JP2004042478A - 機能性板紙の製造方法と該製造方法を用いて作製した機能性板紙 - Google Patents

機能性板紙の製造方法と該製造方法を用いて作製した機能性板紙 Download PDF

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永江 実
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Abstract

【課題】少ロットの機能性板紙を効率良く製造可能にした機能性板紙の製造方法と該製造方法で作製した機能性板紙を提供すること。
【解決手段】2枚以上の紙を貼り合わせることにより必要坪量の板紙を得る板紙の製造方法において、一方の紙(11)の少なくとも片面(もう一方の紙が貼り合わされる面)に機能性薬剤処理層(12)を設けた後、もう一方の紙(13)をパターン塗布した接着剤層(14)を介して貼り合わせる。機能性とは、撥水性、耐油性、吸水性、耐水性など。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は機能性板紙の製造方法と該製造方法を用いて作製した機能性板紙並びに該板紙性板紙を用いて作製した機能性紙器に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の板紙は耐油性、耐水性等の機能は持ち合わせておらず、そのような機能を板紙に付与するためには、板紙の抄紙段階で薬剤等をパルプに混ぜる、または板紙を抄紙後薬剤等を塗工するなどして機能性を有する板紙とする方法が知られている。
【0003】
しかしながら抄き込み方法は、原料パルプへの薬剤前添加になるため、抄紙時に薬剤は白水と一緒に流れて行くため水溶性の薬剤やパルプにつかない薬剤は使用できない(例えば、フッ素系薬剤は使えても、アクリル系薬剤は使えないなど)、全ての薬剤が抄紙した紙に固着するわけではなく歩留りを考慮しなければならない、ある程度大量に作らないと採算があわない、等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一度の多層抄きで中間層に機能性を持たせた機能性板紙を製造する際に発生する以上のような問題点に鑑みてなされたもので、特に少ロットの機能性板紙を効率良く製造可能にした機能性板紙の製造方法と該製造方法で作製した機能性板紙を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、2枚以上の紙を貼り合わせることにより必要坪量の板紙を得る板紙の製造方法において、一方の紙の少なくとも片面(もう一方の紙が貼り合わされる面)に機能性薬剤処理層を設けた後、もう一方の紙をパターン塗布した接着剤層を介して貼り合わせたことを特徴とする、機能性板紙の製造方法である。
【0006】
このように請求項1記載の発明によれば、一方の紙ともう一方の紙の間に機能性薬剤処理層を設けて、一方の紙ともう一方の紙とをパターン塗布した接着剤層により貼り合わせているので、機能性薬剤の種類を換えるのみで必要な機能性を板紙に付与することができる。
【0007】
また、機能性薬剤処理層は、一方の紙の少なくとも片面に含浸、塗布等の公知の方法で形成させることができるので、使用薬剤の歩留りが良い。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記機能性薬剤処理層が機能紙であることを特徴とする、機能性板紙の製造方法である。
【0009】
このように請求項2記載の発明によれば、機能性薬剤処理層を機能紙とすることにより、機能紙を一方の紙の少なくとも片面に貼り合わせることで薬剤を塗布、含浸するための装置を用いなくても容易に機能性に優れた板紙を製造することができる。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の機能性板紙の製造方法を用いて作製した機能性板紙である。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項3記載の機能性板紙を用いて作製した機能性紙器である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を一実施形態に基づいて以下に詳細に説明する。
本発明の機能性板紙は、例えば、図1に示すように、一方の紙(11)の片面(もう一方の紙が貼り合わされる面)に機能性薬剤処理層(12)を設けた後、該機能性薬剤処理層の上からもう一方の紙(13)をパターン塗布した接着剤層(14)により貼り合わせた機能性板紙(10)である。
【0013】
一方の紙(11)及びもう一方の紙(13)としては、特に限定はされないが、一般的には経済性等を考慮して古紙層を入れるなどした2層ないし3層程度の抄き合わせ紙が好ましく使用できる。
【0014】
機能性薬剤処理層(12)を構成する機能性薬剤としては、例えば、耐油性機能を発揮する耐油剤(アクリル樹脂系塗布剤、フッソ樹脂系塗布剤等)、耐水性機能を発揮する耐水剤(ポリアミド樹脂等)、撥水性機能を発揮する撥水剤(金属錯化合物、ワックス、シリコン等)、吸湿性機能を発揮する吸湿剤(ポリエチレングリコール、界面活性剤等)等をあげることができる。
【0015】
このような薬剤を一方の抄き合わせ紙(11)又はもう一方の抄き合わせ紙(13)の片面に塗布または含浸等の方法により施して機能性薬剤処理層(12)を形成させる。
塗布量(含浸量)は、経済性を考慮して0.1〜20g/m2 (固形分)程度が好ましい。
【0016】
機能性薬剤処理層(12)は必要に応じて一方の紙又はもう一方の紙の両面に設けても良い。
また、機能性薬剤処理層(12)は、同一の抄き合わせ紙に2層以上設けても良い。この場合、同じ機能を持たせた層を2層設けても良いし、別々に異なる機能を持たせた層を設けても良い。
【0017】
例えば、抄き合わせの段階で3層抄きの撥水/耐油/通常紙と2層抄きの通常紙/吸水とを貼り合わせて多機能を持たせることも可能となる。
【0018】
機能性薬剤処理層(12)を設けた、例えば、一方の紙の機能性薬剤処理層面に、アクリル樹脂系、エチレン・塩化ビニール樹脂系などの貼合糊をドット模様、ストライブ模様など全面に塗布する方法でない部分塗布方法で、塗布しながら、もう一方の紙と合紙する。
合紙方法は、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ホットメルトラミネーションなど、貼合糊の種類、形態に応じて任意の合紙方法を採用することができる。
【0019】
貼合糊をドット模様、ストライブ模様など全面に塗布する方法でない部分塗布方法で、塗布する理由は、糊の成分による透気性の阻害を防ぎ、紙の特徴の一つである透気性を維持するためである。
要求品質において、透気性を必要としない場合、あるいは、透気性を無くしたい場合には、パターン塗布ではなく、全面塗布としても構わない。その場合、 貼合糊の代わりに溶融ポリエチレンの押し出しラミネート加工方法で貼り合わせても良い。
【0020】
機能性薬剤処理層(12)は、機能性薬剤を塗布、含浸などして形成させるのではなく、耐油性、耐水性、撥水性、吸湿性等の機能を有する薄紙からなる機能紙を当てても良い。
機能紙を使用することにより、機能性薬剤の塗布、含浸装置を用いずに機能性に優れた板紙を作製することができる。
【0021】
本発明では、一方の紙(11)ともう一方の紙(13)の2枚貼り合わせを検討したが、3枚貼り合わせ、4枚貼り合わせ、とすることにより多機能性を持たせた板紙が可能になる。
【0022】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
〈実施例1〉
一方の紙(11)として、2層抄き合わせの坪量が150g/m2 のノーコートアイボリー紙を、そして、もう一方の紙(13)として、3層抄き合わせの坪量が150g/m2 のノーコートアイボリー紙を、それぞれ準備した。
【0023】
一方の紙(11)である2層抄き合わせの坪量が150g/m2 のノーコートアイボリー紙の片面に、アクリル樹脂系の耐油コート剤(固形分25%)をロッドコータにより10g/m2 (wet換算)塗布して機能性薬剤処理層(12)を形成させ、kit値が10の耐油紙を作製した。
【0024】
この耐油紙の機能性薬剤処理層面にアクリル樹脂系の貼合糊をドット模様に塗布しながら(塗布量:0.5g/m2 (dry換算))もう一方の紙(13)である3層抄き合わせの坪量が150g/m2 のノーコートアイボリー紙をドライラミネーション法により貼り合わせ、実施例1の機能性板紙(10)である5層抄き合わせの坪量が300g/m2 のノーコートアイボリー紙とした(図1(a)参照)。
【0025】
この実施例1の機能性板紙(10)から紙箱を作製し、中に調理直後のフライと天麩羅を入れたが、最内層の用紙に油がしみ込み、ベタつかない、また、その油は中間の耐油処理層で止まり、表面に油が出てこず、美粧性を損なうことはない、という効果があった。
また、冷えた内容物を再加熱しても同様の効果が認められた。
【0026】
〈実施例2〉
実施例1で使用したもう一方の紙(13)である3層抄き合わせの坪量が150g/m2 のノーコートアイボリー紙の片面に、ポリアミド樹脂系の耐水コート剤をグラビアコータにより2.0g/m2 (dry換算)塗布して機能性薬剤処理層(12a)を形成させ、耐水紙を作製した。
【0027】
この耐水紙の紙面と、実施例1で準備したと同じ耐油紙の機能性薬剤処理層面にアクリル樹脂系の貼合糊をドット模様に塗布しながら(塗布量:0.5g/m2 (dry換算))、上述の耐水紙の紙面をドライラミネーション法により貼り合わせ、実施例2の機能性板紙(10a)である5層抄き合わせの坪量が300g/m2 のノーコートアイボリー紙とした(図1(b)参照)。
【0028】
この実施例2の機能性板紙(10a)から紙箱を作製し、中に調理直後のフライと天麩羅を入れたが、最内層の用紙に油がしみ込み、ベタつかない、また、その油は中間の耐油処理層で止まり、表面に油が出てこず、美粧性を損なうことはない、という効果があった。表面に水のしみだしもなかった。
また、冷えた内容物を再加熱しても同様の効果が認められた。
【0029】
〈実施例3〉
実施例2で使用した耐水紙の機能性薬剤処理層面(12a)にアクリル樹脂系の貼合糊をドット模様に塗布しながら(塗布量:0.5g/m2 (dry換算))実施例1で使用した耐油紙の紙面をドライラミネーション法により貼り合わせ、実施例3の機能性板紙(10b)である5層抄き合わせの坪量が300g/m2 のノーコートアイボリー紙とした(図1(c)参照)。
【0030】
この実施例3の機能性板紙(10b)から紙箱を作製し、中に調理直後のフライと天麩羅を入れたが、最内層の用紙に油がしみ込み、ベタつかない、また、その油は中間の耐油処理層で止まり、表面に油が出てこず、美粧性を損なうことはない、という効果があった。
また、冷えた内容物を再加熱しても同様の効果が認められた。
【0031】
〈実施例4〉
第3の紙(15)として、1層抄き合わせの坪量が100g/m2 のノーコートアイボリー紙を準備した。
【0032】
この第3の紙(15)である1層抄き合わせの坪量が100g/m2 のノーコートアイボリー紙の片面に、金属錯化合物系の撥水処理剤をグラビアコータにより10g/m2 (wet換算)塗布して機能性薬剤処理層(12b)を形成させ、撥水紙を作製した。
【0033】
この撥水紙の機能性薬剤処理層面にアクリル樹脂系の貼合糊をドット模様に塗布しながら(塗布量:0.5g/m2 (dry換算))、実施例1の機能性板紙の耐油紙の機能性薬剤処理層面でない方の面をドライラミネーション法により貼り合わせ、実施例4の機能性板紙(10c)である6層抄き合わせの坪量が400g/m2 のノーコートアイボリー紙とした。
【0034】
この実施例4の機能性板紙(10c)から紙箱を作製し、中に調理直後のフライと天麩羅を入れたが、最内層の用紙に油がしみ込み、ベタつかない、また、その油は中間の耐油処理層で止まり、表面に油が出てこず、美粧性を損なうことはない、という効果があった。
また、冷えた内容物を再加熱しても同様の効果が認められた。
【0035】
【発明の効果】
このように、本発明の機能性板紙の製造方法と該製造方法を用いて作製した機能性板紙を使用することにより、貼り合わせすることにより多層の同坪量のものより腰が強くなり、低坪量化することが可能になる。
また、現在は環境上に理由からフッ素系耐油剤が使用できないため、中間層に耐油層を抄き込みで作製することは困難になっているが、本発明の製造方法を用いることにより抄き込みで通常使用できない水性のアクリル樹脂系耐油剤を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明の機能性板紙の一実施例を示す、断面説明図である。
【符号の説明】
10‥‥機能性板紙
10a‥機能性板紙
10b‥機能性板紙
10c‥機能性板紙
11‥‥一方の紙
12‥‥機能性薬剤処理層
12a‥機能性薬剤処理層
12b‥機能性薬剤処理層
13‥‥もう一方の紙
14‥‥接着剤層
15‥‥さらに別の紙

Claims (4)

  1. 2枚以上の紙を貼り合わせることにより必要坪量の板紙を得る板紙の製造方法において、一方の紙の少なくとも片面(もう一方の紙が貼り合わされる面)に機能性薬剤処理層を設けた後、もう一方の紙をパターン塗布した接着剤層を介して貼り合わせたことを特徴とする、機能性板紙の製造方法。
  2. 前記機能性薬剤処理層が機能紙であることを特徴とする、請求項1記載の機能性板紙の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の機能性板紙の製造方法を用いて作製した機能性板紙。
  4. 請求項3記載の機能性板紙を用いて作製した機能性紙器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006043979A (ja) * 2004-08-03 2006-02-16 Toppan Printing Co Ltd 耐油紙
AT16764U2 (de) * 2019-09-13 2020-08-15 Nomad Foods Europe Ltd Lebensmittelverpackungsmaterialien und daraus hergestellte schalen

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