの内から複数種のセンサを組み合わせて装備することも検討されている。
センサ取付孔に装備したセンサの検出信号は、センサから軸受外部に引き出されたセンサケーブルを介して信号処理器に送信され、信号処理器から制御装置に送られて、異常の有無の判定がなされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述したセンサ付軸受装置を、車軸支持装置等に組み込む場合に、予めセンサ取付孔にセンサを取り付けた状態にしておくと、軸受装置外部に引き出されているセンサケーブルが組み付け作業の邪魔になり、組み付け作業性が悪いという問題があった。
【0007】
その対策として、車軸支持装置等にセンサ付軸受装置を組み込む時は、予め軸受装置のセンサ取付孔からセンサを外した状態にしておいて、組み付け後に、センサをセンサ取付孔に取り付けるという組み込み方法が検討された。
しかし、従来のセンサ付軸受装置では、車軸支持装置等へセンサ付軸受装置を組み込むためにセンサを取り外した状態にすると、開口したセンサ取付孔を介して軸受装置の内部が露出し、軸受装置の製造工程で軸受装置の内部に充填した潤滑剤がセンサ取付孔から外部に漏れて周囲を汚損したり、外部からの異物がセンサ取付孔を介して軸受装置内に侵入する等の不具合が発生するおそれがあった。
【0008】
また、センサ付軸受装置の製造工程では、センサ取付孔にセンサの取り付けを行わず、センサ非装備の状態のセンサ付軸受装置を組み立てメーカー等へ出荷し、組み立てメーカー側でセンサを組み付ける出荷形態もある。この場合も、製造したセンサ付軸受装置の保管時や輸送時に、軸受装置の製造工程で軸受装置内に充填した潤滑剤がセンサ取付孔から外部に漏れて周囲を汚損したり、或いは、外部からの異物がセンサ取付孔を介して軸受装置内に侵入する等の不具合が発生するおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造したセンサ付軸受装置の保管時や輸送時において、センサ付軸受装置内に充填した潤滑剤の漏れや、センサ付軸受装置内への異物の侵入に起因して品質が低下してしまうことを防止することができ、且つ、センサ付軸受装置を軸支承部へ組み付ける際に、センサケーブルが邪魔になって組み付け作業性が損なわれることもなく、取り扱い性に優れたセンサ付軸受装置及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪と間に装備される複数個の転動体とを備え、前記内輪又は前記外輪のうち一方が非回転部に固定された静止輪とし、該静止輪にはセンサが着脱可能であるセンサ付軸受装置であって、前記静止輪には前記センサが取り付けられるセンサ取付孔が設けられ、該センサ取付孔に着脱自在に形成され、且つ、前記センサの非装備時に前記センサの代わりに前記センサ取付孔を封止する栓部材を備えたことを特徴とするセンサ付軸受装置によって達成される。
【0011】
このような構成を有するセンサ付軸受装置では、センサ付軸受装置の軸支承部への組み付け時には、センサ取付孔には、栓部材がセンサの代わりに取り付けられた状態にしておくことで、センサに連結されるセンサケーブルが邪魔になって組み付け作業性が損なわれることがない。しかも、栓部材によってセンサ取付孔の密封性が保持されるため、組み付け作業時にセンサ取付孔からグリース等の潤滑剤が漏れて周囲を汚損するようなことがなく、また、センサ付軸受装置内に異物が侵入することもない。
従って、軸支承部へセンサ付軸受装置を組み付ける際の作業性を向上させることができ、且つ、センサ付軸受装置内に充填した潤滑剤の漏れや、センサ付軸受装置内への異物の侵入に起因して品質が低下することを防止することができる。また、栓部材は着脱自在な構成で、センサの交換やセンサ付軸受装置の取り外し等の際にも、繰り返し使用することができるので、経済的である。
【0012】
上記のセンサ付軸受装置によれば、栓部材には、センサ取付孔から内輪と外輪との間に栓部材が入り込むことを防止する位置規制手段が設けられていることが好ましい。
こうすれば、栓部材を軸受の静止輪に取り付ける際に、位置規制手段によって過度の押し込み等を防止するため、誤って栓部材をセンサ付軸受装置の内部に落下させてしまうことを防止することができる。また、栓部材がセンサ付軸受装置の内部に入り込まないように注意しつつ作業する必要がなく、栓部材の組み付けにかかる作業の効率が良くなる。
【0013】
上記の構成を有するセンサ付軸受装置は、内輪と外輪と間に設けられて複数個の転動体相互の間隔を保持する保持器と、内輪と外輪との間の開口を密封するシールとを備え、内輪と外輪との間に潤滑剤が充填されることが好ましい。
【0014】
上記の構成を有するセンサ付軸受装置は、センサ取付孔に取り付けられるセンサが、回転側軌道輪の回転速度を検出する回転速度センサ、温度を検出する温度センサ、静止側軌道輪に伝達される振動を検出する振動センサ、内輪と外輪との間の水分量を検出する水分検出センサ(湿度センサ)、内輪又は内輪と一体に設けられた部材と外輪又は外輪と一体に設けられた部材との相対変位を検出する変位センサ(荷重センサ)のうちの少なくとも1つであることが好ましい。
【0015】
上記のセンサ付軸受装置は、回転速度センサ、温度センサ、振動センサ、水分検出センサ(湿度センサ)、変位センサ(荷重センサ)のうちの1つ以上が、センサ取付孔に着脱可能でセンサ取付孔に取り付けられた際にセンサ取付孔を密封するシール構造を備えた一体型センサケースに収容保持された構成であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の上記目的は、請求項1から5のいずれか1つに記載の前記センサ付軸受装置の製造方法であって、前記静止輪に前記センサ取付孔を形成し、前記栓部材を前記センサ取付孔に取り付け、前記センサを取り付けるまで前記栓部材によって前記センサ取付孔を封止することを特徴とするセンサ付軸受装置の製造方法によって達成することができる。
【0017】
このような構成によれば、例えば、センサ付軸受装置を、センサが装着されていない状態で組み立てメーカー等へ納品するような場合に、予め、センサ付軸受装置の製造工程でセンサ取付孔に栓部材を取り付けた状態にしておくことで、製造したセンサ付軸受装置の出荷までの保管時や輸送時において、センサ付軸受装置の内部に充填済みの潤滑剤の漏れや、センサ付軸受装置内への異物の侵入に起因する品質低下を防止することができる。このため、本発明のセンサ付軸受装置の製造方法によれば、製造されるセンサ付軸受装置の信頼性をより一層向上させることができる。
また、センサ付軸受装置を軸支承部へ組み込んだ場合には、組み込み完了後に栓部材とセンサとを交換すればよく、組み込み時にセンサケーブルが邪魔になることがない。したがって、本発明のセンサ付軸受装置の製造方法によれば、センサ付軸受装置の組み込み時の作業性をより一層向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明のセンサ付軸受装置及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明のセンサ付軸受装置(以下、軸受装置ともいう。)を組み込んだ鉄道車両車軸装置の要部の縦断面図である。
図1に示すように、本実施の形態のセンサ付軸受装置10は、内輪間座11を挟んで軸方向に突き合される2つの軌道輪13a、13bに分割された内輪13と、単一の軌道輪である外輪14と、各軌道輪13a、13bと外輪14との間に装備される複数個の転動体15と、内外輪間の転動体15相互の間隔を保持する保持器16、17とを備えた構成で、軌道輪13a、13bの内周に嵌合した鉄道車両車軸1を回転自在に支承する軸受部3を備えている。なお、センサ付軸受装置10の軸受部3は、転動体15が円錐ころで、外輪14を非回転部に固定された静止輪とした複列円錐ころ軸受を有する。
【0019】
内輪13は、車軸1に嵌合した前部スリンガ21と、車軸1の肩部1aに嵌合した後部スリンガ23とに挟まれて配置されている。そして、車軸1の軸端に螺着させた前蓋24を締め付けると、両スリンガ21、23により軌道輪11,12が両側から挾持されて、2つの軌道輪13a、13b及び内輪間座11が車軸1に固定される。
車軸1の軸端には、車軸1に係合する回り止め突起を内周に突設した小蓋25が嵌合装着されている。この小蓋25と前蓋24とをボルト27によって連結・一体化することで、前蓋24の回転が不可能になり、前蓋24の緩み止めがなされる。
【0020】
また、センサ付軸受装置10の軸受部3の両側には、内輪13と外輪14との間の開口を密封する接触型のシール(密封装置)28が装着されており、軸受内には潤滑剤としてのグリースが充填される。このシール28によって、軸受両端の開口から軸受内への異物の侵入や、軸受内部からの潤滑剤の漏出が防止される。
【0021】
本実施形態の場合、外輪14は、静止輪として、車軸支持台(台車)に装備された軸受箱に固定支持される。
この外輪14には、軸受の状態を示す物理量を検出するセンサを取り付けるセンサ取付孔31が装備されている。
本実施形態のセンサ付軸受装置10は、図2に示すように、センサの非装備時に前記センサの代わりにセンサ取付孔31を密封する栓部材33を備えている。センサ取付孔31は、内径が一定の円形孔である。
【0022】
栓部材33は、前記センサ取付孔31に嵌合する円柱部33aと、センサ取付孔31の周縁の外輪14外面に当接するフランジ部33bと、このフランジ部33bの外面に突設されて栓部材33をセンサ取付孔31に抜き差しする際の把持部となる摘み部33cとを備えている。
円柱部33aは、その外径Aがセンサ取付孔31の内径Bよりもわずかに大きく設定されていて、センサ取付孔31に締まり嵌めで嵌合することによって、センサ取付孔31から軸受内部の潤滑剤が漏れることを防止すると共に、軸受外部からの異物の侵入を防止する密封性能を確保する。ここで、栓部材33は円柱部33aが押圧により縮径可能なゴムや樹脂で成形されることが好ましい。
フランジ部33bは、センサ取付孔31への取り付け時にセンサ取付孔31から軸受内部へ入り込むことを防止する位置規制手段として機能する。
【0023】
栓部材33は、摘み部33cを把持して円柱部33aをセンサ取付孔31に押し込むことでセンサ取付孔31に装着され、センサ取付孔31に装着している状態で摘み部33cを引っ張って、センサ取付孔31から引き抜くことで、センサ取付孔31から取り外すことができ、センサ取付孔31に対して着脱自在である。
栓部材33は、必要に応じて、センサ非装備の状態で軸受を納品する場合には、予め、センサ付軸受装置10の製造工程中に、センサ取付孔31に取り付けられる。
【0024】
本実施の形態において、センサ取付孔31に取り付けられるセンサとしては、具体的には、回転側軌道輪(即ち、本実施の形態においては内輪13。以下、軌道輪ともいう。)の回転速度を検出する回転速度センサ、軸受装置の内部の温度を検出する温度センサ、静止側軌道輪に伝達される振動を検出する振動センサ、軸受装置の内部の湿度や水分量を検出する水分検出センサ(湿度センサ)、内輪又は内輪と一体に設けられた部材と外輪又は外輪と一体に設けられた部材との相対変位を検出する変位センサ(荷重センサ)が考えられる。
これらのセンサのうちの少なくとも1つ、または、複数個を組み合わせて、前記センサ取付孔31に着脱可能な一体型センサケース35に収容保持させ、一体型センサケース35を介してセンサ取付孔31に装着する。
【0025】
例えば、図1に示した一体型センサケース35に、振動センサが収容保持されている場合、この振動センサは外輪14に伝達される振動に応じた電気信号を出力し、軸受構成部品の摩耗等で振動が規定以上に成ったときに、その異常を検出可能にする。
一体型センサケース35に収容されるセンサとして温度センサを用いる場合には、軸受内温度に応じた電気信号を出力し、軸受装置の内部において潤滑不良等によって摺動摩擦が増大して、軸受内温度が規定以上になったときに、その異常を検出可能にする。
一体型センサケース35に収容されるセンサとして回転速度センサを用いる場合には、軌道輪の回転数に応じた電気信号を出力し、軸受装置内の潤滑不足や部品の摩耗等で軌道輪の回転が規定範囲を超える時に、その異常を検出可能にする。
一体型センサケース35に収容されるセンサとして水分検出センサを用いる場合は、軸受装置内に侵入して飛散する水分の飛沫や水滴の付着を、例えば光学的又は電気的に検出するもので、測定部位に付着する水分量に応じた電気信号を出力し、軸受装置内に付着する水分量が規定範囲を超える時に、その異常を検出可能にする。変位センサを用いる場合は、軸受の内輪と外輪、或いは一体となった部材との相対変位を、例えば、渦電流式変位センサを用いて検出する。軸受に負荷する荷重に比例して変位は変化し、荷重に比例した電気信号を出力する。信号は車両制御装置に送信され、各種車両制御に利用される。
【0026】
一体型センサケース35に収容されたセンサの検出信号は、一体型センサケース35から軸受装置の外部に引き出されたセンサケーブルを介して、外部の信号処理器41に送信され、信号処理器41から制御装置43に送られて異常の有無の判定が成される。制御装置43による判定結果は、制御装置43に接続された警報表示器45に表示されて、軸受装置の異常発生が作業者や管理者へ知らされる。
【0027】
以上に説明したように、本実施の形態のセンサ付軸受装置10によれば、軸受装置10を軸支承部への組み付け時には、センサの代わりに、栓部材33をセンサ取付孔31に取り付けた状態にしておくことで、センサケーブルが邪魔になって組み付け作業性が損なわれることがない。
しかも、栓部材33によってセンサ取付孔31の密封性が保持されるため、組み付け作業時にセンサ取付孔31から潤滑剤が漏れて周囲を汚損するようなことがなく、また、外部から軸受内に異物が異物が侵入することもない。
従って、軸受装置を主軸に組み付ける際の作業性を向上させることができ、且つ、軸受装置内に充填済みの潤滑剤の漏れや、軸受装置の内部への異物の侵入に起因する品質の低下を防止することができる。
また、栓部材33は着脱自在な構成で、センサの交換や軸受装置の取り外し等の際にも、繰り返し使用することができるので、経済的である。
【0028】
さらに、例えば、センサ非装着の状態で軸受装置を組み立てメーカー等へ納品するような場合に、予め、軸受の製造工程でセンサ取付孔31に栓部材33を取り付けた状態にしておくことで、製造した軸受の出荷までの保管時や輸送時において、軸受装置内に充填済みの潤滑剤の漏れや外部から軸受内への異物の侵入に起因する品質低下を防止することができ、製造したセンサ付軸受装置10の品質管理を容易にすることができる。
【0029】
さらに、本実施の形態の栓部材33は、栓部材33を軸受の静止輪に取り付ける際に、位置規制手段であるフランジ部33bが外輪14の外面に当接することで、過度の押し込み等を防止するため、誤って栓部材33を軸受内に落としてしまうおそれがなく、栓部材33の軸受内部への入り込みを防止するための特別な注意が作業に必要とならず、簡単に、栓部材33の適正組み付けができる。
【0030】
本発明に係るセンサ取付孔及び栓部材の具体的な構造は、上記実施の形態に限らない。本発明にかかるセンサ付軸受装置は、栓部材を図3から図6に示す他の実施の形態に変更しても上記効果を得ることができる。なお、以下に説明する本発明にかかる他の実施の形態において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
図3に示した第2の実施の形態では、センサ取付孔51はセンサ付軸受装置の内側(外輪14の内周面側)に向かって徐々に径が縮径するテーパ孔状に形成されている。一方、センサ取付孔51に着脱自在な栓部材53は、外径がセンサ取付孔51に相応するテーパ状で、センサ取付孔51に取り付けた際に一部がセンサ取付孔51の外部に突出するように、軸方向の長さを設定している。
【0031】
このような構成では、テーパ面同士の嵌合によって、比較的に小さな操作力で大きな密封性能を得ることができる。また、テーパ自体が、栓部材53が軸受内部に入り込むことを防止する位置規制手段として機能するため、位置規制用のフランジ部を形成する必要がなく、栓部材53の構造を単純にすることができる。また、本実施の形態のように、栓部材53のテーパ部の一部がセンサ取付孔51の外部に突出する構造では、着脱する際にこの突出部を摘み部として活用することができ、新たに摘み部を形成する必要がなく、その点でも、栓部材53の構造を単純にすることができる。
【0032】
図4に示す第3の実施の形態は、後端部に摘み部55aを形成した栓部材55を使用したものである。
栓部材55は、テーパ状の本体部55bが、センサ取付孔51のテーパ孔に嵌合する点は、図3の場合と同様である。
このように、専用の摘み部55aを装備した形態の場合は、図示のように、栓部材55が外輪14の外部に突出しないように寸法設定することができる。
【0033】
図5は、本発明にかかるセンサ付軸受装置の第4の実施の形態を示している。図5に示すように、センサ取付孔56をストレートな雌ねじ孔とし、そこに着脱可能に装着される栓部材57の外周面に、センサ取付孔56のねじ部に螺合するように雄ねじ部が形成されている。栓部材57は、拡径した六角形の頭部57aを有した構造である。この頭部57aは、軸受内部に入り込むことを防止する位置規制手段として機能すると同時に、センサ取付孔56へ着脱する際の摘み部としても活用される。
【0034】
図6は、本発明にかかるセンサ付軸受装置の第5の実施の形態を示している。図6は、センサ取付孔58をテーパねじ孔とし、そこに着脱可能に装着される栓部材59の外周面に、センサ取付孔58のねじ部に螺合するようにテーパねじ部を形成している。栓部材59は、後端面に、センサ取付孔58へ着脱する際の摘み部として使う六角孔59aが装備されている。
このように、テーパねじ孔とねじ部とは、栓部材59がセンサ付軸受装置の内部に入り込むことを防止する位置規制手段として機能するため、栓部材59にフランジ部を形成する必要がない。
また、テーパねじの螺合によって、センサ付軸受装置の密封性がより一層向上する。
【0035】
次に、本発明のセンサ付軸受装置の製造方法によれば、上記の実施の形態で説明した構成を有するセンサ付軸受装置の静止輪にセンサ取付孔を形成し、栓部材をセンサ取付孔に取り付け、センサを取り付けるまで栓部材によってセンサ取付孔を封止するものである。
【0036】
このような構成によれば、例えば、センサ付軸受装置を、センサが装着されていない状態で組み立てメーカー等へ納品するような場合に、予め、センサ付軸受装置の製造工程でセンサ取付孔に栓部材を取り付けた状態にしておくことで、製造したセンサ付軸受装置の出荷までの保管時や輸送時において、センサ付軸受装置の内部に充填済みの潤滑剤の漏れや、センサ付軸受装置の内部への異物の侵入に起因する品質低下を防止することができる。このため、本発明のセンサ付軸受装置の製造方法によれば、製造されるセンサ付軸受装置の信頼性をより一層向上させることができる。
また、センサ付軸受装置を軸支承部へ組み込んだ場合には、組み込み完了後に栓部材とセンサとを交換すればよく、組み込み時にセンサケーブルが邪魔になることがない。したがって、本発明のセンサ付軸受装置の製造方法によれば、センサ付軸受装置の組み込み時の作業性をより一層向上させることができる。
【0037】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。
例えば、センサ付軸受装置の軸受部両端の開口を密封するシールの具体的構造は、上記実施の形態に限らない。上記実施の形態では、センサ付軸受装置を鉄道車両車軸装置に組み込んだ場合のもので、軸受部両端の開口を密封するシールは、一端が静止輪である外輪14の端部に係合し、他端が車軸側のスリンガに係合する構造である。しかし、例えば、圧延機等のロールを支持するために組み込まれるシールは、一端を外径に係合させ、他端を内径に係合させることで、軸受端部の開口を密封する構造とすることができる。
例えば、センサ付軸受装置10内に充填する潤滑剤は上記の実施の形態で示したグリースに限らない。軸受の用途等に応じて、潤滑油や固体潤滑剤を適宜選択することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、製造したセンサ付軸受装置の保管時や輸送時において、センサ付軸受装置内に充填した潤滑剤の漏れや、センサ付軸受装置内への異物の侵入に起因して品質が低下してしまうことを防止することができ、且つ、センサ付軸受装置を軸支承部へ組み付ける際に、センサケーブルが邪魔になって組み付け作業性が損なわれることもなく、取り扱い性に優れたセンサ付軸受装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセンサ付軸受の第1の実施の形態を装備した鉄道車両車軸装置の要部の縦断面図である。
【図2】図1に示したセンサ付軸受の製造工程でセンサ取付孔に栓部材を装着した状態の拡大断面図である。
【図3】本発明に係るセンサ取付孔及び栓部材の第2の実施の形態の断面図である。
【図4】本発明に係るセンサ取付孔及び栓部材の第3の実施の形態の断面図である。
【図5】本発明に係るセンサ取付孔及び栓部材の第4の実施の形態の断面図である。
【図6】本発明に係るセンサ取付孔及び栓部材の第5の実施の形態の断面図である。
【符号の説明】
1 鉄道車両車軸
3 軸受部
10 センサ付軸受装置
11 内輪間座
13 内輪
14 外輪
15 転動体
16、17 保持器
28 シール(密封装置)
31 センサ取付孔
33 栓部材
33b フランジ部(位置規制手段)
35 一体型センサケース
51、56、58 センサ取付孔
53、55、57、59 栓部材
Claims (6)
- 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪と間に装備される複数個の転動体とを備え、前記内輪又は前記外輪のうち一方が非回転部に固定された静止輪とし、該静止輪にはセンサが着脱可能であるセンサ付軸受装置であって、前記静止輪には前記センサが取り付けられるセンサ取付孔が設けられ、該センサ取付孔に着脱自在に形成され、且つ、前記センサの非装備時に前記センサの代わりに前記センサ取付孔を封止する栓部材を備えたことを特徴とするセンサ付軸受装置。
- 前記栓部材には、前記センサ取付孔から前記内輪と前記外輪との間へ前記栓部材が入り込むことを防止する位置規制手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付軸受装置。
- 前記内輪と前記外輪との間に設けられて前記複数個の転動体相互の間隔を保持する保持器と、前記内輪と前記外輪との間の開口を密封するシールとを備え、前記内輪と前記外輪との間に潤滑剤が充填されることを特徴とする請求項1又は2に記載のセンサ付軸受装置。
- 前記センサ取付孔に取り付けられる前記センサが、回転側軌道輪の回転速度を検出する回転速度センサ、温度を検出する温度センサ、静止側軌道輪に伝達される振動を検出する振動センサ、前記内輪又は前記内輪と一体に設けられた部材と前記外輪又は前記外輪と一体に設けられた部材との相対変位を検出する変位センサ、前記内輪と前記外輪との間の水分量を検出する水分検出センサのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載のセンサ付軸受装置。
- 前記回転速度センサ、前記温度センサ、前記振動センサ、前記変位センサ、前記水分検出センサのうちの1つ以上が、前記センサ取付孔に着脱可能で前記センサ取付孔に取り付けられた際に前記センサ取付孔を密封するシール構造を備えた一体型センサケースに収容保持されていることを特徴とする請求項4に記載のセンサ付軸受装置。
- 請求項1から5のいずれか1つに記載の前記センサ付軸受装置の製造方法であって、前記静止輪に前記センサ取付孔を形成し、前記栓部材を前記センサ取付孔に取り付け、前記センサを取り付けるまで前記栓部材によって前記センサ取付孔を封止することを特徴とするセンサ付軸受装置の製造方法。
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