JP2004039981A - Emiシールドフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電磁波シールド性と透明性を有するEMIシールドフィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】透明基材と金属箔の少なくともどちらか一方、又は両方に樹脂を塗布し両者を貼り合わせる。次いで金属箔をケミカルエッチングプロセスによりエッチング加工して得られる金属製メッシュの上に、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂を塗布し、これに活性化エネルギー線を照射、硬化することによって透明化することを特徴とするEMIシールドフィルム及びその製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】透明基材と金属箔の少なくともどちらか一方、又は両方に樹脂を塗布し両者を貼り合わせる。次いで金属箔をケミカルエッチングプロセスによりエッチング加工して得られる金属製メッシュの上に、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂を塗布し、これに活性化エネルギー線を照射、硬化することによって透明化することを特徴とするEMIシールドフィルム及びその製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、EMIシールドフィルム及びその製造方法に関する。更に詳しくはプラズマディスプレイパネルより放射される電磁波を画像劣化させることなく遮蔽するEMIシールドフィルムと、それを効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のフラットパネルディスプレイの高性能化にはめざましいものがある。フラットパネルディスプレイの一つであるプラズマディスプレイパネル(以下PDPと略す)も例外でない。PDPは、高解像度化、ハイコントラスト化、省電力化等がモデル変更毎に実施されている。一方、PDPはその発光原理から電磁波を放射という欠点がある。この電磁波は、周辺の電子機器へのノイズの混入原因となる。欧米では、既に法規制がなされている。また日本では、欧米の法規制をもとにメーカーが自主規制をおこなっている。
これら電磁波の遮蔽方法としては、機器筐体そのものを金属体または、高導電体にしたり回路基板と回路基板の間に金属板を挿入する、ケーブルに金属箔を巻き付ける等の方法がある。
一方、ディスプレイ前面から放射される電磁波は、透明性を低下させることなく遮蔽する必要がある。この両者を高次に実現する手段として発明者らは、特願2002−78807に記載される方法を提案した。この方法によれば、電磁波遮蔽と透明性を両立することが可能である。
しかしながらこの方法は、透明基材上に形成した金属箔をエッチングして金属製メッシュとするエッチング工程、金属製メッシュに接着剤付フィルムをオーバーコートするオーバーコート工程と、金属製メッシュに接着剤付フィルムの積層体を熱プレスする熱プレス工程からなり、この発明以前に比較すると短時間に即ち高い生産性でEMIシールドフィルムを作成することが出来るようになったが充分なものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑み電磁波シールド性と透明性を有するEMIシールドフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) 透明基材と金属箔の少なくともどちらか一方、又は両方に樹脂を塗布し両者を貼り合わせ、次いで金属箔をケミカルエッチングプロセスによりエッチング加工して得られる金属製メッシュの上に、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂を塗布し、これに活性化エネルギー線を照射し、樹脂を硬化することによって透明化することを特徴とするEMIシールドフィルムの製造方法。
(2) 活性化エネルギー線が紫外線もしくは電子線である上記(1)に記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
(3) 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布し、活性化エネルギー線の照射、硬化をロール toロールの連続状態でおこなう上記(1)ないし(2)記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
(4) 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布をメッシュ部のみに選択的に間欠的におこなう上記(1)ないし(3)記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
(5) 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布をメッシュ部のみに選択的に間欠的におこない塗布・硬化時間が40秒以下である上記(1)ないし(4)記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂は紫外線もしくは電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する組成物のことである。透明基材と金属箔の少なくともどちらか一方、又は両方に樹脂を塗布し両者を貼り合わせる。次いで金属箔をケミカルエッチングプロセスによりエッチング加工して得られる金属製メッシュ(以下金属製メッシュという)の上に塗布した後に活性エネルギー線を硬化させる。
【0006】
本発明で使用する活性化エネルギー線で硬化する樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等をベースポリマとして、ラジカル重合性あるいはカチオン重合性官能基を付与させる。
ラジカル重合性官能基として、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
カチオン重合性官能基としては、グリシジル基が好適に用いられる。
【0007】
活性エネルギー線が紫外線の場合、光増感剤あるいは光開始剤として、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料を使用することが可能である。
【0008】
前述のベースポリマには、汎用の熱可塑性樹脂をブレンドすることも可能である。具体例を挙げると、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテンなどのジエン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリ(メタ)アクリル樹脂等である。
これらの樹脂の活性エネルギー線照射後のガラス転移点は、50℃以上であることが好ましい。80℃〜120℃であれば更に好ましい。これは、想定されるPDPの使用環境温度で樹脂がゴム状になると、画像劣化を生じるからでありこれを防ぐためである。
塗工作業性の観点から、樹脂の25℃における溶液粘度は、1,000〜5,000mPa・sが好ましく、1,500〜2,500mPa・sであればさらに好ましい。また必要に応じて、希釈剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収、粘着付与剤などを配合することも可能である。
【0009】
本発明で用いる金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、金、銀、チタンなど、またはこれらの合金も使用することができる。電磁波シールド性、エッチング加工、価格などの観点から、銅、アルミニウムが好ましい。その厚みは、6μm以上が好ましく9〜12μmであれば更に好ましい。金属箔は、特に透明基材と接着する側の表面粗さが重要である。この金属箔は、後にエッチングをする。金属箔エッチング後の接着剤表面には、金属箔表面の凹凸が転写し不透明となる。そのためこの凹凸を埋めて透明化をする必要がある。表面粗度を大きくし過ぎると、この透明化が困難となるためである。好ましい金属箔の表面粗度としては、Ra1.0μm以下が好ましく、Ra0.4μ以下であれば更に好ましい。
【0010】
本発明で使用する透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられるが限定されるものではない。これらは、2種類以上を共重合したりブレンドしてもかまわない。また、貫層方向に2類以上のものをクラッドすることも可能である。重要なことは、ディスプレイの前面に配置した際に画像劣化を起こさないために均質であることである。また、可視光透過率は70%以上が好ましい。その厚みは、5μm以上が好ましく、25〜200μmであれば更に好ましい。5μm以下になると加工の際の搬送性などのハンドリング性が劣る可能性がある。また200μm以上になると、材料の均質性、可視光透過率が劣り画像劣化の原因になる恐れがあるため好ましくない。
【0011】
これら、金属箔、透明基材のどちらか一方、または両方に接着剤を塗布する。塗布する接着剤に特に限定はないが、所望の温度で流動接着する組成物が好ましい。これらの接着剤の軟化温度は、取り扱い性から150℃以下が好ましい。80〜120℃であれば更に好ましい。用いる接着剤樹脂系にもよるが、その重量平均分子量は104〜106が好ましい。104以下になると凝集力が低くなり透明基材と金属箔の密着力性が低下する恐れがある。
接着剤組成物の系を例示すると、天然ゴム、ジエン類、ポリエーテル類、ポリエステル類、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。必要に応じて2類以上をブレンドすることも可能である。さらに溶媒での希釈、架橋剤、架橋触媒、着色剤、近赤外線吸収剤、カップリング剤等の添加も可能である。
これら接着剤を透明基材または、金属箔に塗布・乾燥する方法に限定はない。
【0012】
次に、接着剤を塗布した透明基材と金属箔を上記接着剤を介して接着する。この方法に特に限定はないが、プレス法、ロールラミネート法、オートクレーブ法等が挙げられる。作業性、経済性を勘案するとロールラミネートが好ましい。さらには、ロール toロールで連続して処理することが好ましい。
【0013】
上述のようにして得られた、透明基材と金属箔のクラッド材の金属をエッチングしてメッシュを形成する。その方法としてはエッチング精度、効率を勘案するとマイクロリソグラフ法が好ましい。この方法には、フォトリソグラフ、X線リソグラフ、電子線リソグラフ、イオンビームリソグラフ法などがある。これらの中でもその簡便性、量産性の点からフォトリソグラフ法が最も効率がよい。この作業もロール toロールでの連続加工が好ましい。メッシュを構成するの形状には、限定はない。メッシュを構成する単位のピッチは100〜500μmが好ましく、150〜300μmであれば更に好ましい。また構成単位のラインの幅は、5〜25μmが好ましく、7〜20μmであれば更に好ましい。
【0014】
このようにして得られた金属メッシュに、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂を塗布し、これに活性化エネルギー線を照射、硬化することによって透明化する。ここで透明化とは、金属箔エッチング後の接着剤表面にできた金属箔表面の凹凸転写をフラットにすることである。
一般に、金属メッシュの周辺4辺にはアースとよばる帯状の金属箔未エッチング部がある。ディスプレイより放射された電磁波のほとんどはメッシュ部で反射されるが、一部は電気エネルギーとなりメッシュ部を導通しこのアースから筐体に接地される。そのために、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂はこのアース内に選択的に塗布される必要がある即ち間欠的に塗工される必要がある。コータの形状について限定はないが間欠塗工を達成する為には、密閉型のダイコータ、リップコータ等が好ましい。
最後にこの塗工物に活性化エネルギー線を照射・硬化させる。活性化エネルギー線が、紫外線のときは重合のために発生したラジカルが消失しないように、酸素を遮断する必要がある。不活性ガスをパージする方法、紫外線を透過するプラスチック製フィルムでカバーする方法等があるが限定されるものではない。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
(実施例1)
透明基材として、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET、東洋紡績製、A−4100)、金属箔として厚さ10μmの電解銅箔(日本電解(株)製、PBR10A)を選定した。両者にポリエステル系接着剤(東洋紡績製、バイロンUR1350)を塗工機で均一に塗布した。乾燥後の接着剤厚みは、それぞれ10μmであった。
上述の接着剤付の透明基材と金属箔をロールラミネータを用いて連続してラミネートしクラッド材を得た。ラミネート条件は下記のとおり。
ラミネート温度:130℃ ラミネート圧力:0.5MPa
次にこのロールtoロール のクラッド材の銅箔を連続ケミカルエッチングしてエッチングメッシュを得た。ケミカルエッチングの工程は以下のとおりである。銅箔へのドライフィルムレジストラミネート−ガラスマスクを用いてのパターン露光−現像(炭酸ナトリウム水溶液)−エッチング(塩化第2銅、塩酸水溶液)−ドライフィルムレジスト剥離(KOH水溶液)−乾燥。図1は得られたエッチングメッシュの断面図である。図2は同様に概略図である。図2にあけるメッシュ部の大きさは、a:560mm、b:960mmであり、この全面にピッチ:300μm、ライン幅12μmの銅の格子が形成されている。このメッシュ部の周辺4辺には幅10mmの銅がアースとして残っている。さらに、長手方向のアースとアースの間隔c:3mmである。このエッチングメッシュのエッチング部(接着剤面)は、銅箔表面の凹凸を転写しており可視光を乱反射して不透明であった。
【0016】
最後にこのエッチングメッシュのメッシュ部のみに紫外線硬化型樹脂(日立化成工業(株)製)を間欠塗工機を用いて選択的に塗工した。図3は、間欠塗工、紫外線効果の概略図を示したものである。ワニスタンク(1)に入れられた紫外線効果樹脂(2)は、送液ポンプ(3)で圧送され供給バルブV1(4)を経てコータ(6)へ供給されて、エッチングメッシュ(7)のメッシュ部のみに選択的に塗布される。メッシュ部とメッシュ部の未塗工部では、供給バルブV1(4)は閉となり、代りにリターンバルブV2(5)が開となり塗工は中止されて紫外線硬化型樹脂は、ワニスタンク(1)に戻される。一方、選択的にメッシュ部のみに塗布された紫外線硬化型樹脂表面は、酸素を遮断することを目的に表面にPETフィルム(8)(東洋紡績製、A4100−50μm)をラミネートしてUVランプ(9)で紫外線を照射してEMIシールドフィルム(10)を得た。EMIシールドフィルム1枚を透明化するのに必要な時間は、35秒であった。また可視光透過率は、81%だった。ヘイズは、2.7%で透明感に優れるものであった。
本実施例に用いたUV効果型樹脂の組成は下記のとおりである。アクリル樹脂:37%、脂肪族アクリレート60%、感光剤3%
【0017】
(比較例)
上下を離型PETに挟まれた、アクリル系の透明性の良い粘着剤(Tg:−32℃、重量平均分子量:60万〜70万、厚さ40μm)の片側の離型PET波剥離しながら粘着剤を金属メッシュ面に連続的にロールラミネートした他は実施例1と同様にしてEMIシールドフィルムを得た。
EMIシールドフィルム1枚を透明化するのに必要な時間は、30秒であった。得られたEMIシールドフィルムを通して見る画像は歪んでいた。このEMIシールドフィルムの可視光透過率:81%だった。ヘイズ:30%
【0018】
【発明の効果】
請求項1記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、透明性に優れたEMIシールドフィルムを製造することができ、プラズマディスプレイパネル等
に好適である。
請求項2記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、請求項1記載のEMIシールドフィルムを、容易に製造することができる。
請求項3記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、ロール toロールで処理をおこなうために生産性が優れる。
請求項4記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、ロール toロールで処理を行い、透明化をアース内部のみに選択的におこなうために電磁波シールド性を低下させることなく、透明性のよいEMIシールドフィルムが生産性良く得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エッチングメッシュの断面図
【図2】エッチングメッシュの概略図
【図3】間欠塗工、紫外線硬化の概略図
【符号の説明】
1.PETフィルム 8.リターンバルブ
2.接着剤 9.コータ
3.メッシュ(銅箔) 10.エッチングメッシュ
4.ワニスタンク 11.PETフィルム
5.紫外線硬化型樹脂 12.UVランプ
6.送液ポンプ 13.EMIシールドフィルム
7.供給バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、EMIシールドフィルム及びその製造方法に関する。更に詳しくはプラズマディスプレイパネルより放射される電磁波を画像劣化させることなく遮蔽するEMIシールドフィルムと、それを効率良く製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年のフラットパネルディスプレイの高性能化にはめざましいものがある。フラットパネルディスプレイの一つであるプラズマディスプレイパネル(以下PDPと略す)も例外でない。PDPは、高解像度化、ハイコントラスト化、省電力化等がモデル変更毎に実施されている。一方、PDPはその発光原理から電磁波を放射という欠点がある。この電磁波は、周辺の電子機器へのノイズの混入原因となる。欧米では、既に法規制がなされている。また日本では、欧米の法規制をもとにメーカーが自主規制をおこなっている。
これら電磁波の遮蔽方法としては、機器筐体そのものを金属体または、高導電体にしたり回路基板と回路基板の間に金属板を挿入する、ケーブルに金属箔を巻き付ける等の方法がある。
一方、ディスプレイ前面から放射される電磁波は、透明性を低下させることなく遮蔽する必要がある。この両者を高次に実現する手段として発明者らは、特願2002−78807に記載される方法を提案した。この方法によれば、電磁波遮蔽と透明性を両立することが可能である。
しかしながらこの方法は、透明基材上に形成した金属箔をエッチングして金属製メッシュとするエッチング工程、金属製メッシュに接着剤付フィルムをオーバーコートするオーバーコート工程と、金属製メッシュに接着剤付フィルムの積層体を熱プレスする熱プレス工程からなり、この発明以前に比較すると短時間に即ち高い生産性でEMIシールドフィルムを作成することが出来るようになったが充分なものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる点に鑑み電磁波シールド性と透明性を有するEMIシールドフィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のものに関する。
(1) 透明基材と金属箔の少なくともどちらか一方、又は両方に樹脂を塗布し両者を貼り合わせ、次いで金属箔をケミカルエッチングプロセスによりエッチング加工して得られる金属製メッシュの上に、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂を塗布し、これに活性化エネルギー線を照射し、樹脂を硬化することによって透明化することを特徴とするEMIシールドフィルムの製造方法。
(2) 活性化エネルギー線が紫外線もしくは電子線である上記(1)に記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
(3) 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布し、活性化エネルギー線の照射、硬化をロール toロールの連続状態でおこなう上記(1)ないし(2)記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
(4) 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布をメッシュ部のみに選択的に間欠的におこなう上記(1)ないし(3)記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
(5) 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布をメッシュ部のみに選択的に間欠的におこない塗布・硬化時間が40秒以下である上記(1)ないし(4)記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明に用いる活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂は紫外線もしくは電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する組成物のことである。透明基材と金属箔の少なくともどちらか一方、又は両方に樹脂を塗布し両者を貼り合わせる。次いで金属箔をケミカルエッチングプロセスによりエッチング加工して得られる金属製メッシュ(以下金属製メッシュという)の上に塗布した後に活性エネルギー線を硬化させる。
【0006】
本発明で使用する活性化エネルギー線で硬化する樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等をベースポリマとして、ラジカル重合性あるいはカチオン重合性官能基を付与させる。
ラジカル重合性官能基として、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
カチオン重合性官能基としては、グリシジル基が好適に用いられる。
【0007】
活性エネルギー線が紫外線の場合、光増感剤あるいは光開始剤として、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料を使用することが可能である。
【0008】
前述のベースポリマには、汎用の熱可塑性樹脂をブレンドすることも可能である。具体例を挙げると、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテンなどのジエン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテルなどのポリエーテル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネートなどのポリエステル類、ポリ(メタ)アクリル樹脂等である。
これらの樹脂の活性エネルギー線照射後のガラス転移点は、50℃以上であることが好ましい。80℃〜120℃であれば更に好ましい。これは、想定されるPDPの使用環境温度で樹脂がゴム状になると、画像劣化を生じるからでありこれを防ぐためである。
塗工作業性の観点から、樹脂の25℃における溶液粘度は、1,000〜5,000mPa・sが好ましく、1,500〜2,500mPa・sであればさらに好ましい。また必要に応じて、希釈剤、可塑剤、着色剤、紫外線吸収、粘着付与剤などを配合することも可能である。
【0009】
本発明で用いる金属箔としては、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、金、銀、チタンなど、またはこれらの合金も使用することができる。電磁波シールド性、エッチング加工、価格などの観点から、銅、アルミニウムが好ましい。その厚みは、6μm以上が好ましく9〜12μmであれば更に好ましい。金属箔は、特に透明基材と接着する側の表面粗さが重要である。この金属箔は、後にエッチングをする。金属箔エッチング後の接着剤表面には、金属箔表面の凹凸が転写し不透明となる。そのためこの凹凸を埋めて透明化をする必要がある。表面粗度を大きくし過ぎると、この透明化が困難となるためである。好ましい金属箔の表面粗度としては、Ra1.0μm以下が好ましく、Ra0.4μ以下であれば更に好ましい。
【0010】
本発明で使用する透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリスルホン、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリイミド、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチルなどが挙げられるが限定されるものではない。これらは、2種類以上を共重合したりブレンドしてもかまわない。また、貫層方向に2類以上のものをクラッドすることも可能である。重要なことは、ディスプレイの前面に配置した際に画像劣化を起こさないために均質であることである。また、可視光透過率は70%以上が好ましい。その厚みは、5μm以上が好ましく、25〜200μmであれば更に好ましい。5μm以下になると加工の際の搬送性などのハンドリング性が劣る可能性がある。また200μm以上になると、材料の均質性、可視光透過率が劣り画像劣化の原因になる恐れがあるため好ましくない。
【0011】
これら、金属箔、透明基材のどちらか一方、または両方に接着剤を塗布する。塗布する接着剤に特に限定はないが、所望の温度で流動接着する組成物が好ましい。これらの接着剤の軟化温度は、取り扱い性から150℃以下が好ましい。80〜120℃であれば更に好ましい。用いる接着剤樹脂系にもよるが、その重量平均分子量は104〜106が好ましい。104以下になると凝集力が低くなり透明基材と金属箔の密着力性が低下する恐れがある。
接着剤組成物の系を例示すると、天然ゴム、ジエン類、ポリエーテル類、ポリエステル類、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。必要に応じて2類以上をブレンドすることも可能である。さらに溶媒での希釈、架橋剤、架橋触媒、着色剤、近赤外線吸収剤、カップリング剤等の添加も可能である。
これら接着剤を透明基材または、金属箔に塗布・乾燥する方法に限定はない。
【0012】
次に、接着剤を塗布した透明基材と金属箔を上記接着剤を介して接着する。この方法に特に限定はないが、プレス法、ロールラミネート法、オートクレーブ法等が挙げられる。作業性、経済性を勘案するとロールラミネートが好ましい。さらには、ロール toロールで連続して処理することが好ましい。
【0013】
上述のようにして得られた、透明基材と金属箔のクラッド材の金属をエッチングしてメッシュを形成する。その方法としてはエッチング精度、効率を勘案するとマイクロリソグラフ法が好ましい。この方法には、フォトリソグラフ、X線リソグラフ、電子線リソグラフ、イオンビームリソグラフ法などがある。これらの中でもその簡便性、量産性の点からフォトリソグラフ法が最も効率がよい。この作業もロール toロールでの連続加工が好ましい。メッシュを構成するの形状には、限定はない。メッシュを構成する単位のピッチは100〜500μmが好ましく、150〜300μmであれば更に好ましい。また構成単位のラインの幅は、5〜25μmが好ましく、7〜20μmであれば更に好ましい。
【0014】
このようにして得られた金属メッシュに、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂を塗布し、これに活性化エネルギー線を照射、硬化することによって透明化する。ここで透明化とは、金属箔エッチング後の接着剤表面にできた金属箔表面の凹凸転写をフラットにすることである。
一般に、金属メッシュの周辺4辺にはアースとよばる帯状の金属箔未エッチング部がある。ディスプレイより放射された電磁波のほとんどはメッシュ部で反射されるが、一部は電気エネルギーとなりメッシュ部を導通しこのアースから筐体に接地される。そのために、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂はこのアース内に選択的に塗布される必要がある即ち間欠的に塗工される必要がある。コータの形状について限定はないが間欠塗工を達成する為には、密閉型のダイコータ、リップコータ等が好ましい。
最後にこの塗工物に活性化エネルギー線を照射・硬化させる。活性化エネルギー線が、紫外線のときは重合のために発生したラジカルが消失しないように、酸素を遮断する必要がある。不活性ガスをパージする方法、紫外線を透過するプラスチック製フィルムでカバーする方法等があるが限定されるものではない。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
(実施例1)
透明基材として、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET、東洋紡績製、A−4100)、金属箔として厚さ10μmの電解銅箔(日本電解(株)製、PBR10A)を選定した。両者にポリエステル系接着剤(東洋紡績製、バイロンUR1350)を塗工機で均一に塗布した。乾燥後の接着剤厚みは、それぞれ10μmであった。
上述の接着剤付の透明基材と金属箔をロールラミネータを用いて連続してラミネートしクラッド材を得た。ラミネート条件は下記のとおり。
ラミネート温度:130℃ ラミネート圧力:0.5MPa
次にこのロールtoロール のクラッド材の銅箔を連続ケミカルエッチングしてエッチングメッシュを得た。ケミカルエッチングの工程は以下のとおりである。銅箔へのドライフィルムレジストラミネート−ガラスマスクを用いてのパターン露光−現像(炭酸ナトリウム水溶液)−エッチング(塩化第2銅、塩酸水溶液)−ドライフィルムレジスト剥離(KOH水溶液)−乾燥。図1は得られたエッチングメッシュの断面図である。図2は同様に概略図である。図2にあけるメッシュ部の大きさは、a:560mm、b:960mmであり、この全面にピッチ:300μm、ライン幅12μmの銅の格子が形成されている。このメッシュ部の周辺4辺には幅10mmの銅がアースとして残っている。さらに、長手方向のアースとアースの間隔c:3mmである。このエッチングメッシュのエッチング部(接着剤面)は、銅箔表面の凹凸を転写しており可視光を乱反射して不透明であった。
【0016】
最後にこのエッチングメッシュのメッシュ部のみに紫外線硬化型樹脂(日立化成工業(株)製)を間欠塗工機を用いて選択的に塗工した。図3は、間欠塗工、紫外線効果の概略図を示したものである。ワニスタンク(1)に入れられた紫外線効果樹脂(2)は、送液ポンプ(3)で圧送され供給バルブV1(4)を経てコータ(6)へ供給されて、エッチングメッシュ(7)のメッシュ部のみに選択的に塗布される。メッシュ部とメッシュ部の未塗工部では、供給バルブV1(4)は閉となり、代りにリターンバルブV2(5)が開となり塗工は中止されて紫外線硬化型樹脂は、ワニスタンク(1)に戻される。一方、選択的にメッシュ部のみに塗布された紫外線硬化型樹脂表面は、酸素を遮断することを目的に表面にPETフィルム(8)(東洋紡績製、A4100−50μm)をラミネートしてUVランプ(9)で紫外線を照射してEMIシールドフィルム(10)を得た。EMIシールドフィルム1枚を透明化するのに必要な時間は、35秒であった。また可視光透過率は、81%だった。ヘイズは、2.7%で透明感に優れるものであった。
本実施例に用いたUV効果型樹脂の組成は下記のとおりである。アクリル樹脂:37%、脂肪族アクリレート60%、感光剤3%
【0017】
(比較例)
上下を離型PETに挟まれた、アクリル系の透明性の良い粘着剤(Tg:−32℃、重量平均分子量:60万〜70万、厚さ40μm)の片側の離型PET波剥離しながら粘着剤を金属メッシュ面に連続的にロールラミネートした他は実施例1と同様にしてEMIシールドフィルムを得た。
EMIシールドフィルム1枚を透明化するのに必要な時間は、30秒であった。得られたEMIシールドフィルムを通して見る画像は歪んでいた。このEMIシールドフィルムの可視光透過率:81%だった。ヘイズ:30%
【0018】
【発明の効果】
請求項1記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、透明性に優れたEMIシールドフィルムを製造することができ、プラズマディスプレイパネル等
に好適である。
請求項2記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、請求項1記載のEMIシールドフィルムを、容易に製造することができる。
請求項3記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、ロール toロールで処理をおこなうために生産性が優れる。
請求項4記載のEMIシールドフィルム及びその製造方法は、ロール toロールで処理を行い、透明化をアース内部のみに選択的におこなうために電磁波シールド性を低下させることなく、透明性のよいEMIシールドフィルムが生産性良く得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エッチングメッシュの断面図
【図2】エッチングメッシュの概略図
【図3】間欠塗工、紫外線硬化の概略図
【符号の説明】
1.PETフィルム 8.リターンバルブ
2.接着剤 9.コータ
3.メッシュ(銅箔) 10.エッチングメッシュ
4.ワニスタンク 11.PETフィルム
5.紫外線硬化型樹脂 12.UVランプ
6.送液ポンプ 13.EMIシールドフィルム
7.供給バルブ
Claims (5)
- 透明基材と金属箔の少なくともどちらか一方、又は両方に樹脂を塗布し両者を貼り合わせ、次いで金属箔をケミカルエッチングプロセスによりエッチング加工して得られる金属製メッシュの上に、活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂を塗布し、これに活性化エネルギー線を照射し、樹脂を硬化することによって透明化することを特徴とするEMIシールドフィルムの製造方法。
- 活性化エネルギー線が紫外線もしくは電子線である請求項1に記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
- 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布し、活性化エネルギー線の照射、硬化をロール toロールの連続状態でおこなう請求項1ないし2記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
- 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布をメッシュ部のみに選択的に間欠的におこなう請求項1ないし3記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
- 活性化エネルギー線で硬化可能な樹脂の塗布をメッシュ部のみに選択的に間欠的におこない塗布・硬化時間が40秒以下である請求項1ないし4記載のEMIシールドフィルムの製造方法。
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- 2002-07-05 JP JP2002197439A patent/JP2004039981A/ja active Pending
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